JP2018123253A - フィルム状接着剤、半導体加工用シート及び半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このようにして得られた半導体パッケージを用いて、最終的には、目的とする半導体装置が製造される。そこで、半導体チップを、そのダイボンディングの対象となる面にフィルム状接着剤を備えた状態でピックアップするように構成することがある。
さらに、特許文献2では、ダイ接着用接着剤の切断特性及び信頼性の向上のため、充填剤が多く配合されたダイ接着用接着剤が製造されていた。
また、本発明は、当該フィルム状接着剤を備えた半導体加工用シートを提供することを目的とする。
また、本発明は、当該フィルム状接着剤を用いた半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
[1] エポキシ樹脂及び熱硬化剤からなるエポキシ系熱硬化性樹脂と、前記エポキシ系熱硬化性樹脂に該当しない重合体成分と、を含有する硬化性のフィルム状接着剤であって、
「前記重合体成分:前記エポキシ系熱硬化性樹脂」の質量比率が、69:31〜55:45であり、
前記フィルム状接着剤における充填剤の含有量が、前記フィルム状接着剤の総質量に対して15質量%以下であり、
厚さが25μmである硬化前の単層の前記フィルム状接着剤、又は硬化前の2層以上の前記フィルム状接着剤を、合計の厚さが25μmとなるように積層した積層体の、−15℃における破断伸度が3%以下である、フィルム状接着剤。
[2] 硬化促進剤を含有し、前記硬化促進剤が有機ホスフィン系硬化促進剤である、前記[1]に記載のフィルム状接着剤。
[3] 前記エポキシ樹脂100質量部に対する、前記硬化促進剤の含有量が5質量部以下である、前記[2]に記載のフィルム状接着剤。
[4] 前記重合体成分がアクリル系樹脂である前記[1]〜[3]のいずれか一つに記載のフィルム状接着剤。
[5] 半導体ウエハの内部に設定された焦点に集束するように、赤外域のレーザー光を照射して、前記半導体ウエハの内部に改質層を形成する改質層形成工程と、
前記改質層を形成した前記半導体ウエハにおいて、前記フィルム状接着剤を設けるための面を研削するともに、研削時の力を前記半導体ウエハに加えることにより、前記改質層の部位において前記半導体ウエハを分割し、複数個の半導体チップを得る分割工程と、
を有する分割方法で分割された半導体チップへの接着用途に使用される前記[1]〜[4]のいずれか一つに記載のフィルム状接着剤。
[6] 支持シート上に、前記[1]〜[5]のいずれか一つに記載のフィルム状接着剤が設けられた、半導体加工用シート。
[7] 前記支持シートが、基材上に粘着剤層が設けられたものであり、
前記粘着剤層に前記フィルム状接着剤が直接接触して設けられた、前記[6]に記載の半導体加工用シート。
[8] 前記[1]〜[5]のいずれか一つに記載のフィルム状接着剤を用いた半導体装置の製造方法であって、
支持シート上に前記フィルム状接着剤が設けられ、前記フィルム状接着剤の前記支持シートが設けられている側とは反対側の表面に、分割済みの複数個の半導体チップが設けられてなる積層構造体を形成する積層構造体形成工程と、
前記積層構造体のフィルム状接着剤を冷却しながら、前記フィルム状接着剤の表面方向にエキスパンドして、フィルム状接着剤を切断する切断工程と、
切断後の前記フィルム状接着剤を備えた前記半導体チップを、前記支持シートから引き離す引き離し工程と、
を有する、半導体装置の製造方法。
[9] 前記積層構造体形成工程の前に、さらに、
半導体ウエハの内部に設定された焦点に集束するように、赤外域のレーザー光を照射して、前記半導体ウエハの内部に改質層を形成する改質層形成工程と、
前記改質層を形成した前記半導体ウエハにおいて、前記フィルム状接着剤を設けるための面を研削するともに、研削時の力を前記半導体ウエハに加えることにより、前記改質層の部位において前記半導体ウエハを分割し、複数個の半導体チップを得る分割工程と、
を有し、前記分割工程で得られた複数個の半導体チップを、前記積層構造体形成工程で用いる、前記[8]に記載の半導体装置の製造方法。
本発明のフィルム状接着剤は、エポキシ樹脂及び熱硬化剤からなるエポキシ系熱硬化性樹脂と、前記エポキシ系熱硬化性樹脂に該当しない重合体成分と、を含有する硬化性のフィルム状接着剤であって、
「前記重合体成分:前記エポキシ系熱硬化性樹脂」の質量比率が、69:31〜55:45であり、前記フィルム状接着剤における充填剤の含有量が、前記フィルム状接着剤の総質量に対して15質量%以下であり、厚さが25μmである硬化前の単層の前記フィルム状接着剤、又は硬化前の2層以上の前記フィルム状接着剤を、合計の厚さが25μmとなるように積層した積層体の、−15℃における破断伸度が3%以下のものである。
なお、本明細書においては、フィルム状接着剤の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
ここで、「フィルム状接着剤の厚さ」とは、フィルム状接着剤全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなるフィルム状接着剤の厚さとは、フィルム状接着剤を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
すなわち、幅が10mmであり、厚さが25μmである前記フィルム状接着剤又は積層体を試験片とし、この試験片を引張速度200mm/分、チャック間距離10mmで引っ張り、破断したときの試験片の伸びを測定することで、破断伸度が求められる。
なお、本明細書において、「破断伸度がX%である(式中、Xは正の数である)」とは、上述の測定方法において、試験片(フィルム状接着剤又は積層体)を引っ張り、試験片がその引張方向において元の長さ(引っ張っていないときの長さ)のX%の長さだけ伸びたとき、すなわち、試験片の引張方向における全体の長さが引っ張る前の長さの[1+X/100]倍となったときに、試験片が破断することを意味する。
また、前記フィルム状接着剤又は積層体の破断伸度(%)の下限値は特に限定されないが、例えば、0.1%であることが好ましい。前記破断伸度が前記下限値以上であることで、フィルム状接着剤の取り扱い性が向上し、また、エキスパンド時におけるフィルム状接着剤の飛散を抑制する効果が高くなる。
本発明において、重合体成分(a)及びエポキシ系熱硬化性樹脂(b)の、「重合体成分(a):エポキシ系熱硬化性樹脂(b)」の質量比率を、69:31〜55:45に調整することで、前記破断伸度(%)を調節することができる。
また、例えば、重合体成分(a)の分子量、エポキシ系熱硬化性樹脂(b)を構成する成分の構造及び軟化点、並びに充填剤(c)の含有量等を調節することで、前記破断伸度を調節することもできる。
