JP5637874B2 - 電子写真感光体の製造装置および電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

電子写真感光体の製造装置および電子写真感光体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は円筒状の基体の表面にケイ素原子を母材とする非晶質材料からなる電子写真感光体の製造装置および電子写真感光体の製造方法に関する。
従来、半導体デバイス、電子写真感光体、その他各種エレクトロニクス素子、光学素子等を作製する際に用いられる堆積膜形成方法は、多数知られている。例えば、プラズマCVD、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、光CVD法が挙げられる。
その中でも、高周波電力を用いたプラズマプロセスは、様々な材料を用いた堆積膜の形成に用いることができ、酸化膜や窒化膜等の絶縁性の材料形成にも使用できる等、様々な利点より使用されている。
プラズマプロセスの好適な使用例としては、例えば電子写真感光体に用いる水素化アモルファスシリコン(以下、a−Si:Hと表記する)堆積膜の形成等、現在実用化が進んでおり、そのための装置も各種提案され実用に付されている。
そして、従来のプラズマプロセス法及び装置によって、良好な堆積膜形成処理がなされa−Si:Hを用いた電子写真感光体が製造されている。
しかしながら、電子写真感光体に対する市場の要求レベルは日々高まっており、この要求に応えるべく、より高品質化等が実現可能な電子写真感光体の製造方法が求められている。
電子写真装置の場合には、近年その普及が目覚しいデジタル電子写真装置、カラー電子写真装置においては、高画質化の要求は強い。これらの電子写真装置においては、文字原稿のみならず、写真、絵、デザイン画等の出力も頻繁になされるため、高解像度化、画像濃度ムラの低減、画像欠陥の低減等が従来以上に強く求められるようになっている。
特に画像欠陥の低減に対する要求は年々高くなっており、例えば人物の肌等に相当するハーフトーン領域においては、微小な黒点、白抜け等も目立つため、従来に増して画像欠陥をなくすことが求められるようになってきた。
そのため、このような高画質を実現する感光体については、まず第一の要件としては、画像上に黒点或いは白抜けで現れる画像欠陥の抑制のために、電子写真感光体の膜の構造欠陥の抑制が挙げられる。次に、第二の要件としては、画像濃度ムラの低減のための感光体特性の向上、具体的には膜特性ムラの改善が挙げられる。
そして、これらの要件を満たすために、a−Si:Hを堆積させる電子写真感光体では、堆積膜積層構成の最適化等の工夫、堆積膜形成方法の改善等も続けられており、さらなる品質向上ためにさまざまな対策や工夫を実施している。
例えば、第一の画像欠陥の抑制ために、堆積膜形成装置を用いるa−Si:H感光体の作製では、膜形成前や膜形成中に基体の表面に飛来して付着するダストを低減する工夫が行われている。これは、基体の表面に付着したダストに起因して膜の異常成長が起こり、異常成長した箇所が膜の構造欠陥となり画像欠陥を引き起こすと考えられるためである。膜形成中に発生するダストとしては、反応容器や基体周囲の部材に付いた膜が剥離したものとか、膜形成中に副産物として反応容器壁面に堆積したポリシランが剥離したものとかが挙げられる。
そのため膜形成中の基体表面へのダストの付着を防ぐ対策としては、例えば膜形成に用いるガスの噴出し方向の最適化や、反応容器に用いる部材からの膜剥れが起きにくいように、部材の材質の選定や表面粗さの制御や温度管理を行う方法が好適に用いられている。
具体的には、ガスの噴き出し方向をダスト発生が減少する方向へ向ける工夫、ガスの噴き出し口と電子写真感光体の表面の距離を離す工夫、ガスの噴き出し口の数を増やすことでガス流速を落とす工夫等が行われている。
また、反応容器や反応容器内に用いる部材は膜剥れを抑制するために、膜付きの良い部材としてセラミックスを選定し、さらに、セラミックス部品の表面の粗面化を行って膜剥れ防止の効果を高める工夫をしている。そして、膜剥れを抑制するために、ホルダーやキャップと呼ばれる基体支持部材の端部や、基体支持部材と基体との接触面の加工形状の最適化等が実施されている。これらにより、ダストが減り、画像欠陥を大幅に改善することが可能となってきている。
そして、上述の膜形成前に基体の表面に付着したダストに起因する画像欠陥に関しては、基体の洗浄方法、洗浄後の管理方法、基体の反応炉への導入方法等を工夫することで大きく改善してきている。
次に、第二の画像濃度ムラの低減については、電子写真感光体特性の向上、膜特性ムラの改善に多くの対策がなされている。電子写真感光体の堆積膜装置の場合、感光体特性を向上させるには、各堆積膜の特性を改善するために、例えば、原料ガスの流量や流量比、原料ガスの分解を担う電力、反応室の圧力、堆積膜を堆積させる基板温度を各層で最適化しなければならない。
さらには、原料ガスの導入方法は重要なパラメーターとして挙げられ、堆積膜形成装置における原料ガスの導入方法や放出方向、ガスを放出する穴の位置や個数や径の組み合わせが堆積膜の均一性や帯電特性に大きな影響を与えることが解っている。このため具体的にはガス導入についてさまざまな対策、提案がなされている。
例えば、特許文献1では、原料ガス導入管の周方向に複数のガス放出孔を設け、ガス放出角度を規定することで、壁面に堆積したポリシランの浮遊を防止し、画像欠陥を低減する技術が開示されている。さらに、この文献では、ガス放出角度を規定することで、反応容器内のガスバランスの偏りによって生じる放電の偏りを抑制し、膜厚、電位の周方向ムラを向上させる技術も開示されている。
また、特許文献2では、ガス供給チャンバ内にロータリースリーブを有するガス供給パイプを用いて、ロータリースリーブの円周方向に沿って大きさが異なる複数のガス噴出口を複数設け、ロータリースリーブを回転することにより、ガス導入の分布を調整する技術が開示さている。さらに、ガス供給チャンバのガス供給口に大きさの異なるガス噴出口を持つ回転円板を設け、回転円板を回転させることでガス導入の分布をより正確に調整する技術が開示さている。
また、特許文献3では、反応容器内のカソード電極の表面材質について、アルミナセラミックスを溶射したアルミナ溶射膜を用いている。アルミナ溶射膜にすることで、ダストを抑制し、且つプラズマ安定性を向上させることで膜の均一性を向上させる技術が開示されている。
さらに、特許文献4では、ガス導入孔への膜の堆積を低減してダストを抑制するために、2系統のガス導入手段のうち、主たるガス導入を行うガス導入手段以外の待機状態のガス導入手段か微量流量の原料ガスを導入する技術が開示されている。
これらの技術により、電子写真感光体の膜の構造欠陥に起因する画像欠陥の抑制と、膜特性の均一性の向上による画像濃度ムラの低減により、品質が向上してきた。
特開平10−168573号公報 特開平11−152566号公報 特開平09−263947号公報 特開2004−332027号公報
しかしながら、従来の堆積膜形成装置で作製された電子写真感光体は、膜の構造欠陥、膜特性の均一性は改善されてきたが、上述のように、近年の市場で要求される電子写真装置のスペックはより一層高くなっている。その結果、電子写真装置本体の性能の向上のために電子写真感光体への要求スペックもさらに厳しいものになっている。
画像欠陥については、電子写真装置の現像性能の向上に伴って解像度が高くなり、感光体においては、今まで画像に現れ難かった小さな膜の構造欠陥が画像欠陥として顕著に現れるようになった。
