JP2011006286A - リチウム含有複合酸化物の製造方法と該製造方法で得られたリチウム含有複合酸化物の利用 - Google Patents

リチウム含有複合酸化物の製造方法と該製造方法で得られたリチウム含有複合酸化物の利用 Download PDF

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Abstract

【課題】低温の焼成で高い結晶性を有するリチウム含有複合酸化物を製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明により提供されるリチウム含有複合酸化物製造方法は、(1)リチウム源と、コバルト、ニッケルおよびマンガンからなる群より選択される少なくとも1種または2種以上の遷移金属元素源とを包含するリチウム含有複合酸化物を構成するための出発原料と、水溶性無機化合物と、有機酸と、水系溶媒とを混合して原料混合物を調製する工程、(2)上記原料混合物を乾燥する工程、および、(3)上記乾燥させた原料混合物を上記水溶性無機化合物の融点を上回る温度で加熱して焼成する工程;を包含する。
【選択図】図3

Description

本発明は、リチウム二次電池の正極材料として好適に用いられ得るリチウム含有複合酸化物の製造方法に関する。また、該製造方法により得られたリチウム含有複合酸化物の利用に関する。
近年、リチウム二次電池、ニッケル水素電池その他の二次電池は、車両搭載用電源、あるいはパソコンおよび携帯端末の電源として重要性が高まっている。特に、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウム二次電池は、車両搭載用高出力電源として好ましく用いられるものとして期待されている。
リチウム二次電池は、電荷担体となるリチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出し得る材料(電極活物質)が導電性部材(電極集電体)に保持された構成の電極を備え、さらなる高エネルギー密度化および高出力化を実現し得るため、上記電極活物質材料の検討が行われている。例えば、正極に用いられる正極活物質材料としては、一般式がLiMOまたはLiM(MはCo、NiおよびMnのうちの少なくとも一種以上の元素)で表記されるニッケル・コバルト系、ニッケル・コバルト・マンガン系、またはニッケル・マンガン系などのリチウム含有複合酸化物が用いられている。
上記リチウム含有複合酸化物の合成方法として、一般に、原料となる粉末状の化合物を所定の組成となるように秤量して混合した後、焼成を行って合成する方法が挙げられる。例えば、特許文献1には、マンガン酸リチウム(LiMn)の製造方法について開示されており、かかる製造方法では、マンガン酸リチウムを構成するための出発原料に溶融塩を添加することにより、低温かつ短時間で焼成している。
特開2001−64020号公報
ところで、リチウム含有複合酸化物は、結晶性が高く微細粒であるほど、該リチウム含有複合酸化物を正極活物質として使用したリチウム二次電池は、優れた電池特性(例えば電池容量、サイクル特性)を有する。このような結晶性の高いリチウム含有複合酸化物は、高温で焼成して合成することにより得られるが、高温での焼成は時間を要し、尚且つ高温焼成が可能な加熱炉等の設置や稼働にかかる費用の負担が大きい。そのため、より低温域での焼成によって結晶性の高いリチウム含有複合酸化物を合成する方法が望まれる。
特許文献1では、比較的低温域での焼成を実現しているが、出発原料に溶融塩を添加して混合する工程の詳細な手順については開示されておらず、そのため、焼成前の原料混合物の状態の如何によっては溶融塩が不均一に混合され、結晶構造が密で微細粒のマンガン酸リチウムを安定的に合成できない虞がある。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、低温域での焼成によっても高い結晶性を有するリチウム含有複合酸化物を製造し得る方法を提供することである。また、そのような製造方法で製造された高結晶性のリチウム含有複合酸化物を使用した正極ならびに該正極を備えるリチウム二次電池の提供を他の目的とする。
上記目的を実現するべく本発明により、リチウムと、コバルト、ニッケルおよびマンガンからなる群より選択される少なくとも1種または2種以上の遷移金属元素とを含むリチウム含有複合酸化物を製造する方法を提供する。本発明に係る製造方法は、(1)リチウム源と、コバルト、ニッケルおよびマンガンからなる群より選択される少なくとも1種または2種以上の遷移金属元素源とを包含する上記リチウム含有複合酸化物を構成するための出発原料と、水溶性無機化合物と、有機酸とを、水系溶媒で混合して原料混合物を調製する工程、(2)上記原料混合物を乾燥する工程、および、(3)上記乾燥させた原料混合物を上記水溶性無機化合物の融点を上回る温度で加熱して焼成する工程;を包含する。
