JP5496590B2 - 衛生用薄葉紙及び衛生用薄葉紙の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、衛生用薄葉紙に係り、特にティシューペーパー、トイレットペーパー、キッチンペーパーに好適な衛生用薄葉紙及び衛生用薄葉紙の製造方法に関するものである。
ティシューペーパー、トイレットペーパーまたはキッチンペーパーなど、おもに拭き取り、清拭、体液吸収などに用いる衛生用薄葉紙では、嵩が高いことが要求される。
従来は、カチオン性界面活性剤からなる嵩高剤(特許文献1)、吸保水性澱粉(特許文献2)等の薬剤の内添、あるいはエンボスの付与(特許文献3)といった方法により、嵩高処理が行われてきた。しかし、これらの方法は材料や設備費等のコストが増大する、製造工程数が増加する、等の問題があった。
一方、近年はローション薬液を含有させることにより肌触りを柔らかくした、高級タイプの衛生用薄葉紙が多用されている。このシート(原紙)に薬液を塗布する方法としては、浸漬、スプレー塗布、塗工ロールによる塗布が採用されている。塗工ロールによる方法としては、2プライシートの両面にローション薬液を塗布する方法が知られている(例えば、特許文献4)。
特開2006−161192号公報 特開2008−190050号公報 特開2009−34278号公報 特開2004−218151号公報
嵩高剤等を使用せず、また、製造工程数を増加させることなく、嵩高に製造された衛生用薄葉紙を提供する。併せて、柔軟な使用感及び高い拭き取り性能を有する衛生用薄葉紙を提供することを課題とする。
この課題を解決した本発明は、次のとおりである。
〔請求項1記載の発明〕
2プライ以上で構成された衛生用薄葉紙であって、
各プライを構成する原紙の坪量が10〜30g/m 2 であり、
吸水によるMD方向の伸び率の異なる2種類以上の原紙よりなり、
重ね合わせた2層以上の原紙に部分的な圧着又は接着を伴うプライ加工が施され、
少なくとも1層の原紙は前記プライ加工前に前記薬液が塗布され、
他の少なくとも1層の原紙は前記プライ加工前に前記薬液が塗布されず、
前記薬液は多価アルコールを主成分とし、
薬液の片面あたりの塗布量は、薬液が直接塗布される原紙の原料パルプ重量に対して5〜40重量%である、ことを特徴とする衛生用薄葉紙。
(作用効果)
衛生用薄葉紙を構成する原紙は、吸水により特にMD方向(長さ方向)に伸長しやすい。そこで、MD方向への伸び率の異なる原紙を組み合わせて2プライ以上でプライ加工し、コンタクトエンボス等でプライが部分的に固定された状態で、水分を含む薬液を塗布することにより、より伸長率の高い原紙にのみシワが生じる。当該シワにより、衛生用薄葉紙を嵩高とすることができ、当該嵩高加工により、本発明に係る厚みにすることで坪量に比して使用感のよい、嵩高で肌触りの柔らかな衛生用薄葉紙を提供することができる。生じたシワを潰さないために、薬液塗布後に押圧ロール処理、カレンダー処理等は行わないことが好ましい。
2プライ以上の衛生用薄葉紙を構成するにあたり、MD方向の伸び率が異なる2種類以上の原紙を供するため、クレープ率の異なる原紙を使用する等の方法が考えられる。しかし、少なくとも1層の原紙にプライ加工前に予め薬液を塗布することで、当該原紙の吸水によるMD方向への伸び率を減じておくことが、原紙間のMD方向への伸び率の差異を大きくすることができ、特に好ましい。予め薬液が塗布された原紙はプライ加工前にすでに伸長しているため、プライ固定後に再度薬液が塗布されてもほとんど伸長せず、プライ固定後に初めて薬液塗布された原紙のみが伸長し、シワが生じる。
特に、本発明に規定するように、坪量を10〜30g/m2、薬液の主成分をグリセリン、薬液塗布量を直接塗布される原紙の原料パルプ重量に対して5〜40重量%とすることで、十分な嵩高感を有する衛生用薄葉紙とすることが可能である。なお、「薬液が直接塗布される原紙の原料パルプ重量」とは、フレキソ塗布、グラビア塗布等において直接薬液が触れる原紙1層のみの原料パルプ重量を指すものとする。
