JP4677550B2 - 環状エステル化合物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な環状エステル化合物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
グリセロール1分子と2分子の飽和または不飽和脂肪酸によりエステル結合した脂質は界面活性性を有し、採鉱、金属加工、表面仕上げ、及び洗浄用などに使用される各種工業用処理剤、家庭用の各種洗浄剤及び各種清浄剤、医薬品、化粧品や食品用の添加剤などとして広く使用されている。
これらの用途の中でも、特に乳化剤、解乳化剤、洗浄剤、分散剤およびヒドロトロープ剤等として、有用とされている。
従来、この種の不飽和脂肪酸のグリセロールエステルでは、グリセロール1分子と2分子の飽和または不飽和脂肪酸がエステル結合させて、残りの水酸基にリン酸基が結合した非環状のリン脂質化合物が生体内および人為的手段により合成されてきた。これらの物質は、その特性を改善すべく、検討が進められている。
これらの中でエステル部分が環状化されている環状エステル化合物は、分子剛性の特性が改善されるということが考えられるが、実際には、その例を見ない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、グリセロール2分子が4個のエステル結合により結合されて得られるキラルな新規環状エステル化合物を提供することである。
すなわち、グリセロールの2分子が、ジカルボン酸と4個のエステル結合により結ばれているキラルな環状エステル化合物を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題について鋭意研究を重ね、グリセロール誘導体とジカルボン酸又はその誘導体を反応させることによる、4個のエステル結合により形成された環状エステルを有する2個のグリセロール及びその誘導体である新規な環状化合物を合成することができることを見出した。また、その際、グリセロール誘導体の原料物質として、キラルな化合物である一般式HOCH2CH(OH)CH2OHで表される化合物を用いると、キラルな環状エステル化合物群を選択的に製造することができることを見出して、本発明を完成させた。
キラルな化合物のグリセロールは、グリセロールの1位または2位若しくは1位と2位の水酸基を保護することにより非反応性の状態としたものであり、光学分割もしくは酵素を用いた分割により得たものであり、又は(S)−(+)−2,2―ジメチル−1,3―ジオキソラン−4−メタノールもしくは(R)−(―)−2,2―ジメチル−1,3―ジオキソラン−4−メタノール、または、(R)−(+)−3―ベンジロキシ−1,2―プロパンジオールもしくは(S)−(−)−3―ベンジロキシ−1,2―プロパンジオールなどを用いるものである。
このようなキラルな化合物をジカルボン酸と反応させて、エステル結合を結合させる。反応は2段階で行う。はじめに、ジカルボン酸として、アルキル、環状アルキル、アリール、アラルキルなどの群から選ばれるジカルボン酸又はそのカルボン酸誘導体とキラルな前記グリセロール誘導体と反応させて2つのエステル結合を有するエステル化合物を製造し、引き続いてグリセロール誘導体の他の1つの非反応性OH基を反応性のOH基に変換し、引き続いてジカルボン酸またはジカルボン酸誘導体と反応させることにより目的とするキラルな異性体からなる1群の4個のエステル結合で結ばれた、新規な環状エステル化合物を得ることができることを見出した。すなわち、グリセロールの2分子が、アルキル又はアリールから選ばれる有機カルボン酸と4個のエステル結合で結ばれた新規な環状エステル化合物を得ることができることが得られるものである。
【0005】
すなわち、この出願によれば、以下の発明が提供される。
(1)下記一般式(1)で表されることを特徴とする環状エステル化合物。
【化16】
(式中、R1とR2はアルキレン基又はフェニレン基を表し、R3とR4はアミノアルコールと結合したリン酸残基を表す。R1とR2、R3とR4は同一であっても、または異なるものであっても良い。)
(2)下記一般式(2)で表されることを特徴とする環状エステル化合物。
【化17】
(式中、R1〜R4は前記一般式(1)と同じである。)
(3)下記一般式(3)で表されることを特徴とする環状エステル化合物。
【化18】
(式中、R1〜R4は前記一般式(1)と同じである。)
(4)下記一般式(4)から一般式(7)で表される中から選ばれるいずれか一つの環状エステル化合物。
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
(式中、R1〜R4は前記一般式(1)と同じである。)
(5)下記一般式(8)から一般式(11)で表される中から選ばれるいずれか一つの環状エステル化合物。
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
(式中、R1〜R4は、前記一般式(1)と同じである。)
(6)下記一般式(12)から一般式(15)で表される中から選ばれるいずれか一つの環状エステル化合物。
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
(式中、R1〜R4は、前記一般式(1)と同じである。)
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の新規な環状エステル化合物の構造式は、下記一般式(1)〜(3)で表される環状エステル化合物である。
【化31】
【化32】
【化33】
