JP5638998B2 - 放射線硬化性半導体加工用粘着テープ - Google Patents

放射線硬化性半導体加工用粘着テープ Download PDF

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本発明は、電気部品や電子部品に用いられる半導体を加工する際に使用される放射線硬化性半導体加工用粘着テープに関する。
従来から、電気部品や電子部品に用いられる半導体を加工する際に、半導体ウェハから半導体チップを得るためのダイシング工程や、その他の工程において、部品の固定や保護を目的とする半導体加工用粘着テープが用いられている。
半導体のダイシング工程では、半導体加工用粘着テープからセパレーターを剥離し、該粘着テープが貼合された状態で半導体ウェハのダイシング加工を行い、電気絶縁性の高い超純水により切削粉を洗浄し、切断・分離された半導体チップのピックアップが行われる。これらの工程で基板(ウェハ)や樹脂封止パッケージなどの被着体に静電気が発生する。回路を形成する部品の基板がセラミックスやガラスなどの絶縁材料である場合には、静電気が速やかに漏洩されず、短絡による回路の放電破壊や埃などの異物の付着などが起こる場合がある。
近年、ウェハの薄膜化に伴い回路の高集積化が加速しており、静電気による回路破壊を防ぐことが大きな課題となっている。静電気障害を防止するためにイオナイザーなどの静電気除去装置が利用されているが、十分な帯電防止効果は得られておらず、帯電防止性を有する半導体加工用粘着テープに対する需要が高まっている。帯電防止性を有する半導体加工用粘着テープとして、基材樹脂フィルムへ帯電防止剤を配合したもの、粘着剤層へ帯電防止剤を配合したもの、基材樹脂フィルムと粘着剤層との間に帯電防止性の中間層を導入したものが検討されている。
半導体加工用粘着テープに帯電防止性を付与するには、被着体と接する粘着剤層側に帯電防止機能を施すことが効果的であると考えられている。ところが、粘着剤層に界面活性剤や導電性フィラーのような帯電防止剤を添加すると、粘着物性やその経時変化の調整ないしは抑制が困難であるばかりでなく、粘着テープを剥離する際に粘着剤や帯電防止剤が被着体に移行して被着体が汚染されるおそれがある。これにより、被着体表面への目視可能な糊残り、顕微鏡レベルのパーティクル状物の付着、光学的に観測不能な液状物の付着などが生じ、以降の工程において部品の接着不良などの悪影響を及ぼす恐れがある。
一方、基材樹脂フィルムの片面又は両面にポリチオフェンやポリピロールなどの導電性高分子を含有する帯電防止層を設けた半導体固定用粘着テープが開示されている(例えば、特許文献1と特許文献2を参照。)。この粘着テープでは、ダイシング加工によって帯電防止層が分断されるため、ダイシング後は帯電防止性能を維持するのは困難である。
また、半導体ウェハや樹脂封止パッケージなどの被着体には、粘着テープの貼合面に凹凸を有しているものや、一般にレーザーマークと言われる刻印(凹部)を有しているものがある。当該凹凸部分に対する粘着剤の追従性には限界があるため、粘着剤層と被着体の間に密着していない隙間が介在する場合がある。この隙間部分は空気と接しているため、粘着剤層として放射線照射により粘着力を大きく低減させて、ダイシング加工後のピックアップ工程で、切断されて得られた半導体チップをピックアップしやすくする場合には、空気中の酸素によって粘着剤の放射線硬化反応が阻害され、被着体の凹部分に糊残りが発生する場合がある。
特開2008−255345号公報 特開2008−280520号公報
本発明は、半導体加工工程において優れた帯電防止性を発揮し、かつ、ピックアップ時に被着体に粘着剤が残りにくい放射線硬化性半導体加工用粘着テープを提供することを課題とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。その結果、エチレン−酢酸ビニル共重合体と、少なくとも共重合体成分としてエチレン成分及び(メタ)アクリル酸成分を有する共重合体のカルボキシル基をカリウムイオンで架橋した樹脂とを特定の割合で含有する樹脂組成物であって、かつ、体積抵抗率が1×1013Ω・cm以下の基材樹脂フィルム上に、主鎖の繰り返し単位に対して放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基が結合した重合体を含有する粘着剤層が形成された放射線硬化性粘着テープが、半導体加工工程において優れた帯電防止性を示し、かつ、ピックアップ時に粘着剤層と接触する被着体の凹面に粘着剤が残りにくいことを見出した。本発明はこれらの知見に基づきなされたものである。
すなわち、本発明は、
<1>基材樹脂フィルム上に粘着剤層が形成された放射線硬化性半導体加工用粘着テープであって、
該基材樹脂フィルムがエチレン−酢酸ビニル共重合体(a1)90〜70質量%と、構成成分として少なくともエチレン成分及び(メタ)アクリル酸成分を有する共重合体のカルボキシル基をカリウムイオンで架橋した樹脂(a2)10〜30質量%を含有する樹脂組成物であって、該基材樹脂フィルムの体積抵抗率が1×1011Ω・cm以上1×1013Ω・cm以下であり、
該基材樹脂フィルム上に、主鎖の繰り返し単位に対して放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基が結合した重合体(B)を含有する粘着剤層が形成されており、前記主鎖の繰り返し単位に対して放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基が結合した重合体(B)が、構成成分(b1)として65〜87質量%の2−エチルヘキシルアクリレートを含むことを特徴とする放射線硬化性半導体加工用粘着テープ、
<2>前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル成分の含有量が5〜25質量%であることを特徴とする<1>記載の放射線硬化性半導体加工用粘着テープ
