以下、実施形態を具体的に説明する。
一実施形態にかかる自己組織化パターン形成用材料は、上記一般式(1)で表わされる化合物である。上記一般式(1)においてSSQで表わされるシルセスキオキサン骨格は、非極性である。一方、Φとして導入される特定の有機基は極性である。非極性の部分と極性の部分とを有しているので、本実施形態にかかる自己組織化パターン形成用材料は、所定の処理を施すことにより相分離して、規則配列した構造を有する自己組織化層を形成することができる。その結果、nmオーダーという微細パターンを形成することが可能となった。
上記一般式(1)においてSSQ(シルセスキオキサン)に導入されるRは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基、並びに脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環基に置換されているシロキサン基、ジシロキサン基、トリシロキサン基、ポリシロキサン基、または水素基である。具体的には、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec.−ブチル基、tert.−ブチル基、ペンチル基、tert.−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、並びに前述の(シクロ)アルキル基[メチル基〜シクロヘクロシル基]に置換されている(シクロ)アルキルジメチルシロキサニル基、および(シクロ)アルキルテトラメチルジシロキサニル基からなる群から選択される。
上記一般式(1)において、Φとしては、以下に示すような糖骨格、ステロイド骨格、オリゴアミノ酸骨格、オリゴ乳酸骨格、ポルフィリン骨格、および多連環式化合物骨格から選択される骨格が導入される。糖骨格は、例えば下記一般式(A1)、一般式(A2)または一般式(A3)で表わされる。
上記一般式中、n1は3〜20の整数であり、望ましくは3〜10の整数である。上記一般式(1)において、Φとしてこうした糖骨格が導入された化合物は、オリゴサッカリン化合物と称される。
上記一般式(A3)中、n2は5〜7の整数である。上記一般式(1)において、Φとしてこうした糖骨格が導入された化合物は、シクロデキストリン化合物と称される。
Φとして一般式(1)に導入され得るステロイド骨格は、例えば、下記一般式(B1)、または(B2)で表わされる。
上記一般式中、R31、R32およびR33は、ヒドロキシ基または水素基である。上記一般式(1)において、こうしたステロイド骨格がΦとして導入された化合物は、胆汁酸系ステロイド化合物と称される。
また、一般式(1)におけるΦとして下記一般式(B3)で表わされるステロイド骨格が導入された場合には、ヒドロキシステロイド化合物と称される。
一般式(1)におけるΦとして導入され得るオリゴアミノ酸骨格は、例えば下記一般式(C1)または下記一般式(C2)で表わされる。
上記一般式(C1)中、R
21は、ヒドロキシ基、アルコキシ基、またはアミノ基であり、R
22は、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、ピリジル基、または水素基であり、n3は5〜30の整数である。
上記一般式(C2)中、R23およびR24は、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、ピリジル基、または水素基であり、n4は5〜30の整数である。上記一般式(1)において、こうしたオリゴアミノ酸骨格がΦとして導入された化合物は、オリゴアミノ酸化合物と称される。
また、一般式(1)におけるΦとして下記一般式(C3)で表わされるオリゴ乳酸骨格が導入された場合には、オリゴ乳酸化合物と称される。
上記一般式(C3)中、R25およびR26は、炭素数1〜10のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、ピリジル基、または水素基であり、n5は5〜30の整数である。
一般式(1)におけるΦとして導入され得るポルフィリン骨格は、例えば下記一般式(D1)で表わされる。
上記一般式(D1)中、Ar1〜Ar4は、同一でも異なっていてよく、それぞれベンゼン環、ナフタレン環基、またはピリジン環基である。こうしたポルフィリン骨格が導入された化合物は、ポルフィリン化合物と称され、下記一般式で表わされる。
一般式(1)におけるΦとして導入され得る多連環式化合物骨格は、例えば下記一般式(E1)で表わされる。
上記一般式(E1)中、式中のAr5及びAr6はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基または芳香族複素環基を示す。Y6及びY7はそれぞれ同一でも異なっていても良く、−O−、−NH−、−S−、−SO−、−SO
2−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、または結合手を示す。Zは、置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基、−O−、−NH−、−S−、−SO−、−SO
2−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−N<、または結合手を示す。m1及びm2はそれぞれ同一でも異なっていても良く、1〜5の整数を示す。m3は1〜3の整数を示し、Zが−O−、−NH−、−S−、−SO−、−SO
2−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、または結合手の場合には、m3=1であり、Zが−N<の場合には、m3=2であり、Zが置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、または複素環基の場合には、m3は1〜3の整数である。こうした骨格が導入された多連環式化合物は、下記一般式で表わされる。
多連環式化合物の骨格として導入される化合物としては、例えば、ジフェノキシベンゼン、ジフェノキシビフェニル、ビス(フェノキシフェニル)エーテル、ビス(フェノキシフェニル)スルホン、ビス(フェノキシフェニル)プロパン、およびビス(フェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンなどが挙げられる。
他の実施形態にかかる自己組織化パターン形成用材料は、下記一般式(11)で表わされる化合物である。
上記一般式(11)において、Φ0は、分子長が0.5〜20nmのオリゴ糖基、オリゴアミノ酸、オリゴ乳酸、ステロイド基、シクロデキストリン基、またはポルフィリン基から選択される。あるいは、Φ0は、3〜10個の脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環が、−O−基、−NH−基、−S−基、−SO−基、−SO2−基、−C(=O)−基、−C(=O)−O−基、−C(=O)−NH−基、結合手で連結された多連環式化合物基である。
上記一般式(11)において、R1はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基、並びに脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環基が直接または架橋基により相互に連結された多環式化合物基、または結合手である。
R1として導入される脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec.−ブチル基、tert.−ブチル基、ペンチル基、tert.−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、プロペニル基、メタリル基、クロチル基、ブテニル基、ペンテニル基、ブタジエニル基、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、およびペンチニル基などの脂肪族炭化水素基が挙げられる。
こうした脂肪族炭化水素基における少なくとも1つの水素原子は、以下の特性基の少なくとも1種で置換されていてもよい。
特性基としては、例えば、次のものが挙げられる。ジ置換アミノ基(例えばジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ブチルメチルアミノ基、ジアミルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジキシリルアミノ基、メチルフェニルアミノ基、ベンジルメチルアミノ基、ヒドロキシエチルメチルアミノ基、ヒドロキシエチルエチルアミノ基、ビスヒドロキシエチルアミノ基など)、モノ置換アミノ基(例えばメチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、tert.