なお、本明細書において「リチウム二次電池」とは、電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間のリチウムイオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池をいう。一般にリチウムイオン電池と称される二次電池は、本明細書におけるリチウム二次電池に包含される典型例である。
なお、本明細書において「正極活物質」とは、二次電池において電荷担体となる化学種(例えばリチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出(典型的には挿入および脱離)可能な正極側の活物質をいう。
本発明の製造方法によると、リチウムと、コバルト、ニッケルおよびマンガンからなる群より選択される少なくとも1種または2種以上の遷移金属元素とを含むリチウム含有複合酸化物を提供することができる。
リチウム含有複合酸化物の結晶性が高いほど、該複合酸化物を正極活物質として使用したリチウム二次電池は、優れた電池特性(例えば電池容量、充放電特性)を有するところ、従来は結晶構造が密であるリチウム含有複合酸化物を製造するには高温条件下(例えば1000℃以上)で焼成することが求められていた。しかしながら、高温での焼成は時間を要し、また、高温焼成が可能な加熱炉等の用意や稼働等に伴うコスト負担が大きい。
そこで、より低温域での焼成で結晶性の高いリチウム含有複合酸化物を製造すべく、本発明によって提供される製造方法では、上記リチウム含有複合酸化物を構成するための出発原料に、水溶性無機化合物と、有機酸とを添加する。このことにより、ここで開示される製造方法によると、従来よりも低温域での焼成によっても結晶性がより高められたリチウム含有複合酸化物を製造することができる。
原料混合物を構成する材料として添加する水溶性無機化合物(好ましくは融点が800℃以下、特に好ましくは融点が500℃以下の水溶性無機化合物)は、水系溶媒を用いてリチウム含有複合酸化物を構成するための出発原料と混合させた際に直ちに溶解し、該無機化合物が均一に拡散または浸透された状態の原料混合物を調製することができる。かかる状態の原料混合物を乾燥させて焼成工程で加熱すると、該水溶性無機化合物は溶融し、熱エネルギーがリチウム含有複合酸化物を構成する出発原料に付加される。その結果、熱エネルギーが付加された出発原料は、低温域(例えば500〜800℃)の焼成でもリチウム含有複合酸化物の結晶成長が促進される。これにより、高温での焼成を行うことなく、結晶性が高められたリチウム含有複合酸化物を製造することができる。
また、ここで開示される製造方法では、好ましくは原料混合物調製工程において有機酸を同時に添加する。この場合、焼成工程で加熱された有機酸は炭化し、リチウム含有複合酸化物の結晶表面に均一にコーティングされた導電性を有する炭素膜となり得る。従って、低温の焼成でもリチウム含有複合酸化物の結晶が安定して成長し、結晶性が高く導電性に優れたリチウム含有複合酸化物を提供することができる。
ここに開示される方法の好ましい一態様では、上記焼成工程後、該工程で得た焼成物を粉砕し水系溶媒で洗浄する。
焼成物を適当な手段で粉砕、造粒および分級することにより、粒状のリチウム含有複合酸化物を得ることができる。そして、粒状のリチウム含有複合酸化物を水系溶媒で洗浄することにより、該リチウム含有複合酸化物以外の不純物、例えば、未反応の水溶性無機化合物等を容易に除去することができる。その結果、純度の高いリチウム含有複合酸化物を高収率で得ることができる。
また、好ましい他の一態様では、上記焼成工程において、上記乾燥させた原料混合物を500℃を上回り且つ800℃を上回らない温度域で加熱する。
上記焼成工程では、上記水溶性無機化合物の融点を上回る温度であって、典型的には、500℃を上回り且つ800℃を上回らない温度域(好ましくは600〜800℃、より好ましくは650〜750℃、例えば700℃程度)で原料混合物を加熱することにより、リチウム含有複合酸化物の結晶構造の密度を好適に高めることができる。その結果、該リチウム含有複合酸化物を正極活物質として使用したリチウム二次電池では、優れた電池特性(例えば電池容量、充放電特性)を備え得る。
好ましくは、上記水溶性無機化合物としてホウ酸を使用する。ホウ酸は融点が500℃以下(例えば融点が200℃以下)の水溶性無機化合物の一つであり、上記焼成工程で加熱すると容易に溶融し、それに伴う熱エネルギーがリチウム含有複合酸化物の結晶成長をより促進させる。従って、本態様の製造方法によると、より低い温度域(例えば800℃を上回らない温度域)での低温焼成によって結晶性の高いリチウム含有複合酸化物を安定的に製造することができる。
また、本発明は、他の側面として、リチウム二次電池を提供する。すなわち、ここに開示されるいずれかの製造方法により製造されたリチウム含有複合酸化物を正極活物質として使用された正極を備えるリチウム二次電池である。かかる正極を備えるリチウム二次電池は、繰り返し充放電される態様で使用されても容量低下が抑制された優れた電池特性を有する電池となり得る。