すなわち、幅が25mmで長さが任意の、フィルム状接着剤及び粘着テープの積層シートを作製する。この積層シートは、粘着テープの粘着面にフィルム状接着剤が積層されたものとする。次いで、40〜70℃に加熱したフィルム状接着剤によって、この積層シートを半導体ウエハへ貼付して、粘着テープ、フィルム状接着剤及び半導体ウエハがこの順に積層された積層物を作製する。作製後のこの積層物を直ちに23℃の環境下で30分静置した後、半導体ウエハからフィルム状接着剤及び粘着テープの積層シートを、フィルム状接着剤及び半導体ウエハの互いに接触していた面同士が180°の角度を為すように、剥離速度300mm/minで引き剥がす、いわゆる180°剥離を行う。このときの剥離力を測定して、その測定値を硬化前のフィルム状接着剤の半導体ウエハに対する接着力(N/25mm)とする。測定に供する前記積層シートの長さは、剥離力を安定して測定できる範囲であれば、特に限定されないが、100〜300mmであることが好ましい。
また、前記接着力の上限値は特に限定されず、例えば、10N/25mm、800mN/25mm、700mN/25mm、600mN/25mm、500mN/25mm等から選択できるが、これらは一例である。
例えば、後述する重合体成分(a)の分子量、重合体成分(a)を構成する各モノマー成分の比率、エポキシ系熱硬化性樹脂(b)を構成する成分の軟化点、及びフィルム状接着剤の各含有成分の含有量等を調節することで、フィルム状接着剤の前記接着力を容易に調節できる。
ただし、これら調節方法は一例に過ぎない。
フィルム状接着剤は、その構成材料を含有する接着剤組成物を用いて形成できる。例えば、フィルム状接着剤の形成対象面に、粘着剤層を構成するための各成分及び溶媒を含む接着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させて溶媒を揮発させることで、目的とする部位にフィルム状接着剤を形成できる。フィルム状接着剤のより具体的な形成方法は、他の層の形成方法とともに、後ほど詳細に説明する。
重合体成分(a)は、重合性化合物が重合反応して形成されたとみなせる成分であり、フィルム状接着剤に造膜性や可撓性等を付与すると共に、半導体チップ等の接着対象への接着性(貼付性)を向上させるための重合体化合物である。また、重合体成分(a)は、後述するエポキシ樹脂(b1)及び熱硬化剤(b2)に該当しない成分でもある。
アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10000〜2000000であることが好ましく、100000〜1500000であることがより好ましい。アクリル系樹脂の重量平均分子量がこのような範囲内であることで、フィルム状接着剤又は積層体の前記破断伸度及びフィルム状接着剤の前記接着力を上述した範囲に調節することが容易となる。
一方、アクリル系樹脂の重量平均分子量が前記下限値以上であることで、フィルム状接着剤の造膜性および形状安定性(保管時の経時安定性)が向上する。また、アクリル系樹脂の重量平均分子量が前記上限値以下であることで、被着体の凹凸面へフィルム状接着剤が追従し易くなり、被着体とフィルム状接着剤との間でボイド等の発生がより抑制される。
なお、本明細書において、「重量平均分子量」とは、特に断りのない限り、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値である。
(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルオキシアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸イミド;
(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸N−メチルアミノエチル等の置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。ここで、「置換アミノ基」とは、アミノ基の1個又は2個の水素原子が水素原子以外の基で置換されてなる基を意味する。
すなわち、前記アクリル系樹脂は、前記モノマーに由来する構成単位を含む樹脂である。ここでいう「由来する」とは、前記モノマーが重合するのに必要な構造の変化を受けたことを意味する。
エポキシ系熱硬化性樹脂(b)は、エポキシ樹脂(b1)及び熱硬化剤(b2)からなる。
接着剤組成物及びフィルム状接着剤が含有するエポキシ系熱硬化性樹脂(b)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
エポキシ樹脂(b1)としては、公知のものが挙げられ、例えば、多官能系エポキシ樹脂、ビフェニル化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェニレン骨格型エポキシ樹脂等、2官能以上のエポキシ化合物が挙げられる。
不飽和炭化水素基は、重合性を有する不飽和基であり、その具体的な例としては、エテニル基(ビニル基)、2−プロペニル基(アリル基)、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基等が挙げられ、アクリロイル基が好ましい。
エポキシ樹脂(b1)のエポキシ当量は、100〜1000g/eqであることが好ましく、150〜800g/eqであることがより好ましい。
熱硬化剤(b2)は、エポキシ樹脂(b1)に対する硬化剤として機能する。
熱硬化剤(b2)としては、例えば、1分子中にエポキシ基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。前記官能基としては、例えば、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシ基、酸基が無水物化された基等が挙げられ、フェノール性水酸基、アミノ基、又は酸基が無水物化された基であることが好ましく、フェノール性水酸基又はアミノ基であることがより好ましい。
熱硬化剤(b2)のうち、アミノ基を有するアミン系硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド(DICY)等が挙げられる。
不飽和炭化水素基を有する熱硬化剤(b2)としては、例えば、フェノール樹脂の水酸基の一部が、不飽和炭化水素基を有する基で置換されてなる化合物、フェノール樹脂の芳香環に、不飽和炭化水素基を有する基が直接結合してなる化合物等が挙げられる。
熱硬化剤(b2)における前記不飽和炭化水素基は、上述の不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂における不飽和炭化水素基と同様のものである。
