JP5645500B2 - 放射線撮像装置、放射線撮像システム及び放射線撮像装置の製造方法 - Google Patents

放射線撮像装置、放射線撮像システム及び放射線撮像装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、放射線を検出する放射線撮像装置、放射線撮像システム、放射線撮像装置の製造方法に関し、特に、医療画像診断装置、非破壊検査装置、分析装置等に用いられる放射線撮像装置に関する。
現在、一般的に流通している単結晶半導体ウエハはガラス基板に比べて小型である。そのため、単結晶半導体ウエハを用いて大面積の検出器を形成するには、検出素子を形成した単結晶半導体ウエハを分割して複数の撮像素子チップを形成し、所望の面積となるような数の撮像素子チップを並べて形成している。
特許文献1には、低コスト化のため、撮像素子チップを装置の一部となるベース基板に接着する前に、撮像素子チップの検査と、欠陥が発見された撮像素子チップの交換とを行うことが記載されている。そして、検査と交換の後、撮像素子チップとベース基板とを接着固定することが記載されている。
また、特許文献2には、液晶表示装置におけるリワークのため、液晶表示モジュールユニットとバックライトユニットの固定に用いる両面粘着シートであって、熱膨張性微小球を含有する熱剥離粘着層を用いることが記載されている。
特開2002−139569号公報 特開2008−144116号公報
しかしながら特許文献1の方法では、複数の撮像素子チップとベース基板とを接着した後に、検査によって欠陥が発見された撮像素子チップを交換することは難しい。例えば、欠陥を有している撮像素子チップを剥離する際に、欠陥を有していない撮像素子チップへ外力が加わることによって割れる可能性がある。また、接着剤を溶かすための溶剤によっての欠陥を有していない撮像素子チップの特性低下が発生する可能性がある。
また、特許文献2は、1対1で固定した液晶表示装置の単純な剥離である。
そのため、撮像素子を挟んだ3以上の構成からなる多層構成での撮像素子の交換が容易となる構成が求められていた。
本発明は上述のような問題点に鑑みてなされたものであり、撮像素子の交換が容易な放射線撮像装置を提供することを目的とする。
そして、上記目的を達成するために、本発明に係る放射線撮像装置は、基台と、撮像素子と、シンチレータと、を有し、前記基台と前記撮像素子との間に配置され、前記基台と前記撮像素子とを固定する第1の熱膨張性微小球を含む第1の加熱剥離型粘着層と、前記撮像素子と前記シンチレータとの間に配置され、前記撮像素子と前記シンチレータとを固定する第2の熱膨張性微小球を含む第2の加熱剥離型粘着層と、を有し、前記第1の加熱剥離型粘着層は、第1の熱膨張性微小球を含み、前記第2の加熱剥離型粘着層は、第2の熱膨張性微小球を含み、前記第1の熱膨張性微小球と前記第2の熱膨張性微小球の発泡開始温度は異なる構成としたものである。
本発明によれば、撮像素子の交換が容易な放射線撮像装置を得ることが可能となる。
実施例1における放射線撮像装置の平面図及び断面図である。 加熱剥離型粘着層のセパレータ付きシートの断面図である。 加熱剥離型粘着層の接着力低下の反応・変化を模式的に示した図である。 第1の加熱剥離型粘着層と第2の加熱剥離型粘着層に含まれる熱膨張性微小球の膨張曲線である。 実施例1における放射線撮像装置の製造方法を説明する断面図である。 実施例1における放射線撮像装置の製造方法を説明する断面図である。 実施例1における放射線撮像装置の製造方法を説明する断面図である。 実施例2における放射線撮像装置の部分断面図である。 実施例3における放射線撮像装置を分解した斜視図である。 実施例3における放射線撮像装置の部分断面図である。 実施例3における放射線撮像システムを説明する模式図である。
以下に本発明の放射線撮像装置、放射線撮像システム及び放射線撮像装置の製造方法の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明において、光は可視光、赤外線を含み、放射線はX線、α線、β線、γ線を含む。
