JP2022135016A - ワーク加工用シート - Google Patents

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Abstract

【課題】表面に凹凸を有するワークに対して、優れた埋め込み性および糊残り防止性を発揮できるワーク加工用シートを提供する。【解決手段】基材と、前記基材における片面側に積層された粘着剤層とを備え、最大高低差が10~60μmである凹凸を表面に有するワークに使用されるワーク加工用シートであって、前記粘着剤層が、活性エネルギー線硬化性粘着剤から構成され、紫外線照射後における前記粘着剤層の23℃における引張貯蔵弾性率(E’)が、20MPa以上、150MPa以下であり、前記粘着剤層の厚さが、50μm超、100μm以下であるワーク加工用シート。【選択図】なし

Description

本発明は、複数の半導体チップが樹脂封止されてなる半導体パッケージ等のワークの加工に使用されるワーク加工用シートに関するものである。
半導体チップなどのチップ状部品が樹脂封止された部品(本明細書において「モールドチップ」という。)は、封止されるチップ状部品が半導体チップである場合を例とすれば、通常次のようにして作製される。
まず、TABテープのような複数の基台が連接してなる集合体の各基台上に半導体チップを搭載し、これらの半導体チップを一括して樹脂封止して電子部品集合体(本明細書において「半導体パッケージ」という。)を得る。
次に、半導体パッケージの一方の面に、基材と粘着剤層とを備えたワーク加工用シートを貼付することによって半導体パッケージをワーク加工用シートに対して固定する。このワーク加工用シートに対して固定された半導体パッケージを切断分離(ダイシング)して個片化し、ワーク加工用シート上に複数のモールドチップが近接配置された部材を作製する(ダイシング工程)。
通常ワーク加工用シートの粘着剤層は、特定の刺激により被着面に対する粘着剤層の粘着性が低下するように設計されており、特定の刺激としては例えば活性エネルギー線照射が採用される。そして、以下の工程が行われる前にワーク加工用シートにエネルギー線を照射し、被着面に対する粘着剤層の粘着性を低下させる工程が含まれる。
続いて、必要に応じ、この部材におけるワーク加工用シートをエキスパンド(主面内方向に伸張)して、ワーク加工用シート上に配置されたモールドチップの間隔を広げる(エキスパンド工程)。
こうしてワーク加工用シート上で互いに離間した状態とされたモールドチップを、個別にピックアップしてダイシングシートから分離させ(ピックアップ工程)、次の工程に移送する。この際、モールドチップの面に対する上記の粘着剤層の粘着性を低下させる工程を含むことにより、ピックアップを行うことが容易化される。
この一連の工程のうち、ダイシング工程では、半導体パッケージおよびこれがダイシングされてなるモールドチップは、ワーク加工用シート上に固定された状態を維持することが求められる。この目的を達成する観点からは、ワーク加工用シートの粘着剤層は、その半導体パッケージの面およびモールドチップの面に対するエネルギー線照射前の粘着性が高いことが好ましい。
ここで、ワーク加工用シートの被着体が半導体パッケージである場合には、被着面は通常封止樹脂の面となり、半導体ウエハを被着体とする場合に比べて、被着面の凹凸が大きくなる傾向がある。
特許文献1には、上述のような凹凸を有するモールドチップにも使用可能なダイシングシートが開示されている。
国際公開公報第2016/017265号公報
近年、高低差のより大きな凹凸を有する半導体パッケージのようなワークも作製されるようになっている。このようなワークの凹凸は、目視によりその高低差を確認することも可能である。このような凹凸を有する半導体パッケージでは、ワークと粘着剤層との界面における水浸入が顕著に生じ易い傾向にある。通常、半導体パッケージをダイシングする際には、冷却等を目的として切断部分に対して水(切削水)が供給されるが、この水が界面に浸入してしまい、チップ飛散といった種々の問題を生じさせる。そのため、表面に凹凸を有するワークに使用されるワーク加工用シートにおいては、水浸入を有効に防ぐことが求められる。具体的には、上記凹凸を粘着剤層中に十分に埋め込む性能が求められる。
また、表面に凹凸を有するワークにおいては、糊残りが生じ易い傾向にある。すなわち、ピックアップされた加工後のワーク(モールドチップ)に、粘着剤層を構成する粘着剤の一部が付着する問題が生じ易い。このような糊残りが生じると、得られたモールドチップが搭載された製品に対し、多大な悪影響を生じさせる可能性がある。
したがって、上述した埋め込み性および糊残り防止性をより有効に発揮できるワーク加工用シートが望まれている。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、表面に凹凸を有するワークに対して、優れた埋め込み性および糊残り防止性を発揮できるワーク加工用シートを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1に本発明は、基材と、前記基材における片面側に積層された粘着剤層とを備え、最大高低差が10~60μmである凹凸を表面に有するワークに使用されるワーク加工用シートであって、前記粘着剤層が、活性エネルギー線硬化性粘着剤から構成され、紫外線照射後における前記粘着剤層の23℃における引張貯蔵弾性率(E’)が、20MPa以上、150MPa以下であり、前記粘着剤層の厚さが、50μm超、100μm以下であることを特徴とするワーク加工用シートを提供する(発明1)。
上記発明(発明1)に係るワーク加工用シートは、粘着剤層が活性エネルギー線硬化性粘着剤から構成されており、紫外線照射後における粘着剤層の23℃における引張貯蔵弾性率(E’)が上記範囲であるとともに、粘着剤層の厚さが上記範囲であることにより、高低差の大きい凹凸を表面に有するワークに対して、優れた埋め込み性および糊残り防止性を発揮することができる。
上記発明(発明1)において、前記活性エネルギー線硬化性粘着剤が、活性エネルギー線非硬化性ポリマー成分と、少なくとも1つ以上の活性エネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとを含有するものであることが好ましい(発明2)。
上記発明(発明2)において、前記活性エネルギー線硬化性粘着剤中における、前記少なくとも1つ以上の活性エネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーの含有量は、前記活性エネルギー線非硬化性ポリマー成分100質量部に対して、20質量部以上、200質量部以下であることが好ましい(発明3)。
