JP5648693B2 - サンショール類の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、サンショール類の製造方法および該製造方法に有用な中間体であるジエン鉄錯体化合物に関し、詳しくは、短工程でかつ高立体選択的にサンショール類を製造することのできるサンショール類の製造方法および該製造方法に有用な中間体である新規なジエン鉄錯体化合物に関する。
サンショール類は,生薬「サンショウ」の主要成分である。近年になってHαS(ヒドロキシ−α−サンショール)がTRPV1、TRPA1刺激などの作用を有することが報告され、医薬化学上の脚光を浴びている。
HαSを初めとするサンショール類は、トリエン部位に由来する不安定構造が故に、物質単体として恒常的に製造・供給することが困難であった。従来は、サンショウエキスを原料としてシリカゲルおよびODSカラムクロマトグラフィーによってサンショール類が単離・精製されてきた。
HαSとHβS(ヒドロキシ―β−サンショール)の全合成は過去に報告されていないが、それらの類縁体であるα−サンショールの全合成が報告されている(非特許文献1、非特許文献2参照)。非特許文献1および2記載の方法は、どちらもWittig反応によってトリエン部分を構築する方法である。
Sonnet P. E., J. Org. Chem., 34,1147-1149(1969) Crombie L., Fisher D., TetrahedronLett., 26, 2481-2484(1985)
しかしながら、非特許文献1および2記載の方法は、収率もE/Z選択性も低く、実用的な合成方法とは言い難いものであった。
そこで本発明の目的は、短工程でかつ高立体選択的にサンショール類を製造することのできるサンショール類の製造方法および該製造方法に有用な安定中間体である新規なジエン鉄錯体化合物を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の新規なジエン鉄錯体化合物を用いることで、上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のジエン鉄錯体化合物およびサンショール類の製造方法は、下記の[1]〜[7]である。
[1]下記一般式(I)で表されることを特徴とするジエン鉄錯体化合物。
Figure 0005648693
(式中、AはCO、P(R、CN、NO、SO(RまたはN(Rを表し、Rは炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表し、RおよびRは、いずれか一方が水素原子を表し、もう一方が下記式(II)で表される構造をとる。)
Figure 0005648693
(式中、Rは水素原子、ヒドロキシル基またはメチル基を表す。)
[2]下記一般式(III)で表されることを特徴とするジエン鉄錯体化合物。
Figure 0005648693
(式中、AはCO、P(R、CN、NO、SO(RまたはN(Rを表し、Rは炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表し、RおよびRは、いずれか一方が水素原子を表し、もう一方が2−シアノエチル基を表す。)
[3]下記一般式(I)、
Figure 0005648693
(式中、AはCO、P(R、CN、NO、SO(RまたはN(Rを表し、Rは炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表し、RおよびRは、いずれか一方が水素原子を表し、もう一方が下記式(II)で表される構造をとる。)
Figure 0005648693
(式中、Rは水素原子、ヒドロキシル基またはメチル基を表す。)
で表されるジエン鉄錯体化合物と脱保護剤とを反応させることを特徴とするサンショール類の製造方法。
[4]前記脱保護剤が、セリウム(IV)化合物、トリメチルアミンN−オキシド、ピリジンN−オキシド、塩化鉄(III)、塩化銅(II)、ジクロロジシアノベンゾキノンおよび過酸化水素からなる群から選ばれるものである[3]のサンショール類の製造方法。
[5]
下記一般式(III)、
Figure 0005648693
(式中、AはCO、P(R、CN、NO、SO(RまたはN(Rを表し、Rは炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表し、RおよびRは、いずれか一方が水素原子を表し、もう一方が2−シアノエチル基を表す。)で表されるジエン鉄錯体化合物を還元してアルデヒド化合物とする工程と、
得られたアルデヒド化合物をジメチル(イソブチルカルバモイル)メチルホスホネートまたはジエチル(イソブチルカルバモイル)メチルホスホネートと反応させることにより前記一般式(I)で表されるジエン鉄錯体化合物を得る工程と、
をさらに備える[3]のサンショール類の製造方法。
[6]
下記一般式(III)、
Figure 0005648693
(式中、AはCO、P(R、CN、NO、SO(RまたはN(Rを表し、Rは炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表し、RおよびRは、いずれか一方が水素原子を表し、もう一方が2−シアノエチル基を表す。)で表されるジエン鉄錯体化合物を還元してアルデヒド化合物とする工程と、
得られたアルデヒド化合物をジエチルホスホノ酢酸と反応させて、下記一般式(VII)、
Figure 0005648693
(式中、AはCO、P(R、CN、NO、SO(RまたはN(Rを表し、Rは炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表し、RおよびR10は、いずれか一方が水素原子を表し、もう一方が下記式(VIII)で表される構造をとる。)
Figure 0005648693
で表されるジエン鉄錯体化合物を得る工程と、
得られた一般式(VII)で表されるジエン鉄錯体化合物と、下記一般式(IX)、
Figure 0005648693
(式中、Rは水素原子、ヒドロキシル基またはメチル基を表す。)
で表されるアミンとを反応させて前記一般式(I)で表されるジエン鉄錯体化合物を得る工程と、
をさらに備える[3]のサンショール類の製造方法。
[7]
下記式(X)、
Figure 0005648693
で表される化合物と4−(1−フェニル−1H−テトラゾール−5−イルスルホニル)ブタンニトリルとを反応させ、下記一般式(III)、
Figure 0005648693
(式中、AはCO、P(R、CN、NO、SO(RまたはN(Rを表し、Rは炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表し、RおよびRは、いずれか一方が水素原子を表し、もう一方が2−シアノエチル基を表す。)で表されるジエン鉄錯体化合物を得る工程と、
前記一般式(III)で表されるジエン鉄錯体化合物を還元してアルデヒド化合物とする工程と、
得られたアルデヒド化合物をジエチルホスホノ酢酸と反応させて、下記一般式(VII)、
Figure 0005648693
(式中、AはCO、P(R、CN、NO、SO(RまたはN(Rを表し、Rは炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表し、RおよびR10は、いずれか一方が水素原子を表し、もう一方が下記式(VIII)で表される構造をとる。)