図1は、本実施形態の放射線撮像装置である。図1(a)は、放射線撮像装置の平面図であり、図1(b)は図1(a)のA−A’線における放射線撮像装置の断面図である。
図1に示すように、放射線撮像装置1は、基台2と、基台2上に第1の加熱剥離型粘着層3を介して固定された4つの撮像素子4と、撮像素子4上に第2の加熱剥離型粘着層5を介して固定されたシンチレータ6と、を有する。撮像素子4は、撮像素子と外部回路(不図示)との間で信号を転送するための配線基板10が固定されている。4つの撮像素子4は、各撮像素子4が接触した際の電気的機械的な影響を低減するために間隔を有して基台2上に配置されている。なお、基台2に固定された撮像素子4は4つに限定されず、撮像素子4は1つ又は複数配されていればよい。撮像素子4は、スイッチ素子とセンサ部とを有する複数の画素を有する。例えば、CMOSセンサ、CCDセンサ、非晶質シリコン(以下、a−Siと略記)を用いたPIN型やMIS型センサとTFTにより構成された画素を有するa−Siセンサ、SOI(Silicon on insulator)センサ等である。配線基板10は、フレキシブル配線板(FPC)が好適に用いられるが、リジッド配線板を用いることができる。シンチレータ6は、基板7と、X線などの放射線を撮像素子4が感知可能な光に変換するシンチレータ層8と、保護層9と、を有する。基板7は、a−CやAl、樹脂などが用いられる。シンチレータ層8は、X線などの放射線を撮像素子4が感知可能な光に変換するCsI:Tlなどの柱状結晶やGOSなどの粒子状結晶が用いられる。保護層9は外部からの水分や衝撃からシンチレータ層8を保護するため、ポリパラキシリレンやホットメルト樹脂などが用いられる。基台2は、ガラスを用いているが、他に石英、アクリルなどの樹脂、セラミック、金属などが用いられる。放射線撮像装置1の周囲は、外部からの水分などの浸入を低減するように、樹脂11によって基台2とシンチレータ6との間で固定されて内部に撮像素子4が封止されている。配線基板10は樹脂11を貫通して配置されている。樹脂11は、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などが用いられ、光を吸収する黒色の樹脂であることが好ましい。なぜなら撮像素子4が感知可能な波長の光を基台2が透過する場合、他の回路基板の発光素子からの光が撮像素子4に迷光として入射することを防ぎ、画質の低下を低減するためである。第1の熱膨張性微小球を含有する第1の加熱剥離型粘着層3は基台2と撮像素子4との固定、そして、リペアの際に撮像素子4の交換を容易にするためにするために配置されている。第2の熱膨張性微小球を含有する第2の加熱剥離型粘着層5は撮像素子4とシンチレータ6との固定、そして、リペアの際に撮像素子4又はシンチレータ6の交換を容易にするために配置されている。第1の加熱剥離型粘着層3及び第2の加熱剥離型粘着層5は熱反応型であり、所定の温度以上の熱に反応して接着力が低下する特性を有している。そして、第1の加熱剥離型粘着層3及び第2の加熱剥離型粘着層5は接着力が低下する温度が異なる。接着力を低下させるために2種類の異なる温度条件を持っていると言うことは、すなわち異なる加熱温度によって剥離したい対象を選択できるということである。同じ条件で接着力を低下させた場合には、例えばシンチレータ6を取り外す際に撮像素子が一緒に持ち上げられて落下したり、他の撮像素子と接触したりということが可能性としてある。このような場合の、欠陥を有さない撮像素子を故障させてしまう可能性を低減させることができる。
第1の加熱剥離型粘着層3及び第2の加熱剥離型粘着層5は、含有する熱膨張性微小球が加熱により発泡及び/又は膨張し、被着物との接着面積が減少し粘着性が低下するので撮像素子などを安全に分離することが可能である。
接着剤と、発泡剤を含んだ熱膨張性微小球によって構成される。
以下、詳細に説明する。
接着剤としては、ゴム系接着剤、アクリル系接着剤、スチレン・共役ジエンブロック共重合体系接着剤、シリコーン系接着剤などの適宜なものを用いることができ、紫外線硬化型のものなども用いうる。
