JP5644567B2 - 2次電池の正極活物質、2次電池の正極、および2次電池、ならびに正極活物質の製造方法 - Google Patents

2次電池の正極活物質、2次電池の正極、および2次電池、ならびに正極活物質の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ナトリウム2次電池に用いられる正極活物質、正極、および2次電池、ならびに正極活物質の製造方法に関する。
ナトリウム2次電池の正極活物質として、特許文献1に記載されているものが知られている。この種のナトリウム2次電池は、正極活物質として硫黄または多硫化ナトリウムを用い、負極活物質としてナトリウムを用いている。
特開2001−176544号公報
しかし、上記ナトリウム2次電池(以下、2次電池という。)では、固体電解質としてナトリウムを用いているため、動作温度が300℃〜350℃であり、加熱を要することから、用途が限られている。このため、近年、比較的低い温度で動作する2次電池が提案されている。この種の2次電池は、ナトリウムイオンを放出および吸収する正極活物質と、集電体と、導電助剤と、100℃以下で溶融する溶融塩とにより構成される。この種の2次電池では、正極活物質内に発生する電荷は導電助剤を介して集電体に伝達される。しかし、放電電流量を増大すると、小電流量での使用における放電容量に比べて、放電容量が低下するという問題があった。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、放電電流量の増大にともなう放電容量の低下の割合を小さくすることのできる正極活物質、正極、および2次電池、ならびに正極活物質の製造方法を提供することにある。
以下、上記目的を達成するための手段およびその作用効果について記載する。
(1)請求項1に記載の発明は、2次電池の正極活物質であって、付着導電性物質が付着した亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子を含み、前記付着導電性物質は、導電性を有し、前記亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子の合成とともにカーボン源を炭化することにより得られるカーボンブラックであり、前記正極活物質の全質量に対する前記付着導電性物質の割合は5質量%以上30質量%以下であることを要旨とする。
2次電池は、大電流量で使用するとき、小電流量で使用するときに比べて、放電容量が小さくなる。このため、大電流量で使用するとき、実質的に使用することのできる電力量が少なくなる。これは、大電流量のとき、正極活物質と集電体との間の抵抗による電圧降下が大きくなることに起因して、2次電池の放電終止電圧に至るまでの時間が短くなるためである。
これに対して、本発明では、亜クロム酸ナトリウムに付着導電性物質を付着させている。これにより、亜クロム酸ナトリウムと付着導電性物質との接触抵抗を低下させる。したがって、この正極活物質を用いて2次電池を形成することにより、従来構造の2次電池に比べ、小電流量使用での放電容量に対する大電流量使用での放電容量の低下の割合を小さくすることができる。
また、本発明では、前記付着導電性物質は、前記亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子の合成とともにカーボン源を炭化することにより得られるカーボンブラックである。
ところで、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子に付着導電性物質を付着させる方法は幾つかある。例えば、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子とカーボンブラックとを混合したものを加圧および加熱処理することにより、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子の表面にカーボンブラックを付着させることができる。
これに対し、上記構成のように、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子の合成とともにカーボン源を炭化することによっても、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子の表面にカーボンブラックを付着させることができる。このようにして亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子の表面に付着したカーボンブラックは、上記付着方法による付着導電性物質に比べて、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子の表面により密接した状態で付着するため、カーボンブラックと亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子との間の接触抵抗を、より低下させることができる。
(2)請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の2次電池の正極活物質であって、前記付着導電性物質は炭素を主成分とするものであることを要旨とする。
炭素は、金属に比べ電解液に対して不活性であり、電解液に溶出しない。また、他の導電性有機化合物に比べて、高い導電性を有する。このため、上記発明によれば、腐食の少なくかつ導電性が高い正極活物質とすることができる。
(3)請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の2次電池の正極活物質であって、前記付着導電性物質は、糖類に属する有機化合物、不揮発性の不飽和炭化水素、ヒドロキシ基を含む高分子化合物、またはこれらの混合物により構成される群から選択される少なくとも1種をカーボン源として炭化することにより形成されるものであることを要旨とする。