Figure 0005648693
で表されるジエン鉄錯体化合物を得る工程と、
得られた一般式(VII)で表されるジエン鉄錯体化合物と、下記一般式(IX)、
Figure 0005648693
(式中、Rは水素原子、ヒドロキシル基またはメチル基を表す。)
で表されるアミンとを反応させて前記一般式(I)で表されるジエン鉄錯体化合物を得る工程と、
をさらに備える[3]のサンショール類の製造方法。
本発明により、短工程でかつ高立体選択的にサンショール類を製造することのできるサンショール類の製造方法および該製造方法に有用な中間体であるジエン鉄錯体化合物を提供することが可能となる。
実験例9における、曝光下での試料溶液中のヒドロキシ−α−サンショール(HαS)およびジエン鉄錯体化合物(化合物5、Fe cpと表記)の含有量(%表記)の経時変化を示すグラフである。
以下に、本発明の実施形態について詳細に説明する。
[ジエン鉄錯体化合物]
本発明のジエン鉄錯体化合物は、下記一般式(I)、
Figure 0005648693
(式中、AはCO、P(R、CN、NO、SO(RまたはN(Rを表し、Rは炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表し、RおよびRは、いずれか一方が水素原子を表し、もう一方が下記式(II)で表される構造をとる。)で表されるものである。
Figure 0005648693
(式中、Rは水素原子、ヒドロキシル基またはメチル基を表す。)
上記Rが表す、炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基等が挙げられ、メチル基が好ましい。また、上記炭素数6〜12のアリール基としては、フェニル基、2−ピリジル基、3−ピリジル基、4−ピリジル基、2−チエニル基、3−チエニル基等が挙げられ、フェニル基が好ましい。
上記ジエン鉄錯体化合物を脱保護剤と反応させることにより、簡便に、α−サンショール、β−サンショール、ヒドロキシ−α−サンショール等のサンショール類を製造することができる。上記脱保護剤としては、硝酸セリウムアンモニウム(CAN)などのセリウム(IV)化合物、トリメチルアミンN−オキシド、ピリジンN−オキシド、塩化鉄(III)、塩化銅(II)、ジクロロジシアノベンゾキノン、過酸化水素等が挙げられ、好適なものとしては、セリウム(IV)化合物、トリメチルアミンN−オキシド、ピリジンN−オキシドが挙げられ、少ない副生成物でサンショール類を製造できることからトリメチルアミンN−オキシドが最も好ましい。
また、サンショール類は、不安定であり、特にヒドロキシ−α−サンショールは曝光下で顕著に分解(異性化など)が生じるが、上記本発明のジエン鉄錯体化合物は、比較的安定であり、光による異性化などを生じにくい。その為、本発明のジエン鉄錯体化合物を保存し、必要時に脱保護反応を行うことによりサンショール類を製造することができる。
本発明の他のジエン鉄錯体化合物は、
下記一般式(III)、
Figure 0005648693
(式中、AはCO、P(R、CN、NO、SO(RまたはN(Rを表し、Rは炭素数1から4の直鎖または分岐鎖のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表す。RおよびRは、いずれか一方が水素原子を表し、もう一方が2−シアノエチル基を表す。)で表されるものである。
上記一般式(III)で表されるジエン鉄錯体化合物は、下記の反応により、短工程で簡便にサンショール類を製造することのできるサンショール類の製造方法の原料となるものである。Rが2−シアノエチル基であるもの、Rが2−シアノエチル基であるものを使い分けることにより、サンショール類のα体、β体を任意に製造することができる。
上記一般式(III)で表されるジエン鉄錯体化合物は、例えば式中、AがCOである化合物を例にとると、下記式、
Figure 0005648693
で表される化合物1から、Wittig反応等により合成することができる。Wittig反応、Horner−Wadsworth−Emmons反応、Julia−Lythgoeオレフィン合成等を使い分けることにより、幾何異性体を作り分けることもできる。
Wittig反応は、例えば、Wittig, G.; Schollkopf, U. Ber. 1954, 87, 1318.、Maryanoff, B. E. et al. Chem. Rev. 1989,89,863.等の文献記載の方法を参考に行うことができる。
Horner−Wadsworth−Emmons反応は、例えば、Horner, L.; Hoffmann, H. M. R.; Wippel,H. G.; Klahre, G. Ber. 1959, 92, 2499. 、Maryanoff, B. E.; Reitz, A. B. Chem. Rev.1989,89,863. 、Kelly, S. E. Comprehensive Organic Synthesis 1991,1,729.等の文献記載の方法を参考に行うことができる。
Julia−Lythgoeオレフィン合成は、例えば、Julia, M.; Paris, J. M. Tetrahedron Lett. 1973,4833、Blakemore, P. R.JCS PerkinTrans. 1 2002, 2563等の文献記載の方法を参考に行うことができる。
なお、上記化合物1は、市販試薬として容易に入手可能な2,4−ヘキサジエナ−ルとFe(CO)12等の鉄錯体とを加熱攪拌するなどして容易に合成可能である。
[サンショール類の製造方法]
本発明のサンショール類の製造方法は、上記一般式(I)で表されるジエン鉄錯体化合物と脱保護剤とを反応させることを特徴とするものである。脱保護剤としては、硝酸セリウムアンモニウム(CAN)などのセリウム(IV)化合物、トリメチルアミンN−オキシド、ピリジンN−オキシド、塩化鉄(III)、塩化銅(II)、ジクロロジシアノベンゾキノン、過酸化水素等が挙げられ、好適なものとしては、セリウム(IV)化合物、トリメチルアミンN−オキシド、ピリジンN−オキシドが挙げられ、副生成物の発生を抑えながらサンショール類を製造できることからトリメチルアミンN−オキシドが最も好ましい。
脱保護剤との反応温度は、特に制限はなく、−20〜50℃で反応を行うことが好ましい。また、反応時間は、好ましくは1時間以内である。
本発明の他のサンショール類の製造方法は、上記一般式(III)で表されるジエン鉄錯体化合物を還元してアルデヒド化合物とする工程(A)と、
得られたアルデヒド化合物をジメチル(イソブチルカルバモイル)メチルホスホネートまたはジエチル(イソブチルカルバモイル)メチルホスホネートと反応させることにより上記一般式(IV)で表されるジエン鉄錯体化合物を得る工程(B)と、
得られた一般式(IV)で表されるジエン鉄錯体化合物と、脱保護剤とを反応させる工程(C)と、を備えることを特徴とするものである。
〈工程(A)〉
上記工程(A)の反応の一例は、下記式で表すことができる。下記反応式は、上記一般式(III)で表されるジエン鉄錯体化合物のうち、AがCO、Rが2−シアノエチル基であるものを用いた場合である。
