JP5004075B2 - 環状エーテル・アミド化合物。 - Google Patents

環状エーテル・アミド化合物。 Download PDF

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Description

本発明は、新規な環状エーテル・アミド化合物及びその製造方法及び中間体化合物に関するものである。
また、本発明は、新規な環状エーテル・アミド化合物を主成分とする脂質膜及びその製造方法に関するものである。
本発明者らは、極限環境下を生き抜く古細菌の生体膜に見られる環状脂質をモデルとし、さまざまな形態の脂質ナノ構造体を構築する人工環状脂質として、グリセロール2分子が4個のエーテル結合により結合した環状エーテル脂質(特許文献1)、グリセロール2分子が4個のエステル結合により結合した環状エステル脂質(特許文献2)、及びグリセロール2分子が4個のアミド結合により結合した環状アミド脂質(特許文献3)を創製してきた。
これらの環状脂質、すなわち環状エーテル脂質、環状エステル脂質、環状アミド脂質はいずれも両親媒性化合物であり、長鎖アルキル基からなる疎水部と、ホスホコリン基や水酸基からなる親水部、そして疎水部と親水部をつなぐ4つのリンカーから構成される。そして、いずれも安定な界面活性物質としての作用があるため、各種工業用処理剤、家庭用の各種洗浄剤及び各種清浄剤、医薬品、化粧品や食品用の添加剤などとして利用することができる。
また、これら人工環状脂質は、通常水性溶媒中で分子集合体を形成することができ、ナノサイズの脂質チューブや、二次元シート膜の作成も試みられている。もともと、これらの人工環状脂質類は、極限環境下に生息する古細菌の膜脂質をモデルとしたものであって優れた対環境性を有する上に、炭化水素鎖(R1〜R4基)として分岐していないアルキレン基を選択したために「しなやかさ」を併せ持つ脂質ナノ構造体であり、末端のR5及び/又はR6基がコリン基の場合は、さらに優れた生体親和性を有するものである。
したがって、これらの人工環状脂質類により形成される分子集合体に対しては、ナノレベルで制御された、極めて安定で、なおかつバイオ分子への親和性の高い脂質ナノ構造体としての期待が高い。
しかしながら、環状エステル脂質(環状PC型脂質)や、環状エーテル脂質により形成される分子集合体、たとえば二次元シート膜(脂質膜)においては、その機械的な強度は低い。これは、これら脂質のエステル結合間、もしくはエーテル結合間に、水素結合等の強固かつ方向性を持った分子間結合が形成されないため、分子集合体内で形成される分子間の結合が機械的に脆いためであると考えられる。反対に、環状アミド脂質のアミド結合は強固な分子間水素結合に基づく機械的に強固な分子集合体の構築が期待されるが、あまりに分子間水素結合ネットワークが強固でその分子集合体内に異分子を収容するすき間が構築できず、生体膜を模した脂質膜などとしては用いることはできない。
このように、従来の環状脂質を自己組織化して形成させた分子集合体には、それぞれ一長一短があるので、各々の用途は限られたものとならざるを得ない。そこで、従来とは異なる性質を有する分子集合体を形成できる新規な環状脂質の提供が望まれていた。
特開平2003−286281号公報 特開2004−75586号公報 特開平2004−196703号公報
本発明の課題は、自己組織化して分子集合体を構築できる新規な環状脂質を提供することであり、具体的には、分子内にアミド結合とエーテル結合を有する非対称脂質である環状エーテル・アミド脂質を提供することである。
また、さらに当該環状エーテル・アミド脂質を用いて適度な分子間水素結合を形成する脂質膜を提供することも本発明の課題である。
本発明者らは、各環状脂質による分子構造体における、分子間水素結合形成の程度に注目し、強い分子間水素結合を形成するアミド結合と分子間水素結合をほとんど形成しないエーテル結合を有する非対称脂質である環状エーテル・アミド脂質を合成することで、適度な分子間水素結合を形成する脂質膜が構築できる可能性があると考えた。
しかしながら、このような非対称な環状脂質は従来合成されたことがないので、従来の環状脂質の合成法をそのまま適用することができないため、合成することの困難性も予測されるばかりか、合成できたとしても、従来の環状脂質と同様の分子集合体を形成するか否かは不明であった。