さらに、本発明によると、ここに開示されるリチウム二次電池を備える車両を提供する。本発明によって提供されるリチウム二次電池は、特に車両に搭載される電池の電源として適した品質(例えば耐久性)および性能(例えば電池容量、充放電特性)を示すものであり得る。したがって、ここに開示されるリチウム二次電池は、ハイブリッド自動車、電気自動車のような電動機を備える自動車等の車両に搭載されるモーター(電動機)用の電源として好適に使用され得る。
一実施形態に係るリチウム二次電池の外形を模式的に示す斜視図である。 図1におけるII−II線断面図である。 焼成温度と結晶構造のX線回折強度との関係を示したグラフである。 2032型リチウム二次電池を模式的に示す断面図である。 焼成温度と電池容量との関係を示したグラフである。 一実施形態に係るリチウム二次電池を備えた車両(自動車)を模式的に示す側面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここに開示される、リチウムと、コバルト、ニッケルおよびマンガンからなる群より選択される少なくとも1種または2種以上の遷移金属元素とを含むリチウム含有複合酸化物を製造する方法の好適な実施形態の一つとして、リチウム、コバルト、ニッケルおよびマンガンを主構成元素として含む、ニッケル・コバルト・マンガン系のリチウム含有複合酸化物を製造する場合を例として本発明に係る製造方法について説明するが、本発明の適用対象をかかる遷移金属元素を含むものに限定する意図ではない。
なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。また、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、正極および負極を備えた電極体の構成および製法、セパレータや電解質の構成および製法、リチウム二次電池その他の電池の構築に係る一般的技術等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。
以下、本実施形態に係るニッケル・コバルト・マンガン系のリチウム含有複合酸化物(典型的には、一般式:LiNi1−y−zCoMn(0.8≦x≦2.0、0<y<1、0<z<1、0<y+z<1))の製造方法について説明する。ここに開示される製造方法は、大まかにいって、原料混合物調製工程と、乾燥工程と、焼成工程から成る各工程を含む。
<原料混合物調製工程>
まず、原料混合物調製工程について説明する。原料混合物調製工程では、リチウム含有複合酸化物を構成するための出発原料としてリチウム源と、遷移金属元素源(本実施形態ではコバルト源、ニッケル源およびマンガン源)とを所定の配合比となるように秤量する。そして、上記出発原料を、低融点の水溶性無機化合物と、有機酸と共に水系溶媒で混合し、十分に拡散または浸透させて原料混合物を調製する。
上記リチウム含有複合酸化物を構成するための出発原料として、リチウム源を包含する化合物としては、上記水系溶媒に均一に拡散または浸透し得るものであれば特に限定されず、各種のリチウム化合物を用いることができる。例えば、酢酸リチウム、シュウ酸リチウムなどのリチウム有機酸化合物や、炭酸リチウム、水酸化リチウム、硝酸リチウムなどのリチウム無機酸化合物を用いるとよい。特に好ましい例として、水系溶媒に溶けやすい酢酸リチウム・二水和物〔Li(CHCOO)・2HO〕が挙げられる。
また、コバルト源、ニッケル源およびマンガン源としては、コバルト、ニッケルおよびマンガンの有機酸塩を用いることができる。例えば、酢酸塩、シュウ酸塩が挙げられる。例えば、マンガン源としては、酢酸マンガン、シュウ酸マンガンなどのマンガン有機酸化合物を用いることができる。特に好ましい例として、水系溶媒に溶けやすい酢酸マンガン(II)・四水和物〔Mn(CHCOO)・4HO〕が挙げられる。また、コバルト源およびニッケル源も上記マンガン源の例示と同様に、水系溶媒に溶けやすい酢酸コバルト(II)・四水和物〔Co(CHCOO)・4HO〕および酢酸ニッケル(II)・四水和物〔Ni(CHCOO)・4HO〕をそれぞれ好ましく使用し得る。
上記低融点の水溶性無機化合物としては、予め設定された焼成温度よりも低い融点を有する水溶性無機化合物のうちから選択すればよいが、焼成工程において容易に溶融し得る融点800℃以下のものが好ましく、特に好ましくは融点500℃以下(例えば融点が200℃以下)のものである。該水溶性無機化合物の好適例として、ホウ酸やアルカリ金属塩化物が挙げられる。融点が800℃付近またはそれ以下にあるアルカリ金属塩化物として公知のものをいずれも使用でき、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等を挙げることができる。特に低融点であるホウ酸の使用が好ましい。