Figure 0005648693
還元剤としては、水素化トリ(エトキシ)アルミニウムリチウム、水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素リチウム、水素化ジイソブチルアルミニウム (DIBAL−H)等が挙げられ、DIBAL−Hが好ましい。好適な反応形態としては、トルエンなどの有機溶媒中、−80〜−20℃に冷却しながら、一般式(III)で表されるジエン鉄錯体化合物に対して、1.0〜2.0当量のDIBAL−Hを用いて還元反応を行うことが挙げられる。
〈工程(B)〉
上記工程(B)の反応の一例は、下記式で表すことができる。
Figure 0005648693
上記化合物3とともに、エナミド二重結合に由来する下記式で表される異性体(3−geo)が得られることがあるが、この異性体がなるべく少ない方が好ましい。下記式で表される異性体は、例えばシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより容易に分離することができる。さらに上記化合物3を再結晶することにより純度を上げることができる。
Figure 0005648693
〈工程(C)〉
一般式(IV)で表されるジエン鉄錯体化合物と、脱保護剤とを反応させる工程については、上記と同様である。
本発明のさらに他のサンショール類の製造方法は、上記一般式(VI)で表されるサンショール類の製造方法であって、
上記一般式(III)で表されるジエン鉄錯体化合物を還元してアルデヒド化合物とする工程(D)と、
得られたアルデヒド化合物をジエチルホスホノ酢酸と反応させて、上記一般式(VII)で表されるジエン鉄錯体化合物を得る工程(E)と、
得られた一般式(VII)で表されるジエン鉄錯体化合物と、上記一般式(IX)で表されるアミンとを反応させて縮合物を得る工程(F)と、
得られた縮合物に、脱保護剤を反応させる工程(G)と、を備えることを特徴とするものである。
〈工程(D)〉
上記工程(D)の反応の一例は、下記式で表すことができる。下記反応式は、上記一般式(III)で表されるジエン鉄錯体化合物のうち、AがCO、Rが2−シアノエチル基であるものを用いた場合である。
Figure 0005648693
上記工程(D)は、上記工程(A)と同様にして行うことができる。
〈工程(E)〉
上記工程(E)の反応の一例は、下記式で表すことができる。下記反応式は、上記一般式(III)で表されるジエン鉄錯体化合物のうち、Rが2−シアノエチル基であるものを用いた場合である。
Figure 0005648693
工程(E)は、例えばSchauer法によるジエチルホスホノ酢酸を用いたHonor− Wadsworth−Emmons反応、Knoevenagel縮合等により行うことができる。
Knoevenagel縮合は、例えば、Jones, G. Org. React. 1967, 15, 204.、Tietze, L. F.; Beifuss, U. Comprehensive Organic Synthesis 1991,2,341.等の文献記載の方法を参考に行うことができる。
〈工程(F)〉
上記工程(F)の反応の一例は、下記式で表すことができる。下記反応式は、上記一般式(III)で表されるジエン鉄錯体化合物のうち、Rが2−シアノエチル基であるものを用いた場合である。
Figure 0005648693
工程(F)は、一般的なアミド化反応により行なうことができるが、ヨウ化N−メチル−2−クロロピリジニウムを用いてアミンとの縮合反応を行う方法や、水溶性カルボジイミド(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩等)などの水溶性縮合剤と、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)とを組み合わせて使用して縮合反応を行う方法が好ましい。
なお、上記一般式(IX)で表されるアミンは公知の方法で合成できる。例えば、上記アミンのうちRがヒドロキシ基のもの、即ち、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルアミンは、1,2−エポキシ−2−メチルプロパン(EMP)に対して1.1等量のベンジルアミンを反応させた後、接触水素化反応で脱保護することにより得られる。上記反応は、例えば、Candice Menzzi-Smarrito et al., J. Agric. Food Chem. 57, 1982 (2009)記載の方法を参考に行うことができる。
〈工程(G)〉
上記工程(F)で得られた縮合物に、脱保護剤を反応させる工程は、上記一般式(I)で表されるジエン鉄錯体化合物と、脱保護剤とを反応させる方法と同様にして行うことができる。
〈工程(H)〉
上記一般式(III)で表されるジエン鉄錯体化合物は、例えば式中、AがCOである化合物を例にとると、下記式、
Figure 0005648693
で表される化合物1から、4−(1−フェニル−1H−テトラゾール−5−イルスルホニル)ブタンニトリルを用いたJulia−Kocienskiオレフィン化反応によっても合成することができる。Julia−Kocienskiオレフィン化反応は、例えば、P.J. Kocienski, et al., Synlett, 1998, 26等の文献記載の方法を参考に行うことができる。本反応により、上記一般式(III)で表されるジエン鉄錯体化合物のうち、Rが2−シアノエチル基であるもの(即ち、E,E,E−トリエン骨格を有するもの)を選択的に合成することができる。
その後、得られた一般式(III)で表されるジエン鉄錯体化合物を用いて、上記工程(D)、(E)、(F)、(G)を経ることにより、β−サンショール類を製造することができる。
[実験例1]
トリカルボニル[(2,3,4,5−η)−(2E,4E)−ヘキサ−2,4−ジエナ−ル]鉄の合成
Figure 0005648693
室温下、2,4−ヘキサジエナ−ル(1.81mL)を、トルエン(30mL)中、Fe(CO)12(5.7g)を懸濁した溶液に加え、混合液を60℃で24時間攪拌した。その後、反応液を80℃で1時間攪拌した。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン→ヘキサン/酢酸エチル=10:1)にかけ、得られた粗精製物を真空中乾燥して、油状のトリカルボニル[(2,3,4,5−η)−(2E,4E)−ヘキサ−2,4−ジエナ−ル]鉄を2.84g得た(収率は70.8%)。
得られた化合物のデータは下記の通り。
1H-NMR (CDCl3, 400MHz) δ: 1.26 (1H, dd, J=4.4, 8.3Hz), 1.51 (3H, d,J=6.1Hz), 1.70 (1H, dq, J=8.7, 6.1Hz), 5.30 (1H, dd, J=5.1, 8.7Hz), 5.77 (1H,dd, J=5.1, 8.3Hz), 9.26 (1H, d, J=4.4Hz);
ESI-LRMS:m/z: +ESI 259 [M+Na]+, 237 [M+H]+, -ESI 235 [M-H]-;
ESI-HRMS:m/z: 258.9666 (Calcd for C9H8O4FeNa:258.9670).
