以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は本発明を適用した冷却貯蔵庫1の扉を開放した状態の斜視図を示している。実施例の冷却貯蔵庫1は、ホテルやレストランの厨房などに設置される縦型業務用冷凍冷蔵庫であり、前面に開口する断熱箱体2により構成されている。
本発明における冷却貯蔵庫1は、断熱箱体2内を断熱壁2A、2Bにて区画することにより冷凍室3と冷蔵室4とが形成されている。本実施例では、断熱箱体2の上部を断熱壁2Aにて左右に区画し、断熱壁2Aにて区画された一側(この場合図1の向かって左側)を更に断熱壁2Bにて上下に区画することにより、断熱箱体2内の一側上部が冷凍室3、それ以外の他側上部から下部全域にわたって連通した庫内が冷蔵室4と、相互に冷気の流通が不能に構成される。
そして、冷凍室3の前面開口は、断熱箱体2の一側上部に枢支された断熱扉8にて開閉自在に閉塞されると共に、冷蔵室4の前面開口は、断熱箱体2の他側上部、他側下部、一側下部のそれぞれに独立して枢支された各断熱扉9にて開閉自在に閉塞される。これにより、断熱箱体2の前面開口は、上下に設けられた二組の観音開き式の扉8、9、9、9にて開閉自在に閉塞されることとなる。尚、図中10は、断熱箱体2の前面開口部を上下に区画し、扉8、9裏面と当接して密着させる中仕切である。
冷凍室3の上部には、冷却装置Rを構成する冷凍室用蒸発器5が配設されており、この冷凍室用蒸発器5及びこの近傍に取り付けられる図示しない冷凍室用送風機により、冷凍室3内は所定の冷凍冷却温度範囲に冷却される。また、冷蔵室4の上部には、同じく冷却装置Rを構成する冷蔵室用蒸発器6が配設されており、この冷蔵室用蒸発器6及びこの近傍に取り付けられる冷蔵室用送風機7により、冷蔵室4内は所定の冷蔵冷却温度範囲に冷却される。
尚、冷凍室3、冷蔵室4の配置や容積比率は、これに限定されるものではなく、相互に冷気の流通が不能とされる構成とされ、冷凍室3及び冷蔵室4のそれぞれに冷凍室用蒸発器5及び冷蔵室用蒸発器6が配設される冷却貯蔵庫であればよい。
ここで、図2は断熱箱体2の他側に位置する冷蔵室4側の冷却貯蔵庫1の縦断側面図を示しており、当該図中において冷蔵室側蒸発器6及び送風機7の下方に取り付けられる20は、冷蔵室側蒸発器6が取り付けられる冷却室21と冷蔵室4とを区画するための仕切板である。この仕切板20は後方が開口されており、送風機7によって冷蔵室4内から冷却室21に吸い込まれた冷気は、冷蔵室側蒸発器6と熱交換された後、冷却室21後方から冷蔵室4内に吐出される。尚、当該仕切板20及び冷却室21は、図示していないが、冷凍室3においても同様の構成とされる。
そして、断熱箱体2の天面には、前面、両側面、後面を構成するパネル11にて機械室12が画成されており、この機械室12内には、上記各蒸発器5、6と共に冷却装置Rを構成する圧縮機13や凝縮器14、更には、凝縮器用送風機15等が配設される。
ここで、図3の冷媒回路図を参照して冷却貯蔵庫1の冷凍サイクルについて説明する。この冷媒回路16は圧縮機13の冷媒吐出側に凝縮器14が接続され、この凝縮器14の冷媒下流側には、上記冷凍室3を冷却する冷凍室用蒸発器5と冷蔵室4を冷却する冷蔵室用蒸発器6がそれぞれ減圧手段としてのキャピラリチューブ(第1減圧手段)18又はキャピラリチューブ(第2減圧手段)19を介して接続されている。各キャピラリチューブ18、19は、それぞれ冷凍室3又は冷蔵室4における蒸発温度を考慮し、任意の口径、長さのものに選定される。
本実施例では、各蒸発器5、6への冷媒供給を制御する制御手段を構成する三方弁17によって圧縮機13にて圧縮された冷媒をキャピラリチューブ18を介して冷凍室用蒸発器5若しくは、キャピラリチューブ19を介して冷蔵室用蒸発器6に分配供給可能とされる。即ち、三方弁17を開度制御することによって、各蒸発器5、6の内の何れか一方のみに選択的に冷媒を供給する状態と、双方の蒸発器5、6に冷媒を供給する状態とを選択的に実現可能とされる。