〔請求項記載の発明〕
3プライ以上で構成された衛生用薄葉紙であって
プライ加工前に薬液が塗布された原紙を中層として1層以上有し、
プライ加工前に薬液が塗布されていない原紙を表層として両面に各1層以上有し、
部分的な圧着又は接着を伴うプライ加工が施された後に両面に前記薬液が塗布された、請求項記載の衛生用薄葉紙。
(作用効果)
3プライ以上の衛生用薄葉紙において、中層にプライ加工前に薬液を塗布した原紙、つまり、MD方向への伸長率を減じた原紙を配し、両面の表層に薬液が塗布されていない原紙を配し、プライ加工を施し、コンタクトエンボス等でプライを固定する。この状態で、水分を含む薬液を両面に塗布することにより、両表面にシワが生じる。本発明に係る衛生用薄葉紙は、両表面にシワを有するため、拭き取り性能が向上する、表面積拡大により拭き取り時の吸液拡散性が向上する、という効果も奏する。
〔請求項記載の発明〕
2プライ以上で構成された衛生用薄葉紙の製造方法であって、
吸水によるMD方向の伸び率の異なる坪量が10〜30g/m 2 である2種類以上の原紙の、少なくとも1層の原紙に対して薬液を付与し、他の少なくとも1層の原紙に薬液を付与せず、
その薬液が付与された原紙と薬液が付与されていない原紙とを2層以上重ね合わせ、
部分的な圧着又は接着を伴うプライ加工を施した後に薬液が付与されていない原紙に水分を含む薬液を塗布することとし、
かつ、薬液の片面あたりの塗布量は、薬液が直接塗布される原紙の原料パルプ重量に対して5〜40重量%とする、
ことを特徴とする衛生用薄葉紙の製造方法。
2プライ以上の衛生用薄葉紙の少なくとも1プライにシワを生じさせることにより、嵩高剤の添加、エンボス加工によらず、嵩高加工された衛生用薄葉紙とすることができる。
また、シワが付加されることにより、プライ間に空気を含むため、肌触りの柔らかさを向上させることができる。特に表層にシワを有する衛生用薄葉紙においては、シワにより拭き取り性能が向上する、表面積拡大により拭き取り時の拡散性が向上する、という効果も得られる。
第一の実施形態に係る薄葉紙の製造工程概要を示すフロー図である。 第一の実施形態におけるコンタクトエンボス付与後の薄葉紙の構造を示す模式図である。(A)上面図、(B)薬液塗布前のI−I矢視図、(C)薬液塗布後のI−I矢視図。 第二の実施形態に係る薄葉紙の製造工程概要を示すフロー図である。 第二の実施形態におけるコンタクトエンボス付与後の薄葉紙構造を示す模式図である。(A)上面図、(B)薬液塗布前のII−II矢視図、(C)薬液塗布後のII−II矢視図。 実施例1及び比較例1のウェブ嵩を示す写真である。
本発明に係る薄葉紙において、原反ロール巻き取り方向を長さ方向または縦方向、巻き取り方向の垂直の方向を幅方向または横方向とする。
本発明の実施の形態を、図面を参照しながら以下に詳述する。本発明に係る家庭用衛生用薄葉紙の製造方法及びその製造設備について、薬液ローションを含むティシューペーパーの製造方法及び設備を例として、以下に説明する。なお、本発明は、ティシューペーパーに限らず、トイレットペーパー、キッチンペーパー等にも適用される。
(第一の実施形態)
図1に、3プライで形成される、第一の実施形態に係る薄葉紙の製造工程の概要を示した。また、図2に、本形態に係る衛生用薄葉紙のシワ加工の原理を示した。
箱詰型ティシューペーパー等の製造にあたり、抄紙装置においてパルプ繊維から原紙を公知の抄紙機を用いて抄造する。原料パルプとしては、グランドウッドパルプ(GP)、プレッシャーライズドグランドパルプ(PGW)、サーモメカニカルパルプ(TMP)等の機械パルプ:セミケミカルパルプ(CP)、針葉樹高歩留り未晒クラフトパルプ(HNKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(HNKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)等の化学パルプ:デインキングパルプ(DIP)、ウェイストパルプ(WP)等の古紙パルプが挙げられる。原料パルプは、一種または二種以上を選択して用いることができる。好適には填料や異物を含まない化学パルプが好ましい。また、LBKPを20〜70%とすることで、低坪量で嵩高の薄葉紙を形成することができる。また、原料パルプ中には、藁パルプ、竹パルプ、ケナフパルプなどの木本類、草本類が含まれていてもよい。