熱硬化剤(b2)のうち、例えば、ビフェノール、ジシアンジアミド等の非樹脂成分の分子量は、特に限定されないが、例えば、60〜500であることが好ましい。
前記フィルム状接着剤が含有する他の成分で好ましいものとしては、例えば、硬化促進剤(c)、充填材(d)、カップリング剤(e)、架橋剤(f)、エネルギー線硬化性樹脂(g)、光重合開始剤(h)、汎用添加剤(i)等が挙げられる。
即ち、本発明の一実施形態に係るフィルム状接着剤は、重合体成分(a)と、エポキシ系熱硬化性樹脂(b)と、所望により硬化促進剤(c)、充填材(d)、カップリング剤(e)、架橋剤(f)、エネルギー線硬化性樹脂(g)、光重合開始剤(h)、及び汎用添加剤(i)からなる群から選択される少なくとも1つの成分と、を含む。
前記フィルム状接着剤は、例えば、上記の1種以上の成分を、含有量(質量%)の合計が100質量%を超えないように含有する。
硬化促進剤(c)は、接着剤組成物の硬化速度を調節するための成分である。
硬化促進剤(c)としては、例えば、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第3級アミン;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール系硬化促進剤(1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換されたイミダゾール);トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン系硬化促進剤(1個以上の水素原子が有機基で置換されたホスフィン);テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩等が挙げられる。
硬化促進剤(c)として有機ホスフィン系硬化促進剤を用いる場合、硬化促進剤(c)の含有量は、エポキシ樹脂(b1)の含有量100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましく、0.01〜5質量部であることがより好ましく、0.1〜3質量部以下であることがさらに好ましい。
硬化促進剤(c)の前記含有量が前記下限値以上であることで、硬化促進剤(c)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、硬化促進剤(c)の含有量が前記上限値以下であることで、例えば、接着剤組成物の硬化速度を好ましいものとすることができ、信頼性の高いフィルム状接着剤が得られやすく、フィルム状接着剤を用いて得られた半導体パッケージの信頼性がより向上する。
接着剤組成物及びフィルム状接着剤は、充填材(d)を含有してもよく、充填材(d)を含有しなくてもよいが、充填剤(d)を含有しないほうが好ましい。充填剤(d)を含有する場合には、フィルム状接着剤における充填剤の含有量は、前記フィルム状接着剤の総質量に対して15質量%以下とする。上記充填剤(d)の含有量が、フィルム状接着剤の総質量に対して15質量%以下であることにより、低温下でのエキスパンド時に優れた切断特性を発揮するとともに、長時間の加熱を経ても剥離やクラックの発生が起こり難い信頼性の高いフィルム状接着剤が得られ、フィルム状接着剤を用いて得られた半導体パッケージの信頼性が向上する。
充填材(d)を用いる場合、接着剤組成物において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する充填材(d)の含有量の割合(すなわち、フィルム状接着剤の充填材(d)の含有量)は、15質量%以下であり、12質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、7質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましく、3質量%以下がさらに好ましく、0質量%が特に好ましい。
本発明においては、「前記重合体成分:前記エポキシ系熱硬化性樹脂」の質量比率が、69:31〜55:45であることにより、充填材(d)の含有量が15質量%以下と比較的少量であっても、長時間の加熱を経ても剥離やクラックの発生が起こり難い信頼性の高いフィルム状接着剤が得られ、フィルム状接着剤を用いて得られた半導体パッケージの信頼性を好ましいものとすることができる。
また、本発明においては、「前記重合体成分:前記エポキシ系熱硬化性樹脂」の質量比率が、69:31〜55:45であることにより、充填材(d)の含有量が15質量%以下と比較的少量であっても、良好なエキスパンド切断特性を示す。
好ましい無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化ケイ素、窒化ホウ素等の粉末;これら無機充填材を球形化したビーズ;これら無機充填材の表面改質品;これら無機充填材の単結晶繊維;ガラス繊維等が挙げられる。
これらの中でも、無機充填材は、シリカ又はアルミナであることが好ましい。
シリカの粉末(シリカフィラー)は、その表面に、有機基等の表面修飾基を有していてもよい。
平均粒径は、粒度分布測定装置を使用して、動的光散乱法により測定した体積平均径とする。
フィルム状接着剤は、カップリング剤(e)を含有することにより、被着体に対する接着性及び密着性が向上する。また、フィルム状接着剤がカップリング剤(e)を含有することにより、その硬化物は耐熱性を損なうことなく、耐水性が向上する。カップリング剤(e)は、無機化合物又は有機化合物と反応可能な官能基を有するものである。
好ましい前記シランカップリング剤としては、例えば、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3−(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシラン等が挙げられる。
カップリング剤(e)の前記含有量が前記下限値以上であることで、充填材(d)の樹脂への分散性の向上や、フィルム状接着剤の被着体との接着性の向上など、カップリング剤(e)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、カップリング剤(e)の前記含有量が前記上限値以下であることで、アウトガスの発生がより抑制される。
接着剤組成物及びフィルム状接着剤は、架橋剤(f)を含有してもよく、架橋剤(f)を含有しなくてもよいが、架橋剤(f)を含有しないほうが好ましい。
フィルム状接着剤は、エネルギー線硬化性樹脂(g)を含有していることにより、エネルギー線の照射によって特性を変化させることができる。
紫外線は、例えば、紫外線源として高圧水銀ランプ、ヒュージョンHランプ、キセノンランプ又は発光ダイオード等を用いることで照射できる。電子線は、電子線加速器等によって発生させたものを照射できる。