不揮発性の有機化合物を用いることにより、炭化処理の過程において有機化合物が揮発して除去される割合を少なくすることができる。したがって、不揮発性の有機化合物由来の付着導電性物質によれば、揮発性の有機化合物由来の付着導電性物質に比べて、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子に多く付着するため、導電性の高い正極活物質とすることができる。
(4)請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の正極活物質と、前記亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子内の電荷を伝達する導電助剤と、前記電荷を集める集電体とを備える2次電池の正極であることを要旨とする。
この発明によれば、正極を、正極活物質と集電体との間の抵抗を小さくすることのできる正極活物質を用いて構成しているため、この正極を用いた2次電池を、従来構造の2次電池に比べて、小電流量での放電容量に対する大電流量での放電容量の低下を小さくすることができる。
(5)請求項5に記載の発明は、請求項4に記載された正極と、少なくともナトリウム塩を含む溶融塩と、ナトリウムイオンを放出および吸収する負極と、前記正極と前記負極との間に介在して両極を電気的に隔離するセパレータとを備えたことを特徴とする2次電池であることを要旨とする。
この発明によれば、内部抵抗を低下させることができる正極活物質を含む正極を用いて2次電池を構成しているため、従来構造の2次電池に比べて、小電流量での放電容量に対する大電流量での放電容量の低下を小さくすることができる。
(6)請求項6に記載の発明は、2次電池の正極活物質の製造方法において、酸化クロムの粉末と炭酸ナトリウムの粉末とカーボン源とを混合し、前記酸化クロムの粉末と前記炭酸ナトリウムの粉末と前記カーボン源との混合物を押し固め、押し固められた前記混合物を、不活性ガス雰囲気で、水と酸化クロムと炭酸ナトリウムとの反応および水と酸化クロムとの反応が生じずかつ前記カーボン源が炭化する炭化温度範囲で加熱し、同加熱に続けて、炭酸ナトリウムと酸化クロムとが焼成反応する焼成温度範囲で加熱することを要旨とする。
亜クロム酸ナトリウムの粒子結晶に導電性物質を付着させる方法として、例えば、亜クロム酸ナトリウムとカーボンブラックとを加熱処理することが考えられる。しかし、この方法では、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子の表面に付着するカーボンブラックの量は少ない。これに対して、上記方法では、亜クロム酸ナトリウムの合成とカーボン源の炭化とを同じ加熱処理工程で行なう。この製造方法によれば、亜クロム酸ナトリウムの粒子表面に、先に挙げた方法に比べてより多くのカーボンブラックを亜クロム酸ナトリウムの粒子結晶に付着させることができる。
(7)請求項7に記載の発明は、請求項7に記載の2次電池の正極活物質の製造方法において、前記炭化温度範囲は温度300℃〜400℃であることを要旨とする。
カーボン源は、300℃未満の温度では、カーボン源の炭化が十分に進行しない。400℃より高温のとき、カーボン源の炭化とは異なる反応、例えば、反応系内に存在する水と酸化クロムとの反応が進行する。したがって、上記構成によれば副生成物の形成を抑制することができる。
本発明によれば、放電電流量を増大にともなう放電容量の低下を抑制することのできる正極活物質、正極、および2次電池、ならびに正極活物質の製造方法を提供することができる。
本発明の一実施例の正極活物質の電子顕微鏡写真図。 本発明の一実施例の正極の製造方法について、その製造工程を示すフローチャート。 本発明の一実施例の2次電池の断面構造を示す断面図。 比較構造の2次電池に用いられる正極の製造方法について、その製造工程を示すフローチャート。 従来構造の2次電池について、放電容量と電圧との関係を示すグラフ。 本発明の実施例2の2次電池について、放電容量と電圧とを示すグラフ。 本発明の実施例の2次電池、従来構造の2次電池、および比較構造の2次電池について、カーボン源添加量と放電容量との関係を示すテーブル。 本発明の実施例の2次電池と、比較例の2次電池について、放電レート3Cにおけるカーボン源添加量に対する放電容量の関係を示すグラフ。 本発明の実施例の2次電池と、比較例の2次電池について、放電レート5Cにおけるカーボン源添加量に対する放電容量の関係を示すグラフ。
図1〜図9を参照して本発明の一実施例を説明する。
図1を参照して、2次電池の正極活物質について説明する。図1(A)は、正極活物質の電子顕微鏡写真図である。図1(B)は、図1(A)のコントラストを変え、付着導電性物質と亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子とを明確に区別できるように示した図である。
正極活物質は、2次電池の正極を構成する部材の一要素であり、電解液中で、ナトリウムイオンを出し入れする。正極活物質は、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子が集まって形成された結晶粒子塊と、この結晶粒子塊に付着する付着導電性物質とにより構成されている。なお、結晶粒子塊は図1(A)において白抜きの矢印により示され、付着導電性物質は図1(B)において白抜きの矢印により示されている。
