JP5647160B2 - リスク管理装置、リスク管理方法及びリスク管理プログラム - Google Patents
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Description
そこで、本発明は、複数のリスク相互間の影響の伝搬を評価し、リスクが発生させ得るコストを、リスクごとに表示することを課題とする。
その他の手段については、発明を実施するための形態のなかで説明する。
プロジェクトとは、ある事業主体がその顧客に対して完成を請け負う業務である。プロジェクトは、多くの場合、顧客ごとにカスタマイズされた仕様を有する。プロジェクトの例として、「○○国国営火力発電所建設工事」、「○○社基幹システム更新工事」等があり得る。
因果関係とは、あるリスクが他のリスクを発生させる原因となっている場合の、当該2つのリスク間の関係である。
親リスクとは、因果関係にある2つのリスクのうち、原因となるリスクである。子リスクとは、因果関係にある2つのリスクのうち、結果となるリスクである。例えば、「○○港コンテナバースが使用不能である」という親リスクに対して、「備蓄燃料が不足する」という子リスクが想定される。親リスクと子リスクは、2つのリスク間の相対的な関係をいうものである。あるリスクが、他のリスクから見れば親リスクになっており、別の他のリスクから見れば子リスクとなっている場合もある。1つの親リスクに複数の子リスクが対応している場合もあり、1つの子リスクに複数の親リスクが対応している場合もある。
影響度とは、リスクがプロジェクトに与える影響の大きさである。影響度は、例えば、当該リスクが発生した場合に事態収拾等に要する追加コスト(金額)であってもよいし、事態収拾等に要する追加期間であってもよい。
なお、ノードの円の太さ及び網掛け並びにリンクの線の太さについては、後記する。
期待損失=親リスクの影響度×親リスクの発生確率×重み (1)
すなわち、期待損失とは、重みを考慮したうえで親リスクから子リスクへリンクを介して伝搬される影響度の期待値を意味する。
コンティンジェンシ費用=当該リスクの影響度×当該リスクの発生確率
+当該リスクを終点とするリンクの期待損失の総和
−当該リスクを起点とするリンクの期待損失の総和 (2)
式(2)の第1項は、当該リスク自身の影響度の期待値である。式(2)の第2項は、当該リスクの親リスクの影響度の期待値のうち、当該リスクに対して伝搬される部分である。式(2)の第3項は、当該リスク自身の影響度の期待値のうち、当該リスクの子リスクに対して伝搬される部分である。すなわち、コンティンジェンシ費用とは、複数のリスク間で期待損失を伝搬した後において、ある1つのリスクが保持する影響度の期待値である。そして、期待損失を伝搬する前後において、すべてのリスクの影響度の期待値の総和は変化しない(期待損失の重複分はない)。
なお、「第1の部分」及び「第2の部分」には、それぞれ、式(2)の第2項及び式(2)の第3項が相当する。
図1に沿って、リスク管理装置1を説明する。リスク装置1は、一般的なコンピュータであり、中央制御装置11、キーボード、マウスなどの入力装置12、ディスプレイなどの出力装置13、主記憶装置14及び補助記憶装置15を有する。これらはバスによって相互に接続されている。補助記憶装置15は、ノード情報31及びリンク情報32を記憶している(詳細後記)。主記憶装置14における、リスクネットワーク表示部21、コンティンジェンシ費用計算部22、リスクパラメタ推定部23及びリスク伝搬推定部24は、プログラムである。以降、「○○部は」と主体を記した場合は、中央制御装置11が、補助記憶装置15から各プログラムを読み出し、主記憶装置14にロードしたうえで、各プログラムの機能を実現するものとする(詳細後記)。
なお、「第1の情報」及び「第2の情報」には、それぞれ、ノード情報31及びリンク情報32が相当する。
図2に沿って、ノード情報31を説明する。ノード情報31においては、リスクID欄101に記憶されたリスクIDに関連付けて、発生確率欄102には発生確率が、影響度欄103には影響度が、コンティンジェンシ費用欄104にはコンティンジェンシ費用が記憶されている。
リスクID欄101のリスクIDは、リスクを一意に特定する識別子である。
発生確率欄102の発生確率は、当該リスクの発生確率である。
影響度欄103の影響度は、当該リスクの影響度である。
コンティンジェンシ費用欄104のコンティンジェンシ費用は、当該リスクのコンティンジェンシ費用である。