本発明において、「エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射することにより硬化する性質を意味し、「非エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射しても硬化しない性質を意味する。
前記エネルギー線硬化性化合物としては、例えば、分子内に少なくとも1個の重合性二重結合を有する化合物が挙げられ、(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート系化合物が好ましい。
接着剤組成物は、エネルギー線硬化性樹脂(g)を含有する場合、エネルギー線硬化性樹脂(g)の重合反応を効率よく進めるために、光重合開始剤(h)を含有していてもよい。
また、光重合開始剤(h)としては、例えば、アミン等の光増感剤等も挙げられる。
汎用添加剤(i)は、公知のものでよく、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、着色剤(染料、顔料)、ゲッタリング剤等が挙げられる。
接着剤組成物及びフィルム状接着剤の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよい。
接着剤組成物は、さらに溶媒を含有することが好ましい。溶媒を含有する接着剤組成物は、取り扱い性が良好となる。
前記溶媒は特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素;メタノール、エタノール、2−プロパノール、イソブチルアルコール(2−メチルプロパン−1−オール)、1−ブタノール等のアルコール;酢酸エチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン等のエーテル;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド(アミド結合を有する化合物)等が挙げられる。
接着剤組成物が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
接着剤組成物は、これを構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15〜30℃であることが好ましい。
本発明の半導体加工用シートは、支持シート上に、上述の本発明のフィルム状接着剤が設けられたものである。
本発明の半導体加工用シートは、そのフィルム状接着剤上に、あらかじめ分割済みの複数個の半導体チップを設けておき、支持シートとともにフィルム状接着剤を、このフィルム状接着剤の表面方向において拡張させる、所謂エキスパンドを低温下で行うことにより、フィルム状接着剤を半導体チップの外形にあわせて切断する工程で用いるのに好適である。回路が形成されている面(以下、「回路形成面」と略記することがある)とは反対側の面(裏面)に切断後のフィルム状接着剤を備えた半導体チップ(本明細書においては「フィルム状接着剤付き半導体チップ」と称することがある)は、ピックアップした後に、半導体装置の製造に使用される。
分割済みの複数個の半導体チップは、例えば、半導体ウエハの内部に設定された焦点に集束されるように、赤外域のレーザー光を照射して、半導体ウエハの内部に改質層を形成した後、半導体ウエハの前記裏面を研削するとともに、さらに、前記裏面を研削中の半導体ウエハに対して、研削時の力を加えることによって、前記改質層の形成部位において半導体ウエハを分割すること(ステルスダイシング(登録商標))で作製できる。この方法は、従来のブレードを用いて半導体ウエハを切り込むことで分割する方法(ブレードダイシング)や研磨剤を含む水の吹き付けにより半導体ウエハを分割する方法(ウォーターダイシング)等に比べて、半導体ウエハを分割する際に加わるダメージが非常に小さいため、厚さが薄く、且つクラック等不具合のない良好な半導体チップの作製が可能である。
前記支持シートとしては、基材を有するものが挙げられる。このような支持シートは、例えば、基材からなる(基材のみを有する)ものであってもよいし、基材と基材以外の他の層とを有するものであってもよい。前記他の層を有する支持シートとしては、例えば、基材上に粘着剤層を備えたものが挙げられる。
本発明の半導体加工用シートにおいて、前記フィルム状接着剤は、支持シート上に設けられる。したがって、例えば、支持シートが、基材上に粘着剤層を備えたものである場合には、粘着剤層上にフィルム状接着剤が設けられ、支持シートが基材からなるものである場合には、基材にフィルム状接着剤が直接接触して設けられる。
すなわち、本発明の半導体加工用シートとしては、基材上に粘着剤層が設けられ、粘着剤層上にフィルム状接着剤が設けられたものが好ましく、基材に粘着剤層が直接接触して設けられ、粘着剤層上にフィルム状接着剤が設けられたものがより好ましく、基材に粘着剤層が直接接触して設けられ、粘着剤層にフィルム状接着剤が直接接触して設けられたものが特に好ましい。
前記基材の構成材料は、各種樹脂であることが好ましく、具体的には、例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE等))、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリウレタンアクリレート、ポリイミド、エチレン酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、フッ素樹脂、これらのいずれかの樹脂の水添加物、変性物、架橋物又は共重合物等が挙げられる。
単層からなる基材は、その表面が公知の方法で剥離処理されていてもよい。
ここで、「基材の厚さ」とは、基材全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる基材の厚さとは、基材を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
また、基材は、表面がプライマー処理を施されたものであってもよい。
また、基材は、帯電防止コート層、半導体加工用シートを重ね合わせて保存する際に、基材が他のシートに接着することや、基材が吸着テーブルに接着することを防止する層等を有するものであってもよい。
前記粘着剤層は、シート状又はフィルム状であり、粘着剤を含有する。
前記粘着剤層は、公知のものであってもよい。
前記粘着剤としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート等の粘着性樹脂が挙げられ、アクリル系樹脂が好ましい。
