JP5642643B2 - フォトマスクブランク及びその製造方法、並びにフォトマスク及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、耐光性を向上させたフォトマスクブランク、フォトマスク及びそれらの製造方法に関する。特に、波長200nm以下の短波長の露光光を露光光源とする露光装置に好適に用いられるフォトマスクを製造するためのフォトマスクブランク、フォトマスク及びそれらの製造方法に関する。
一般に、半導体装置の製造工程では、フォトリソグラフィー法を用いて微細パターンの形成が行われている。また、この微細パターンの形成には通常何枚ものフォトマスクと呼ばれている基板が使用される。このフォトマスクは、一般に透光性のガラス基板上に、金属薄膜等からなる微細パターンを設けたものであり、このフォトマスクの製造においてもフォトリソグラフィー法が用いられている。
フォトリソグラフィー法によるフォトマスクの製造には、ガラス基板等の透光性基板上に転写パターン(マスクパターン)を形成するための薄膜(例えば遮光膜など)を有するフォトマスクブランクが用いられる。このフォトマスクブランクを用いたフォトマスクの製造は、フォトマスクブランク上に形成されたレジスト膜に対し、所望のパターン描画を施す露光工程と、所望のパターン描画に従って前記レジスト膜を現像してレジストパターンを形成する現像工程と、レジストパターンに従って前記薄膜をエッチングするエッチング工程と、残存したレジストパターンを剥離除去する工程とを有して行われている。上記現像工程では、フォトマスクブランク上に形成されたレジスト膜に対し所望のパターン描画(露光)を施した後に現像液を供給して、現像液に可溶なレジスト膜の部位を溶解し、レジストパターンを形成する。また、上記エッチング工程では、このレジストパターンをマスクとして、ドライエッチング又はウェットエッチングによって、レジストパターンが形成されておらず薄膜が露出した部位を溶解し、これにより所望のマスクパターンを透光性基板上に形成する。こうして、フォトマスクが出来上がる。
半導体装置のパターンを微細化するに当たっては、フォトマスクに形成されるマスクパターンの微細化に加え、フォトリソグラフィーで使用される露光光源波長の短波長化が必要となる。半導体装置製造の際の露光光源としては、近年ではKrFエキシマレーザー(波長248nm)から、ArFエキシマレーザー(波長193nm)へと短波長化が進んでいる。
また、フォトマスクの種類としては、従来の透光性基板上にクロム系材料からなる遮光膜パターンを有するバイナリマスクのほかに、ハーフトーン型位相シフトマスクが知られている。このハーフトーン型位相シフトマスクは、透光性基板上に光半透過膜を有する構造のものである。この光半透過膜は、実質的に露光に寄与しない強度の光(例えば、露光波長に対して1%〜20%)を透過させ、この透過光に所定の位相差を付与するものであり、例えばモリブデンシリサイド化合物を含む材料等が用いられる。このハーフトーン型位相シフトマスクは、光半透過膜をパターニングした光半透過部と、光半透過膜が形成されておらず露光光を透過させる光透過部とによって、光半透過部を透過した光の位相が、光透過部を透過した光の位相に対して、実質的に反転した関係になるようにする(即ち位相をシフトさせる)。このことによって、光半透過部と光透過部との境界部近傍を通過し回折現象によって互いに相手の領域に回りこんだ光が互いに打ち消しあうようにし、境界部における光強度をほぼゼロとし境界部のコントラスト、即ち解像度を向上させるものである。
また、近年では、モリブデンシリサイド化合物を含む材料を遮光膜として用いたArFエキシマレーザー用のバイナリマスクなども出現している。
特開2002−156742号公報 特開2002−258455号公報
ところで、近年のパターンの微細化に伴い、フォトマスクの製造コストが著しく上昇してきていることから、フォトマスクの長寿命化のニーズが高まってきている。
フォトマスクの寿命を決定する要因としては、フォトマスクの繰返し洗浄による繰返し使用に起因するマスク劣化の問題がある。従来においては、例えばヘイズが発生するとヘイズを除去するための洗浄を行っていたが、洗浄による膜減り(膜の溶出)は避けられず、いわば洗浄回数がマスク寿命を決定していた。ヘイズというのは、硫化アンモニウムを主体としマスク上に発生する異物のことである。
従来においては、例えば、光半透過膜の耐光性を向上させるために、例えば、金属及びシリコンを主成分とする光半透過膜(位相シフト膜)を大気中又は酸素雰囲気中で250〜350℃、90〜150分加熱処理すること(特許文献1)や、金属及びシリコンを主成分とする光半透過膜(位相シフト膜)上に金属及びシリコンを主成分とするキャップ層を形成すること(特許文献2)は行われていた。
光半透過膜の耐光性が低いとマスク寿命は短くなるが、現状では、マスクの洗浄回数に基づくマスク寿命の範囲内では、光半透過膜の耐光性は得られている。
近年のヘイズの改善によってマスクの洗浄回数が低減したため、マスクの繰返し使用期間が延び、その分露光時間も延びたため、特にArFエキシマレーザーなどの短波長光に対する耐光性の問題が新たに顕在化してきた。
本発明者らは、金属シリサイド系の遮光膜を有するバイナリマスクの場合、露光光源のArFエキシマレーザー(波長193nm)が、従前のマスクの繰り返し使用期間を超えて累積的に照射されることにより、線幅が変化する(太る)という現象が発生していることを解明した。このような線幅変化は、フォトマスクのCD(Critical Dimension)精度、最終的には転写されるウェハのCD精度を悪化させることになり、フォトマスク寿命の更なる長寿命化の障害になることを突き止めた。
また、本発明者らは、位相シフトマスクの場合、露光光源のArFエキシマレーザー(波長193nm)照射により、線幅が変化する(太る)という現象が発生し、さらに透過率や位相差の変化が起ることを解明した。位相シフトマスクの場合、このような透過率、位相差の変化はマスク性能に影響を与える重要な問題である。透過率の変化が大きくなると転写精度が悪化するとともに、位相差の変化が大きくなると、パターン境界部における位相シフト効果が得られにくくなり、パターン境界部のコントラストが低下し、解像度が大きく低下してしまう。
フォトマスクの繰返し使用によるマスク劣化の問題は、特に、遷移金属とケイ素を含む材料(遷移金属シリサイド)の化合物が光半透過膜の材料として用いられる位相シフトマスクにおいて顕著であるが、遷移金属とケイ素を含む材料やその化合物からなる遮光膜を有するバイナリマスクにおいても、遮光膜の線幅変化(太り)に係るCD精度の悪化の問題が発生している。
そこで本発明は、従来の課題を解決するべくなされたものであり、その目的とするところは、金属及びシリコンを主成分とする薄膜に関し、波長200nm以下の露光光が、従前のマスクの繰り返し使用期間を超えて累積的に照射された場合の耐光性を向上させ、フォトマスク寿命を改善できるフォトマスクブランク、フォトマスク及びそれらの製造方法を提供することである。
本発明者らは、露光光源波長の短波長化に伴い、フォトマスクの繰返し使用による劣化が顕著になってきた要因を以下のように推測した。なお、本発明は、実施例で述べるように、本願発明者らの鋭意努力による実験の結果から、本発明の所定の構成を有することにより本発明の効果を奏することが明らかとなったものなので、以下に述べる推測に拘束されるものではない。
本発明者は、繰返し使用によって線幅の変化(太り)が生じたフォトマスクにおける金属シリサイド系薄膜(金属とシリコンを主成分とする薄膜)のパターンを調べた結果、図3に示すように、金属シリサイド系薄膜2(例えばMoSi系膜)の表層側にSiとO、若干の金属(例えばMo)を含む変質層2’が出来ており、これが線幅の変化(太り)Δdや、透過率及び位相差の変化、の主な原因のひとつであることを解明した。
このような変質層が生じる理由(メカニズム)は次のように考えられる。すなわち、従来のスパッタリング成膜された金属シリサイド系薄膜(例えばMoSi系膜)は構造的には隙間があり、成膜後にアニールしたとしても金属シリサイド系薄膜(例えばMoSi膜)の構造の変化が小さいため、フォトマスクの使用過程においてこの隙間にたとえば大気中の酸素(O)や水(HO)等が入り込み、さらには大気中の酸素(O)がArFエキシマレーザーと反応することによって発生するオゾン(O)等が前記隙間に入り込んで、金属シリサイド系薄膜(例えばMoSi系膜)を構成するSiやMoと反応する。
つまり、このような環境で金属シリサイド系薄膜(例えばMoSi系膜)を構成するSiと金属M(例えばMo)は露光光(特にArFエキシマレーザーなどの短波長光)の照射を受けると励起され遷移状態となり、Siが酸化し膨張する(SiよりもSiOの体積が大きいため)と共に、金属M(例えばMo)も酸化して金属シリサイド系薄膜(例えばMoSi系膜)の表層側に変質層が生成される。このとき、大気中の水分量(湿度)に応じて、生成されるSi酸化膜の品質は大きく異なり、湿度が高いほど密度の低いSi酸化膜が形成される。低密度Si酸化膜が形成される環境において、フォトマスクを繰返し使用する場合、露光光の照射を累積して受けると、Siの酸化及び膨張がさらに進行すると共に、バルクと変質層界面で酸化された金属M(例えばMo)は変質層中を拡散し、表面に析出して、例えば金属Mの酸化物(例えばMoO)となって昇華し、変質層の密度は更に低くなり、酸化しやすい状態になる。その結果、変質層の厚みが次第に大きくなる(金属シリサイド系薄膜(例えばMoSi膜)中での変質層の占める割合が大きくなる)ものと考えられる。