ノード情報31のレコードは、リスク(ノード)の数だけ存在する。ノード情報31はプロジェクトごとに複数存在するものとしてもよい。以下の説明では、単純化のため、ノード情報31が特定のプロジェクトについて1つだけ存在するものとする。
図3に沿って、リンク情報32を説明する。リンク情報32においては、リンクID欄111に記憶されたリンクIDに関連付けて、親リスク欄112には親リスクのリスクIDが、子リスク欄113には子リスクのリスクIDが、重み欄114には重みが、期待損失欄115には期待損失が記憶されている。
リンクID欄111のリンクIDは、リンクを一意に特定する識別子である。
親リスク欄112の親リスクのリスクIDは、当該リンクの起点であるリスク(すなわち、親リスク)のリスクIDである。
子リスク欄113の子リスクのリスクIDは、当該リンクの終点であるリスク(すなわち、子リスク)のリスクIDである。
重み欄114の重みは、当該親リスクが当該子リスクに対して影響度を伝搬する際の配分比率である。
リンク情報32はプロジェクトごとに複数存在するものとしてもよい。以下の説明では、単純化のため、リンク情報32が特定のプロジェクトについて1つだけ存在するものとする。
因みに、リンク情報32の1行目及び2行目に注目すると、以下のことがらがわかる。
・リンクIDが「L001」であるリンクは、親リスク「R001」を起点とし、子リスク「R002」を終点とするリンクである。このリンク「L001」は、図4においては、リンク161に相当する。
・リンクIDが「L002」であるリンクは、親リスク「R001」を起点とし、子リスク「R004」を終点とするリンクである。このリンク「L002」は、図4においては、リンク162に相当する。
・リンク「L001」が伝搬する期待損失は、「50」である。なお、この「50」は、リスク「R001」の影響度×リスク「R001」の発生確率×リンク「L001」の重み=500×0.5×0.2=50、のように計算される(図2の1行目も併せて参照)。
・リンク「L002」が伝搬する期待損失は、「100」である。なお、この「100」は、リスク「R001」の影響度×リスク「R001」の発生確率×リンク「L002」の重み=500×0.5×0.4=100、のように計算される(図2の1行目も併せて参照)。
処理手順には、基本となる「第1の処理手順」及びその代替例である「第2の処理手順」及び「第3の処理手順」が存在する。第1の処理手順では、すべてのリスクが、それぞれの発生確率に従って能動的に発生することを前提にしている。発生確率が「0.0」ではない限り、すべてのリスクが発生することになる。
第2の処理手順では、どのリスクが能動的に発生するかを、ユーザが指定し、指定されたリスク、そのすべての「子リスク」、さらにその「子リスク」の「子リスク」、・・・が、発生することを前提としている。つまり、個々のリスクの(0から1までの値を取る)本来の発生確率は捨象され、ユーザが指定したリスクについては、発生確率を一律的に「1.0」とし、ユーザが指定したリスクが発生したことによって受動的に発生する「子リスク」の発生確率も一律的に「1.0」とする。
第3の処理手順では、それぞれのリスクの発生確率及び影響度が微細に変化した場合、その変化がどれだけコンティンジェンシ費用総計に影響を及ぼすかをシミュレーション(いわゆる「感度分析」)する。
図5に沿って、本実施形態の第1の処理手順を説明する。前提として、当該処理手順を開始する時点において、ノード情報31(図2)については、リスクID欄101にのみ値が記憶されており、かつ、発生確率欄102、影響度欄103及びコンティンジェンシ費用欄104は空欄状態にあるものとする。同様に、当該処理手順を開始する時点において、リンク情報32(図3)については、リンクID欄111、親リスク欄112、子リスク欄113及び重み欄114に値が記憶されており、かつ、期待損失欄115は空欄状態にあるものとする。これらの空欄を埋めたうえで、リスクネットワーク表示画面51(図4)を表示することが、当該処理手順の大まかな流れである。
リスクパラメタ推定部23は、第2に、取得したリスクIDに関連付けられたリスクの内容を出力装置13に表示し、ユーザが入力装置12を介して「リスク因子」を入力するのを受け付ける。補助記憶装置15には、リスクIDとリスクの内容とを関連付けて記憶したテーブル(図示せず)が記憶されているものとする。つまり、当該テーブルは、リスクの数だけレコードを有し、個々のレコードは、例えば「R001」と「プロジェクト管理者○○氏の退職」とを関連付けているものとする。