ここで、「粘着剤層の厚さ」とは、粘着剤層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる粘着剤層の厚さとは、粘着剤層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
前記粘着剤組成物は、エネルギー線硬化性及び非エネルギー線硬化性のいずれであってもよい。
非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物としては、例えば、前記アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルエーテル、又はポリカーボネート等の粘着性樹脂(以下、「粘着性樹脂(i)」と称する)を含有するものが挙げられる。
前記粘着性樹脂(i)は、前記アクリル系樹脂であることが好ましい。
粘着性樹脂(i)における前記アクリル系樹脂としては、例えば、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位を有するアクリル系重合体が挙げられる。
前記アクリル系樹脂が有する構成単位は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、より具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸イコシル等が挙げられる。
前記官能基含有モノマーとしては、例えば、前記官能基が後述する架橋剤と反応することで架橋の起点となったり、前記官能基が不飽和基含有化合物中の不飽和基と反応することで、アクリル系重合体の側鎖に不飽和基の導入を可能とするものが挙げられる。
すなわち、官能基含有モノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
前記他のモノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等と共重合可能なものであれば特に限定されない。
前記他のモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド等が挙げられる。
粘着剤組成物は、架橋剤(ii)を含有しなくてもよいが、架橋剤(ii)を含有することが好ましい。
架橋剤(ii)は、例えば、前記官能基と反応して、粘着性樹脂(i)同士を架橋するものである。
架橋剤(ii)としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、これらジイソシアネートのアダクト体等のイソシアネート系架橋剤(イソシアネート基を有する架橋剤);エチレングリコールグリシジルエーテル等のエポキシ系架橋剤(グリシジル基を有する架橋剤);ヘキサ[1−(2−メチル)−アジリジニル]トリフオスファトリアジン等のアジリジン系架橋剤(アジリジニル基を有する架橋剤);アルミニウムキレート等の金属キレート系架橋剤(金属キレート構造を有する架橋剤);イソシアヌレート系架橋剤(イソシアヌル酸骨格を有する架橋剤)等が挙げられる。
粘着剤の凝集力を向上させて粘着剤層の粘着力を向上させる点、及び入手が容易である等の点から、架橋剤(ii)はイソシアネート系架橋剤であることが好ましい。
粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、例えば、帯電防止剤、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、充填材(フィラー)、防錆剤、着色剤(顔料、染料)、増感剤、粘着付与剤、反応遅延剤、架橋促進剤(触媒)等の公知の添加剤が挙げられる。
なお、反応遅延剤とは、例えば、粘着剤組成物中に混入している触媒の作用によって、保存中の粘着剤組成物において、目的としない架橋反応が進行するのを抑制するものである。反応遅延剤としては、例えば、触媒に対するキレートによってキレート錯体を形成するものが挙げられ、より具体的には、1分子中にカルボニル基(−C(=O)−)を2個以上有するものが挙げられる。
粘着剤組成物は、溶媒を含有していてもよい。粘着剤組成物は、溶媒を含有していることで、塗工対象面への塗工適性が向上する。
粘着剤組成物は、これを構成するための各成分を配合することで得られ、例えば、配合成分が異なる点以外は、上述の接着剤組成物の場合と同じ方法で製造できる。
半導体加工用シート1において、粘着剤層12は基材11の一方の表面11aに積層され、フィルム状接着剤13は粘着剤層12の一方の表面、すなわち、粘着剤層12の基材11が設けられている側とは反対側の表面12aに積層されている。フィルム状接着剤13は、上述の本発明のフィルム状接着剤である。
すなわち、半導体加工用シート1は、支持シート10として、基材11上に粘着剤層12が設けられたものを用い、粘着剤層12にフィルム状接着剤13が直接接触して設けられたものである。
前記半導体加工用シートは、上述の各層を対応する位置関係となるように順次積層することで製造できる。各層の形成方法は、先に説明したとおりである。
例えば、基材上に粘着剤層又はフィルム状接着剤を積層する場合には、剥離フィルム上に、これを構成するための成分及び溶媒を含有する粘着剤組成物又は接着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させ溶媒を揮発させてフィルム状とすることで、剥離フィルム上に粘着剤層又はフィルム状接着剤をあらかじめ形成しておき、この形成済みの粘着剤層又はフィルム状接着剤の前記剥離フィルムと接触している側とは反対側の露出面を、基材の表面と貼り合わせればよい。このとき、粘着剤組成物又は接着剤組成物は、剥離フィルムの剥離処理面に塗工することが好ましい。剥離フィルムは、積層構造の形成後、必要に応じて取り除けばよい。
本発明の半導体装置の製造方法は、上述の本発明のフィルム状接着剤を用いた半導体装置の製造方法であって、支持シート上に前記フィルム状接着剤が設けられ、前記フィルム状接着剤の前記支持シートが設けられている側とは反対側の表面に、分割済みの複数個の半導体チップが設けられてなる積層構造体を形成する積層構造体形成工程と、前記積層構造体のフィルム状接着剤を冷却しながら、その表面に対して平行な方向にエキスパンドして、フィルム状接着剤を切断する切断工程と、切断後の前記フィルム状接着剤を備えた前記半導体チップ(本明細書においては、「フィルム状接着剤付き半導体チップ」と略記することがある)を、前記支持シートからピックアップする(引き離す)引き離し工程と、を有する。
前記支持シート上に前記フィルム状接着剤が設けられたものは、上述の本発明の半導体加工用シートであり、後述するように、本発明の半導体装置の製造方法は、本発明のフィルム状接着剤又は半導体加工用シートを用いたものである。