このため、今までは問題無いとされていたレベルの膜の構造欠陥が、要求品質の向上によって問題視されるようになった。
特に、高いコントラストの画像を求められる場合には、帯電能や感度等の感光体特性を向上させる必要がある。そのために電子写真感光体の成膜時間を長くして膜厚を厚くする場合がある。そして、このように膜厚を厚くする場合には、反応容器や基体周囲の部材、例えば、ガス放出孔の近傍に堆積する膜も同様に厚くなり、堆積した膜が剥離しやすくなってダストとなり画像欠陥となる問題が発生する場合がある。
また、多層膜形成の場合に複数のガス導入系統を構成し、成膜の途中から使用する原料ガス導入管がある場合にも、使用開始時にガス放出孔の近傍に堆積していた堆積膜が剥離しダストとなり画像欠陥となる問題が発生する場合がある。
そして、これらの問題に対応するためには、原料ガスを放出するガス放出孔近傍への膜の堆積、使用していないガス放出孔への膜の堆積について、今まで以上に抑制することが不可欠となっている。
画像濃度ムラについても同様で、現像性能が向上したことで、電子写真感光体の僅かな特性ムラによる電位のムラや光学特性ムラが画像濃度ムラとして顕著になり、問題になる場合がでてきているため、画像濃度ムラを改善する要求が強まっている。
電子写真感光体の電位ムラや光学特性ムラを改善するために、今まで以上に電子写真感光体を構成する各層、例えば、光導電層や表面層、電荷阻止層等において、各層単独でも、膜厚的にも膜特性的にも均一であることがより一層求められている。
また、画像濃度ムラの中には、長期使用によって膜厚が変化することで光学特性が変動して発生する場合がある。このような長期使用時の光学特性の経時変化を抑制する場合には、精密な層構成を設計し各層の膜特性と膜厚を適切に制御して堆積することが不可欠となっている。
これらのために堆積膜形成装置では、原料ガスの導入方法や放出方向、ガスを放出するガス放出孔の位置や個数や径の組み合わせは各層毎に最適化することが今まで以上に重要となっている。
しかしながら、各層毎にガス放出孔の位置や個数や径の組み合わせを最適化するためには、ガス導入の多系統化等でコストが上昇する。ガス放出孔近傍からの膜の剥離を抑制するためには、ガス供給系統の多系統化等で堆積膜形成装置の構造が複雑になり、堆積膜形成装置のコストも上昇し、投資コスト増となってしまう課題も発生している。また、前記のガス供給チャンバ内にロータリースリーブを有するガス供給パイプを用いた方法では、ロータリースリーブのガス噴出口によって正確にガス放出量を制御しても、ガス供給チャンバ内でガスの流れが滞ったり乱れたりする。このため、ガス供給チャンバに設けられたガス供給口から放出されるガス分布は、ロータリースリーブのガス噴出口の制御に対して緩慢に追従することとなり、所望のガス分布となるように正確調整するには改善の余地がある。
さらに、ガス供給口に大きさの異なるガス噴出口を持つ回転円板を設ける方法が提案されている。
しかしながら、回転円板を成膜の途中で駆動する場合、堆積膜が堆積した状態で回転円板を駆動させるため、回転円板に堆積した膜が剥離しやすくなり、さらにダストを発生させる可能性がある。
本発明は、上記のような従来技術に鑑みてなされたものであり、膜の構造欠陥および膜特性ムラが低減された高品質の感光体を低コストで製造することができる電子写真感光体の製造装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、
円筒状基体の上に堆積膜を形成して電子写真感光体の製造するための電子写真感光体の製造装置であって、
内部の反応空間を真空気密状態に保持することが可能な円筒状の反応容器
前記反応容器の内部に前記円筒状基体を設置するための手段と、
前記反応容器の内部に前記堆積膜の形成に用いる原料ガスを導入するための原料ガス導入管と、
前記反応容器の内部より排気するための排気手段と、
放電エネルギーにより前記原料ガスを励起するための手段と
有する電子写真感光体の製造装置において、
前記原料ガス導入管が、周方向に複数のガス放出孔を有し、
前記製造装置が、
前記原料ガス導入管を回転させることが可能な回転機構と、
前記原料ガス導入管の前記複数のガス放出孔のうち原料ガス導入に利用しないガス放出孔をぐ手段と、
を有し、
前記回転機構を用いて前記原料ガス導入管を回転させ記塞ぐ手段によって塞がれるガス放出孔を切り替えることによって、前記反応空間の内部への原料ガス導入に利用するガス放出孔が切り替え可能である
ことを特徴とする。
本発明の堆積膜形成装置によれば、膜の構造欠陥が低減された高品質の電子写真感光体を低コストで製造することが可能となる。また、膜特性ムラが低減され均一性に優れた電子写真感光体を製造することが可能となる。
本発明の堆積膜形成装置を模式的に示した図 本発明の第1の実施形態の堆積膜形成装置を模式的に示した図 本発明の第1の実施形態の堆積膜形成装置を模式的に示した図 本発明の第2の実施形態の堆積膜形成装置を模式的に示した図 本発明の第2の実施形態の堆積膜形成装置を模式的に示した図 本発明の第3の実施形態の原料ガス導入管を示した模式透視図 本発明の第3の実施形態の堆積膜形成装置を模式的に示した図 電子写真感光体の層構成を示した模式図 実施例1に用いたガス放出孔群のパターンを示した模式図 比較例1および比較例2に用いた堆積膜形成装置を模式的に示した図 実施例6で用いた堆積膜形成装置を模式的に示した図
以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の具体的な実施形態における堆積膜形成装置の概略構成図の一例である。
<堆積膜形成装置の構成概略図>
この装置は主として、反応容器10110を有する堆積膜形成装置10100、原料ガス供給装置10200、および、反応容器10110の中を減圧する為の排気装置(図示せず)から構成されている。円筒状の反応容器10110は内部の反応空間を真空気密状態に保持することが可能で、減圧することも可能である。
反応容器10110の中にはアースに接続された円筒状基体10112、円筒状基体を加熱するためのヒーター10113が設置されている。ヒーター10113は、円筒状基体の長軸方向の各位置に対応するヒーターを設置し、長軸方向の各位置で加熱量を制御可能とする。
そして、ガス放出孔10115を塞ぐ手段(図1には図示せず)および回転機構を具備した原料ガス導入管10114が反応容器10110の側壁に内在され、側壁の一部として設置されている。
ガス放出孔10115は、原料ガス導入管10114の軸方向に複数設けられ、ガス放出孔群を形成している。ガス放出孔10115の位置や個数や径の組み合わせであるガス放出孔群のパターンを変えることで、反応容器1110の内部に導入される原料ガスの導入量の分布を制御できる。
また、原料ガス導入管10114の周方向には、パターンの異なる前記ガス放出群を複数設けることが可能である。これによって、原料ガス導入管10114を回転させることで、異なるパターンのガス放出孔群を適宜使用することが可能となり、原料ガス導入管10114を交換することなく、成膜中に原料ガスの導入量の分布を変更することができる。
また、図1ではガス放出孔10115は軸方向で9個しか記載していないが、実際にはガス放出孔10115の数は適宜調整することが好ましい。同様に、軸方向のガス放出孔群のパターンは1種類しか記載していないが、周方向でガス放出孔10115の分布を変更して、多層膜形成の場合には各層の条件に適したパターンのガス放出孔群を使用することが好ましい。