本発明者らは、2つのグリセロール誘導体と2つ長鎖アルキル化合物とをジエーテル結合骨格と、アミド結合骨格とを併せ持つ環状脂質を効率よく合成する経路について鋭意研究を重ねた結果、一旦、非対称の基を組み込んだグリセロール誘導体と長鎖アルキル化合物とのジエーテル脂質を合成し、次いで反応性の高いアジド基を導入した新規中間体を経由することで、効率よく環状エーテル・アミド脂質を得ることができることを見出して、本発明を完成させた。
そして、得られた環状エーテル・アミド脂質は、従来の環状脂質と同様に自己組織化して分子集合体を形成し、環状アミド脂質に近いが、分子間水素結合が若干弱まった適度な脂質膜を形成することができることを確認した。
なお、実施例では原料のグリセロールとして、キラルなグリセロールを用いたため、得られた環状エーテル・アミド脂質はキラル化合物であった。
本発明によれば、以下の発明が提供される。
(1)下記[化1]で表される環状エーテル・アミド化合物。
(式中、R〜Rは、同一でも異なっていてもよい2価の炭化水素を表し、RとRは、水素原子、リン脂質基、炭化水素基を表し、同一でも異なっていてもよい。)
(2)下記一般式[化2]で表される前記(1)に記載の環状エーテル・アミド化合物。
(3)下記一般式[化3]で表される前記(1)に記載の環状エーテル・アミド化合物。
(式中、mおよびnは同一もしくは異なる2〜100の自然数をあらわす。)
(4)下記一般式[化4]で表される前記(3)に記載の環状エーテル・アミド化合物。
(5)下記一般式[化5]で表される化合物。
(式中、R〜Rは、同一でも異なっていてもよい2価の炭化水素を表し、ここではRとRは、水素原子もしくは保護基を表す。)
(6)下記一般式[化6]で表される化合物。
(式中、RおよびRは、同一でも異なっていてもよい2価の炭化水素を表し、ここではRとRは、水素原子もしくは保護基を表す。)
(7)下記一般式[化7]で表される化合物を原料もしくは中間体とし、塩化硫酸メチル(MeSOCl),トリエチルアミン(EtN)及び塩化メチレン(CH2Cl2)で処理した後、ナトリウムアジド(NaN)/DMSOで処理することを特徴とする、一般式[化6]の化合物の製造方法。
(式中、RおよびRは、同一でも異なっていてもよい2価の炭化水素を表し、ここではRとRは、水素原子もしくは保護基を表す。)
(8)一般式[化6]で表される化合物を原料もしくは中間体とし、トリフェニルホスフィン(PPh)と水およびTHFの存在下で処理し、更に一般式[化8]及び/又は[化9]で表される化合物を、EDCHClと、HOBt,EtN,CHClで処理することを特徴とする、一般式[化5]の化合物の製造方法。
(両式中、R〜Rは、同一でも異なっていてもよい2価の炭化水素を表し、ここではRとRは、水素原子もしくは保護基を表す。)
(9)上記一般式[化5]で表される化合物を原料もしくは中間体とし、酢酸銅(II)、ピリジンの存在下に還流させて反応させ、次いで、得られた化合物をp−トルエンスルホン酸(p−TsOH)と共に、有機溶媒中で処理することを特徴とする上記一般式[化1]の化合物の製造方法。
(10)前記(1)ないし(4)のいずれかに記載の環状エーテル・アミド化合物を、単独でもしくは脂質膜に取り込みたい他の成分と共に、有機溶媒中で溶解し飽和溶液を得、基板表面で乾燥させて薄膜上に成形することを特徴とする環状エーテル・アミド化合物を主成分とする脂質膜の製造方法。
(11)前記(10)に記載の製造方法により得られたことを特徴とする、前記(1)ないし(4)のいずれかに記載の環状エーテル・アミド化合物を主成分とする脂質膜。
本発明で得られた環状エーテル・アミド脂質は、前記したような従来の環状エーテル脂質、環状アミド脂質などと同様の優れた特性を兼ね備えた脂質ナノ構造体であるばかりか、これまでの環状とは異なり非対称脂質であるため、疎水性相互作用に基づく膜流動性と共に、脂質中の2つのアミド基間で形成される分子間水素結合が適度な分子間相互作用を発揮することができる。
その結果、この分子が構築する分子集合体としての脂質膜は、膜流動性及び高度な機械的強度を有すると共に、エーテル結合の周辺部位に異分子が入り込めるすき間が形成されるために、膜タンパク質再構成のためのマトリックスとして利用することができる。また、原料のグリセロール誘導体としてキラル化合物を採用すれば、キラルな環状エーテル・アミド脂質を得ることができ、さらに末端のR5及び/又はR6基にコリン基を導入して優れた生体親和性を有せしめることにより、より生体膜に近似した状態を再現することもできる。
本発明の環状エーテル・アミド化合物は、下記[化1]で表される。