亜クロム酸ナトリウムは、各元素が層状に配列して、六方晶系の結晶体として存在する。亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子の粒径(直径)は0.05μm〜1.0μmにある。複数の亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子が集まって互いに結合する。結晶粒子塊の粒径(直径)は、0.1μm〜数十μmである。亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子の間には、隙間が形成されている。
付着導電性物質は、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子の表面に付着している。また、付着導電性物質は、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子の間の隙間に入り込み、結晶粒子の表面に付着する。なお、付着導電性物質の付着とは、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子の表面の一部分を覆い、この結晶粒子を電解液中においたとき当該付着導電性物質が結晶粒子から離れない態様で密着することを示す。
付着導電性物質の主成分はカーボンブラックである。カーボンブラックは、グルコース等の単糖類、スクロース等の二糖類、その他の多糖類を、炭化処理することにより得られる。炭化処理は、亜クロム酸ナトリウムの合成と同時期に、すなわち酸化クロムの粉末と炭酸ナトリウムの粉末との焼結と同時期に、行なわれる。これにより、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子の表面に、糖類由来のカーボンブラックを付着させることができる。
カーボンブラックのカーボン源としては、上記に挙げた糖類のほか、不揮発性の有機化合物を用いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリスチレン等の炭素数が10以上の不飽和炭化水素、ポリビニルアルコール等のヒドロキシ基を含む炭素数10以上の高分子化合物を用いることができる。
また、糖類、炭素数10以上の不飽和炭化水素、およびヒドロキシ基を含む炭素数10以上の高分子化合物、並びにこれらの混合物により構成される群から選択される2種以上の混合物を、上記カーボンブラックのカーボン源として用いることができる。
なお、付着導電性物質としては、亜クロム酸ナトリウムの合成と同時期に加熱処理して炭化処理することにより得られるカーボンブラックのほか、炭化処理後のカーボンブラック、例えばアセチレンブラック等を用いることもできる。
次に、正極活物質を含む正極の作用効果について説明する。
亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子は、ナトリウムイオンの出し入れにより電荷を発生させるが、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子自体には導電性がない。そこで、亜クロム酸ナトリウムを2次電池の正極として用いるときは、次のような構造とされている。正極は、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子とアセチレンブラック等の導電助剤との混合物を、シート状またはネット状の集電体に接着させた構造となっている。このような構造により、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子により発生した電荷は、導電助剤を介して集電体に伝達される。
しかし、亜クロム酸ナトリウムは六方晶系の結晶体であって表面が平滑である一方、導電助剤は粒子であるため、両者は点でしか接触していない。また、亜クロム酸ナトリウムと導電助剤との接触抵抗は、導電助剤同士の接触抵抗よりも大きい。このため、正極から大電流量を取り出そうとするとき、この接触抵抗による電圧降下が増大し、2次電池の放電終止電圧に至るまでの時間が早くなる。この結果、放電開始から放電停止までの時間が短くなり、小電流量で使用する場合と比較して放電容量が低下する。すなわち、大電流量における2次電池の放電容量の低下は、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子と導電助剤との接触抵抗が大きいことに起因する。
この点、上記構造の正極活物質は、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子の表面に付着導電性物質を有する。このような構造により、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子と付着導電性物質との接触面積が増大させ、電荷伝達効率を向上させている。したがって、このような構造の正極活物質を含む正極を有する2次電池によれば、当該2次電池の大電流量使用における放電容量の低下を小さくすることができる。
図2を参照して、2次電池の正極の製造方法について説明する。
亜クロム酸ナトリウム(NaCrO)の製造には、炭酸ナトリウム(NaCO)の無水物の粉末と酸化クロム(Cr)の粉末とが用いられる。各物質の粉末の平均粒径は1〜2μmとされる。なお、粒度分布において累積質量度数が50%となる径を平均粒径とする。また、この粒度分布は、光散乱式の粒度分布計で計測された粒径の分布を示す。
まず、ステップS100において炭酸ナトリウムを乾燥する。仮に、水を吸収した状態で炭酸ナトリウムについて必要量を秤量すると、炭酸ナトリウムの実質量は必要量よりも水を含む分だけ少なくなる。この場合、酸化クロムが炭酸ナトリウムよりも過剰となるため、焼成後の生成物に、未反応の酸化クロムが残る。
そこで、秤量前に、大気圧下、温度300℃で24時間にわたって加熱する(秤量前乾燥処理)。なお、加熱温度は、300℃〜850℃の範囲で設定することができる。300℃未満の乾燥では炭酸ナトリウムの水和物から水を除去することが困難となる。一方、炭酸ナトリウムは温度851℃で融解するため、秤量前乾燥処理は、この温度よりも低い温度で行なわれる。秤量前乾燥処理において、より好ましい温度範囲は、300℃〜400℃である。