また、上記有機酸としては、水系溶媒に溶解し得るものであれば特に限定することなく用いることができる。例えば、酢酸、シュウ酸、グリコール酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸、フタル酸、クエン酸、イソクエン酸、アスコルビン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸等の有機カルボン酸や、有機スルフォン酸、有機スルフィン酸、有機複合酸化物、有機ニトロ化合物、フェノール類等を有機酸の好適例として挙げられる。また、上記列挙した有機酸にアルカリ化合物を加えることにより形成される有機酸塩を用いてもよい。該アルカリ化合物としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム等を含有する有機または無機アルカリ化合物が好ましい。ここに開示される製造方法では、グリコール酸、アスコルビン酸を特に好適に使用することができる。
上記出発原料を混合する水系溶媒は、典型には水であるが、全体として水性を示すものであればよく、例えば低級アルコール(メタノール、エタノール等)を含む水溶液が好ましい。すなわち、水または水を主体とする混合溶媒を好ましく用いることができる。該混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶剤(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。例えば、水系溶媒の凡そ80質量%以上(より好ましくは凡そ90質量%以上、さらに好ましくは凡そ95質量%以上)が水である溶媒の使用が好ましい。特に好ましい例として、実質的に水からなる溶媒が挙げられる。
上記リチウム含有複合酸化物を構成するための出発原料と、水溶性無機化合物と、有機酸とは、同時に水系溶媒に添加し混合して原料混合物を調製する。混合するに際し、必要に応じて攪拌(混練、粉砕を含む)を行ってもよい。混合に用いる装置としては特に限定するものではないが、例えば、プラネタリーミキサー、遊星式撹拌装置、デスパー、ボールミル、ニーダ、ミキサー等を使用することにより、上記原料混合物が均一に拡散または浸透され安定した混合状態を形成することができる。なお、混合時間は、該原料混合物が均一に拡散または浸透される限りにおいて特に限定するものではないが、5時間程度行うとよい。
<乾燥工程>
次いで、乾燥工程について説明する。乾燥工程では、上記調製した原料混合物を乾燥し、原料混合物に含有する水系溶媒を蒸発させる。原料混合物を焼成する前に該工程で乾燥することにより、原料混合物から水系溶媒(または一部)のみを蒸発させ、結晶の成長を抑制しながら出発原料の各成分が好適な状態に均一に拡散または浸透される。これにより、化学量論組成に近い比率で各成分が混ざり合い、結果として、結晶性の高いリチウム含有複合化合物を得ることができる。
また、乾燥温度は、水系溶媒が蒸発する温度であれば特に限定されないが、好ましくは50℃〜100℃、より好ましくは60〜90℃、特に好ましくは75〜85℃、例えば80℃程度の温度で乾燥することができる。100℃より低い温度域で原料混合物を乾燥することにより、水系溶媒はゆっくり時間をかけて蒸発するため、出発原料の各成分はさらに拡散または浸透される。
なお、乾燥時間は、一般に長く保持することにより、各成分の拡散または浸透を十分に進行させることができるが、保持時間は特に制限されるものではない。すなわち、溶媒の乾燥状態を確認しながら、適宜保持時間を調整することができる。また、乾燥方法としては、例えば、自然乾燥、熱風、低湿風、真空、赤外線、遠赤外線等の適当な乾燥手段を用いて良好に乾燥することができる。乾燥時の雰囲気は、使用した溶媒や出発原料の種類により必要に応じて、大気雰囲気中の他、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下、あるいは密閉容器内に入れて保持することができる。
<焼成工程>
次いで、焼成工程について説明する。焼成工程では、上記乾燥工程で乾燥させた原料混合物を、使用する水溶性無機化合物の融点を上回る温度で加熱して焼成する。上記乾燥工程において、各成分が化学量論組成に近い比率で混ざり合っているため、加熱することにより結晶成長が促進され、化学量論組成もしくはそれに近い組成比でリチウム含有複合酸化物の結晶が成長する。
さらに、原料混合物の一つである、低融点の水溶性無機化合物(例えばホウ酸)が原料混合物に含まれるため、本焼成工程の加熱で該水溶性無機化合物は溶融し、それにより放出する熱エネルギーでリチウム含有複合酸化物の結晶成長が促進される。すなわち、該水溶性無機化合物が添加されていることにより、一般の焼成温度のように高温域(例えば1000℃を超える温度)で加熱しなくてもよく、ここに開示される製造方法によると、上記水溶性無機化合物の融点を上回る温度であって、典型的には、500℃を上回り且つ800℃を上回らない温度域(好ましくは600〜800℃、より好ましくは650〜750℃、例えば700℃程度)で加熱することにより、リチウム含有複合酸化物の結晶構造の密度を好適に高めることができる。
