JP5637805B2 - 玄関段差昇降用手すり - Google Patents

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Description

本発明は、高齢者等が玄関の段差昇降時に身体を支える玄関段差昇降用手すりに関する。
高齢者、傷病者、または妊婦等にとって、玄関の段差を昇降する際に身体を支えることのできる手すりがあると便利である。そこで従来から、種々の玄関段差昇降用手すりが提案されている。
特許文献1および2には、支柱の下端部が玄関の上がり框の上面にねじ止めされた手すりが記載されている。このような手すりによれば、支柱が上がり框に堅牢に固定されるので、手すりの取付強度を高めることができる。しかし、ねじ止めする関係上、上がり框の上面にねじ穴が形成されてしまい、手すりを除去した場合に上がり框の上面に傷跡が残ってしまう。
特許文献3には、上がり框を上下から挟み込む支持具を備え、支柱の下端部が上記支持具にボルト止めされた手すりが記載されている。この支持具は、鋼製の板材がコ字状に形成されてなる固定金具を備えている。固定金具の上側の板は上がり框の上面と接触し、固定金具の下側の板には、上端に受金を有するボルトが螺合されている。受金が上がり框の下面と密着するようにボルトを上向きにねじ込むことにより、上記支持具は上がり框に固定される。
特許文献4には、玄関の土間と上がり框の下面との間に載置される横棒と、この横棒から上向きに延びるアジャスターとを備えた手すりが記載されている。この手すりは、アジャスターを上方に伸ばして上がり框の下面に圧着させることにより、アジャスターがいわゆるつっかえ棒となって、上がり框に固定される。
特許文献3および特許文献4に記載された手すりによれば、上がり框の上面にねじ穴を形成しないため、上がり框の上面に傷跡が残る事態を避けることができる。
特開平10−183925号公報 特開2004−143726号公報 実開平03−68241号公報 特開平11−13245号公報
しかし、特許文献3および特許文献4に記載されたような手すりでは、単に上がり框を上下から挟み込んだり、土間と上がり框との間でアジャスターを突っ張らせるだけなので、手すりの取付強度が充分とは言い難かった。
また、特許文献3に記載された手すりでは、支持具を固定する際に、土間と上がり框の下面との間の小さなスペースにて、スパナ等の工具を用いてボルトを締め付ける作業を行わなければならない。特許文献4に記載された手すりにおいても、土間と上がり框の下面との間の小さなスペースにて、アジャスターを上方に伸ばして上がり框の下面に圧着させる作業を行わなければならない。しかし、小さなスペース内で行わなければならないこれらの作業は、大変面倒な作業である。
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上がり框の上面に傷を付けることなく容易に取り付けることができ、充分な取付強度を発揮することのできる玄関段差昇降用手すりを提供することにある。
本発明に係る玄関段差昇降用手すりは、上がり框の上面に載置される水平部と、前記上がり框の前方にて前記水平部の前端から下方に延びる垂直部と、を有するベース部材と、土間と前記上がり框の下面との間に位置する上向きの歯を有し、前記ベース部材の前記垂直部に上下方向にスライド可能に取り付けられた締め付け部材と、前記ベース部材に支持された床側支柱と、前記土間上に支持された土間側支柱と、前記床側支柱と前記土間側支柱とに架け渡された手すり棒と、を備える。前記ベース部材の前記水平部は、側部および後部が切り欠かれた舌片を有する。前記舌片は、前端部を支点として撓み変形可能であり、前記水平部が前記上がり框の上面に載置されていない状態において、前記垂直部とのなす角が90度未満となるように形成されている。
上記玄関段差昇降用手すりによれば、上がり框の上面にねじ穴等を形成する必要がないので、上がり框の上面に傷を付けることなく取り付けることができる。また、締め付け部材は上向きの歯を有しているので、締め付け部材を上方に移動させた際、上がり框がベース部材の水平部と締め付け部材との間に挟み込まれるだけでなく、締め付け部材の歯が上がり框の下面に食い込み、しっかりと固定される。したがって、充分な取付強度が発揮される。また、ベース部材の水平部と締め付け部材とで上がり框を上下から挟み込んだ際に、ベース部材が若干後ろ上がりに傾いたとしても、舌片は上がり框の上面と密着した状態を保つことができる。したがって、ベース部材と上がり框との接触面積を充分に確保することができ、玄関段差昇降用手すりの位置ずれを抑制することができる。