−ブチルアミノ基、アニリノ基、アニシジノ基、フェネチジノ基、トルイジノ基、キシリジノ基、ピリジルアミノ基、チアゾリルアミノ基、ベンジルアミノ基、ベンジリデンアミノ基、およびヒドロキシエチルアミノ基など);複素環状アミノ基(例えばピロリジノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、モルホリノ基、1−ピロリル基、1−ピラゾリル基、1−イミダゾリル基、および1−トリアゾリル基など);アシルアミノ基(例えばホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、シンナモイルアミノ基、ピリジンカルボニルアミノ基、およびトリフルオロアセチルアミノ基など);スルホニルアミノ基(例えばメシルアミノ基、エチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、ピリジルスルホニルアミノ基、トシルアミノ基、タウリルアミノ基、トリフルオロメチルスルホニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、メチルスルファモイルアミノ基、スルファニルアミノ基、およびアセチルスルファニルアミノ基など);アンモニオ基(例えばトリメチルアンモニオ基、エチルジメチルアンモニオ基、ジメチルフェニルアンモニオ基、ピリジニオ基、およびキノリニオ基など);アミノ基、オキシアミノ基(例えばメトキシアミノ基、エトキシアミノ基、フェノキシアミノ基、およびピリジルオキシアミノ基など);ヒドロキシアミノ基、ウレイド基、セミカルバジド基、カルバジド基、ジ置換ヒドラジノ基(例えばジメチルヒドラジノ基、ジフェニルヒドラジノ基、およびメチルフェニルヒドラジノ基など);モノ置換ヒドラジノ基(例えばメチルヒドラジノ基、フェニルヒドラジノ基、ピリジルヒドラジノ基、およびベンジリデンヒドラジノ基など);ヒドラジノ基、アゾ基(例えばフェニルアゾ基、ピリジルアゾ基、およびチアゾリルアゾ基など);アゾキシ基、アミジノ基、シアノ基、シアナト基、チオシアナト基、ニトロ基、ニトロソ基、オキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヒドロキシエトキシ基、フェノキシ基、ナフトキシ基、ピリジルオキシ基、チアゾリルオキシ基、およびアセトキシ基など);ヒドロキシ基、チオ基(例えばメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、ピリジルチオ基、チアゾリルチオ基など)、メルカプト基、ハロゲン基(フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基)、カルボキシル基およびその塩、オキシカルボニル基(例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、およびピリジルオキシカルボニル基など);アミノカルボニル基(例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、ピリジルカルバモイル基、カルバゾイル基、アロファノイル基、オキサモイル基、およびスクシンアモイル基など);チオカルボキシル基およびその塩、ジチオカルボキシル基およびその塩、チオカルボニル基(例えばメトキシチオカルボニル基、メチルチオカルボニル基、およびメチルチオチオカルボニル基など);アシル基(例えばホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、アクリロイル基、ベンゾイル基、シンナモイル基、ピリジンカルボニル基、チアゾールカルボニル基、およびトリフルオロアセチル基など)、チオアシル基(例えばチオホルミル基、チオアセチル基、チオベンゾイル基、ピリジンチオカルボニル基など)、スルフィン酸基およびその塩、スルホン酸基およびその塩;スルフィニル基(例えばメチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、およびフェニルスルフィニル基など);スルホニル基(例えばメシル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、ピリジルスルホニル基、トシル基、タウリル基、トリフルオロメチルスルホニル基、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、スルファニリル基、およびアセチルスルファニリル基など);オキシスルホニル基(例えばメトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基、フェノキシスルホニル基、アセトアミノフェノキシスルホニル基、およびピリジルオキシスルホニル基など);チオスルホニル基(例えばメチルチオスルホニル基、エチルチオスルホニル基、フェニルチオスルホニル基、アセトアミノフェニルチオスルホニル基、およびピリジルチオスルホニル基など);アミノスルホニル基(例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、エチルスルファモイル基、ジエチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基、アセトアミノフェニルスルファモイル基、およびピリジルスルファモイル基など);ハロゲン化アルキル基(例えばクロロメチル基、ブロモメチル基、フルオロメチル基、ジクロロメチル基、ジブロモメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、およびヘプタフルオロプロピル基など);ポリシアノアルキル基(トリシアノビニル基など)、炭化水素基(例えばアルキル基、アリール基、アルケニル基、およびアルキニル基など);複素環基、有機ケイ素基(例えばシリル基、ジシラニル基、およびトリメチルシリル基トリフェニルシリル基など)などである。
R1として導入される脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘプテニル基、シクロオクテニル基、シクロペンタジエニル基、およびシクロヘキサジエニル基などの脂環式炭化水素基が挙げられる。
こうした脂環式炭化水素基における少なくとも1つの水素原子は、前述の特性基の少なくとも1種で置換されていてもよい。
R1として導入される芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンゼン環基、ナフタリン環基、アントラセン環基、フェナントレン環基、テトラリン環基、アズレン環基、ビフェニレン環基、アセナフチレン環基、アセナフテン環基、フルオレン環基、トリフェニレン環基、ピレン環基、クリセン環基、ピセン環基、ペリレン環基、ベンゾピレン環基、ルビセン環基、コロネン環基、オバレン環基、インデン環基、ペンタレン環基、ヘプタレン環基、インダセン環基、フェナレン環基、フルオランテン環基、アセフェナントリレン環基、アセアントリレン環基、ナフタセン環基、プレイアデン環基、ペンタフェン環基、ペンタセン環基、テトラフェニレン環基、ヘキサフェン環基、ヘキサセン環基、トリナフチレン環基、ヘプタフェン環基、ヘプタセン環基、およびピラントレン環基などの芳香族炭化水素基が挙げられる。
こうした芳香族炭化水素基における少なくとも1つの水素原子は、前述の特性基の少なくとも1種で置換されていてもよい。
R1として導入される複素環基としては、次のものが挙げられる。例えば、ピロール環基、ピロリン環基、ピロリジン環基、インドール環基、イソインドール環基、インドリン環基、イソインドリン環基、インドリジン環基、カルバゾール環基、カルボリン環基、フラン環基、オキソラン環基、クマロン環基、クマラン環基、イソベンゾフラン環基、フタラン環基、ジベンゾフラン環基、チオフェン環基、チオラン環基、ベンゾチオフェン環基、ジベンゾチオフェン環基、ピラゾール環基、ピラゾリン環基、インダゾール環基、イミダゾール環基、イミダゾリン環基、イミダゾリジン環基、ベンゾイミダゾール環基、ベンゾイミダゾリン環基、ナフトイミダゾール環基、オキサゾール環基、オキサゾリン環基、オキサゾリジン環基、ベンゾオキサゾール環基、ベゾオキサゾリン環基、ナフトオキサゾール環基、イソオキサゾール環基、ベンゾイソオキサゾール環基、チアゾール環基、チアゾリン環基、チアゾリジン環基、ベンゾチアゾール環基、ベンゾチアゾリン環基、ナフトチアゾール環基、イソチアゾール環基、ベンゾイソチアゾール環基、トリアゾール環基、ベンゾトリアゾール環基、オキサジアゾール環基、チアジアゾール環基、ベンゾオキサジアゾール環基、ベンゾチアジアゾール環基、テトラゾール環基、プリン環基、ピリジン環基、ピペリジン環基、キノリン環基、イソキノリン環基、アクリジン環基、フェナントリジン環基、ベンゾキノリン環基、ナフトキノリン環基、ナフチリジン環基、フェナントロリン環基、ピリダジン環基、ピリミジン環基、ピラジン環基、ピペラジン環基、フタラジン環基、キノキサリン環基、キナゾリン環基、シンノリン環基、フェナジン環基、ペリミジン環基、トリアジン環基、テトラジン環基、プテリジン環基、オキサジン環基、ベンゾオキサジン環基、フェノキサジン環基、チアジン環基、ベンゾチアジン環基、フェノチアジン環基、オキサジアジン環基、チアジアジン環基、ジオキソラン環基、ベンゾジオキソール環基、ジオキサン環基、ベンゾジオキサン環基、ジチオラン環基、ベンゾジチオール環基、ジチアン環基、ベンゾジチアン環基、ピラン環基、クロメン環基、キサンテン環基、オキサン環基、クロマン環基、イソクロマン環基、トリオキサン環基、チアン環基、トリチアン環基、モルホリン環基、キヌクリジン環基、セレナゾール環基、ベンゾセレナゾール環基、ナフトセレナゾール環基、テルラゾール環基、およびベンゾテルラゾール環基などである。
こうした複素環基における少なくとも1つの水素原子は、前述の特性基の少なくとも1種で置換されていてもよい。
R1としては、結合手;メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、およびペンチレン基等の低級アルキレン基;シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基、およびピリジンジイル基等の単環式の脂環式炭化水素基や芳香族炭化水素基や複素環基が望ましい。
上記一般式(11)におけるX1は、以下に示す群から選択される2価の基である。
