JP5641017B2 - 非水電解質二次電池の製造方法および検査方法 - Google Patents
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Description
カール・フィッシャー法を用いた電池セル内の水分量測定方法としては、例えば、以下に示す特許文献1に開示されている技術があり、公知となっている。
そして、当該試料を、窒素ガスをパージしながら所定の温度で加熱して、水分を蒸発させるとともに、当該試料の加熱前後における重量変化を測定することによって、当該試料の水分量を測定するものである。
そして、非水電解質二次電池においては、セルの内部に水分が残留していると、例えそれが微量であったとしても、非水電解質二次電池の性能低下の原因になるため、セルの内部に残留する水分量をより精度よく管理するための技術に対するニーズが増大している。
また、カール・フィッシャー法を用いた測定では、セルを分解するとともに、セルの内容物である、正極、負極、セパレータを、所定の露点温度以下の環境下で細かく裁断して、測定用の試料を作成する必要があり、水分量の測定には手間がかかっていた。
さらに、カール・フィッシャー法を用いた測定では、セル全体での水分量を算出するためには、面積比から全体の水分量を算出する構成としているため、測定誤差が大きくなってしまうという問題もあった。
まず始めに、本発明の一実施形態に係る二次電池の検査方法の適用対象となる二次電池の全体構成について、図1を用いて説明をする。
蓋体22の長手方向一端部(図1における左端部)には正極端子4aが設けられ、蓋体22の長手方向他端部(図1における右端部)には負極端子4bが設けられている。
その後、電極体3および電解液をケース本体21内に収容するとともに、ケース本体21の開口部に蓋体22を嵌合して、蓋体22とケース本体21とを溶接により密封する(即ち、封口する)ことにより、セル1を構成する。
図2に示す如く、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の製造方法では、少なくとも、セル乾燥工程(STEP−100)、注液工程(STEP−300)および封口工程(STEP−400)を備えており、そして、セル乾燥工程(STEP−100)から封口工程(STEP−400)に至る工程の流れに沿って、本発明の一実施形態に係る非水電解質二次電池の検査方法である水分量推定工程(STEP−200)を実施する構成としている。
尚、セル乾燥工程(STEP−100)における「所定の温度」は、セル1の性能に影響を与えない範囲の温度に限定している。
即ち、セル乾燥工程(STEP−100)は、セル1の内部の水分を低減させることを目的として実施するものであり、セル1の内部の水分を可能な限り完全に除去するために実施するものではない。
また、注液工程(STEP−300)において電解液を注液した後、セル1を封口工程(STEP−400)において封口するまでの間において、セル1の内部に存在する電解液は、環境の雰囲気に曝露されており、この曝露状態においては、環境下に存在する水分を、電解液が吸水する状態となっている。
図2に示す如く、水分量推定工程(STEP−200)では、セル乾燥工程(STEP−100)を経たセル1が、環境に曝露され始めた時点から曝露条件の測定(STEP−201)を開始する。
また、その曝露条件の測定(STEP−201)は、封口工程(STEP−400)において、そのセル1が封口される時点まで継続して行われる。
尚、以後は、セル1が環境に曝露され始めた時刻から、セル1が封口された時刻までの期間を「曝露期間」と呼ぶものと規定し、「曝露期間」中の曝露環境における露点温度等の諸条件を総じて「曝露条件」と呼ぶものとする。
具体的には、セル1の抜き取り(STEP−202)では、セル乾燥工程(STEP−100)を経た各セル1・1・・・から所定数量のセル1・1・・・を抜き取って、検査対象たる試料を構成する。
尚、セル1の抜き取り(STEP−202)を実施するタイミングは、セル乾燥工程(STEP−100)の直後であっても、あるいは、注液工程(STEP−300)の直前であってもよい。
またこのときには、同時に、セル1の構成部材たる電池ケース2のみの試料を別に準備しておき、電池ケース2のみの試料についても、絶対乾燥を施す前の電池ケース2の重量であるケース重量B1を測定しておく。