[実験例2−1]
トリカルボニル[(6,7,8,9−η)−(4Z,6E,8E)−デカ−4,6,8−トリエンニトリル]鉄の合成
Figure 0005648693
1)3−シアノプロピルトリフェニルホスホニウムブロマイド(PPhP+(CHCN Br)(12.3g、30.0mol)とTHF(30mL)の混合液をアイスウォーターバスにて0℃に冷却し、THF(30mL)に懸濁したナトリウムヘキサメチルジシラジド(NaHMDS)(1.0mol/L)を加えた。得られた赤色〜橙色の溶液を30分間攪拌した。アイスバスを取り除いて、攪拌を停止し、NaBrが完全に沈殿して分離するまで1時間ほど静置し、イリド溶液を得た。
2)トリカルボニル[(2,3,4,5−η)−(2E,4E)−ヘキサ−2,4−ジエナ−ル]鉄(4.20g)をTHF(35mL)に溶解した溶液に、アルゴン雰囲気下、−78℃、0.5mol/Lの上記イリド溶液(60.0mL)を滴下した。その後、反応溶液を−78℃下、1時間攪拌した。反応液の温度を徐々に上げながら1.5時間攪拌し、−20℃とした。次に飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、水層を酢酸エチルにて抽出した。有機層は、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。真空下で、有機溶媒を除いた後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=5:1)にかけ、トリカルボニル[(6,7,8,9−η)−(4Z,6E,8E)−デカ−4,6,8−トリエンニトリル]鉄を4.61g得た(収率90.4%)。
得られた化合物のデータは下記の通り。
1H-NMR (CDCl3, 400MHz) δ: 1.42-1.45 (4H, m), 1.75 (1H,dd, J=9.6, 10.7 Hz),2.36-2.47 (4H, m), 5.07 (1H, dd, J=4.9, 7.3 Hz), 5.19 (1H, dd, J=4.9, 8.2 Hz),5.32 (1H, td, J=7.3, 10.7 Hz), 5.54 (1H, t, J=10.7 Hz);
13C-NMR (CDCl3, 100MHz),δ: 17.05, 19.18, 23.83, 54.48, 57.60, 82.40, 85.97,119.13, 125.14, 134.15, 212.05;
ESI-MS m/z:+ESI 310 [M+Na]+, 288 [M+H]+, -ESI 286 [M-H]-;
HRESI-MS m/z:310.0143 (Calcd for C13H13NO3FeNa: 310.0143);
IR (KBr):cm-1: 2033, 1952, 625, 568.
[実験例2−2〜2−5]
使用する塩基、溶媒、温度を下記表1に記載のように変えた以外は、上記実験例2−1と同様に反応を行った。トリカルボニル[(6,7,8,9−η)−(4Z,6E,8E)−デカ−4,6,8−トリエンニトリル]鉄の収率を下記表1に示す。
Figure 0005648693
[実験例3]
ジエチル(イソブチルカルバモイル)メチルホスホネートの調製
ジエチルホスホノ酢酸(1.29mL)をジクロロメタン(20mL)に溶解したものに、室温、アルゴン雰囲気下、(COCl)(2.90mL)を滴下し、16時間攪拌した。混合物を真空乾燥して濃縮し、油状の酸塩化物を得た。該酸塩化物をジエチルエーテル(20.0mL)に溶解したものに、アルゴン雰囲気下0℃において、イソブチルアミン(1.60mL)を加え、0℃にて攪拌した。その後、混合液を室温下で5時間攪拌した。沈殿した塩を濾過により除き、溶液を真空下で濃縮した。該溶液に1mol/L塩酸を加え、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。その後室温下、真空乾燥し、ジエチル(イソブチルカルバモイル)メチルホスホネートを1.17g得た。
得られた化合物のデータは下記の通り。
1H-NMR (CDCl3, 400MHz) δ: 0.93 (6H, d, J=6.6Hz), 1.34 (6H, t, J=7.1Hz),1.82 (1H, m), 2.87 (2H, d, J=20.5Hz), 3.11 (2H, t, J=6.3Hz), 4.11-4.23 (4H, m),6.88 (1H,brs).
[実験例4−1]
トリカルボニル[(8,9,10,11−η)−(2E,6Z,8E,10E)−N−イソブチルドデカ−2,6,8,10−テトラエナミド]鉄の合成
Figure 0005648693
1)トリカルボニル[(6,7,8,9−η)−(4Z,6E,8E)−デカ−4,6,8−トリエンニトリル]鉄(143.7mg)のトルエン溶液(2.0mL)に、−20℃、アルゴン雰囲気下DIBAL−H(0.7mL)を滴下した。反応混合液を−20℃で1時間攪拌した。反応液に1mol/L塩酸を加え5分攪拌し、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機溶媒を真空乾燥により除いて、アルデヒド化合物を143.7mg得た。
2)ジエチル(イソブチルカルバモイル)メチルホスホネート(130.5mg)、TMEDA(テトラメチルエチレンジアミン)(0.09mL)、TEA(トリエチルアミン)(0.16mL)、および、上記アルデヒド化合物をTHF(1.5mL)に溶解したものの混合溶液に、室温下、アルゴン雰囲気下においてZn(OTf)(亜鉛トリフラート)(226.2mg)を滴下し、室温で15時間攪拌した。得られた反応液に1mol/Lの塩酸を加え、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。真空下で有機溶媒を除いた後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=2/1)にかけ、黄色の粘性油状物として、トリカルボニル[(8,9,10,11−η)−(2E,6Z,8E,10E)−N−イソブチルドデカ−2,6,8,10−テトラエナミド]鉄を得た(118.6mg)。該化合物をエーテル−ヘキサン溶媒から再結晶化して、淡黄色固体を得、室温で真空乾燥した(96.1mg)。
得られた化合物のデータは下記の通り。
1H-NMR (CDCl3, 400MHz) δ: 0.93 (6H, d, J=6.6 Hz), 1.36 (1H, m), 1.43 (3H,d, J=5.8 Hz), 1.80 (1H, m), 1.87 (1H, dd, J=8.8, 10.5 Hz), 2.23-2.32 (4H, m),3.16 (2H, d, J=6.6 Hz), 5.04 (1H, dd, J=4.9, 8.0 Hz), 5.16 (1H, dd, J=4.9, 8.8Hz), 5.32 (1H, td, J=6.6, 10.5 Hz), 5.42 (1H, t, J=10.5 Hz), 5.42 (1H, brs),5.84 (1H, d, J=15.1 Hz), 6.82 (1H, td, J=6.6, 15.1 Hz); 13C-NMR(CDCl3, 100MHz), δ: 19.15, 20.11, 26.58, 28.58, 31.48,46.86, 56.13, 57.17, 82.23, 85.53, 124.28, 129.31, 131.62, 143.24, 165.87,212.36;
ESI-MS m/z:+ESI 410 [M+Na]+, 388 [M+H]+, -ESI 386 [M-H]-.
HRESI-MSm/z: 410.1034 (Calcd for C19H25NO4FeNa:410.1031);
IR (KBr):cm-1: 3270, 2048, 1988, 1970, 1954, 1675, 1618, 1549, 563.