上記発明(発明1~3)において、前記基材は、ポリオレフィン系フィルムであることが好ましい(発明4)。
上記発明(発明1~4)において、前記基材の厚さは、100μm以上、300μm以下であることが好ましい(発明5)。
上記発明(発明1~5)においては、ダイシングシートであることが好ましい(発明6)。
本発明に係るワーク加工用シートは、表面に凹凸を有するワークに対して、優れた埋め込み性および糊残り防止性を発揮することができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係るワーク加工用シートは、基材と、当該基材における片面側に積層された粘着剤層とを備える。また、本実施形態に係るワーク加工用シートは、最大高低差が10μm以上、60μm以下である凹凸を表面に有するワークに使用されるものである。
本実施形態に係るワーク加工用シートでは、紫外線照射後における上記粘着剤層の23℃における引張貯蔵弾性率(E’)が、20MPa以上、150MPa以下となっている。一般的に、高低差の大きい凹凸を有するワークでは、活性エネルギー線照射により粘着剤層を硬化した際に、硬化した粘着剤が凹凸に固着し易くなる傾向になる。しかしながら、本実施形態に係るワーク加工用シートでは、引張貯蔵弾性率(E’)が150MPa以下であることで、そのような固着を良好に抑制して、糊残りを防止し易いものとなる。特に、上述した最大高低差の凹凸を表面に有するワークをピックアップする際に、当該ワークにおける糊残りを効果的に抑制することができる。
糊残りをさらに抑制し易くなる観点からは、紫外線照射後における粘着剤層の23℃における引張貯蔵弾性率(E’)が、100MPa以下であることが好ましく、特に50MPa以下であることが好ましく、さらには40MPa以下であることが好ましい。なお、上記引張貯蔵弾性率(E’)の下限値については特に限定されず、上述の通り20MPa以上であってよく、25MPa以上であってよく、特に27MPa以上であってもよく、さらには30MPa以上であってもよい。上述した引張貯蔵弾性率(E’)の測定方法の詳細は、後述する試験例に記載の通りである。
また、本実施形態に係るワーク加工用シートでは、粘着剤層の厚さが50μm超、100μm以下である。これにより、上述したワークが有する表面の凹凸を粘着剤層に良好に埋め込むことが可能となり、それにより、ワークと粘着剤層との界面への水浸入を効果的に抑制することができる。その結果、水浸入に起因した、チップ飛散等の問題を効果的に抑制することができる。
より良好な埋め込み性を発揮する観点からは、粘着剤層の厚さは、60μm以上であることが好ましく、特に60μm超であることが好ましい。また、当該厚さは、糊残りをより効果的に防ぐ観点からは、90μm以下であることが好ましく、特に70μm以下であることが好ましい。
以上の通り、本実施形態に係るワーク加工用シートは、上述した最大高低差の凹凸を表面に有するワークに使用する場合であっても、良好な埋め込み性と、良好な糊残り防止性を両立することができる。
1.ワーク加工用シートの構成
(1)基材
本実施形態における基材としては、ワーク加工用シートの使用の際に所望の機能を発揮するものである限り、特に限定されない。特に、基材は、樹脂系の材料を主材とする樹脂フィルムであることが好ましい。その具体例としては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、エチレン-ノルボルネン共重合体フィルム、ノルボルネン樹脂フィルム、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体フィルム、その他のエチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム等のポリオレフィン系フィルム;ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系フィルム;エチレン-酢酸ビニル共重合体フィルム;ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム等のポリ塩化ビニル系フィルム;(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム;ポリウレタンフィルム;ポリイミドフィルム;ポリスチレンフィルム;ポリカーボネートフィルム;フッ素樹脂フィルムなどが挙げられる。また、これらの架橋フィルム、アイオノマーフィルムといった変性フィルムも用いられる。また、基材は、上述したフィルムが複数積層されてなる積層フィルムであってもよい。この積層フィルムにおいて、各層を構成する材料は同種であってもよく、異種であってもよい。なお、本明細書における「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸およびメタクリル酸の両方を意味する。他の類似用語についても同様である。また、本明細書における「重合体」は「共重合体」の概念も含むものとする。
本実施形態における基材としては、上述した中でも、ポリオレフィン系フィルムを使用することが好ましい。ポリオレフィン系フィルムを使用することで、本実施形態に係るワーク加工用シートがより優れた埋め込み性を達成し易いものとなる。ポリオレフィン系フィルムの中でも、特に、ポリプロピレンフィルムおよびエチレン-メタクリル酸共重合体フィルムの少なくとも一方を使用することが好ましい。
基材は、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、酸化防止剤、着色剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、イオン捕捉剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。これらの添加剤の含有量としては、特に限定されないものの、基材が所望の機能を発揮する範囲とすることが好ましい。
また、基材の粘着剤層が積層される面には、粘着剤層との密着性を高めるために、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理が施されてもよい。