ここで電池ケース2のみの状態でケース重量B1を測定しておく理由は、電池ケース2の外側等に存在する、セル1の性能に影響を与えない水分による重量の減少分を考慮するためであり、これにより、セル1の内部に存在する水分の重量を精度よく把握しようとするものである。
このときには、セル1だけでなくセル1を構成する電池ケース2のみの試料についても絶対乾燥を実施する。
尚、ここで言う「絶対乾燥」とは、セル乾燥工程(STEP−100)では除去できないセル1の内部の残留水分を可能な限り除去するための処理であり、各電極31・32、セパレータ33等に吸着した水分(即ち、酸化・部材揮発・結晶水以外のもの)を除去するための処理を指すものである。
そして、絶対乾燥工程(STEP−204)では、設定温度±1℃の範囲で温度制御を行い、かつ、真空度を1kPa以下に保持した環境に、4時間以上保持するものとしている。
このような条件で絶対乾燥を行うと、非水電解質二次電池の性能に影響を及ぼすため、試料として抜き取ったセル1は、検査終了後には廃棄して、最終製品としては使用しないようにしている。
またこのときには、同時に、電池ケース2についても絶対乾燥後の電池ケース2の重量であるケース重量B2を測定する。
セル1の内部には、空気が充満しているため、セル1の重量を測定するときには、セル1の内部に存在する空気の重量が加算されている。
このため、セル1の重量を測定するときの温度に差異があると、セル1の内部に存在する空気の重さ(比重)が異なってくるため、このことを考慮して、より精度よく水分量の変化を知得できるようにしている。
尚ここでは、算出したセル重量A2およびケース重量B2に浮力補正のみを行う場合を例示しているが、例えば、気圧による補正や、ガス吸着量による補正等を、さらに考慮してより詳細な補正を行うことも可能である。
このような構成により、封口後にセル1の内部に残留する水分量を、より正確に推定することができる。
またこのときには、同時に、電池ケース2についても4時間乾燥後の電池ケース2の重量であるケース重量B3から46時間乾燥後の電池ケース2の重量であるケース重量B4を推定する。
通常、絶対乾燥する(即ち、絶対乾燥による重量減少量を収束させる)には、24時間以上の乾燥時間が必要になるが、水分量の検査の度に24時間以上掛けて絶対乾燥させていたのでは、検査時間が長くなり過ぎてしまう。
そこで、本実施形態では、4時間乾燥後のセル重量A2の測定結果を浮力補正したセル重量A3から4時間乾燥後のセル重量の減少量を算出し、そのセル重量減少量から46時間乾燥後の重量減少量を推定して、絶対乾燥後のセル重量A4を推定する構成としている。
また、ここでは同時に、4時間乾燥後のケース重量B2を測定するとともに、ケース重量B2を浮力補正して補正後のケース重量B3を算出し、その補正後のケース重量B3から、図4(a)に示すグラフと同様のケース向けのグラフ(図示せず)に基づいて、46時間乾燥後(即ち、絶対乾燥後)のケース重量B4を推定する構成としている。
また、これと同時に、絶対乾燥前のケース重量B1から絶対乾燥後のケース重量B4を差し引いて、抜き取り時(STEP−202)において、電池ケース2の表面等(即ち、電池ケース2の内部以外の部位)に存在していた水分量Bを算出する。
ここでは、ある環境における気圧と露点温度が一定である場合における曝露時間と吸水量との関係を表したグラフであるマスターグラフを用いる。
また同様に、大気圧の状態で露点温度が−40℃である環境下にセルが曝露された場合の、負極32、セパレータ33および電解液における曝露時間と吸水量との関係を表したマスターグラフ(図示せず)も、予め取得しておく。
このような構成により、セル乾燥工程(STEP−100)の後におけるセル1の内部への吸水量を推定し、封口後にセル1の内部に残留する水分量として考慮することで、より正確な水分量の推定が可能になる。
ここで、最終的に製品中に残存する水分量Dは、水分量Aに吸水量Cを加算したものから電池ケース2のみ状態で測定した水分量Bを控除(減算)して(即ち、D=A+C−B)算出する。
このような構成により、セル1を解体することなく、セル1の内部の水分量を測定することができる。
このような構成により、封口後にセル1の内部に残留する水分量を、正確に推定することができる。
このような構成により、セル乾燥工程(STEP−100)の後におけるセル1の内部への吸水量を推定し、封口後にセル1の内部に残留する水分量として考慮することで、より正確な水分量の推定が可能になる。
図6(a)では、セル乾燥工程(STEP−100)の直後に絶対乾燥工程(STEP−204)を実施する場合を示しており、また、図6(b)では、注液工程(STEP−300)の直前に絶対乾燥工程(STEP−204)を実施する場合を示している。