(式中、R1とR2はアルキレン基又はフェニレン基を表し、R3とR4はアミノアルコールと結合したリン酸残基を表す。R1とR2、R3とR4は同一でも異なってもよい。)
【0007】
前記一般式(1)で表される環状エステル化合物は、以下の4つの一般式(4)〜(7)で表される異性体から構成される。
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
前記式中、R1とR2はアルキレン基又はフェニレン基を表し、R3とR4はアミノアルコールと結合したリン酸残基を表す。R1とR2、R3とR4は同一であっても、または異なるものであっても良い。
【0008】
前記一般式(2)で表される環状エステル化合物は、以下の4つの一般式(8)〜(11)で表される異性体から構成される。
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
【化43】
前記式中、R1とR2はアルキレン基又はフェニレン基を表し、R3とR4はアミノアルコールと結合したリン酸残基を表す。R1とR2、R3とR4は同一であっても、または異なるものであっても良い。
【0009】
前記一般式(3)で表される環状エステル化合物は、以下の4つの一般式(12)(15)で表される異性体から構成される。
【化44】
【化45】
【化46】
【化47】
【化48】
式中、R1とR2はアルキレン基又はフェニレン基を表し、R3とR4はアミノアルコールと結合したリン酸残基を表す。R1とR2、R3とR4は同一であっても、または異なるものであっても良い。
【0010】
前記一般式(1)〜(15)で表される環状エステル化合物の置換基について、その内容をより具体的に説明し、化合物について説明する。
置換基R1とR2はアルキレン基又はフェニレン基を表す。
アルキレン基は分岐鎖を有する、又は有しないない基であり、炭素数は、通常100個以下、好ましくは72個以下、さらに好ましくは32個以下である
これらは、グリセロール分子の酸素原子と結合可能なカルボン酸2個を有するジカルボン酸を形成することができるものである。
以下に、これらの基の詳細について、さらに、詳細に説明する。
【0011】
上記一般式中のR3とR4は、アミノアルコールと結合したリン酸残基を表す。アミノアルコールとしてはコリン、エタノールアミン、セリンが挙げられる。
【0012】
本発明により得られる環状エステル化合物は界面活性物質であり、各種の界面活性を必要とする製品を製造するときに用いることができる。
本発明の化合物は、キラルな化合物であり、特定の光学異性体のみを選択的に得る事ができ、光学異性体の特性を必要とする製品に利用することにより顕著な効果を挙げることができる。
前記一般式(1)から(3)で表される化合物の立体配置は、グリセロールの2級水酸基の組み合わせに応じて以下の4つの組み合わせで表現することができる。すなわち、2分子のグリセロールの2級水酸基が(R、R)、(R、S)、(S、R)、(S、S)の組み合わせを示す。
【0013】
本発明の化合物の製法は以下の通りである。
グリセロール誘導体とジカルボン酸誘導体を反応させると、4個のエステル結合により形成された環状エステルを有する2個のグリセロール及びその誘導体である新規な環状化合物を合成する。
前記の工程で用いられる、グリセロール誘導体の原料物質には、キラルな化合物である構造式、HOCH2CH(OH)CH2OHで表される化合物の誘導体である。このキラルなグリセロールに関し、グリセロールの1位または2位若しくは1位と2位の水酸基を保護したものを光学分割もしくは酵素を用いた分割により得たものを用いることができる。具体的には、(S)−(+)−2,2―ジメチル−1,3―ジオキソラン−4−メタノールもしくは(R)−(―)−2,2―ジメチル−1,3―ジオキソラン−4−メタノール、または、(R)−(+)−3―ベンジロキシ−1,2―プロパンジオールもしくは(S)−(−)−3―ベンジロキシ−1,2―プロパンジオールを用いる。
このキラルな化合物に対して、前記有機基のジカルボン酸と反応させる。
【0014】
ジカルボン酸誘導体は、市販もしくは合成したものを用いる。
アルキルジカルボン酸としては、マロン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸などのアルキルジカルボン酸などが、芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、ジフェニルジカルボン酸などが挙げられる。
このジカルボン酸は、ジカルボン酸の酸クロライドとして用いることができる。たとえば、ドデカンジオイルジクロライドなどのアルキルジカルボン酸ジクロライドやテレフタル酸ジクロライドなどの芳香族ジカルボン酸クロライドなどをあげることができる。
【0015】
エステル結合の生成には、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸を用いることができる。または、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)などの縮合剤を用いることができる。
必要に応じて、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)などの塩基と組み合わせることができる。
【0016】
このキラルな化合物からなるグリセロールであって、一つのOH基以外は非反応性の状態とされている化合物と、他の同様にして製造されたキラルな化合物からなるグリセロールであって、一つのOH基以外は非反応性の状態とされている化合物を、前記ジカルボン酸又はジカルボン酸誘導体であるジカルボン酸クロライドと反応させると目的とするキラルな異性体からなる2個のエステル結合により結ばれたエステル化合物を得ることができる。