図4(a)に示す積層構造体101は、基材11上に粘着剤層12が設けられ、粘着剤層12の表面12aにフィルム状接着剤13が設けられ、フィルム状接着剤13の粘着剤層12が設けられている側とは反対側の表面13aに、分割済みの複数個の半導体チップ8が設けられてなる。
なお、図4では、複数個の半導体チップ8同士の間の空隙部を強調表示している。
すなわち、本発明の半導体装置の製造方法においては、前記積層構造体形成工程の前に、さらに、半導体ウエハの内部に設定された焦点に集束するように、赤外域のレーザー光を照射して、前記半導体ウエハの内部に改質層を形成する改質層形成工程と、前記改質層を形成した前記半導体ウエハにおいて、前記フィルム状接着剤を設けるための面を研削するとともに、研削時の力を前記半導体ウエハに加えることにより、前記改質層の部位において前記半導体ウエハを分割し、複数個の半導体チップを得る分割工程と、を有し、前記分割工程で得られた複数個の半導体チップを、前記積層構造体形成工程で用いることが好ましい。
図5は、このような半導体ウエハに改質層を形成して半導体チップを得る方法の一実施形態を模式的に説明するための断面図である。
この方法では、前記改質層形成工程において、図5(a)に示すように、半導体ウエハ8’の内部に設定された焦点に集束されるように、赤外域のレーザー光を照射して、半導体ウエハ8’の内部に改質層81’を形成する。
改質層形成工程においては、例えば、レーザー光の照射によって半導体ウエハ8’の表面や表面近傍の領域が受けるダメージを最小限にしながら、改質層81’を形成するために、開口度(NA)の大きなレーザー光を照射することが好ましい。
次いで、前記分割工程においては、図5(b)に示すように、半導体ウエハ8’の前記表面(回路形成面)8a’とは反対側の面(裏面)8b’を研削する。前記裏面8b’の研削は、公知の方法により、例えば、グラインダー62を用いて矢印の方向に研削することで行うことができる。例えば、このときの前記裏面8b’の研削は、半導体ウエハ8’の前記表面8a’にバックグラインドテープ63を貼付して行うことが好ましい。
上述の半導体装置の製造方法での前記切断工程においては、前記積層構造体形成工程後に、図4(b)に示すように、積層構造体101のフィルム状接着剤13を冷却しながら、フィルム状接着剤13の表面13aに対して平行な方向にフィルム状接着剤13をエキスパンドして、フィルム状接着剤13を切断する。フィルム状接着剤13は、基材11及び粘着剤層12(支持シート10)とともにエキスパンドすればよい。ここでは、切断後のフィルム状接着剤を、符号13’を付して示しているが、このような切断後のフィルム状接着剤13’を単に「フィルム状接着剤13’」と称することがある。また、フィルム状接着剤13のエキスパンドの方向を矢印Iで示している。
前記引き離し工程においては、前記切断工程後に、図4(c)に示すように、切断後のフィルム状接着剤13’を備えた半導体チップ8を、支持シート10(粘着剤層12)から引き離して、ピックアップを行う。
・重合体成分
(a)−1:アクリル共重合体成分(ナガセケムテックス社製「テイサンレジンSG−P3」)
・エポキシ樹脂
(b1)−1:ビフェニル型エポキシ樹脂(日本化薬社製「NC−3000−H」、エポキシ当量280−298g/eq、軟化点63−75℃)
・熱硬化剤
(b2)−1:ビフェニル型フェノール樹脂(明和化成社製「MEH−7854−4H」OH基当量237g/eq、軟化点122.4℃)
・硬化促進剤
(c)−1:エポキシ樹脂硬化触媒、トリオルトフェニルホスフィン(北興化学工業社製「TOTP」)
・充填材
(d)−1:シリカフィラー(アドマテックス社製,YA050C−MJE、平均粒径60nm)
・カップリング剤
(e)−1:シランカップリング剤、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM−303」)
[実施例1]
(接着剤組成物の製造)
重合体成分(a)−1、エポキシ樹脂(b1)−1、熱硬化剤(b2)−1、硬化促進剤(c)−1、及びカップリング剤(e)−1を、これらの含有量(質量部)が表1に示す値となるようにメチルエチルケトンに溶解又は分散させて、23℃で撹拌することで、接着剤組成物を得た。
ポリエチレンテレフタレート製フィルム(厚さ38μm)の片面がシリコーン処理により剥離処理された剥離フィルムの前記剥離処理面に、上記で得られた接着剤組成物を塗工し、115℃で3分加熱乾燥させることにより、厚さ5μmおよび20μmのフィルム状接着剤を形成した。
次いで、このフィルム状接着剤の露出面に、別途、前記剥離フィルムの剥離処理面を貼付し、フィルム状接着剤の両面に前記剥離フィルムが貼付されたフィルム状接着剤積層物を得た。
接着剤組成物の含有成分を表1に示すとおりとした点以外は、実施例1と同じ方法で、フィルム状接着剤積層物を製造した。
上記で得られた厚さ20μmのフィルム状接着剤について、下記項目を評価した。
上述のフィルム状接着剤の製造時に、同時にフィルム状接着剤の造膜性を評価した。
すなわち、得られたフィルム状接着剤の表面のうち、前記接着剤組成物を前記剥離フィルムへ塗工したときに、接着剤組成物の剥離フィルムへ接触していた部位から形成された表面について、外観を目視観察して、フィルム状接着剤の造膜性を下記基準に従って評価した。結果を表1に示す。
A:表面に異常が認められず、表面状態が良好であった。
B:表面にスジ又はハジキが発生していたが、表面状態の乱れは軽度であった。
C:表面に凝集物が発生しており、表面状態が一様でなかった。
・エキスパンド切断特性評価用の、個片化された半導体チップの作製
ダイシング装置(Disco社製「DFD6361」、ブレード:27HECC)を用い、ミラーウエハ(8inch、厚さ720μm)のミラー面に対して、50mm/秒、40,000rpmの条件で、切込み深さ80μmになるようハーフカットダイシングを行った。このハーフカットダイシングは、10mm×10mmの大きさのシリコンチップが得られるように調節して行った。
ハーフカットされ、切込みが入っているミラーウエハのミラー面側に、バックグラインドテープ(リンテック社製「ADWILL E−3125KN」)の粘着剤面を、テープ貼合装置(リンテック社製「RAD3510」)を用いて、常温貼合した。
次いで、グラインダー(Disco社製「DGP8760))を用いて、切込みが入っていないウエハ裏面側から、ウエハ厚み50μmまで研削(ドライポリッシュ仕上げ)をすることで、同時にシリコンウエハを分割して、シリコンチップに個片化した。得られたシリコンチップは、10mm×10mmに個片化され、厚み50μm、チップ/チップ間カーフ距離:30μmであり、バックグラインドテープ上で固定されていた。
ラミネート装置(大成ラミネーター社製「VA−400」)を用いて、上記で個片化されたチップのドライポリッシュ面に対して、上記実施例又は比較例の接着用フィルムを貼合し、積層物を得た。この貼合は、60℃、ラミネート速度:0.6m/分、0.5MPaの条件にて行った。