ステップS110では正極活物質の原材料を秤量し、これらを混合する。具体的には、炭酸ナトリウムと酸化クロムとをモル比で1:1とする。また、原材料の全体量に対して、スクロースの量が1〜50質量%となるように、スクロースを秤量する。そして、炭酸ナトリウムと酸化クロムとスクロースとを混合して、混合物を形成する。
スクロースの量は、正極が用いられる2次電池の用途により変更される。例えば、大電流量で駆動する2次電池の正極を製造するときには、スクロースの割合を比較的多くする。小電流量で駆動する2次電池の正極を製造するときには、スクロースの割合を比較的少なくする。
ステップS120では、混合物を耐熱容器に充填し、0.8〜1.0t/cm、好ましくは1.0t/cmの圧力で押し固める(加圧処理)。すなわち、炭酸ナトリウムと酸化クロムとを密接させて、炭酸ナトリウムが溶融したときに両者が反応しやすいようにする。
ステップS130では、耐熱容器に入れた混合物をオーブンに投入し、アルゴン雰囲気で、非反応温度範囲で、加熱する(1次加熱処理)。1次加熱処理は、スクロースの炭化、および炭酸ナトリウムまたは酸化クロムに吸収される水を除去するために行なわれる。例えば、1次加熱処理は温度300℃で行なわれる。
なお、非反応温度範囲とは、スクロースの炭化を開始させるために適した温度範囲であって、スクロースまたは炭酸ナトリウムまたは酸化クロムに吸収されている水を除去することのできる温度範囲に設定されている。非反応温度範囲は、温度300〜400℃に設定されている。
なお、非反応温度範囲の温度範囲の上下限温度は次の理由により設定されている。1次加熱処理の下限温度である300℃は、炭酸ナトリウムの水和物から水を除去することができる下限温度を示す。また、300℃未満の温度では、スクロースの炭化が十分に進行しない。1次加熱処理の上限温度である400℃は、水と酸化クロムとの反応、および水と酸化クロムと炭酸ナトリウムとの反応が生じない上限温度を示す。すなわち、温度が400℃を超えるとき、炭酸ナトリウムと酸化クロムと水との反応または酸化クロムと水との反応により、6価のクロム化合物(例えば、NaCrO)およびCrOOHが生成するおそれがある。このため、1次加熱処理は400℃以下で行なわれる。
ステップS140では、1次加熱処理に続いて、オーブンの温度を焼成温度範囲まで上げて、炭酸ナトリウムと酸化クロムとスクロースの混合物をさらに加熱する(2次加熱処理)。焼成開始温度とは、炭酸ナトリウムと酸化クロムとの反応開始温度を示す。具体的には、2次加熱処理は、温度850℃で行なわれる。
なお、2次加熱処理の温度は、850℃〜2400℃の範囲で設定することができる。2次加熱処理の下限温度である850℃は、炭酸ナトリウムと酸化クロムとが安定して焼成反応する下限温度である。2次加熱処理の上限温度である2400℃は、酸化クロムの溶融点よりも低い値である。2次加熱処理の温度の好ましい範囲は、850℃〜900℃である。オーブンの温度を900℃以上とすると、溶融した炭酸ナトリウムが流動して、炭酸ナトリウムが酸化クロムと反応する前に流れ出し、酸化クロムと炭酸ナトリウムとが分離する。この結果、酸化クロムと炭酸ナトリウムの未反応物が増大し、亜クロム酸ナトリウムの収率が低下する。
ステップS150では、2次加熱処理後の生成物を耐熱容器から取り出し、これを粉砕機で粉砕し、粉状にする。粒径は、用途に応じた大きさにされる。例えば、2次電池の電極に用いるときは、0.1μm〜数十μmとする。以上の工程により、正極活物質が形成される。
ステップS160では、2次電池の正極を形成するために、正極活物質と、導電助剤と、バインダと、溶剤とを混合して、粘土状のスラリを形成する。具体的には、上記製造した正極活物質と、導電助剤としてのアセチレンブラックと、バインダとしてのポリフッ化ビニリデンと、溶剤としてのN−メチル−2−ピロリドンとを、質量比で85:10:5:50の割合で混ぜ合わせてスラリを形成する。
ステップS170では、直径100μm、気孔率80%のアルミニウム不織布に上記スラリを充填して、1.0t/cmでプレスし、所定の厚さに成形する。そして、アルミニウム不織布にスラリを充填したものを温度500℃〜900℃で加熱処理し、スラリを固める。以上の工程により、2次電池の正極が形成される。
図3を参照して、2次電池の構造について説明する。
2次電池1(溶融塩電池)は、正極10と、負極20と、正極10および負極20との間に配置されるセパレータ30と、正極10および負極20およびセパレータ30を収容する収容ケース40とを備える。収容ケース40内には溶融塩が満たされている。なお、以下では、2次電池1を構成する部材について、正極10から負極20に向かう方向の寸法を「厚み」とする。
収容ケース40は、正極10に接続される正極ケース41と、負極20に接続される負極ケース42と、正極ケース41と負極ケース42との間を封止する封止部材43と、負極20を正極10の方向に押圧する板ばね44とにより構成されている。正極ケース41および負極ケース42は外部装置と接続する端子としても機能する。封止部材43は、正極活物質および負極活物質および溶融塩によって腐食されないフッ素系の弾性部材により形成されている。正極ケース41および負極ケース42は、正極活物質および負極活物質および溶融塩により腐食しない導電性部材、例えばアルミニウム合金により形成されている。
溶融塩としては、例えば、下記の式(1)で示されるアニオン(以下、「FSA」)とナトリウムカチオンとカリウムカチオンとを含むもの(以下、NaFSA−KFSA)が用いられる。NaFSA−KFSAの組成は0.45mol%、0.55mol%とされる。この組成のとき共晶温度は57℃となる。