前記玄関段差昇降用手すりは、前記土間に載置され、前記ベース部材の前記水平部よりも面積が大きい横長の台を備え、前記土間側支柱の下端部は、前記台に固定されていることが好ましい。
上記玄関段差昇降用手すりによれば、利用者が手すり棒に体重を掛けることによって手すり棒に左右方向の大きな力が加わったとしても、大面積かつ横長の台が土間側支柱をしっかりと支持するので、手すりの位置がずれるおそれはない。
前記ベース部材の前記水平部の前端部には孔が形成され、前記締め付け部材にはナット部が設けられ、前記玄関段差昇降用手すりは更に、前記孔に上方から挿入され、回転すると前記締め付け部材を上下方向に移動させるように前記ナット部に螺合したガイドボルトを備えていてもよい。
上記玄関段差昇降用手すりによれば、ガイドボルトはベース部材の水平部の孔に上方から挿入されているので、ガイドボルトを回転させて締め付け部材を上方に移動させる作業をベース部材の上方にて行うことができる。そのため、土間と上がり框の下面との間の小さなスペースで作業を行う場合と異なり、上記作業を容易に行うことができる。したがって、上記玄関段差昇降用手すりを容易に取り付けることができる。
前記ベース部材の前記垂直部および前記締め付け部材のいずれか一方には、前向きに延びるボルトが固定され、他方には前記ボルトが挿通される上下方向に延びるスリットが形成され、前記締め付け部材は、前記ボルトに前方から締め付けられるナットによって前記ベース部材の前記垂直部に固定されることが好ましい。
このことにより、前記ボルトに対して前方からナットを締め付けることによって、締め付け部材をベース部材に固定することができる。すなわち、締め付け部材をベース部材に固定する作業を前方から行うことができる。したがって、土間と上がり框の下面との間の小さなスペースで作業を行う場合と異なり、締め付け部材をベース部材に固定する作業が容易となる。
前記ベース部材は、前記水平部および前記垂直部を構成する断面略L字型の第1ベースプレートと、前記第1ベースプレート上に固定された第2ベースプレートとを有し、前記床側支柱の下端部は前記第2ベースプレートに固定されていることが好ましい。
このように、上がり框に固定される第1ベースプレートと、床側支柱の下端部が固定される第2ベースプレートとを別体とすることにより、玄関段差昇降用手すりの取付強度を更に高めることができる。
本発明によれば、上がり框の上面に傷を付けることなく容易に取り付けることができ、充分な取付強度を発揮することのできる玄関段差昇降用手すりを提供することができる。
玄関段差昇降用手すりの斜視図である。 取付具を前方斜め上から見た斜視図である。 取付具を後方斜め下から見た斜視図である。 第1ベースプレートの模式的な側面図である。 カバーを外した状態の玄関段差昇降用手すりの側面図である。
図1は、本発明の一実施形態に係る玄関段差昇降用手すり(以下、単に手すりという)1を示す斜視図である。手すり1は、例えば高齢者、傷病者、妊婦等が土間2と床3との間を行き来する際に利用されるものである。床3は土間2よりも高い位置に設けられており、床3と土間2との間には段差が形成されている。床3の前側には、上がり框4が設けられている。
手すり1は、上がり框4に取り付けられる取付具5と、土間2上に載置される式台10と、取付具5に固定された床側支柱である第1支柱6および第2支柱7と、式台10に固定された土間側支柱8と、第1支柱6と第2支柱7と土間側支柱8とに架け渡された中段手すり棒12と、第1支柱6と土間側支柱8とに架け渡された逆U字状の上段手すり棒13と、を備えている。なお、符号11は、第1支柱6と第2支柱7と土間側支柱8とに架け渡された補強用の棒である。