また、本実施例では、三方弁17によって、各蒸発器5、6の内の何れか一方のみに選択的に冷媒を供給された場合、必ず、供給された側の蒸発器が所定時間内に冷凍室3又は冷蔵室4の庫内温度が冷却温度範囲を下に逸脱し、逸脱した方の蒸発器5又は6への冷媒の流入を停止し(サーモオフ)する設定とされているものとする。
そして、各蒸発器5、6の冷媒流出側に接続された冷媒配管22、23は、対応するそれぞれのキャピラリチューブ18又は19と熱交換可能に配設されて、その端部は、合流部24に接続される。当該合流部24には、両蒸発器5、6から流出され、合流された冷媒を圧縮機13に帰還させる吸込配管25が接続される。
次に、図4の電気ブロック図を参照して冷却貯蔵庫1の制御装置40について説明する。制御装置40は汎用のマイクロコンピュータにより構成されており、記憶手段としてのメモリ26、時限手段としてのタイマ27等が内蔵されている。
そして、この入力側には、冷凍室3、冷蔵室4の目標温度や当該目標温度を含む冷却温度範囲を任意に設定可能とするコントロールパネル(入力手段)28と、冷凍室3内の温度を検出する冷凍室用温度センサ(冷凍室温度検出手段)29と、冷蔵室4内の温度を検出する冷蔵室用温度センサ(冷蔵室温度検出手段)30、外気温度センサ(外気温度検出手段)32等が接続されている。尚、コントロールパネル28は、上記以外にも各種設定を変更することが可能である。
また、制御装置40の出力側には、圧縮機13の圧縮機モータ13Mと、三方弁17と、各種送風機7、7、15等が接続されている。本実施例では、圧縮機モータ13Mは、インバータ装置31を介して接続されており、これによって、圧縮機モータ13Mの運転周波数を任意に、リニアに制御可能とされる。
以下、図5乃至図8のフローチャート及び図9、図10のテーブル、図11乃至図16の各場合における温度変化を示す図を参照して本実施例における冷却貯蔵庫1の冷却動作について説明する。
(1)通常モード
制御装置40は、電源が投入されると冷却運転を開始する。図5のフローチャートに示すように、制御装置40は、当初、通常モードに設定されており(ステップS1)、圧縮機13を運転する。該通常モードでは、制御装置40は、冷凍室3及び冷蔵室4のそれぞれが冷却温度範囲となるように三方弁17の制御を行う。
即ち、コントロールパネル28にて冷凍室3の目標温度(TF目標温度)が設定されると、当該TF目標温度を含む該TF目標温度の上下の範囲で冷凍冷却温度範囲が設定される。この場合、冷凍冷却温度範囲は、冷凍室下限温度TFL(TF目標温度−TFdif)<TF目標温度<冷凍室上限温度TFH(TF目標温度+TFdif)の範囲となる。同様にコントロールパネル28にて冷蔵室4の目標温度(TR目標温度)が設定されると、当該TR目標温度を含む該TF目標温度の上下の範囲で冷蔵冷却温度範囲が設定される。この場合、冷蔵冷却温度範囲は、冷蔵室下限温度TRL(TR目標温度−TRdif)<TR目標温度<冷蔵室上限温度TRH(TR目標温度+TRdif)の範囲となる。何れのディファレンシャル温度TFdif及びTRdifも、コントロールパネル28にて詳細に設定することも可能とされる。
冷凍室3内の庫内温度及び冷蔵室4内の庫内温度何れか一方が、それぞれの冷却温度範囲から下に逸脱するまでは、三方弁17の開度を制御することにより、双方の蒸発器、即ち、冷凍室用蒸発器5と冷蔵室用蒸発器6に冷媒を供給する状態、両流しの状態とする。