次いで、積層物のフィルム状接着剤の露出面に、エキスパンドテープ(リンテック社製「ADWILL DG889SO5」)を、ラミネート装置VA−400(大成ラミネーター社製)を用いて貼合し、接着用フィルム及びエキスパンドテープを備える半導体加工用シートの表面に、分割済みの複数個の半導体チップが設けられてなる積層構造体を得た。この貼合は、常温、ラミネート速度:0.6m/分、0.5MPaの条件にて行った。
次いで、得られた積層構造体のエキスパンドテープ上に、リングフレーム固定用両面テープ(リンテック社製「ADWILL G−01DF*」)を貼付し、ダイシング用リングフレームに貼付して固定し、シリコンチップのミラー面側に貼合されたバックグラインドテープを剥離して、エキスパンド切断特性評価用サンプルを得た。
上記で得られたエキスパンド切断特性評価用サンプルを、エキスパンド装置(株式会社ジェイ・シー・エム社製「ME−300B」)に設置し、−15℃環境下において、突上げ速度100mm/秒、突上げ量10mmの条件でエキスパンドし、フィルム状接着剤をシリコンチップの外形に沿って切断することを試みた。
次いで、デジタル顕微鏡(キーエンス社製「VH−Z100」)を用いて、フィルム状接着剤を観察した。観察箇所は、目的とする切断箇所であるシリコンチップの外周のフィルム状接着剤の部分を観察した。フィルム状接着剤の切断特性を、下記基準に従って評価した。結果を表1に示す。
○:エキスパンド後のフィルム状接着剤が、目的とする箇所で切断された。
×:エキスパンド後のフィルム状接着剤が、目的とする箇所で切断されなかった。
上記実施例又は比較例で作製した、5μmおよび20μmのフィルム状接着剤を、積層して形成した厚み25μmの積層物を、30mm×10mmに裁断した。裁断したサンプルのフィルム状接着剤の両端部の両面に、粘着テープを貼付し、粘着テープ間の両面テープの貼付されていないフィルム状接着剤のみの部分が10mm×10mmとなるようにして、破断伸度評価用の試験片を作製した。フィルム状接着剤の両端部を粘着テープで固定するのは、フィルム状接着剤単体を扱う場合、フィルム状接着剤が薄く取扱いが非常に難しいため、サンプルの装置への設置等、測定者の取扱性を向上させるためである。
試験片を、特型引張圧縮試験機(株式会社今田製作所製「SDT−202NA」)のサンプル設置治具に設置し、引張速度200mm/分、チャック間距離10mmで引張試験を行い、フィルム状接着剤の破断伸度(%)を測定した。測定は周辺環境温度−15℃において実施した。結果を表1に示す。
エキスパンド切断特性評価が不良で、上記のエキスパンドによる切断が不可であるフィルム状接着剤についても信頼性評価に供するため、ブレードダイシングによる分割手法によりチップ及びフィルム状接着剤を個片化して、信頼性評価を行った。なお、分割方法が異なっても、分割ラインが直線的に分割されていれば、信頼性の結果は相違ないものとなる。
・信頼性評価用の個片化された半導体チップの作製
ミラーウエハ(8inch、厚さ720μm)のミラー面に対して、バックグラインドテープ(リンテック社製「ADWILL E−3125KN」)の粘着剤面を、テープ貼合装置(リンテック社製「RAD3510」)を用いて常温貼合した。
次いで、グラインダー(Disco社製「DGP8760」)を用いて、ウエハ裏面側からウエハ厚み50μmまで研削(ドライポリッシュ仕上げ)した。
次いで、ドライポリッシュ仕上げされたシリコンウエハ(8inch、厚さ50μm)の研磨面に、上記の実施例又は比較例の厚さ20μmのフィルム状接着剤を、ラミネート装置(大成ラミネーター社製「VA−400」)を用いて貼合し、積層物を得た。この貼合は、60℃、ラミネート速度:0.6m/分、0.5MPaの条件にて行った。
次いで、積層物のフィルム状接着剤の露出面に、エキスパンドテープ(リンテック社製「ADWILL DG889SO5」)を、ラミネート装置(大成ラミネーター社製「VA−400」)を用いて貼合し、接着用フィルム及びエキスパンドテープを備える半導体加工用シートの表面に、シリコンウエハが設けられてなる積層構造体を得た。この貼合は、常温、ラミネート速度:0.6m/分、0.5MPaの条件にて行った。
次いで、得られた積層構造体のエキスパンドテープ上に、リングフレーム固定用両面テープ(リンテック社製「ADWILL G−01DF*」)を貼付し、ダイシング用リングフレームに貼付して固定し、ウエハのミラー面側に貼合されたバックグラインドテープを剥離した。
次いで、ダイシング装置(株式会社Disco製「DFD6361」)を使用して、50mm/秒、40,000rpmの条件で、ウエハ及びフィルム状接着剤をカットし、8mm×8mmのチップサイズにダイシングした。ダイシングの際の切り込み量は、基材(エキスパンドテープ)を20μm切り込むようにした。以上の工程を経て、フィルム状接着剤付きの信頼性評価用サンプルを得た。
基板として銅箔張り積層板(三菱ガス化学社製「HL832NX−A」)の銅箔(厚さ18μm)に回路パターンが形成され、パターン上にソルダーレジスト(太陽インキ社製「PSR−4000AUS308」)を有している基板(シーマ電子社製「LN001E−001 PCB(Au)AUS308」)を用いた。
上記で得られた信頼性評価用サンプルを、ピックアップ・ダイボンディング装置(キャノンマシナリー社製「BESTEM D02」)のエキスパンドユニットに設置した。真空コレット(8mm×8mm)により、5ピン突上げ、突上げ速度:300mm/分、突上げ量:200μmの条件でピックアップを行い、上記で得られたエキスパンドテープ上のシリコンチップを、フィルム状接着剤とともにエキスパンドテープから剥離させた。
次いで、フィルム状接着剤付きのシリコンチップを、120℃、250gf、0.5秒の条件で前記基板上に圧着させてボンディングした後、ワイヤボンディングを想定した熱履歴(175℃、0〜6時間)を付与した。
その後、封止装置(アピックヤマダ社製「MPC−06M TriAl Press」)を用いて、封止樹脂(京セラケミカル社製「KE−G1250」)を、175℃、2分、7MPaの条件で、厚み400μmになるようチップの上に封止した後、175℃、5時間の処理にて封止樹脂を硬化させた。
次いで、封止された基板を、ダイシングテープ(リンテック社製「ADWILL D−510T」)に貼付し、ダイシング装置(Disco社製「DFD6361)を用いて、封止された基板を15mm×15mmの大きさにダイシングすることで、信頼性評価用の半導体パッケージを得た。