図2および図3に示すように、取付具5は、第1ベースプレート20および第2ベースプレート30からなるベース部材15と、締め付けプレート40とを有している。第1ベースプレート20は、略水平に延びる水平部21と、水平部21の前端から下方に延びる垂直部22とを有しており、断面略L字状に形成されている。第2ベースプレート30は、水平部21の上に重ねられている。第1ベースプレート20および第2ベースプレート30は、ステンレス等の金属からなっている。ただし、第1ベースプレート20および第2ベースプレート30の材料は、特に限定される訳ではない。
図3に示すように、第1ベースプレート20の水平部21には、側部および後部が切り欠かれた舌片23が設けられている。舌片23の側方および後方には、略U字型のスリット24が形成されている。舌片23の前端部は垂直部22と連続している。本実施形態では、舌片23は略長方形状に形成されている。ただし、舌片23の形状は特に限定される訳ではなく、例えば略三角形状、略楕円形状等の他の形状であってもよい。図4に誇張して示すように、第1ベースプレート20が上がり框4上に載置されていない状態において、舌片23は後ろ下がり状に傾斜している。舌片23と垂直部22とのなす角θは90度未満となっている。θの値は特に限定されないが、例えば、80度以上且つ90度未満とすることができる。舌片23は、前端部で片持ち支持された状態になっており、前端部を支点として撓み変形可能である。
図2に示すように、水平部21の前端部には、ガイドボルト18が挿通される孔26が形成されている。左右方向に関して、孔26は水平部21の中央の位置に形成されている。
第1ベースプレート20の垂直部22には、上下に延びるスリット25が形成されている。スリット25は、垂直部22の左側および右側にそれぞれ形成されている。
図3に示すように、水平部21の下面の左右両側部と、舌片23の下面と、垂直部22の後側の左右両側部とには、ゴム製のシート27が貼り付けられている。シート27は、第1ベースプレート20が上がり框4または床3に対して滑らないようにするとともに、上がり框4または床3が傷つかないようにする役割を果たす。スリット25の周縁部の裏側には、樹脂製のカバー28が貼り付けられている。
締め付けプレート40は、垂直部41と、垂直部41の下端から後方に延びる水平部42とを有しており、断面略L字状に形成されている。図3に示すように、垂直部41の後側には、ガイドボルト18が螺合されるナット部44が固定されている。図示は省略するが、ナット部44の孔の内周面には、螺旋溝が形成されている。ナット部44は締め付けプレート40と一体的に形成されていてもよいが、事後的に組み立てられていてもよい。例えば、垂直部41の裏面にナットを溶接することにより、ナット部44を構成することが可能である。ナット部44はガイドボルト18に螺合しているので、ガイドボルト18を回転させると、締め付けプレート40は上方または下方に移動することになる。
垂直部41の左側および右側には、前向きに延びるボルト45が設けられている。ボルト45は締め付けプレート40と一体的に形成されていてもよいが、事後的に組み立てられていてもよい。例えば、垂直部41に孔を形成しておき、ボルトをその孔に通してから垂直部41に溶接するようにしてもよい。図2に示すように、ボルト45は第1ベースプレート20のスリット25に挿通されている。ボルト45には前方からナット46が嵌め込まれる。ナット46を弛めた状態では、締め付けプレート40は第1ベースプレート20の垂直部41に上下方向にスライド可能に支持される。一方、ナット46を締め付けると、締め付けプレート40は垂直部41にスライド不能に固定される。
図3に示すように、締め付けプレート40の水平部42の後端部には、上向きの鋸歯43が形成されている。なお、水平部42の後端部に形成される歯の形状は鋸状に限定されず、他の形状であってもよい。締め付けプレート40は鉄等の金属からなっており、鋸歯43は木製の上がり框4の下面に食い込むことができるように構成されている。ただし、鋸歯43が上がり框4の下面に食い込むことができる限り、締め付けプレート40の材料は特に限定されない。
図2に示すように、第2ベースプレート30の前端部および後端部は、ボルト31によって第1ベースプレート20の水平部21に固定されている。第2ベースプレート30の前端部には、ガイドボルト18の頭部が露出するように、後方に凹んだ凹部32Aが形成されている。第2ベースプレート30には、第1支柱6の台座6cおよび第2支柱7の台座7cがねじ32によって固定されている。