カソード電極10111には高周波マッチングボックス10122を介して高周波電源10120が接続されている。
原料ガス供給装置10200は、SiH,H,CH,NO,B,等の原料ガスのボンベ10221〜10225を具備する。また、バルブ10231〜10235、流入バルブ10241〜10245、流出バルブ10251〜10255を具備する。そして、圧力調整器10261〜10265およびマスフローコントローラ10211〜10215を具備する。
<原料ガス導入管>
次に、原料ガス導入管10114について説明する。
原料ガス導入管10114の材質は、絶縁性、堆積膜の密着性、発塵性を考慮して適宜選択すれば良く、放電空間の内部での配置等にもよるが、絶縁性と密着性からアルミナセラミックスが好適である。また、それ以外の材料としてアルミナセラミックスと同様の特性を有する材料も使用可能である。
原料ガス導入管10114を回転させる機構は、ガス放出孔の周方向の位置を正確に制御するために、ステッピングモーターによって回転の制御を行っても良いし、DCモーターとロータリーエンコーダを組み合わせて回転の制御を行っても良い。また、複数の原料ガス導入管10114を個別に制御しても良いし、複数の原料ガス導入管10114を連動して制御しても良い。
ガス放出孔10115を塞ぐ手段としては、多くの形態を用いることが可能であるため、以下に、幾つかの実施形態を例に挙げて詳しく説明する。
(第1の実施形態)
はじめに、第1の実施形態について図を参照して説明する。
第1の実施形態では、図2(a)に示すように原料ガス導入管201は、側壁202に内在され、回転機構(図示せず)によって回転可能になっている。
そして、原料ガス導入管201の周方向にはガス放出孔203が複数設けられ、利用しないガス放出孔203をカバー204で覆う構成になっている。カバー204は、図2(a)に示すように側壁202と独立して設けても良いし、側壁202がカバー204を兼ねても良い。カバー204を側壁202と独立に設けることで、カバー204のクリーニング処理等のメンテナンスが容易に行うことが可能となる。また、カバー204の先端部210が放電空間に曝される部分を有してもよいし、カバー204の先端部210が側壁202の内部に収まり放電空間に曝されない構成でも良い。原料ガス導入管201が側壁202に内在されているため、原料ガス導入管201に設けられているガス放出孔203は、側壁202に沿って配置可能になっている。つまり、側壁202の内壁面と、カバー204(又は側壁202)に覆われていないガス放出孔203が並ぶ面とは略同じ曲面となる。
カバーの材質としては、原料ガス導入管201と同様に、堆積膜の密着性、発塵性を考慮し適宜選択すれば良く、放電空間の内部へ曝される部分を有する場合は、絶縁性を有するアルミナセラミックスが好適である。また、それ以外の材料としてアルミナセラミックスと同様の特性を有する材料でも可能である。
また、カバー204の表面は付着した堆積膜の膜剥がれを抑えるため、粗面化することが好ましい。粗面化する手段として特に制限はないが、実用的には、セラミックや金属等の溶射手段や、投射材を高圧で吹き付けるブラスト加工手段が好ましく、粗さはRz(十点平均粗さ)で5〜200μmが好ましい。
そして、原料ガス導入管201を回転させることにより、原料ガス導入に利用するガス放出孔203はカバー204に覆われずに円筒状基体205に対向する位置へ移動し、利用しないガス放出孔203はカバー204に覆われて塞がれる位置に移動させる。
このように、原料ガス導入に利用しないガス放出孔203をカバー204で覆うことで、利用しないガス放出孔203は堆積膜形成空間であるプラズマ生成領域に曝されにくくなり、利用しないガス放出孔203の近傍への堆積膜の付着を抑制できる。
同様の効果は、図3に示すように原料ガス導入管301が側壁302に内在しない場合にも得られ、本発明の実施形態の一例として挙げられる。しかしながら、図2(a)に示す原料ガス導入管201が側壁202に内在する形態では、反応容器内のガスの流れの乱れが減少し、ガス放出孔近傍の堆積膜を吹き飛ばすような乱流が緩和されるため、さらに画像欠陥の改善が期待できる。また、円筒状基体205の近傍のガスの流れも改善されるためムラについても改善される場合があるので原料ガス導入管201を側壁202に内在する形態がより好ましい。
そして、原料ガス導入管201が側壁202に内在することで、原料ガス導入管201の表面全体への堆積膜の堆積を抑制、放電安定性の向上が期待できる場合がある。
また、堆積膜の膜厚を厚くする際には、堆積膜形成途中に周方向のガス放出孔203を上記のように切り替えることで、ガス放出孔203近傍への膜の堆積量を減少させることができ、ガス放出孔203近傍からの堆積膜の剥離を抑制できる。
第1の実施形態では図2(b)に示すように、複数のガス放出孔203を、原料ガス導入管201の軸方向に設けることによってガス放出孔群206を形成し、さらには複数のガス放出孔群206を原料ガス導入管201の周方向に配置する。ガス放出孔群206は、周方向で同じパターンの複数のガス放出孔群206を配置しても良いし、異なるパターンの複数のガス放出孔群206を配置しても良い。または、同じパターンを複数と異なるパターンの両方を配置しても良い。同一の膜を厚く堆積させる場合には、周方向で同じパターンの複数のガス放出孔群206を配置して成膜中に切り替えることで、ガス放出孔203近傍に堆積する膜が厚くなることにより発生する堆積膜の剥離が抑制できる。「パターン」とは、前記のごとく、それぞれのガス放出孔203の位置や個数や径の組み合わせを意味する。
また、異なる成膜条件で多層膜形成する場合には、周方向で異なるパターンのガス放出孔群206を配置し、各層毎に層の成膜条件に適したガス放出群206に切り替えることで、特性の均一性を向上させることができる。
ガス放出孔203の直径は、原料ガスの流量と分布パターンに合わせて調整することができ、ガス放出孔203の直径は、0.1mm〜2.0mmの範囲が好ましい。また、ガス放出孔203の直径は全て同一でも良いし、各層毎の原料ガス流量等の条件に応じて各々のガス放出孔203の直径を異ならせても良い。
(第2の実施形態)
次に、利用しないガス放出孔を塞ぐ手段として反応容器10110の側壁を用いた第2の実施形態について図を参照して説明する。
図4A(a)に示すように、第2の実施形態では第1の実施形態と同様に、原料ガス導入管401の周方向に複数の第1のガス放出孔402が設けられている。
そして、図4A(b)に示すように、第1の実施形態と同様に、複数の第1のガス放出孔402を原料ガス導入管401の軸方向に設けてガス放出孔群405を形成している。そして、原料ガス導入管406の周方向において、同じパターン又は異なるパターンの複数のガス放出孔群405を配置することができる。
さらに、第2の実施形態では図4A(a)に示すように、反応容器の側壁403に第2のガス放出孔404が設けられる。
そして、図4A(b)に示すような側壁403に設ける第2のガス放出孔404は、原料ガス導入管401に設けられた全てのガス放出孔群405の全てのガス放出孔402の位置に対応した場所に配置される。
そして、原料ガス導入管401を回転することで、側壁403の第2のガス放出孔404と原料ガス導入管401の第1のガス放出孔402とを連通させ、連通したガス放出孔のみからガスを放出する。
また、図4B(c)に示すように原料ガス導入管401および第1のガス放出孔402では、プラズマ生成領域に曝される部分が、側壁403に設けられた第2のガス放出孔404の開口部分のみとなる。