なお接着剤は、必要に応じて架橋剤、粘着性付与剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤などの適宜な添加剤を配合したものであってもよい。
より具体的には例えば、天然ゴムや各種の合成ゴムをベースポリマーとするゴム系接着剤、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基、ドデシル基、ラウリル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基の如き通例、炭素数が20以下のアルキル基を有するアクリル酸やメタクリル酸の如きアクリル酸系のアルキルエステル、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、グリシジル基の如き官能基含有基を有するアクリル酸やメタクリル酸等のエステル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、N−メチロールアクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン、ビニルエーテルなどを成分とするアクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系接着剤などがあげられる。
接着剤は、被着体に対する接着強度等の使用目的に応じて適宜に選択使用され、加熱により発泡及び/又は膨張する接着層は、その接着剤に発泡剤を配合することで形成することができる。
発泡剤としては、上記の目的を達成できる種々のものを用いることができる。従って例えば、その接着剤の接着処理温度よりも高温で発泡及び/又は膨張する発泡剤が用いられる。用いうる発泡剤の例としては、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素ナトリウム、アジド類などの分解型の無機系発泡剤があげられる。
またアゾ系化合物などの有機系発泡剤も用いうる。その例としては、トリクロロモノフルオロメタンやジクロロモノフルオロメタンの如きフッ化アルカン、アゾビスイソブチロニトリルやアゾジカルボンアミド、バリウムアゾジカルボキシレートの如きアゾ系化合物、パラトルエンスルホニルヒドラジドやジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホニルヒドラジド、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、アリルビス(スルホニルヒドラジド)の如きヒドラジン系化合物、ρ−トルイレンスルホニルセミカルバジドや4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホニルセミカルバジド)の如きセミカルバジド系化合物、5−モルホリル−1,2,3,4−チアトリアゾールの如きトリアゾール系化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミンやN,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミドの如きN−ニトロソ系化合物、その他の低沸点化合物などがあげられる。
さらに、イソブタン、プロパン、ペンタンの如く容易にガス化して熱膨張性を示す適宜な物質をコアセルベーション法や界面重合法等で殻形成物質内に内包させた熱膨張性微小球も用いることができる。用いる熱膨張性微小球の平均粒径は、5〜50μmが一般的である。しかしながら、より微細な熱膨張性微小球も使用可能である。
なお熱膨張性微小球を形成する殻形成物質としては、例えば塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホンなどが一般的であるが、本発明においては熱溶融性物質や熱膨張で破壊する物質などからなっていればよい。