リスク因子は、利用可能な外部データベースに対する検索語、例えば「退職」という文字列であってもよい。また、リスク因子は、利用可能なリスク関数の入力値である変数、例えば「50歳」という数値であってもよい。
なお、リスクパラメタ推定部23は、「第2」及び「第3」において、リスク因子に基づいて外部データベース又はリスク関数からリスクパラメタを推定することに代替して、ユーザが入力装置12を介して直接リスクパラメタの値を入力するのを受け付けてもよい。また、リスク管理装置1は、外部データベースに相当するデータベースを、補助記憶装置15に記憶していてもよい。同様に、リスク管理装置1は、リスク関数を補助記憶装置15に記憶していてもいし、外部のサーバ等に対してリスク関数を取得しに行ってもよい。
リスクパラメタ推定部23は、ステップS201の処理をノード情報31のすべてのレコードについて繰り返す。
リスク伝搬推定部24は、第2に、ステップS202の「第1」において取得した親リスクのリスクIDを検索キーとして、ノード情報31(図2)を検索し、該当したレコードの発生確率欄102の発生確率及び影響度欄103の影響度を取得し、その影響度にその発生確率を乗算する。
なお、リスク伝搬推定部24は、「第2」及び「第3」の処理に代替して、ユーザが入力装置12を介して直接期待損失の値を入力するのを受け付けてもよい。
リスク伝搬推定部24は、ステップS202の処理をリンク情報32のすべてのレコードについて繰り返す。
コンティンジェンシ費用計算部22は、ステップS203の処理をノード情報31のすべてのレコードについて繰り返す。
リスクネットワーク表示部21は、第5に、ノード情報31(図2)のすべてのレコードのコンティンジェンシ費用欄104のコンティンジェンシ費用の値を合計し、その合計値を、コンティンジェンシ費用総計としてエリア54のコンティンジェンシ費用総計欄171に表示する。
その後、第1の処理手順を終了する。
リスクネットワーク表示部21は、ステップS204の「第2」において、それぞれのノードを表示するとき、当該ノードに対応するリスクの、発生確率、影響度又はコンティンジェンシ費用の値に比例させて、ノードの直径又は面積を決定し、その直径又は面積でノードを表示してもよい。リスクネットワーク表示部21は、ステップS204の「第3」において、それぞれのリンクを表示するとき、当該リンクの期待損失の値に比例させて、リンクの太さを決定し、その太さでリンクを表示してもよい。
図6に沿って、本実施形態の第2の処理手順を説明する。ノード情報31(図2)及びリンク情報32(図3)についての前提は、第1の実施形態と同様である。
なお、リスクパラメタ推定部23は、リスク因子に基づいて外部データベース又はリスク関数から影響度を推定することに代替して、ユーザが入力装置12を介して直接影響度の値を入力するのを受け付けてもよい。
コンティンジェンシ費用計算部22は、第2に、ユーザが1又は複数のリスクIDを選択するのを受け付ける。例えば、ユーザが「プロジェクト管理者○○氏の退職」というリスクが発生した場合の、リスクごとのコンティンジェンシ費用を知りたい場合には、ユーザは「R001」を選択することになる。
具体的には、コンティンジェンシ費用計算部22は、ステップS302の「第2」において受け付けたリスクIDを検索キーとしてリンク情報32(図3)の親リスク欄112を検索し、該当したレコードの子リスク欄113の子リスクのリスクIDを取得する。さらに取得した子リスクのリスクIDを検索キーとして、リンク情報32の親リスク欄112を検索し、該当したレコードの子リスク欄113の子リスクのリスクIDを取得する。該当するレコードがなくなるまでこの処理を繰り返し、その後、リンク情報32の右端に「伝搬フラグ欄116」(図示せず)を設け、該当したレコード(子リスクのリスクIDが取得されたレコード)の伝搬フラグ欄116に「伝搬フラグ」を立てる。
コンティンジェンシ費用計算部22は、第2に、リンク情報32(図3)のレコードのうち、ステップS303において伝搬フラグを立てたレコードの子リスク欄113の子リスクのリスクIDを検索キーにして、ノード情報31(図2)を検索し、該当したレコードの発生確率欄102に「1.0」を記憶する。
コンティンジェンシ費用計算部22は、第3に、リンク情報32(図3)のレコードのうち、ステップS304の「第1」及び「第2」において該当しなかったレコードの発生確率欄102に「0.0」を記憶する。