ベース部材15は、図1に示すように、樹脂製のカバー16およびカバー17によって覆われている。カバー16は第1ベースプレート20の垂直部22の前方を覆っており、カバー17は第1ベースプレート20の水平部21および第2ベースプレート30の上方を覆っている。これらカバー16およびカバー17は、手すり1の見栄えを良くするとともに、利用者がベース部材15に触れることによって怪我をしないようにするためのものである。
土間2に載置された式台10は、横長の略長方形状に形成されている。なお、ここで横長とは、左右方向の平均長さが前後方向の平均長さよりも長いことを言う。式台10は、ベース部材15の水平部(第1ベースプレート20の水平部21および第2ベースプレート30)よりも面積が大きくなっている。式台10には、土間側支柱8の台座(図示せず)がねじ止めされている。土間側支柱8の台座の上方には、樹脂製のカバー19が設けられている。
床3側に配置された第1支柱6および第2支柱7は、段階的に長さ調整が可能に構成されている。第1支柱6は、筒状の上側パイプ6aおよび下側パイプ6bを有しており、下側パイプ6bの上側部分が上側パイプ6aに挿入されている。上側パイプ6aの周面には、横向きの貫通孔(図示せず)が形成されている。下側パイプ6bの周面には、横向きの貫通孔(図示せず)が上下に複数形成されている。上側パイプ6aの貫通孔と下側パイプ6bのいずれか一つの貫通孔との位置を合わせ、それらの貫通孔にねじを横向きに貫通させて固定することによって、上側パイプ6aと下側パイプ6bとが固定される。上側パイプ6aの貫通孔に合わせる下側パイプ6bの貫通孔を適宜に選択することによって、第1支柱6の長さを段階的に調整することが可能となる。第2支柱7も上側パイプ7aと下側パイプ7bとを備えており、第1支柱6と同様にして、長さを段階的に調整することができる。
土間側支柱8は、長さが無段階に調整可能に構成されている。すなわち、土間側支柱8は、所定の範囲内で長さを任意に調整することができる。長さを無段階に調整可能とする長さ調整機構には、従来から公知の各種の機構を用いることができる。そのため、ここでは長さ調整機構の説明は省略する。土間側支柱8は、上側パイプ8aと、上側パイプ8aに挿入された下側パイプ8bとを備えている。土間側支柱8の長さが所望の長さになるように下側パイプ8bの挿入長さを調整し、上側パイプ8aを下側パイプ8bに対して回転させると、上側パイプ8aはその位置にて下側パイプ8bに固定される。これにより、土間側支柱8の長さが所望の長さに調整される。
次に、手すり1の設置方法の一例を説明する。手すり1は、すべての部品が組み立てられた状態で玄関に運び込まれてもよく、いくつかの部品が分解された状態で玄関に運び込まれ、設置前にその部品を組み立てるようにしてもよい。また、それら部品を組み立てながら設置を行うようにしてもよい。例えば、取付具5、式台10、第1支柱6、第2支柱7、土間側支柱8、中段手すり棒12、および上段手すり棒13を玄関に運び込み、玄関でそれらを組み立てて手すり1を構築した後、その手すり1を設置するようにしてもよい。
手すり1の設置にあたっては、まず、取付具5を上がり框4の上に設置したときに手すり棒12,13が所望の高さに位置するよう、第1支柱6および第2支柱7の長さを調整する。次に、取付具5の締め付けプレート40を充分に下方に移動させておき、締め付けプレート40の鋸歯43が上がり框4の下面の下方に位置するよう、取付具5を前方から後方に向けて上がり框4にはめ込み、上がり框4および床3の上に載置する。次に、第1ベースプレート20の水平部21が床3と平行となるよう、土間側支柱8の長さを調整する。
次に、スパナ等の工具を用いて、締め付けプレート40を上方に移動させるようにガイドボルト18を回転させる。これにより、締め付けプレート40は上方に向かって徐々に移動し、やがて鋸歯43が上がり框4の下面に接触する。その後、ガイドボルト18を更に回転させ、鋸歯43を上がり框4の下面に食い込ませる。これにより、取付具5が上がり框4にしっかりと固定される(図5参照)。
次に、ボルト45に対し前方からナット46をはめ込み、ナット46を後方に向かって締め付ける。これにより、締め付けプレート40は第1ベースプレート20に固定される。