<3>前記粘着剤層の放射線硬化前のガラス転移開始温度が−65〜−45℃であることを特徴とする<1>又は<2>に記載の放射線硬化性半導体加工用粘着テープ、
を提供するものである。
本発明は、半導体加工工程において、帯電防止性に優れ、ピックアップ工程において、粘着剤の付着(糊残り)が低減された放射線硬化性半導体加工用粘着テーを提供することができる。
本発明の放射線硬化性半導体加工用粘着テープは、帯電防止性の基材樹脂フィルム上に放射線硬化性の粘着剤層が形成されている。
1.基材樹脂フィルム
帯電防止性の基材樹脂フィルムは、エチレン−酢酸ビニル共重合体(a1)90〜70質量%と、構成成分として少なくともエチレン成分及び(メタ)アクリル酸成分を有する共重合体のカルボキシル基をカリウムイオンで架橋した樹脂(a2)10〜30質量%を含有する樹脂組成物であって、該基材樹脂フィルムの体積抵抗率が1×1013Ω・cm以下である。
(1)構成成分として少なくともエチレン成分及び(メタ)アクリル酸成分を有する共重合体のカルボキシル基をカリウムイオンで架橋した樹脂(a2)
構成成分として少なくともエチレン成分及び(メタ)アクリル酸成分を有する共重合体のカルボキシル基をカリウムイオンで架橋した樹脂(a2)は、共重合体成分としてエチレン成分と、(メタ)アクリル酸成分を含み、(メタ)アクリル酸成分のカルボキシル基がカリウムイオンで架橋された樹脂である。本発明で共重合体のカルボキシル基をカリウムイオンで架橋するとはカルボキシル基の少なくとも0.5mmol/gを架橋することをいい、好ましくは1.5mmol/g以上である。なお、本明細書において、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体とは、エチレン−アクリル酸共重合体とエチレン−メタクリル酸共重合体の両方を含むものである。樹脂(a2)は、エチレン成分と、(メタ)アクリル酸成分を含む2元系の共重合体でもよいが、さらにその他の成分を含む3元系以上の共重合体でもよい。その他の成分としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル成分を挙げることができる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、アクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチル等を挙げることができる。その他の成分としては、酢酸ビニル、アクリルニトリル、アクリルアマイド、スチレン、イタコン酸、アクリルアマイド、メチロールアクリルアマイド、無水マレイン酸等を挙げることができる。
樹脂(a2)は金属イオン種としてカリウムイオンで架橋されていることが必要である。カリウムイオンで架橋されていることにより、飽和水分量が高いため、優れた帯電防止性を奏することができる。他の金属イオン、例えば、ナトリウムイオン、亜鉛イオン、マグネシウムイオンなどでは、飽和水分量が低く、十分な帯電防止性は得られない。
樹脂フィルムが樹脂(a2)とエチレン−酢酸ビニル共重合体(a1)を含む樹脂組成物で構成された場合には、後述のように、樹脂(a2)がエチレン−酢酸ビニル共重合体で、より筋状に配向した相分離構造を形成しやすくするためには、強いせん断力に加えて、ベース樹脂のメルトフローレート(MFR)(JIS K 7210に準拠した190℃、2.16kg荷重条件)は低いほうが望ましく、その範囲は0.5〜4.0、さらに好ましくは1.0〜3.0である。MFRが高すぎる場合、筋状の帯電防止相が形成されず、低すぎる場合は製膜することができない。
(2)エチレン−酢酸ビニル共重合体(a1)
基材樹脂フィルムを構成する樹脂組成物には、エチレン−酢酸ビニル共重合体(a1)が含まれる。エチレン−酢酸ビニル共重合体と前記の樹脂(a2)を含む樹脂組成物は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(a1)中の酢酸ビニル成分が、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のカルボキシル基をカリウムイオンで架橋した樹脂のカリウムイオンと相互作用する。その結果、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のカルボキシル基をカリウムイオンで架橋した樹脂相が、エチレン−酢酸ビニル共重合体中に筋状に微分散した相分離構造を形成しやすい。これにより、伝導経路が形成され、優れた帯電防止性を奏することができる。
前記の樹脂(a2)を配合すると、基材樹脂フィルムと粘着剤層との間の密着性は弱まるが、エチレン−酢酸ビニル共重合体を使用することにより、基材樹脂フィルムと粘着剤層との密着性を高く保持することができる。エチレン−酢酸ビニル共重合体中の酢酸ビニル成分含有量は5〜25質量%であることが好ましい。酢酸ビニル成分含有量が少なすぎると、基材樹脂フィルムと粘着剤層との間の密着性が悪化し、多すぎるとベタツキが大きくなるため、製造性が悪化する。例えば、押出成形で基材樹脂フィルムを製造する際に冷却ロールへの基材樹脂フィルムの貼りつきなどが起こることがある。
これに対して、エチレン−酢酸ビニル共重合体(a1)に代えて、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体を使用した場合には、基材樹脂フィルムと粘着剤層との密着性は良好であるが、(a2)樹脂との相分離構造を形成できないため、十分な帯電防止性を得ることは困難である。
基材樹脂フィルムを構成する樹脂組成物は、エチレン−酢酸ビニル共重合体90〜70質量%と、構成成分として少なくともエチレン成分及び(メタ)アクリル酸成分を有する共重合体のカルボキシル基をカリウムイオンで架橋した樹脂(a2)10〜30質量%を含有する。(a2)樹脂が多すぎると、基材樹脂フィルムと粘着剤層との密着性低いため、ピックアップ工程で基材樹脂フィルムと粘着剤層との間で層間剥離が生じ、レーザーマーク等の被着体表層の凹部に糊残りが発生する。一方、(a2)樹脂が少なすぎると、十分な帯電防止性を奏することができない。