式中のR〜Rは、2価の炭化水素を表し、同一であっても異なっていてもよく、好ましくは、下記[化2]のキラル化合物である。好ましくは、2価の分岐のないアルキレン基を表し、その炭素数は、3個以上100個以下であり、R3及びR4の炭素数が、R1及びR2の炭素数(m及びn)よりそれぞれ1個少ない(m−1及びn−1)の場合であって、下記[化3]で表される。より好ましくはm及びnがいずれも10個以下であり、最も好ましくは、R1及びR2が炭素数8でR3及びR4が炭素数7であって、下記[化4]で表される。
また、RとRは、水素原子、リン脂質基、炭化水素基を表し同一でも異なっていてもよい。好ましくは、RとRが水素原子もしくはコリン基である。
なお、上記[化2]のキラルな環状エーテル・アミド化合物を得るには、原料のグリセロールとしてキラルなグリセロールを用いるが、キラルなグリセロールは、グリセロールの1位または2位もしくは1位と2位の水酸基を保護したものを光学分割または酵素を用いた分割により得ることができる。
本発明の環状エーテル・アミド化合物の製法の工程を、実施例に記載した典型的な環状エーテル・アミド化合物([化1])の場合について、図1に従って、工程a〜lの順で述べる。
工程a: 3−デシン−1−オールを、NaH及び1,3-ジアミノプロパン(DAP)と共に10℃〜100℃/40分間反応させて9−デシン−1−オールを得る。
工程b: 9−デシン−1−オ−ルにMeSOCl及びEtNをCHClの存在下に0℃/30分間反応させて化合物(2)を得る。
工程c: 9−デシン−1−オ−ルをクロム酸(CrO)及び硫酸及び水の存在下に−5℃/2時間30分反応させて化合物(3)を得る。
工程d: D−1,2−O−イソプロピリデン−sn−グリセロールを、4-メトキシベンゾイルクロライド(PMBCl)及び水酸化カリウム及びジメチルスルフォキシド(DMSO)の存在下に室温で24時間反応させ、次いで、パラトルエンスルフォン酸(p−TsOH)の存在下に室温で36時間反応させ、化合物(4)を得る。
工程e: 化合物(4)を4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、トリチルクロライド(TrCl)、ピリジンの存在下で室温〜80℃/7時間30分処理後、次いで室温で9時間処理して化合物(5)を得る。
工程f: 工程bで得られた化合物(2)と工程eで得られた化合物(5)に対して、NaH,ヨウ化テトラブチルアンモニウム(TBAI)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を添加し、0℃〜室温/19時間処理して化合物(6)を得る。
工程g: 化合物(6)に対してCuCl、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、アセトンを添加し、Oの存在下で、室温〜60℃/15時間処理して化合物(7)を得る。
工程h: 化合物(7)に、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(DDQ)及びCH2Cl2を添加し、燐酸塩緩衝液(pH7.2)の存在下に0℃/3時間処理して化合物(8)を得る。
工程i: 化合物(8)をMeSOCl,EtN及びCH2Cl2を添加し、―20℃/1時間処理し、次にNaN及びDMSOと共に60℃/8時間処理して化合物(9)を得る。
工程j: 化合物(9)をPPh、水、THFの存在下に処理し、更に化合物(3)を加えて、EDCHCl、HOBt,EtN,CHClを0℃〜室温/19時間処理して化合物(10)を得る。
工程k: 化合物(10)を酢酸銅、ピリジンの存在下に115〜120℃/3時間還流させて、化合物(11)を得る。
工程l: 化合物(11)をp−トルエンスルホン酸(p−TsOH)と共に、メタノール、クロロホルム(クロロホルム−メタノール4:1溶液)の存在下に室温で3時間処理して化合物(1)を得る。
上記のようにして得られた環状エーテル・アミド化合物は、エーテル結合およびアミド結合を有する非対称な環状脂質であって、自己組織化した分子集合体を形成する。たとえば以下のようにして、生体膜に類似した単層脂質膜を製造することができる。
単層脂質膜を製造するには、原料の環状エーテル・アミド化合物に対し有機溶媒に加熱溶解して飽和溶液を調製する。この際の加熱温度はできるだけ擬環状アミド化合物の溶解量を多くするために沸騰温度まで上げるのが好ましいが、もちろん、これよりも低い温度を用いることも可能である。