また、上記有機酸を同時に添加することにより、焼成工程で加熱された有機酸は炭化し、リチウム含有複合酸化物の結晶表面に均一にコーティングされた炭素膜となり得る。これにより、高導電性の炭素膜を有するリチウム含有複合酸化物を製造することができる。
なお、焼成雰囲気は特に限定されず、例えば、大気雰囲気中で焼成してもよく、必要に応じて窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で焼成することができる。
また、上記焼成工程で焼成した後、必要に応じて焼成物(リチウム含有複合酸化物の結晶)を粉砕し、水系溶媒で洗浄することが好ましい。焼成物を適当な手段で粉砕、造粒および分級することにより、所望する平均粒径および/または粒径分布を有する粒状のリチウム含有複合酸化物の粉末を得ることができる。さらに、かかる粒状のリチウム含有複合酸化物を水系溶媒で洗浄することにより、該リチウム含有複合酸化物以外の不純物、例えば、未反応の水溶性無機化合物を除去することができる。その結果、純度の高いリチウム含有複合酸化物を高収率で得ることができる。
上記実施形態では、ニッケル・コバルト・マンガン系(三元系)のリチウム含有複合酸化物(典型的には、一般式:LiNi1−y−zCoMn(0.8≦x≦2.0、0<y<1、0<z<1、0<y+z<1))を製造する場合を例示したが主構成元素の他に、他の金属元素の存在(不純物成分を含む)を許容し得る。上記主構成元素以外の金属元素として、例えば、アルミニウム(Al),クロム(Cr),鉄(Fe),バナジウム(V),マグネシウム(Mg),チタン(Ti),ジルコニウム(Zr),ニオブ(Nb),モリブデン(Mo),タングステン(W),銅(Cu),亜鉛(Zn),ガリウム(Ga),インジウム(In),スズ(Sn),ランタン(La)およびセリウム(Ce)等が挙げられ、これらを一種または二種以上含み得る。
また、ニッケル・コバルト・マンガン系のような三元系リチウム含有複合酸化物に限らず、コバルト・リチウム複合酸化物のLiCoO(0.8≦x≦2.0、以下同様。)、ニッケル・リチウム複合酸化物のLiNiO、マンガン・リチウム複合酸化物のLiMnOで表わされるような一元系リチウム含有複合酸化物でもよく、あるいは、ニッケル・コバルト系のLiCoNi1−y(0.8≦x≦2.0、0<y<1、以下同様。)、コバルト・マンガン系のLiCoMn1−y、ニッケル・マンガン系のLiNiMn1−y、LiNiMn2−y(0.8≦x≦2.0、0<y<2)で表わされるような二元系リチウム含有複合酸化物でもよく、所望の組成比のリチウム含有複合酸化物が得られるように出発原料の配合比を適宜変更することにより製造することができる。
以上のように、本実施形態の製造方法により得られたリチウム含有複合酸化物は、結晶性が高いことから、種々の形態のリチウム二次電池(典型的にはリチウムイオン電池)に内蔵される正極の構成要素(正極活物質)として好ましく利用され得る。
以下、ここに開示される製造方法により得られるリチウム含有複合酸化物が正極活物質として使用された正極、および該正極を備えるリチウム二次電池の一実施形態につき、図1および図2に示す模式図を参照しつつ説明するが、本発明をかかる実施形態に限定することを意図したものではない。
図1は、一実施形態に係る角型形状のリチウム二次電池を模式的に示す斜視図であり、図2は、図1中のII−II線断面図である。図1および図2に示されるように、本実施形態に係るリチウム二次電池100は、直方体形状の角型の電池ケース10と、該ケース10の開口部12を塞ぐ蓋体14とを備える。この開口部12より電池ケース10内部に扁平形状の電極体(捲回電極体20)及び電解質を収容することができる。また、蓋体14には、外部接続用の正極端子38と負極端子48とが設けられており、それら端子38,48の一部は蓋体14の表面側に突出している。
図2に示されるように、本実施形態では該ケース10内に捲回電極体20が収容されている。該電極体20は、長尺シート状の正極集電体32の表面に正極活物質層34が形成された正極シート30、長尺シート状の負極集電体42の表面に負極活物質層44が形成された負極シート40、および長尺シート状のセパレータ50からなる。そして、正極シート30及び負極シート40を2枚のセパレータ50と共に重ね合わせて捲回し、得られた捲回電極体20を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって扁平形状に成形されている。