他方、抄紙原料中には、パルプ以外の繊維として、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、及びこれらのコポリマー等のポリエステル系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系繊維、ポリアクリロニトリル、モダクリル等のアクリル繊維、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12等のポリアミド系繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ウレタン繊維等の合成繊維、トリアセテート繊維、ジアセテート繊維等の半合成繊維、ビスコースレーヨン、銅アンモニアレーヨン、ポリノジックレーヨン、リヨセル等の再生セルロール系繊維、コラーゲン、アルギン酸、キチン質などを溶液にしたものを紡糸した再生繊維などの化学繊維を含ませることができる。化学繊維を構成するポリマーはホモポリマー、変性ポリマー、ブレンド、共重合体などの形であってもよい。
抄紙機において抄紙された原紙は、クレープを施し、カレンダー処理を施したうえで、これを巻き取り、一次原反ロール(一般的にジャンボロールともいわれている)とされる。一次原反ロールに巻き取られた一重の原紙の坪量は、表層を形成する原紙(表層原紙21)と中間層を形成する原紙(中間層原紙22)で同じにしてもよく、また中間層原紙22をより低くしてもよい。表層原紙21の坪量は、10〜40g/m2、好ましくは14〜20g/m2とし、厚みは60〜250μm、好ましくは80〜100μmとする。表層原紙21、中間層原紙22、ともにクレープ率は10〜30%、より好適には18〜25%とすることが好ましい。中間層原紙22のクレープ率をより低くしてもよい。
中間層原紙22は、プライマシンにセットする前に、オフマシンでプリンター塗布等により薬液を塗布することが好ましい。その場合、特に中間層原紙の表面にのみ薬液を塗布することが好ましい。オフマシンによる薬液塗布量は、原紙の原料パルプ重量に対して5〜30重量%とすることが好ましい。薬液塗布後の中間層原紙22は赤外線ランプ等で乾燥させる。
表層原紙2層、中間用原紙1層をプライマシンにセットして3プライロールとし、コンタクトエンボス(ナーリング)等によりプライを固定する。このとき、両表層原紙21の表面が外側になるように配置する。コンタクトエンボスは、両側部から紙幅に対して1/10〜1/20の位置に幅1〜10mmで縦方向に一様に施されるのが好ましい。プライを接着剤等で固定するなど、公知の方法のいずれを使用してもよいが、接着剤を使用する場合、肌触りが固くなりやすい、薬液塗布時に剥がれやすい、等の問題があるため、コンタクトエンボスの使用がより好ましいといえる。
次いで、コンタクトエンボス付与後の原反ロールの両面に薬液を塗布する。薬液は、衛生用薄葉紙に添加される公知の薬剤をいずれも使用できる。例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性イオン界面活性剤のうちのいずれかを柔軟剤として含有させてもよく、また、保湿剤として、グリセリン、ジグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール、ソルビトール、グルコース、キシリトール、マルトース、マルチトール、マンニトール、トレハロース等の糖類、グルコール系薬剤およびその誘導体、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコール、流動パラフィン、 コラーゲン、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、加水分解シルク、ヒアルロン酸若しくはその塩、セラミド等の1種以上を任意の組合せで用いることができる。