R3〜R7は、置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基、または水素基である。ここで導入され得る脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、および複素環基としては、R1に導入され得るとしてすでに列挙したものを用いることができる。
R3〜R7としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、およびペンチル基等の低級アルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、およびピリジル基等の単環式の脂環式炭化水素基;および水素基が望ましい。
前記一般式(11)において、R2はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基、並びに脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環基に置換されているシロキサン基、ジシロキサン基、トリシロキサン基、ポリシロキサン基から選択される。
ここで導入され得る脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、および複素環基としては、前述のR1に導入され得るとしてすでに列挙したものを用いることができる。
R2としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基等の低級のアルキレン基や、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、フェニレン基、ピリジンジイル基等の単環式の脂環式炭化水素基や芳香族炭化水素基や複素環基、並びにこれらの置換基に置換されているシロキサン基、ジシロキサン基、トリシロキサン基が望ましい。
上記一般式(11)中、SSQは、下記一般式(SSQ)で表わされるシルセスキオキサン骨格である。
SSQ(シルセスキオキサン)におけるRは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基、並びに脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環基に置換されているシロキサニル基、ジシロキサニル基、トリシロキサニル基、またはポリシロキサニル基である。
ここで導入され得る脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、および複素環基としては、R1に導入され得るとしてすでに列挙したものを用いることができる。
Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec.−ブチル基、tert.−ブチル基、ペンチル基 tert.−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、フェニル基、並びに前述の(シクロ)アルキル基[メチル基〜シクロヘクロシル基]に置換されている(シクロ)アルキルジメチルシロキサニル基または(シクロ)アルキルテトラメチルジシロキサニル基が望ましく、中でもメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec.−ブチル基、tert.−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基が特に望ましい。
上記一般式(11)において、n0は1〜8の整数である。
前記一般式(11)で表わされる化合物の一例は、例えば下記一般式(12)または一般式(13)で表わされるオリゴサッカリン化合物である。
上記一般式(12)および(13)において、R12、R13、R15およびR16はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、ヒドロキシ基、メチル基、エチル基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミノ基または水素基である。また、R11およびR14はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、ヒドロキシメチル基またはカルボキシ基である。
R12、R13、R15およびR16としてはヒドロキシ基が望ましく、R11およびR14としてはヒドロキシメチル基が望ましい。
上記一般式(12)および一般式(13)において、n1は3〜20の整数である。
前記一般式(11)で表される化合物の他の例は、例えば、下記一般式(14)で表わされるシクロデキストリン化合物である。
上記一般式中、Cdxは、α−シクロデキストリン基、β−シクロデキストリン基、またはγ−シクロデキストリン基である。
前記一般式(11)で表わされる化合物の他の例は、例えば、下記一般式(15)、下記一般式(16)で表わされるオリゴアミノ酸化合物、または下記一般式(17)で表わされるオリゴ乳酸化合物である。
上記一般式(15)中、R21は、ヒドロキシ基、置換もしくは非置換のアミノ基、またはアルコキシ基であり、R22およびR23は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基、または水素基であり、Y1は、−CH2−CH(OH)−CH2−O−基、−C(=O)−基、または結合手である。n2は5〜30の整数であり、好ましくは10〜20の整数である。
上記一般式(16)中、R24〜26はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基、または水素基であり、Y2は、−O−基、−S−基、−NH−基、−O−CH2−CH(OH)−CH2−O−基である。また、n3は5〜30の整数であり、好ましくは10〜20の整数である。
上記一般式(17)中、R27〜29はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基、または水素基であり、Y3は、−O−基、−S−基、−NH−基、−O−CH2−CH(OH)−CH2−O−基である。また、n4は5〜30の整数であり、好ましくは10〜20の整数である。
一般式(15)〜(17)に導入され得る脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、および複素環基としては、前記一般式(11)におけるR1としてすでに列挙したものを用いることができる。
R22〜R29としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、およびヘキシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、およびピリジル基等の単環式の脂環式炭化水素基;ベンジル基またはフェニルエチル基などの芳香環で置換されたアルキル基;および水素基が望ましい。
前記一般式(11)で表わされる化合物の他の例は、例えば、下記一般式(18)または一般式(19)で表わされるステロイド化合物である。
前記一般式(18)中、R31〜R57は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、ヒドロキシ基、メチル基、アルコキシ基、または水素基である。なお、同一の炭素原子に結合する2つの基(具体的には、R31とR32、R33とR34、R35とR36、R37とR38、R42とR43、R44とR45、R48とR49、R50とR51、R54とR55、R56とR57)は、互いに結合してケト基(>C=O)を形成していてもよい。R58は、置換または非置換の脂肪族炭化水素基であり、炭素数3〜10個のアルキル基が望ましい。また、一般式(18)におけるY4は、−O−基、−S−基、−NH−基、または−O−CH2−CH(OH)−CH2−O−基である。
前記一般式(19)中、R59〜R76は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、ヒドロキシ基、メチル基、アルコキシ基、または水素基である。なお、同一の炭素原子に結合する2つの基(具体的には、R60とR61、R62とR63、R65とR66、R67とR68、R69とR70、R73とR74、R75とR76)は、互いに結合してケト基(>C=O)を形成していてもよい。R77〜R79は、脂肪族炭化水素基または水素基であり、水素基、または、メチル基およびエチル基などの低級のアルキル基が望ましい。また、一般式(19)におけるY5は、−CH2−CH(OH)−CH2−O−基または結合手である。
前記一般式(11)で表わされる化合物の他の例は、例えば、下記一般式(20)で表わされるポルフィリン化合物である。
前記一般式(20)において、Ar1〜Ar4はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基または芳香族複素環基である。