次に得られたエステル化合物の2つの非反応性の状態のOH基を、反応性のOH基に変換し、前のエステル化と同様の操作を繰り返し、新たに2個のエステル結合により結ばれた合計4個のエステルで結ばれた、目的とする新規な環状エステル化合物を得ることができる。
グリセロールの2分子が、ジカルボン酸と4個のエステル結合で結ばれた新規な環状エステル化合物を得ることができる。
また、残された非反応性の状態にあるOH基を反応性のOH基に変換すること、さらにその誘導体を製造することができる。
【0017】
【実施例】
以下、本発明につき実施例を挙げて具体的に説明する。本発明はこの具体例に限定されるものではない。
以下に記載する実施例については、以下に示される手順にしたがって、行ったものである。実施例において使用される化合物及び得られる化合物については、実施例では、化合物のあとに番号を付して記載してある(例えば、化合物1、化合物2のように記載)。また、下記の手順に示されるこれらの化合物については、単に番号のみを記載してある。例えば、実施例の化合物1については、1として記載している。また、温度に関して度と記載しているのは、℃を表している。
【化49】
【化50】
【化51】
【化52】
【化53】
【0018】
参考例1
アルゴン雰囲気下、細かく砕いた30当量の水酸化カリウムにジメチルスルホキシドを加え、懸濁状とした。水冷下、(S)−(+)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール(化合物1)のジメチルスルホキシド溶液を滴下した。次に3.5当量のベンジルブロミドを滴下した。室温で3時間撹拌させた後、氷水を加えて反応を止め、酢酸エチルで抽出し、氷水、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5%酢酸エチル/ヘキサン)に通して精製し、化合物2を得た。
同様に(S)−(−)−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール(化合物19)から化合物20を得た。
【0019】
参考例2
化合物2に10%酢酸水溶液を加え、90度で3時間加熱した。冷後、酢酸エチルで抽出し、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(80% 酢酸エチル/ヘキサン) に通して精製し、化合物3を得た。
同様に化合物20から化合物21を得た。
【0020】
参考例3
アルゴン雰囲気下、2当量のイミダゾール、化合物3のジメチルホルムアミド溶液に氷冷下、当量のtert-ブチルクロロジフェニルシラン(TBDPS)を滴下し、同温にて3時間撹拌した。氷水を加えて反応を止め、エーテルで抽出し、氷水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5〜10%酢酸エチル/ヘキサン)にて精製し、化合物4を得た。
同様に化合物21から化合物22を得た。
【0021】
参考例4
アルゴン雰囲気下、化合物4の1.2当量の4−ジメチルアミノピリジンの無水塩化メチレン溶液に、氷冷下、0.5当量のドデカンジオイルクロライド(化合物5)の無水塩化メチレン溶液を滴下し、室温で5時間攪拌した。
氷水を加えて反応を止め、塩化メチレンで抽出し、冷10%塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(15%酢酸エチル/ヘキサン)に通して精製し、化合物6を得た。
【0022】
参考例5
アルゴン雰囲気下、化合物6の無水テトラヒドロフラン溶液に酢酸を加えた。氷冷下、4当量の1.0MテトラブチルアンモニウムフルオライドのTHF溶液を加え、同温にて10時間撹拌した。氷水を加えた後、エーテルで抽出し、氷水、冷5%塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(40〜50%酢酸エチル/ヘキサン)にて精製し、化合物7を収率92%で得た。
同様に化合物23から化合物24を得た。
【0023】
参考例6
アルゴン雰囲気下、化合物7と0.4当量の4−ジメチルアミノピリジンの無水塩化メチレン溶液に2.4当量のトリエチルアミンを加え、−78度で化合物5の無水塩化メチレン溶液をゆっくり加え、同温にて24時間反応させた。氷水に反応混合液をあけて反応を止め、塩化メチレンで抽出し、冷10%塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(20%酢酸エチル/ヘキサン)に通して精製し、化合物8を収量収率53%で得た。
同様に化合物24から化合物25を得た。
【0024】
化合物8、化合物25は1H−NMRスペクトルにより同定した。
【0025】
結果は以下の通りである。
1H−NMR(TMS,CDCl3)δ:7.28−7.37(10H,m),5.26−5.30(2H,m,),4.56(2H,d,J=12.2Hz),4.52(2H,d,J=12.2Hz),4.40(2H,dd,J=12.0,2.6Hz),4.19(2H,dd,J=12.0,7.5Hz),3.59(2H,dd,J=10.4,5.3Hz),3.58(2H,dd,J=10.4,5.3Hz),2.33(4H,dt,J=15.5,7.6Hz),2.26(4H,dt,J=15.5,7.6Hz),1.61(8H,ddt,J=15.5,15.5,7.3Hz),1.26−1.32(24H,m).