このように、原料ガス導入に利用しないガス放出孔402を側壁403で覆うことで、利用しないガス放出孔402は堆積膜形成空間であるプラズマ生成領域に曝されにくくなり、ガス放出孔近傍への堆積膜の付着を抑制できる。
さらに、第1の実施形態と同様に、異なる成膜条件で多層膜形成する場合には、周方向で異なるパターンのガス放出孔群405を配置し、各層毎に層の成膜条件に適したガス放出群405に切り替えることで、特性の均一性を向上させることができる。
第1のガス放出孔402の直径は、ガスの流量と分布パターンに合わせて調整することができ、ガス放出孔402の直径は、0.1mm〜2.0mmの範囲が好ましい。
第1のガス放出孔402の直径は、ガスの分布に関係するために精度良く設ける必要がある。一方、第2のガス放出孔404の直径は第1のガス放出孔402より大きければガスの分布に影響しないため、第1のガス放出孔402ほどには形状や直径の精度に留意する必要が無く、形状や直径に関しては自由度をもって設計することが可能である。第2のガス放出孔404の直径は、第2のガス放出孔404の近傍からの堆積膜の剥離に留意して決めることが好ましい。堆積膜の剥離はガスの流速が遅くなるほど発生しにくくなるため、第2のガス放出孔404の直径は、第1のガス放出孔402より0.1mm〜5.0mm程度大きい範囲が好ましい。
(第3の実施形態)
最後に、原料ガス導入管を内管とし、利用しないガス放出孔を塞ぐ手段として外管を用いる第3の実施形態について図を参照して説明する。
まず、第3の実施形態は、図5に示すように、外管501に第2のガス放出孔502が設けられる。
外管501の材質については、第1の実施形態の原料ガス導入管201やカバー204と同様に、アルミナセラミックスが好ましいが、それ以外の材料としてアルミナセラミックスと同様の特性を有する材料でも可能である。
また、外管501の表面は、カバー204と同様に付着した堆積膜の膜剥がれを抑えるため、粗面化することが好ましい。
そして、原料ガス導入管に当たる内管503には複数の第1のガス放出孔504が、周方向に設けられる。
さらに、複数の第1のガス放出孔504が内管503の軸方向に設けられたガス放出孔群505を形成する。そして、内管503の周方向で、同じパターン又は異なるパターンの複数のガス放出孔群505を配置することができる。
また、外管501に設けられる第2のガス放出孔502は、前述の第2の実施形態の側壁403に設けられる第2のガス放出孔404と同様に、内管503に設けられる全てのガス放出孔群505の全ての第1のガス放出孔504の位置に対応した場所に設けられる。
そして、内管503を外管501に挿入した状態で、内管503を回転し、外管501の第2のガス放出孔502と内管503の第1のガス放出孔504とを連通させ、連通したガス放出孔504のみからガスを放出する。
このように、原料ガス導入に利用しないガス放出孔504を外管501で覆うことで、利用しないガス放出孔504は堆積膜形成空間であるプラズマ生成領域に曝されにくくなり、ガス放出孔504の近傍への堆積膜の付着を抑制できる。
また、第1および第2の実施形態と同様に、異なる成膜条件で多層膜形成する場合には、周方向で異なるパターンのガス放出孔群505を配置し、各層毎に層の成膜条件に適したガス放出群505に切り替えることで、特性の均一性を向上させることができる。
また、外管501は回転させずに内管503を回転するため、外管501に堆積した堆積膜の剥離が発生し難くなり、成膜条件によって内管503の周方向に設けられたガス放出孔群505を変更した場合にもダストが抑制できる。
さらに、外管501の第2の放出孔502についてはコンダクタンスの変更に使用されないためにガス導入の分布には影響しないため、大きさや形状は任意に設定できる。このため、第2の放出孔502近傍に堆積した堆積膜が、ガス流によって剥離することを抑制するために、第1のガス放出孔504より第2のガス放出孔502を大きくすることができる。
そして、ガス導入の分布は内管503の第1のガス放出孔504のコンダクタンスや形状が直接的に依存するため、ガス導入の分布を正確に制御できる。
さらに、堆積膜を厚くする場合に、同じパターンのガス放出孔群505と切り替えることで、第1のガス放出孔504をリフレッシュでき、ダストを抑制できる。
本発明の第2の実施形態と同様に第3の実施形態における第1のガス放出孔504直径は0.1mm〜2.0mmの範囲が好ましく、第2のガス放出孔502の直径は第1のガス放出孔504より0.1mm〜5.0mm程度大きい範囲が好ましい。
さらに、図6(a)に示すように、側壁601の内部に、内管602と外管603で構成される原料ガス導入管604を内在した状態で、外管603に設けた第2のガス放出孔605のガス放出方向を円筒状基体606の表面に対向しない方向に変更可能である。「第2のガス放出孔605のガス放出方向が円筒状基体606の表面に対向しない」とは、第2のガス放出孔605から放出されるガスの放出方向を示す矢印612の延長線上に円筒状基体606が存在しないことを意味する。
これによって、円筒状基体606の表面への直接的なガスの吹き付けを回避、抑制でき、第1のガス放出孔607及び第2のガス放出孔605の近傍から発生したダストが円筒状基体606の表面へ付着することをより抑制する効果も期待できる場合もある。また、排気方向や排気位置、反応容器形状によって、第2のガス放出孔605の放出方向を調整することで、膜の均一性を向上させる効果も期待できる場合がある。
さらに、図6(b)に示す側壁608に原料ガス導入管609を埋め込まずに、側壁608に原料ガス導入管609を内在させない配置とすることで以下の効果も期待できる。それは、原料ガス導入管609を側壁608に内在させない配置とすることで、原料ガス導入管609の配置と外管610に設ける第2のガス放出孔611のガス放出方向の自由度がさらに高くなることである。したがって、原料ガス導入管609の配置位置の自由度も高まり、排気方向や排気位置、プラズマ生成領域に対応して好ましい位置に調整することができる。
以上、原料ガス導入管とガス放出孔について、幾つかの実施形態を例に挙げて説明したが、本件は、これらに制限されるものではない。
<基体>
次に、電子写真感光体に用いられる基体の材質としては、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、コバルト、鉄、クロム、モリブデン、チタンやこれらの合金を用いることができる。中でも加工性や製造コストを考慮するとアルミニウムが優れている。この場合、Al−Mg系合金、Al−Mn系合金のいずれかを用いることが好ましい。
<電子写真感光体>
次に、上述した本発明の堆積膜形成装置を用いて作製する電子写真感光体について説明する。
図7は、本発明における電子写真感光体の実施形態の一例として、円筒状基体7101の表面上に下部阻止層7201、光導電層7202、上部阻止層7203及び表面層7301と順次積層した電子写真感光体7000の模式図である。
それでは、図7を使用して電子写真感光体を構成する各層について説明する。
<光導電層>
まず、光導電層7202について説明する。光導電層7202は、一定極性の帯電処理では電荷を保持し、受光した際には導電する働きがある。光導電層7202は、ケイ素原子を母体とするアモルファス材料からなり、光導電性および電荷保持特性を向上させるための原子や、伝導性を制御するための原子を含有させても良い。
光導電性および電荷保持特性を向上させるための原子としては、水素原子やハロゲン原子を用いることができる。