また、第2の加熱剥離型粘着層5は、シンチレータ6が発光する光を撮像素子4が感知する必要があるため光透過性を有する。さらには高透過率であることが好ましい。シンチレータ6からの光が可視光の場合は、可視光の透過率が高いことが必要であり、特にシンチレータ層8の最大発光波長において90%以上であることが好ましい。また、第2の加熱剥離型粘着層5の厚みは、厚くなるほど画像の明りょうさを示す鮮鋭度(MTF)が低下するため、200μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、さらには画素ピッチより小さいことが好ましい。ただし、接着力も必要であるため、1μm以上50μm以下が好ましい。
図3は、第1の加熱剥離型粘着層3の接着力低下の反応・変化を模式的に示した図である。図3左図の加熱前の加熱剥離型粘着層3の表面に対して、図3右図の加熱後は島状に多数の大きな粒子が発生し、粘着力が低下した加熱剥離型粘着層30となっている。なお、加熱剥離型粘着層5も同様である。
図4は、第1の加熱剥離型粘着層3と第2の加熱剥離型粘着層5とに含まれる熱膨張性微小球の膨張曲線を示している。縦軸は、熱膨張性微小球の倍率である。第1の加熱剥離型粘着層3と第2の加熱剥離型粘着層5のうち、低温側で最初に剥離する一方の加熱剥離型粘着層を剥離させる温度より他方の加熱剥離型粘着層の発泡開始温度が高いことが好ましい。最初に剥離する加熱剥離型粘着層は、容易に剥離可能であれば発泡開始温度と最大膨張温度との間の温度で剥離を行ってよい。具体的には、第2の加熱剥離型粘着層5の発泡開始温度5Sは、第1の加熱剥離型粘着層3の発泡開始温度3Sよりも20℃以上異なり、低い発泡開始温度であることが好ましい。言い換えると、3Sは5Sより20℃以上高い発泡開始温度であることが好ましく、第1、第2の加熱剥離型粘着剤3、5を所望の順番に剥離することが容易に可能となる。図4では、第2の加熱剥離型粘着層5の最大膨張温度5Mより第1の加熱剥離型粘着層3の発泡開始温度3Sの方が高い例を示している。このような温度関係とすることで一方が剥離する際に他方の剥離は開始しないため、より安全に剥離を行うことができる。また、複数の撮像素子のうち、一部の撮像素子を剥離する際に特に有効である。なお、第1の加熱剥離型粘着層3の最大膨張温度3Mまで温度を上昇させる必要は必ずしも無い。ここでは、第1の加熱剥離型粘着層3より第2の加熱剥離型粘着層5が低温で発泡を開始する熱膨張性微小球としているが、温度の関係を逆転させても良い。その場合は、撮像素子に対する剥離の順番が、基台、シンチレータとなる。
次に、放射線撮像装置1の製造方法を、図5の各工程の簡易的な断面図によって説明する。
まず、配線基板10を接続した撮像素子4の準備と、基台2の準備と、シンチレータ6の準備を行う(不図示)。本実施例の製造方法では、撮像素子4はシリコン基板を用いたCMOSセンサを、基台2はガラスを、シンチレータ6CsI:Tlを用いた。
図5(a)は、吸着工程であり、ステージ20上に配置された撮像素子4を搬送手段21によって吸着する。ステージ20は各撮像素子4の配置が乱れないように撮像素子4を吸引によって固定する。
図5(b)は、ステージ22上に固定した基台2に撮像素子4を固定部材となる第1の加熱剥離型粘着層3を介して接着する固定工程である。固定部材となる第1の加熱剥離型粘着層3は、加熱によって接着力が低下する材料である。図2(a)で示したセパレータ31、32を剥離して撮像素子4に第1の加熱剥離型粘着層3を固定している。図5(b)では固定部材となる第1の加熱剥離型粘着層3を撮像素子4側に配置しているが、基台2側に配置しても良い。なお、本明細書における「固定」とは、基台2と撮像素子4との間に第1の加熱剥離型粘着層3のみが配置されている構成に加え、他の材料が配置されている構成を含むとする。
図5(c)は、固定工程を所定回数繰り返して撮像素子4を配置し、撮像素子4の検査をする第1の検査工程である。撮像素子4に可視光を照射してプローブ23から信号を読み取って検査を行う。この工程で撮像素子4に異常が発見されると第1の加熱剥離型粘着層3を加熱して欠陥を有する撮像素子を交換する。「欠陥を有する撮像素子」とは、実装中の静電気或いは異物の巻込み、またその他の原因で、許容範囲外の動作や取得画像となる撮像素子を含む。「リペア」とは、欠陥を有する撮像素子の交換に必要な作業を含み、リワークとも称される。