リスク伝搬推定部24は、第2に、ステップS305の「第1」において取得した親リスクのリスクIDを検索キーとして、ノード情報31(図2)を検索し、該当したレコードの発生確率欄102の発生確率及び影響度欄103の影響度を取得し、その影響度にその発生確率を乗算する。
なお、リスク伝搬推定部24は、「第2」及び「第3」の処理に代替して、ユーザが入力装置12を介して直接期待損失の値を入力するのを受け付けてもよい。
リスク伝搬推定部24は、ステップS305の処理をリンク情報32のすべてのレコードについて繰り返す。
リスクネットワーク表示部21は、例えば円の表示方法等を変えて、以下のノードを相互に区別して表示するものとする。
(1:能動発生ノード)ステップS302の「第2」において受け付けたリスクIDが示すノード。このノードは、ノード152(太線かつ網掛けの円で表示)のように、能動的に発生したリスクを示す。
(2:受動発生ノード)伝搬フラグが立っているレコードの子リスク欄113の子リスクIDが示すノードのうち、能動発生ノード以外のノード。このノードは、ノード153、155(太線の円で表示)のように、自身は能動的に発生していないものの、他のリスクの発生に起因して受動的に発生したリスクを示す。
(3:不発生ノード)(1)及び(2)以外のノード。このノードは、ノード154(細線の円で表示)のように、発生していないリスクを示す。
リスクネットワーク表示部21は、例えば太さを変える等の方法で、以下のリンクを相互に区別して表示するものとする。
(4:伝搬リンク)伝搬フラグが立っているレコードのリンクID欄111のリンクIDが示すリンク。このリンクは、リンク161(太線)のように、期待損失が伝搬されているリンクである。
(5:不伝搬リンク)(4)以外のリンク。このリンクは、リンク164(細線)のように、期待損失が伝搬されていないリンクである。
リスクネットワーク表示部21は、第3に、ノード情報31(図2)のすべてのレコードのうち、リスクIDが「能動発生ノード」又は「受動発生ノード」を示すレコードのコンティンジェンシ費用欄104のコンティンジェンシ費用の値を合計し、その合計値を、エリア54のコンティンジェンシ費用総計欄171に表示する。
修正入力の例は以下の通りである。
(1)ユーザは、ノード内容欄173の影響度「500」にカーソルを合わせ、キーボードから「400」を入力することによって「500」を「400」に修正する。
(2)ユーザは、リンク内容欄174の期待損失「50」にカーソルを合わせ、キーボードから「40」を入力することによって「50」を「40」に修正する。
(3)ユーザは、リスクネットワーク151のリンク161(リンクIDはL001である)の終点をマウスで掴み、その終点をノード154(リスクIDはR003である)までドラッグ(移動)する。
その後、ステップS306に戻る。
前記では、ステップS302において、コンティンジェンシ費用計算部22は、ユーザがリスクIDを選択するのを受け付ける。しかしながら、コンティンジェンシ費用計算部22は、ユーザの入力を受け付けることなく、以下の任意のルールに則って、1又は複数のリスクIDが(能動的に発生するリスクとして)選択されたと看做して以降の処理を実行してもよい。
コンティンジェンシ費用計算部22は、ノード情報31(図2)のすべてのレコードについて、影響度欄103の影響度の値が大きい順番に、所定の閾値の数だけリスクIDを取得し、取得したリスクIDが示すリスクが選択されたと看做す。例えば、図2の1〜4行目の影響度は、それぞれ、「500」、「50」、「10」及び「900」である。いま、所定の閾値が「2」であるとする。この場合、コンティンジェンシ費用計算部22は、リスクID「R001」及びリスクID「R004」が選択されたものと看做す。
コンティンジェンシ費用計算部22は、リンク情報32(図3)の親リスク欄112を参照し、当該欄に記憶されている親リスクのリスクIDの数をリスクIDごとにカウントし、カウントした数の大きい順番に、所定の閾値の数だけ親リスクのリスクIDを取得し、取得したリスクIDが選択されたと看做す。例えば、図3の1〜4行目のレコードについてこのような処理を行うと、カウントした数は、「R001」については「2」となり、「R002」については「1」となり、「R003」については「1」となる。いま、所定の閾値が「1」であるとする。この場合、コンティンジェンシ費用計算部22は、カウントした数が最も大きい「R001」が選択されたものと看做す。
