JP2011072565A - 衛生用薄葉紙及び衛生用薄葉紙の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】2プライ以上で構成された衛生用薄葉紙について、吸水によるMD方向の伸び率の異なる2種類以上の原紙を2層以上重ね合わせ、部分的な圧着又は接着を伴うプライ加工を施した後、水分を含む薬液を塗布することによって、伸び率の高い原紙にのみシワを生じさせる。
【選択図】図2
Description
〔請求項1記載の発明〕
2プライ以上で構成された衛生用薄葉紙であって、
吸水によるMD方向の伸び率の異なる2種類以上の原紙よりなり、
重ね合わせた2層以上の原紙に部分的な圧着又は接着を伴うプライ加工が施された後、水分を含む薬液が塗布された、ことを特徴とする衛生用薄葉紙。
衛生用薄葉紙を構成する原紙は、吸水により特にMD方向(長さ方向)に伸長しやすい。そこで、MD方向への伸び率の異なる原紙を組み合わせて2プライ以上でプライ加工し、コンタクトエンボス等でプライが部分的に固定された状態で、水分を含む薬液を塗布することにより、より伸長率の高い原紙にのみシワが生じる。当該シワにより、衛生用薄葉紙を嵩高とすることができ、当該嵩高加工により、本発明に係る厚みにすることで坪量に比して使用感のよい、嵩高で肌触りの柔らかな衛生用薄葉紙を提供することができる。生じたシワを潰さないために、薬液塗布後に押圧ロール処理、カレンダー処理等は行わないことが好ましい。
各プライを構成する原紙の坪量が10〜30g/m2であり、
少なくとも1層の原紙は前記プライ加工前に前記薬液が塗布され、
他の少なくとも1層の原紙は前記プライ加工前に前記薬液が塗布されず、
前記薬液は多価アルコールを主成分とし、
薬液の片面あたりの塗布量は、薬液が直接塗布される原紙の原料パルプ重量に対して5〜40重量%である、請求項1記載の衛生用薄葉紙。
2プライ以上の衛生用薄葉紙を構成するにあたり、MD方向の伸び率が異なる2種類以上の原紙を供するため、クレープ率の異なる原紙を使用する等の方法が考えられる。しかし、少なくとも1層の原紙にプライ加工前に予め薬液を塗布することで、当該原紙の吸水によるMD方向への伸び率を減じておくことが、原紙間のMD方向への伸び率の差異を大きくすることができ、特に好ましい。予め薬液が塗布された原紙はプライ加工前にすでに伸長しているため、プライ固定後に再度薬液が塗布されてもほとんど伸長せず、プライ固定後に初めて薬液塗布された原紙のみが伸長し、シワが生じる。
3プライ以上で構成された衛生用薄葉紙であって
プライ加工前に薬液が塗布された原紙を中層として1層以上有し、
プライ加工前に薬液が塗布されていない原紙を表層として両面に各1層以上有し、
部分的な圧着又は接着を伴うプライ加工が施された後に両面に前記薬液が塗布された、請求項2記載の衛生用薄葉紙。
3プライ以上の衛生用薄葉紙において、中層にプライ加工前に薬液を塗布した原紙、つまり、MD方向への伸長率を減じた原紙を配し、両面の表層に薬液が塗布されていない原紙を配し、プライ加工を施し、コンタクトエンボス等でプライを固定する。この状態で、水分を含む薬液を両面に塗布することにより、両表面にシワが生じる。本発明に係る衛生用薄葉紙は、両表面にシワを有するため、拭き取り性能が向上する、表面積拡大により拭き取り時の吸液拡散性が向上する、という効果も奏する。
2プライ以上で構成された衛生用薄葉紙の製造方法であって、
吸水によるMD方向の伸び率の異なる2種類以上の原紙を2層以上重ね合わせ、
部分的な圧着又は接着を伴うプライ加工を施した後に水分を含む薬液を塗布する、ことを特徴とする衛生用薄葉紙の製造方法。
また、シワが付加されることにより、プライ間に空気を含むため、肌触りの柔らかさを向上させることができる。特に表層にシワを有する衛生用薄葉紙においては、シワにより拭き取り性能が向上する、表面積拡大により拭き取り時の拡散性が向上する、という効果も得られる。
図1に、3プライで形成される、第一の実施形態に係る薄葉紙の製造工程の概要を示した。また、図2に、本形態に係る衛生用薄葉紙のシワ加工の原理を示した。
図3に、第二の実施形態に係る薄葉紙の製造工程の概要を示した。
第二の実施形態において、2プライの衛生用薄葉紙原紙のうち、1プライはプライ加工前にオフマシンでフレキソ塗布等により表面に薬液を塗布した表層原紙を使用することが好ましい。オフマシン薬液塗布後の表層原紙と薬液塗布前の表層原紙とを、表面が外側になるように重ねて2プライにプライ加工した後、コンタクトエンボスを付与する。次いで、オフマシン薬液塗布していない側の面にインターホルダーでの折加工時に薬液をグラビア塗布することにより薬液を塗布する。
〔原紙〕
原紙を構成するパルプは、NBKP50%、LBKP50%とした。また、プライ加工前の表層原紙は、坪量を14.0g/m2、厚さを65μmとし、3プライ以上の薄葉紙に使用する中間層用原紙は、坪量を14.5g/m2、厚さを70μmとした。
〔薬液〕
薬液は、粘度が300mP・secとなるように調製した。