図5(d)は、シンチレータ6を固定部材となる第2の加熱剥離型粘着層5を介して接着する固定工程である。図2(b)で示したセパレータ51、52を剥離してシンチレータ6に第2の加熱剥離型粘着層5を固定している。図5(d)では固定部材となる第2の加熱剥離型粘着層5をシンチレータ6側に配置しているが、撮像素子4側に配置しても良い。第2の加熱剥離型粘着層5の発泡開始温度は、第1の加熱剥離型粘着層3の発泡開始温度よりも20℃低い材料を用いている。当然ながら発泡開始温度を20℃以上、例えば50℃低い材料を用いることが可能である。
図5(e)は、基台2、撮像素子4、シンチレータ6が固定された後の、撮像素子4の第2の検査工程である。シンチレータ6に放射線を照射してプローブ23から信号を読み取って検査を行う。この時点で欠陥を有する撮像素子か否を確認し、欠陥を有する撮像素子と判断されれば当該撮像素子を交換する。さらに、シンチレータ6の検査も行われる。シンチレータ6の欠陥による画質への影響があると判断されればシンチレータ6を交換する。撮像素子4やシンチレータ6の剥離は図6及び図7を用いて説明する。図6はシンチレータ6と撮像素子4とを分離する第1の加熱分離工程を示す断面図である。図6(a)では、ステージ22上に基台2、第1の加熱剥離型粘着層3、撮像素子4、第2の加熱剥離型粘着層5、シンチレータ6の順の積層構造を有する放射線撮像装置を加熱しているようすを示している。放射線撮像装置の周囲の雰囲気の温度を制御できるオーブンで加熱した。なお、加熱方法は他の方法でも良く、例えばシンチレータ6の上側にヒーターを配置して熱伝導により加熱しても良い。そして、図6(b)に示すように、第2の加熱剥離型粘着層5は、加熱によって接着力が低下した第2の加熱剥離型粘着層50となる。その結果、図6(c)に示すように、シンチレータ6は、撮像素子4から容易に取り外すことが可能となる。この時、撮像素子4は第1の加熱剥離型粘着層3によって固定されているため、個々の撮像素子4は安全である。図7は撮像素子4と基台2とを分離する第2の加熱分離工程を示す断面図である。図7(a)では、ステージ22上に基台2、第1の加熱剥離型粘着層3、撮像素子4の順の積層構造を有する装置を加熱(ステージ22側から赤外線を照射)しているようすを示している。加熱方法は他の方法でも良く、オーブン内で加熱しても良く、基台2の裏側にヒーターを配置して熱伝導により加熱しても良い。そして、図7(b)に示すように、第1の加熱剥離型粘着層3は、加熱によって接着力が低下した第1の加熱剥離型粘着層30となる。その結果、図7(c)に示すように、撮像素子4は、基台2から容易に取り外すことが可能となる。撮像素子4の基台2とは反対側の表面を搬送手段などで固定し、加熱すれば安全に所望の撮像素子4を取り外すことができる。なお、図で示したように、第1の加熱剥離型粘着層3が撮像素子毎に分離している場合、交換対象の撮像素子4のみを取り外すことが容易になる。この場合、欠陥を有さない撮像素子4を有効活用できるため、コストの低減が可能となる。欠陥を有する撮像素子を交換した場合は、言うまでもなく、図5(a)〜図5(e)と同様にして加熱剥離型粘着層を介して新たな撮像素子、シンチレータを固定していく。
図5(f)は、検査工程で欠陥が確認されなかった放射線撮像装置の周囲を樹脂11によって封止する封止工程である。この工程によって撮像素子が封止される。配線基板10は封止工程で樹脂11によって固定されるため、樹脂11を貫通している。基台2とシンチレータ6とが容易に剥離しないための強度向上や、外部からの水分などの浸入を低減して信頼性向上が可能になる。
以上のように、撮像素子の交換が容易な放射線撮像装置を得ることが可能となる。そして、撮像素子を取り外した基台の面は、固定部材の残渣が少ないため、次の撮像素子の固定が容易になる。