このような変質層が発生し、さらに拡大していく現象は、金属シリサイド系薄膜(例えばMoSi膜)を構成するSiや金属M(例えばMo)の酸化反応のきっかけとなる。これらの構成原子が励起され遷移状態となるのに必要なエネルギーを有するArFエキシマレーザー等の短波長の露光光が金属シリサイド系薄膜に極めて長時間照射された場合に顕著に確認される。このような現象は、MoSi系材料に限られたものではなく、他の遷移金属とケイ素を含む材料からなる光半透過膜でも同様のことがいえる。また、遷移金属とケイ素を含む材料からなる遮光膜を備えるバイナリマスクの場合も同様である。
本発明者らは、以上の解明事実、考察に基づき、変質層の発生、拡大を抑える方策として金属シリサイド系薄膜(例えばMoSi膜)などの薄膜の酸化を抑制することに着目し、さらに鋭意研究を続けた結果、本発明を完成したものである。
すなわち、上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を有する。
(構成1)
波長200nm以下の露光光が適用されるフォトマスクを作製するために用いられるフォトマスクブランクであって、
透光性基板上に薄膜を備え、
前記薄膜は、遷移金属、ケイ素及び炭素を含み、ケイ素炭化物及び/又は遷移金属炭化物を有する材料からなることを特徴とするフォトマスクブランク。
(構成2)
波長200nm以下の露光光が適用されるフォトマスクを作製するために用いられるフォトマスクブランクであって、
透光性基板上に薄膜を備え、
前記薄膜は、遷移金属、ケイ素及び水素を含み、水素化ケイ素を有する材料からなることを特徴とするフォトマスクブランク。
(構成3)
波長200nm以下の露光光が適用されるフォトマスクを作製するために用いられるフォトマスクブランクの製造方法であって、
透光性基板上に薄膜を成膜する工程を含み、
前記薄膜は、炭素を含むターゲット又は炭素を含む雰囲気ガスを用いてスパッタリング成膜することにより形成され、遷移金属、ケイ素、炭素を含み、ケイ素炭化物及び/又は遷移金属炭化物を有してなることを特徴とするフォトマスクブランクの製造方法。
(構成4)
波長200nm以下の露光光が適用されるフォトマスクを作製するために用いられるフォトマスクブランクの製造方法であって、
透光性基板上に薄膜を成膜する工程を含み、
前記薄膜は、水素を含む雰囲気ガスを用いてスパッタリング成膜することにより形成され、遷移金属、ケイ素、水素を含み、水素化ケイ素を有してなることを特徴とするフォトマスクブランクの製造方法。
(構成5)
前記薄膜は、前記スパッタリング成膜時の前記雰囲気ガスの圧力及び/又は電力を調整して形成されることを特徴とする構成3に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
(構成6)
前記薄膜は、遮光膜であることを特徴とする構成1乃至5のいずれか1項に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
(構成7)
前記薄膜は、光半透過膜であることを特徴とする構成1乃至5のいずれか1項に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
(構成8)
構成1乃至7のいずれか1項に記載のフォトマスクブランクにおける前記薄膜を、エッチングによりパターニングする工程を有することを特徴とするフォトマスクの製造方法。
(構成9)
構成1から7のいずれか1項に記載のフォトマスクブランクを用いて作製されるフォトマスク。
本発明によれば、金属シリサイド系の遮光膜を有するバイナリマスクブランクを用いて作製されるフォトマスクに対して、ArFエキシマレーザーを総照射量30kJ/cmとなるように連続照射した場合(フォトマスクを略100,000回使用したことに相当し、通常のフォトマスクの使用頻度で略3カ月使用したことに相当する)であっても、遮光膜パターンの線幅の太り(CD変化量)は、10nm以下、好ましくは5nm以下に抑えることが可能となる。
また、本発明によれば、金属シリサイド系の光半透過膜を有する位相シフトマスクブランクを用いて作製されるフォトマスクに対して、ArFエキシマレーザーを総照射量30kJ/cmとなるように連続照射した場合、遮光膜パターンの線幅の太り(CD変化量)は、20nm以下、好ましくは10nm以下に抑えることが可能となる。また、ArFエキシマレーザー照射前後の光学特性変化量は、透過率変化量を0.60%以内、位相差変化量を3.0度以内とすることが可能である。さらに、透過率変化量を0.05%以内、位相差変化量を1.0度以内とすることが可能である。このように光学特性変化量は小さく抑えられ、この程度の変化量はフォトマスクの性能に影響はない。
本発明によれば、波長200nm以下の露光光に対する光半透過膜などの薄膜の耐光性を向上させ、フォトマスク寿命を著しく改善できるフォトマスクブランク、フォトマスク及びそれらの製造方法を提供することが可能となる。
なお、半導体デバイスの設計仕様でいうハーフピッチ(hp)32nm世代ではウェハ上でCD制御を2.6nm以下とする必要があり、このためには、hp32nm世代で使用するフォトマスクに求められるCD変化量は5nm以下に抑えることが好ましい。
本発明の実施例に係るフォトマスクブランクの断面図である。 本発明の実施例に係るフォトマスクブランクを用いてフォトマスクを製造す る工程を示す断面図である。 フォトマスクの薄膜に生じた変質層による薄膜パターンの線幅の太りを説明 するための模式図である。
本発明は、上記構成1のように、波長200nm以下の露光光が適用されるフォトマスクを作製するために用いられるフォトマスクブランクであって、
透光性基板上に薄膜を備え、
前記薄膜は、遷移金属、ケイ素及び炭素を含み、ケイ素炭化物及び/又は遷移金属炭化物を有する材料からなることを特徴とするものである。
本発明によれば、ケイ素炭化物により、Siの酸化が防止される。スパッタリング成膜時に膜中に、酸化しにくい状態になっているケイ素炭化物が形成されることにより、Siの酸化が防止されると考えられる。また、スパッタリング成膜時に膜中に安定的なSi−C結合が形成されることにより、Siの酸化が防止されると考えられる。
なお、成膜したときに、薄膜中では、さまざまな結合状態が形成されるが、ケイ素炭化物、Si−C結合、は常に形成されるわけではない。
本発明によれば、遷移金属炭化物により、遷移金属(M)の酸化及び移動が抑制される。スパッタリング成膜時に膜中に、酸化しにくい状態になっている遷移金属炭化物が形成されることにより、遷移金属(M)の酸化及び移動が防止されると考えられる。また、スパッタリング成膜時に膜中に安定的なM−C結合が形成されることにより、遷移金属(例えばMo)の酸化及び移動が抑制されると考えられる。
なお、成膜したときに、薄膜中では、さまざまな結合状態が形成されるが、遷移金属炭化物、M−C結合(例えばMo−C結合)、は常に形成されるわけではない。
本発明は、遷移金属、ケイ素及び炭素を含む薄膜中に、ケイ素炭化物及び/又は遷移金属炭化物の形態で炭素を含む薄膜を用いるものである。
本発明では、Siの酸化が防止され、遷移金属(例えばMo)の酸化及び移動が抑制されるため、ArFエキシマレーザーなどの波長200nm以下の短波長光を露光光源としてフォトマスクの繰返し使用を行い、フォトマスクの薄膜パターンに対して波長200nm以下の露光光が従前の繰返し使用期間を越えて累積して照射されても、薄膜パターンの転写特性、例えば線幅変化や、光半透過膜の透過率及び位相差の変化、などを抑えられる。
本発明は、上記構成2のように、波長200nm以下の露光光が適用されるフォトマスクを作製するために用いられるフォトマスクブランクであって、
透光性基板上に薄膜を備え、
前記薄膜は、遷移金属、ケイ素及び水素を含み、水素化ケイ素を有する材料からなることを特徴とするものである。
本発明によれば、水素化ケイ素により、Siの酸化が防止される。スパッタリング成膜時に膜中に、酸化しにくい状態になっている水素化ケイ素が形成されることにより、Siの酸化が防止されると考えられる。また、スパッタリング成膜時に耐酸化性を有するSi−H結合が形成されることにより、Siの酸化が防止されると考えられる。なお、水素化ケイ素を含む薄膜にArFエキシマレーザーを照射しても水素の含有量に変化はないため、ArFエキシマレーザー照射前のスパッタリング成膜時にSi−H結合が生成されると考えられる。
なお、成膜したときに、薄膜中では、さまざまな結合状態が形成されるが、水素化ケイ素、Si−H結合、は常に形成されるわけではない。
本発明は、遷移金属、ケイ素及び炭素を含む薄膜中に、水素化ケイ素の形態で水素を含む薄膜を用いるものである。
本発明では、Siの酸化が防止されるため、ArFエキシマレーザーなどの波長200nm以下の短波長光を露光光源としてフォトマスクの繰返し使用を行い、フォトマスクの薄膜パターンに対して波長200nm以下の露光光が累積して照射されても、薄膜パターンの転写特性、例えば線幅変化や、光半透過膜の透過率及び位相差の変化、などを抑えられる。