[実験例4−2〜4−4]
使用する塩基、温度を下記表2に記載のように変えた以外は、上記実験例4−1と同様に反応を行った。トリカルボニル[(8,9,10,11−η)−(2E,6Z,8E,10E)−N−イソブチルドデカ−2,6,8,10−テトラエナミド]鉄(3と表記)の収率を下記表2に示す。3−geoは、3の幾何異性体である。なお、この異性体は、シリカゲルカラムで容易に分離でき、さらに再結晶によって高純度の3を得ることができた。
Figure 0005648693
*:単離収率
**:痕跡程度
[実験例5−1]
(2E,6Z,8E,10E)−N−イソブチルドデカ−2,6,8,10−テトラエナミド(α−サンショール)の合成
Figure 0005648693
トリカルボニル[(8,9,10,11−η)−(2E,6Z,8E,10E)−N−イソブチルドデカ−2,6,8,10−テトラエナミド]鉄(96.1mg)とトリメチルアミンN−オキシド(194.0mg)との混合物に対して、室温下、アルゴン雰囲気下において、アセトニトリル(2.0mL)を加え、1.5時間攪拌した。水を反応液に加え、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。真空下、有機溶媒を除き、混合物を綿栓濾過した後、エバポレーションして淡黄色の非晶質の固体を得た(60.6mg)。
得られた化合物のデータは下記の通り。
1H-NMR (CDCl3, 400MHz) δ: 0.93 (6H, d, J=6.6 Hz), 1.78 (3H, d, J=6.6 Hz),1.78 (1H, m), 2.24-2.37 (4H, m), 3.15 (2H, t, J=6.8 Hz), 5.37 (1H, td, J=7.5,10.7 Hz), 5.42 (1H, brs), 5.73 (1H, qd, J=7.5, 13.8 Hz), 5.78 (1H, td, J=1.5,15.1 Hz), 6.02 (1H, t, J=10.7 Hz), 6.13 (1H, dd, J=10.2, 13.8 Hz), 6.17 (1H,dd, J=10.2, 13.8 Hz), 6.33 (1H, dd, J=10.7, 13.8 Hz), 6.82 (1H, td, J=6.6, 15.1Hz).
[実験例5−2]
トリメチルアミンN−オキシドの代わりに、CAN(硝酸セリウムアンモニウム)を用い、アセトニトリルの代わりに、アセトンを加え、その後の攪拌時間を1.5時間から15分間に変えた以外は実験例5−1と同様に反応を行った。結果を下記表3に示す。
Figure 0005648693
[実験例6]
トリカルボニル[(8,9,10,11−η)−(2E,6Z,8E,10E)−ドデカ−2,6,8,10−テトラエン酸]鉄の合成
Figure 0005648693
1)トリカルボニル[(6,7,8,9−η)−(4Z,6E,8E)−デカ−4,6,8−トリエンニトリル]鉄(2.0g)をトルエン(50mL)に溶解したものに対して、−20℃、アルゴン雰囲気下DIBAL−H(13.9mL)を滴下し、1時間攪拌した。反応混合液に1mol/L塩酸を加え、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。真空下、有機溶媒を除去し、アルデヒド化合物を得た。
2)Zn(OTf)(5.62g)、TMEDA(1.25mL)、DBU(1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン)(4.2mL)をTHF(20.0mL)に溶解した溶液に対して、ジエチルホスホノ酢酸(1.34mL)を加え、室温下で2時間攪拌した。上記アルデヒド化合物をTHF(20.0mL)に溶解したものを反応液に加え、4時間室温下で攪拌した。その後、反応液に1mol/L塩酸を加え、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。真空下で有機溶媒を除いた後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=4/1→2/1)にかけ、黄色の粘性油状物として、トリカルボニル[(8,9,10,11−η)−(2E,6Z,8E,10E)−ドデカ−2,6,8,10−テトラエン酸]鉄を得た(1.73g)。
得られた化合物のデータは下記の通り。
1H-NMR (CDCl3, 400MHz) δ: 1.38-1.45 (4H, m), 1.89 (1H,dd, J=9.6, 10.6 Hz),2.43 (2H, dd, J=7.3, 14.3 Hz), 2.56 (2H, m), 5.05 (1H, dd, J=4.6, 7.3 Hz), 5.15(1H, dd, J=4.6, 8.5 Hz), 5.29 (1H, td, J=7.3, 10.6 Hz), 5.43 (1H, t, J=10.6Hz), 9.80 (1H, s);
13C-NMR(CDCl3, 100MHz), δ:19.15, 26.23, 31.79, 55.79, 57.18, 82.23, 85.58, 121.14, 128.59, 132.06,150.90, 171.12, 212.26;
ESI-MS m/z:+ESI 355 [M+Na]+, 333 [M+H]+, -ESI 331 [M-H]-.
HRESI-MSm/z: 355.0246 (Calcd for C15H16NO5FeNa:355.0245).
IR(film): cm-1: 2036, 1964, 1696, 1652.
[実験例7−1]
トリカルボニル[(8,9,10,11−η)−(2E,6Z,8E,10E)−N−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ドデカ−2,6,8,10−テトラエナミド]鉄の合成
Figure 0005648693
トリカルボニル[(8,9,10,11−η)−(2E,6Z,8E,10E)−ドデカ−2,6,8,10−テトラエン酸]鉄(1.73g)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(1.20g)、およびHO−Bt(ヒドロキシベンゾトリアゾール)(1.02g)をジクロロメタン(36.5g)に溶解し、アルゴン雰囲気下5分攪拌した。2−ヒドロキシ−2−メチルプロピルアミン(1.02g)をジクロロメタン(18.3mL)に溶解したものを、室温下、上記溶液に加え4.5時間攪拌した。室温下、飽和炭酸ナトリウム水溶液を反応液に加え、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機層を真空下除いた後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1→1/2→1/3)にかけ、黄色の粘性油状物を得た(1.73g)。得られた油状物をエーテル/ヘキサン混合液から再結晶し、淡黄色の固体を得た(1.43g)。
得られた化合物のデータは下記の通り。
1H-NMR (CDCl3, 400MHz) δ: 1.25 (6H, s), 1.36 (1H, m), 1.43 (3H, d, J=5.9 Hz),1.80 (1H, m), 1.87 (1H, dd J=8.8, 10.5 Hz), 2.21-2.36 (4H, m), 2.40 (1H, brs),3.34 (2H, d, J=6.1 Hz), 5.04 (1H, dd, J=4.9, 8.0 Hz), 5.16 (1H, dd, J=4.9, 8.8Hz), 5.31 (1H, td, J=6.6, 10.5 Hz), 5.42 (1H, t, J=10.5 Hz), 5.84 (1H, d,J=15.4 Hz), 5.86 (1H, brs), 6.87 (1H, td, J=6.3, 15.4 Hz); 13C-NMR(CDCl3, 100MHz), δ:19.15, 20.11, 26.58, 28.58, 31.48, 46.86, 56.13, 57.17, 82.23, 85.53, 124.28,129.31, 131.62, 143.24, 165.87, 212.36;
ESI-MS m/z:+ESI 426 [M+Na]+, 404 [M+H]+, -ESI 402 [M-H]-.