コンティンジェンシ費用計算部22は、リンク情報32(図3)の子リスク欄113を参照し、当該欄に記憶されている子リスクのリスクIDの数をリスクIDごとにカウントし、カウントした数の大きい順番に、所定の閾値の数だけ子リスクのリスクIDを取得し、取得したリスクIDが選択されたと看做す。例えば、図3の1〜4行目のレコードについてこのような処理を行うと、カウントした数は、「R002」については「1」となり、「R004」については「3」となる。いま、所定の閾値が「1」であるとする。この場合、コンティンジェンシ費用計算部22は、カウントした数が最も大きい「R004」が選択されたものと看做す。
コンティンジェンシ費用計算部22は、ノード情報31(図2)のすべてのレコードについて、影響度欄103の影響度を取得する。そして、取得した影響度の値が大きい順番に、所定の閾値の数だけリスクIDを取得し、取得したリスクIDが選択されたと看做す。
図7に沿って、本実施形態の第3の処理手順を説明する。ノード情報31(図2)及びリンク情報32(図3)についての前提は、第1の実施形態と同様である。
ステップS403において、リスク伝搬推定部24は、期待損失を推定する。ステップS403の処理は、第1の処理手順のステップS202と同じである。
ステップS404において、コンティンジェンシ費用計算部22は、コンティンジェンシ費用を計算する。ステップS404の処理は、第1の処理手順のステップS203と同じである。
ステップS405において、リスクネットワーク表示部21は、リスクネットワークを表示計算する。ステップS405の処理は、第1の処理手順のステップS204と同じである。
リスクパラメタ推定部23は、第2に、ノード情報31のn番目のレコードの発生確率に当該変化値を加算して記憶する。その後、ステップS403に戻る。
ステップS406において、変数nに関連付けられたコンティンジェンシ費用総計を、Tnと表記する。T0は、どのリスクの発生確率に対しても修正が加えられていない状態のコンティンジェンシ費用総計(初期値)である。Tn(n=1、2、・・・)は、n番目のリスクの発生確率に対して所定の変化値だけ修正が加えられた状態でのコンティンジェンシ費用総計である。ここで、感度Snを以下のように定義する。
Sn=(Tn−T0)/T0×100(%)
ステップS409においては、リスクネットワーク表示部21は、感度Snを、リスクの数だけリスクごとに算出することになる。
その後、第3の処理手順を終了する。
本実施形態のリスク管理装置1は、プロジェクトに内在するリスクの相互間の関係をユーザが視認しやすい形式で表示することができる。特に、因果関係(リンク)を介して伝搬する期待損失を表示することによって、あるリスクが他のリスクから受ける影響を、ユーザは容易に知ることができる。さらに、どのリスクが能動的に発生するか、そのリスクの影響度や発生確率をどのように見積もるか等を様々に変化させてシミュレーションすることによって、プロジェクト全体のリスク(コンティンジェンシ費用総計)を比較することができる。
11 中央制御装置(制御部)
12 入力装置
13 出力装置
14 主記憶装置(記憶部)
15 補助記憶装置(記憶部)
21 リスクネットワーク表示部
22 コンティンジェンシ費用計算部
23 リスクパラメタ推定部
24 リスク伝搬推定部
31 ノード情報
32 リンク情報
51 リスクネットワーク表示画面
Claims (5)
- プロジェクトに含まれる複数のリスクと、前記リスク間の因果関係と、を有するリスクネットワークを使用して、前記リスクが前記プロジェクトに与える影響度を前記リスクごとに推定するリスク管理装置であって、
前記リスクに関連付けて、前記リスクが発生する確率及び前記リスクの影響度が記憶される第1の情報と、
前記因果関係に関連付けて、前記因果関係の原因側のリスク、前記因果関係の結果側のリスク、及び、前記原因側のリスクが複数の前記結果側のリスクに対して前記影響度の期待値を移動させる場合の配分比率が記憶される第2の情報と、
が格納される記憶部と、
前記第1の情報を参照し、前記確率及び前記影響度を取得し、前記取得した確率及び影響度に基づいて前記影響度の期待値を、前記リスクごとに計算し、
前記第2の情報を参照し、前記配分比率を取得し、前記取得した配分比率に基づき、あるリスクについての前記影響度の期待値のうち、前記因果関係の原因側のリスクから当該あるリスクに移動してくる第1の部分及び前記因果関係の結果側のリスクに当該あるリスクから移動していく第2の部分を計算し、