【0026】
参考例7
化合物8のテトラヒドロフラン溶液に20%水酸化パラジウム/炭素を加え、水素置換し、40分間撹拌した。クロロホルムで希釈後、セライトろ過し、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5%メタノール/クロロホルム)に通して精製し、化合物9を収率99%で得た。
同様に化合物25から化合物26を得た。
【0027】
化合物9、化合物26は1H−NMRスペクトルにより同定した。
【0028】
結果は以下の通りである。
1H−NMR(TMS,CDCl3)δ:5.12−5.16(2H,m),4.38(2H,dd,J=12.2,2.7Hz),4.25(2H,dd,J=12.2,6.7Hz),3.74(4H,dd,J=5.8,5.6Hz),2.35(4H,dt,J=14.8,7.4Hz),2.32(4H,dt,J=14.8,7.4Hz),2.02(2H,dt,J=5.8,2.9Hz),1.65(8H,ddt,J=14.8,14.8,7.6Hz),1.28−1.33(24H,m).
【0029】
参考例8
アルゴン雰囲気下、3当量の2−ブロモエチルジクロロホスフェートのクロロホルム溶液に、氷冷下、5当量のトリエチルアミン、化合物9のクロロホルム溶液を滴下し、同温にて4時間撹拌し、化合物10を得た。
同様に化合物15、化合物26、化合物32から化合物16、化合物27、化合物33をそれぞれ得た。
【0030】
参考例9
化合物10のクロロホルム溶液に0.1N塩化カリウム水溶液を加え、室温にて1時間攪拌した。クロロホルムで抽出、減圧下溶媒を留去し、化合物11を得た。
同様に化合物16、化合物27、化合物33から化合物17、化合物28、化合物34をそれぞれ得た。
【0031】
実施例1
化合物11のアセトニトリル:クロロホルム:イソプロパノール=1:1:1混合溶媒に30%トリエチルアミン水溶液を加え、70℃で2時間加熱した。冷後、減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(65:25:4〜65:35:8=クロロホルム:メタノール:水)にて精製し、化合物12を収率59%で得た。
同様に化合物17、化合物28、化合物34から化合物18、化合物29、化合物35をそれぞれで得た。
【0032】
化合物12、化合物18、化合物29、化合物35は1H−NMRスペクトルにより同定した。
【0033】
結果は以下の通りである。
1H−NMR(TMS,CDCl3)δ:5.14−5.18(2H,m),4.37(2H,dd,J=12.0,2.6Hz),4.14−4.19(4H,m),4.06(2H,dd,J=12.0,4.6Hz),3.89(4H,dd,J=6.7,6.7Hz),3.54(4H,t,J=2.3Hz),3.12(18H,s),2.19−2.25(8H,m),1.40−1.56(8H,m),1.20−1.24(24H,m).
【0034】
参考例10
化合物6のエタノール溶液に20%水酸化パラジウム/炭素を加え、水素置換した後、10時間攪拌した。クロロホルムで希釈後、セライトろ過した。減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(30%酢酸エチル/ヘキサン)に通して精製し、化合物13を収率82%で得た。
同様に化合物23から化合物30を得た。
【0035】
参考例11
アルゴン気流下、化合物13と触媒量の4−ジメチルアミノピリジンの無水塩化メチレン溶液に2.4当量のトリエチルアミンを加え、−78度にて化合物5の無水塩化メチレン溶液を加え、同温にて24時間撹拌した。反応溶液を氷水にあけ、塩化メチレンで抽出し、冷10%塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(15%酢酸エチル/ヘキサン)に通して精製し、化合物14を収率63%で得た。
同様に化合物30から化合物31を得た。
【0036】
化合物14、化合物32は1H−NMRスペクトルにより同定した。
【0037】
結果は以下の通りである。
1H−NMR(TMS,CDCl3)δ:7.63−7.66(8H,m),7.36−7.45(12H,m),5.19−5.23(2H,m),4.46(2H,dd,J=11.9,2.7Hz),4.23(2H,dd,J=11.9,7.3Hz),3.77(2H,dd,J=10.7,5.5Hz),3.72(2H,dd,J=10.7,4.9Hz),2.26(4H,dt,J=14.2,7.3Hz),2.24(4H,dt,J=14.2,7.3Hz),1.57(8H,ddt,J=14.2,14.2,7.1Hz),1.23−1.30(24H,m),1.04(18H,s).