水素原子やハロゲン原子は、ケイ素原子の未結合手に結合し、層品質の向上、特に光導電性および電荷保持特性を向上させ得る。水素原子の含有量は、特に制限はなく、露光系の波長に合わせて適宜変化させることができ、例えばケイ素原子と水素原子の和に対して10〜40原子%などとすることができる。また、その分布形状に関しても、露光系の波長に合わせて適宜調整することが好ましい。特に、水素原子やハロゲン原子の含有量をある程度多くすると、光学的バンドギャップが大きくなり、感度のピークが短波長側にシフトすることが知られている。
伝導性を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることができ、周期表第13族に属する原子(第13族原子とも略記する)、または周期表第15族に属する原子(第15族原子とも略記する)を用いることができる。
第13族原子としては、具体的には、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)等があり、特にB、Al、Gaが好適である。
第15族原子として、具体的には、窒素(N)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)等があり、特にP、As、Sbが好適である。
伝導性を制御する原子の光導電層中の含有量は、特に制限されないが、一般には0.05〜5原子ppmとすることができる。また、画像露光の光が到達する範囲においては、伝導性を制御する原子を実質的に含有しないものであってもよい。
光導電層7202の層厚は所望の電子写真特性が得られること及び製造上の効率や経済的効果等の点から適宜所望にしたがって決定され、例えば10〜80μmが好ましく、15〜45μmがより好ましく、20〜40μmがさらに好ましい。層厚が10μm以上であれば、帯電能や感度等の電子写真特性が実用上充分となり、80μm以下であれば、光導電層9202を効率よく製造することができる。
<下部阻止層>
次に下部阻止層7201について説明する。下部阻止層7201は、円筒状基体7101の側からの電荷の注入を阻止する働きがある。下部阻止層7201は光導電層7202が一定極性の帯電処理をその自由表面に受けた際、円筒状基体7101の側より光導電層7202の側に電荷が注入されるのを阻止する機能を有している。
下部阻止層7201には、水素原子やハロゲン原子を含有するケイ素原子を母材とし導電性を制御する不純物を含有させる。正帯電用電子写真感光体の場合、下部阻止層7201に含有される不純物元素としては、第13族原子を用いることができる。また、負帯電用電子写真感光体の場合、下部阻止層7201に含有される不純物元素としては、第15族原子を用いることができる。
下部阻止層7201の中に含有される第13族原子および第15族原子の含有量は、所望にしたがって適宜決定される。下部阻止層中の構成原子の総量に対して10原子ppm以上10000原子ppm以下とすることが好ましく、50原子ppm以上7000原子ppm以下とすることがより好ましく、100原子ppm以上5000原子ppm以下とすることがさらに好ましい。
さらに、下部阻止層7201には、窒素原子、酸素原子及び炭素原子の少なくとも1つを含有させることによって、下部阻止層7201と円筒状基体7101との間の密着性の向上を図ることが可能となる。また、負帯電用電子写真感光体の場合には、下部阻止層7201に不純物元素をドープしなくても窒素原子、酸素原子及び炭素原子を最適に含有させることで優れた電荷注入阻止能を有することも可能となる。
具体的には、下部阻止層の全層領域に含有される窒素原子、酸素原子及び炭素原子の含有量は、窒素原子、酸素原子及び炭素原子の和を下部阻止層7201の中の構成原子の総量に対して、0.1原子%以上40原子%以下が好ましい。より好ましくは1.2原子%以上20原子%以下とすることにより、電荷注入阻止能が向上する。
下部阻止層の層厚は、100nm以上10μm以下が好ましく、円筒状基体7101からの電荷の注入阻止能が充分となり、充分な帯電能が得られ、電子写真特性の向上が期待でき、残留電位の上昇などの弊害を抑制できる。
<上部阻止層>
次に、上部阻止層7203について説明する。上部阻止層7203は、上部から(即ち表面層7301の側から)の電荷の侵入を阻止し、帯電能を向上させる働きがある。負帯電電子写真感光体の場合には、光導電層7202と表面層7301との間に上部阻止層7203を設けることが良好な帯電特性を得るためには好ましい。
上部阻止層7203には、p型の伝導性を付与するために第13族原子を含有させることが好ましい。
上部阻止層7203に含有される第13族原子の含有量は、所望にしたがって適宜決定される。上部阻止層7203の中の構成原子の総量に対して30原子ppm以上5000原子ppm以下とすることが好ましく、100原子ppm以上3000原子ppm以下の範囲とすることがより好ましい。
上部阻止層7203に含有される第13族原子は、上部阻止層7203に万偏なく均一に分布されていても良いし、あるいは層厚方向に不均一に分布する状態で含有していてもよい。しかしながら、いずれの場合にも基体の表面と平行面内方向においては、均一な分布で万偏なく含有されることが平行面内方向における特性の均一化を図る点からも必要である。
また、上部阻止層7203は、窒素原子、酸素原子及び炭素原子の少なくとも1つを含有させることによって、光導電層7202、表面層7301との間の密着性の向上を図ることが可能となる。
上部阻止層7203に含有される窒素原子、酸素原子及び炭素原子の含有量は、構成原子のケイ素原子、窒素原子、酸素原子及び炭素原子の総和に対して5原子%以上50原子%以下の範囲とすることが好ましい。10原子%以上40原子%以下がより好ましく、15原子%以上35原子%以下がさらに好ましい。
また、上部阻止層7203には、水素原子が含有されることが好ましい。水素原子はケイ素原子の未結合手を補償し、層品質の向上、特に光導電性特性および電荷保持特性を向上させるために重要である。水素原子の含有量は、上部阻止層7203の中の構成原子の総量に対して通常の場合5原子%以上70原子%以下が好ましい。10原子%以上65原子%以下がより好ましく、15原子%以上60原子%以下がさらに好ましい。
上部阻止層7203の層厚は所望の電子写真特性が得られること、及び経済的効果等の点から5nm以上1000nm以下が好ましい。また、感度等の特性や十分な電荷の注入阻止能を得るためには、10nm以上800nm以下がより好ましく、15nm以上500nm以下がさらに好ましい。
上部阻止層7203は光導電層7202側から表面層7301に向かって組成を連続的に変化させることも好ましく、密着性の向上や干渉防止等に効果がある。
<表面層>
次に、表面層7301について説明する。表面層7301は、連続繰り返し使用耐性、耐湿性、使用環境耐性、電気特性に関して良好な特性を得るために設けられる。
表面層7301は、アモルファスシリコン系の材料であればいずれの材質でも可能である。例えば、水素原子(H)および/またはハロゲン原子(X)を含有し、さらに炭素原子を含有するアモルファスシリコン(以下「a−SiC:H,X」と表記する)材料も好適に用いられる。または、酸素原子や窒素原子を含有するa−SiO:X、a−SiN:Xも好適に用いられる。
表面層7301の層厚としては、通常10nm〜3000nm、好適には50nm〜2000nm、最適には100nm〜1000nmとされるのが望ましい。層厚が10nmよりも薄いと光受容部材を使用中に摩耗等の理由により表面層が失われる場合がある。また、3000nmを越える場合は、例えば残留電位の増加、感度の変動による電子写真特性の低下がみられる場合がある。