本発明においては、遷移金属、ケイ素及び水素を含む前記薄膜が、下記(1)〜(3)の条件の何れか1つ又は組み合わせ[(1)+(2)、(1)+(3)、(2)+(3)、(1)+(2)+(3)]を有することによって、耐光性が向上し、波長200nm以下の露光光が従前の繰返し使用期間を越えて累積して照射された場合(変質層が実質的に形成される場合)であっても変質層等に基づく下記(4)〜(5)に示す転写特性の変化を抑えることが可能となる。本発明によればまた、下記(6)〜(7)に示す作用効果が得られる。
[条件]
(1)薄膜がケイ素炭化物を有する材料からなること
(2)薄膜が遷移金属炭化物を有する材料からなること
(3)薄膜が水素化ケイ素を有する材料からなること
[マスクCDの変化]
(4)遮光膜パターンのCD変化量を1〜10nm以下、好ましくは1〜5nm以下に抑えることが可能となる。
(5)光半透過膜パターンのCD変化量を1〜20nm以下、好ましくは1〜10nm、更に好ましくは1〜5nm以下に抑えることが可能となる。光半透過膜パターンの光学特性変化に関しては、透過率変化量を0.05〜0.60%以下に抑えることが可能となり、位相差変化量を1.0〜3.0度以下に抑えることが可能となる。
なお、本発明で言う薄膜パターンのCD変化量は、図3に示すように、薄膜パターン2の表層に生じる変質層2’の厚さをΔdとすると、2Δdで定義される。
図3(A)はスペースパターンの場合で、CD変化量=a−a’=2Δdである。
図3(B)はラインパターンの場合で、CD変化量=a”−a=2Δdである。
[作用効果]
(6)本発明においては、C及び/又はH(ケイ素炭化物、遷移金属炭化物、水素化ケイ素)の存在によりエッチングレートは速くなるため、レジスト膜を厚膜化することなく、解像性や、パターン精度が悪化することはない。また、エッチング時間を短縮することができるので、遮光膜上にエッチングマスク膜を有する構成の場合、エッチングマスク膜のダメージを少なくすることができ、高精細のパターニングが可能となる。
(7)本発明においては、遷移金属(例えばMo)の析出を抑制できるので、遷移金属(例えばMo)の析出によるガラス基板や膜上への堆積物をなくすことができる。このため、前記堆積物による欠陥を抑制できる。
本発明においては、前記薄膜が2層以上の場合には、各層(全層)にC及び/又はH(ケイ素炭化物、遷移金属炭化物、水素化ケイ素)を含めてもよいが、複数層のうちの任意の層にのみC及び/又はH(ケイ素炭化物、遷移金属炭化物、水素化ケイ素)を含めてもよい。
本発明において、遷移金属(M)は、モリブデン(Mo)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、タングステン(W)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pb)の何れか一つ又は合金からなる。
本発明の遷移金属、ケイ素、炭素及び/又は水素を含む前記薄膜における化学状態は、M(遷移金属)−Si結合、Si−Si結合、M−M結合、M−C結合、Si−C結合、Si−H結合を含んでいる。
本発明の遷移金属、ケイ素、炭素及び/又は水素を含む前記薄膜において、遷移金属Mの含有量は、薄膜が遮光膜の場合には1〜50原子%、好ましくは4〜40原子%であり、薄膜が光半透過膜の場合には1〜25原子%、好ましくは1〜15原子%である。
本発明の遷移金属、ケイ素、炭素及び/又は水素を含む前記薄膜において、ケイ素の含有量は、薄膜が遮光膜の場合には30〜95原子%、好ましくは50〜80原子%であり、薄膜が光半透過膜の場合には20〜60原子%、好ましくは30〜60原子%である。
本発明の遷移金属、ケイ素、炭素及び/又は水素を含む前記薄膜において、遷移金属の含有量が多い(この場合ケイ素の含有量は相対的に少なくなる)と、遷移金属の析出によるガラス基板や膜上への堆積物が増加する傾向にあり、これらを勘案して遷移金属とケイ素の比率を決める。
このような観点から、遷移金属とケイ素の原子比は薄膜が遮光膜の場合には1:1〜1:24が好ましく、1:4〜1:15がさらに好ましい。薄膜が光半透過膜の場合には1:1.5〜1:24が好ましく、1:2〜1:12がさらに好ましい。
本発明の遷移金属、ケイ素、炭素及び/又は水素を含む前記薄膜において、炭素の含有量は、薄膜が遮光膜の場合には1〜20原子%、好ましくは2〜10原子%であり、薄膜が光半透過膜の場合も1〜20原子%、好ましくは2〜10原子%である。
遮光膜の炭素の含有量が1原子%未満の場合には、ケイ素炭化物及び/又は遷移金属炭化物が形成されにくく、炭素の含有量が20原子%を超える場合には遮光膜の薄膜化が困難になる。光半透過膜の炭素の含有量が1原子%未満の場合には、ケイ素炭化物及び/又は遷移金属炭化物が形成されにくく、炭素の含有量が20原子%を超える場合には光半透過膜の薄膜化が困難になる。
本発明の遷移金属、ケイ素、炭素及び/又は水素を含む前記薄膜において、水素の含有量は、薄膜が遮光膜の場合には1〜10原子%、好ましくは2〜5原子%であり、薄膜が光半透過膜の場合には1〜10原子%、好ましくは2〜5原子%である。
遮光膜の水素の含有量が1原子%未満の場合には、水素化ケイ素が形成されにくく、水素の含有量が10原子%を超える場合には成膜が困難になる。光半透過膜の水素の含有量が1原子%未満の場合には、水素化ケイ素が形成されにくく、水素の含有量が10原子%を超える場合には成膜が困難になる。
本発明の遷移金属、ケイ素、炭素及び/又は水素を含む前記薄膜においては、膜厚方向に一定(均等に)にC及び/又はH(ケイ素炭化物、遷移金属炭化物、水素化ケイ素)が含まれていてもよい。
本発明の遷移金属、ケイ素、炭素及び/又は水素を含む前記薄膜においては、膜厚方向にC及び/又はH(ケイ素炭化物、遷移金属炭化物、水素化ケイ素)の含有量が変化(いわゆる組成傾斜)していてもよい。
本発明の遷移金属、ケイ素、炭素及び/又は水素を含む前記薄膜においては、窒素を含んでもよく、薄膜が遮光膜の場合には窒素の含有量は0〜50原子%、好ましくは0〜20原子%であり、薄膜が光半透過膜の場合には0〜60原子%、好ましくは0〜50原子%である。
本発明の遷移金属、ケイ素、炭素及び/又は水素を含む前記薄膜においては、酸素を含んでもよいが、酸素は結合しやすく、Si−C、Mo−C、又はSi−Hができる前に、Si−O、Mo−Oが先に形成されてしまうため、あまり多く入れない方がよい。実質的に酸素を含まない構成とすることもできる。
薄膜が遮光膜の場合には、酸素の含有量は0〜60原子%が望ましい。遮光膜が反射防止層、遮光層を含む複数層の場合の酸素の含有量は、反射防止層では0〜60原子%であり、遮光層では0〜20原子%、好ましくは0〜10原子%である。また、薄膜が光半透過膜の場合には、酸素の含有量は0〜60原子%が望ましい。
本発明においては、レジスト膜の膜厚を薄膜化して微細パターンを形成するために、遮光膜上にエッチングマスク膜を有する構成としてもよい。このエッチングマスク膜は、遷移金属シリサイドを含む遮光膜のエッチングに対してエッチング選択性を有する(エッチング耐性を有する)クロムや、クロムに酸素、窒素、炭素などの元素を添加したクロム化合物からなる材料で構成する。
本発明においては、レジスト膜の膜厚が75nm以下であり、かつ、エッチングマスク膜の膜厚が5nm以上、15nm以下であることが好ましい。これは、エッチングマスク膜のエッチング時間の短縮に関連し、レジストパターンのLER(Line Edge Roughness)を低減する観点からは、前記レジスト膜の膜厚が75nm以下である場合では、Cr系エッチングマスク膜の膜厚は5nm以上、15nm以下であることが好ましいからである。
同様に、本発明においては、レジスト膜の膜厚が65nm以下であり、かつ、エッチングマスク膜の膜厚が5nm以上、10nm以下であることが好ましい。
本発明において、フォトマスクブランクには、バイナリマスクブランク、位相シフトマスクブランクが含まれる。
位相シフトマスクには、ハーフトーン型(トライトーン型)、レベンソン型、補助パターン型、自己整合型(エッジ強調型)等の位相シフトマスクが含まれる。
本発明の一態様において、前記薄膜は、遮光膜である(上記構成6)。
遮光膜は、単層構造、複数層構造、を含む。
遮光膜は、反射防止層を含む態様であってもよい。
遮光膜は、組成傾斜膜を含む。
遮光膜は、裏面反射防止層、遮光層、表面反射防止層からなる3層構造としてもよい。
遮光膜は、遮光層、表面反射防止層からなる2層構造としてもよい。
遮光膜が複数層構造の場合には、全層にC及び/又はH(ケイ素炭化物、遷移金属炭化物、水素化ケイ素)を含めてもよいが、任意の層、例えば遮光層にのみC及び/又はHケイ素炭化物、遷移金属炭化物、水素化ケイ素)を含めてもよい。
本発明において、遮光膜は、遷移金属シリサイド炭化水素化物、遷移金属シリサイド炭化物、遷移金属シリサイド水素化物、遷移金属シリサイド窒化炭化水素化物、遷移金属シリサイド窒化炭化物、遷移金属シリサイド窒化水素化物、が好ましい。
本発明においては、以下の態様が含まれる。
波長200nm以下の露光光が適用されるフォトマスクを作製するために用いられるフォトマスクブランクであって、
透光性基板上に遮光膜を備え、
前記遮光膜は、少なくとも3層で構成され、
前記遮光膜は、
遷移金属、ケイ素及び炭素及び/又は水素を含み、ケイ素炭化物、遷移金属炭化物、水素化ケイ素のうちの少なくとも1種を有する材料からなる遮光層と、
該遮光層の上に接して形成され、酸素、窒素のうち少なくとも一方を含む遷移金属シリサイド化合物からなる反射防止層と、