また、捲回される正極シート30において、その長手方向に沿う一方の端部には正極活物質層34が形成されずに正極集電体32が露出しており、一方、捲回される負極シート40においても、その長手方向に沿う一方の端部は負極活物質層44が形成されずに負極集電体42が露出している。そして、正極集電体32の該露出端部に正極端子38が、負極集電体42の該露出端部には負極端子48がそれぞれ接合され、上記扁平形状に形成された捲回電極体20の正極シート30または負極シート40と電気的に接続されている。正負極端子38,48と正負極集電体32,42とは、例えば超音波溶接、抵抗溶接等によりそれぞれ接合され得る。
正極(典型的には正極シート30)は、長尺状の正極集電体32(例えばアルミニウム箔)の上に正極活物質層34が形成された構成であり得る。この正極活物質層34の形成に用いる正極活物質は、ここに開示されるいずれかの製造方法を適用して製造したリチウム含有複合酸化物を使用することができる。
正極活物質層34には、上記正極活物質の他に、一般的なリチウム二次電池に配合され得る一種または二種以上の結着材や導電材等を必要に応じて含有させることができる。かかる導電材としては、カーボン粉末やカーボンファイバー等の導電性粉末材料が好ましく用いられる。例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、グラファイト粉末等が好ましく、これらのうち一種のみを用いられていても二種以上が併用されていてもよい。
かかる正極活物質層34は、正極活物質と結着材と導電材等を適当な溶媒(水、有機溶媒およびこれらの混合溶媒)に添加し、分散または溶解させて調製したペーストまたはスラリー状の組成物を正極集電体32に塗布し、溶媒を乾燥させて圧縮することにより好ましく作製され得る。
一方、負極(典型的には負極シート40)は、長尺状の負極集電体42(例えば銅箔)の上に負極活物質層44が形成された構成であり得る。負極活物質は、従来からリチウム二次電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定することなく使用することができる。好適例として、カーボン粒子が挙げられる。少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む粒子状の炭素材料(カーボン粒子)が好ましく用いられる。いわゆる黒鉛質のもの(グラファイト)、難黒鉛化炭素質のもの(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素質のもの(ソフトカーボン)、これらを組み合わせた構造を有するもののいずれの炭素材料も好適に使用され得る。
また、負極活物質層44には、上記負極活物質の他に、一般的なリチウム二次電池に配合され得る一種または二種以上の結着材等の材料を必要に応じて含有させることができる。そして、負極活物質と結着材等とを適当な溶媒(水、有機溶媒およびこれらの混合溶媒)に添加し、分散または溶解させて調製したペーストまたはスラリー状の組成物を負極集電体42に塗布し、溶媒を乾燥させて圧縮することにより好ましく作製され得る。
また、正負極シート30、40間に使用される好適なセパレータシート50としては、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成されたものが挙げられる。例えば、合成樹脂製(例えばポリエチレン等のポリオレフィン製)多孔質セパレータシートを好適に使用し得る。なお、電解質として固体電解質若しくはゲル状電解質を使用する場合には、セパレータが不要な場合(即ちこの場合には電解質自体がセパレータとして機能し得る。)があり得る。
また、電解質は、従来からリチウム二次電池に用いられる非水電解液と同様のものを特に限定なく使用することができる。かかる非水電解液は、典型的には、適当な非水溶媒に支持塩を含有させた組成を有する。上記非水溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等からなる群から選択された一種又は二種以上を用いることができる。また、上記支持塩としては、例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF等のリチウム化合物(リチウム塩)を用いることができる。
また、一実施形態に係るリチウム二次電池100の構築について大まかな手順を説明する。上記作製した正極シート30および負極シート40を2枚のセパレータ50と共に積重ね合わせて捲回し、積層方向から押しつぶして拉げさせることによって電極体を扁平形状に成形し、電池ケース10に収容して電解質を注入後、該ケース開口部12に蓋体14を装着し、封止することによって、本実施形態のリチウム二次電池100を構築することができる。なお、上記電池ケース10の構造、大きさ、材料(例えば金属製またはラミネートフィルム製であり得る)等について特に制限はない。
このようにして構築されたリチウム二次電池は、上述したように、結晶性が高く、導電性に優れたリチウム含有複合酸化物からなる正極活物質を用いて構築されているため、優れた電池性能(電池容量、充放電特性)を示すものであり得る。