Ar1〜Ar4として導入される芳香族複素環基としては、次のものが挙げられる。例えば、ピロール環基、インドール環基、イソインドール環基、カルバゾール環基、カルボリン環基、フラン環基、クマロン環基、クマラン環基、イソベンゾフラン環基、フタラン環基、ジベンゾフラン環基、チオフェン環基、ベンゾチオフェン環基、ジベンゾチオフェン環基、ピラゾール環基、インダゾール環基、イミダゾール環基、ベンゾイミダゾール環基、ナフトイミダゾール環基、オキサゾール環基、ベンゾオキサゾール環基、ナフトオキサゾール環基、イソオキサゾール環基、ベンゾイソオキサゾール環基、チアゾール環基、ベンゾチアゾール環基、ナフトチアゾール環基、イソチアゾール環基、ベンゾイソチアゾール環基、トリアゾール環基、ベンゾトリアゾール環基、オキサジアゾール環基、チアジアゾール環基、ベンゾオキサジアゾール環基、ベンゾチアジアゾール環基、テトラゾール環基、プリン環基、ピリジン環基、キノリン環基、イソキノリン環基、アクリジン環基、フェナントリジン環基、ベンゾキノリン環基、ナフトキノリン環基、ナフチリジン環基、フェナントロリン環基、ピリダジン環基、ピリミジン環基、ピラジン環基、フタラジン環基、キノキサリン環基、キナゾリン環基、シンノリン環基、フェナジン環基、ペリミジン環基、トリアジン環基、テトラジン環基、プテリジン環基、オキサジン環基、ベンゾオキサジン環基、フェノキサジン環基、チアジン環基、ベンゾチアジン環基、フェノチアジン環基、オキサジアジン環基、チアジアジン環基、キヌクリジン環基、セレナゾール環基、ベンゾセレナゾール環基、ナフトセレナゾール環基、テルラゾール環基、およびベンゾテルラゾール環基などである。
こうした芳香族複素環基の少なくとも1つの水素原子は、前述の特性基の少なくとも1種で置換されていてもよい。
芳香族炭化水素基としては、前記一般式(11)におけるR1に導入され得るとしてすでに列挙したものを用いることができる。
Ar1〜Ar4としては、フェニル基やピリジル基等の単環式の芳香族炭化水素基や芳香族複素環基が望ましい。
前記一般式(20)において、n5〜n8はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、0〜2の整数を示し、n5〜n8の総和は2以上である。
前記一般式(11)で表わされる化合物の他の例は、下記一般式(21)で表わされる多連環式化合物である。
前記一般式(21)において、Ar5およびAr6はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、置換もしくは非置換の芳香族炭化水素基または芳香族複素環基である。
芳香族炭化水素基としては、一般式(11)におけるR1に導入され得るとしてすでに列挙したものを用いることができ、また芳香族複素環基としては、一般式(20)におけるAr1等に導入され得るとしてすでに列挙したものを用いることができる。
前記一般式(21)において、Y6およびY7はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、−O−、−NH−、−S−、−SO−、−SO2−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、または結合手である。
前記一般式(21)において、Zは、置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基、−O−、−NH−、−S−、−SO−、−SO2−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−N<、または結合手である。
前記一般式(21)において、m1およびm2はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、1〜5の整数を示す。k1およびk2はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、1〜2の整数である。
前記一般式(21)において、k3は1〜3の整数を示す。Zが−O−、−NH−、−S−、−SO−、−SO2−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、または結合手の場合には、k=1であり、Zが−N<の場合には、k3=2である。Zが置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基の場合には、k3は1〜3の整数である。
本実施形態にかかる自己組織化パターン形成用材料を用いて、例えば以下のような方法によりパターンを形成することができる。すなわち、基板上にマスク層を形成する工程と、前記マスク層上に、一実施形態にかかる自己組織化パターン形成用材料を含む自己組織化材料層を形成する工程と、前記自己組織化材料層にアニール処理を施して相分離を生じさせ、自己組織化層を得る工程と、前記相分離が生じた自己組織化層の所定の相をエッチング除去して、自己組織化パターンを得る工程と、前記自己組織化パターンをマスクとしたエッチングにより前記マスク層を加工して、マスクパターン得る工程と、前記マスクパターンをマスクとしたエッチングにより前記基板を加工して、前記マスクパターンの形状を前記基板に転写する工程とを具備する方法である。
図1を参照して、一実施形態にかかるパターン形成方法の手順を説明する。まず、図1(a)に示すように、基板2上に、パターンが転写されるマスク層3を形成する。基板2としては、例えば、ガラス基板、サファイア基板、シリコン基板のほか、例えばHDD(ハードディスクドライブ)用の磁性層が形成された基板を用いることができる。
磁性層の材料としては、例えばCo−CrやCo−Pt系の合金や、Fe−PtやCo−Pt、Fe−Pd系などの合金、Co/PtやCo/Pdの多層膜系の材料を使用することができる。これらの合金または多層膜系材料は、高い結晶磁気異方性エネルギーを有しているため熱揺らぎ耐性が高い。こうした合金または多層膜系材料に、磁気特性を改善する目的で、必要に応じてTaやCu、B、Crといった添加元素を加えてもよい。磁性層としては、CoCrPt、CoCrPtB、CoCrPtTa、CoCrPtNd、CoCrPtCu、FePtCu等を用いることがより好ましい。磁性層は、必要に応じて二層以上の多層構造としてもよい。その場合、少なくとも一層が上述したような層であればよい。
マスク層3は、ハードマスク層およびレジストマスク層のいずれでもよい。ハードマスク層の材料としては、カーボン、窒化カーボン、シリコン、酸化シリコンなどを用いることができる。また、それらを積層した多層マスクの構造を用いてもよい。ハードマスク層は、蒸着法またはスパッタリング法によって基板2上に形成することができる。
レジストマスク層の材料としては、芳香族炭化水素環や脂環式炭化水素環などが導入されたポリマー材料が挙げられる。例えば、PVN(ポリビニルナフタレン)、PHS(ポリヒドロスチレン)、PVB(ポリビニルビフェニル)、PS(ポリスチレン)、PDMS(ポリジメチルシクロヘキサン)などのポリマー材料や、フォトレジスト材料などである。フォトレジスト材料は、AZエレクトロニックマテリアルズ社、東京応化工業社、JSR社、東レ社、日産化学社、信越化学工業社、住友化学社などのなどから市販されている。
基板2上にハードマスク層または積層ハードマスク層を形成し、その上にレジストマスク層を形成してもよい。レジストマスク層は、スピンコート法により形成することができる。あるいは、レジスト溶液に浸漬された基板を、一定の速度で引き揚げるディップコーティング法を用いて、レジストマスクを形成してもよい。
マスク層としては、カーボンのハードマスク層、またはカーボンマスク層+シリコンマスク層+カーボンマスク層の積層ハードマスク層が、マスク層の平坦性やパターン転写性の面で好ましい。
マスク層3の上には、図1(b)に示すように自己組織化材料の層4を形成する。この自己組織化材料の層4は、一実施形態にかかる自己組織化パターン形成用材料を含む。自己組織化材料層は、この化合物を有機溶媒に溶解した溶液を用いて、スピンコート法により形成することができる、あるいは、基板を溶液に浸漬して一定の速度で引き揚げるディップコーティング法を用いて、自己組織化材料層4を形成してもよい。
溶液を作製するための有機溶媒としては、本実施形態にかかる自己組織化パターン形成用材料が溶解する溶媒であれば特に限定されない。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメトキシアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N−ベンジル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホルトリアミド、N−メチル−ε−カプロラクタム、N−アセチル−ε−カプロラクタム、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ビス(2−エトキシエチル)エーテル、1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン、ビス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]エーテル、1−アセトキシ−2−メトキシエタン、1−アセトキシ−2−エトキシエタン、(2−アセトキシエチル)(2−メトキシエチル)エーテル、(2−アセトキシエチル)(2−エトキシエチル)エーテル、3−メトキシプロピオン酸メチル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、ピロリン、ピリジン、ピコリン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、炭酸プロピレン、フェノール、アニソール、クレゾール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、アセトニルアセトン、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロプロパン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、および乳酸エチルなどが挙げられる。これらの有機溶剤は単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