上記で得られた半導体パッケージを、85℃、60%RHの湿熱条件下で168時間放置(JEDEC Level2)して吸湿させた。その後、最高温度260℃、加熱時間1分の条件で、この吸湿後の半導体パッケージに対して、卓上リフロー炉(千住金属工業社製「STR−2010N2M」)を用いてIRリフローを3回行った。
次いで、超音波顕微鏡(Sonoscan社製「D−9600」)を用いて、基板とフィルム状接着剤との界面の接合部の浮き・剥がれの有無と、パッケージクラック発生の有無とを確認した。半導体パッケージは、各熱履歴条件につき9個ずつ信頼性評価試験を行い、1個も浮き・剥がれ又はパッケージクラックが発生しなかった熱履歴時間を調べ、熱履歴に対する信頼性を評価した。結果を表1に示す。
なお、表1中において、例えば、「0/9」との記載は、9個の半導体パッケージに
ついて評価を行い、9個のうち0個で前記接合部における浮き・剥がれ又はパッケージクラックの発生が観察されたこと、すなわち、前記浮き・剥がれ又はクラックの発生が観察された半導体パッケージはなかったことを意味する。
さらに、実施例1〜2のフィルム状接着剤は、造膜性が良好で、フィルム状接着剤としての基本特性に優れていた。
比較例3のフィルム状接着剤は、エキスパンド切断特性は良好であるものの、造膜性および信頼性の点で劣るものであった。
比較例4のフィルム状接着剤は、造膜性および信頼性は良好であるものの、エキスパンド切断特性の点で劣るものであった。
比較例5のフィルム状接着剤は、エキスパンド切断特性は良好であるものの、造膜性および信頼性の点で劣るものであった。
比較例6のフィルム状接着剤は、造膜性に劣っており、これらはフィルム状接着剤としての基本特性に問題点があった。破断伸度、エキスパンド切断特性、及び信頼性については評価できなかった。
特に注目すべきことに、実施例1と比較例2との比較によれば、「重合体成分/熱硬化性樹脂」の質量比率が75/25(比較例2)となると、破断伸度が大きく上昇し、係る付近の比率を境に破断伸度の値が大きく変化することがわかる。
すなわち、重合体成分/熱硬化性樹脂の質量比率が、69:31〜55:45の範囲内にあることにより、実施例1〜2のフィルム状接着剤は、長時間の加熱を経ても信頼性が高く、且つ低温下でのエキスパンドによる切断時において優れた切断特性を発揮することが理解される。
また、充填剤の含有割合は、エキスパンド切断特性及び信頼性にも影響することがわかる(比較例4〜5)。
充填剤含有量が20質量%である場合(比較例4)、フィルム状接着剤の信頼性は高められるが、−15℃における破断伸度が3%を超え、エキスパンド切断特性が不良となる。
充填剤の含有量が40質量%である場合(比較例5)、エキスパンド切断特性は良好であるものの、信頼性が不良となる。
比較例4と5とで、エキスパンド切断特性及び信頼性の傾向が異なることは、おそらく、充填剤の含有量により充填剤の凝集が発生するなどして、充填剤により発揮される作用が変化するからであると考えられる。
すなわち、フィルム状接着剤における充填剤の含有量が、フィルム状接着剤の総質量に対して15質量%以下であることにより、実施例1〜2のフィルム状接着剤は、長時間の加熱を経ても信頼性が高く、且つ低温下でのエキスパンドによる切断時において優れた切断特性が発揮されることが理解される。
Claims (9)
- エポキシ樹脂及び熱硬化剤からなるエポキシ系熱硬化性樹脂と、前記エポキシ系熱硬化性樹脂に該当しない重合体成分と、を含有する硬化性のフィルム状接着剤であって、
「前記重合体成分:前記エポキシ系熱硬化性樹脂」の質量比率が、69:31〜55:45であり、
前記フィルム状接着剤における充填剤の含有量が、前記フィルム状接着剤の総質量に対して15質量%以下であり、
厚さが25μmである硬化前の単層の前記フィルム状接着剤、又は硬化前の2層以上の前記フィルム状接着剤を、合計の厚さが25μmとなるように積層した積層体の、−15℃における破断伸度が3%以下である、フィルム状接着剤。 - 硬化促進剤を含有し、前記硬化促進剤が有機ホスフィン系硬化促進剤である、請求項1に記載のフィルム状接着剤。
- 前記エポキシ樹脂100質量部に対する、前記硬化促進剤の含有量が5質量部以下である、請求項2に記載のフィルム状接着剤。
- 前記重合体成分がアクリル系樹脂である請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム状接着剤。
- 半導体ウエハの内部に設定された焦点に集束するように、赤外域のレーザー光を照射して、前記半導体ウエハの内部に改質層を形成する改質層形成工程と、
前記改質層を形成した前記半導体ウエハにおいて、前記フィルム状接着剤を設けるための面を研削するともに、研削時の力を前記半導体ウエハに加えることにより、前記改質層の部位において前記半導体ウエハを分割し、複数個の半導体チップを得る分割工程と、
を有する分割方法で分割された半導体チップへの接着用途に使用される請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルム状接着剤。 - 支持シート上に、請求項1〜5のいずれか一項に記載のフィルム状接着剤が設けられた、半導体加工用シート。
- 前記支持シートが、基材上に粘着剤層が設けられたものであり、
前記粘着剤層に前記フィルム状接着剤が直接接触して設けられた、請求項6に記載の半導体加工用シート。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載のフィルム状接着剤を用いた半導体装置の製造方法であって、
支持シート上に前記フィルム状接着剤が設けられ、前記フィルム状接着剤の前記支持シートが設けられている側とは反対側の表面に、分割済みの複数個の半導体チップが設けられてなる積層構造体を形成する積層構造体形成工程と、
前記積層構造体のフィルム状接着剤を冷却しながら、前記フィルム状接着剤の表面方向にエキスパンドして、フィルム状接着剤を切断する切断工程と、
切断後の前記フィルム状接着剤を備えた前記半導体チップを、前記支持シートから引き離す引き離し工程と、
を有する、半導体装置の製造方法。 - 前記積層構造体形成工程の前に、さらに、
半導体ウエハの内部に設定された焦点に集束するように、赤外域のレーザー光を照射して、前記半導体ウエハの内部に改質層を形成する改質層形成工程と、
前記改質層を形成した前記半導体ウエハにおいて、前記フィルム状接着剤を設けるための面を研削するともに、研削時の力を前記半導体ウエハに加えることにより、前記改質層の部位において前記半導体ウエハを分割し、複数個の半導体チップを得る分割工程と、
を有し、前記分割工程で得られた複数個の半導体チップを、前記積層構造体形成工程で用いる、請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
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