HRESI-MS m/z:426.0977 (Calcd for C19H25NO5FeNa: 426.0980).
IR (KBr):cm-1: 3411, 3268, 2034, 1968, 1668, 1602, 1562, 622, 607, 566.
[実験例7−2]
使用した試薬を下記表4記載のものに変更した以外は、実験例7−1と同様に反応を行った。トリカルボニル[(8,9,10,11−η)−(2E,6Z,8E,10E)−N−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ドデカ−2,6,8,10−テトラエナミド]鉄の収率を下記表4に示す。
Figure 0005648693
[実験例8]
(2E,6Z,8E,10E)−N−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ドデカ−2,6,8,10−テトラエナミド(ヒドロキシ−α−サンショール)の合成
Figure 0005648693
トリカルボニル[(8,9,10,11−η)−(2E,6Z,8E,10E)−N−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ドデカ−2,6,8,10−テトラエナミド]鉄(50.0mg)とトリメチルアミンN−オキシド(102.1mg)との混合物に対して、室温、アルゴン雰囲気下、アセトニトリル(2.0mL)を加え、2時間攪拌した。沈殿物を濾過により除き、濾液に水を加えた。水層を酢酸エチルにより抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。真空下、有機溶媒を除去し、混合物を綿栓濾過した後、エバポレーションして淡黄色の非晶質の固体を得た(30.5mg)。収率93.4%。
得られた化合物のデータは下記の通り。
1H-NMR (CDCl3, 400MHz) δ: 1.24 (6H, s), 1.78 (3H, d, J=6.7 Hz), 2.25-2.38(4H, m), 3.33 (2H, d, J=6.1 Hz), 5.37 (1H, td, J=7.1, 10.9 Hz), 5.73 (1H, qd,J=7.1, 13.8 Hz), 5.84 (1H, td, J=1.6, 15.4 Hz), 5.85 (1H, brs), 6.02 (1H, t,J=10.9 Hz), 6.10 (1H, dd, J=10.4, 13.8 Hz), 6.18 (1H, dd, J=10.4, 13.8 Hz),6.33 (1H, dd, J=10.9, 13.8 Hz), 6.86 (1H, td, J=6.5, 15.4 Hz).
[実験例9]
ヒドロキシ−α−サンショール(HαS)、および、トリカルボニル[(8,9,10,11−η)−(2E,6Z,8E,10E)−N−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ドデカ−2,6,8,10−テトラエナミド]鉄(化合物5)の安定性試験
(HPLC分析条件)
カラム:TSK−GEL 80TS(φ4.6mm*150mm)(TOSOH,Japan),カラム温度:40℃,流速:1.0mL/min,測定波長:200−400nm,移動相:A液 アセトニトリル,B液 0.1%Na水溶液,(A液 40%,B液 60%)、測定モード:アイソクラティック
(測定方法)
HαS(27.6mg)および化合物5(50.4mg)を無水アセトニトリル(HPLC grade)で100mLにメスアップし、0.26mg/mLおよび0.49mg/mLの試料溶液を調整した。50mLに分注した試料溶液を、蛍光灯曝光下で24時間室温放置した。上記HPLC分析条件にて定量分析を行い、HαSおよびジエン鉄錯体化合物(化合物5)のピーク面積値を計測した。
HαSは、蛍光灯を照射後、24時間後には元の10%程度まで減少した。一方、ジエン鉄錯体化合物(化合物5)は、元の80%程度までの低下に留まった。この結果から明らかなように、ジエン鉄錯体化合物(化合物5)は、HαSそのものよりも光に対する溶液安定性が高いことがわかった。
[実験例10]
4−(1−フェニル−1H−テトラゾール−5−イルスルホニル)ブタンニトリルの合成
Figure 0005648693
1)ジメチルホルムアミド(100mL)中に、炭酸カリウム(15.6g)と1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾール(10g)を懸濁した混合液に、4−クロロブチロニトリル(1.2mL)を室温下、加え、80℃で2時間攪拌した。反応液に水を加え、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層は、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。真空下で有機溶媒を除き、硫化物を得た。
2)エタノール(500mL)中に、上記硫化物とMo2724(NH・4HO(2.08g)を懸濁した混合液に、0℃において、30% 過酸化水素水(63mL)を滴下し、0℃で0.5時間攪拌した。その後、混合液を室温で19時間攪拌した。反応液に飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(0.6mol/200mL)を加えて反応を止めた。反応液を真空下濃縮した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層を飽和食塩水で洗浄して無水硫酸ナトリウムで乾燥した。真空下、有機溶媒を除いた後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1)にかけた。混合液を濃縮し、ヘキサン/塩化メチレンで再結晶して、白色固体の目的物を11.9g得た(収率は76.5%)。
得られた化合物のデータは下記の通り。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: 2.43 (2H, qui, J = 7.1 Hz), 2.68 (2H, t, J= 7.1 Hz), 3.92 (2H, t, J = 7.1 Hz), 7.60-7.71 (5H, m). 13C-NMR(CDCl3, 100 MHz),δ:16.13, 19.15, 54.28, 117.5, 124.93, 129.86,131.68, 132.80, 153.12; ESI-LRMS: m/z: +ESI 300 [M+Na]+, 278 [M+H]+,-ESI 276 [M-H]-
[実験例11−1]
トリカルボニル[(6,7,8,9−η)−(4E,6E,8E)−デカ−4,6,8−トリエンニトリル]鉄の合成
Figure 0005648693
上記化合物7(3.63g、13mmol)および化合物1(2.06g、8.72mmol)のTHF溶液(100mL)に、−78℃のアルゴン雰囲気下、KHMDS(カリウムヘキサメチルジシラジド)のTHF溶液(0.2mol/L、100mL)を60分かけて滴下した。混合液を−78℃で2時間攪拌した。その後、反応液を室温で22時間攪拌し、飽和食塩水を加えた。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を、飽和食塩水で洗浄して無水硫酸ナトリウムで乾燥し、フィルターによる濾過を行い、真空下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=6/1)にかけ、黄色の油状の生成物を得た。生成物は、ODSカラム(50%アセトニトリル)を用いたクロマトグラフィーにかけ、淡黄色の油状の目的物を1.52g得た。
得られた化合物のデータは下記の通り。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ:1.30-1.37 (1H, m), 1.42 (3H, d, J = 6.1 Hz), 1.70 (1H, t, J = 8.5 Hz),2.28-2.40 (4H, m), 5.02 (1H, dd, J = 4.9, 8.5 Hz), 5.15 (1H, dd, J = 5.8, 9.4Hz), 5.54 (1H, dd, J = 9.4, 15.1 Hz), 5.62 (1H, dd J = 5.8, 15.1 Hz); 13C-NMR(CDCl3, 100 MHz), δ: 17.32, 19.19, 57.33, 59.67, 81.25,85.37, 119.00, 126.14, 134.94; ESI-MS m/z: +ESI 310 [M+Na]+, 288[M+H]+, -ESI 286 [M-H]-; HRESI-MS m/z: 310.0145 (Calcdfor C13H13NO3FeNa: 310.0143); IR (film): cm-1:2036, 1964, 622, 610, 568.