以下、本発明に関する試験例(製造例)につき説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
ここに開示される製造方法により得られるリチウム含有複合酸化物について、焼成温度と該酸化物の結晶構造のX線回折ピーク強度との関係について評価した。
また、ここに開示される製造方法により得られるリチウム含有複合酸化を正極活物質として用いた正極を備えるリチウム二次電池を構築し、該電池の電池性能について評価した。
<製造例1に係るリチウム含有複合酸化物の合成>
製造例1(実施例)に係るニッケル・コバルト・マンガン系のリチウム含有複合酸化物を合成した。すなわち、出発原料として、酢酸リチウム・二水和物〔Li(CHCOO)・2HO〕と、酢酸ニッケル(II)・四水和物〔Ni(CHCOO)・4HO〕と、酢酸コバルト(II)・四水和物〔Co(CHCOO)・4HO〕と、酢酸マンガン(II)・四水和物〔Mn(CHCOO)・4HO〕とをそれぞれ秤量し、水溶性無機化合物としてのホウ酸(HBO)と、有機酸としてのグリコール酸と共に、イオン交換水に添加して混合し、原料混合物を調製した。次いで、得られた原料混合物を凡そ80℃で一晩乾燥させた。乾燥させた原料混合物を600℃、700℃、800℃および900℃の温度でそれぞれ加熱し、焼成した。異なる温度で焼成した焼成物は粉砕した後、イオン交換水で洗浄し、製造例1に係るリチウム含有複合酸化物を製造した。
<製造例2に係るリチウム含有複合酸化物の合成>
本比較例では、グリコール酸を添加せずに原料混合物を調製した以外は、上記製造例1と同様の手順により、製造例2に係るリチウム含有複合酸化物を製造した。
<製造例3に係るリチウム含有複合酸化物の合成>
本比較例では、ホウ酸を添加せずに原料混合物を調製したこと、および焼成後の洗浄を行わなかったこと以外は、上記製造例1と同様の手順により、製造例3に係るリチウム含有複合酸化物を製造した。
<製造例4に係るリチウム含有複合酸化物の合成>
本製造例では、グリコール酸およびホウ酸を添加せずに原料混合物を調製したこと、および焼成後の洗浄を行わなかったこと以外は、上記製造例1と同様の手順により、製造例4に係るリチウム含有複合酸化物を製造した。
[XRD解析]
焼成温度と結晶構造のX線回折強度との関係を評価した。すなわち、上記合成した製造例1〜4について、それぞれ異なる温度(600℃、700℃、800℃および900℃)で焼成して合成したリチウム複合酸化物の結晶構造をX線回折装置で解析した。そして、メインピークの回折強度を読み取り、焼成温度とX線回折ピーク強度との関係を示したグラフ(図3)を作成した。
図3に示されるグラフによると、製造例2〜4に係るリチウム含有複合酸化物は、いずれも焼成温度が高くなるほど、回折強度が大きくなる傾向があり、このことから焼成温度が高いほどリチウム含有複合酸化物の結晶性が高くなることが示された。一方、製造例1では、製造例2〜4とはその傾向が異なり、700℃で焼成したリチウム含有複合酸化物の回折強度が最も大きく、続いて、焼成温度が800℃、900℃、600℃の順に回折強度が小さかった。また、製造例1では、焼成温度700℃の回折強度値が、製造例2〜4の焼成温度900℃のどの回折強度値よりも大きかった。
以上のことから明らかなように、原料混合物として水溶性無機化合物および有機酸を添加することにより、より低温域での焼成で結晶性の高いリチウム含有複合酸化物を製造することができることが確認された。
<正極の作製>
上記合成した製造例1〜4に係るリチウム含有複合酸化物をそれぞれ用いて、正極を作製した。すなわち、上記合成した正極活物質としてのリチウム含有複合酸化物と、結着材としてのポリビニリデンフロライド(PVDF)と、導電材としてのカーボンブラックとを、質量%比が85:5:10になるように秤量し、N−メチルピロリドン(NMP)で混合することにより、ペースト状の正極活物質層形成用組成物を調製した。かかるペースト状組成物を正極集電体(アルミニウム箔)に塗布して溶媒を揮発させ、乾燥させて正極活物質層を形成した。その後、1cmあたり1tのプレス条件でシート状に引き伸ばし、直径16mmのポンチで円形状に打ち抜き、正極を作製した。
<リチウム二次電池の構築>
製造例1〜4に係るリチウム含有複合酸化物を正極活物質として用いて作製した上記正極を使用し、2032型(径20mm,厚さ3.2mm)のコイン型リチウム二次電池を構築した。図4は、コイン型リチウム二次電池1000を模式的に示す断面図である。
図4に示されるように、正極側の外装を形成する外装缶112の内部に上記作製した正極130と、非水電解液を含浸させたポリプロピレン/ポリエチレン製の多層多孔質セパレータ150とを積層させて配置し、ガスケット124でセパレータ150の周縁を押さえた後、対極140と、厚み調整用のスペーサ122と、板バネ114とを、セパレータ150の上に順番に配置した。そして、上記収容された外装缶112の内部を外装蓋110で塞ぎ、外装缶112および外装蓋110の周縁部を封缶してリチウム二次電池1000を構築した。なお、非水電解液としては、エチレンカーボネイト(EC)とジメチルカーボネート(DMC)と1:1(体積比)の混合溶媒に支持塩として1mol/LのLiPFを溶解させたものを用いた。