基材の厚さは、100μm以上であることが好ましく、特に120μm以上であることが好ましい。基材の厚さが100μm以上であることで、本実施形態に係るワーク加工用シートがより優れた埋め込み性を達成し易いものとなる。また、一般的に、半導体パッケージのダイシングにおいては、シリコンウエハのダイシングに比べて、ワーク加工用シートに対するダイシングブレードによる切れ込みが深いものとなる。ここで、基材の厚さが100μm以上であることで、そのような深い切れ込みにも十分に好適なものとなる。さらに、基材の厚さは、300μm以下であることが好ましく、特に200μm以下であることが好ましい。基材の厚さが300μm以下であることで、本実施形態に係るワーク加工用シートが取り扱い性により優れたものとなる。
(2)粘着剤層
本実施形態における粘着剤層は、前述した通り、活性エネルギー線硬化性粘着剤から構成されるものである。これにより、活性エネルギー線照射によって、本実施形態における粘着剤層を硬化させて、粘着力を低下させることができる。その結果、加工後のワークを本実施形態に係るワーク加工用シートから分離させることが容易となる。
本実施形態における粘着剤層は、活性エネルギー線硬化性粘着剤から構成され、且つ、前述した引張貯蔵弾性率(E’)を達成できるものである限り、その組成は限定されない。
上記粘着剤層を構成する活性エネルギー線硬化性粘着剤の例としてはアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤等が挙げられる。これらの中でも、上述した引張貯蔵弾性率(E’)の条件を満たし易く、また所望の粘着力を達成し易いという観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。
本実施形態における粘着剤層を構成する活性エネルギー線硬化性粘着剤は、活性エネルギー線硬化性を有するポリマーを主成分とするものであってもよいし、活性エネルギー線非硬化性ポリマー(活性エネルギー線硬化性を有しないポリマー)と少なくとも1つ以上の活性エネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとの混合物を主成分とするものであってもよい。また、活性エネルギー線硬化性を有するポリマーと活性エネルギー線非硬化性ポリマーとの混合物であってもよいし、活性エネルギー線硬化性を有するポリマーと少なくとも1つ以上の活性エネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとの混合物であってもよいし、それら3種の混合物であってもよい。
まず、活性エネルギー線硬化性粘着剤が、活性エネルギー線硬化性を有するポリマーを主成分とする場合について、以下説明する。
活性エネルギー線硬化性を有するポリマーは、側鎖に活性エネルギー線硬化性を有する官能基(活性エネルギー線硬化性基)が導入された(メタ)アクリル酸エステル(共)重合体(A)(以下「活性エネルギー線硬化型重合体(A)」という場合がある。)であることが好ましい。この活性エネルギー線硬化型重合体(A)は、官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(a1)と、その官能基に結合する官能基を有する不飽和基含有化合物(a2)とを反応させて得られるものであることが好ましい。
アクリル系共重合体(a1)は、官能基含有モノマーから導かれる構成単位と、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体から導かれる構成単位とを含むことが好ましい。
アクリル系共重合体(a1)の構成単位としての官能基含有モノマーは、重合性の二重結合と、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、置換アミノ基、エポキシ基等の官能基とを分子内に有するモノマーであることが好ましい。
ヒドロキシ基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミノ基含有モノマーまたは置換アミノ基含有モノマーとしては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレート、n-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル系共重合体(a1)を構成する(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、アルキル基の炭素数が1~20であるアルキル(メタ)アクリレートの他、例えば、分子内に脂環式構造を有するモノマー(脂環式構造含有モノマー)が好ましく用いられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、特にアルキル基の炭素数が1~18であるアルキル(メタ)アクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が好ましく用いられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
脂環式構造含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル等が好ましく用いられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アクリル系共重合体(a1)は、上記官能基含有モノマーから導かれる構成単位を、好ましくは1質量%以上、特に好ましくは5質量%以上の割合で含有する。また、アクリル系共重合体(a1)は、上記官能基含有モノマーから導かれる構成単位を、好ましくは40質量%以下、特に好ましくは35質量%以下の割合で含有する。
さらに、アクリル系共重合体(a1)は、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体から導かれる構成単位を、好ましくは50質量%以上、特に好ましくは60質量%以上の割合で含有する。また、アクリル系共重合体(a1)は、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体から導かれる構成単位を、好ましくは98質量%以下、特に好ましくは95質量%以下の割合で含有する。
アクリル系共重合体(a1)は、上記のような官能基含有モノマーと、(メタ)アクリル酸エステルモノマーまたはその誘導体とを常法で共重合することにより得られるが、これらモノマーの他にもジメチルアクリルアミド、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、スチレン等が共重合されてもよい。