・R1およびR2はそれぞれF(フッ素)を示す。
負極20としては、例えば、Sn−Na合金が用いられる。負極20の芯部はSnであり、表面がSn−Na合金となっている。Sn−Na合金は、メッキでSn金属にNaを析出させることにより、形成される。
セパレータ30は、正極10と負極20とが接触しないように両極を隔離するものであり、溶融塩を通過させる。具体的には、厚み200μmのガラスクロスがセパレータ30として用いられている。
次に、上記正極構造を有する2次電池と、従来構造の2次電池と、比較構造の2次電池とを比較して、実施例の2次電池の放電容量に関する特徴を説明する。まず、従来構造の2次電池および比較構造の2次電池について説明する。
従来構造の2次電池は、正極活物質に付着導電性物質が存在しない点において、上記実施例の2次電池と異なる。その他の構造および製造方法は、上記実施例の2次電池と同様である。
比較構造の2次電池は、次の点で上記実施例の2次電池と異なる。すなわち、正極活物質に含まれるカーボンブラックの種類が異なり、また正極活物質へのカーボンブラックの導入方法が異なっている。以下、この点について具体的に説明する。
比較構造の2次電池では、正極活物質に含まれるカーボンブラックのカーボン源として、アセチレンブラックを用いている。すなわち、上記実施例では、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子に付着させるカーボン源として炭化する前の有機化合物を用いているのに対して、比較構造の2次電池の正極では、正極活物質に含めるカーボン源として、炭化したものを用いている。
比較構造の2次電池の製造方法は、次の点で、上記実施例の製造方法と異なる。すなわち、上記実施例の正極の製造方法では、亜クロム酸ナトリウムの合成工程と同時に付着導電性物質を合成する。すなわち、亜クロム酸ナトリウムの原料である炭酸ナトリウムおよび酸化クロムと、付着導電性物質の原料であるスクロースとを混合して、一緒に加熱する。これに対して、比較構造の正極の製造方法では、まず、亜クロム酸ナトリウムを合成する。そして、亜クロム酸ナトリウムを粉状に粉砕し、この粉状の亜クロム酸ナトリウムとアセチレンブラックとを混合し、焼結し、これを粉砕する。これによって、アセチレンブラックを含む正極活物質の粒状物を形成する。そして、この正極活物質を用いて、上記実施例と同様にスラリを形成して加熱処理し、正極を形成する。
図4を参照して、比較構造の正極の製造方法について説明する。
ステップS200〜ステップS250の処理は、ステップS210以外、上記実施例のステップS100〜S150と同様の処理を行なう。ステップS210の工程では、実施例と秤量する材料が異なる。すなわち、炭酸ナトリウムと酸化クロムとの秤量し、両者を混合する。なお、ステップS200〜ステップS250の過程では、亜クロム酸ナトリウムを合成する。
ステップS260〜ステップS300では、アセチレンブラックを含む正極活物質の合成を行なう。具体的には、ステップS260では、亜クロム酸ナトリウムとアセチレンブラックを所定比率で秤量し、両者を混合する。次いで、ステップS270において、約1.0t/cmの圧力で押し固める(加圧処理)。次いで、ステップS280およびステップS290において、耐熱容器に入れた混合物をオーブンに投入し、アルゴン雰囲気で、非反応温度範囲で、加熱する(1次加熱処理)。さらに、1次加熱処理に続けて、オーブンの温度を焼成温度範囲まで上げて、炭酸ナトリウムと酸化クロムとアセチレンブラックの混合物をさらに加熱する(2次加熱処理)。ステップS300において、2次加熱処理の終了後、生成物を粉砕機で粉砕し、粉状にする。以上の工程により、正極活物質が形成される。
ステップS310およびS320の処理は、上記実施例のステップS160およびステップS170と同様の処理を行なう。すなわち、上記正極活物質を用いてスラリを形成して、これを加熱処理することにより正極を形成する。
図5〜図7を参照して、上記正極構造を有する2次電池と、上記従来構造の2次電池と、上記比較構造の2次電池とを比較し、各構造の2次電池の放電特性について説明する。放電特性の試験に用いた具体的な電池構造は、次のとおりである。
[正極構造]
・単位面積当たりの正極活物質の質量を、80mg/cmとする。
・正極の厚みを、0.5mmとする。
・正極の面積(セパレータに対向する面の大きさ)を、1.0cmとする。
・集電体として、アルミニウム不織布を使用する。
・測定用の端子(出力端子)は、アルミニウム端子を使用する。
[負極]
・負極として、Sn−Na合金を使用する。
[セパレータ]
・セパレータとして、厚み200μmのガラスクロスを使用する。
[電解液]
・電解液として、NaFSA−KFSAを使用する。
・NaFSAとKFSAとの組成比は、0.45mol%:0.55mol%とする。
図5は、従来構造の2次電池について、各放電レートにおける電圧および放電容量の関係を示す。
放電容量は、所定の放電レートで放電して、放電終止電圧に至るまでの電気容量を示す。電圧は、2次電池の正極と負極との間の電位差を示す。放電レートとしては、放電温度20℃において1時間で放電終了となる75mAh/gを「1C」として、0.5C、1C、2C、3C、および5Cの放電レートで測定した。本計測では、放電終始電圧を2.5Vとする。
従来構造の2次電池は、同図に示されるように、放電レートが高くなるほど、放電容量が低下する。放電レートを3Cにしたときの放電容量は、放電レートを1Cにしたときの放電容量の約5分の1となっている。放電レートを5Cにしたときは、放電容量はさらに低くなっている。これは、放電レートを高くするほど、すなわち大電流量で2次電池を使用するときほど、亜クロム酸ナトリウムから集電体までの抵抗による電圧降下が大きくなることに起因する。