続いて、自己組織化材料層4にアニール処理を施して、相分離を発現させる。アニール処理は、加熱または溶媒処理によって行なうことができるが、これについては追って詳細に説明する。一実施形態にかかる自己組織化パターン形成用材料は、非極性のシルセスキオキサン(SSQ)骨格と極性の有機骨格とを有するため、アニール処理により相分離し、規則配列した構造を有する自己組織化層を形成する。自己組織化構造としては、球状のスフィア構造、円柱状のシリンダー構造、層上のラメラ構造などが形成され、これらは導入する有機基の構造や大きさなどを変更することによって、ある程度コントロールできる。例えば、図1(c)に示されるように、マトリックス(海部)4b中にコア(島部)4aが発生して、自己組織化層4’が形成される。
なお、本実施形態にかかる自己組織化パターン形成用材料がオリゴサッカリン化合物の場合には、SSQ骨格がコアとなり、オリゴサッカリン骨格がマトリックスとなったスフィア構造またはシリンダー構造が形成される。また、シクロデキストリン化合物の場合には、塗布溶媒がシクロヘキサノンやジメチルホルムアミドなどの極性溶媒の場合には、SSQ骨格がコアとなり、オリゴサッカリン骨格がマトリックスとなったスフィア構造またはシリンダー構造が形成され、塗布溶媒がクロロホルムなどの非極性溶媒の場合には、SSQ骨格がマトリックスとなって、シクロデキストリン骨格がコアとなったシリンダー構造が形成される。
本実施形態にかかる自己組織化パターン形成用材料がオリゴアミノ酸化合物の場合には、SSQ骨格がコアとなって、オリゴアミノ酸骨格がマトリックスとなったスフィア構造またはシリンダー構造が形成される。また、ステロイド化合物の場合には、SSQ骨格がコアとなって、ステロイド骨格がマトリックスとなったスフィア構造またはシリンダー構造が形成される。さらに、本実施形態にかかる自己組織化パターン形成用材料がポルフィリン化合物の場合には、SSQ骨格がマトリックスとなって、ポルフィリン骨格がコアのシリンダー構造が形成され、多連環式化合物の場合には、SSQ骨格がマトリックスとなって多連環式骨格がコアのシリンダー構造またはラメラ構造を形成しやすい。
アニール処理の方法としては、熱アニール法および溶媒アニール法が挙げられる。熱アニール法においては、自己組織化材料層が形成された基板が加熱処理される。加熱処理は、自己組織化材料の酸化を防ぐために、真空中、窒素雰囲気中などの雰囲気で行なうことが望まれる。また、水素と窒素との混合ガスであるフォーミングガスの雰囲気中で、熱アニールを行なってもよい。アニール温度は、示差走査熱量測定(DSC)により概算することができる。例えば5℃/分で昇温し、DSCチャートを得ることによって、自己組織化材料のガラス転移点(Tg)や相転移、融点、および分解などの情報を得ることができる。
自己組織化材料が相転移する秩序・無秩序転移温度(ODT)の温度が自己組織化材料の分解温度より高い場合には、自己組織化材料が分解する温度の直前まで昇温することが好ましい。一方、ODTが自己組織化材料の分解温度以下である場合には、ODTの温度程度でアニールを行なうことが望まれる。
溶媒アニールは、有機溶媒や水などの蒸気に自己組織化材料層を形成した基板を曝す方法である。空気や窒素などの不活性ガスを、有機溶媒や水を収容した溶媒溜めを通して得られたガス雰囲気の容器内に基板を曝すことによって行なわれる。この際、溶媒蒸気を空気や不活性ガスなどで希釈して、溶媒蒸気量をコントロールしてもよい。溶媒アニール時の温度は室温程度で十分であるが、必要に応じて冷却または加熱して温度制御を行なってもよい。
アニール処理により生じた自己組織化の規則配列構造は、それ自体が規則配列した凹凸状の構造を表面に有する場合もあるが、凹凸状構造を有さずに表面が平坦な場合もある。本実施形態では、自己組織化層の相分離構造を凹凸状構造に変換する必要がある。一方、自己組織化層の規則配列構造の表面が凹凸形状を有する場合には、その凹凸状形状をそのまま利用することもできる。
凹凸状構造を有しない平坦な表面の場合には、相分離した相の一方を選択的に除去する必要がある。そのため、ガスによるエッチング処理を自己組織化層に施して、パターン化された自己組織化層(自己組織化パターン)を形成する。本実施形態においては、マトリックスまたはコアになったSSQ骨格と有機骨格とのエッチングレートの差を利用して、図1(d)に示されるような規則的に配列した自己組織化パターン4''を形成する。自己組織化パターン4''は、コア4aと、この直下にあるマトリックス4bの部分とによって構成される。
ドライエッチング法としては、酸素,塩素系,およびフッ素系などの反応性ガスを用いた反応性イオンエッチング(RIE)や、イオンミリングなど物理的ドライエッチングなどを用いることができる。RIEのプラズマソースは、低圧で高密度プラズマを生成可能なICP(Inductively Coupled Plasma)が好適であるが、ECR(Electron Cyclotron Resonance)プラズマや、一般的な並行平板型RIE装置を用いてもよい。
エッチングガスとしては、例えばAr、H2、N2、O2、CO、CO2、CF4、CHF3、CH2F2、C2F6、C3F6、C4F8、NH3、Cl2、BCl3、およびSF6などのドライエッチングに使用される公知のガスが挙げられる。こうしたエッチングガスは、単独もしくは混合して用いることができる。
有機骨格部を除去してSSQ骨格部を残したい場合には、O2ガスを用いることが好ましく、SSQ骨格部を除去して有機骨格部を残したい場合には、CF4、CHF3、CH2F2、C2F6、C3F6、C4F8、またはSF6などのフッ素系ガスを用いることが好ましい。シリコン基板や磁性体基板などにパターン転写する場合には、ハードマスク層としてカーボンを用いることが多い。その場合には、O2ガスを用いたRIEなどによって、有機骨格部を除去してSSQ骨格部を残したパターン形成することが望まれる。
次に、自己組織化パターン4''をマスクとして、ガスによるエッチング処理によりハードマスク層3をエッチングして、自己組織化パターン4''の形状を転写する。その結果、図1(e)に示すように、ハードマスクパターン3aが形成される。この際のエッチング処理には、前述と同様のドライエッチング法が用いられる。
ガスによるエッチング処理を自己組織化相に施して自己組織化パターンを形成する工程と、ハードマスク層をエッチングして自己組織化パターンの形状を転写する工程とは、区切らず連続して行なってもよい。例えば、ハードマスク層にカーボンを用いて、アニール処理した自己組織化層を、O2ガスを用いたRIEなどによりエッチングすることによって、カーボンハードマスク層3にパターンを転写することができる。
ハードマスクパターン3aをマスクとして、ガスによるエッチング処理により基板をエッチングし、基板表面にパターンを転写してパターン化された基板を得ることができる。この際のエッチング処理には、前述と同様のドライエッチング法が用いられる。例えば、シリコン基板の場合には、ハードマスク層としてカーボンを用い、前述の方法でパターン転写したカーボンパターン膜をマスクとして、CF4、CHF3、CH2F2、C2F6、C3F6、C4F8、またはSF6などのフッ素系ガスを用いてエッチングすることにより、基板表面にパターンを転写することができる。
また、磁性媒体基板の場合には、ハードマスク層としてカーボンを用い、前述の方法でパターン転写したカーボンパターン膜をマスクとして、Arガスを用いたイオンミリングなどによりエッチングする。これによって、基板表面にパターンを転写・形成することができる。
一実施形態においては、自己組織化層のパターン形成からカーボンハードマスク層へのパターン転写まで、同一ガスでRIEを行なうことができる。具体的には、酸素流量20sccn、全圧0.1Pa、投入コイルパワー100W、プラテンパワー10Wの条件で、30秒間RIEすることにより、自己組織化層のパターンをカーボンハードマスク層へ転写することができる。
RIEに用いるガスは、酸素が望ましいが、酸素に少量のアルゴンや窒素、フッ素を混合した場合でも、酸素によるエッチング効果が主体であるため、酸素でのエッチングと定義することができる。また、ジブロックコポリマーのエッチング速度の変化が酸素でのエッチング速度を基準として、10%以内の変化である混合ガスを使用した場合においても、酸素によるエッチング効果が主体であるため、酸素でのエッチングと定義することができる。
パターン形状の評価には、変動係数(パターン直径の標準偏差をパターン直径の平均値で規格化した値を百分率にした値)を用いることができる。変動係数の値は小さいほうがよい。微細パターンをパターンドメディアへ応用することを考えた場合、学会や研究会において変動係数は10%以下であることが必要とされている。変動係数は、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、加工後の基板上のパターンを基板上部からSEMで測定した後、画像編集ソフトを用いてSEM像を二値化し、パターンの直径を計算することで算出する。
パターン形状の評価方法には、SEMのほか、平面透過型電子顕微鏡(平面TEM)や、断面透過型電子顕微鏡(断面TEM)などがあり、それらの方法でパターン形状を測定し、直径を算出し変動係数を求めても同様の結果を得ることができる。
他の実施形態にかかるパターン形成方法は、垂直磁気記録方式のパターンドメディアの製造に適用することができる。図2を参照して、これについて説明する。