そして、冷凍室3又は冷蔵室4の庫内温度が冷却温度範囲を下に逸脱すると、即ち、冷凍室現在温度TFが冷凍室下限温度TFLに達する(TF≦TFL)、若しくは、冷蔵室現在温度TRが冷蔵室下限温度TRLに達する(TR≦TRL)と、制御装置40は、当該下限温度に達した方の蒸発器5又は6への冷媒の流入を停止し(サーモオフ)、当該下限温度に達していない方の蒸発器5又は6のみに冷媒を流入させるように三方弁17を切り換える。尚、両者が下限温度に達した場合には、圧縮機13を停止する。
このようにして、圧縮機13から吐出された高温冷媒は、凝縮器14にて凝縮された後、三方弁17を経て冷凍室用蒸発器5側のキャピラリチューブ18と、冷蔵室用蒸発器6側のキャピラリチューブ19とに分流されて流入する。各キャピラリチューブ18、19にて減圧された冷媒は、それぞれ対応する蒸発器5、6に流入し、そこで蒸発して冷却作用を発揮し、冷凍室3内及び冷蔵室4内をそれぞれ冷却する。
各蒸発器5、6にて蒸発した低温冷媒は、蒸発器5、6から流出した後、各冷媒配管22、23のそれぞれが比較的高い温度の冷媒が流れるキャピラリチューブ18、19と熱交換して、気化された状態で合流部24にて合流し、吸込配管25を介して圧縮機13に帰還する。
当該通常モードでは、制御装置40は、圧縮機13の運転周波数の制御は、冷凍室3、冷蔵室4の現在温度と目標温度との偏差eに基づくPID演算結果によって行う。具体的には、制御装置40は、所定のサンプリング周期にて、冷凍室用温度センサ29にて冷凍室3の庫内温度(冷凍室現在温度)TFと、冷蔵室用温度センサ30にて冷蔵室4の庫内温度(冷蔵室現在温度)TRを検出する。
そして、制御装置40は、検出した冷凍室現在温度TFと、予めコントロールパネル28にて設定された冷凍室3の設定温度、即ち、冷凍目標温度(以下、TF目標温度と称する。)との偏差eFに基づくPID演算で制御量QFを算出する。同様に、検出した冷蔵室現在温度TRと、コントロールパネルにて設定された冷蔵室4の設定温度、即ち、冷蔵目標温度(以下、TR目標温度と称する。)との偏差eRに基づくPID演算で制御量QRを算出する。制御装置40は、算出されたこれらの制御量QFと制御量QRとを比較し、大きい方の制御量に基づいて圧縮機13の周波数の操作量を決定し、周波数制御を行う。
上記通常モードにおいて、制御装置40は、三方弁17を両流しに切り換えた(ステップS2)となった場合、ステップS3に進み、タイマ27によりタイマカウンタAをスタートさせる。そして、ステップS4に進み、当該タイマカウンタAが予めコントロールパネル28にて設定された冷却不良判定時間に達したか否かを判断し、達していない場合には、ステップS5に進む。尚、この冷却不良判定時間は、冷却不良状態が生じたか否かを判断するのに適した時間として、例えば、0〜99×10分で設定可能とされる。ここでは一例として冷却不良判定時間を60分として説明する。
ステップS5において、制御装置40は、冷凍室用蒸発器5又は冷蔵室用蒸発器6の何れかを三方弁17によって冷媒の流入を停止(サーモオフ)した場合には、ステップS6に進み、上記タイマカウンタAをリセットしてステップS1に戻る。他方、ステップS5においてサーモオフしていない場合には、ステップS4に戻る。
通常、冷却不良原因が生じていない場合、この冷却不良判定時間が経過するまでの間、上記圧縮機13と三方弁17の制御により、冷凍室現在温度TF及び冷蔵室現在温度TRは、図11又は図12のように変化する。図11は冷凍室3が冷蔵室4内よりも早く冷却された場合、図12は冷蔵室4が冷凍室3よりも早く冷却された場合について示している。