本発明における基材樹脂フィルムは、体積抵抗率が1×1013Ω・cm以下である。このため、基材樹脂フィルムは厚さ方向に対しても電気伝導性を有し、ダイシングラインを避けてイオンを伝導させることができるため、帯電した静電気を漏洩させることができる。この効果は、(a2)樹脂相が筋状に配向した相分離構造を形成することにより、発揮することができる。基材樹脂フィルムの表層部では筋状の帯電防止相が形成されているが、中央部では形成されていない場合などでは、表面抵抗率は低い値を示すが、体積抵抗率は高い値を示すため、厚さ方向にも伝導できるような相状態が形成されていることが好ましい。
(a2)樹脂は、製膜時に強いせん断力が働くことでベース樹脂内部に成形方向に筋状に配向した相分離構造を形成しやすくなるため、押出成形・射出成形など、製膜時に樹脂に強いせん断力がかかる成形方法で基材樹脂フィルムを成形することが好ましい。圧縮成形では圧縮力が働くために帯電防止樹脂が筋状に分散しにくく、キャスト成形では十分なせん断力が得られないため、同じく筋状の分散を得られないことがある。粘着剤層に接する基材樹脂フィルムを構成する層には密着性をさらに向上させるために、コロナ処理を施したり、プライマー等の処理を施したりしてもよい。
基材樹脂フィルムは上記の樹脂組成物を用い、体積抵抗率が1×1013Ω・cm以下のものであれば、2層以上で積層されていてもよい。その場合、粘着剤層に接する層がエチレン−酢酸ビニル共重合体(a1)90〜70質量%と、構成成分として少なくともエチレン成分及び(メタ)アクリル酸成分を有する共重合体のカルボキシル基をカリウムイオンで架橋した樹脂(a2)10〜30質量%を含有する樹脂組成物であれば、異なる組成物からなる層を積層してもよい。
2.粘着剤層
本発明の放射線硬化性半導体加工用粘着テープの粘着剤は、主鎖の繰り返し単位に対して放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基が結合した重合体を含有するため、放射線硬化性を有する。本発明において、「主鎖の繰り返し単位に対して放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基が結合した重合体」とは、分子内に放射線硬化性不飽和炭素−炭素二重結合含有基が結合した(すなわちペンダントした)重合体である。放射線硬化性炭素−炭素二重結合を有しない重合体と、放射線硬化性炭素−炭素二重結合を有するオリゴマーを含む樹脂組成物からなる粘着剤は、放射線硬化前の粘着力が高いため、十分なピックアップ性を確保するには、放射線照射により粘着力を大きく低下させる必要がある。このように放射線硬化性が高い粘着剤は放射線硬化時の硬化収縮が大きく、この硬化収縮によってレーザーマーク等の粘着剤層と接触している被着体表層の凹部に粘着剤が噛み込みやすい。被着体表層の凹部に粘着剤が噛み込むと、ピックアップ時に基材樹脂フィルムと粘着剤層との間で層間剥離しやすくなり、上記凹部に糊残りが発生しやすい。さらに、基材樹脂フィルムに(a2)樹脂を含む樹脂組成物を用いた場合には、基材樹脂フィルムと粘着剤層との密着性が低下し、上記凹部により糊残りが発生しやすくなる。
主鎖の繰り返し単位に対して放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基が結合した重合体としては、主鎖に対して放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基を1つ以上有するアクリル系単量体を構成単位として含む重合体(以下「アクリル共重合体(B)」と称する)が挙げられる。アクリル共重合体(B)は、例えば、構成成分(b1)として、(メタ)アクリル酸エステル、ヒドロキシル基含有不飽和化合物、カルボキシル基含有不飽和化合物等からなる共重合体(B1)の炭素鎖を主鎖とし、この共重合体が有する官能基に対して付加反応することが可能な官能基と放射線硬化性不飽和炭素結合を有する化合物(b2)とを付加反応して得ることができる。
上記共重合体(B1)を構成する(b1)成分の(メタ)アクリル酸エステル成分としては、炭素数6〜12のヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、デシルアクリレート、炭素数5以下のペンチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルアクリレート、またはこれらと同様のメタクリレートなどを列挙することができる。(メタ)アクリル酸エステルの炭素数が大きいほど上記共重合体のガラス転移温度は低くなるので、特定の炭素数の(メタ)アクリル酸エステルを使用することで、所望のガラス転移温度を有する共重合体を作製することができる。また、所望のガラス転移温度や相溶性などの性質を付与するために、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリルなどの不飽和炭素結合をもつ低分子化合物を配合して上記共重合体を得ることもできる。当該不飽和炭素結合をもつ低分子化合物の配合量は5質量%以下であることが好ましい。
上記共重合体(B1)が、構成成分(b1)として、2−エチルヘキシルアクリレートを含むことが好ましい。2−エチルヘキシルアクリレートが共重合体中の主成分(すなわち、50質量%を越える)であることがさらに好ましく、共重合体(B1)中の構成成分中の2−エチルヘキシルアクリレート量は65〜87質量%であることが特に好ましい。2−エチルヘキシルアクリレートは、ガラス転移温度が低いため、2−エチルヘキシルアクリレートが(メタ)アクリル酸エステルの主成分であれば、共重合体(B1)から調製されたアクリル共重合体(B)を柔軟なものとすることができ、基材樹脂フィルムと粘着剤層との密着性を十分に確保できる。しかし、2−エチルヘキシルアクリレート量が少なすぎると、基材樹脂フィルムと粘着剤層との密着性が弱まり、被着体のピックアップ時に帯電防止層と粘着剤層との間で層間剥離が生じ、レーザーマーク等の被着体表層の凹部に糊残りが発生する。一方、2−エチルヘキシルアクリレート量が多すぎると、放射線硬化性不飽和炭素結合を有する化合物(b2)が有する官能基と付加反応する共重合体(B1)が有する官能基量が少なくなるため、所望の量の放射線硬化性不飽和炭素結合を有する化合物(b2)を付加反応できなくなる。