【0038】
参考例12
アルゴン雰囲気下、化合物14のテトラヒドロフラン溶液に酢酸を加え、氷冷下、1.0Mテトラブチルアンモニウムフルオライドのテトラヒドロフラン溶液を加え、同温にて6時間攪拌した。氷水を加え、エーテルで抽出し、氷水、冷5%塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5%メタノール/クロロホルム)にて分離を行い、化合物15を収率91%で得た。
同様に化合物31から化合物32を得た。
【0039】
化合物15、化合物32は1H−NMRスペクトルにより同定した。
【0040】
結果は以下の通りである。
1H−NMR(TMS,CDCl3)δ:5.12−5.16(2H,m),4.38(2H,dd,J=12.2,2.6Hz),4.23(2H,dd,J=12.2,6.8Hz),3.73(4H,d,J=5.3Hz),2.45(2H,brs),2.34(4H,dt,J=14.6,7.4Hz),2.31(4H,dt,J=14.6,7.4Hz),1.62(8H,ddt,J=14.6,14.6,7.3Hz),1.27−1.33(24H,m).
【0041】
参考例13
アルゴン雰囲気下、1.2当量のトリエチルアミン、0.2当量の4−ジメチルアミノピリジンの無水塩化メチレン溶液に化合物4の無水塩化メチレン溶液と化合物5の無水塩化メチレン溶液を−78度で同時にゆっくりと加えた。同温度で4時間撹拌後、氷冷まで温度を戻し、化合物22の無水塩化メチレン溶液を滴下し、室温で撹拌した。5時間後、氷5%塩酸水溶液を加え、塩化メチレンで抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、減圧下溶媒を留去し、化合物23を収率55−65%で得た。
【0042】
参考例14
アルゴン雰囲気下、1.2当量のトリエチルアミン、0.2当量の4−ジメチルアミノピリジンの無水塩化メチレン溶液に化合物1の無水塩化メチレン溶液と化合物5の無水塩化メチレン溶液を−78度で同時にゆっくりと加えた。同温度で4時間撹拌後、氷冷まで温度を戻し、化合物4の無水塩化メチレン溶液を滴下し、室温で撹拌した。5時間後、氷5%塩酸水溶液を加え、塩化メチレンで抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、減圧下溶媒を留去し、化合物36を収率50−85%で得た。
同様に化合物1と化合物22と化合物5から化合物45を得た。
【0043】
参考例15
化合物36に80%酢酸水溶液を加え、60度で5時間加熱した。冷後、減圧下溶媒を留去し、化合物37を定量的に得た。
同様に化合物45から化合物46を得た。
【0044】
参考例16
アルゴン雰囲気下、化合物37のジメチルホルムアミド溶液に2当量のイミダゾールを加え、氷冷下、当量のtert-ブチルクロロジフェニルシランを加え、同温にて3時間撹拌した。氷水を加えて反応を止め、エーテルで抽出し、氷水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、減圧下溶媒を留去し、化合物38を収率85%で得た。
同様に化合物46から化合物47を得た。
【0045】
参考例17
化合物38のエタノール溶液に20%水酸化パラジウム/炭素を加え、水素置換した後、10時間攪拌した。クロロホルムで希釈後、セライトろ過した。減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(30%酢酸エチル/ヘキサン)に通して精製し、化合物39を定量的に得た。
同様に化合物47から化合物48を得た。
【0046】
参考例18
アルゴン気流下、化合物39と触媒量の4−ジメチルアミノピリジンの無水塩化メチレン溶液に2.4当量のトリエチルアミンを加え、−78度にて化合物5の無水塩化メチレン溶液を加え、同温にて24時間撹拌した。反応溶液を氷水にあけ、塩化メチレンで抽出し、冷10%塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(15%酢酸エチル/ヘキサン)に通して精製し、化合物40を40−55%で得た。
同様に化合物48から化合物49を得た。
【0047】
化合物40、化合物49は1H−NMRスペクトルにより同定した。
【0048】
結果は以下の通りである。
1H−NMR(TMS,CDCl3)δ:7.63−7.66(8H,m),7.36−7.45(12H,m),5.19−5.23(2H,m),4.46(2H,dd,J=11.9,2.7Hz),4.23(2H,dd,J=11.9,7.3Hz),3.77(2H,dd,J=10.7,5.5Hz),3.72(2H,dd,J=10.7,4.9Hz),2.26(4H,dt,J=14.2,7.3Hz),2.24(4H,dt,J=14.2,7.3Hz),1.57(8H,ddt,J=14.2,14.2,7.1Hz),1.23−1.30(24H,m),1.04(18H,s).
