JP5638272B2 - 紙製拭き取り用シート及び紙製拭き取り用シートの製造方法 - Google Patents
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Description
一方、紙を材料とした場合には、不織布に比べて洗濯耐久性が極めて劣るという問題があった。
ところで、市場では、衛生面や洗濯作業の煩雑さから、繰り返し洗濯して使用できる拭き取り用シートよりも、数回洗濯して使用した後に破棄してもコストアップとならないような、より安価な拭き取り用シートのニーズが高い。
また、表面及び/又は裏面に樹脂が塗付されているので、基材シートのみの場合と比べて洗濯耐久性が向上する。また、ラミネート加工が施されているので、層間の密着性が保たれ、且つ表層の面積が増えて水分吸収性を更に向上させることができる。
なお、本発明に係る基材シートは、一層構造であることに限らず、複数のパルプ層が積層された積層構造をなすシートであってもよい。
パルプは、例えば、グランドウッドパルプ(GP),プレッシャーライズドグランドウッドパルプ(PGW),サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ、針葉樹高歩留り未晒クラフトパルプ(HNKP;N材),針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP;N材、NB材),広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP;L材),広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP、L材)等の化学パルプ、デインキングパルプ(DIP),ウェイストパルプ(WP)等の古紙パルプやセミケミカルパルプ(CP)などを用いることができ、これらパルプの中から一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。
一般的にLBKPよりもNBKPの方が、繊維長が長く繊維太さが太いため、NBKPが多い程、強度が高く嵩高となるとともに、吸水性や吸油性が良好となり、水分や油分の保持性も良好となる。なお、NBKPとLBKPとを混合して用いる場合、NBKPの配合量は70質量%以上であることが好ましい。
また、基材シートはクレープ加工されていることが好ましい。それにより柔らかくなり嵩が高まることに加え、表面が凹凸となることで、液吸収速度が速くなる。
さらに、基材シートには、パルプの他、湿潤紙力剤、粘剤、接着剤、剥離剤等の抄紙用薬品を適宜用いてもよい。
なお、基材シートの両面に樹脂層を設けてもよいし、片方の面にのみ樹脂層を設けてもよい。また、基材シートの両面に樹脂層を設ける場合には、両方について同様の樹脂を用いる必要はない。特に、一方の面には、染料等の着色料を混合することで、視覚的に見栄えのよい波形模様が得られる。染料は樹脂の着色に用いられている既知のものが利用できる。
なお、波形線のような模様を形成する場合には、浸漬法よりも、スプレー法や塗工機による塗布、印刷機による印刷による付与が適する。
まず、単一のパルプ層若しくは複数のパルプ層により形成した基材シートを作製する。次いで、基材シートに樹脂を塗布する(樹脂塗布工程)。次いで、基材シートの厚み方向にラミネート加工を施す(ラミネート加工工程)。
圧縮加熱加工前に樹脂を塗布したのは、圧縮加熱加工後に樹脂を塗布すると、樹脂層が不均一となってしまうおそれがあるからである。
パルプとして、NBKP:LBKP=9:1を用いた。
また、片面に塗布した樹脂は、アクリル系樹脂であり、実質の塗布量(塗付量/固形分)は、1.47g/m2である。
樹脂の塗付は、グラビア印刷により行った。
製品米坪を JIS P 8124(1998)に準じて測定した。多層構造については多層のまま試験を行った。
紙厚は、JIS P 8118(1998)の条件下で、ダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所)を用いて測定するものとする。具体的には、プランジャーと測定台の間にゴミ、チリがないことを確認してプランジャーを測定台の上におろし、前記ダイヤルシックネスゲージのメモリを移動させてゼロ点を合わせ、次いで、プランジャーを上げて試料を試験台の上におき、プランジャーをゆっくりと紙面に対し垂直に下ろしそのときのゲージを読み取る。このとき、プランジャーをのせるだけとする。プランジャーの端子は金属製で直径10mmの平面が紙平面に対し垂直に当たるようにし、この紙厚測定時の荷重は、約70gfである。なお紙厚は測定を10回行って得られる平均値とする。