これらの使用によって、薄葉紙の柔軟性及び吸水性が高まる。さらには、ビタミンC、ビタミンEの抗酸化剤を含有させてもよい。プライ加工後の薬液の塗布量は直接塗布される原紙(1層)の原料パルプ重量に対し、片面あたり5〜40重量%、好ましくは15〜30重量%とし、薬液の粘度は100〜500mP・sec、好ましくは200〜400mP・secとする。また塗布時の温度は30℃〜50℃、好ましくは35℃〜40℃とする。
薬液塗布の方法は、浸漬、スプレー塗布、フレキソ塗布、グラビア塗布によるなど公知の塗布方法をいずれも使用することができるが、塗布されない面をロール面上に固定しながら薬液塗布を行う塗工ロールの使用が特に好ましい。塗工ロールにおける塗工速度は20〜120m/分、特に40〜60m/分とするのが好ましい。120m/分より速いと薬液が十分に目的のプライに浸透せず、また、20m/分より遅いと薬液が目的以外のプライにまで浸透しやすくなる。薬液塗布後の3プライの薄葉紙は赤外線ランプ等により乾燥されたのち、折り加工、紙箱への収納がなされる。
本形態に係る薄葉紙のコンタクトエンボス後、薬液塗布前後の断面図を図3に示す。薬液塗布前の3プライの薄葉紙は、いずれも同じ幅を有し、両側部近傍がコンタクトエンボス20により固定されている。原紙は、薬液塗布によりMD方向に0.1〜10%伸長し、巻き取られた状態を維持して、元の長さより0.1〜10%伸長した状態が保たれる。そのため、表層21に薬液が塗布されることにより、表層21を形成する原紙がMD方向及びCD方向、特にMD方向に伸長するのに対し、中間層22はコンタクトエンボス付与前にすでに薬液を塗布されて伸長した状態でコンタクトエンボスが付与されていることから、これ以上伸長することはない。したがって、表層21の2プライのみが伸長し、かつコンタクトエンボス20で伸長しない中間層22に固定されているため、表層にのみシワが生じる。当該シワにより、製造される薄葉紙の90組のウェブ嵩は60mm以上100mm以下、より好適には70mm以上100mm以下となるように構成することが望ましい。また、製造される薄葉紙のJIS P 8118(1998)により測定される厚さは60μm以上、より好適には90μm以上となるように構成することが望ましい。
なお、図示例においては3プライの薄葉紙を例示しているが、中間層を2プライ以上有する4プライ以上の薄葉紙とすることも可能である。
(第二の実施形態)
図3に、第二の実施形態に係る薄葉紙の製造工程の概要を示した。
第二の実施形態において、2プライの衛生用薄葉紙原紙のうち、1プライはプライ加工前にオフマシンでフレキソ塗布等により表面に薬液を塗布した表層原紙を使用することが好ましい。オフマシン薬液塗布後の表層原紙と薬液塗布前の表層原紙とを、表面が外側になるように重ねて2プライにプライ加工した後、コンタクトエンボスを付与する。次いで、オフマシン薬液塗布していない側の面にインターホルダーでの折加工時に薬液をグラビア塗布することにより薬液を塗布する。
図4に示すように、コンタクトエンボス40付与前にあらかじめオフマシンで薬液を塗布された側の原紙42は伸長せず、コンタクトエンボス40付与後に薬液を塗布された側の原紙41のみが伸長するため、後に薬液を塗布された側の原紙にシワが生じる。
当該シワにより、製造される薄葉紙の90組のウェブ嵩は40mm以上80mm以下、より好適には50mm以上80mm以下となるように構成することが望ましい。また、製造される薄葉紙のJIS P 8118(1998)により測定される厚さは60μm以上、より好適には90μm以上となるように構成することが望ましい。
なお、図示例は2プライの薄葉紙を例示しているが、プライ固定前に薬液を予め塗布した中間層及び/または薬液を塗布していない中間層を設け、3プライ以上の薄葉紙とすることも可能である。