[充放電試験]
製造例1〜4に係るリチウム含有複合酸化物をそれぞれ正極活物質として用いて構築した各リチウム二次電池の充放電試験を行った。測定温度25℃で、定電流−定電圧方式により上限電圧4.8Vまで充電を行い、その後、下限電圧2.5Vまで、1/10Cの電流密度で定電流放電を行い電池容量を測定した。測定結果を図5に示す。なお、1Cは、理論容量250mAh/gを1時間で放電する電流値を表す。
図5に示されるように、製造例2に係るリチウム二次電池は、焼成温度によって電池容量に違いはみられなかったが、製造例3および4に係るリチウム二次電池は、800℃または900℃で焼成したリチウム含有複合酸化物を用いて構築した電池の容量がいずれも大きいことが示された。一方、製造例1に係るリチウム二次電池は、600℃または700℃で焼成したリチウム含有複合酸化物を用いて構築した電池の容量が大きく、焼成温度が800℃、900℃の順に電池容量が小さくなった。また、製造例1では、焼成温度600℃または700℃の電池容量が、製造例3および4の焼成温度800℃または900℃の電池容量とほぼ同じであることが示された。
以上のことから明らかなように、原料混合物として水溶性無機化合物および有機酸を添加した場合、より低温域での焼成で得られたリチウム含有複合酸化物を用いて構築したリチウム二次電池は、優れた電池容量を有することが確認された。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態および製造例1(実施例)は例示にすぎず、ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、電極体構成材料や電解質が異なる種々の内容の電池であってもよい。また、該電池の大きさおよびその他の構成についても、用途(典型的には車載用)によって適切に変更することができる。
本発明の方法により得られたリチウム含有複合酸化物を正極活物質として用いて構築したリチウム二次電池は、上述したように電池特性に優れているため、特に自動車等の車両に搭載されるモーター(電動機)用電源として好適に使用し得る。したがって本発明は、図6に模式的に示すように、かかるリチウム二次電池(典型的には複数直列接続してなる組電池)100を電源として備える車両1(典型的には自動車、特にハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車のような電動機を備える自動車)を提供する。
1 車両
10 電池ケース
12 開口部
14 蓋体
20 捲回電極体
30 正極シート
32 正極集電体
34 正極活物質層
38 正極端子
40 負極シート
42 負極集電体
44 負極活物質層
48 負極端子
50 セパレータ
100 角型リチウム二次電池
110 外装蓋
112 外装缶
114 板バネ
122 スペーサ
124 ガスケット
130 正極
140 対極
1000 2032型リチウム二次電池

Claims (6)

  1. リチウムと、
    コバルト、ニッケルおよびマンガンからなる群より選択される少なくとも1種または2種以上の遷移金属元素と
    を含むリチウム含有複合酸化物を製造する方法であって、
    リチウム源と、コバルト、ニッケルおよびマンガンからなる群より選択される少なくとも1種または2種以上の遷移金属元素源とを包含する前記リチウム含有複合酸化物を構成するための出発原料と、水溶性無機化合物と、有機酸とを、水系溶媒で混合して原料混合物を調製する工程;
    前記原料混合物を乾燥する工程;および、
    前記乾燥させた原料混合物を前記水溶性無機化合物の融点を上回る温度で加熱して焼成する工程;
    を包含する、製造方法。
  2. 前記焼成工程後、該工程で得た焼成物を粉砕し水系溶媒で洗浄する、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記焼成工程において、前記乾燥させた原料混合物を500℃を上回り且つ800℃を上回らない温度域で加熱する、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記水溶性無機化合物として、ホウ酸を使用する、請求項3に記載の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法により得られたリチウム含有複合酸化物を正極活物質として使用された正極を備えるリチウム二次電池。
  6. 請求項5に記載のリチウム二次電池を備える車両。

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