【0049】
参考例19
アルゴン雰囲気下、化合物40のテトラヒドロフラン溶液に酢酸を加え、氷冷下、1.0Mテトラブチルアンモニウムフルオライドのテトラヒドロフラン溶液を加え、同温にて8時間攪拌した。氷水を加え、エーテルで抽出し、氷水、冷5%塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5%メタノール/クロロホルム)にて分離を行い、化合物41を70−80%で得た。
同様に化合物49から化合物50を得た。
【0050】
化合物41、化合物50は1H−NMRスペクトルにより同定した。
【0051】
結果は以下の通りである。
1H−NMR(TMS,CDCl3)δ:5.12−5.16(2H,m),4.38(2H,dd,J=12.2,2.7Hz),4.25(2H,dd,J=12.2,6.7Hz),3.74(4H,dd,J=5.8,5.6Hz),2.35(4H,dt,J=14.8,7.4Hz),2.32(4H,dt,J=14.8,7.4Hz),2.02(2H,dt,J=5.8,2.9Hz),1.65(8H,ddt,J=14.8,14.8,7.6Hz),1.28−1.33(24H,m).
【0052】
参考例20
アルゴン雰囲気下、3当量の2−ブロモエチルジクロロホスフェートのクロロホルム溶液に、氷冷下、5当量のトリエチルアミン、化合物41のクロロホルム溶液を滴下し、同温にて4時間撹拌し、化合物42を得た。
同様に化合物50から化合物51を得た。
【0053】
参考例21
化合物42のクロロホルム溶液に0.1N塩化カリウム水溶液を加え、室温にて1時間攪拌した。クロロホルムで抽出、減圧下溶媒を留去し、化合物43を得た。
同様に化合物51から化合物52を得た。
【0054】
実施例2
化合物43のアセトニトリル:クロロホルム:イソプロパノール=1:1:1混合溶媒に30%トリエチルアミン水溶液を加え、70℃で2時間加熱した。冷後、減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(65:25:4〜65:35:8=クロロホルム:メタノール:水)にて精製し、化合物44を50―60%で得た。
同様に化合物52から化合物53を得た。
【0055】
化合物44、化合物53は1H−NMRスペクトルにより同定した。
【0056】
結果は以下の通りである。
1H−NMR(TMS,CDCl3)δ:5.14−5.18(2H,m),4.37(2H,dd,J=12.0,2.6Hz),4.14−4.19(4H,m),4.06(2H,dd,J=12.0,4.6Hz),3.89(4H,dd,J=6.7,6.7Hz),3.54(4H,t,J=2.3Hz),3.12(18H,s),2.19−2.25(8H,m),1.40−1.56(8H,m),1.20−1.24(24H,m).
【0057】
参考例22
アルゴン雰囲気下、化合物1、1.2当量の4−ジメチルアミノピリジンの無水塩化メチレン溶液に、氷冷下、0.5当量の化合物5の無水塩化メチレン溶液を滴下し、室温で4時間攪拌した。氷水を加えて反応を止め、塩化メチレンで抽出し、冷10%塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10%酢酸エチル/ヘキサン)に通して精製し、化合物54を90−95%で得た。
【0058】
参考例23
化合物54に10%酢酸水溶液を加え、90度で5時間加熱した。冷後、減圧下溶媒を留去し、化合物55を81−96%で得た。
【0059】
参考例24
アルゴン気流下、化合物55と触媒量の4−ジメチルアミノピリジンの無水塩化メチレン溶液に2.4当量のトリエチルアミンを加え、−78度にて化合物5の無水塩化メチレン溶液をゆっくりと5時間掛けて加え、同温にて24時間撹拌した。反応溶液を氷水にあけ、塩化メチレンで抽出し、冷10%塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン)に通して精製し、化合物56を45−60%で得た。
【0060】
化合物56は1H−NMRスペクトルにより同定した。
【0061】
結果は以下の通りである。
1H−NMR(TMS,CDCl3)δ:4.38(2H,m),4.25−4.23(8H,m),2.35−2.25(8H,m),2.00(2H,bs),1.68−1.65(8H,m),1.33−1.29(24H,m).