次に、このようにして調製した環状エーテル・アミド化合物の飽和溶液を徐冷して、室温下または氷冷下に静置して自生的に脂質膜を生成させる。この飽和溶液を調製する際の溶媒としては、通常、単独の有機溶媒が用いられるが、所望ならば複数の有機溶媒、または水と有機溶媒からなる混合溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、環状エーテル・アミド化合物を溶解しうるものであれば何れのものも使用できる。このような溶媒としては、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン等を挙げることができる。好ましくはクロロホルム-メタノール溶液(4:1)を用いる。
上記のような操作により溶液から直ちに脂質単層膜が形成される。溶液量を調節することにより多層膜も形成でき、また、適宜、乾燥処理を行えば、空気中でも安定な脂質膜を得ることができる。得られた脂質膜の構造は、光学顕微鏡を用いて容易に観察することができる。透過性電子顕微鏡等を用いることにより、より詳細に膜構造を確認することができる。
本発明の環状エーテル・アミド化合物と共に、生体膜上のタンパク質、脂質等をあらかじめ上記有機溶媒中に溶解もしくは分散させておくことで、環状エーテル・アミド化合物が形成する脂質膜中に取り込むことができるから、生体膜上のタンパク質、脂質等の生体膜上での性質、挙動などを、生体膜を模した条件下で観察することが可能となる。
以下、本発明の環状エーテル・アミド脂質のうち典型的な化合物である下記[化4]であって、R5及びR6がいずれも水素原子の場合の化合物であってかつキラル化合物の場合:化合物(1)([化13])について、実施例1及び2として説明する。本発明はその要旨を超えない限り以下に限定されるものではない。
[実施例1]
化合物(1)を以下の工程a〜lの要領で合成した。以下、化合物(1)の合成工程を、図1にしたがって説明していく。
なお、各工程は、「工程a」などと称し、各工程で得られた化合物は、「化合物(2)」などという。
工程a: 3−デシン−1―オールから9−デシン−1−オールの合成:
3−デシン−1−オール(市販品)を、10℃〜100℃の条件下にNaH及び1,3-ジアミノプロパン(DAP)を40分間反応させて9−デシン−1−オールを得た。収率は81%であった。
工程b: 9デシン−1−オ−ルから化合物(2)の合成:
9−デシン−1−オ−ルにMeSOCl及びEtNをCHClの存在下に0℃で30分間反応させて化合物(2)を収率93%で得た。
工程c: 9−デシン−1−オ−ルから化合物(3)の合成:
9−デシン−1−オ−ルをクロム酸(CrO)及び硫酸及び水の存在下に−5℃で2時間30分反応させて化合物(3)を収率61%で得た。
工程d: D−1,2−O−イソプロピリデン−sn−グリセロールから化合物(4)の合成:
まず、D−1,2−O−イソプロピリデン−sn−グリセロールを、4-メトキシベンゾイルクロライド(PMBCl)及び水酸化カリウム及びジメチルスルフォキシド(DMSO)の存在下に室温で24時間反応させ、次いで、パラトルエンスルフォン酸(p−TsOH)の存在下に36時間反応させ、化合物(4)を収率80%で得た。
工程e: 化合物(4)から化合物(5)を製造する工程:
化合物(4)を4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)と共に、トリチルクロライド(TrCl)、ピリジンの存在下に室温〜80℃で7時間30分処理した後、室温で9時間処理したところ、収率92%で化合物(5)を得た。
工程f: 化合物(2)と化合物(5)から化合物(6)を製造する工程:
工程bで得られた化合物(2)と工程eで得られた化合物(5)に対して、NaH,ヨウ化テトラブチルアンモニウム(TBAI)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)を添加し、0℃から室温で19時間処理したところ、化合物(6)を収率99%で得た。
工程g: 化合物(6)を反応させて化合物(7)を得る工程:
化合物(6)に対してCuCl、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、アセトンを添加し、Oの存在下で、室温〜60℃で15時間処理し、化合物(7)を収率93%で得た。
工程h: 化合物(7)から化合物(8)を得る工程:
化合物(7)に、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(DDQ)及びCH2Cl2を添加し、燐酸塩緩衝液(pH7.2)の存在下に0℃で3時間処理し、化合物(8)を収率89%で得た。
工程i: 化合物(8)から化合物(9)を得る工程:
化合物(8)をMeSOCl,EtN及びCH2Cl2を添加し、―20℃で1時間処理し、次にNaN及びDMSOと共に60℃で8時間処理したことで、化合物(9)を収率63%で得ることができた。化合物(9)は、下記[化10]の構造式を有する新規化合物である。
工程j: 化合物(9)と化合物(3)から化合物(10)を得る工程:
化合物(9)をPPh、水、THFの存在下に処理し、更に化合物(3)を加えて、EDCHCl、HOBt,EtN,CHClを0℃〜室温で19時間処理したところ、化合物(10)を収率42%で得ることができた。化合物(10)は、下記[化11]の構造式を有する新規化合物である。
工程k: 化合物(10)から化合物(11)を得る工程
化合物(10)を酢酸銅(II)、ピリジンの存在下に115〜120℃で3時間還流させたところ、化合物(11)を収率28%で得ることができた。化合物(11)は、下記[化12]の構造式を有する新規化合物である。
工程l:化合物(11)から化合物(1)を得る工程:
化合物(11)をp−トルエンスルホン酸(p−TsOH)と共に、メタノール、クロロホルム(クロロホルム−メタノール4:1溶液)の存在下に室温で3時間処理することで、本発明の目的の化合物(1)を収率77%で得ることができた。
化合物(1)は、1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルなどにより[化13]であると同定した。
測定結果は、以下のとおりである。
<薄層クロマトグラフィー>
Rf = 0.32 [CHCl3/MeOH (20:1, v/v)];
1H−NMRスペクトル>
1H NMR (CDCl3) ・ 5.90 (brs, 2H), 3.69-3.32 (m, 14H), 3.21 (brs, 1H), 2.34-2.17 (m, 12H), 1.68-1.48 (m, 16H), 1.44-1.24 (m, 28H);
13C−NMRスペクトル>
13C NMR (CDCl3/CD3OD=20:1) ・ 78.03, 77.37, 69.89, 65.30, 60.81, 50.17, 49.30, 39.58, 36.48, 29.86, 29.12, 28.91, 28.87, 28.63, 28.52, 28.47, 28.09, 28.04, 25.93, 25.59, 19.03;
<マススペクトル>
TOF-MS calcd. for C64H74O6Na (M)+ m/z 750.55414. Found: 750.54743.
[実施例2]
実施例1で得られた化合物(1)の0.5mgを、4:1のクロロホルム−メタノール溶液約1mlに加熱溶解して飽和溶液を調整した。
次に、得られた溶液(1.5μl)を透過型電子顕微鏡の観察用グリッドに滴下して乾燥させて脂質膜を得た。当該脂質膜は空気中でも安定であり、染色後に透過性電子顕微鏡により、TEM測定を行ったところ、環状アミド脂質の場合と類似しているが、わずかに膜流動性が高い脂質単層膜が得られた。その結果を[図2]に示す。
実施例1で得られた環状エーテル・アミド化合物の合成スキーム(なお、化合物9、10、11及び1は新規化合物である。) 実施例2で得られた脂質膜の透過型電子顕微鏡写真

Claims (10)

  1. 下記一般式[化1]で表される環状エーテル・アミド化合物。
    (式中、R1は−(CH2)m−、R2は−(CH2)n−、R3は−(CH2)m-1−、R4は−(CH2)n-1−で表され、m及びnは同一もしくは異なる2〜100の自然数を表す。R5とR6は、水素原子、コリン基、炭化水素基を表し、同一でも異なっていてもよい。)
  2. 下記一般式[化2]で表される請求項1に記載の環状エーテル・アミド化合物。
    (式中、R1は−(CH2)m−、R2は−(CH2)n−、R3は−(CH2)m-1−、R4は−(CH2)n-1−で表され、m及びnは同一もしくは異なる2〜100の自然数を表す。R5とR6は、水素原子、コリン基、炭化水素基を表し、同一でも異なっていてもよい。)
  3. 下記一般式[化4]で表される請求項1に記載の環状エーテル・アミド化合物。
    (式中、R5とR6は、水素原子、コリン基、炭化水素基を表し、同一でも異なっていてもよい。)
  4. 下記一般式[化5]で表される化合物。