<堆積膜の形成方法>
次に、堆積膜の形成方法について図1を参照して説明する。
まず、円筒状基体10112を反応容器10110の中に受け台10123を介して設置する。次に、排気装置(図示せず)を運転し、反応容器10110の中を排気する。真空計10119の表示を見ながら、反応容器10110の中の圧力がたとえば1Pa以下の所定の圧力になったところで、ヒーター10113に電力を供給し、円筒状基体10112を例えば100℃から350℃の所望の温度に加熱する。このとき、ガス供給装置10200より、Ar、He等の不活性ガスを反応容器10110に供給して、不活性ガス雰囲気中で加熱を行うこともできる。また、必要に応じて円筒状基体10112を不図示の回転機構により回転させる。
電子写真感光体を構成する各層、例えば下部阻止層、光導電層、上部阻止層、表面層、に応じてガス供給装置10200より各層の形成に用いるガスを反応容器10110に供給する。すなわち、必要に応じバルブ10231〜10235、流入バルブ10241〜10245、流出バルブ10251〜10255を開き、マスフローコントローラ10211〜10215に流量設定を行う。各マスフローコントローラの流量が安定したところで、真空計10119の表示を見ながらメインバルブ10118を操作し、反応容器10110の中の圧力が所望の圧力になるように調整する。所望の圧力が得られたところで高周波電源10120より高周波電力をカソード電極に印加すると同時に高周波マッチングボックス10122を操作し、反応容器10110の中にプラズマ放電を生起し、放電エネルギーにより堆積膜形成に用いる原料ガスを励起する。その後、速やかに高周波電力を所望の電力に調整し、堆積膜の形成を行う。
多層膜を形成するには、各層に適するガス分布にするために、原料ガス導入管10114を回転させ、ガス放出孔10115の配置のパターンを変更する。そして、各層の堆積膜が所望の膜厚になった時点で高周波電力の印加を停止し、再び上記の手順を繰り返してそれぞれの層を、形成すれば良い。例えば、第1の層を形成する際には第1のガス放出孔群から原料ガスを導入し、第1の層の堆積膜が所望の膜厚になった時点で高周波電力の印加を停止する。そして、原料ガス導入管の回転を開始し、第2のガス放出孔群が原料ガス導入可能な位置に到達したら、原料ガス導入管の回転を停止して、第2の層の形成を開始する。また、連続的に高周波電力、原料ガスの種類、流量設定、ヒーター10113の電力、反応容器10110の中の圧力を再設定して堆積膜を形成してもよい。例えば、原料ガス流量や、圧力等を次に形成する層の条件に一定の時間で変化させて、中間層の形成を行うこともできる。
以上のようにして、所定の層だけ堆積膜の形成が終わったところで、高周波電力の印加を停止する。そして、バルブ10231〜10235、流入バルブ10241〜10245、流出バルブ10251〜10255、および補助バルブ10260を閉じる。そして、原料ガスの供給を終えると同時に、メインバルブ10118を開き、反応容器10110の中を1Pa以下の圧力まで排気する。
このようにして、すべての堆積膜形成が終わった後は、メインバルブ10118を閉じ、反応容器10110の中に不活性ガスを導入し大気圧に戻した後、円筒状基体10112を取り出す。
以上が、RFプラズマCVD法による堆積膜の形成方法であり、この堆積膜の形成方法を用いて電子写真感光体を製造することが可能である。
また、プラズマを発生させる放電エネルギーは、DC、RF、マイクロ波あるいはVHF帯域の電磁波のいずれでもよく、それらは、所望の堆積膜特性に合わせて電子写真感光体の製造方法に使用できる。
前述のように電子写真感光体は多層構成からなり、各層の機能や特性が異なるために堆積膜形成の成膜条件、例えば、原料ガスの種類、原料ガスの流量、反応容器内圧力、投入電力、基板温度等も各層で異なっている。
このため、各層の均一性を今まで以上に向上させるために、各層の成膜条件に応じて各層毎に最適化された軸方向のガス放出孔パターンからなるガス放出孔群を用いることが有効である。
しかし、従来の方法では、ガス放出孔群を新たに追加するには、ガス系統を増やす必要があるためコストアップ要因が大きい。
そこで本発明の堆積膜形成装置を用いることで、ガス導入管に新たに軸方向にガス放出孔を設けるだけで、新たなガス放出孔群の追加が可能となる。そのため、容易且つ安価に各層毎に最適化された軸方向のガス放出孔パターンを用いて電子写真感光体を作製することが可能となる。
このため、ほとんどコストアップすることなく、従来以上に感光体特性の均一性が優れ、且つ膜の構造欠陥が低減された高品質な電子写真感光体を作製することが可能となる。
以下に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるもではない。
(実施例1)
まず、実施例1として、図3(a)および図3(b)に示すような、利用しないガス放出孔303を塞ぐ手段がカバー304である堆積膜形成装置を用いて電子写真感光体を作製した。堆積膜の形成には、図1に示す堆積膜形成装置10100および原料ガス供給装置10200を用いた。
電子写真感光体として、アルミニウムよりなる外径84mm、軸方向長さ381mm、肉厚3mmの円筒状基体10112の表面上に、円筒状基体10112を2rpmで回転させながら、図7に示す層構成の堆積膜を形成した。各層の成膜は表1に示す条件で行った。
Figure 0005637874
また、直径が0.5mmの円状のガス放出孔303によるガス放出孔群は周方向に4つ設け、図3(b)に示すガス放出孔群306のように周方向で異なるパターンとした。具体的には、下部阻止層は図8(a)、光導電層は図8(b)、上部阻止層は図8(c)、表面層は図8(d)に示すガス放出孔群802のパターンを用いて作製した。
図8においては、ガス放出孔801が図3(a)の原料ガス導入管301に設けられたガス放出孔303を表し、ガス放出孔群802が原料ガス導入管301の周方向に設けられた図3(b)のガス放出孔群306のパターンを表す。
また、同様の条件で評価用に5本の電子写真感光体を作製した。
(比較例1)
次に、比較例1として、ガス放出孔を塞ぐ手段を用いずに原料ガス導入管の構成を変えた以外は、実施例1と同様の堆積膜形成装置と層構成、成膜条件、円筒状基体を用いて電子写真感光体を作製した。
原料ガス導入管の配置は、図9(a)に示すような原料ガス導入管901を側壁902に内在させない配置を用いた。また、直径が0.5mmの円状のガス放出孔903の軸方向の放出孔群のパターンは、実施例1において光導電層に用いた図8(b)の1種類のみを用いて、下部阻止層、光導電層、上部阻止層、表面層の全層を形成した。
また、同様の条件で評価用に5本の電子写真感光体を作製した。
(比較例2)
次に、比較例2として、ガス放出孔を塞ぐ手段を用いずに原料ガス導入管の構成及び配置を変えた以外は、実施例1と同様の堆積膜形成装置と層構成、成膜条件、円筒状基体で電子写真感光体を作製した。
原料ガス導入管の配置は、図9(b)に示すような、原料ガス導入管911〜918および921〜928を側壁929に内在しない配置を用いた。
そして、図9(b)内の原料ガス導入管911〜918を一つの系統とし、もう一つの系統を原料ガス導入管921〜928とした二つの系統の原料ガス導入管を切り替え可能した堆積膜装置を用いて電子写真感光体を作製した。