2 電池ケース
31 正極
32 負極
33 セパレータ
Claims (6)
- セルの内部の水分を除去するセル乾燥工程と、
前記セル乾燥工程の後に、前記セルの内部に電解液を注液する注液工程と、
前記注液工程の後に、前記セルを封口する封口工程と、
を備える非水電解質二次電池の製造方法であって、
前記セルの封口後に該セルの内部に残留する水分量を推定する水分量推定工程を備え、
該水分量推定工程は、
前記セル乾燥工程において内部の水分が除去され、かつ、前記注液工程において注液される前の状態である前記セルの一部を抜き取るとともに、抜き取った前記セルを前記セル乾燥工程における乾燥条件よりも高い温度で乾燥させる絶対乾燥工程と、
抜き取った前記セルの重量を前記絶対乾燥工程の前後において測定し、前記セルの重量の差から、該セルの内部の水分量を算出する水分量算出工程と、
を備える、
ことを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。 - 前記絶対乾燥工程は、
前記セル乾燥工程において内部の水分が除去された前記セルの一部を抜き取るとともに、抜き取った前記セルを分解して、該セルを構成するケースのみの状態とし、該ケースを抜き取った前記セルと同じ乾燥条件で絶対乾燥させて、
前記水分量算出工程は、
前記ケースの重量を前記絶対乾燥工程の前後において測定し、前記ケースの重量の差から前記ケースの内部以外に存在する水分量を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池の製造方法。 - 前記水分量推定工程は、
前記セル乾燥工程において前記セルの内部の水分の除去が終了した時点から、前記封口工程において前記セルを封口する時点までの間に、前記セルの内部に吸着される水分量を算出する吸着水分量算出工程を備え、
前記水分量算出工程において算出した前記セルの内部の水分量に、前記吸着水分量算出工程において算出した水分量を加算して、さらに、前記水分量算出工程で算出した前記ケースの内部以外に存在する水分量を減算して、
前記セルの封口後に該セルの内部に残留する水分量を算出する、
ことを特徴とする請求項2に記載の非水電解質二次電池の製造方法。 - 前記吸着水分量算出工程は、
前記セルの内部に存在する正極、負極、セパレータおよび電解液が、
前記セル乾燥工程において前記セルの内部の水分の除去が終了した時点から、前記封口工程において前記セルを封口する時点までの間に曝露される環境における、該環境の露点温度および曝露時間と吸水量との関係を表す情報であるマスターグラフを予め知得しておくとともに、
前記セル乾燥工程において前記セルの内部の水分の除去が終了した時点から、前記封口工程において前記セルを封口する時点までの間における、前記セルが曝露される環境の露点温度と曝露時間の測定結果と、前記マスターグラフに基づいて、
前記セルの内部に存在する正極、負極、セパレータおよび電解液に吸着される水分量を算出する、
ことを特徴とする請求項3に記載の非水電解質二次電池の製造方法。 - 前記水分量推定工程は、
前記絶対乾燥工程の前後において測定した抜き取った前記セルの重量の差を、
抜き取った前記セルの重量を前記絶対乾燥工程の前後において測定したときの抜き取った前記セルの前記絶対乾燥工程の前後における温度差に応じて補正する水分量補正工程を備える、
ことを特徴とする請求項4に記載の非水電解質二次電池の製造方法。 - セルの内部の水分を除去するセル乾燥工程と、
前記セル乾燥工程の後に、前記セルの内部に電解液を注液する注液工程と、
前記注液工程の後に、前記セルを封口する封口工程と、
を経て製造される非水電解質二次電池の検査方法であって、
前記セルの封口後に該セルの内部に残留する水分量を推定する水分量推定工程を備え、
該水分量推定工程は、
前記セル乾燥工程において内部の水分が除去され、かつ、前記注液工程において注液される前の状態である前記セルの一部を抜き取るとともに、抜き取った前記セルを前記セル乾燥工程における乾燥条件よりも高い温度で乾燥させる絶対乾燥工程と、
抜き取った前記セルの重量を前記絶対乾燥工程の前後において測定し、前記セルの重量の差から、該セルの内部の水分量を算出する水分量算出工程と、
を備える、
ことを特徴とする非水電解質二次電池の検査方法。
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