図6は、上記実施例(図7の実施例2に対応)について、各放電レートにおける電圧および放電容量の関係を示す。
実施例2の2次電池は、同図に示されるように、放電レート1Cに対する放電レート2C、3C、5Cにおける放電容量の低下の割合は、従来構造の2次電池に比べて、小さい。これは、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子の表面に付着導電性物質を付着させることにより、亜クロム酸ナトリウムから集電体までの抵抗を小さくしたことによる。
なお、図示しないが、比較構造の2次電池は、放電レート1Cに対する放電レート2C、3Cにおける放電容量の低下の割合は、従来構造の2次電池に比べて、小さい。これは、実施例の2次電池と同様の理由、すなわち亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子の表面に付着導電性物質を付着させることにより、亜クロム酸ナトリウムから集電体までの抵抗を小さくしたことによる。
図7を参照して、上記正極構造を有する2次電池と、上記従来構造の2次電池と、上記比較構造の2次電池とを比較して、各構造の2次電池の放電容量について説明する。同図は、各2次電池について、各放電レートでの放電容量をまとめた表である。
カーボン源添加量は、正極活物質の全体に質量に対する付着導電性物質の割合(質量%)を示す。従来例は、従来構造を有する2次電池を示し、カーボン源添加量は0%である。実施例1〜4は、上記実施例の構造を有する2次電池を示し、カーボン源添加量は5〜30%との間の値とされている。比較例1〜4は、上記比較構造の2次電池を示し、カーボン源添加量は1〜10%との間の値とされている。
同図に示すように、放電レート0.5C、1Cにおいては、従来例、実施例1〜2、比較例1〜4は、放電容量は略同じである。しかし、放電レート2C、3C、5Cにおいては、各構造の放電容量は異なる。
放電レート2Cにおいては、従来構造の2次電池の放電容量が、放電レート1Cの場合と比較して大きく低下している。一方、実施例1〜4および比較例1〜4の放電容量は、1Cの場合と比較して低下の割合は、従来構造の2次電池の場合と比べて小さい。特に、実施例1〜4の放電容量は、放電レート1Cの場合と比較した低下の割合は、比較例1〜4の放電容量の低下の割合に比べても、小さい。
放電レート3Cおよび5Cについても、同様の傾向がある。さらに、5Cについては、実施例のうちでも、カーボン源添加量の割合が最も大きい2次電池(実施例4)が放電容量の低下が最も小さい。
これは次の理由によると考えられる。一般的には、高レートになるほど、亜クロム酸ナトリウムから集電体までの抵抗による電圧降下が大きくなるため、放電容量を低下させると考えられる。これに対して、実施例1〜4および比較例1〜4の2次電池では、付着導電性物質により、亜クロム酸ナトリウムと導電助剤との接触抵抗を低下させている。これにより、従来構造の2次電池および比較例の2次電池に比べて、放電レート1Cにおける放電容量に対する高レートでの放電容量の低下を小さくさせている。
特に、実施例1〜4の2次電池は、比較例1〜4の2次電池に比べても、放電レート1Cにおける放電容量に対する高レートでの放電容量の低下を小さい。これは、上記製造方法によって付着導電性物質を亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子の表面に密着させているためと考えられる。また、実施例1〜4においては、実施例4が、放電レート1Cにおける放電容量に対する高レートでの放電容量の低下が最も小さくなっている。
図8および図9を参照して、カーボン源添加量の割合に対する放電容量の関係を説明する。
図8は、図7の実施例1〜4および比較例1〜4のデータに基づいて、放電レート3Cについて、カーボン源添加量に対する放電容量の関係をまとめたグラフである。図9は、図7の実施例1〜4および比較例1〜4のデータに基づいて、放電レート5Cについて、カーボン源添加量に対する放電容量の関係をまとめたグラフである。
図8に示すように、放電レート3Cの条件下では、実施例は、カーボン源添加量の割合を増大させるほど、放電容量が増大し、カーボン源添加量の割合を20%以上とすると放電容量は一定値となっている。これに対して、比較例は、カーボン源添加量の割合を増大させても、放電容量は殆ど変わっていない。
図9に示すように、放電レート5Cの条件下では、実施例は、カーボン源添加量の割合を増大させるほど、放電容量が増大している。これに対して、比較例は、カーボン源添加量の割合を増大させても、放電容量は殆ど変わっていない。
以上の傾向によれば、実施例の2次電池においては、高レートにおける使用条件下にあっては、カーボン量の割合を増大させることにより、1Cにおける放電容量に近づけることができる。
本実施例によれば以下の作用効果を奏することができる。
(1)本実施例では、付着導電性物質が付着した亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子を含むものとして正極活物質を構成する。
2次電池は、大電流量で使用するとき、小電流量で使用するときに比べて、放電容量が小さくなる。このため、大電流量で使用するとき、実質的に使用することのできる電力量が少なくなってしまう。これは、大電流量のとき、正極活物質と集電体との間の抵抗による電圧降下が大きくなって、2次電池の放電終止電圧に至るまでの時間が短くなるためである。
これに対して、上記構成では、亜クロム酸ナトリウムに付着導電性物質を付着させている。これにより、亜クロム酸ナトリウムと付着導電性物質との接触抵抗を低下させ、正極活物質と集電体との間の抵抗を低下させることができる。したがって、この正極活物質を用いて2次電池を形成することにより、従来構造の2次電池に比べ、小電流量使用での放電容量に対する大電流量使用での放電容量の低下の割合を小さくすることができる。