上記官能基含有モノマー単位を有するアクリル系共重合体(a1)を、その官能基に結合する官能基を有する不飽和基含有化合物(a2)と反応させることにより、活性エネルギー線硬化型重合体(A)が得られる。
不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基は、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基含有モノマー単位の官能基の種類に応じて、適宜選択することができる。例えば、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基がヒドロキシ基、アミノ基または置換アミノ基の場合、不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基としてはイソシアネート基またはエポキシ基が好ましく、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基がエポキシ基の場合、不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基としてはアミノ基、カルボキシ基またはアジリジニル基が好ましい。
また上記不飽和基含有化合物(a2)には、エネルギー線重合性の炭素-炭素二重結合が、1分子中に少なくとも1個、好ましくは1~6個、さらに好ましくは1~4個含まれている。このような不飽和基含有化合物(a2)の具体例としては、例えば、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、メタ-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート、メタクリロイルイソシアネート、アリルイソシアネート、1,1-(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;ジイソシアネート化合物またはポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応により得られるアクリロイルモノイソシアネート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸、2-(1-アジリジニル)エチル(メタ)アクリレート、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン等が挙げられる。
上記不飽和基含有化合物(a2)は、上記アクリル系共重合体(a1)の官能基含有モノマーモル数に対して、好ましくは50モル%以上、特に好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上の割合で用いられる。また、上記不飽和基含有化合物(a2)は、上記アクリル系共重合体(a1)の官能基含有モノマーモル数に対して、好ましくは95モル%以下、特に好ましくは93モル%以下、さらに好ましくは90モル%以下の割合で用いられる。
アクリル系共重合体(a1)と不飽和基含有化合物(a2)との反応においては、アクリル系共重合体(a1)が有する官能基と不飽和基含有化合物(a2)が有する官能基との組合せに応じて、反応の温度、圧力、溶媒、時間、触媒の有無、触媒の種類を適宜選択することができる。これにより、アクリル系共重合体(a1)中に存在する官能基と、不飽和基含有化合物(a2)中の官能基とが反応し、不飽和基がアクリル系共重合体(a1)中の側鎖に導入され、活性エネルギー線硬化型重合体(A)が得られる。
このようにして得られる活性エネルギー線硬化型重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は、10万以上であるのが好ましく、特に15万以上であるのが好ましく、さらには30万以上であるのが好ましい。また、当該重量平均分子量(Mw)は、250万以下であるのが好ましく、特に200万以下であるのが好ましく、さらには150万以下であるのが好ましい。なお、本明細書における重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により測定した標準ポリスチレン換算の値である。
活性エネルギー線硬化性粘着剤が、活性エネルギー線硬化型重合体(A)といった活性エネルギー線硬化性を有するポリマーを主成分とする場合であっても、活性エネルギー線硬化性粘着剤は、活性エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)をさらに含有してもよい。
活性エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)としては、例えば、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル等を使用することができる。
かかる活性エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)としては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の単官能性アクリル酸エステル類、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等の多官能性アクリル酸エステル類、ポリエステルオリゴ(メタ)アクリレート、ポリウレタンオリゴ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)の分子量または重量平均分子量は、100以上であることが好ましく、特に300以上であることが好ましい。また、上記分子量または重量平均分子量は、30000以下であることが好ましく、特に10000以下であることが好ましい。
ここで、活性エネルギー線硬化性粘着剤を硬化させるための活性エネルギー線として紫外線を用いる場合には、光重合開始剤(C)を添加することが好ましく、この光重合開始剤(C)の使用により、重合硬化時間および光線照射量を少なくすることができる。