    (式中、R1は−(CH2)m−、R2は−(CH2)n−、R3は−(CH2)m-1−、R4は−(CH2)n-1−で表され、m及びnは同一もしくは異なる2〜100の自然数を表す。ここではR5とR6は、水素原子、またはトリチル基(Tr)、4−メトキシベンジル基(PMB)、トシル基(Ts)、及びt−ブチル基(t−Bt)から選択される保護基を表す。)
  5. 下記一般式[化6]で表される化合物。
    (式中、R1は−(CH2)m−、R2は−(CH2)n−で表され、m及びnは同一もしくは異なる2〜100の自然数を表す。ここではR5とR6は、水素原子、またはトリチル基(Tr)、4−メトキシベンジル基(PMB)、トシル基(Ts)、及びt−ブチル基(t−Bt)から選択される保護基を表す。)
  6. 下記一般式[化7]で表される化合物を原料もしくは中間体とし、塩化硫酸メチル(MeSO3Cl),トリエチルアミン(Et3N)及び塩化メチレン(CH2Cl2)で処理した後、ナトリウムアジド(NaN3)/DMSOで処理することを特徴とする、一般式[化6]の化合物の製造方法。
    (式中、R1は−(CH2)m−、R2は−(CH2)n−で表され、m及びnは同一もしくは異なる2〜100の自然数を表す。ここではR5とR6は、水素原子、またはトリチル基(Tr)、4−メトキシベンジル基(PMB)、トシル基(Ts)、及びt−ブチル基(t−Bt)から選択される保護基を表す。)
    (式中、R1は−(CH2)m−、R2は−(CH2)n−で表され、m及びnは同一もしくは異なる2〜100の自然数を表す。ここではR5とR6は、水素原子、またはトリチル基(Tr)、4−メトキシベンジル基(PMB)、トシル基(Ts)、及びt−ブチル基(t−Bt)から選択される保護基を表す。)
  7. 下記一般式[化6]で表される化合物を原料もしくは中間体とし、トリフェニルホスフィン(PPh3)と水およびTHFの存在下で処理し、更に下記一般式[化8]及び/又は[化9]で表される化合物を、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC HCl)と、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt),Et3N,CH2Cl2で処理することを特徴とする、下記一般式[化5]の化合物の製造方法。
    (上記全式中、R1は−(CH2)m−、R2は−(CH2)n−、R3は−(CH2)m-1−、R4は−(CH2)n-1−で表され、m及びnは同一もしくは異なる2〜100の自然数を表す。ここではR5とR6は、水素原子、またはトリチル基(Tr)、4−メトキシベンジル基(PMB)、トシル基(Ts)、及びt−ブチル基(t−Bt)から選択される保護基を表す。)
  8. 下記一般式[化5]で表される化合物を原料もしくは中間体とし、酢酸銅(II)、ピリジンの存在下に還流させて反応させ、次いで、得られた化合物をp−トルエンスルホン酸(p−TsOH)と共に、有機溶媒中で処理することを特徴とする下記一般式[化1]の化合物の製造方法。
    (上記式中、R1は−(CH2)m−、R2は−(CH2)n−、R3は−(CH2)m-1−、R4は−(CH2)n-1−で表され、m及びnは同一もしくは異なる2〜100の自然数を表し、ここではR5とR6は、水素原子、またはトリチル基(Tr)、4−メトキシベンジル基(PMB)、トシル基(Ts)、及びt−ブチル基(t−Bt)から選択される保護基を表す。)
    (式中、R1は−(CH2)m−、R2は−(CH2)n−、R3は−(CH2)m-1−、R4は−(CH2)n-1−で表され、m及びnは同一もしくは異なる2〜100の自然数を表し、R5とR6は、水素原子、コリン基、炭化水素基を表し、同一でも異なっていてもよい。)
  9. 請求項1ないし3のいずれか1項に記載の環状エーテル・アミド化合物を、単独でもしくは脂質膜に取り込みたい他の成分と共に、有機溶媒中で溶解し飽和溶液を得、基板表面で乾燥させて薄膜状に成形することを特徴とする環状エーテル・アミド化合物を主成分とする脂質膜の製造方法。
  10. 請求項9に記載の製造方法により得られたことを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の環状エーテル・アミド化合物を主成分とする脂質膜。
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