まず、図2(a)に示すように、非磁性ガラス基板2上に、垂直磁気記録層1およびハードマスク層3をスパッタリング法により順次形成する。垂直磁気記録層1は、例えば、順次積層された軟磁性層、配向制御用下地層、および強磁性層の積層構造とすることができる。ハードマスク層3は、例えばC(炭素)により形成することができる。
ハードマスク層3の上には、上述したような自己組織化材料層を形成し、アニール処理を施して相分離させることによって、図2(b)に示すような自己組織化層4’が得られる。自己組織化層4’においては、マトリックス4b中にコア4aが規則的に配列している。
続いて、RIEを行なって、図2(c)に示すようなコア4aと、このコア4aの直下に選択的に残置されたマトリックス4bとからなる自己組織化パターン4''が形成される。
自己組織化パターン4''をマスクとして用いてRIEを行なって、ハードマスク層3に自己組織化パターン4''の形状を転写して、図2(d)に示すようにハードマスクパターン3aを得る。こうして形成されたハードマスクパターン3aの凹部の底部には、垂直磁気記録層1の上面が露出する。
ハードマスクパターン3aをマスクとして、凹部の底部に露出した垂直磁気記録層1をエッチングすることにより、図2(e)に示すような垂直磁気記録層パターン1aが得られる。この垂直磁気記録層パターン1a上に残存するハードマスクパターン3aを除去することによって、図2(f)に示すような垂直磁気記録媒体10が形成される。
他の実施形態にかかるパターン形成方法は、Si基板の加工に適用することができる。図3を参照して、これについて説明する。
まず、図3(a)に示すように、Si基板2上にハードマスク層3を成膜する。ハードマスク層3は、例えばカーボンにより形成することができる。
ハードマスク層3の上には、上述したような自己組織化材料層を形成し、アニール処理を施して相分離させることにより、図3(b)に示すような自己組織化層4’を得る。自己組織化層4’においては、マトリックス4b中にコア4aが規則的に配列している。
続いて、RIEを行なうことによって、図3(c)に示すようなコア4aと、このコア4aの直下に選択的に残置されたマトリックス4bとを含む自己組織化パターン4''が得られる。
自己組織化パターン4''をマスクとしてハードマスク層3をエッチングし、ハードマスク層3に自己組織化パターン4''の形状を転写して、図3(d)に示すようにハードマスクパターン3aを得る。こうして形成れたハードマスクパターン3aの凹部の底部には、Si基板2の上面が露出する。
ハードマスクパターン3aをマスクとして、凹部の底部に露出したSi基板2をRIEすることにより、図3(e)に示すように微細パターン4''の形状がSi基板2に転写される。その後、Si基板2上に残存するハードマスクパターン3aを除去することによって、図3(f)に示すようなパターンが転写されたSi基板2aが得られる。
本実施形態の方法により、数nmオーダーの微細パターンを目的の基板等に形成することができる。
以下、具体例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
(化合物1)
(原料A)1−(3−グリシジルオキシ)プロピル−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチル ペンタシクロ[9.5.1.1(3,9).1(5,15).1(7,3)]オクタシロキサン1.00g(1.07mmol)、(原料B)3−アミノ−3−デオキシ−β−シクロデキストリン0.46g(1.13mmol)、およびN,N−ジメチルホルムアミド30mLをフラスコに収容し、マグネチックスターラーで攪拌しつつトリエチルアミン0.13g(1.29mmol)を加えた。
この溶液を攪拌しながら100℃で8時間加熱した後、放冷した。放冷後、反応液をロータリーエバポレーターで減圧濃縮すると粗結晶が析出した。これを熱アセトン溶液から再結晶して生成物を得た。収量は1.44g(0.70mmol)であり、収率は65%であった。
NMR等の分析の結果から、得られた化合物は、3−(3−{3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチル ペンタシクロ[9.5.1.1(3,9).1(5,15).1(7,3)]オクタシロキサン−1−イル}プロポキシ−2−ヒドロキシプロピルアミノ)−3−デオキシ−β−シクロデキストリン(化合物1)であることが確認された。
ここで得られた(化合物1)は、前記一般式(1)において、Φとして一般式(A3)で表わされる糖骨格(n2=6)が導入された化合物である。また、前記一般式(1)におけるxは−NH−CH2−CH(OH)−CH2−O−であり、SSQ中のRはイソブチル基であり、m=3、k=0である。
原料を以下のように変更する以外は、前述の(化合物1)の場合と同様の手法によって、(化合物2)〜(化合物4)を合成した。NMR等の分析の結果、各化合物は、それぞれ以下のとおりであることが確認された。
(原料A)として1−(3−クロロプロピル)プロピル−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチル ペンタシクロ[9.5.1.1(3,9).1(5,15).1(7,3)]オクタシロキサン、(原料B)として3−アミノ−3−デオキシ−β−シクロデキストリンを用い、(化合物2)として、3−(3−{3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチル ペンタシクロ[9.5.1.1(3,9).1(5,15).1(7,3)]オクタシロキサン−1−イル}プロピルアミノ)−3−デオキシ−β−シクロデキストリンが得られた。
この(化合物2)は、前記一般式(1)において、Φとして一般式(A3)で表わされる糖骨格(n2=6)が導入された化合物である。また、前記一般式(1)におけるXは−NH−であり、SSQ中のRはイソブチル基であり、m=3、k=0である。
(原料A)として1−(3−(グリシジルオキシ)プロピル)プロピル−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチル ペンタシクロ[9.5.1.1(3,9).1(5,15).1(7,3)]オクタシロキサン、(原料B)としてアミノ−[グルコピラノシル−(1→4)−グルコピラノシル−(1→4)−グルコピラノシル−(1→4)−グルコピラノシル−(1→4)−グルコピラノシル−(1→4)]−グルコピラノシドを用い、(化合物3)として、3−{3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチル ペンタシクロ[9.5.1.1(3,9).1(5,15).1(7,3)]オクタシロキサン−1−イル}プロポキシ−2−ヒドロキシプロピル−[グルコピラノシル−(1→4)−グルコピラノシル−(1→4)−グルコピラノシル−(1→4)−グルコピラノシル−(1→4)−グルコピラノシル−(1→4)−グルコピラノシル]アミンが得られた。
この(化合物3)は、前記一般式(1)において、Φとして一般式(A1)で表わされる糖骨格(n1=5)が導入された化合物である。また、前記一般式(1)におけるXは−NH−CH2−CH(OH)−CH2−O−であり、SSQ中のRはイソブチル基であり、m=3、k=0である。
(原料A)として1−(3−(グリシジルオキシ)プロピル)プロピル−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチル ペンタシクロ[9.5.1.1(3,9).1(5,15).1(7,3)]オクタシロキサン、(原料B)として(4−アミノフェノキシ)−[グルコピラノシル−(1→4)−グルコピラノシル−(1→4)−グルコピラノシル−(1→4)−グルコピラノシル−(1→4)−グルコピラノシル−(1→4)]−グルコピラノシドを用い、(化合物4)として、3−{3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチル ペンタシクロ[9.5.1.1(3,9).1(5,15).1(7,3)]オクタシロキサン−1−イル}プロポキシ−2−ヒドロキシプロピルアミノフェノキシ−[グルコピラノシル−(1→4)−グルコピラノシル−(1→4)−グルコピラノシル−(1→4)−グルコピラノシル−(1→4)−グルコピラノシル−(1→4)]−グルコピラノシドが得られた。
この(化合物4)は、前記一般式(1)において、Φとして一般式(A2)で表わされる糖骨格(n1=6)が導入された化合物である。また、前記一般式(1)におけるXは−NH−CH2−CH(OH)−CH2−O−であり、SSQ中のRはイソブチル基であり、m=3、k=0である。
(化合物5)
(原料A)1−(3−グリシジルオキシ)プロピル−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチル ペンタシクロ[9.5.1.1(3,9).1(5,15).1(7,3)]オクタシロキサン1.00g(1.07mmol)、(原料B)コール酸0.46g(1.13mmol)、およびN,N−ジメチルホルムアミド30mLをフラスコに収容し、マグネチックスターラーで攪拌しつつトリエチルアミン0.13g(1.29mmol)を加えた。
この溶液を攪拌しながら100℃で8時間加熱した後、放冷した。放冷後の溶液を三角フラスコに移し、多量の水に少しずつ加えたところ、粗結晶が析出した。これを吸引濾過により濾取し、熱エタノール溶液から再結晶して生成物を得た。収量は1.03g(0.77mmol)であり、収率は72%であった。