光重合開始剤(C)としては、具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4-ジエチルチオキサンソン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、β-クロールアンスラキノン、(2,4,6-トリメチルベンジルジフェニル)フォスフィンオキサイド、2-ベンゾチアゾール-N,N-ジエチルジチオカルバメート、オリゴ{2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-プロペニル)フェニル]プロパノン}、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤(C)は、活性エネルギー線硬化型共重合体(A)(活性エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)を配合する場合には、活性エネルギー線硬化型共重合体(A)および活性エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)の合計量100質量部)100質量部に対して0.1質量部以上、特に0.5質量部以上の量で用いられることが好ましい。また、光重合開始剤(C)は、活性エネルギー線硬化型共重合体(A)(活性エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)を配合する場合には、活性エネルギー線硬化型共重合体(A)および活性エネルギー線硬化性のモノマーおよび/またはオリゴマー(B)の合計量100質量部)100質量部に対して10質量部以下、特に6質量部以下の量で用いられることが好ましい。
活性エネルギー線硬化性粘着剤においては、上記成分以外にも、適宜他の成分を配合してもよい。他の成分としては、例えば、架橋剤(D)等が挙げられる。
架橋剤(D)としては、活性エネルギー線硬化型共重合体(A)等が有する官能基との反応性を有する多官能性化合物を用いることができる。このような多官能性化合物の例としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アミン化合物、メラミン化合物、アジリジン化合物、ヒドラジン化合物、アルデヒド化合物、オキサゾリン化合物、金属アルコキシド化合物、金属キレート化合物、金属塩、アンモニウム塩、反応性フェノール樹脂等を挙げることができる。
架橋剤(D)の配合量は、活性エネルギー線硬化型共重合体(A)100質量部に対して、0.01質量部以上であることが好ましく、特に0.03質量部以上であることが好ましく、さらには0.04質量部以上であることが好ましい。また、架橋剤(D)の配合量は、活性エネルギー線硬化型共重合体(A)100質量部に対して、8質量部以下であることが好ましく、特に5質量部以下であることが好ましく、さらには3.5質量部以下であることが好ましい。架橋剤(D)の配合量が上記範囲であることで、前述した引張貯蔵弾性率(E’)を達成し易いものとなる。
次に、活性エネルギー線硬化性粘着剤が、活性エネルギー線非硬化性ポリマー成分と少なくとも1つ以上の活性エネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとの混合物を主成分とする場合について、以下説明する。
活性エネルギー線非硬化性ポリマー成分としては、例えば、前述したアクリル系共重合体(a1)と同様の成分が使用できる。
少なくとも1つ以上の活性エネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとしては、前述の成分(B)と同じものが選択できる。活性エネルギー線非硬化性ポリマー成分と少なくとも1つ以上のエネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとの配合比は、活性エネルギー線非硬化性ポリマー成分100質量部に対して、少なくとも1つ以上のエネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマー20質量部以上であるのが好ましく、特に30質量部以上であるのが好ましく、さらには40質量部以上であるのが好ましい。また、当該配合比は、活性エネルギー線非硬化性ポリマー成分100質量部に対して、少なくとも1つ以上の活性エネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマー200質量部以下であるのが好ましく、特に160質量部以下であるのが好ましく、さらには120質量部以上であるのが好ましい。
この場合においても、上記と同様に、光重合開始剤(C)や架橋剤(D)を適宜配合することができる。
本実施形態における粘着剤層は、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、例えば、帯電防止剤、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、充填剤、防錆剤、顔料、染料等が挙げられる。
本実施形態に係るワーク加工用シートでは、活性エネルギー線硬化前における粘着剤層の23℃におけるせん断貯蔵弾性率(G’)が、0.08MPa超であることが好ましく、特に0.09MPa以上であることが好ましく、さらには0.1MPa以上であることが好ましい。また、活性エネルギー線硬化前における粘着剤層の23℃におけるせん断貯蔵弾性率(G’)は、0.2MPa以下であることが好ましく、特に0.18MPa以下であることが好ましく、さらには0.17MPa以下であることが好ましい。活性エネルギー線硬化前におけるせん断貯蔵弾性率(G’)が上記範囲であることで、紫外線照射後おける引張貯蔵弾性率(E’)を前述の範囲に調整し易いものとなる。なお、上述したせん断貯蔵弾性率(G’)の測定方法の詳細は、後述する試験例に記載の通りである。
(3)剥離シート
本実施形態に係るワーク加工用シートでは、粘着剤層における基材とは反対側の面(以下、「粘着面」という場合がある。)をワークに貼付するまでの間、当該面を保護する目的で、当該面に剥離シートが積層されていてもよい。
上記剥離シートの構成は任意であり、プラスチックフィルムを剥離剤等により剥離処理したものが例示される。当該プラスチックフィルムの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、およびポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィンフィルムが挙げられる。上記剥離剤としては、シリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系等を用いることができ、これらの中でも、安価で安定した性能が得られるシリコーン系が好ましい。
上記剥離シートの厚さについては特に制限はなく、例えば、20μm以上、250μm以下であってよい。
(4)その他