構成成分(b1)の水酸基含有不飽和化合物の例としては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等が挙げられる。構成成分(b1)のカルボキシル基含有不飽和化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
構成成分(b1)を有する共重合体(B1)が有する官能基に対して付加反応することが可能な官能基としては、共重合体(B1)が有する官能基がカルボキシル基又は環状酸無水基である場合には、水酸基、エポキシ基、イソシアネート基などを挙げることができる。共重合体(B1)が有する官能基が水酸基である場合には、環状酸無水基、イソシアネート基などを挙げることができる。共重合体(B1)が有する官能基がアミノ基である場合には、イソシアネート基などを挙げることができる。化合物(b2)の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、けい皮酸、イタコン酸、フマル酸、フタル酸、2−ヒドロキシアルキルアクリレート類、2−ヒドロキシアルキルメタクリレート類、グリコールモノアクリレート類、グリコールモノメタクリレート類、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、アリルアルコール、N−アルキルアミノエチルアクリレート類、N−アルキルアミノエチルメタクリレート類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フマル酸、無水フタル酸、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基の一部を水酸基またはカルボキシル基と放射線硬化性不飽和炭素結合とを有する単量体でウレタン化したものなどを列挙することができる。
上記アクリル共重合体(B)の合成において、共重合を溶液重合で行う場合の有機溶剤としては、ケトン系、エステル系、アルコール系、芳香族系の有機溶剤が挙げられるが、中でもトルエン、酢酸エチル、イソプロピルアルコール、ベンゼンメチルセロソルブ、エチルセロソルブ、アセトン、メチルエチルケトンなどの、一般にアクリル系ポリマーの良溶媒で、沸点60〜120℃の溶剤が好ましく、重合開始剤としては、α,α'−アゾビスイソブチルニトリルなどのアゾビス系、ベンゾベルペルオキシドなどの有機過酸化物系などのラジカル発生剤を通常用いる。この際、必要に応じて触媒、重合禁止剤を併用することができ、重合温度および重合時間を調節し、その後官能基における付加反応を行うことにより、所望の分子量のアクリル共重合体(B)を得ることができる。また、分子量を調節することに関しては、メルカプタン、四塩化炭素系の溶剤を用いることが好ましい。なお、この共重合は溶液重合に限定されるものではなく、塊状重合、懸濁重合など別の方法でもさしつかえない。
さらに上記アクリル共重合体(B)は、接着性や凝集力を制御する目的でアクリロニトリル、酢酸ビニルなどのモノマーが共重合されていてもよい。これらのモノマーを重合して得られるアクリル系共重合体(A)の重量平均分子量は、5×10〜2×10であることが好ましく、1×10〜1×10であることがより好ましい。
上記アクリル共重合体(B)の水酸基価が5〜100の場合は、放射線照射後の粘着力を減少させることによりピックアップミスの危険性をさらに低減することができるので好ましい。また、上記アクリル共重合体(B)の酸価は0.5〜30となることが好ましい。ここで水酸基価はJIS K 0070に記載のピリジンー塩化アセチル法により測定された値をいい、酸価はJIS K 0070に記載の中和滴定法により測定された値をいう。上記アクリル系共重合体(B)の水酸基価を適切な範囲内とすることにより、放射線照射後の粘着剤層の流動性を適切な範囲内とすることができ、放射線照射後の粘着力を十分に低下させることができる。また、上記アクリル系共重合体(B)の酸価を適切な範囲内とすることにより、放射線照射後の粘着剤層の流動性を適切な範囲内とすることができ、テープ復元性を満足させることができる。
粘着剤にはさらに硬化剤を含ませることができ、これによりにより接着力と凝集力とを所望の値に設定することができる。このような硬化剤としては、多価イソシアナート化合物、多価エポキシ化合物、多価アジリジン化合物、キレート化合物等が挙げられる。多価イソシアナート化合物の具体例として、トルイレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート及びこれらのアダクトタイプのもの等が挙げられる。多価エポキシ化合物の具体例としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、テレフタル酸ジグリシジルエステルアクリレート等が挙げられる。多価アジリジン化合物の具体例としては、トリス−2,4,6−(1−アジリジニル)−1,3,5−トリアジン、トリス〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕ホスフィンオキシド、ヘキサ〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕トリホスファトリアジン等が用いられる。また、キレート化合物の具体例としては、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
粘着剤にはさらに放射線重合開始剤を含ませることができ、これにより少ない照射量の放射線で短時間に重合硬化させることが可能になる。このような放射線重合開始剤の具体例として、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノンなどが挙げられる。放射線重合開始剤は、通常にはアクリル重合体(B)100質量部に対して0.1〜10質量部配合される。