前記遮光層の下に接して形成され、酸素、窒素のうち少なくとも一方を含む遷移金属シリサイド化合物からなる低反射層とからなることを特徴とするフォトマスクブランク。
本発明においては、遮光膜をモリブデンシリサイドの化合物で形成する場合であって、遮光層(MoSi等)と表面反射防止層(MoSiON等)の2層構造や、さらに遮光層と基板との間に裏面反射防止層(MoSiON、MoSiN等)を加えた3層構造とした場合、遮光層のモリブデンシリサイド化合物におけるMoとSiの含有比は、以下のA、B、Cのいずれかとするのが好ましい。
(A)遮光性の観点からは、Moが4%以上40%以下(好ましくは、9%以上40%以下、より好ましくは15%以上40%以下、さらに好ましくは20%以上40%以下)とするのが好ましい。
(B)洗浄耐性の観点からは、反射防止層のMo含有量は0〜20原子%、好ましくは0〜10原子%、更に好ましくは0〜5原子%である。
(C)パターン断面形状制御の観点からは、反射防止層のエッチング速度と遮光層のエッチング速度をそろえる必要があり、酸化、窒化された反射防止層に対し、モリブデンシリサイド遮光層のMoは、4%以上40%以下、好ましくは10%以上40%以下とするのが好ましい。
本発明の上記構成、即ち、モリブデンの含有量が4原子%以上、40原子%以下であるモリブデンシリサイドを含む遮光層によれば、以下の作用効果が得られる。
遮光膜の薄膜化(マスクパターンの薄膜化)によって次の作用効果が得られる。
(a)マスク洗浄時のマスクパターン倒れ防止が図られる。
(b)遮光膜の薄膜化によって、マスクパターンの側壁高さも低くなることから、特に側壁高さ方向のパターン精度が向上し、CD精度(特にリニアリティ)を高めることができる。
(c)特に高NA(Numerical Aperture)(液浸)世代で使用されるフォトマスクに関しては、シャドーイング対策として、マスクパターンを薄くする(マスクパターンの側壁高さを低くする)必要があるが、その要求に応えられる。
また、遮光層のMo含有率が本発明の範囲であると、次の作用効果が得られる。
(d)本発明の範囲外の組成に対して、垂直なエッチング断面形状が得られる。
なお、遮光膜の膜厚方向における組成が連続的又は段階的に異なる組成傾斜膜としてもよい。
本発明において、遮光膜が、裏面反射防止層、遮光層、表面反射防止層からなる3層構造、あるいは、遮光層、表面反射防止層からなる2層構造などの複数層構造からなる場合、モリブデンシリサイド金属からなる遮光層は、層の厚さが20nmから50nm以下であることが望ましく、25nmから40nmであるとより望ましい。また、表面反射防止層及び裏面反射防止層は、層の厚さが5nmから20nmであることが望ましく、7nmから15nmであるとより望ましい。
本発明においては、遮光膜上に、エッチングマスク膜を設けてもよい。
エッチングマスク膜を設けると、レジスト膜の膜厚を薄膜化することが可能となり、より微細なパターンを形成可能となる。
遮光膜を遷移金属シリサイド(MSi系)にした場合には、エッチングマスク膜は、前記遮光膜のエッチングに対してエッチング選択性を有する(エッチング耐性を有する)クロムや、クロムに酸素、窒素、炭素などの元素を添加したクロム化合物からなる材料(Cr系材料)にすればよい。
遮光膜をCr系にした場合には、エッチングマスク膜は、MSi系にすればよい。この場合、エッチングマスク膜に反射防止機能を持たせて残す構成にする場合には、エッチングマスク膜にC及び/又はH(ケイ素炭化物、遷移金属炭化物、水素化ケイ素)が含まれるようにするとよい。本発明において、遷移金属、ケイ素、炭素及び/又は水素を含む前記薄膜は、エッチングマスク膜である態様が含まれる。
Cr系材料は、MoSi系材料との間でフッ素系ガスに対する高いエッチング選択比を有するが、フッ素系ガスによるエッチング中は物理的なエッチングの影響は少なからず受けるので全く減膜しないわけではない。よって、Cr系エッチングマスク膜を最適化しても、MoSi系遮光膜の膜厚には上限がある。実効的なCr系エッチングマスク膜厚に対し、MoSi系遮光膜が60nmを超えて厚くなると、フッ素系ガスによるドライエッチングのエッチング時間が長くなり、このドライエッチング後のCr系エッチングマスク膜の膜厚が薄くなり、Cr系エッチングマスク膜パターンのLER(Line Edge Roughness)が悪化する。よって、MoSi系遮光膜の膜厚(2層3層構造の場合は総膜厚)は60nm以下であることが好ましい。
本発明の他の態様において、前記薄膜は、光半透過膜である(上記構成7)。
光半透過膜は、単層構造、低透過率層と高透過率層とからなる2層構造、多層構造を含む。
光半透過膜は、高透過率タイプを含む。高透過率タイプは、例えば、通常の透過率1〜10%未満に対し、相対的に高い透過率10〜40%を有するものをいう。
本発明において、光半透過膜の膜厚は、50〜150nmであることが好ましい。
本発明では、光半透過膜(パターン)に加え、遮光膜(パターン)を有するフォトマスク及びフォトマスクブランクが含まれる。この場合、遮光膜(パターン)は、光半透過膜(パターン)の上層側に形成される態様であってもよく、光半透過膜(パターン)の下層側に形成される態様であってもよい。
光半透過膜を遷移金属シリサイド(MSi系)にした場合には、遮光膜は、前記光半透過膜のエッチングに対してエッチング選択性を有する(エッチング耐性を有する)クロムや、クロムに酸素、窒素、炭素などの元素を添加したクロム化合物からなる材料(Cr系材料)にすればよい。
光半透過膜と遮光膜とを同じ遷移金属シリサイド(MSi系)とする場合には、光半透過膜と遮光膜との間にCr系材料からなるエッチングストッパー膜を設けるとよい。
本発明において、光半透過膜は、遷移金属シリサイド窒化炭化水素化物、遷移金属シリサイド窒化炭化物、遷移金属シリサイド窒化水素化物、が好ましい。
本発明のフォトマスクブランクの製造方法は、上記構成3のように、波長200nm以下の露光光が適用されるフォトマスクを作製するために用いられるフォトマスクブランクの製造方法であって、
透光性基板上に薄膜を成膜する工程を含み、
前記薄膜は、炭素を含むターゲット又は炭素を含む雰囲気ガスを用いてスパッタリング成膜することにより形成され、遷移金属、ケイ素、炭素を含み、ケイ素炭化物及び/又は遷移金属炭化物を有してなることを特徴とする。
ここで、炭化水素ガスは、例えば、メタン(CH)、エタン(C)、プロパン(C)、ブタン(C10)等である。
炭化水素ガスを用いることにより、膜中に炭素と水素(ケイ素炭化物、遷移金属炭化物、水素化ケイ素)を導入できる。
炭素を含むターゲットを用いることにより、膜中に炭素(ケイ素炭化物、遷移金属炭化物)のみ導入できる。この場合、MoSiCターゲットを用いる態様の他、Moターゲット及びSiターゲットのいずれか一方又は双方にCを含むターゲットを用いる態様や、MoSiターゲット及びCターゲットを用いる態様、が含まれる。
本発明のフォトマスクブランクの製造方法は、上記構成4のように、波長200nm以下の露光光が適用されるフォトマスクを作製するために用いられるフォトマスクブランクの製造方法であって、
透光性基板上に薄膜を成膜する工程を含み、
前記薄膜は、水素を含む雰囲気ガスを用いてスパッタリング成膜することにより形成され、遷移金属、ケイ素、水素を含み、水素化ケイ素を有してなることを特徴とする。
これにより、膜中に水素(水素化ケイ素)のみ導入できる。
この方法では、MoSiターゲットを用いる態様の他、Moターゲット及びSiターゲットを用いる態様、が含まれる。また、この方法においてさらに膜中に炭素(ケイ素炭化物、遷移金属炭化物)を含ませる場合には、MoSiCターゲットを用いる態様の他、Moターゲット及びSiターゲットのいずれか一方又は双方にCを含むターゲットを用いる態様や、MoSiターゲット及びCターゲットを用いる態様、が含まれる。
本発明においては、上記構成5のように、前記薄膜は、前記スパッタリング成膜時の前記雰囲気ガスの圧力及び/又は電力を調整して形成されることが好ましい。
雰囲気ガスの圧力が低い(この場合成膜速度が遅い)と炭化物等(ケイ素炭化物や遷移金属炭化物)が形成されやすいと考えられる。また、電力(パワー)を低くすると炭化物等(ケイ素炭化物や遷移金属炭化物)が形成されやすいと考えられる。
本発明は、このように炭化物等(ケイ素炭化物や遷移金属炭化物)が形成され、上述した本発明の作用効果が得られるように、前記スパッタリング成膜時の前記雰囲気ガスの圧力及び/又は電力を調整する。
また、本発明は、スパッタリング成膜時に膜中に安定的なSi−C結合及び/又は安定的な遷移金属M−C結合が形成され、上述した本発明の作用効果が得られるように、前記スパッタリング成膜時の前記雰囲気ガスの圧力及び/又は電力を調整する。
これに対し、雰囲気ガスの圧力が高い(この場合成膜速度が速い)と炭化物等(ケイ素炭化物や遷移金属炭化物)が形成されにくいと考えられる。また、電力(パワー)を低くすると炭化物等(ケイ素炭化物や遷移金属炭化物)が形成されにくいと考えられる。
本発明においては、上記薄膜の成膜後又はフォトマスク作製後に熱処理を行ってもよい。これは、薄膜表面やパターン側壁にSi−O結合が形成され、耐薬品性が向上するからである。
酸素を含む雰囲気中での200℃〜900℃の加熱処理が好ましく挙げられる。加熱温度が200℃未満であると、洗浄耐性及び温水耐性が低下するという問題がある。一方、加熱温度が900℃よりも高いと、薄膜自体が劣化する恐れが生じる。