本実施形態に係るワーク加工用シートでは、粘着剤層における基材とは反対側の面に接着剤層が積層されていてもよい。この場合、本実施形態に係るワーク加工用シートは、ダイシング・ダイボンディングシートとして使用することができる。当該シートでは、接着剤層における粘着剤層とは反対側の面にワークを貼付し、当該ワークとともに接着剤層をダイシングすることで、個片化された接着剤層が積層されたチップを得ることができる。当該チップは、この個片化された接着剤層によって、当該チップが搭載される対象に対して容易に固定することが可能となる。上述した接着剤層を構成する材料としては、熱可塑性樹脂と低分子量の熱硬化性接着成分とを含有するものや、Bステージ(半硬化状)の熱硬化型接着成分を含有するもの等を用いることが好ましい。
また、本実施形態に係るワーク加工用シートでは、粘着剤層における粘着面に保護膜形成層が積層されていてもよい。この場合、本実施形態に係るワーク加工用シートは、保護膜形成兼ダイシング用シートとして使用することができる。このようなシートでは、保護膜形成層における粘着剤層とは反対側の面にワークを貼付し、当該ワークとともに保護膜形成層をダイシングすることで、個片化された保護膜形成層が積層されたチップを得ることができる。当該ワークとしては、片面に回路が形成されたものが使用されることが好ましく、この場合、通常、当該回路が形成された面とは反対側の面に保護膜形成層が積層される。個片化された保護膜形成層は、所定のタイミングで硬化させることで、十分な耐久性を有する保護膜をチップに形成することができる。保護膜形成層は、未硬化の硬化性接着剤からなることが好ましい。
2.ワーク加工用シートの製造方法
本実施形態に係るワーク加工用シートの製造方法は特に限定されない。例えば、剥離シート上に粘着剤層を形成した後、当該粘着剤層における剥離シートとは反対側の面に基材の片面を積層することで、ワーク加工用シートを得ることが好ましい。
上述した粘着剤層の形成は、公知の方法により行うことができる。例えば、粘着剤層を形成するための粘着性組成物、および所望によりさらに溶媒または分散媒を含有する塗布液を調製する。そして、剥離シートの剥離性を有する面(以下、「剥離面」という場合がある。)に上記塗布液を塗布する。続いて、得られた塗膜を乾燥させることで、粘着剤層を形成することができる。
上述した塗布液の塗布は公知の方法により行うことができ、例えば、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等により行うことができる。なお、塗布液は、塗布を行うことが可能であればその性状は特に限定されず、粘着剤層を形成するための成分を溶質として含有する場合もあれば、分散質として含有する場合もある。また、剥離シートは工程材料として剥離してもよいし、被着体に貼付するまでの間、粘着剤層を保護していてもよい。
粘着剤層を形成するための粘着性組成物が前述した架橋剤を含有する場合には、上記の乾燥の条件(温度、時間など)を変えることにより、または加熱処理を別途設けることにより、塗膜内のポリマー成分と架橋剤との架橋反応を進行させ、粘着剤層内に所望の存在密度で架橋構造を形成することが好ましい。さらに、上述した架橋反応を十分に進行させるために、粘着剤層と基材とを貼り合わせた後、例えば23℃、相対湿度50%の環境に数日間静置するといった養生を行ってもよい。
3.ワーク加工用シートの使用方法
本実施形態に係るワーク加工用シートは、最大高低差が10μm以上、60μm以下である凹凸を表面に有するワークに使用されるものである。本実施形態に係るワーク加工用シートは、前述した通り、このような凹凸を有するワークに対して、優れた埋め込み性を発揮してダイシング時等における水浸入を良好に抑制できるとともに、糊残りを効果的に抑制することができる。
上述のように最大高低差が10μm以上、60μm以下である凹凸を表面に有するワークの具体例としては、半導体パッケージ、セラミックパッケージ等が挙げられる。
そして、本実施形態に係るワーク加工用シートは、ワークの加工のために使用することができる。すなわち、本実施形態に係るワーク加工用シートの粘着面をワークに貼付した後、ワーク加工用シート上にてワークの加工を行うことができる。当該加工に応じて、本実施形態に係るワーク加工用シートは、バックグラインドシート、ダイシングシート、エキスパンドシート、ピックアップシート等として使用されることとなる。本実施形態に係るワーク加工用シートは、上記の通り、優れた埋め込み性および糊残り防止性を発揮できるものであるため、特にダイシングシート、エキスパンドシートおよびピックアップシートとして使用することが好適である。
なお、本実施形態に係るワーク加工用シートが前述した接着剤層を備える場合には、当該ワーク加工用シートは、ダイシング・ダイボンディングシートとして使用することができる。さらに、本実施形態に係るワーク加工用シートが前述した保護膜形成層を備える場合には、当該ワーク加工用シートは、保護膜形成兼ダイシング用シートとして使用することができる。
また、本実施形態に係るワーク加工用シートの使用の際には、次のような活性エネルギー線の照射することも好ましい。すなわち、ワーク加工用シート上にてワークの加工が完了し、加工後のワークをワーク加工用シートから分離する場合に、当該分離の前に粘着剤層に対して活性エネルギー線を照射することが好ましい。これにより、粘着剤層が硬化して、加工後のワークに対する粘着シートの粘着力が良好に低下し、加工後のワークの分離が容易となる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、本実施形態に係るワーク加工用シートにおける基材と粘着剤層との間、または基材における粘着剤層とは反対側の面には、他の層が積層されていてもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
(1)粘着性組成物の調製
アクリル酸n-ブチル91質量部と、アクリル9質量部とを、溶液重合法により重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(活性エネルギー線非硬化性ポリマー成分)を得た。この(メタ)アクリル酸エステル重合体の重量平均分子量(Mw)を後述の方法によって測定したところ、70万であった。