また、直径が0.5mmの円状のガス放出孔903の軸方向の放出孔群のパターンは、実施例1において光導電層に用いた図8(b)のパターンを設けたガス系統を用いて下部阻止層、光導電層を形成した。また、ガス放出孔904の軸方向の放出孔群のパターンは、実施例1において表面層に用いた、図8(d)のパターンを設けたもう一方のガス系統を用いて上部阻止層、表面層を形成した。
そして、層構成、成膜条件、円筒状基体については、実施例1および比較例1と同じ条件で作製した。
また、同様の条件で評価用に5本の電子写真感光体を作製した。
(比較例3)
次に、比較例3として、二つの系統の原料ガス導入管のうち、主たるガス系統から原料ガスを導入して各層を形成する際に、もう一方の待機状態のガス系統に前記主たるガス系統に対して1/100の少量の原料ガスを導入した。それ以外は、比較例2と同様の堆積膜形成装置と層構成、成膜条件、円筒状基体で電子写真感光体を作製した。
また、同様の条件で評価用に5本の電子写真感光体を作製した。
(実施例2)
次に、実施例2として、各層で用いるガス放出孔群のパターンを変えた以外は、実施例1と同様のガス放出孔を塞ぐ手段、堆積膜形成装置と層構成、成膜条件、円筒状基体を用いて電子写真感光体を作製した。
ガス放出孔群のパターンは、比較例2と同様に、図8(b)のパターンを用いて下部阻止層、光導電層を形成し、図8(d)のパターンを用いて上部阻止層、表面層を形成した。
そして、層構成、成膜条件、円筒状基体については、実施例1および比較例1、比較例2と同じ条件で作製した。
また、同様の条件で評価用に5本の電子写真感光体を作製した。
以上のように作製した実施例1および実施例2、比較例1、比較例2、比較例3の各電子写真感光体5本ずつについて、画像欠陥、軸方向感度ムラを以下の要領で評価した。
(軸方向感度ムラ)
軸方向感度ムラの評価は、キヤノン製複写機iRC6800を実験用にマイナス帯電方式に改造した改造機で評価した。
まず、作製した電子写真感光体を上記改造機に設置し、主帯電器の電流値を表面電位が−450Vとなるように調整し、電子写真感光体を帯電させた。
次に660nmの波長のレーザーで露光し、露光した時に表面電位が−50V(基準コントラスト電位が、Δ400V)になる時の露光量を感度とした。
感度の測定位置は、電子写真感光体の中央部位置を0位置とし、両側夫々2cm間隔で8箇所(±2cm、±4cm、±6cm、±8cm、±10cm、±12cm、±14cm、±16cm)の合計17点で行った。
そして、得られた17点の測定位置の感度について、感度の最大値と最小値の差を軸方向の感度ムラとし、各条件の各5本の平均をその電子写真感光体の軸方向感度ムラとした。さらに、比較例3の電子写真感光体の軸方向感度ムラを100%として、比較例3を基準に相対評価を行い、以下のようにランク付けした。そして、Dランク以上で本発明の効果が得られていると考えた。
A 70%未満
B 70%以上80%未満
C 80%以上90%未満
D 90%以上110%未満
E 110%以上120%未満
F 120%以上
(画像欠陥)
画像欠陥の評価は、キヤノン社製iRC6800をマイナス帯電方式に改造した改造機で、画像部を露光するイメージ露光方式で、露光部を現像する反転現像によりコピー画像を形成し、画像欠陥の評価を行った。評価は以下の要領で行なった。
A3サイズの白原稿を原稿台に置き、A3用紙にマゼンタ色、イエロー色、シアン色の3色で複写した。こうして得られた画像領域にある直径0.1mm以上の画像欠陥(シアン色の画像欠陥)の個数を数え、各条件の各5本の平均の個数をその電子写真感光体の画像欠陥の個数とした。
得られた結果は、比較例3で作製した電子写真感光体で得られたコピー画像での個数を100%として、比較例3を基準にした相対比較でランク付けを行った。そして、Fランク以上で本発明の効果が得られていると考えた。
A 50%未満
B 50%以上60%未満
C 60%以上70%未満
D 70%以上80%未満
E 80%以上90%未満
F 90%以上110%未満
G 110%以上120%未満
H 120%以上
結果を表2に示す。
Figure 0005637874
表2に示すように、比較例1に対して各層に適したガス放出孔群のパターンを用いた実施例1、実施例2、比較例2および比較例3では軸方向感度ムラは改善されている。
そして、比較例2においては比較例1に対して画像欠陥が悪化している。これは、比較例2では上部阻止層と表面層に用いるガス放出孔群のパターンに切り替えるために、利用していなかったガス系統を途中から使用したため、ガス放出孔近傍に堆積した堆積膜の膜剥れが発生し、ダストが付着したためと考えられる。
また、比較例3では比較例2及び比較例1に対して画像欠陥が良化している。これは、待機状態のガス系統から少量の原料ガスを導入したことで、ガス放出孔近傍への膜の堆積が抑制され、膜剥れによるダストが減少したためと考えられる。
これに対して実施例1及び実施例2では、比較例3よりさらに画像欠陥が良化している。これは、ガス放出孔を塞ぐ手段を用いてガス放出孔群のパターンを切り替えることによって、ガス放出孔近傍からの膜剥れがさらに抑制されたためと考えられる。
さらに、実施例1および実施例2では、比較例1、比較例2及び比較例3に対して、軸方向感度ムラは同等またはそれ以上のレベルに改善されている。
この結果から、本発明の堆積膜形成装置によれば、ガス放出孔近傍に堆積した膜の膜剥がれに起因するダスト発生が抑制されて画像欠陥を良化することと、軸方向感度ムラが改善することを同時に達成可能であることが判った。
(実施例3)
図2(a)に示すように、原料ガス導入管を側壁に内在させた。それ以外は実施例1と同じ条件で電子写真感光体を作製した。
その際、図2(b)に示すような直径が0.5mmの円状のガス放出孔203によるガス放出孔群206を実施例1と同様に周方向で異なるパターンで4つ設けた。具体的には、下部阻止層は図8(a)、光導電層は図8(b)、上部阻止層は図8(c)、表面層は図8(d)に示すガス放出孔群803のパターンを用いて作製した。
そして、作製した電子写真感光体は実施例1と同様にして、軸方向感度ムラ、画像欠陥を測定、評価した。結果を表3に示す。
(実施例4)
図2(b)に示すようなガス放出孔群206を周方向で異なるパターンで5つ設け、その内の2つは図8(b)に示すガス放出孔群パターンとした。光導電層を形成する際に、この2つの図8(b)に示すガス放出孔群パターンのガス放出孔を用い、光導電層の堆積中に光導電層の層厚が20μmに堆積された時点で新しいガス放出孔に切り替えて電子写真感光体を作製した。それ以外は、実施例3と同じ条件で電子写真感光体を作製した。
そして、作製した電子写真感光体は実施例1と同様に、軸方向感度ムラ、画像欠陥を測定、評価した。結果を表3に示す。
(実施例5)
図4A(a)に示すように、原料ガス導入管を側壁に内在させ、側壁を第2のガス放出孔とした。それ以外は実施例4と同じ条件で電子写真感光体を作製した。
この時、図4A(b)に示すように、側壁に設けられた第2のガス放出孔404が、原料ガス導入管401に設けられた第1のガス放出孔402より大きいものを用いた。第1のガス放出孔402は直径が0.5mmの円状のガス放出孔、第2のガス放出孔404は長辺が3.0mm、短辺は2.0mmの長方形のガス放出孔を用いた。各層のガス放出孔群のパターンは実施例4と同じ条件で堆積させた。
そして、作製した電子写真感光体は実施例1と同様にして、軸方向感度ムラ、画像欠陥を測定、評価した。結果を表3に示す。
(実施例6)
図10に示すように、原料ガス導入管を側壁1002に内在させ、原料ガス導入管を内管1006とし、外管1003に第2のガス放出孔1004を設けた。それ以外は実施例4と同じ条件で電子写真感光体を作製した。