本発明においては、成膜後又はマスク作製後に、予め紫外線照射をしてもよく、好ましくはArFエキシマレーザー照射してもよい。これは、さらにケイ素炭化物及び/又は遷移金属炭化物が形成され、より耐光性が向上するからである。
透光性基板は、使用する露光波長に対して透明性を有するものであれば特に制限されない。本発明では、合成石英基板、石英基板、その他各種のガラス基板(例えば、CaF基板、ソーダライムガラス、アルミノシリケートガラス、無アルカリガラス基板、低熱膨張ガラス基板等)を用いることができるが、この中でも石英基板は、ArFエキシマレーザー又はそれよりも短波長の領域で透明性が高いので、本発明には特に好適である。
透光性基板上に上記薄膜を成膜する方法としては、例えばスパッタリング成膜法が好ましく挙げられるが、本発明はスパッタリング成膜法に限定されるわけではない。
スパッタ装置としてDCマグネトロンスパッタ装置が好ましく挙げられるが、本発明はこの成膜装置に限定されるわけではない。RFマグネトロンスパッタ装置等、他の方式のスパッタ装置を使用してもよい。
本発明は、上記構成8のように、上述の本発明により得られるフォトマスクブランクにおける前記薄膜を、エッチングによりパターニングする工程を有するフォトマスクの製造方法を提供する。
この場合のエッチングは、微細パターンの形成に有効なドライエッチングが好適に用いられる。
かかるフォトマスクの製造方法によれば、金属及びシリコンを主成分とする薄膜に関し、ArFエキシマレーザーなどの波長200nm以下の露光光が、従前のマスクの繰り返し使用期間を超えて累積的に照射された場合の耐光性を向上させ、その結果としてフォトマスクの寿命を著しく改善したフォトマスクが得られる。
上記構成9のように、本発明のフォトマスクは、上記本発明に係るフォトマスクブランクを用いて作製される。
これにより、金属及びシリコンを主成分とする薄膜に関し、ArFエキシマレーザーなどの波長200nm以下の露光光が、従前のマスクの繰り返し使用期間を超えて累積的に照射された場合の耐光性を向上させ、その結果としてフォトマスクの寿命を著しく改善したフォトマスクが得られる。
本発明において、モリブデンシリサイド系薄膜のドライエッチングには、例えば、SF、CF、C、CHF等のフッ素系ガス、これらとHe、H、N、Ar、C、O等の混合ガス、或いはCl、CHCl等の塩素系のガス又は、これらとHe、H、N、Ar、C等の混合ガスを用いることができる。
本発明において、クロム系薄膜のドライエッチングには、塩素系ガス、又は、塩素系ガスと酸素ガスとを含む混合ガスからなるドライエッチングガスを用いることが好ましい。この理由は、クロムと酸素、窒素等の元素とを含む材料からなるクロム系薄膜に対しては、上記のドライエッチングガスを用いてドライエッチングを行うことにより、ドライエッチング速度を高めることができ、ドライエッチング時間の短縮化を図ることができ、断面形状の良好な遮光膜パターンを形成することができるからである。ドライエッチングガスに用いる塩素系ガスとしては、例えば、Cl、SiCl、HCl、CCl、CHCl等が挙げられる。
[実施例]
以下、実施例により、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。
(実施例1)
図1は、実施例1のバイナリマスクブランク10の断面図である。
透光性基板1としてサイズ6インチ角、厚さ0.25インチの合成石英ガラス基板を用い、透光性基板1上に、薄膜2(遮光膜)として、MoSiON膜(裏面反射防止層)、MoSiCH膜(遮光層)、MoSiON膜(表面反射防止層)、をそれぞれ形成した。
具体的には、MoとSiとの混合ターゲット(Mo:Si=21mol%:79mol%)を用い、ArとOとNとHeとの混合ガス雰囲気(ガス流量比 Ar:O:N:He=5:4:49:42)で、ガス圧0.2Pa、DC電源の電力を3.0kWとして、モリブデン、シリコン、酸素、窒素からなる膜(Mo:13.0原子%、Si:36.3原子%、O:3.1原子%、N:47.7原子%)を7nmの膜厚で形成し、MoSiON膜(裏面反射防止層)を形成した。
次いで、Mo:Si=21mol%:79mol%のターゲットを用い、ArとCHとHeとの混合ガス雰囲気(ガス流量比 Ar:CH:He=10:1:50)で、ガス圧0.3Pa、DC電源の電力を2.0kWで、モリブデン、シリコン、炭素及び水素からなる膜(Mo:19.8原子%、Si:76.7原子%、C:2.0原子%、H:1.5原子%)を30nmの膜厚で形成し、MoSiCH膜(遮光層)を形成した。
次いで、Mo:Si=4mol%:96mol%のターゲットを用い、ArとOとNとHe(ガス流量比 Ar:O:N:He=6:5:11:16)で、ガス圧0.1Pa、DC電源の電力を3.0kWで、モリブデン、シリコン、酸素、窒素からなる膜(Mo:2.6原子%、Si:57.1原子%、O:15.9原子%、N:24.1原子%)を15nmの膜厚で形成し、MoSiON膜(表面反射防止層)を形成した。
遮光膜の合計膜厚は52nmとした。遮光膜の光学濃度(OD:Optical Density)はArFエキシマレーザー露光光の波長193nmにおいて3.0であった。
以上のようにして、実施例1のバイナリマスクブランクを作製した。
次に、上記のバイナリマスクブランクを用いてバイナリマスクを作製した。図2は、バイナリマスクブランクを用いてバイナリマスクを製造する工程を示す断面図である。
まず、マスクブランク10上に、レジスト膜3として、電子線描画用化学増幅型ポジレジスト膜(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ社製 PRL009)を形成した(図2(A)参照)。
次に上記マスクブランク10上に形成されたレジスト膜3に対し、電子線描画装置を用いて所望のパターン描画を行った後、所定の現像液で現像してレジストパターン3aを形成した(図2(B)、(C)参照)。
次に、上記レジストパターン3aをマスクとして、3層構造の遮光膜からなる薄膜2のエッチングを行って遮光膜パターン2aを形成した(図2(D)参照)。ドライエッチングガスとして、SFとHeの混合ガスを用いた。
次に、残存するレジストパターンを剥離して、実施例1のバイナリマスク20を得た(図2(E)参照)。なお、遮光膜の光学濃度(OD)はArFエキシマレーザー露光光の波長193nmにおいてマスクブランク製造時と殆ど変化はなかった。
得られたバイナリマスク20に対して、ArFエキシマレーザーを総照射量30kJ/cmとなるように連続照射した。ここで、照射量30kJ/cm(エネルギー密度 約25mJ/cm)というのは、フォトマスクを略100,000回使用したことに相当し、通常のフォトマスクの使用頻度で略3カ月使用したことに相当する。
ArFエキシマレーザー照射後の遮光膜パターンの断面を、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて詳しく観察したところ、特に従来発生していたような変質層は確認されず、線幅の太り(CD変化量)に関しても2nm以下に抑えられていた。従って、実施例1のバイナリマスクブランク及びバイナリマスクは、200nm以下の短波長の露光光源による累積照射に対して、極めて高い耐光性を備えていることがわかる。
また、バイナリマスクを23℃のアンモニア過水に60分間、90℃の温水に60分間、それぞれ浸し、耐薬品性、特にパターン側壁の耐薬品性(耐アンモニア過水、耐温水)を調べたところ、いずれの場合もパターン側壁の浸食は確認されず、耐薬品性は良好であった。
さらに、ArFエキシマレーザー照射後のマスク表面を詳しく観察したところ、とくに従来発生していたようなMo析出による透光性基板(ガラス基板)や膜上への堆積物は確認されなかった。
(実施例2)
実施例1と全く同様にして透光性基板上に3層構造の遮光膜(MoSiON膜(裏面反射防止層)/MoSiCH膜(遮光層)/MoSiON膜(表面反射防止層))を成膜した。この遮光膜の合計膜厚、及び、遮光膜の光学濃度(OD)は、ArFエキシマレーザー露光光の波長193nmにおいて実施例1とほぼ同じであった。
その後、上記遮光膜が形成された透光性基板に対して加熱処理を施した。具体的には、加熱炉を用いて、大気中で加熱温度を450℃として加熱処理を行った。なお、遮光膜におけるMoSiCH膜(遮光層)中のC及びHの含有量は、加熱処理を行っても変化がなかった。
以上のようにして、実施例2のバイナリマスクブランクを作製した。
次に、実施例1と同様にして、上記のバイナリマスクブランクを用いてバイナリマスクを作製した。
得られたバイナリマスクに対して、ArFエキシマレーザーを総照射量30kJ/cmとなるように連続照射した。ArFエキシマレーザー照射後の遮光膜パターンの断面を、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて詳しく観察したところ、特に従来発生していたような変質層は確認されず、線幅の太り(CD変化量)に関しても2nm以下に抑えられていた。従って、実施例2のバイナリマスクブランク及びバイナリマスクは、200nm以下の短波長の露光光源による累積照射に対して、極めて高い耐光性を備えていることがわ
かる。
また、実施例1と同様に、バイナリマスクをアンモニア過水、温水にそれぞれ浸し、耐薬品性、特にパターン側壁の耐薬品性(耐アンモニア過水、耐温水)を調べたところ、いずれの場合もパターン側壁の浸食は確認されず、耐薬品性は良好であった。