当該あるリスクについての前記影響度の期待値に対し、前記第1の部分を加算し、前記第2の部分を減算することによって、前記影響度の期待値を、複数のリスクの間において前記影響度の期待値の移動がなされた後の状態で、前記リスクごとに計算する制御部と、
を有することを特徴とするリスク管理装置。 - 前記制御部は、
検索キーを受け付け、
前記受け付けた検索キーを使用して任意のデータベースを検索し、又は、前記受け付けた検索キーを任意の関数に入力し前記関数の出力を取得することによって、前記リスクが発生する確率及び前記リスクの影響度を推定すること、
を特徴とする請求項1に記載のリスク管理装置。 - 前記制御部は、
発生するべきリスクの選択入力を受け付けることによって、又は所定のルールに従って任意のリスクの前記選択入力を受け付けたと看做すことによって、
前記影響度の期待値を、複数のリスクの間において前記影響度の期待値の移動がなされた後の状態で、前記リスクごとに計算すること、
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリスク管理装置。 - プロジェクトに含まれる複数のリスクと、前記リスク間の因果関係と、を有するリスクネットワークを使用して、前記リスクが前記プロジェクトに与える影響度を前記リスクごとに推定するリスク管理装置のリスク管理方法であって、
前記リスク管理装置の記憶部は、
前記リスクに関連付けて、前記リスクが発生する確率及び前記リスクの影響度が記憶される第1の情報と、
前記因果関係に関連付けて、前記因果関係の原因側のリスク、前記因果関係の結果側のリスク、及び、前記原因側のリスクが複数の前記結果側のリスクに対して前記影響度の期待値を移動させる場合の配分比率が記憶される第2の情報と、
を格納しており、
前記リスク管理装置の制御部は、
前記第1の情報を参照し、前記確率及び前記影響度を取得し、前記取得した確率及び影響度に基づいて前記影響度の期待値を、前記リスクごとに計算し、
前記第2の情報を参照し、前記配分比率を取得し、前記取得した配分比率に基づき、あるリスクについての前記影響度の期待値のうち、前記因果関係の原因側のリスクから当該あるリスクに移動してくる第1の部分及び前記因果関係の結果側のリスクに当該あるリスクから移動していく第2の部分を計算し、
当該あるリスクについての前記影響度の期待値に対し、前記第1の部分を加算し、前記第2の部分を減算することによって、前記影響度の期待値を、複数のリスクの間において前記影響度の期待値の移動がなされた後の状態で、前記リスクごとに計算すること、
を特徴とするリスク管理方法。 - プロジェクトに含まれる複数のリスクと、前記リスク間の因果関係と、を有するリスクネットワークを使用して、前記リスクが前記プロジェクトに与える影響度を前記リスクごとに推定するリスク管理装置を機能させるリスク管理プログラムであって、
前記リスク管理プログラムは、
前記リスク管理装置の記憶部に対し、
前記リスクに関連付けて、前記リスクが発生する確率及び前記リスクの影響度が記憶される第1の情報と、
前記因果関係に関連付けて、前記因果関係の原因側のリスク、前記因果関係の結果側のリスク、及び、前記原因側のリスクが複数の前記結果側のリスクに対して前記影響度の期待値を移動させる場合の配分比率が記憶される第2の情報と、
を格納させ、
前記リスク管理装置の制御部に対し、
前記第1の情報を参照し、前記確率及び前記影響度を取得し、前記取得した確率及び影響度に基づいて前記影響度の期待値を、前記リスクごとに計算し、
前記第2の情報を参照し、前記配分比率を取得し、前記取得した配分比率に基づき、あるリスクについての前記影響度の期待値のうち、前記因果関係の原因側のリスクから当該あるリスクに移動してくる第1の部分及び前記因果関係の結果側のリスクに当該あるリスクから移動していく第2の部分を計算し、
当該あるリスクについての前記影響度の期待値に対し、前記第1の部分を加算し、前記第2の部分を減算することによって、前記影響度の期待値を、複数のリスクの間において前記影響度の期待値の移動がなされた後の状態で、前記リスクごとに計算する処理を実行させること、
を特徴とするリスク管理プログラム。
Priority Applications (1)
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