図8は、第2の実施例を示す放射線撮像装置の部分断面図である。図8の放射線撮像装置においては、図1の放射線撮像装置と同じ構成に関しては同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。筐体15内に実施例1で説明した装置が配置されている。撮像素子4は、シリコン基板に形成されたCMOSセンサである。配線基板10はFPCである。基台2は紫外線を透過するガラスである。シンチレータ6はシンチレータ層としてのCsI:Tlを有する。そして、筐体15内には、基台2、撮像素子4、シンチレータ6が配置されており、シンチレータ6と筐体15との間には緩衝材14が配置されている。撮像素子4と配線基板10を介して信号の転送及び処理を行う回路素子12が配置されている。また、樹脂11の側面には緩衝材13が配置されている。樹脂11、緩衝材13は、撮像素子4が感知する光の波長を吸収する黒色の樹脂が好ましい。そして、緩衝材13は、樹脂11の外周を全て囲んでいることが好ましい。このような構成とすることで、他の回路基板の発光素子からの光が迷光として基台2などを通して撮像素子4へ入射することを防ぎ、画質の低下を低減することができる。
図9は、第3の実施例を示す放射線撮像装置を分解した斜視図である。図10は、本実施例の放射線撮像装置の部分的な断面図である。本実施例の放射線撮像装置においては、図1の放射線撮像装置と同じ構成に関しては同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
本実施例においては、1つの撮像素子を有する放射線撮像装置である。撮像素子4は、ガラス基板41にスイッチ素子42と光電変換素子43が配置されている。
第1の加熱剥離型粘着層3の熱膨張性微小球33は画素ピッチPよりも大きく、第2の加熱剥離型粘着層5の熱膨張性微小球55は画素ピッチPよりも小さい。
第2の加熱剥離型粘着層5の熱膨張性微小球55の平均粒径が、撮像素子4の画素ピッチPより小さいため、熱膨張性微小球55によって散乱した光は大きくは広がらない。そのため、得られる画像の鮮鋭度(MTF)の低下を抑制することができる。これに対して、例えば第2の熱膨張性微小球55の平均粒径を、図中の第1の熱膨張性微小球33のように、画素ピッチより大きなサイズに設定すると、シンチレータ6からの光の散乱が大きくなる。
したがって、剥離の容易性、すなわち交換のしやすさと画質とを両立することができる。
図11は本発明に係わるX線放射線撮像装置のX線診断システム(放射線撮像システム)への応用例を示した図である。X線チューブ6050(放射線源)で発生したX線6060は患者あるいは被験者6061の胸部6062を透過し、シンチレータを上部に実装したイメージセンサ6040(放射線撮像装置)に入射する。この入射したX線には患者6061の体内部の情報が含まれている。X線の入射に対応してシンチレータは発光し、これを光電変換して、電気的情報を得る。この情報はデジタル信号に変換され信号処理手段となるイメージプロセッサ6070により画像処理され制御室の表示手段となるディスプレイ6080で観察できる。なお、放射線撮像システムは、放射線撮像装置と、放射線撮像装置からの信号を処理する信号処理手段とを少なくとも有する。
また、この情報は電話回線6090等の伝送処理手段により遠隔地へ転送でき、別の場所のドクタールームなど表示手段となるディスプレイ6081に表示もしくは光ディスク等の記録手段に保存することができ、遠隔地の医師が診断することも可能である。また記録手段となるフィルムプロセッサ6100により記録媒体となるフィルム6110に記録することもできる。また記録手段となるレーザプリンタによって紙に印刷することもできる。
1 放射線撮像装置
2 基台
3 第1の加熱剥離型粘着層
4 撮像素子
5 第2の加熱剥離型粘着層
6 シンチレータ
7 基板
8 シンチレータ層
9 保護層
10 配線基板
11 樹脂

Claims (15)

  1. 基台と、撮像素子と、シンチレータと、を有し、
    前記基台と前記撮像素子との間に配置され、前記基台と前記撮像素子とを固定する第1の熱膨張性微小球を含む第1の加熱剥離型粘着層と、
    前記撮像素子と前記シンチレータとの間に配置され、前記撮像素子と前記シンチレータとを固定する第2の熱膨張性微小球を含む第2の加熱剥離型粘着層と、を有し、
    前記第1の加熱剥離型粘着層は、第1の熱膨張性微小球を含み、前記第2の加熱剥離型粘着層は、第2の熱膨張性微小球を含み、前記第1の熱膨張性微小球と前記第2の熱膨張性微小球の発泡開始温度は異なることを特徴とする放射線撮像装置。