さらに、ArFエキシマレーザー照射後のマスク表面を詳しく観察したところ、とくに従来発生していたようなMo析出による透光性基板(ガラス基板)や膜上への堆積物は確認されなかった。
(実施例3)
実施例3は、遮光膜におけるMoSiON膜(裏面反射防止層)及びMoSiCH膜(遮光層)に関し、下記条件で成膜を行い、MoSiON膜(裏面反射防止層)及びMoSiCH膜(遮光層)の膜厚及び膜中のSi含有率を変化させたこと、遮光膜の合計膜厚を変化させたこと、を除き、実施例1と同様である。
具体的には、Mo:Si=4mol%:96mol%のターゲットを用い、ArとOとNとHe(ガス流量比 Ar:O:N:He=6:5:11:16)で、ガス圧0.1Pa、DC電源の電力を3.0kWで、モリブデン、シリコン、酸素、窒素からなる膜(Mo:2.6原子%、Si:57.1原子%、O:15.9原子%、N:24.1原子%)を7nmの膜厚で形成し、MoSiON膜(裏面反射防止層)を形成した。
次いで、Mo:Si=4mol%:96mol%のターゲットを用い、ArとCHとHeとの混合ガス雰囲気(ガス流量比 Ar:CH:He=10:1:50)で、ガス圧0.3Pa、DC電源の電力を2.0kWで、モリブデン、シリコン、炭素及び水素からなる膜(Mo:3.9原子%、Si:92.6原子%、C:2.0原子%、H:1.5原子%)を38nmの膜厚で形成し、MoSiCH膜(遮光層)を形成した。
次いで、Mo:Si=4mol%:96mol%のターゲットを用い、ArとOとNとHe(ガス流量比 Ar:O:N:He=6:5:11:16)で、ガス圧0.1Pa、DC電源の電力を3.0kWで、モリブデン、シリコン、酸素、窒素からなる膜(Mo:2.6原子%、Si:57.1原子%、O:15.9原子%、N:24.1原子%)を15nmの膜厚で形成し、MoSiON膜(表面反射防止層)を形成した。
遮光膜の合計膜厚は60nmとした。遮光膜の光学濃度(OD)はArFエキシマレーザー露光光の波長193nmにおいて3.0であった。
以上のようにして、実施例3のバイナリマスクブランクを作製した。
次に、上記のバイナリマスクブランクを用いて実施例1と同様にしてバイナリマスクを作製した。なお、遮光膜の光学濃度(OD)はArFエキシマレーザー露光光の波長193nmにおいてマスクブランク製造時と殆ど変化はなかった。
得られたバイナリマスクに対して、ArFエキシマレーザーを総照射量30kJ/cmとなるように連続照射した。ArFエキシマレーザー照射後の遮光膜パターンの断面を、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて詳しく観察したところ、特に従来発生していたような変質層は確認されず、線幅の太り(CD変化量)に関しても5nm以下に抑えられていた。従って、実施例3のバイナリマスクブランク及びバイナリマスクは、200nm以下の短波長の露光光源による累積照射に対して、極めて高い耐光性を備えていることがわかる。
また、実施例1と同様に、バイナリマスクをアンモニア過水、温水にそれぞれ浸し、耐薬品性、特にパターン側壁の耐薬品性(耐アンモニア過水、耐温水)を調べたところ、いずれの場合もパターン側壁の浸食は確認されず、耐薬品性は良好であった。
さらに、照射後のマスク表面を詳しく観察したところ、特に従来発生していたようなMo析出による透光性基板(ガラス基板)や膜上への堆積物は確認されなかった。
(実施例4)
実施例4は、遮光膜におけるMoSiCH膜(遮光層)に関し、下記条件で成膜を行い、成膜時のCHガスの流量比、MoSiCH膜(遮光層)の膜中のC、Hの含有率を変化させたことを除き、実施例2と同様である。
具体的には、MoとSiとの混合ターゲット(Mo:Si=21mol%:79mol%)を用い、ArとOとNとHeとの混合ガス雰囲気(ガス流量比 Ar:O:N:He=5:4:49:42)で、ガス圧0.2Pa、DC電源の電力を3.0kWとして、モリブデン、シリコン、酸素、窒素からなる膜(Mo:13.0原子%、Si:36.3原子%、O:3.1原子%、N:47.7原子%)を7nmの膜厚で形成し、MoSiON膜(裏面反射防止層)を形成した。
次いで、Mo:Si=21mol%:79mol%のターゲットを用い、ArとCHとHeとの混合ガス雰囲気(ガス流量比 Ar:CH:He=10:1:65)で、ガス圧0.3Pa、DC電源の電力を2.0kWで、モリブデン、シリコン、炭素及び水素からなる膜(Mo:20.6原子%、Si:77.4原子%、C:1.0原子%、H:1.0原子%)を30nmの膜厚で形成し、MoSiCH膜(遮光層)を形成した。
次いで、Mo:Si=4mol%:96mol%のターゲットを用い、ArとOとNとHe(ガス流量比 Ar:O:N:He=6:5:11:16)で、ガス圧0.1Pa、DC電源の電力を3.0kWで、モリブデン、シリコン、酸素、窒素からなる膜(Mo:2.6原子%、Si:57.1原子%、O:15.9原子%、N:24.1原子%)を15nmの膜厚で形成し、MoSiON膜(表面反射防止層)を形成した。
遮光膜の合計膜厚は52nmとした。遮光膜の光学濃度(OD)はArFエキシマレーザー露光光の波長193nmにおいて3.0であった。
その後、上記遮光膜が形成された透光性基板に対して加熱処理を施した。具体的には、加熱炉を用いて、大気中で加熱温度を450℃として加熱処理を行った。なお、遮光膜におけるMoSiCH膜(遮光層)中のC及びHの含有量は、加熱処理を行っても変化がなかった。
以上のようにして、実施例4のバイナリマスクブランクを作製した。
次に、上記のバイナリマスクブランクを用いて実施例1と同様にしてバイナリマスクを作製した。なお、遮光膜の光学濃度(OD)はArFエキシマレーザー露光光の波長193nmにおいてマスクブランク製造時と殆ど変化はなかった。
得られたバイナリマスクに対して、ArFエキシマレーザーを総照射量30kJ/cmとなるように連続照射した。ArFエキシマレーザー照射後の遮光膜パターンの断面を、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて詳しく観察したところ、特に従来発生していたような変質層は確認されず、線幅の太り(CD変化量)に関しても5nm以下に抑えられていた。従って、実施例4のバイナリマスクブランク及びバイナリマスクは、200nm以下の短波長の露光光源による累積照射に対して、極めて高い耐光性を備えていることがわかる。
また、実施例1と同様に、バイナリマスクをアンモニア過水、温水にそれぞれ浸し、耐薬品性、特にパターン側壁の耐薬品性(耐アンモニア過水、耐温水)を調べたところ、いずれの場合もパターン側壁の浸食は確認されず、耐薬品性は良好であった。
さらに、ArFエキシマレーザー照射後のマスク表面を詳しく観察したところ、特に従来発生していたようなMo析出による透光性基板(ガラス基板)や膜上への堆積物は確認されなかった。
(実施例5)
実施例5は、遮光膜におけるMoSiON膜(裏面反射防止層)に関し、下記条件で成膜を行い、MoSiON膜(裏面反射防止層)をMoSiN膜(裏面反射防止層)に代え、その膜厚及び膜中のSi含有率を変化させたこと、遮光膜の合計膜厚を変化させたこと、を除き、実施例1と同様である。
具体的には、Mo:Si=4mol%:96mol%のターゲットを用い、ArとNとHe(ガス流量比 Ar:N:He=6:11:16)で、ガス圧0.1Pa、DC電源の電力を3.0kWで、モリブデン、シリコン、窒素からなる膜(Mo:2.3原子%、Si:56.5原子%、N:41.1原子%)を13nmの膜厚で形成し、MoSiN膜(裏面反射防止層)を形成した。
次いで、Mo:Si=21mol%:79mol%のターゲットを用い、ArとCHとHeとの混合ガス雰囲気(ガス流量比 Ar:CH:He=10:1:50)で、ガス圧0.3Pa、DC電源の電力を2.0kWで、モリブデン、シリコン、炭素及び水素からなる膜(Mo:19.8原子%、Si:76.7原子%、C:2.0原子%、H:1.5原子%)を30nmの膜厚で形成し、MoSiCH膜(遮光層)を形成した。
次いで、Mo:Si=4mol%:96mol%のターゲットを用い、ArとOとNとHe(ガス流量比 Ar:O:N:He=6:5:11:16)で、ガス圧0.1Pa、DC電源の電力を3.0kWで、モリブデン、シリコン、酸素、窒素からなる膜(Mo:2.6原子%、Si:57.1原子%、O:15.9原子%、N:24.1原子%)を15nmの膜厚で形成し、MoSiON膜(表面反射防止層)を形成した。
遮光膜の合計膜厚は58nmとした。遮光膜の光学濃度(OD)はArFエキシマレーザー露光光の波長193nmにおいて3.0であった。
以上のようにして、実施例5のバイナリマスクブランクを作製した。
次に、上記のバイナリマスクブランクを用いて実施例1と同様にしてバイナリマスクを作製した。なお、遮光膜の光学濃度(OD)はArFエキシマレーザー露光光の波長193nmにおいてマスクブランク製造時と殆ど変化はなかった。
得られたバイナリマスクに対して、ArFエキシマレーザーを総照射量30kJ/cmとなるように連続照射した。ArFエキシマレーザー照射後の遮光膜パターンの断面を、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて詳しく観察したところ、特に従来発生していたような変質層は確認されず、線幅の太り(CD変化量)に関しても2nm以下に抑えられていた。従って、実施例6のバイナリマスクブランク及びバイナリマスクは、200nm以下の短波長の露光光源による累積照射に対して、極めて高い耐光性を備えていることがわかる。