(2)本実施例では、付着導電性物質は、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子の合成とともにカーボン源を炭化することにより得られるカーボンブラックである。
ところで、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子に付着導電性物質を付着させる方法は幾つかある。例えば、比較例を挙げて説明したように、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子とアセチレンブラックとを混合したものを加圧および加熱処理することにより、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子の表面にカーボンブラックを付着させることができる。このような構成により、付着導電性物質のない亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子よりも、アセチレンブラックと亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子との間の接触抵抗を低下させることができる。
これに対し、実施例を挙げて説明したように、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子の合成とともにカーボン源を炭化することによっても、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子の表面にカーボンブラックを付着させることができる。このようにして亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子の表面に付着したカーボンブラックは、上記付着方法による付着導電性物質に比べて、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子の表面により密接した状態で付着するため、カーボンブラックと亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子との間の接触抵抗を、さらに低下させることができる。
(3)本実施例では、付着導電性物質として、炭素を主成分とするカーボンブラックを用いている。カーボンブラックは、金属に比べ電解液に対して不活性であり、電解液に溶出しない。また、他の導電性有機化合物に比べて、高い導電性を有する。このため、上記構成によれば、腐食の少なくかつ導電性が高い正極活物質とすることができる。
また、カーボンブラックと導電助剤との接触抵抗は、亜クロム酸ナトリウムと導電助剤との接触抵抗よりも小さいため、正極活物質と集電体との間の抵抗をより低下させることができる。
(4)本実施例では、付着導電性物質は、糖類に属する有機化合物、不揮発性の不飽和炭化水素、ヒドロキシ基を含む高分子化合物、またはこれらの混合物により構成される群から選択される少なくとも1種をカーボン源として炭化することにより、形成されるものである。
不揮発性の有機化合物を用いることにより、炭化処理の過程において有機化合物が揮発して除去される割合を少なくすることができる。したがって、不揮発性の有機化合物由来の付着導電性物質によれば、揮発性の有機化合物由来の付着導電性物質に比べて、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子に多く付着するため、導電性の高い正極活物質とすることができる。なお、糖類に属する有機化合物は不揮発性の有機化合物に含まれる。
(5)本実施例では、2次電池1の正極10を、上記構成の正極活物質と、導電助剤と、集電体とを備える構成としている。
この構成によれば、正極10を、正極活物質と集電体との間の抵抗を小さくすることのできる正極活物質を用いて構成するため、この正極10を用いた2次電池1を、従来構造の2次電池に比べて、小電流量使用での放電容量に対する大電流量使用での放電容量の低下の割合を小さくすることができる。
また、別の観点からみれば、正極10は、2種類の導電性物質を有するものとして把握される。すなわち、正極10には付着導電性物質と導電助剤とが含まれる。付着導電性物質は、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子の表面に接着してその表面に導電性を付与するとともに、結晶表面の凹凸を少なくする。これにより、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子の周囲に存在する導電助剤と亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子との接点を増大させて、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子と集電体との間の導通経路を増大させることができる。
すなわち、上記付着導電性物質が亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子に付着することに起因する接触抵抗の低下、および上記2種類の導電性物質が存在するによる導電経路の増大により、導電助剤のみにより構成される従来構造の正極に比べて、正極10内の内部抵抗をより低下させることができる。
(6)本実施例では、2次電池1を、上記構成の正極10と、少なくともナトリウム塩を含む溶融塩と、ナトリウムイオンを放出および吸収する負極20と、正極10と負極20との間に介在して両極を電気的に隔離するセパレータ30とを備えた構成とする。