[実験例11−2〜11−18]
化合物7の量比(eq)、使用する塩基、温度、溶媒、反応条件を下記表5に記載のように変えた以外は、上記実験例11−1と同様に反応を行った。トリカルボニル[(6,7,8,9−η)−(4E,6E,8E)−デカ−4,6,8−トリエンニトリル]鉄(化合物2−geo)の収率を下記表5に示す。化合物2−geoは、化合物2の幾何異性体である。なお、この異性体は、シリカゲルカラムで容易に分離でき、さらに再結晶によって高純度の化合物2−geoを得ることができた。
また、塩基処理した化合物7の溶液に化合物1の溶液を滴下する手順によったものはA法とし、上記実験例11−1と同様に、化合物7と化合物1の溶液に塩基を滴下する手順によったものはB法と表記する。
Figure 0005648693
[実験例12−1]
トリカルボニル[(8,9,10,11−η)−(2E,6E,8E,10E)−ドデカ−2,6,8,10−テトラエン酸]鉄の合成
Figure 0005648693
1)上記化合物2−geo(3.9g)のトルエン溶液(100mL)に、−20℃のアルゴン雰囲気下、DIBAL−H(27.2mL)を滴下し、−20℃で1時間攪拌した。反応液に1mol/L塩酸を加え、5分間攪拌して反応を停止した。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機溶媒を真空下除き、アルデヒド−geoを得た。
2)Zn(OTf)(11.0g)、TMEDA(2.43mL)、およびDBU(8.1mL)をTHF(40mL)に溶解した混合液に対して、室温、アルゴン雰囲気下、ジエチルホスホノ酢酸(2.62mL)を加えて2時間攪拌した。上記アルデヒド−geoのTHF溶液(40mL)を加えて、混合液を18時間室温で攪拌した。
反応液に1mol/L塩酸を加え、5分間攪拌して反応を停止した。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を、飽和食塩水で洗浄して無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機溶媒を真空下、除いた後、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=4/1→1/1)にかけ、黄色の粘性油状物を得た。生成物をヘキサン/塩化メチレンで再結晶して、黄色固体の目的物を2.43g得た(収率53.7%)。
得られた化合物のデータは下記の通り。
mp 111.6-111.8 °C(CH2Cl2/hexane); 1H-NMR (CDCl3, 400MHz) δ: 1.30 (1H, m), 1.40 (3H. d, J = 6.0 Hz), 1.75 (1H, t, J = 9.6 Hz),2.12-2.32 (4H, m), 5.00 (1H, dd, J = 5.1, 8.7 Hz), 5.11 (1H, dd, J = 5.1, 8.7Hz), 5.43 (1H, dd, J = 9.6, 15.1 Hz), 5.62 (1H, td, 6.8, 15.1 Hz), 5.83 (1H, d,J = 14.9 Hz), 7.03 (1H, td, J = 6.8, 14.9 Hz);13C-NMR (CDCl3,100 MHz),δ: 19.18, 30.91, 31.83, 56.89, 61.20, 81.07, 84.94, 121.18, 129.64,132.83, 151.04, 171.66, 212.43; ESI-MS m/z: +ESI 355 [M+Na]+, 333 [M+H]+, -ESI331 [M-H]-. HRESI-MS m/z: 355.0250 (Calcd for C15H16NO5FeNa:355.0245). IR (KBr): cm-1: 2924, 2038, 1953, 1689, 1644
[実験例12−2〜12−3]
上記2)における攪拌時間(反応時間)、化合物2−geoの量を下記表6に記載のように変えた以外は、上記実験例12−1と同様に反応を行った。トリカルボニル[(8,9,10,11−η)−(2E,6E,8E,10E)−ドデカ−2,6,8,10−テトラエン酸]鉄(化合物4−geo)の収率を下記表6に示す。
Figure 0005648693
[実験例13]
トリカルボニル[(8,9,10,11−η)−(2E,6E,8E,10E)−N−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ドデカ−2,6,8,10−テトラエンアミド]鉄
Figure 0005648693
上記化合物4−geo(101.3mg)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(71.0mg)およびHO−Bt(61.9mg)を塩化メチレン(2.1mL)に加え、アルゴン雰囲気下室温で5分攪拌した。混合液に、ヒドロキシイソブチルアミン(59.8g)の塩化メチレン溶液(1.0mL)を加え、4.5時間攪拌した。混合液に、飽和炭酸ナトリウム水溶液を加え、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した。有機溶媒を真空下で除いた後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1→1/2)にかけ、黄色で粘性油状の目的物を118.0mg得た(収率97.5%)。
得られた化合物のデータは下記の通り。
1H-NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: 1.19-1.34 (1H, m), 1.24 (6H,m), 1.76 (1H, t, J = 9.0 Hz), 2.13 (2H, dd, J = 6.8, 13.8 Hz), 2.25 (2H, dd, J= 6.8, 13.8 Hz), 3.33 (2H, d, J = 6.1 Hz), 4.99 (1H, dd, J = 4.9, 8.8 Hz), 5.11(1H, dd, J = 4.9, 8.8 Hz), 5.44 (1H, dd, J = 9.8, 15.3 Hz), 5.64 (1H, td, J =6.8, 14.9 Hz), 5.81 (1H, d, J = 15.3 Hz), 5.83 (1H, s), 6.82 (1H, td, J = 6.8,15.3 Hz); 13C-NMR (CDCl3, 100 MHz), δ: 19.21,27.35, 31.16, 31.62, 50.45, 56.98, 61.52, 71.10, 81.09, 84.94, 123.77, 130.28,132.55, 144.20, 166.89; ESI-MS m/z: +ESI 426 [M+Na]+, 404 [M+H]+,-ESI 402 [M-H]-. HRESI-MS m/z: 426.0972 (Calcd for C19H25NO5FeNa:426.0980). IR (film): cm-1: 3302, 2918, 2035, 1961, 1669, 1627, 622,610, 571.