上記(メタ)アクリル酸エステル重合体100質量部と、少なくとも1つ以上の活性エネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとしての3~4官能ウレタンアクリレート(重量平均分子量:5000)47.6質量部と、架橋剤としてのトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(TDI-TMP)を含む組成物(東ソー社製,製品名「コロネートL」)11.2質量部と、光重合開始剤としての1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(BASF社製,製品名「オムニラッド184」)1.0質量部とを、溶媒としてのメチルエチルケトン中で混合し、粘着性組成物の塗布液(固形分濃度:30質量%)を得た。
(2)粘着剤層の形成
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの片面にシリコーン系の剥離剤層が形成されてなる剥離シート(リンテック社製,製品名「SP-PET381031」)の剥離面に対して、上記工程(1)で得られた粘着性組成物の塗布液を、アプリケータを用いてギャップを調整しながら塗布し、100℃で2分間乾燥させることで、剥離シート上に、厚さ50μmの粘着剤層が形成されてなる積層体を得た。
(3)ワーク加工用シートの作製
基材として、片面がコロナ処理されてなるエチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)フィルム(厚さ:140μm)を準備し、当該フィルムにおけるコロナ処理面と、上記工程(2)で得られた積層体における粘着剤層側の面とを貼り合わせることで、ワーク加工用シートを得た。
(4)重量平均分子量の測定方法
前述した重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定(GPC測定)した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量である。
<測定条件>
・測定装置:東ソー社製,HLC-8320
・GPCカラム(以下の順に通過):東ソー社製
TSK gel superH-H
TSK gel superHM-H
TSK gel superH2000
・測定溶媒:テトラヒドロフラン
・測定温度:40℃
〔実施例2~5〕
少なくとも1つ以上の活性エネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマー、光重合開始剤および架橋剤の含有量を表1に記載の通りに変更した以外、実施例1と同様にしてワーク加工用シートを得た。
〔実施例6〕
基材として厚さ140μmのポリプロピレン(PP)フィルムを用いるとともに、粘着剤層の厚さを60μmに変更した以外、実施例1と同様にしてワーク加工用シートを得た。
〔実施例7〕
アクリル酸n-ブチル85質量部と、アクリル酸2-ヒドロキシエチル15質量部とを、溶液重合法により重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体を得た。この(メタ)アクリル酸エステル重合体と、当該重合体を構成するアクリル酸2-ヒドロキシエチルに対して80モル%に相当のメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)とを反応させて、側鎖に活性エネルギー線硬化性基が導入されたアクリル系重合体(活性エネルギー線硬化型重合体(A))を得た。この活性エネルギー線硬化型重合体(A)の重量平均分子量(Mw)を前述の方法によって測定したところ、60万であった。
上記で得られた、活性エネルギー線硬化型重合体(A)100質量部と、架橋剤としてのトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(TDI-TMP)を含む組成物(東ソー社製,製品名「コロネートL」)3.0質量部と、光重合開始剤としての1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(BASF社製,製品名「オムニラッド184」)3.0質量部とを溶媒中で混合し、粘着性組成物の塗布液を得た。
上記粘着性組成物を使用するとともに、粘着剤層の厚さを60μmとした以外、実施例1と同様にしてワーク加工用シートを得た。
〔比較例1~2〕
少なくとも1つ以上の活性エネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマー、光重合開始剤および架橋剤の含有量を表1に記載の通りに変更した以外、実施例1と同様にしてワーク加工用シートを得た。
〔比較例3〕
基材として厚さ140μmのポリプロピレン(PP)フィルムを用いるとともに、粘着剤層の厚さを40μmに変更した以外、実施例1と同様にしてワーク加工用シートを得た。
〔比較例4〕
粘着剤層の厚さを20μmに変更した以外、実施例1と同様にしてワーク加工用シートを得た。
〔比較例5〕
アクリル酸n-ブチル62質量部と、メタクリル酸メチル10質量部と、アクリル酸2-ヒドロキシエチル28質量部とを、溶液重合法により重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体を得た。この(メタ)アクリル酸エステル重合体と、当該重合体を構成するアクリル酸2-ヒドロキシエチルに対して80モル%に相当のメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)とを反応させて、側鎖に活性エネルギー線硬化性基が導入されたアクリル系重合体(活性エネルギー線硬化型重合体(A))を得た。この活性エネルギー線硬化型重合体(A)の重量平均分子量(Mw)を前述の方法によって測定したところ、60万であった。
上記で得られた、活性エネルギー線硬化型重合体(A)100質量部と、架橋剤としてのトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(TDI-TMP)を含む組成物(東ソー社製,製品名「コロネートL」)3.0質量部と、光重合開始剤としての1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(BASF社製,製品名「オムニラッド184」)3.0質量部とを溶媒中で混合し、粘着性組成物の塗布液を得た。
基材の厚さを160μmとし、上記粘着性組成物を使用するとともに、粘着剤層の厚さを60μmとした以外、実施例1と同様にしてワーク加工用シートを得た。
〔試験例1〕(せん断貯蔵弾性率(G’)の測定)
実施例および比較例で作製した粘着剤層を複数層積層し、厚さ1mmの積層体とした。得られた粘着剤層の積層体から、直径8mmの円柱体(高さ1mm)を打ち抜き、これをサンプルとした。