【0062】
参考例25
アルゴン雰囲気下、3当量の2−ブロモエチルジクロロホスフェートのクロロホルム溶液に、氷冷下、5当量のトリエチルアミン、化合物56のクロロホルム溶液を滴下し、同温にて4時間撹拌し、化合物57を得た。
【0063】
参考例26
化合物57のクロロホルム溶液に0.1N塩化カリウム水溶液を加え、室温にて1時間攪拌した。クロロホルムで抽出、減圧下溶媒を留去し、化合物58を得た。
【0064】
実施例3
化合物58のアセトニトリル:クロロホルム:イソプロパノール=1:1:1混合溶媒に30%トリエチルアミン水溶液を加え、70℃で2時間加熱した。冷後、減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(65:25:4〜65:35:8=クロロホルム:メタノール:水)にて精製し、化合物59を50−65%で得た。
【0065】
化合物59は1H−NMRスペクトルにより同定した。
【0066】
結果は以下の通りである。
1H−NMR(TMS,CDCl3)δ:4.41(2H,m),4.32−4.23(8H、m),4.06−3.43(8H,m),3.30(18H,s),2.19−2.25(8H,m),1.40−1.56(8H,m),1.20−1.24(24H,m).
【0067】
参考例27
アルゴン気流下、触媒量の4−ジメチルアミノピリジンの無水塩化メチレン溶液に2.4当量のトリエチルアミンを加え、氷冷下、p−ベンゼンジカルボン酸ジクロライド(化合物60)の無水塩化メチレン溶液と化合物1をゆっくりと同時に加え、同温にて6時間撹拌した。更に化合物19を同温度でゆっくり加え、室温で4時間撹拌した。反応溶液を氷水にあけ、塩化メチレンで抽出し、冷10%塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(15%酢酸エチル/ヘキサン)に通して精製し、化合物61を85%で得た。
【0068】
参考例28
化合物61に10%酢酸水溶液を加え、90度で5時間加熱した。冷後、減圧下溶媒を留去し、化合物62を80−90%で得た。
【0069】
参考例29
アルゴン気流下、化合物62と触媒量の4−ジメチルアミノピリジンの無水塩化メチレン溶液に2.4当量のトリエチルアミンを加え、−78度にて化合物60の無水塩化メチレン溶液をゆっくりと5時間掛けて加え、同温にて24時間撹拌した。反応溶液を氷水にあけ、塩化メチレンで抽出し、冷10%塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン)に通して精製し、化合物63を50−60%で得た。
【0070】
化合物63は1H−NMRスペクトルにより同定した。
【0071】
結果は以下の通りである。
1H−NMR(TMS,CDCl3)δ:6.26(8H、bs),4.38(2H,m),4.25−4.23(8H,m).
【0072】
参考例30
アルゴン雰囲気下、3当量の2−ブロモエチルジクロロホスフェートのクロロホルム溶液に、氷冷下、5当量のトリエチルアミン、化合物63のクロロホルム溶液を滴下し、同温にて4時間撹拌し、化合物64を得た。
【0073】
参考例31
化合物64のクロロホルム溶液に0.1N塩化カリウム水溶液を加え、室温にて1時間攪拌した。クロロホルムで抽出、減圧下溶媒を留去し、化合物65を得た。
【0074】
実施例4
化合物65のアセトニトリル:クロロホルム:イソプロパノール=1:1:1混合溶媒に30%トリエチルアミン水溶液を加え、70℃で2時間加熱した。冷後、減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(65:25:4〜65:35:8=クロロホルム:メタノール:水)にて精製し、化合物66を50−60%で得た。
【0075】
化合物66は1H−NMRスペクトルにより同定した。
【0076】
結果は以下の通りである。
1H−NMR(TMS,CDCl3)δ:6.25(8H,m),4.41(2H,m),4.32−4.23(8H、m),4.06−3.43(8H,m),3.30(18H,s).