[実験例14]
(2E,6E,8E,10E)−N−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)ドデカ−2,6,8,10−テトラエンアミド(ヒドロキシ−β−サンショール)の合成
Figure 0005648693
上記化合物5−geo(98.8mg)とトリメチルアミン−N−オキシド(368mg)の混合物に、アセトニトリル(2.0mL)を室温下加え、0.5時間攪拌した。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにかけ、淡黄色の生成物を得た。生成物をヘキサン/塩化メチレンで再結晶して、白色固体の目的物を53.4mg得た。
得られたヒドロキシ−β−サンショールのデータは下記の通り。
mp 84.0-85.0 °C(CH2Cl2/hexane); 1H-NMR (CDCl3, 400MHz) δ: 1.24 (6H, s), 1.76 (3H, d, J = 7.1 Hz), 2.25-2.30 (4H, m), 3.33 (2H, d,J = 6.1 Hz), 5.60-5.73 (2H, m), 5.82 (1H, d, J = 15.4 Hz), 5.84 (1H, s),6.02-6.14 (4H, m), 6.86 (1H, td, J = 6.6, 15.4 Hz). 13C-NMR (CDCl3,100 MHz), δ: 18.28, 27.37, 31.38, 31.90, 50.43, 71.12, 123.64, 129.39,130.08, 131.47, 131.58, 131.67, 132.04, 144.49, 166.90

Claims (7)

  1. 下記一般式(I)で表されることを特徴とするジエン鉄錯体化合物。
    Figure 0005648693
    (式中、AはCO、P(R、CN、NO、SO(RまたはN(Rを表し、Rは炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表し、RおよびRは、いずれか一方が水素原子を表し、もう一方が下記式(II)で表される構造をとる。)
    Figure 0005648693
    (式中、Rは水素原子、ヒドロキシル基またはメチル基を表す。)
  2. 下記一般式(III)で表されることを特徴とするジエン鉄錯体化合物。
    Figure 0005648693
    (式中、AはCO、P(R、CN、NO、SO(RまたはN(Rを表し、Rは炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表し、RおよびRは、いずれか一方が水素原子を表し、もう一方が2−シアノエチル基を表す。)
  3. 下記一般式(I)、
    Figure 0005648693
    (式中、AはCO、P(R、CN、NO、SO(RまたはN(Rを表し、Rは炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表し、RおよびRは、いずれか一方が水素原子を表し、もう一方が下記式(II)で表される構造をとる。)
    Figure 0005648693
    (式中、Rは水素原子、ヒドロキシル基またはメチル基を表す。)
    で表されるジエン鉄錯体化合物と脱保護剤とを反応させる工程を備えることを特徴とするサンショール類の製造方法。
  4. 前記脱保護剤が、セリウム(IV)化合物、トリメチルアミンN−オキシド、ピリジンN−オキシド、塩化鉄(III)、塩化銅(II)、ジクロロジシアノベンゾキノンおよび過酸化水素からなる群から選ばれるものである請求項3記載のサンショール類の製造方法。
  5. 下記一般式(III)、
    Figure 0005648693
    (式中、AはCO、P(R、CN、NO、SO(RまたはN(Rを表し、Rは炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表し、RおよびRは、いずれか一方が水素原子を表し、もう一方が2−シアノエチル基を表す。)で表されるジエン鉄錯体化合物を還元してアルデヒド化合物とする工程と、
    得られたアルデヒド化合物をジメチル(イソブチルカルバモイル)メチルホスホネートまたはジエチル(イソブチルカルバモイル)メチルホスホネートと反応させることにより前記一般式(I)で表されるジエン鉄錯体化合物を得る工程と、
    をさらに備える請求項3記載のサンショール類の製造方法。
  6. 下記一般式(III)、
    Figure 0005648693
    (式中、AはCO、P(R、CN、NO、SO(RまたはN(Rを表し、Rは炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表し、RおよびRは、いずれか一方が水素原子を表し、もう一方が2−シアノエチル基を表す。)で表されるジエン鉄錯体化合物を還元してアルデヒド化合物とする工程と、
    得られたアルデヒド化合物をジエチルホスホノ酢酸と反応させて、下記一般式(VII)、
    Figure 0005648693
    (式中、AはCO、P(R、CN、NO、SO(RまたはN(Rを表し、Rは炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表し、RおよびR10は、いずれか一方が水素原子を表し、もう一方が下記式(VIII)で表される構造をとる。)
    Figure 0005648693
    で表されるジエン鉄錯体化合物を得る工程と、
    得られた一般式(VII)で表されるジエン鉄錯体化合物と、下記一般式(IX)、
    Figure 0005648693
    (式中、Rは水素原子、ヒドロキシル基またはメチル基を表す。)
    で表されるアミンとを反応させて前記一般式(I)で表されるジエン鉄錯体化合物を得る工程と、
    をさらに備える請求項3記載のサンショール類の製造方法。
  7. 下記式(X)、
    Figure 0005648693
    で表される化合物と4−(1−フェニル−1H−テトラゾール−5−イルスルホニル)ブタンニトリルとを反応させ、下記一般式(III)、
    Figure 0005648693
    (式中、AはCO、P(R、CN、NO、SO(RまたはN(Rを表し、Rは炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表し、RおよびRは、いずれか一方が水素原子を表し、もう一方が2−シアノエチル基を表す。)で表されるジエン鉄錯体化合物を得る工程と、
    前記一般式(III)で表されるジエン鉄錯体化合物を還元してアルデヒド化合物とする工程と、
    得られたアルデヒド化合物をジエチルホスホノ酢酸と反応させて、下記一般式(VII)、
    Figure 0005648693
    (式中、AはCO、P(R、CN、NO、SO(RまたはN(Rを表し、Rは炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表し、RおよびR10は、いずれか一方が水素原子を表し、もう一方が下記式(VIII)で表される構造をとる。)
    Figure 0005648693
    で表されるジエン鉄錯体化合物を得る工程と、
    得られた一般式(VII)で表されるジエン鉄錯体化合物と、下記一般式(IX)、
    Figure 0005648693
    (式中、Rは水素原子、ヒドロキシル基またはメチル基を表す。)
    で表されるアミンとを反応させて前記一般式(I)で表されるジエン鉄錯体化合物を得る工程と、
    をさらに備える請求項3記載のサンショール類の製造方法。
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