上記サンプルについて、JIS K7244-6に準拠し、粘弾性測定器(REOMETRIC社製,製品名「DYNAMIC ANALAYZER」)を用いてねじりせん断法により、以下の条件でせん断貯蔵弾性率(G’)(MPa)を測定した。その結果を表1に示す。
測定周波数:1Hz
測定温度:23℃
〔試験例2〕(引張貯蔵弾性率(E’)の測定)
実施例および比較例で調製した粘着性組成物の塗布液を、厚さ38μmの剥離シート(リンテック社製,製品名「SP-PET381031」)の剥離面に塗布し、得られた塗布膜を100℃、1分間乾燥させることで、剥離シート上に、厚さ40μmの粘着剤層を形成した。
上記粘着剤層を5層積層することで、厚さ200μmの粘着剤層の積層体を得た。当該積層体に対し、紫外線照射装置(リンテック社製,製品名「RAD-2000m/12」)を用いて、照度230mW/cm,光量190mJ/cmの条件で、両面それぞれに各3回の計6回紫外線照射を行い、測定サンプルとした。
得られた測定サンプルについて、動的粘弾性自動測定器(オリエンテック社製、バイブロンDDV-01FP)を用いて、以下の条件で引張貯蔵弾性率(E’)(MPa)を測定した。その結果を表1に示す。
測定周波数:1Hz
測定温度:23℃
〔試験例3〕(埋め込み性の評価)
半導体パッケージ用樹脂(住友ベークライト社製,製品名「G700」)を用いて、50mm×50mmおよび厚さ600μmのサイズを有する模擬半導体パッケージを作製した。当該模擬半導体パッケージは、封止樹脂面に最大高低差が40μmである凹凸を有するものとした。
続いて、実施例および比較例で製造したワーク加工用シートから剥離シートを剥離し、露出した粘着剤層の露出面に、ラミネーター(フジプラ社製,製品名「LPD3214」)を用いて、上記の通り作製した模擬半導体パッケージの封止樹脂面を貼付した。貼付直後に、貼付面をデジタルマイクロスコープ(KEYENCE社製,製品名「VHZ-100」)を用いて、ワーク加工用シート越しに、模擬半導体パッケージの凹凸付近を観察し、凹凸に起因して生じた、模擬半導体パッケージとワーク加工用シートとの間の浮きの幅(最も離れた点同士を結んだ線分の長さ)を測定した。そして、以下の基準で凹凸の埋め込み性を評価した。
○:浮きの幅が、400μm以下であった。
×:浮きの幅が、400μm超であった。
〔試験例4〕(糊残り防止性の評価)
実施例および比較例で製造したワーク加工用シートから剥離シートを剥離した後、テープマウンター(リンテック社製,製品名「AdwillRAD2500m/12」)を用いて、露出した粘着剤層の露出面を、試験例3と同様に作製した模擬半導体パッケージの片面に貼付した。続いて、ワーク加工用シートにおける上記露出面の周縁部(模擬半導体パッケージとは重ならない位置)に、ダイシング用リングフレームを付着させた。
その後、ダイシング装置(ディスコ社製,製品名「DFD6362」)を用いて、以下のダイシング条件でダイシングを行うことで、模擬半導体パッケージを、10.mm×10.0mmのサイズを有するチップに個片化した。
ダイシング条件
ダイシング装置:ディスコ社製,製品名「DFD-6362」
ブレード:ディスコ社製,製品名「ZBT-5074」
ブレード回転数:30000rpm
切削速度:20mm/sec
ブレードハイト:0.100mm
切削水量:1.0L/min
切削水温度:20℃
ダイシング後、ワーク加工用シートにおける基材側の面に対し、紫外線照射装置(リンテック社製,製品名「RAD-2000m12」)を用いて、窒素雰囲気下にて紫外線(UV)を照射(照度:230mW/cm,光量:190mJ/cmの条件で2回照射)し、粘着剤層を硬化させた。
次いで、ピックアップ装置を用いて、常温下で、エキスパンド量3mmにてワーク加工用シートをエキスパンドさせながら、突き上げ高さ300μm、突き上げ速度20mm/秒にて、ニードルを用いてチップの突き上げを行った。そして、当該突き上げと同時に、10mm×10mmのサイズのコレットでワーク加工用シートからチップを分離した。これらの操作を10回繰り返し、分離した10個のチップにおける、ワーク加工用シートが貼付されていた面について、目視にて粘着剤の付着の有無を確認し、以下の基準について、糊残りの評価を行った。結果を表1に示す。
○:10個全てのチップについて、粘着剤が付着していなかった。
×:少なくとも1個のチップについて、粘着剤が付着していた。
Figure 2022135016000001
表1から明らかなように、実施例で製造したワーク加工用シートは、優れた埋め込み性および優れた糊残り防止性を有するものであった。
本発明のワーク加工用シートは、半導体パッケージ等のワークの加工に好適に使用することができる。

Claims (6)

  1. 基材と、前記基材における片面側に積層された粘着剤層とを備え、最大高低差が10~60μmである凹凸を表面に有するワークに使用されるワーク加工用シートであって、
    前記粘着剤層が、活性エネルギー線硬化性粘着剤から構成され、
    紫外線照射後における前記粘着剤層の23℃における引張貯蔵弾性率(E’)が、20MPa以上、150MPa以下であり、
    前記粘着剤層の厚さが、50μm超、100μm以下である
    ことを特徴とするワーク加工用シート。
  2. 前記活性エネルギー線硬化性粘着剤が、活性エネルギー線非硬化性ポリマー成分と、少なくとも1つ以上の活性エネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーとを含有するものであることを特徴とする請求項1に記載のワーク加工用シート。
  3. 前記活性エネルギー線硬化性粘着剤中における、前記少なくとも1つ以上の活性エネルギー線硬化性基を有するモノマーおよび/またはオリゴマーの含有量は、前記活性エネルギー線非硬化性ポリマー成分100質量部に対して、20質量部以上、200質量部以下であることを特徴とする請求項2に記載のワーク加工用シート。
  4. 前記基材は、ポリオレフィン系フィルムであることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のワーク加工用シート。
  5. 前記基材の厚さは、100μm以上、300μm以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のワーク加工用シート。
  6. ダイシングシートであることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のワーク加工用シート。
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