また、実施例1と同様に、バイナリマスクをアンモニア過水、温水にそれぞれ浸し、耐薬品性、特にパターン側壁の耐薬品性(耐アンモニア過水、耐温水)を調べたところ、いずれの場合もパターン側壁の浸食は確認されず、耐薬品性は良好であった。
さらに、ArFエキシマレーザー照射後のマスク表面を詳しく観察したところ、特に従来発生していたようなMo析出による透光性基板(ガラス基板)や膜上への堆積物は確認されなかった。
(実施例6)
実施例6は、遮光膜におけるMoSiON膜(裏面反射防止層)に関し、下記条件で成膜を行い、その膜厚及び膜中のSi含有率を変化させたこと、遮光膜の合計膜厚を変化させたこと、を除き、実施例1と同様である。
具体的には、Mo:Si=4mol%:96mol%のターゲットを用い、ArとOとNとHe(ガス流量比 Ar:O:N:He=6:5:11:16)で、ガス圧0.1Pa、DC電源の電力を3.0kWで、モリブデン、シリコン、酸素、窒素からなる膜(Mo:2.6原子%、Si:57.1原子%、O:15.9原子%、N:24.1原子%)を15nmの膜厚で形成し、MoSiON膜(裏面反射防止層)を形成した。
次いで、Mo:Si=21mol%:79mol%のターゲットを用い、ArとCHとHeとの混合ガス雰囲気(ガス流量比 Ar:CH:He=10:1:50)で、ガス圧0.3Pa、DC電源の電力を2.0kWで、モリブデン、シリコン、炭素及び水素からなる膜(Mo:19.8原子%、Si:76.7原子%、C:2.0原子%、H:1.5原子%)を30nmの膜厚で形成し、MoSiCH膜(遮光層)を形成した。
次いで、Mo:Si=4mol%:96mol%のターゲットを用い、ArとOとNとHe(ガス流量比 Ar:O:N:He=6:5:11:16)で、ガス圧0.1Pa、DC電源の電力を3.0kWで、モリブデン、シリコン、酸素、窒素からなる膜(Mo:2.6原子%、Si:57.1原子%、O:15.9原子%、N:24.1原子%)を15nmの膜厚で形成し、MoSiON膜(表面反射防止層)を形成した。
遮光膜の合計膜厚は60nmとした。遮光膜の光学濃度(OD)はArFエキシマレーザー露光光の波長193nmにおいて3.0であった。
以上のようにして、実施例6のバイナリマスクブランクを作製した。
次に、上記のバイナリマスクブランクを用いて実施例1と同様にしてバイナリマスクを作製した。なお、遮光膜の光学濃度(OD)はArFエキシマレーザー露光光の波長193nmにおいてマスクブランク製造時と殆ど変化はなかった。
得られたバイナリマスクに対して、ArFエキシマレーザーを総照射量30kJ/cmとなるように連続照射した。ArFエキシマレーザー照射後の遮光膜パターンの断面を、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて詳しく観察したところ、特に従来発生していたような変質層は確認されず、線幅の太り(CD変化量)に関しても2nm以下に抑えられていた。従って、実施例6のバイナリマスクブランク及びバイナリマスクは、200nm以下の短波長の露光光源による累積照射に対して、極めて高い耐光性を備えていることがわかる。
また、実施例1と同様に、バイナリマスクをアンモニア過水、温水にそれぞれ浸し、耐薬品性、特にパターン側壁の耐薬品性(耐アンモニア過水、耐温水)を調べたところ、いずれの場合もパターン側壁の浸食は確認されず、耐薬品性は良好であった。
さらに、照射後のマスク表面を詳しく観察したところ、特に従来発生していたようなMo析出によるガラス基板や膜上への堆積物は確認されなかった。
(実施例7)
実施例7は、以下の点を除き、実施例1と同様である。
遮光膜に関し、MoSiON膜(裏面反射防止層)を形成しなかったこと。
遮光膜におけるMoSiCH膜(遮光層)及びMoSiON膜(表面反射防止層)に関し、下記条件で成膜を行い、MoSiCH膜(遮光層)をMoSiCHN膜(遮光層)に代え、その膜厚及び膜中のSi含有率を変化させ、MoSiON膜(表面反射防止層)の膜厚を変化させたこと。
遮光膜の合計膜厚を変化させたこと。
遮光膜におけるMoSiCHN膜(遮光層)は、モリブデン、シリコン、炭素、水素、窒素からなる膜(Mo:7.1原子%、Si:71.7原子%、C:2.0原子%、H:1.0原子%、N:18.2原子%)を52nmの膜厚で形成した。また、遮光膜におけるMoSiON膜(表面反射防止層)は、モリブデン、シリコン、酸素、窒素からなる膜(Mo:2.6原子%、Si:57.1原子%、O:15.9原子%、N:24.1原子%)を8nmの膜厚で形成した。
遮光膜の合計膜厚は60nmとした。遮光膜の光学濃度(OD)はArFエキシマレーザー露光光の波長193nmにおいて3.0であった。
以上のようにして、実施例7のバイナリマスクブランクを作製した。
次に、上記のバイナリマスクブランクを用いて実施例1と同様にしてバイナリマスクを作製した。なお、遮光膜の光学濃度(OD)はArFエキシマレーザー露光光の波長193nmにおいてマスクブランク製造時と殆ど変化はなかった。
得られたバイナリマスクに対して、ArFエキシマレーザーを総照射量30kJ/cmとなるように連続照射した。ArFエキシマレーザー照射後の遮光膜パターンの断面を、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて詳しく観察したところ、特に従来発生していたような変質層は確認されず、線幅の太り(CD変化量)に関しても10nm以下に抑えられていた。従って、実施例7のバイナリマスクブランク及びバイナリマスクは、200nm以下の短波長の露光光源による累積照射に対して、極めて高い耐光性を備えていることがわかる。
また、実施例1と同様に、バイナリマスクをアンモニア過水、温水にそれぞれ浸し、耐薬品性、特にパターン側壁の耐薬品性(耐アンモニア過水、耐温水)を調べたところ、いずれの場合もパターン側壁の浸食は確認されず、耐薬品性は良好であった。
さらに、照射後のマスク表面を詳しく観察したところ、特に従来発生していたようなMo析出による透光性基板(ガラス基板)や膜上への堆積物は確認されなかった。
(比較例1)
比較例1は、以下の点を除き、実施例1と同様である。
遮光膜に関し、MoSiON膜(裏面反射防止層)を形成しなかったこと。
遮光膜におけるMoSi膜(遮光層)及びMoSiON膜(表面反射防止層)に関し、下記条件で成膜を行い、MoSi膜(遮光層)をMoSiN膜(遮光層)に代え、その膜厚及び膜中のSi含有率を変化させ、MoSiON膜(表面反射防止層)の膜厚を変化させたこと。
遮光膜の合計膜厚を変化させたこと。
遮光膜におけるMoSiN膜(遮光層)は、モリブデン、シリコン、窒素からなる膜(Mo:9原子%、Si:72.8原子%、N:18.2原子%)を52nmの膜厚で形成した。また、遮光膜におけるMoSiON膜(表面反射防止層)は、モリブデン、シリコン、酸素、窒素からなる膜(Mo:2.6原子%、Si:57.1原子%、O:15.9原子%、N:24.1原子%)を8nmの膜厚で形成した。
遮光膜の合計膜厚は60nmとした。遮光膜の光学濃度(OD)はArFエキシマレーザー露光光の波長193nmにおいて3.0であった。
以上のようにして、比較例1のバイナリマスクブランクを作製した。
次に、上記のバイナリマスクブランクを用いて実施例1と同様にしてバイナリマスクを作製した。なお、遮光膜の光学濃度(OD)はArFエキシマレーザー露光光の波長193nmにおいてマスクブランク製造時と殆ど変化はなかった。
得られた比較例1の位相シフトマスクに対して、ArFエキシマレーザーを総照射量30kJ/cmとなるように連続照射した。照射後の遮光膜の光学濃度(OD)を測定したところ、ArFエキシマレーザー露光光の波長193nmにおいて3.0未満であり、光学濃度の低下がみられた。また、光半透過膜パターンの断面を、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて詳しく観察したところ、従来発生していたような変質層が確認され、それによる線幅の太り(CD変化量)も15nmであることが認められた。
また、実施例1と同様に、バイナリマスクをアンモニア過水、温水にそれぞれ浸し、耐薬品性、特にパターン側壁の耐薬品性(耐アンモニア過水、耐温水)を調べたところ、いずれの場合もパターン側壁の浸食が確認された。
さらに、照射後のマスク表面を詳しく観察したところ、従来発生していたようなMo析出による透光性基板(ガラス基板)や膜上への堆積物が確認された。
(実施例8)
図1は、実施例8の位相シフトマスクブランク10の断面図である。
透光性基板1としてサイズ6インチ角、厚さ0.25インチの合成石英ガラス基板を用い、透光性基板1上に、薄膜2として、窒化されたモリブデン及びシリコンに炭素及び水素を含む光半透過膜(MoSiNCH膜)を成膜した。
具体的には、モリブデン(Mo)とシリコン(Si)との混合ターゲット(Mo:Si=10mol%:90mol%)を用い、アルゴン(Ar)と窒素(N)とメタン(CH)とヘリウム(He)との混合ガス雰囲気(ガス流量比 Ar:N:CH:He=9:90:1:120)で、ガス圧0.3Pa、DC電源の電力を3.0kWとして、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、モリブデン、シリコン及び窒素からなるMoSiNCH膜を69nmの膜厚で形成した。なお、このMoSiNCH膜は、ArFエキシマレーザー露光光の波長193nmにおいて、透過率は6.11%、位相差は175.6度となっていた。