図11の場合、当初冷凍室現在温度TF、冷蔵室現在温度TRは、何れも冷却温度範囲よりも高く、冷却運転が行われることで次第に低下していき、冷却温度範囲内、即ち、冷凍室現在温度TF<冷凍室上限温度TFH、又は、冷蔵室現在温度TR<冷蔵室上限温度TRHとなる。この場合、冷凍室3が冷蔵室4よりも早く冷却されるため、冷蔵室現在温度TRが冷蔵室下限温度TRL(この場合TR目標温度)に達する以前に、冷凍室現在温度TFが冷凍室下限温度TFLに達し、サーモオフとなる。これにより、冷凍室現在温度TFがTF目標温度よりもTFdifだけ低い冷凍室下限温度TFLに達することで、三方弁17が両蒸発器5、6に冷媒を供給する状態から、冷蔵室用蒸発器6側にのみに選択的に冷媒を供給する状態に変更させる。
これによって、冷凍室用蒸発器5への冷媒供給が停止されることで、冷凍室3内は、外気温度等の影響により次第に上昇していき、冷蔵室用蒸発器6にこれまで冷凍室用蒸発器5に供給されていた冷媒をも供給されることで、急速に冷却される。従って、冷凍室3及び冷蔵室4は、それぞれ設定された冷却温度範囲内となるように、温度制御される。
図12の場合、当初冷凍室現在温度TF、冷蔵室現在温度TRは、何れも冷却温度範囲よりも高く、冷却運転が行われることで次第に低下していき、冷却温度範囲内、即ち、冷凍室現在温度TF<冷凍室上限温度TFH、又は、冷蔵室現在温度TR<冷蔵室上限温度TRHとなる。この場合、冷蔵室4が冷凍室3よりも早く冷却されるため、冷凍室現在温度TFが冷凍室下限温度TFL(この場合TF目標温度)に達する以前に、冷蔵室現在温度TRが冷蔵室下限温度TRLに達し、サーモオフとなる。これにより、冷蔵室現在温度TRがTR目標温度よりもTRdifだけ低い冷蔵室下限温度TRLに達することで、三方弁17が両蒸発器5、6に冷媒を供給する状態から、冷凍室用蒸発器5側にのみに選択的に冷媒を供給する状態に変更させる。
これによって、冷蔵室用蒸発器6への冷媒供給が停止されることで、冷蔵室4内は、外気温度等の影響により次第に上昇していき、冷凍室用蒸発器5にこれまで冷蔵室用蒸発器6に供給されていた冷媒をも供給されることで、急速に冷却される。従って、冷凍室3及び冷蔵室4は、それぞれ設定された冷却温度範囲内となるように、温度制御される。
図11、図12の何れも場合であっても、冷却不良判定時間が経過するまでに、冷凍室用蒸発器5又は冷蔵室用蒸発器6の何れかがサーモオフとなり、冷媒の流入が停止されるため、ステップS1からステップS6を繰り返すこととなる。
一方、何らかの原因によって冷却不良が生じている場合に、冷却不良判定時間が経過する以前に何れもサーモオフとならない。この場合、制御装置40は両蒸発器5、6に冷媒を供給している状態が所定の冷却不良判定時間継続されたものと判断し、ステップS5からステップS7に進み、冷却不良判定を実行する。
(2)冷却不良判定
ここで、冷却不良判定について図6のフローチャートを参照して説明する。この冷却不良判定では、冷凍室現在温度TF及び冷蔵室現在温度TRが、それぞれの冷凍冷却温度範囲内、及び/又は、冷蔵冷却温度範囲内であるか、否かについて具体的に判断する。
先ず、制御装置40は、ステップS8において、冷凍室現在温度TFが冷凍冷却温度範囲内(冷凍室下限温度TFL(TF目標温度−TFdif)<TF<冷凍室上限温度TFH(TF目標温度+TFdif))であるか否かを判断する。冷凍室現在温度TFが冷凍冷却温度範囲内である場合には、ステップS9に進み、範囲を逸脱している場合にはステップS10に進む。
例えば、図13、図14の場合には、冷凍室現在温度TFは、冷凍冷却温度範囲内にあるため、ステップS9に進む。このステップS9では、制御装置は、冷蔵室現在温度TRが冷蔵冷却温度範囲内(冷蔵室下限温度TRL(TR目標温度−TRdif)<TR目標温度<冷蔵室上限温度TRH(TR目標温度+TRdif))であるか否かを判断する。
図13の場合、冷蔵室現在温度TRは、冷蔵冷却温度範囲内にあるため、ステップS11に進み、冷却不良判定結果(i)となる。図14の場合、冷蔵室現在温度TRは、冷蔵冷却温度範囲から上に逸脱しているため、ステップS12に進み、冷却不良判定結果(ii)となる。