その後、取付具5にカバー16およびカバー17を被せる。以上により、手すり1の設置が完了する。
以上のように、本実施形態に係る手すり1によれば、上がり框4の上面にねじ穴を形成することなく設置することができる。したがって、上がり框4の上面に傷跡が残ってしまうことを回避することができる。また、本実施形態に係る手すり1によれば、単に上がり框4を上下から挟み込むだけでなく、締め付けプレート40の鋸歯43が上がり框4の下面に食い込むので、手すり1に大きな力が加わっても取付具5が上がり框4から外れてしまうことはない。したがって、充分な取付強度を保つことができる。なお、上がり框4の下面は通常は視認されない箇所に位置しているので、下面に傷跡が残ったとしても、玄関の見栄えを良くするという上がり框4の本来の機能を損なうことはない。
締め付けプレート40は、ガイドボルト18を回転させることによって上下に移動する。図2に示すように、ガイドボルト18の頭部は第1ベースプレート20の上方に位置しているので、作業者は上がり框4の上方にてガイドボルト18を回転させる作業を行うことができる。また、締め付けプレート40を上がり框4の下面に食い込ませた後、前方からナット46をボルト45にはめ込むことにより、締め付けプレート40は第1ベースプレート20に固定される。すなわち、作業者は上がり框4の前方にて、締め付けプレート40を第1ベースプレート20に固定する作業を行うことができる。したがって、本実施形態によれば、作業者は、土間2と上がり框4の下面との間の小さなスペース内で作業を行う必要がなく、上がり框4の上方および前方にて取付作業を行うことができる。よって、本実施形態によれば、手すり1を容易に設置することができる。
また、本実施形態によれば、土間側支柱8の下端部は式台10に固定されている。式台10は、第1ベースプレート20の水平部21よりも面積が大きく、且つ横長に形成されている。そのため、手すり棒12,13に左右方向の大きな力が加わったとしても、式台10が土間側支柱8を介して手すり1の全体をしっかりと支持するので、手すり1の位置ずれを防止することができる。
手すり1の利用時には、第1ベースプレート20には手すり棒12,13を介して上下および左右の方向の力が加えられる。本実施形態では、第1ベースプレート20の水平部21と締め付けプレート40とで上がり框4を挟み込んだ状態で締め付けプレート40が上がり框4の下面に食い込むので、水平部21の前端部は上がり框4の上面と密着するが、水平部21の前端部以外の部分では床3との密着性が低下するおそれがある。このような場合、水平部21は上がり框4および床3に対して、若干後ろ上がり状に傾きがちとなる。ところが、本実施形態によれば、第1ベースプレート20の水平部21には、側部および後部が切り欠かれた舌片23が設けられている。この舌片23は、第1ベースプレート20が上がり框4の上面に載置されていない状態において、垂直部22とのなす角θが90度未満となるように形成されている。そのため、水平部21が若干後ろ上がり状に傾斜したとしても、舌片23は上がり框4の上面と密着した状態を維持する。したがって、上がり框4の上面との接触面積が充分に確保され、手すり1の位置ずれが抑制される。
本実施形態では、床側の第1支柱6および第2支柱7は、第2ベースプレート30を介して第1ベースプレート20に固定されている。本実施形態によれば、上がり框4に固定される第1ベースプレート20と、第1支柱6および第2支柱7に固定される第2ベースプレート30とは別体であり、それらベースプレート20,30はねじ31を用いて組み立てられている。そのため、取付具5の上がり框4に対する取付強度と第1支柱6および第2支柱7の取付強度とを高く保つことができ、ひいては手すり1の取付強度を向上させることができる。
前記実施形態では、第1ベースプレート20の垂直部22にスリット25が形成され、スリット25を通じて前向きに延びるボルト45が締め付けプレート40に形成され、そのボルト45にナット46を締め付けることによって、第1ベースプレート20に締め付けプレート40が固定されていた。しかし、スリット25とボルト45との配置は、その逆であってもよい。すなわち、締め付けプレート40を第1ベースプレート20の垂直部22の前方に配置し、スリット25を締め付けプレート40に形成する一方、スリット25を通じて前向きに延びるボルト45を第1ベースプレート20の垂直部22に形成してもよい。このような形態であっても、ボルト45に対し前方からナット46をはめ込み、そのナット46を締め付けることによって、締め付けプレート40を第1ベースプレート20に固定することができる。