この時、図10に示すように、外管1003に設けられた第2のガス放出孔1004は、円筒状基体1005の表面に対向させた。
内管1006に設けられた第1のガス放出孔1007は直径が0.5mmの円状のガス放出孔とし、外管1003に設けられた第2のガス放出孔1004は直径が1.5mmの円状のガス放出孔とした。各層のガス放出孔群のパターンは実施例4と同じ条件で堆積させた。
そして、作製した電子写真感光体は実施例1と同様にして、軸方向感度ムラ、画像欠陥を測定、評価した。結果を表3に示す。
(実施例7)
外管603に設けられた第2のガス放出孔605を図6(a)に示すように円筒状基体606の表面に対向しない方向で、同じ向きに角度θを30度ずらした。それ以外は実施例4と同じ条件で電子写真感光体を作製した。ガス放出孔の形状は実施例6と同じとし、各層のガス放出孔群のパターンは実施例4と同じ条件で堆積させた。
そして、作製した電子写真感光体は実施例1と同様にして、軸方向感度ムラ、画像欠陥を測定、評価した。結果を表3に示す。
Figure 0005637874
以上、表3に示すように、実施例3は原料ガス導入管がカソードに内在されたことで、反応容器内のガスの流れの乱れが減少し、ガス放出孔からのガスがスムーズに流れだすようになっていると考えられる。そのため、ガス放出孔近傍の堆積膜を吹き飛ばすような乱流が緩和され画像欠陥がさらに改善される。同時に円筒状基体近傍のガスの流れも改善されてムラもさらに良くなったと考えられ、本発明の堆積膜形成装置によれば、画像欠陥の良化と軸方向感度ムラの改善とが同時に達成可能であることが判った。
また、実施例4は、光導電層を堆積させる際に、堆積途中でガス放出孔を切り替えてガス放出孔近傍に堆積膜が存在しない新たなガス放出孔を用いた。これによって光導電層の堆積途中でガス放出孔の切り替えを行わなかった実施例3に比べて、さらに画像欠陥が良化する結果となった。
この結果は、膜厚の厚い光導電層を堆積する際に、新たなガス放出孔に切り替えることで、ガス放出孔近傍に堆積する膜の膜厚が減少し、膜剥がれが抑制されたために、さらに画像欠陥が良化したと考えられる。本発明の堆積膜形成装置によれば、画像欠陥の良化と軸方向感度ムラの改善とが同時に達成可能であることが判った。
そして、側壁に第2のガス放出孔を設けて、利用しないガス放出孔を塞ぐ手段として側壁を用いた実施例5では、実施例4に比べてさらに画像欠陥が良化する結果となった。
この結果は、利用しないガス放出孔を塞ぐ手段として側壁を用いたことにより、原料ガス導入管に付着する堆積膜が低減したことで、膜剥がれによるダストがさらに抑制されたため、実施例4よりさらに画像欠陥が良化したと考えられる。
さらに、外管に第2のガス放出孔を設けて、利用しないガス放出孔を塞ぐ手段として外管を用いた実施例7では、軸方向感度ムラが実施例5に比べて良化する結果となった。
この結果は、第2のガス放出孔を円筒状基体の表面に対向しない方向にしたことで、反応容器全体のガスの流れが改善されて軸方向感度ムラがさらに良化したと考えられる。
以上の実施例および比較例の結果から本発明では以下の効果が得られることがわかった。
原料ガス導入管の周方向に複数のガス放出孔を設け、ガス放出孔のうち利用しないガス放出孔を塞ぐ手段を設けることで、複数系統のガス導入手段を設けることなく、多層膜の各層に適したガス放出孔群に切り替えてガス分布を最適化することが可能となる。これにより、膜特性ムラが低減されて電子写真感光体の均一性が改善し、膜剥れにより発生したダスト付着によって発生する膜の構造欠陥に起因する画像欠陥が良化することがわかった。また、各層毎の最適化、層構成の変更や製造条件の変更を行う際に、更なる多系統化等の大幅な装置変更によるコストアップを抑制できることがわかった。
201 原料ガス導入管
202 側壁
203 ガス放出孔
204 カバー
205 円筒状基体
206 ガス放出孔群
207 ヒーター
208 高周波マッチングボックス
209 高周波電源

Claims (8)

  1. 円筒状基体の上に堆積膜を形成して電子写真感光体の製造するための電子写真感光体の製造装置であって、
    内部の反応空間を真空気密状態に保持することが可能な円筒状の反応容器
    前記反応容器の内部に前記円筒状基体を設置するための手段と、
    前記反応容器の内部に前記堆積膜の形成に用いる原料ガスを導入するための原料ガス導入管と、
    前記反応容器の内部より排気するための排気手段と、
    放電エネルギーにより前記原料ガスを励起するための手段と
    有する電子写真感光体の製造装置において、
    前記原料ガス導入管が、周方向に複数のガス放出孔を有し、
    前記製造装置が、
    前記原料ガス導入管を回転させることが可能な回転機構と、
    前記原料ガス導入管の前記複数のガス放出孔のうち原料ガス導入に利用しないガス放出孔をぐ手段と、
    を有し、
    前記回転機構を用いて前記原料ガス導入管を回転させ記塞ぐ手段によって塞がれるガス放出孔を切り替えることによって、前記反応空間の内部への原料ガス導入に利用するガス放出孔が切り替え可能である
    ことを特徴とする電子写真感光体の製造装置。
  2. 前記原料ガス導入管が、前記反応容器の側壁に内在、前記ガス放出孔が、前記反応容器の側壁に沿って配置されている請求項1に記載の電子写真感光体の製造装置。
  3. 記原料ガス導入管の軸方向において、複数のガス放出孔からなるガス放出孔群形成されており、かつ原料ガス導入管の周方向において、複数のガス放出孔群が形成されている請求項1又は2に記載の電子写真感光体の製造装置。
  4. 記ガス放出孔群のパターンが、前記原料ガス導入管の周方向で異なる請求項3に記載の電子写真感光体の製造装置。
  5. 記塞ぐ手段が反応容器の側壁の一部あり
    前記塞ぐ手段が、第2のガス放出孔を有し、
    前記回転機構を用いて前記原料ガス導入管を回転させ、前記原料ガス導入管が有するガス放出孔と前記塞ぐ手段が有する第2のガス放出孔とを連通させることで前記反応空間の内部への原料ガス導入に利用するガス放出孔切り替え可能である
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造装置。
  6. 前記ガス導入管が内となり、前記塞ぐ手段が外となる構造になっており、
    前記塞ぐ手段が、第2のガス放出孔を有し
    前記回転機構を用いて前記ガス導入管を回転させる、および/または、前記塞ぐ手段を回転させることが可能な回転機構を用いて前記塞ぐ手段を回転させることで、前記原料ガス導入管が有するガス放出孔と前記塞ぐ手段が有する第2のガス放出孔とを連通させることで前記反応空間の内部への原料ガス導入に利用するガス放出孔切り替え可能である
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造装置。
  7. 前記塞ぐ手段が有する第2のガス放出孔が、前記円筒状基体に対向しない方向に前記原料ガスを放出するように設置されている請求項6に記載の電子写真感光体の製造装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造装置を用い、円筒状基体の上に堆積膜を形成して電子写真感光体を製造することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
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