【0077】
参考例32
アルゴン雰囲気下、1.2当量のトリエチルアミン、0.2当量の4−ジメチルアミノピリジンの無水塩化メチレン溶液に化合物19の無水塩化メチレン溶液と化合物67の無水塩化メチレン溶液を−78度で同時にゆっくりと加えた。同温度で4時間撹拌後、氷冷まで温度を戻し、化合物22の無水塩化メチレン溶液を滴下し、室温で撹拌した。5時間後、氷5%塩酸水溶液を加え、塩化メチレンで抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、減圧下溶媒を留去し、化合物68を収率50−80%で得た。
同様に化合物19と化合物4と化合物67から化合物77を得た。
【0078】
参考例33
化合物68に80%酢酸水溶液を加え、60度で5時間加熱した。冷後、減圧下溶媒を留去し、化合物69を定量的に得た。
同様に化合物77から化合物78を得た。
【0079】
参考例34
アルゴン雰囲気下、化合物69のジメチルホルムアミド溶液に2当量のイミダゾールを加え、氷冷下、当量のtert-ブチルクロロジフェニルシランを加え、同温にて3時間撹拌した。氷水を加えて反応を止め、エーテルで抽出し、氷水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、減圧下溶媒を留去し、化合物70を収率70−80%で得た。
同様に化合物78から化合物79を得た。
【0080】
参考例35
化合物70のエタノール溶液に20%水酸化パラジウム/炭素を加え、水素置換した後、10時間攪拌した。クロロホルムで希釈後、セライトろ過した。減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(30%酢酸エチル/ヘキサン)に通して精製し、化合物71を定量的に得た。
同様に化合物79から化合物80を得た。
【0081】
参考例36
アルゴン気流下、化合物71と触媒量の4−ジメチルアミノピリジンの無水塩化メチレン溶液に2.4当量のトリエチルアミンを加え、−78度にて化合物5の無水塩化メチレン溶液を加え、同温にて24時間撹拌した。反応溶液を氷水にあけ、塩化メチレンで抽出し、冷10%塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。濾過後、減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(15%酢酸エチル/ヘキサン)に通して精製し、化合物72を30−40%で得た。
同様に化合物80から化合物81を得た。
【0082】
化合物72、化合物81は1H−NMRスペクトルにより同定した。
【0083】
結果は以下の通りである。
1H−NMR(TMS,CDCl3)δ:7.63−7.66(8H,m),7.36−7.45(12H,m),5.23−5.32(2H,m),4.38(2H,dd,J=12.0,2.9Hz),4.19(2H,dd,J=12.0,7.1Hz),3.59(2H,dd,J=10.4,5.2Hz),3.57(2H,dd,J=10.4,5.3Hz),2.32(8H,dt,J=14.9,6.8Hz),1.59(8H,m),1.26(40H,bs).
【0084】
参考例37
アルゴン雰囲気下、化合物72のテトラヒドロフラン溶液に酢酸を加え、氷冷下、1.0Mテトラブチルアンモニウムフルオライドのテトラヒドロフラン溶液を加え、同温にて8時間攪拌した。氷水を加え、エーテルで抽出し、氷水、冷5%塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過後、減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(5%メタノール/クロロホルム)にて分離を行い、化合物73を70−80%で得た。
同様に化合物81から化合物82を得た。
【0085】
化合物73、化合物82は1H−NMRスペクトルにより同定した。
【0086】
結果は以下の通りである。
1H−NMR(TMS,CDCl3)δ:5.13−5.09(2H,m),4.35(2H,dd,J=12.2,3.4Hz),4.25(2H,dd,J=12.2,6.4Hz),3.74(4H,dd,J=6.4,6.1Hz),2.33(8H,dt,J=17.1,7.6Hz),2.00(2H,t,J=6.4Hz),1.63(8H,m),1.25−1.33(40H,m).
【0087】
参考例38
アルゴン雰囲気下、3当量の2−ブロモエチルジクロロホスフェートのクロロホルム溶液に、氷冷下、5当量のトリエチルアミン、化合物73のクロロホルム溶液を滴下し、同温にて4時間撹拌し、化合物74を得た。
同様に化合物82から化合物83を得た。
【0088】
参考例39
化合物74のクロロホルム溶液に0.1N塩化カリウム水溶液を加え、室温にて1時間攪拌した。クロロホルムで抽出、減圧下溶媒を留去し、化合物75を得た。
同様に化合物83から化合物84を得た。
【0089】
実施例5
化合物75のアセトニトリル:クロロホルム:イソプロパノール=1:1:1混合溶媒に30%トリエチルアミン水溶液を加え、70℃で2時間加熱した。冷後、減圧下溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(65:25:4〜65:35:8=クロロホルム:メタノール:水)にて精製し、化合物76を50―60%で得た。
同様に化合物84から化合物85を得た。
【0090】
化合物76、化合物85は1H−NMRスペクトルにより同定した。
【0091】
結果は以下の通りである。
1H−NMR(TMS,CDCl3)δ:5.14−5.18(2H,m),4.37(2H,dd,J=12.2,2.7Hz),4.14−4.19(4H,m),4.06(2H,dd,J=12.2,7.5Hz),3.89(4H,dd,J=6.6,5.6Hz),3.54(4H,m),3.12(18H,s),2.19−2.30(8H,m),1.50(8H,m),1.20−1.22(40H,m).
【0092】
【発明の効果】
本発明によれば、同一分子内に2個のグリセロールと4個のエステル結合を有する環状エステル化合物が得られる。これらの化合物は、界面活性性であり、工業および家庭における、たとえば金属加工、採鉱、表面仕上げ、洗浄および清浄、化粧品、医薬および食品加工および調理の分野で、殊に乳化剤、解乳化剤、洗浄剤、分散剤およびヒドロトロープ剤として用いることができる。
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