NMR等の分析の結果から、得られた化合物は、1−{3−[2−ヒドロキシ−3−(3α,7α,12α−トリヒドロキシ−5β−コラノイルオキシ)プロポキシ]プロピル}−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチル ペンタシクロ[9.5.1.1(3,9).1(5,15).1(7,3)]オクタシロキサン(化合物5)であることが確認された。
ここで得られた(化合物5)は、前記一般式(1)において、Φとして一般式(B1)で表わされるステロイド骨格(R31=ヒドロキシ基、R32=水素基、R33=ヒドロキシ基)が導入された化合物である。また、一般式(1)におけるXは−O−CH2−CH(OH)−CH2−O−であり、SSQ中のRはイソブチル基であり、m=3、k=0である。
原料を以下のように変更する以外は、前述の(化合物5)の場合と同様の手法によって、(化合物6)および(化合物7)を合成した。NMR等の分析の結果、各化合物は、それぞれ以下のとおりであることが確認された。
(原料A)として1−(3−(グリシジルオキシ)プロピル)プロピル−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチル ペンタシクロ[9.5.1.1(3,9).1(5,15).1(7,3)]オクタシロキサン、(原料B)としてエストリオールを用い、(化合物6)として、3−(3−{3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチル ペンタシクロ[9.5.1.1(3,9).1(5,15).1(7,3)]オクタシロキサン−1−イル}プロポキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−16α,17β−ジヒドロキシ−1,3,5,(10)−エスタトリエンが得られた。
この(化合物6)は、前記一般式(1)において、Φとして一般式(B3)で表わされるステロイド骨格が導入された化合物である。また、一般式(1)におけるXは−O−CH2−CH(OH)−CH2−O−であり、SSQ中のRはイソブチル基であり、m=3、k=0である。
(原料A)として1−(3−(グリシジルオキシ)プロピル)プロピル−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチル ペンタシクロ[9.5.1.1(3,9).1(5,15).1(7,3)]オクタシロキサン、(原料B)としてグリシルグリシルグリシルグリシルグリシルグリシルグリシルグリシルグリシルグリシンを用い、(化合物7)として、N−(3−{3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチル ペンタシクロ[9.5.1.1(3,9).1(5,15).1(7,3)]オクタシロキサン−1−イル}プロピル)グリシルグリシルグリシルグリシルグリシルグリシルグリシルグリシルグリシルグリシンが得られた。
この(化合物7)は、前記一般式(1)において、Φとして一般式(C1)で表わされるオリゴアミノ酸骨格(R21=ヒドロキシ基、R22=水素基、n3=9)が導入された化合物である。また、一般式(1)におけるxは−CH2−CH(OH)−CH2−O−であり、SSQ中のRはイソブチル基であり、m=3、k=0である。
(化合物8)
(原料B)5,10,15,20−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−21H,23H−ポルフィン0.20g(0.295mmol)、(原料A)1−(3−グリシジルオキシ)プロピル−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチル ペンタシクロ[9.5.1.1(3,9).1(5,15).1(7,3)]オクタシロキサン1.40g(1.50mmol)、およびN,N−ジメチルホルムアミド50mLをフラスコに収容し、マグネチックスターラーで攪拌しつつ、トリエチルアミン0.18g(1.78mmol)を加えた。
この溶液を攪拌しながら100℃で8時間加熱した後、放冷した。放冷後の溶液を三角フラスコに移し、多量の水に少しずつ加えたところ、粗結晶が析出した。これを吸引濾過により濾取し、熱エタノール溶液から再結晶して生成物を得た。収量は0.88g(0.20mmol)であり、収率は68%であった。
NMR等の分析の結果から、得られた化合物は、5,10,15,20−テトラキス[4−(3−{3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチル ペンタシクロ[9.5.1.1(3,9).1(5,15).1(7,3)]オクタシロキサン−1−イル}プロポキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−21H,23H−ポルフィン(化合物8)であることが確認された。
ここで得られた(化合物8)は、前記一般式(1)において、Φとして一般式(D1)で表わされるポルフィリン骨格(Ar1〜Ar4=1,4−フェニレン基)が導入された化合物である。また、一般式(1)におけるXは−O−CH2−CH(OH)−CH2−O−であり、SSQ中のRはイソブチル基であり、m=3、k=0、n=4である。
原料を以下のように変更する以外は、前述の(化合物8)の場合と同様の手法によって、(化合物9)および(化合物10)を合成した。NMR等の分析の結果、各化合物は、それぞれ以下のとおりであることが確認された。
(原料A)として1−(3−(グリシジルオキシ)プロピル)プロピル−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタシクロペンチル ペンタシクロ[9.5.1.1(3,9).1(5,15).1(7,3)]オクタシロキサン、(原料B)として5,10,15,20−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−21H,23H−ポルフィンを用い、(化合物9)として、5,10,15,20−テトラキス[4−(3−{3,5,7,9,11,13,15−ヘプタシクロペンチル ペンタシクロ[9.5.1.1(3,9).1(5,15).1(7,3)]オクタシロキサン−1−イル}プロポキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]−21H,23H−ポルフィンが得られた。
この(化合物9)は、前記一般式(1)において、Φとして一般式(D1)で表わされるポルフィリン骨格(Ar1〜Ar4=1,4−フェニレン基)が導入された化合物である。また、一般式(1)におけるXは−O−CH2−CH(OH)−CH2−O−であり、SSQ中のRはシクロペンチル基であり、m=3、k=0、n=4である。
(原料A)として1−(3−(グリシジルオキシ)プロピル)プロピル−3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチル ペンタシクロ[9.5.1.1(3,9).1(5,15).1(7,3)]オクタシロキサン、(原料B)としてビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンを用い、(化合物10)として、ビス{4−[4−{3,5,7,9,11,13,15−ヘプタイソブチル ペンタシクロ[9.5.1.1(3,9).1(5,15).1(7,3)]オクタシロキサン−1−イル}プロポキシ−2−ヒドロキシプロピルアミノ)フェノキシ]フェニル}スルホンが得られた。
この(化合物10)は、前記一般式(1)において、Φとして一般式(E1)で表わされる多連環式化合物骨格(Z=ジフェニルスルホン−4,4’−ジイル基、Ar5およびAr6=1,4−フェニレン基、Y6およびY7=オキシ基(−O−)、m1=1、m2=1、m3=1)が導入された化合物である。また、一般式(1)におけるXは−NH−CH2−CH(OH)−CH2−O−であり、SSQ中のRはイソブチル基であり、m=3、k=0、n=2である。
上述したように得られた化合物を用いて、本実施形態の方法によりパターンを形成した。
(実施例1)
化合物1をシクロヘキサノンに溶解して調製された自己組織化材料を用いて、図1に示した工程にしたがって、シリコン基板2上にパターンを形成した。
シリコン基板2を、到達真空度が1×10-5Paのスパッタリング装置の真空チャンバー内に導入した。Ar圧力0.4Pa、投入電力400Wという条件で、図1(a)に示すように、シリコン基板2上にハードマスク層3としてのカーボン膜(膜厚15nm)を成膜した。
ハードマスク層3上には、前述の自己組織化材料をスピンコート法により塗布して、図1(b)に示すように自己組織化材料層4を形成した。自己組織化材料層4の膜厚は15nmであった。10Paの真空下、150℃で10時間アニールすることにより相分離させて、図1(c)に示されるような規則配列構造の自己組織化層4’を形成した。規則配列構造においては、海部の極性有機相(オリゴグルコース層)4b中に、スフィア構造(島部)のSSQ層4aが存在している。
次に、酸素流量20sccn、全圧0.1Pa、投入コイルパワー100W、プラテンパワー10Wの条件で、自己組織化層4を30秒間、反応性イオンエッチング(RIE)した。スフィア構造(島部)のSSQ層4aがマスクとして作用し、海部の極性有機層(オリゴグルコース層)4bがエッチング除去されて、図1(d)に示すような自己組織化パターン4''が形成された。
得られた自己組織化パターン4''をマスクとして用いて、前述と同様の条件で、カーボンのハードマスク層3をエッチングして、図1(e)に示すようなハードマスクパターン3aを得た。