以上のようにして、実施例8の位相シフトマスクブランク10を作製した。
次に、上記の位相シフトマスクブランク10を用いてハーフトーン型位相シフトマスクを作製した。図2は、位相シフトマスクブランク10を用いて位相シフトマスクを製造する工程を示す断面図である。
まず、マスクブランク10上に、レジスト膜3として、電子線描画用化学増幅型ポジレジスト膜(富士フィルムエレクトロニクスマテリアルズ社製 PRL009)を形成した(図2(A)参照)。レジスト膜3の形成は、スピンナー(回転塗布装置)を用いて、回転塗布した。
次に上記マスクブランク10上に形成されたレジスト膜3に対し、電子線描画装置を用いて所望のパターン描画を行った後、所定の現像液で現像してレジストパターン3aを形成した(図2(B),(C)参照)。
次に、上記レジストパターン3aをマスクとして、光半透過膜(MoSiNCH膜)からなる薄膜2のエッチングを行って光半透過膜パターン2aを形成した(図2(D)参照)。ドライエッチングガスとして、SFとHeの混合ガスを用いた。
次に、残存するレジストパターンを剥離して、位相シフトマスク20を得た(図2(E)参照)。なお、光半透過膜の透過率、位相差はマスクブランク製造時と殆ど変化はなかった。
得られた位相シフトマスクに対して、ArFエキシマレーザーを総照射量30kJ/cmとなるように連続照射した。前述したように、照射量30kJ/cm(エネルギー密度 約25mJ/cm)というのは、フォトマスクを略100,000回使用したことに相当し、通常のフォトマスクの使用頻度で略3カ月使用したことに相当する。
上記ArFエキシマレーザー照射後の光半透過膜(MoSiNCH膜)の透過率及び位相差を測定したところ、ArFエキシマレーザーにおいて、透過率は6.70%、位相差は173.1度となっていた。従って、照射前後の変化量は、透過率が+0.59%、位相差が−2.5度であり、変化量は小さく抑えられており、この程度の変化量はフォトマスクの性能に影響はない。
また、光半透過膜パターンの断面を、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて詳しく観察したところ、特に従来発生していたような厚い変質層は確認されず、線幅の太り(CD変化量)に関しても15nm以下に抑えられていた。従って、実施例8の位相シフトマスクブランク及び位相シフトマスクは、200nm以下の短波長の露光光源による累積照射に対して、極めて高い耐光性を備えていることがわかる。
また、実施例1と同様に、位相シフトマスクをアンモニア過水、温水にそれぞれ浸し、耐薬品性、特にパターン側壁の耐薬品性(耐アンモニア過水、耐温水)を調べたところ、いずれの場合もパターン側壁の浸食は確認されず、耐薬品性は良好であった。
さらに、照射後のマスク表面を詳しく観察したところ、特に従来発生していたようなMo析出による透光性基板(ガラス基板)や膜上への堆積物は確認されなかった。
(比較例2)
透光性基板としてサイズ6インチ角、厚さ0.25インチの合成石英ガラス基板を用い、透光性基板上に、窒化されたモリブデン及びシリコンからなる光半透過膜(MoSiN膜)を形成した。
具体的には、モリブデンMoとシリコンSiとの混合ターゲット(Mo:Si=10mol%:90mol%)を用い、アルゴンArと窒素NとヘリウムHeとの混合ガス雰囲気(ガス流量比 Ar:N:He=5:49:46)で、ガス圧0.3Pa、DC電源の電力を3.0kWとして、反応性スパッタリング(DCスパッタリング)により、モリブデン、シリコン及び窒素からなるMoSiN膜を69nmの膜厚で形成した。 なお、このMoSiN膜は、ArFエキシマレーザー露光光の波長193nmにおいて、透過率は6.11%、位相差は175.6度となっていた。
以上のようにして、比較例2の位相シフトマスクブランクを作製した。
次に、実施例8と同様にして、上記の位相シフトマスクブランクを用いて位相シフトマスクを作製した。なお、作製した位相シフトマスクにおける光半透過膜の透過率、位相差はマスクブランク製造時と殆ど変化はなかった。
得られた比較例2の位相シフトマスクに対して、ArFエキシマレーザーを総照射量30kJ/cmとなるように連続照射した。ArFエキシマレーザー照射後の光半透過膜(MoSiN膜)の透過率及び位相差を測定したところ、ArFエキシマレーザーにおいて、透過率は7.69%、位相差は170.8度となっていた。従って、照射前後の変化量は、透過率が+1.58%、位相差が−4.8度であり、変化量は非常に大きく、この程度の変化量が発生すると最早フォトマスクとして使用することはできない。また、光半透過膜パターンの断面を、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて詳しく観察したところ、従来発生していたような変質層が確認され、それによる線幅の太り(CD変化量)も25nmであることが認められた。
また、実施例1と同様に、位相シフトマスクをアンモニア過水、温水にそれぞれ浸し、耐薬品性、特にパターン側壁の耐薬品性(耐アンモニア過水、耐温水)を調べたところ、いずれの場合もパターン側壁の浸食が確認された。
さらに、ArFエキシマレーザー照射後のマスク表面を詳しく観察したところ、従来発生していたようなMo析出による透光性基板(ガラス基板)や膜上への堆積物が確認された。
1 透光性基板
2 薄膜
2’ 変質層
3 レジスト膜
10 フォトマスクブランク
20 フォトマスク

Claims (10)

  1. 波長200nm以下の露光光が適用されるフォトマスクを作製するために用いられるフォトマスクブランクの製造方法であって、
    透光性基板上に薄膜を成膜する工程を含み、
    前記薄膜は、炭素を含むターゲット又は炭素を含む雰囲気ガスを用いてスパッタリング成膜することにより形成され、遷移金属(M)、ケイ素、炭素を含み、遷移金属炭化物、又は遷移金属炭化物及びケイ素炭化物、を有してなり、
    前記薄膜は、M−C結合を含有し、
    前記薄膜は、遷移金属とケイ素の原子比が1:1〜1:24であり、炭素の含有量が1〜20原子%であり、実質的に酸素を含まず、
    前記薄膜は、複数層構造からなる遮光膜における遮光層であ
    ことを特徴とするフォトマスクブランクの製造方法。
  2. 前記薄膜は、前記スパッタリング成膜時の前記雰囲気ガスの圧力及び/又は電力を調整して形成されることを特徴とする請求項1に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
  3. 前記薄膜は、前記フォトマスクを作製し、ArFエキシマレーザーを総照射量30kJ/cmとなるように連続照射した場合に、薄膜パターンの線幅の太りが20nm以下となるように成膜することを特徴とする請求項1又は2に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
  4. 前記薄膜は、スパッタリング成膜時に膜中に安定的なSi−C結合及び安定的な遷移金属M−C結合が形成されるように、前記スパッタリング成膜時の前記雰囲気ガスの圧力及び/又は電力を調整して形成されることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載のフォトマスクブランクの製造方法。
  5. 波長200nm以下の露光光が適用されるフォトマスクを作製するために用いられるフォトマスクブランクであって、
    透光性基板上に薄膜を備え、
    前記薄膜は、遷移金属(M)、ケイ素及び炭素を含み、遷移金属炭化物、又は遷移金属炭化物及びケイ素炭化物、を有してなり、
    前記薄膜は、M−C結合を含有し、
    前記薄膜は、遷移金属とケイ素の原子比が1:1〜1:24であり、炭素の含有量が1〜20原子%であり、実質的に酸素を含まず、
    前記薄膜は、複数層構造からなる遮光膜における遮光層であることを特徴とするフォトマスクブランク。
  6. 前記薄膜は、スパッタリング成膜時に膜中に安定的なSi−C結合及び安定的な遷移金属M−C結合が形成されるように、前記スパッタリング成膜時の前記雰囲気ガスの圧力及び/又は電力を調整して形成されることを特徴とする請求項に記載のフォトマスクブランク。
  7. 請求項1乃至のいずれか1項に記載のフォトマスクブランクの製造方法によって得られたフォトマスクブランク又は請求項5又は6に記載のフォトマスクブランクにおける前記薄膜を、エッチングによりパターニングする工程を有することを特徴とするフォトマスクの製造方法。
  8. 請求項1乃至のいずれか1項に記載のフォトマスクブランクの製造方法によって得られたフォトマスクブランク又は請求項5又は6に記載のフォトマスクブランクを用いて作製されるフォトマスク。
  9. ArFエキシマレーザーを総照射量30kJ/cmとなるように連続照射した場合に、薄膜パターンの線幅の太りが20nm以下である請求項に記載のフォトマスク。
  10. 請求項又はに記載のフォトマスクを用いて製造される半導体装置の製造方法。
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