[実施例2]
実施例1との相違点は、樹脂の塗布量が1.70g/m2であることのみであり、他の条件及び測定方法は、実施例1と同一である。
[実施例3]
パルプとして、NBKP:LBKP=9:1を用い、2層構造とした点が、実施例1と異なる。
また、表層に塗布した樹脂は、アクリル系樹脂であり、実質の塗布量(塗付量/固形分)は、4.24g/m2である。
[比較例1]
いわゆる一般的に市販されている拭き取り用シート(大王製紙製:エリエールカウンタークロス)であり、レーヨン100%の不織布に、樹脂として、アクリル系樹脂を塗付した。実質の塗布量(塗付量/固形分)は、12.93g/m2(両面)である。
樹脂の塗布は、ロール転写により行った。
また、他の条件及び測定方法は、実施例1と同一である。
[比較例2]
実施例1、2との相違点は、表層に樹脂を塗布していないことのみであり、その他の条件及び測定方法は、実施例1と同一である。
[比較例3]
実施例3との相違点は、表層に樹脂を塗布していないことのみであり、その他の条件及び測定方法は、実施例3と同一である。
(1)試験方法
吸水量は次の方法で測定されるものである。100mm×100mmの試験片を、針金でできた縦横20mm間隔でできた網の上に載せたまま水に浸し、シート片全体が浸った後、垂直に網を持ち上げ、そこから30秒間自然に水を切った後のシート重量から水に浸す前のシート重量を差し引いて、吸収した水を算出し、g/m2の単位であらわす。
表1に示すように、実施例1、2と比較例1を比べると、樹脂を塗布することによる吸水量の改善は認められない。
しかしながら、パルプ層を2層にすると、吸水量が著しく増え、また、樹脂を塗布することによる吸水量の増加が認められた。
(1)試験方法
試験片200mm×100mmを採取し、試験片を濡らして手で絞り、水分を試験片当たり4g(200g/m2)含ませ、温度:23℃、湿度:34%RHの環境にて放置した。
そして、10分経過毎に試験片の重量(単位:g)を測定した。
その結果を表2に示す。
(1)試験方法
試験片200mm×100mmを採取し、水7リットルと、次亜塩素酸42ミリリットルが入った洗濯用バケツ内(農家の友製「マルチ洗浄器 MW−01」)に試験片を入れて15分間洗濯した。15分間の洗濯を1回とし、連続4回行なった。
そして、各回終了後に、試験片の観察を行なった。
(2)試験結果
比較例1は、洗濯4回後の結果、ほとんど変化は見られなかった。
実施例1,2と比較例2を比較すると、洗濯4回後の結果、樹脂を塗付していない比較例2では、穴空き、崩壊が認められたが、樹脂を塗付した実施例1,2では、穴空きは認められなかった。これにより、樹脂塗布による洗濯耐久性の向上が認められた。
上記試験結果を踏まえて、実施例1〜3、比較例1〜3の特性を評価した結果を表3に示す。
評価は、比較例1、即ち、従来の不織布からなる拭き取り用シートとの相対評価であり、
◎;比較例1よりも大変優れている。
○;比較例1よりも優れている。
△;比較例1と略同等である。
×;比較例1よりも劣っている。
また、表面及び/又は裏面に樹脂が塗付されているので、基材シートのみの場合と比べて洗濯耐久性が向上する。
Claims (3)
- 複数のパルプ層が積層された基材シートの表面及び/又は裏面に、樹脂が塗付され、樹脂が塗布された前記基材シートに前記複数のパルプ層間を貼り合わせるラミネート加工が施されてなることを特徴とする紙製拭き取り用シート。
- 請求項1記載の紙製拭き取り用シートにおいて、
前記樹脂は、熱硬化性樹脂であることを特徴とする紙製拭き取り用シート。 - 複数のパルプ層が積層された基材シートの表面及び/又は裏面に樹脂を塗付する塗布工程と、
樹脂が塗布された基材シートのパルプ層間を貼り合わせるラミネート加工を施すラミネート加工工程と、
を有することを特徴とする紙製拭き取り用シートの製造方法。
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JP2010081332A JP5638272B2 (ja) | 2010-03-31 | 2010-03-31 | 紙製拭き取り用シート及び紙製拭き取り用シートの製造方法 |
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JP2010081332A JP5638272B2 (ja) | 2010-03-31 | 2010-03-31 | 紙製拭き取り用シート及び紙製拭き取り用シートの製造方法 |
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