放射線硬化前の粘着剤層のガラス転移温度は−65〜−45℃であることが好ましい。なお、ガラス転移温度はJIS K 7121に準拠したDSC法より求められ、ここで言うガラス転移温度は補外ガラス転移開始温度のことである。ガラス転移温度が高すぎると、粘着剤層の柔軟性が低いため、基材樹脂フィルムと粘着剤層との密着性が弱まり、被着体のピックアップ時に基材樹脂フィルムと粘着剤層との間で層間剥離が生じ、レーザーマーク等の被着体表層の凹部に糊残りが発生する。一方、低すぎると、放射線硬化性不飽和炭素結合を有する化合物(b2)が有する官能基と付加反応する共重合体(B1)が有する官能基量が少なくなるため、所望の量の放射線硬化性不飽和炭素結合を有する化合物(b2)を付加反応できなくなる。
本発明の放射線硬化性半導体加工用粘着テープが有する粘着剤層は、上述したような構成をとることにより、放射線照射前には被着体に対して十分な接着力を有し、放射線照射後には粘着力が著しく減少する。したがって、本発明のテープは、放射線照射前には、被着体を十分な粘着力で密着させ、被着体を確実に固定することができ、放射線照射後には、被着体から容易に剥離することができる。本発明のテープにおける粘着剤層の厚さに特に制限はなく、適用しようとする被着体により適宜設定することができるが、好ましくは4〜100μm、特に好ましくは5〜40μmである。粘着剤層の厚さについては配合組成にもよるが、厚さが薄すぎると、半導体デバイスパッケージへの密着性不足や、ダイシング中のダイフライによる歩留まり低下、さらには飛散したダイがブレードに当たることによるブレード破損が起こる場合がある。粘着剤層の厚さが薄すぎると、ダイシング中ブレード回転により粘着剤層がかき上げられ、ピックアップ工程において半導体デバイスからの剥離不良が起こる場合がある。
本発明の放射線硬化性半導体加工用粘着テープにおける粘着剤層側及びテープ背面側の表面抵抗率は、1×1013Ω/□以下であることが好ましい。好ましくは5×1012Ω/□以下であり、更に好ましくは1×1012Ω/□以下である。表面抵抗率が低ければ、優れた帯電防止性を発現できるが、表面低効率が高すぎると、帯電した静電気により半導体が破壊されることがある。
以上、本発明にかかる粘着テープの好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されない。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例で用いた粘着剤組成、基材構成樹脂は以下のとおりである。基材樹脂フィルム樹脂組成物については表1に、粘着剤樹脂組成物については表2に示す。
<基材樹脂フィルムを構成する樹脂混合物>
基材樹脂フィルムを構成する樹脂組成物として、以下の基材樹脂フィルム樹脂混合物A1〜A7、B1〜B4、C1、D1、E1及びE2を用いた。なお、基材樹脂フィルムを構成する樹脂のメルトフローレートは、JIS K 7210によって求め、190℃、2.16kg荷重条件で測定した。またエチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含量は、JIS K 6730によって求めた。
(基材樹脂フィルム樹脂混合物A1)
酢酸ビニル含有量が14質量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(商品名:NUC−8451 日本ユニカー(株)製、メルトフローレート1.5g/10min)80質量%とエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のカルボキシル基をカリウムイオンで架橋した樹脂(商品名:エンティラMK400 三井・デュポンポリケミカル(株)製、メルトフローレート1.0g/10min)20質量%をドライブレンドし、基材樹脂フィルム樹脂混合物A1を得た。
(基材樹脂フィルム樹脂混合物A2)
基材樹脂フィルム樹脂混合物A1のエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のカルボキシル基をカリウムイオンで架橋した樹脂(商品名:エンティラMK400 三井・デュポンポリケミカル(株)製、メルトフローレート1.0g/10min)の配合量を12質量%とし、樹脂混合物A1におけるエチレン−酢酸ビニル共重合体の配合量を88質量%にした以外は、基材樹脂フィルム樹脂組成物A1と同様にして基材樹脂フィルム樹脂混合物A2を得た。
(基材樹脂フィルム樹脂混合物A3)
基材樹脂フィルム樹脂混合物A1のエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のカルボキシル基をカリウムイオンで架橋した樹脂(商品名:エンティラMK400 三井・デュポンポリケミカル(株)製、メルトフローレート1.0g/10min)の配合量を25質量%とし、樹脂組成物A1におけるエチレン−酢酸ビニル共重合体の配合量を75質量%にした以外は、基材樹脂フィルム樹脂混合物A1と同様にして基材樹脂フィルム樹脂混合物A3を得た。
(基材樹脂フィルム樹脂混合物A4)
基材樹脂フィルム樹脂混合物A1のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を酢酸ビニル含有量が7.5質量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(商品名:NUC−8430 日本ユニカー(株)製、メルトフローレート2.3g/10min)にした以外は基材樹脂フィルム樹脂混合物A1と同様にして基材樹脂フィルム樹脂混合物A4を得た。
(基材樹脂フィルム樹脂混合物A5)