原紙、及び薬液を下記の条件で製造し、原紙の伸長試験(試験1)、衛生用薄葉紙の性能比較試験(試験2)を実施した。
〔原紙〕
原紙を構成するパルプは、NBKP50%、LBKP50%とした。また、プライ加工前の表層原紙は、坪量を14.0g/m2、厚さを65μmとし、3プライ以上の薄葉紙に使用する中間層用原紙は、坪量を14.5g/m2、厚さを70μmとした。
〔薬液〕
薬液は、粘度が300mP・secとなるように調製した。
〔試験1〕原紙の薬液塗布による伸長
プライ加工を施していない長さ200mm、幅225mmの原紙について、薬液塗布による伸長率を測定した。薬液はハンドローラーにより片面のみに塗布し、塗布量は原紙の原料パルプ重量に対して20重量%とした。薬液塗布直後の原紙は、塗布前と比較して、MD方向に5.5%、CD方向に0.4%伸長した。また、塗布後乾燥させた原紙についても、塗布前と比較して、MD方向に5.0%、CD方向に0.4%伸長した状態が保たれていた。
〔試験2〕衛生用薄葉紙の性能比較
下記の方法により製造した衛生用薄葉紙の実施例1,2及び比較例1,2について、性能試験を実施した。
実施例1:3プライの衛生用薄葉紙を製造するにあたり、プライ加工前に前記の中間層用原紙の表面にのみオフマシンで薬液を塗布した。オフマシン塗布量は、原紙の原料パルプ重量に対して20重量%とした。表層原紙2プライと前記中層用原紙1プライを表層原紙表面が外側になるよう3プライにプライ加工し、コンタクトエンボスを付与した後、オンマシンにて薬液を両面に塗布した。オンマシン塗布量は、直接塗布される原紙の原料パルプ重量に対して片面あたり10重量%とした。
実施例2:2プライの衛生用薄葉紙を製造するにあたり、プライ加工前に表層原紙の片方にのみオフマシンで薬液を表面のみに塗布した。オフマシン塗布量は、原紙の原料パルプ重量に対して20重量%とした。薬液塗布した表層原紙と薬液塗布していない表層原紙を表面が外側になるように2プライにプライ加工し、コンタクトエンボスを付与した後、薬液をオフライン塗布していない側の表層原紙表面にのみ、薬液をオンマシンにて塗布した。オンマシン塗布量は、直接塗布される原紙の原料パルプ重量に対して10重量%とした。
比較例1:3プライの衛生用薄葉紙を製造するにあたり、プライ加工前に表層原紙及び中間層原紙の表面側にオフマシンで薬液を塗布した。オフマシン塗布量は、表層原紙については原紙の原料パルプ重量に対して10重量%とし、中間層原紙については原紙の原料パルプ重量に対して20重量%とした。次いで、表層原紙2プライと前記中層用原紙1プライを表層原紙表面が外側になるよう3プライにプライ加工し、コンタクトエンボスを付与した。
比較例2:2プライの衛生用薄葉紙を製造するにあたり、プライ加工前に表層原紙の表面にオフマシンで薬液を塗布した。オフマシン塗布量は、原紙の原料パルプ重量に対して20重量%とした。
実施例1,2及び比較例1,2の衛生用薄葉紙の性能評価及び官能評価の結果を表1に示した。性能評価及び官能評価の方法は以下の通りである。
〔紙厚〕
JIS P 8118(1998)の条件下で、ダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所)を用いて測定するものとする。具体的には、プランジャーと測定台の間にゴミ、チリがないことを確認してプランジャーを測定台の上におろし、前記ダイヤルシックネスゲージのメモリを移動させてゼロ点を合わせ、次いで、プランジャーを上げて試料を試験台の上におき、プランジャーをゆっくりと紙面に対し垂直に下ろしそのときのゲージを読み取る。このとき、プランジャーをのせるだけとする。プランジャーの端子は金属製で直径10mmの平面が紙平面に対し垂直に当たるようにし、この紙厚測定時の荷重は、約70gfである。なお紙厚は測定を10回行って得られる平均値とする。
〔ウェブ嵩〕
衛生用薄葉紙の束の上に、重さ30g、130mm×250mmの大きさのプラスチック板を載せ、四隅の高さを平均してウェブ嵩とした。
〔やわらかさ(ソフトネス)〕