この構成によれば、内部抵抗を低下させることができる正極活物質を含む正極10を用いて2次電池1を構成しているため、従来構造の2次電池に比べて、小電流量使用での放電容量に対する大電流量使用での放電容量の低下の割合を小さくすることができる。
(7)本実施例では、2次電池の正極活物質を次のように製造する。酸化クロムの粉末と炭酸ナトリウムの粉末とスクロースとを混合し、酸化クロムの粉末と炭酸ナトリウムの粉末とスクロースとの混合物を押し固める。次いで、押し固められた混合物を、不活性ガス雰囲気で、炭化温度範囲で加熱し、同加熱に続けて、炭酸ナトリウムと酸化クロムとが焼成する焼成温度範囲で加熱する。
例えば、亜クロム酸ナトリウムの粒子結晶に導電性物質を付着させる方法として、上記比較構造の正極を例に説明したように、亜クロム酸ナトリウムとアセチレンブラックとを加熱処理することが考えられる。しかし、この方法では、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子の表面に付着するアセチレンブラックの量は少ない。これに対して、上記本実施例の製造方法では、亜クロム酸ナトリウムの合成と、カーボン源の炭化とを同じ加熱処理工程で行なう。この製造方法によれば、亜クロム酸ナトリウムの粒子表面に、比較構造の正極の製造方法に比べてより多くのカーボンブラックを亜クロム酸ナトリウムの粒子結晶に付着させることができる。
(8)本実施例では、2次電池の正極活物質の製造方法において、炭化温度範囲は温度300℃〜400℃とする。カーボン源は、300℃未満の温度では、カーボン源の炭化が十分に進行しない。400℃より高温のとき、カーボン源の炭化とは異なる反応、例えば、水と酸化クロムとの反応が進行する。したがって、上記構成によれば副生成物の形成を抑制することができる。
(変形例)
なお、本発明の実施形態は上記実施例にて示した態様に限られるものではなく、これを例えば以下に示すように変更して実施することもできる。また以下の各変形例は、上記各実施例についてのみ適用されるものではなく、異なる変形例同士を互いに組み合わせて実施することもできる。
・上記実施例では、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子に付着させる付着導電性物質は、酸化クロムの粉末と炭酸ナトリウムの粉末とカーボン源とを混合し、加熱処理することにより、亜クロム酸ナトリウムとともに合成する。これに対して、次の方法により、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子に付着する付着導電性物質を合成することができる。すなわち、まず、亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子を形成する。次いで、粉状の亜クロム酸ナトリウムとスクロース等のカーボン源とを混合し、不活性ガス雰囲気で加熱処理する。このような工程によっても、亜クロム酸ナトリウムの粒子結晶の表面に、付着導電性物質を形成することができる。
1…2次電池、10…正極、20…負極、30…セパレータ、40…収容ケース、41…正極ケース、42…負極ケース、43…封止部材、44…板ばね。

Claims (7)

  1. 2次電池の正極活物質であって、
    付着導電性物質が付着した亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子を含み、
    前記付着導電性物質は、導電性を有し、前記亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子の合成とともにカーボン源を炭化することにより得られるカーボンブラックであり、
    前記正極活物質の全質量に対する前記付着導電性物質の割合は5質量%以上30質量%以下である
    ことを特徴とする2次電池の正極活物質。
  2. 請求項1に記載の2次電池の正極活物質であって、
    前記付着導電性物質は炭素を主成分とするものである
    ことを特徴とする2次電池の正極活物質。
  3. 請求項1または2に記載の2次電池の正極活物質であって、
    前記付着導電性物質は、糖類に属する有機化合物、不揮発性の不飽和炭化水素、ヒドロキシ基を含む高分子化合物、またはこれらの混合物により構成される群から選択される少なくとも1種をカーボン源として炭化することにより形成されるものである
    ことを特徴とする2次電池の正極活物質。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の正極活物質と、前記亜クロム酸ナトリウムの結晶粒子内の電荷を伝達する導電助剤と、前記電荷を集める集電体とを備える2次電池の正極。
  5. 請求項4に記載された正極と、少なくともナトリウム塩を含む溶融塩と、ナトリウムイオンを放出および吸収する負極と、前記正極と前記負極との間に介在して両極を電気的に隔離するセパレータとを備えたことを特徴とする2次電池。
  6. 2次電池の正極活物質の製造方法において、
    酸化クロムの粉末と炭酸ナトリウムの粉末とカーボン源とを混合し、
    前記酸化クロムの粉末と前記炭酸ナトリウムの粉末と前記カーボン源との混合物を押し固め、
    押し固められた前記混合物を、不活性ガス雰囲気で、水と酸化クロムと炭酸ナトリウムとの反応および水と酸化クロムとの反応が生じずかつ前記カーボン源が炭化する炭化温度範囲で加熱し、同加熱に続けて、炭酸ナトリウムと酸化クロムとが焼成反応する焼成温度範囲で加熱する
    ことを特徴とする2次電池の正極活物質の製造方法。
  7. 請求項6に記載の2次電池の正極活物質の製造方法において、
    前記炭化温度範囲は温度300℃〜400℃である
    ことを特徴とする2次電池の正極活物質の製造方法。
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