基材樹脂フィルム樹脂混合物A1のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を酢酸ビニル含有量が20質量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(商品名:ウルトラセン631 東ソー(株)製、メルトフローレート1.5g/10min)にした以外は基材樹脂フィルム樹脂組成物A1と同様にして基材樹脂フィルム樹脂混合物A5を得た。
(基材樹脂フィルム樹脂混合物A6)
基材樹脂フィルム樹脂混合物A1のエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂を酢酸ビニル含有量が1.5質量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(商品名:ノバテックLV170 日本ポリエチレン(株)製、メルトフローレート3.0g/10min)にした以外は基材樹脂フィルム樹脂混合物A1と同様にして基材樹脂フィルム樹脂混合物A6を得た。
(基材樹脂フィルム樹脂混合物A7)
基材樹脂フィルム樹脂混合物A1のエチレン−酢酸ビニル共重合体を酢酸ビニル含有量が33質量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(商品名:エバフレックスEV170 三井・デュポンポリケミカル(株)製、メルトフローレート1.0g/10min)にした以外は、基材樹脂フィルム樹脂混合物A1と同様にして基材樹脂フィルム樹脂混合物A7を得た。
(基材樹脂フィルム樹脂B1)
酢酸ビニル含有量が14質量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(商品名:NUC−8451 日本ユニカー(株)製、メルトフローレート1.5g/10min)を用いた。
(基材樹脂フィルム樹脂混合物B2)
基材樹脂フィルム樹脂混合物A1のエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のカルボキシル基をカリウムイオンで架橋した樹脂(商品名:エンティラMK400 三井・デュポンポリケミカル(株)製)の配合量を7質量%にし、樹脂混合物A1におけるエチレン−酢酸ビニル共重合体の配合量を93質量%にした以外は、基材樹脂フィルム樹脂混合物A1と同様にして基材樹脂フィルム樹脂混合物B2を得た。
(基材樹脂フィルム樹脂混合物B3)
基材樹脂フィルム樹脂混合物A1のエチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のカルボキシル基をカリウムイオンで架橋した樹脂(商品名:エンティラMK400 三井・デュポンポリケミカル(株)製、メルトフローレート1.0g/10min)の配合量を35質量%にし、樹脂混合物A1におけるエチレン−酢酸ビニル共重合体の配合量を65質量%にした以外は、基材樹脂フィルム樹脂混合物A1と同様にして基材樹脂フィルム樹脂混合物B3を得た。
(基材樹脂フィルム樹脂混合物B4)
基材樹脂フィルム樹脂混合物A1のエチレン−酢酸ビニル共重合体を酢酸ビニル含有量が10質量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体(商品名:ウルトラセン546K 東ソー(株)製、メルトフローレート6.0g/10min)にした以外は基材樹脂フィルム樹脂混合物A1と同様にして基材樹脂フィルム樹脂混合物B4を得た。
(基材樹脂フィルム樹脂混合物C1)
基材樹脂フィルム樹脂混合物A1のエチレン−酢酸ビニル共重合体をエチレン−メタクリル酸共重合体(商品名:ニュクレルN0903HC 三井・デュポンポリケミカル(株)製、メルトフローレート3.0g/10min)にした以外は基材樹脂フィルム樹脂混合物A1と同様にして基材樹脂フィルム樹脂混合物C1を得た。
(基材樹脂フィルム樹脂D1)
高密度ポリエチレン(商品名:ノバテックHD HF560 日本ポリエチレン(株)製、メルトフローレート7.0g/10min)を用いた。
Figure 0005638998
(基材樹脂フィルム樹脂E1)
エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のカルボキシル基を亜鉛イオンで架橋した樹脂(商品名:ハイミランAM7316 三井・デュポンポリケミカル(株)製、メルトフローレート1.1g/10min)を用いた。
(基材樹脂フィルム樹脂E2)
エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のカルボキシル基をナトリウムイオンで架橋した樹脂(商品名:ハイミラン1707 三井・デュポンポリケミカル(株)製、メルトフローレート0.9g/10min)を用いた。
<粘着剤を構成する樹脂組成物>
粘着剤層を構成する樹脂組成物として、以下のα1〜α3、β1、γ1及びδ1を用いた。
(粘着剤樹脂組成物α1)
2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)80質量%、2−ヒドロキシエチルアクリレート19質量%、メタクリル酸1質量%を原料として溶液ラジカル重合により共重合体を得た。次にこの共重合体に2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(商品名:カレンズMOI 昭和電工(株)製)を滴下反応させることで、主鎖の繰り返し単位に対して放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基が結合したアクリル重合体を作製した。当該2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートの滴下量と重合反応時間を調節することで、このアクリル重合体が有する放射線硬化性不飽和炭素結合の量(濃度)を0.6meq/gとした。また、得られたアクリル重合体をテトラヒドロフランに溶解して得た1%溶液をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(商品名:150−C ALC/GPC Waters製)により測定した値をポリスチレン換算して算出した重量平均分子量は800,000であった。