他方、図15、16の場合には、上記ステップS8において、冷凍室現在温度TFが冷凍冷却温度範囲(冷凍室下限温度TFL(TF目標温度−TFdif)<TF<冷凍室上限温度TFH(TF目標温度+TFdif))から上に逸脱しているため、ステップS10に進む。
このステップS10では、制御装置は、冷蔵室現在温度TRが冷蔵冷却温度範囲内(冷蔵室下限温度TRL(TR目標温度−TRdif)<TR目標温度<冷蔵室上限温度TRH(TR目標温度+TRdif))であるか否かを判断する。
図15の場合、冷蔵室現在温度TRは、冷蔵冷却温度範囲内にあるため、ステップS13に進み、冷却不良判定結果(iii)となる。図16の場合、冷蔵室現在温度TRは、冷蔵冷却温度範囲から上に逸脱しているため、ステップS14に進み、冷却不良判定結果(iv)となる。以下、それぞれの冷却不良判定結果の場合に分けて、以後の冷却制御について説明する。
(3)冷却不良判定結果(i)
図13に示すように冷凍室現在温度TF及び冷蔵室現在温度TRの何れもがそれぞれの冷却温度範囲内にあるため、冷却不良となっていない。そのため、冷却不良判定結果(i)(ステップS11)の場合、制御装置40は、図5におけるステップS15に進み、三方弁17の開度を変えることなく継続して、双方の蒸発器5、6に冷媒を供給する状態を所定時間、維持する。
その後、制御装置40は、ステップS16において、冷凍室用蒸発器5又は冷蔵室用蒸発器6の何れかを三方弁17によって冷媒の流入を停止(サーモオフ)したか否かを判断する。双方の蒸発器5、6への冷媒供給継続動作によって、所定時間内に、冷凍室3又は冷蔵室4の庫内温度が冷却温度範囲を下に逸脱した場合、制御装置40は、当該下限温度に達した方の蒸発器5又は6への冷媒の流入を停止し(サーモオフ)、当該下限温度(冷凍室下限温度TFL又は冷蔵室下限温度TRL)に達していない方の蒸発器5又は6のみに冷媒を流入させるように三方弁17を切り換える。
そして、サーモオフした場合には、制御装置40は、ステップS17に進み、上記タイマカウンタAをリセットしてステップS1に戻る。他方、ステップS16において、所定時間内にサーモオフしなかった場合には、再度ステップS7に戻り、再度冷却不良判定を実行する。
(4)冷却不良判定結果(ii)(iii)
図14の場合、冷凍室現在温度TFは、冷凍冷却温度範囲内にあり、冷蔵室現在温度TRは、冷蔵冷却温度範囲から上に逸脱している。この状態が長く維持されると、冷凍室現在温度TFが冷凍冷却温度範囲を下に逸脱、即ち、冷凍室下限温度TFLに達しない限り、冷凍室用蒸発器5への冷媒供給が停止されず、冷蔵室用蒸発器6のみに冷媒を流入させる積極的な冷蔵室冷却が行われない。そのため、冷蔵室現在温度TRが長い時間冷蔵冷却温度範囲を上に逸脱した状態が継続してしまい、当該冷蔵室4の冷却不良を招来する。
そのため、冷却不良判定結果(ii)(ステップS12)の場合、制御装置40は、図5におけるステップS18に進み、三方弁17の開度を双方の蒸発器5、6に冷媒を供給する状態から、冷蔵室用蒸発器6のみに選択的に冷媒を供給する冷蔵室冷却を優先することとし、ステップS20に進んで、冷蔵室優先冷却モードを実行する。
図15の場合、冷蔵室現在温度TRは、冷蔵冷却温度範囲内にあり、冷凍室現在温度TFは、冷凍冷却温度範囲から上に逸脱している。この状態が長く維持されると、冷蔵室現在温度TRが冷蔵冷却温度範囲を下に逸脱、即ち、冷蔵室下限温度TRLに達しない限り、冷蔵室用蒸発器6への冷媒供給が停止されず、冷凍室用蒸発器5のみに冷媒を流入させる積極的な冷凍室冷却が行われない。そのため、冷凍室現在温度TFが長い時間冷凍冷却温度範囲を上に逸脱した状態が継続してしまい、当該冷凍室3の冷却不良を招来する。