ハンドルオメーター法(JIS L 1096E)に準じて測定した。
〔官能評価〕
実施例1,2及び比較例1,2に係る薄葉紙について、柔らかさ、厚み感、総合評価に関する官能評価を行った。官能評価は5段階で行い、その判断基準は下記の通りとした。表1に示す官能評価の値は、15人の検査員による官能評価の平均値である。
<柔らかさ>
5・・・非常に柔らかい。
4・・・薬液塗布衛生用薄葉紙として期待される平均的な柔らかさより柔らかい。
3・・・薬液塗布衛生用薄葉紙として期待される平均的な柔らかさを有する。
2・・・薬液塗布衛生用薄葉紙として期待される平均的な柔らかさより硬い。
1・・・硬さを感じる。
<厚み感>
5・・・顕著な厚みを感じる。
4・・・薬液塗布衛生用薄葉紙として期待される平均的な厚みより厚く感じる。
3・・・薬液塗布衛生用薄葉紙として期待される平均的な厚みである。
2・・・薬液塗布衛生用薄葉紙として期待される平均的な厚みより薄く感じる。
1・・・薄く感じる。
<総合評価>
5・・・非常に良好な使用感である。
4・・・良好な使用感である。
3・・・薬液塗布衛生用薄葉紙として期待される平均的な使用感である。
2・・・薬液塗布衛生用薄葉紙として期待される平均的な使用感より使用感がやや劣る。
1・・・使用感が悪い。
表1に示した通り、3プライの衛生用薄葉紙である実施例1と比較例1とを比較すると、米坪はほぼ同様であるにも関わらず、紙厚及びウェブ嵩は実施例1が有意に高い値を示した。実施例1と比較例1のウェブ嵩の外観を図5に示す。さらに、実施例1の方がより柔軟性を有することが示された。これは、2プライの衛生用薄葉紙である、実施例2と比較例2との比較においても同様の結果となった。
官能性評価においても、やわらかさ、厚み感、総合評価の全てにおいて実施例が比較例を上回る結果となった。
本発明は、家庭用に使用される衛生用薄葉紙のみならず、工業用として、理化学実験機器の清拭用として等、嵩高な薄葉紙を必要とするいずれの分野においても利用可能である。
21,41,42…表層原紙、22…中間層原紙、20,40…コンタクトエンボス。

Claims (3)

  1. 2プライ以上で構成された衛生用薄葉紙であって、
    各プライを構成する原紙の坪量が10〜30g/m 2 であり、
    吸水によるMD方向の伸び率の異なる2種類以上の原紙よりなり、
    重ね合わせた2層以上の原紙に部分的な圧着又は接着を伴うプライ加工が施され、
    少なくとも1層の原紙は前記プライ加工前に前記薬液が塗布され、
    他の少なくとも1層の原紙は前記プライ加工前に前記薬液が塗布されず、
    前記薬液は多価アルコールを主成分とし、
    薬液の片面あたりの塗布量は、薬液が直接塗布される原紙の原料パルプ重量に対して5〜40重量%である、ことを特徴とする衛生用薄葉紙。
  2. 3プライ以上で構成された衛生用薄葉紙であって
    プライ加工前に薬液が塗布された原紙を中層として1層以上有し、
    プライ加工前に薬液が塗布されていない原紙を表層として両面に各1層以上有し、
    部分的な圧着又は接着を伴うプライ加工が施された後に両面に前記薬液が塗布される、請求項記載の衛生用薄葉紙。
  3. 2プライ以上で構成された衛生用薄葉紙の製造方法であって、
    吸水によるMD方向の伸び率の異なる坪量が10〜30g/m 2 である2種類以上の原紙の、少なくとも1層の原紙に対して薬液を付与し、他の少なくとも1層の原紙に薬液を付与せず、
    その薬液が付与された原紙と薬液が付与されていない原紙とを2層以上重ね合わせ、
    部分的な圧着又は接着を伴うプライ加工を施した後に薬液が付与されていない原紙に水分を含む薬液を塗布することとし、
    かつ、薬液の片面あたりの塗布量を、薬液が直接塗布される原紙の原料パルプ重量に対して5〜40重量%とする、
    ことを特徴とする衛生用薄葉紙の製造方法。
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