上記で作製したアクリル重合体100質量部に対して、硬化剤であるポリイソシアネート化合物(商品名:コロネートL 日本ポリウレタン工業(株)製)を0.3質量部と放射線重合開始剤であるα−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンを2質量部配合し、粘着剤樹脂組成物α1を調製した。
(粘着剤樹脂組成物α2)
粘着剤樹脂組成物α1のアクリル重合体におけるモノマーの配合比を2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)量を70質量%、2−ヒドロキシエチルアクリレート29質量%、アクリル酸1質量%にした以外は粘着剤樹脂組成物α1と同様にして、粘着剤樹脂組成物α2を調製した。
(粘着剤樹脂組成物α3)
粘着剤樹脂組成物α1のアクリル重合体におけるモノマーの配合比を2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)量を85質量%、2−ヒドロキシエチルアクリレート14質量%、アクリル酸1質量%にした以外は粘着剤樹脂組成物α1と同様にして、粘着剤樹脂組成物α3を調製した。
(粘着剤樹脂組成物β1)
粘着剤樹脂組成物α1のアクリル重合体におけるモノマーの配合比を2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)量を60質量%、2−ヒドロキシエチルアクリレート39質量%、アクリル酸1質量%にした以外は粘着剤樹脂組成物α1と同様にして、粘着剤樹脂組成物β1を調製した。
(粘着剤樹脂組成物γ1)
粘着剤樹脂組成物α1のアクリル重合体における2−エチルヘキシルアクリレート(2−EHA)をn−ブチルアクリレート(n−BA)にした以外は粘着剤樹脂組成物α1と同様にして、粘着剤樹脂組成物γ1を調製した。
(粘着剤樹脂組成物δ1)
n−ブチルアクリレート55質量%、メチルメタクリレート17質量%、メタクリル酸2質量%、2−ヒドロキシエチルアクリレート26質量%からなり、ポリスチレン換算して算出した重量平均分子量が80,000であるアクリル共重合体100質量部に対して、6官能であり、ポリスチレン換算して算出した重量平均分子量が1,500である放射線硬化性オリゴマー(商品名:UN−3320HA 根上工業(株)製)100質量部、さらに、硬化剤であるポリイソシアネート化合物(商品名:コロネートL 日本ポリウレタン工業(株)製)2質量部と放射線重合開始剤であるα−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン3質量部を配合し、粘着剤樹脂組成物δ1を調製した。
Figure 0005638998
<実施例1〜11、比較例1〜11>
表3、4に示すように、基材樹脂フィルム混合物を押出機に投入し、溶融混練して得られた各樹脂組成物を、粘着剤層に接する層の厚さ55μm、テープ背面側の層の厚さ55μm、これらの基材樹脂フィルム層に挟まれた中間層の厚さ40μmになる様に押出成形し、厚さの合計が150μmの各基材樹脂フィルムを製造した。
その後、コンマコーターを用いてシリコン離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ25μm)に粘着剤樹脂組成物を線速2m/分で塗工し、110℃に設定した温風乾燥炉を通して厚さ20μmの粘着剤層を形成させた。その後、得られた各基材樹脂フィルムの粘着剤層に接する層に、上記の粘着剤を表3、4の通りに組み合わせ、放射線硬化性半導体加工用粘着テープを製造した。
上記実施例1〜11及び比較例1〜11で得られた各粘着テープについて、以下に示す試験により、粘着剤層のガラス転移温度、帯電防止性、レーザーマークへの糊残りを評価した。
(1)粘着剤層のガラス転移温度の測定
各粘着テープにおける粘着剤層のガラス転移温度をDSC法により測定した(JIS K 7121に準拠)。粘着剤層の状態は紫外線硬化前の状態であり、ここで言うガラス転移温度は補外ガラス転移開始温度のことである。なお、リファレンスとしてはAlを用い、10mg程度の試料片を−100℃まで急冷し、40ml/minの流量の窒素雰囲気下で10℃/minで昇温測定した。結果を表3、4に示す。
(2)帯電防止性能の評価
得られた各粘着テープを23℃、50%RHの環境下で3日間保持した後、デジタル超高抵抗/微小電流計R8340/8340Aとレジスティビティ・チェンバR12702A(共に(株)アドバンテスト製)を用いて23℃、50%RHの環境下で500Vの電圧を印加し、印加後60秒後の電流値を読み取り、得られた各粘着テープにおけるダイシング前(DC前)とダイシング後(DC後)の粘着剤面及びテープ背面の表面抵抗率を測定した。ここで、ダイシング前は紫外線硬化前の状態であり、ダイシング後は紫外線硬化後の状態である。下記に示す条件でダイシングを行い、高圧水銀灯を用いて500mJ/cmの紫外線を照射することで紫外線硬化を行った。粘着剤面及びテープ背面の表面抵抗率がいずれも1×1013Ω/□以下である場合を「○」、それ以上の場合を「×」として評価し、「○」の場合を合格とした。結果を表3、4に示す。
また、デジタル超高抵抗/微小電流計R8340/8340Aとレジスティビティ・チェンバR12702A(共に(株)アドバンテスト製)を用いて500Vの電圧を印加し、印加後60秒後の電流値を読み取り、得られた各粘着テープの基材樹脂フィルムにおける体積抵抗率も測定した。結果を表3、4に示す。
ダイシング条件
ダイシング装置:(株)DISCO製 DFD−6340
ブレード:(株)DISCO製 B1A801 SD320N100M42
ブレード回転数:20000rpm
切削速度:50mm/s
切削水量:1L/min
ダイシングサイズ:2mm角
ブレードハイト:60μm
(3)レーザーマークへの糊残りの評価