この時点で、微細パターン4''の上面を原子間力顕微鏡(AFM)により観察したところ、直径が約5nm、深さが約10nm、パターンピッチが約9nmの凸部が六方格子状に並んでいることが確認された。
上述の条件で作製された微細パターンをSEMで測定し、SEM像からパターンサイズの平均値を見積もった結果、直径が約5nm、パターンピッチが約9nmであることがわかった。(化合物1)を用いて本実施例により形成されたパターンは、直径:約5nm、深さ:約10nm、パターンピッチ:約9nmの凸(ドット)パターンであった。
(化合物2)〜(化合物10)を用いる以外は前述の(実施例1)と同様にしてパターンを形成し、AFMおよびSEMによりパターンを観察した。結果は、以下のとおりであった。
(実施例2)
化合物2:直径:約6nm、深さ:約8nm、パターンピッチ:約12nmの凸(ドット)パターン
(実施例3)
化合物3:直径:約5nm、深さ:約10nm、パターンピッチ:約9nmの凸(ドット)パターン
(実施例4)
化合物4:直径:約6nm、深さ:約9nm、パターンピッチ:約10nmの凸(ドット)パターン
(実施例5)
化合物5:直径:約6nm、深さ:約8nm、パターンピッチ:約12nmの凸(ドット)パターン
(実施例6)
化合物6:直径:約7nm、深さ:約8nm、パターンピッチ:約12nmの凸(ドット)パターン
(実施例7)
化合物7:直径:約6nm、深さ:約8nm、パターンピッチ:約11nmの凸(ドット)パターン
(実施例8)
化合物8:直径:約4nm、深さ:約10nm、パターンピッチ:約8nmの凹(ホール)パターン
(実施例9)
化合物9:直径:約4nm、深さ:約8nm、パターンピッチ:約9nmの凹(ホール)パターン
(実施例10)
化合物10:直径:約6nm、深さ:約9nm、パターンピッチ:約12nmの凸(ドット)パターン
(実施例11)
化合物3をシクロヘキサノンに溶解して調製された自己組織化材料を用いて、図2に示す工程にしたがって垂直磁気記録方式のパターンドメディアを形成した。
まず、図2(a)に示すように、非磁性ガラス基板2上に垂直磁気記録層1およびハードマスク層3を、スパッタリング法により順次形成した。垂直磁気記録層1は、CoZrNbからなる軟磁性層(膜厚120nm)、配向制御用下地層(膜厚20nm)、およびCoPtからなる強磁性層(膜厚15nm)の積層構造とした。ハードマスク層3は、膜厚15nmのカーボン層とした。
ハードマスク層3上には、前述の自己組織化材料をスピンコート法により塗布して、膜厚15nmの自己組織化材料層を形成した。これを、10Paの真空下において150℃で10時間アニールすることにより、相分離が生じた。図2(b)に示されるように、規則配列構造の自己組織化層4’が形成された。自己組織化層4’においては、海部の極性有機相4b中に、島部のSSQ層4aが存在している。
次に、O2を用いて自己組織化層4’にRIEを行なった。島部のSSQ層4aがマスクとして作用し、海部の極性有機相4bがエッチング除去されて、図2(c)に示すような微細パターン4''が形成された。
得られた微細パターン4''をマスクとして、O2を用いたRIEによってハードマスク層3をエッチングすることにより、図2(d)に示すようにハードマスクパターン3aが形成される。このとき、形成されたハードマスクパターン3aの底部には、垂直磁気記録層1の上面が露出する。
次に、ハードマスクパターン3aをマスクとして、電子サイクロトロン共鳴(ECR)イオンガンを用いて、凹部の底部に露出した垂直磁気記録層1をパターニングした。パターニングにあたっては、Arガスを利用して、ガス圧は0.04Paとし、マイクロ波パワーは600Wとし、加圧電圧は600Vとし、処理時間は20秒とした。その結果、図2(e)に示すように、垂直磁気記録層パターン1aが形成された。
その後、酸素流量が20sccm、全圧が0.1Pa、投入コイルRFパワーが200W、プラテンRFパワーが0Wの条件で20秒間、アッシングした。その結果、図2(f)に示すように垂直磁気記録層パターン1a上に残存するハードマスクパターン3aが除去され、垂直磁気記録媒体10が得られた。
(実施例12)
化合物3をシクロヘキサノンに溶解して調製された自己組織化材料を用いて、図3に示す工程にしたがって、Si基板にパターンを形成した。
まず、図3(a)に示すように、6インチのSi基板2上にハードマスク層3として膜厚15nmのカーボン層を成膜した。
ハードマスク層3上には、前述の自己組織化材料をスピンコート法により塗布して、実施例1と同様の条件で膜厚15nmの自己組織化材料層を形成した。これを、10Paの真空下、150℃で10時間アニールすることにより相分離が生じた。図3(b)に示されるように、規則配列構造の自己組織化層4’が形成された。自己組織化層4’においては、海部の極性有機相4b中に、島部のSSQ層4aが存在している。
次に、O2を用いて自己組織化層4’にRIEを行なった。島部のSSQ層4aがマスクとして作用し、海部の極性有機相4bがエッチング除去されて、図3(c)に示すような自己組織化パターン4''が形成された。
得られた自己組織化パターン4''をマスクとして用いて、ハードマスク層3をエッチングすることにより、図3(d)に示すようにハードマスクパターン3aが形成される。このとき、形成されたハードマスクパターン3aの凹部の底部には、Si基板2の上面が露出する。
次に、ハードマスクパターン3aをマスクとして、凹部の底部に露出したSi基板2をエッチングした。エッチングにあたっては、CF4ガス流量は20sccmとし、全圧は0.1Paとし、投入コイルRFパワーは100Wとし、投入プラテンRFパワーは10Wとし、処理時間は45秒とした。その結果、図3(e)に示すようにSi基板2に、自己組織化パターン4''の形状が転写された。
その後、酸素流量が20sccm、全圧が0.1Pa、投入コイルRFパワーが200W、プラテンRFパワーが0Wの条件で20秒、アッシングした。その結果、図3(f)に示すようにSi基板2上に残存するハードマスクパターン3aが除去されて、パターンが転写されたSi基板2aが得られた。
本実施形態の自己組織化パターン形成用材料を用いることによって、10nm以下の超微細パターンを目的の基板等に形成することが可能となった。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行なうことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に、当初の特許請求の範囲に記載していた発明を付記する。
[1]
下記一般式(1)で表わされることを特徴とする自己組織化パターン形成用材料。
上記一般式(1)中、
mは1〜6の整数であり、kは0〜2の整数であり、nは1〜8の整数であり、
Φは、糖骨格、ステロイド骨格、オリゴアミノ酸骨格、オリゴ乳酸骨格、ポルフィリン骨格、および多連環式化合物骨格からなる群から選択される有機基であり、
xは、以下に示す群から選択される2価の基または結合手であり、
SSQは、下記式(SSQ)で表わされるシルセスキオキサン骨格であり、
Rは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、置換もしくは非置換の脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基、並びに脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基または複素環基に置換されているシロキサニル基、ジシロキサニル基、トリシロキサニル基、ポリシロキサニル基、および水素基からなる群から選択される。
[2]
下記一般式(AA1)〜(AA3)で表わされることを特徴とする項1に記載の自己組織化パターン形成用材料。
(上記式中、Xは−NH−CH 2 −CH(OH)−CH 2 −O−であり、SSQ中のRはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec.−ブチル基、tert.−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、またはフェニル基であり、mは1〜6の整数であり、n1は3〜10の整数であり、n2は5〜7の整数である。)
[3]
下記一般式(DD1)で表わされることを特徴とする項1に記載の自己組織化パターン形成用材料。
(上記式中、Ar1〜Ar4=1,4−フェニレン基である。Xは−O−CH 2 −CH(OH)−CH 2 −O−であり、SSQ中のRはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec.−ブチル基、tert.−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、またはフェニル基であり、mは1〜6の整数である。)
[4]
基板上にマスク層を形成する工程と、
前記マスク層上に、項1に記載の自己組織化パターン形成用材料を含む自己組織化材料層を形成する工程と、
前記自己組織化材料層にアニール処理を施して相分離を生じさせ、自己組織化層を得る工程と、
前記相分離が生じた自己組織化層の所定の相をエッチング除去して、自己組織化パターンを得る工程と、
前記自己組織化パターンをマスクとしたエッチングにより前記マスク層を加工して、マスクパターン得る工程と、
前記マスクパターンをマスクとしたエッチングにより前記基板を加工して、前記マスクパターンの形状を前記基板に転写する工程と
を具備することを特徴とするパターン形成方法。