  2. 前記第1の熱膨張性微小球と前記第2の熱膨張性微小球の発泡開始温度は20℃以上異なることを特徴とする請求項1に記載の放射線撮像装置。
  3. 前記第1の熱膨張性微小球の発泡開始温度より前記第2の熱膨張性微小球の発泡開始温度の方が低いことを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線撮像装置。
  4. 前記撮像素子は画素ピッチPで配置された複数の画素を有し、前記第2の熱膨張性微小球の平均粒径は、前記画素ピッチPより小さいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の放射線撮像装置。
  5. 前記撮像素子は画素ピッチPで配置された複数の画素を有し、前記第2の熱膨張性微小球の平均粒径は、前記画素ピッチPより小さく、且つ50μm以下であり、前記第2の加熱剥離型粘着層の厚みは1μm以上50μm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の放射線撮像装置。
  6. 前記基台と前記シンチレータとの間に配置された前記撮像素子の周囲を囲んで配置された樹脂と、を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の放射線撮像装置。
  7. 前記樹脂を貫通して前記撮像素子に接続された配線基板を更に有する請求項に記載の放射線撮像装置。
  8. 前記撮像素子が複数の撮像素子を有し、
    前記第1の加熱剥離型粘着層は、前記撮像素子毎に分離して配置されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の放射線撮像装置。
  9. 前記第2の加熱剥離型粘着層は、前記シンチレータからの光を透過する光透過性を有ることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の放射線撮像装置。
  10. 基台に固定された複数の撮像素子と、放射線を前記複数の撮像素子が感知可能な波長の光に変換するシンチレータと、を有する放射線撮像装置であって、
    前記複数の撮像素子は、熱膨張性微小球を含む加熱剥離型粘着層によって前記基台に固定されており、
    前記加熱剥離型粘着層は、前記複数の撮像素子毎に分離して配置されていることを特徴とする放射線撮像装置。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の放射線撮像装置と、
    前記放射線撮像装置からの信号を処理する信号処理手段と、を有する放射線撮像システム。
  12. 基台と撮像素子の間に第1の熱膨張性微小球を含む第1の加熱剥離型粘着層を介して固定する工程と、
    前記撮像素子とシンチレータの間に、前記第1の熱膨張性微小球と発泡開始温度が異なる第2の熱膨張性微小球を含む第2の加熱剥離型粘着層を介して前記基台と前記撮像素子とを固定する工程と、を有する放射線撮像装置の製造方法。
  13. 前記基台に固定された前記撮像素子を検査する工程と、
    前記検査する工程において、欠陥を有する撮像素子と判断された場合、前記第1の熱膨張性微小球より発泡開始温度が低い前記第2の熱膨張性微小球を加熱により膨張させ、前記シンチレータを剥離する工程と、を更に有することを特徴とする請求項12に記載の放射線撮像装置の製造方法。
  14. 前記シンチレータを剥離する工程の後、前記欠陥を有する撮像素子を固定しながら前記第1の熱膨張性微小球を加熱により膨張させ、前記欠陥を有する撮像素子を剥離する工程を有することを特徴とする請求項13に記載の放射線撮像装置の製造方法。
  15. 基台と複数の撮像素子の間に前記複数の撮像素子毎に分離して配置された熱膨張性微小球を含む加熱剥離型粘着層を介して前記複数の撮像素子と前記基台とを固定する工程と、
    前記複数の撮像素子とシンチレータを固定する工程と、を有する放射線撮像装置の製造方法。
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