プライ加工を施していない長さ200mm、幅225mmの原紙について、薬液塗布による伸長率を測定した。薬液はハンドローラーにより片面のみに塗布し、塗布量は原紙の原料パルプ重量に対して20重量%とした。薬液塗布直後の原紙は、塗布前と比較して、MD方向に5.5%、CD方向に0.4%伸長した。また、塗布後乾燥させた原紙についても、塗布前と比較して、MD方向に5.0%、CD方向に0.4%伸長した状態が保たれていた。
下記の方法により製造した衛生用薄葉紙の実施例1,2及び比較例1,2について、性能試験を実施した。
実施例1:3プライの衛生用薄葉紙を製造するにあたり、プライ加工前に前記の中間層用原紙の表面にのみオフマシンで薬液を塗布した。オフマシン塗布量は、原紙の原料パルプ重量に対して20重量%とした。表層原紙2プライと前記中層用原紙1プライを表層原紙表面が外側になるよう3プライにプライ加工し、コンタクトエンボスを付与した後、オンマシンにて薬液を両面に塗布した。オンマシン塗布量は、直接塗布される原紙の原料パルプ重量に対して片面あたり10重量%とした。
〔紙厚〕
JIS P 8118(1998)の条件下で、ダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所)を用いて測定するものとする。具体的には、プランジャーと測定台の間にゴミ、チリがないことを確認してプランジャーを測定台の上におろし、前記ダイヤルシックネスゲージのメモリを移動させてゼロ点を合わせ、次いで、プランジャーを上げて試料を試験台の上におき、プランジャーをゆっくりと紙面に対し垂直に下ろしそのときのゲージを読み取る。このとき、プランジャーをのせるだけとする。プランジャーの端子は金属製で直径10mmの平面が紙平面に対し垂直に当たるようにし、この紙厚測定時の荷重は、約70gfである。なお紙厚は測定を10回行って得られる平均値とする。
衛生用薄葉紙の束の上に、重さ30g、130mm×250mmの大きさのプラスチック板を載せ、四隅の高さを平均してウェブ嵩とした。
〔やわらかさ(ソフトネス)〕
ハンドルオメーター法(JIS L 1096E)に準じて測定した。
実施例1,2及び比較例1,2に係る薄葉紙について、柔らかさ、厚み感、総合評価に関する官能評価を行った。官能評価は5段階で行い、その判断基準は下記の通りとした。表1に示す官能評価の値は、15人の検査員による官能評価の平均値である。
5・・・非常に柔らかい。
4・・・薬液塗布衛生用薄葉紙として期待される平均的な柔らかさより柔らかい。
3・・・薬液塗布衛生用薄葉紙として期待される平均的な柔らかさを有する。
2・・・薬液塗布衛生用薄葉紙として期待される平均的な柔らかさより硬い。
1・・・硬さを感じる。
5・・・顕著な厚みを感じる。
4・・・薬液塗布衛生用薄葉紙として期待される平均的な厚みより厚く感じる。
3・・・薬液塗布衛生用薄葉紙として期待される平均的な厚みである。
2・・・薬液塗布衛生用薄葉紙として期待される平均的な厚みより薄く感じる。
1・・・薄く感じる。
5・・・非常に良好な使用感である。
4・・・良好な使用感である。
3・・・薬液塗布衛生用薄葉紙として期待される平均的な使用感である。
2・・・薬液塗布衛生用薄葉紙として期待される平均的な使用感より使用感がやや劣る。
1・・・使用感が悪い。
官能性評価においても、やわらかさ、厚み感、総合評価の全てにおいて実施例が比較例を上回る結果となった。
Claims (4)
- 2プライ以上で構成された衛生用薄葉紙であって、
吸水によるMD方向の伸び率の異なる2種類以上の原紙よりなり、
重ね合わせた2層以上の原紙に部分的な圧着又は接着を伴うプライ加工が施された後、水分を含む薬液が塗布された、ことを特徴とする衛生用薄葉紙。 - 各プライを構成する原紙の坪量が10〜30g/m2であり、
少なくとも1層の原紙は前記プライ加工前に前記薬液が塗布され、
他の少なくとも1層の原紙は前記プライ加工前に前記薬液が塗布されず、
前記薬液は多価アルコールを主成分とし、
薬液の片面あたりの塗布量は、薬液が直接塗布される原紙の原料パルプ重量に対して5〜40重量%である、請求項1記載の衛生用薄葉紙。 - 3プライ以上で構成された衛生用薄葉紙であって
プライ加工前に薬液が塗布された原紙を中層として1層以上有し、
プライ加工前に薬液が塗布されていない原紙を表層として両面に各1層以上有し、
部分的な圧着又は接着を伴うプライ加工が施された後に両面に前記薬液が塗布される、請求項2記載の衛生用薄葉紙。 - 2プライ以上で構成された衛生用薄葉紙の製造方法であって、
吸水によるMD方向の伸び率の異なる2種類以上の原紙を2層以上重ね合わせ、
部分的な圧着又は接着を伴うプライ加工を施した後に水分を含む薬液を塗布する、ことを特徴とする衛生用薄葉紙の製造方法。
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JP2015167783A (ja) * | 2014-03-10 | 2015-09-28 | 大王製紙株式会社 | 二枚重ねのトイレットペーパーの製造方法及びトイレットロール |
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