前記実施形態では、手すり1は床側支柱として合計2本の支柱、すなわち第1支柱6および第2支柱7を備えていた。しかし、床側支柱の本数は2本に限らず、1本でもよい。また、3本以上であってもよい。土間側支柱8の本数は1本であったが、土間側支柱8の本数も1本に限られない。また、前記実施形態では、支柱の総本数は3本であった。支柱の総本数が3本の場合、2本の場合と比べて、手すり1の強度を向上させることができる。一方、支柱の総本数が4本以上の場合、3本の場合と比べて強度は高まるが、部品点数の増加によるコストアップを招く。そこで本実施形態では、実用上充分な強度を確保しつつコストアップを抑える観点から、支柱の総本数を3本に設定した。ところで、支柱の総本数を3本とする場合、土間側支柱の本数を2本とし、床側支柱の本数を1本とすることもできる。しかし、本実施形態では、土間側支柱8が固定された式台10は土間2に載置されているだけであるのに対し、床側支柱6,7は取付具5に固定され、その取付具5は前述の通り、上がり框4に堅牢に固定されている。そのため、土間側支柱よりも床側支柱の本数を多くすることにより、手すり1の取付強度をより高めることができる。
1 玄関段差昇降用手すり
2 土間
3 床
4 上がり框
6,7 支柱(床側支柱)
8 土間側支柱
10 式台(台)
12,13 手すり棒
15 ベース部材
18 ガイドボルト
20 第1ベースプレート
21 水平部
22 垂直部
23 舌片
25 スリット
26 孔
30 第2ベースプレート
40 締め付けプレート(締め付け部材)
43 鋸歯(歯)
44 ナット部
45 ボルト
46 ナット

Claims (5)

  1. 上がり框の上面に載置される水平部と、前記上がり框の前方にて前記水平部の前端から下方に延びる垂直部と、を有するベース部材と、
    土間と前記上がり框の下面との間に位置する上向きの歯を有し、前記ベース部材の前記垂直部に上下方向にスライド可能に取り付けられた締め付け部材と、
    前記ベース部材に支持された床側支柱と、
    前記土間上に支持された土間側支柱と、
    前記床側支柱と前記土間側支柱とに架け渡された手すり棒と、を備え
    前記ベース部材の前記水平部は、側部および後部が切り欠かれた舌片を有し、
    前記舌片は、前端部を支点として撓み変形可能であり、前記水平部が前記上がり框の上面に載置されていない状態において、前記垂直部とのなす角が90度未満となるように形成されている、玄関段差昇降用手すり。
  2. 前記土間に載置され、前記ベース部材の前記水平部よりも面積が大きい横長の台を備え、
    前記土間側支柱の下端部は、前記台に固定されている、請求項1に記載の玄関段差昇降用手すり。
  3. 前記ベース部材の前記水平部の前端部には孔が形成され、
    前記締め付け部材には、ナット部が設けられ、
    前記孔に上方から挿入され、回転すると前記締め付け部材を上下方向に移動させるように前記ナット部に螺合したガイドボルトを備えている、請求項1または2に記載の玄関段差昇降用手すり。
  4. 前記ベース部材の前記垂直部および前記締め付け部材のいずれか一方には、前向きに延びるボルトが固定され、他方には前記ボルトが挿通される上下方向に延びるスリットが形成され、
    前記締め付け部材は、前記ボルトに前方から締め付けられるナットによって前記ベース部材の前記垂直部に固定される、請求項1〜のいずれか一つに記載の玄関段差昇降用手すり。
  5. 前記ベース部材は、前記水平部および前記垂直部を構成する断面略L字型の第1ベースプレートと、前記第1ベースプレート上に固定された第2ベースプレートとを有し、
    前記床側支柱の下端部は前記第2ベースプレートに固定されている、請求項1〜のいずれか一つに記載の玄関段差昇降用手すり。
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