得られた各粘着テープを用いて、レーザーマークを有する樹脂封止パッケージのレーザーマークを有する表面と粘着テープとを貼合して下記に示す条件でダイシングを行った。その後、ブラックライトを用いて500mJ/cmの紫外線を照射することで紫外線硬化させ、ピックアップを行った。ピックアップ条件は、ダイスピッカーCAP−300II(キヤノンマシナリー(株)製)で2mmエキスパンドし、先端径Rが150μmであるピンで、突き上げスピード:50mm/sec、ピン突き上げ高さ:0.7mmとした。ピックアップを行った200チップを観察し、レーザーマーク部への粘着剤の付着の様子を観察した。1チップあたり、レーザーマーク部において10μm角以上の粘着剤が一つでも付着しているチップの割合を粘着剤付着率とした。粘着剤付着率が1%未満の場合を「○」、1%以上2%未満の場合を「△」、2%以上の場合を「×」とした。結果を表3、4に示す。
ダイシング条件
ダイシング装置:(株)DISCO製 DFD−6340
ブレード:(株)DISCO製 B1A801 SD320N100M42
ブレード回転数:20000rpm
切削速度:50mm/s
切削水量:1L/min
ダイシングサイズ:2mm角
ブレードハイト:80μm
実施例の評価結果を表3に示す。実施例1〜7の粘着テープでは、ダイシング前、ダイシング後及びテープ背面側のいずれにおいても帯電防止性に優れ、粘着剤層のガラス転移温度が低いため、レーザーマークへの糊残りは少なかった。また、実施例8の粘着テープにおける粘着剤層のベースポリマーは、2−エチルへキシルアクリレート量が少ないアクリル共重合体であり、実施例9のテープにおける粘着剤層のベースポリマーはn−ブチルアクリレートが主成分であるアクリル共重合体であり、共に粘着剤層のガラス転移温度は高いため、レーザーマークへの糊残りで若干劣るものの帯電防止性も問題ないレベルであった。また、実施例10のテープは、エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有量が少ないため、レーザーマークへの糊残りで若干劣るものの問題ないレベルであった。また、実施例11のテープは、エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有量が多く、ベタツキが大きいため、基材樹脂フィルムの製膜時に冷却ロールに基材樹脂フィルムが貼り付き、基材樹脂フィルムに筋が入ってしまい、テープの外観に劣っていたものの、性能面は良好であり、問題ないレベルであった。
Figure 0005638998
比較例の評価結果を表4に示す。比較例1〜11のテープは、帯電防止性、レーザーマークへの糊残りにおいて劣るものであった。比較例1、2のテープは、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のカルボキシル基をカリウムイオンで架橋した樹脂量が少なすぎるため、帯電防止性は不十分であった。比較例3のテープは、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のカルボキシル基をカリウムイオンで架橋した樹脂量が多すぎるため、基材樹脂フィルムと粘着剤層の間で層間剥離が発生した。比較例4のテープは、基材樹脂フィルムのベース樹脂のMFRが大きいため、基材樹脂フィルムの体積抵抗率が高くなり、DC後の表面抵抗率で劣っていた。比較例5のテープは、基材樹脂フィルムのベース樹脂としてエチレン−メタクリル酸共重合体樹脂を用いたため、伝導に対して効果的な相分離構造が形成されず、帯電防止性に劣っていた。比較例6〜8のテープは、基材樹脂フィルムの粘着剤層に接する層か中間層かテープ背面側の層のいずれかに非帯電防止性の高密度ポリエチレン層を積層した基材樹脂フィルムを用いているため、基材樹脂フィルムの体積抵抗率が高すぎて、ダイシング前、ダイシング後及びテープ背面側の表面抵抗率のいずれかにおいて劣っていた。また、比較例9のテープは、粘着剤層が放射線硬化性不飽和炭素結合を有しないポリマーに放射線硬化性不飽和炭素結合を有するオリゴマーなどを配合した組成であり、硬化収縮が大きいため、レーザーマークへの糊残りで劣っていた。また、比較例10と11のテープは、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体のカルボキシル基を亜鉛イオン又はナトリウムイオンで架橋した樹脂を使用しているため、帯電防止性能で劣っていた。
Figure 0005638998

Claims (3)

  1. 基材樹脂フィルム上に粘着剤層が形成された放射線硬化性半導体加工用粘着テープであって、
    該基材樹脂フィルムがエチレン−酢酸ビニル共重合体(a1)90〜70質量%と、構成成分として少なくともエチレン成分及び(メタ)アクリル酸成分を有する共重合体のカルボキシル基をカリウムイオンで架橋した樹脂(a2)10〜30質量%を含有する樹脂組成物であって、該基材樹脂フィルムの体積抵抗率が1×1011Ω・cm以上1×1013Ω・cm以下であり、
    該基材樹脂フィルム上に、主鎖の繰り返し単位に対して放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基が結合した重合体(B)を含有する粘着剤層が形成されており、前記主鎖の繰り返し単位に対して放射線硬化性炭素−炭素二重結合含有基が結合した重合体(B)が、構成成分(b1)として65〜87質量%の2−エチルヘキシルアクリレートを含むことを特徴とする放射線硬化性半導体加工用粘着テープ。
  2. 前記エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有量が5〜25質量%であることを特徴とする請求項1記載の放射線硬化性半導体加工用粘着テープ。
  3. 前記粘着剤層の放射線硬化前のガラス転移開始温度が−65〜−45℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線硬化性半導体加工用粘着テープ。
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