そのため、冷却不良判定結果(iii)(ステップS13)の場合、制御装置40は、図5におけるステップS19に進み、三方弁17の開度を双方の蒸発器5、6に冷媒を供給する状態から、冷凍室用蒸発器5のみに選択的に冷媒を供給する冷凍室冷却を優先することとし、ステップS20に進んで冷凍室優先冷却モードを実行する。
(5)優先冷却モード
ここで、図7のフローチャート及び図9、図10のテーブルを参照して優先冷却モードについて説明する。優先冷却モードでは、上述したように、ステップS18又はS19において、選択的に冷媒を優先して供給する側に三方弁17の開度が切り替えられている。図14の場合における冷蔵室優先冷却モードでは、三方弁17は冷蔵室用蒸発器6側に切り替えられ、図15における冷凍室優先冷却モードでは、三方弁17は、冷凍室用蒸発器5側に切り替えられている。
制御装置40は、ステップS21に進み、圧縮機13のインバータ周波数モード制御に移行する。制御装置40のメモリ26には、予め優先冷却モードを行う場合における圧縮機13の運転周波数がモード別に設定されたテーブルが記憶されている。一例として図9に、当該インバータ周波数モード制御のテーブルを示す。この場合、モードは01〜10まで保有しており、当該モード設定は、予めコントロールパネル28に設けられたディップスイッチや、制御装置40のメモリ26に記憶されたプログラムのパラメータを変更することによって設定される。
モード01では、冷凍室優先冷却モードで、圧縮機13の運転周波数は当該圧縮機13の下限周波数、冷蔵室優先冷却モードで、圧縮機13の運転周波数は当該圧縮機13の上限周波数を採用するように設定される。モード02では、冷凍室優先冷却モードで、圧縮機13の下限周波数、冷蔵室優先冷却モードで、圧縮機13の下限周波数、モード03では、冷凍室優先冷却モードで、圧縮機13の下限周波数、冷蔵室優先冷却モードで、圧縮機13の運転周波数はリニア制御、モード04では、冷凍室優先冷却モードで、圧縮機13の上限周波数、冷蔵室優先冷却モードで、圧縮機13の上限周波数、モード05では、冷凍室冷却優先モードで、圧縮機13の上限周波数、冷蔵室優先冷却モードで、圧縮機13の下限周波数、モード06では、冷凍室優先冷却モードで、圧縮機13の上限周波数、冷蔵室優先冷却モードで、圧縮機13の運転周波数はリニア制御、モード07では、冷凍室優先冷却モードで、圧縮機13の運転周波数はリニア制御、冷蔵室優先冷却モードで、圧縮機13の上限周波数、モード08では、冷凍室優先冷却モードで、圧縮機13の運転周波数はリニア制御、冷蔵室優先冷却モードで、圧縮機13の下限周波数、モード09では、冷凍室優先冷却モードで、圧縮機13の運転周波数はリニア制御、冷蔵室優先冷却モードで、圧縮機13の運転周波数はリニア制御とされる。
ここで、圧縮機13の運転周波数のリニア制御とは、冷凍室優先冷却モードでは、制御装置40が、冷凍室3の現在温度とTF目標温度との偏差eに基づくPID演算結果によって行う。具体的には、制御装置40は、所定のサンプリング周期にて、冷凍室用温度センサ29にて冷凍室3の庫内温度(冷凍室現在温度)TFを検出する。
そして、制御装置40は、検出した冷凍室現在温度TFと、予めコントロールパネル28にて設定されたTF目標温度との偏差eに基づくPID演算で制御量QFを算出し、当該制御量QFに基づいて圧縮機13の周波数の操作量を決定し、周波数制御を行う。
冷蔵室優先冷却モードでは、制御装置40が、冷蔵室4の現在温度とTR目標温度との偏差eに基づくPID演算結果によって行う。具体的には、制御装置40は、所定のサンプリング周期にて、冷蔵室用温度センサ30にて冷蔵室4の庫内温度(冷蔵室現在温度)TRを検出する。
そして、制御装置40は、検出した冷蔵室現在温度TRと、予めコントロールパネル28にて設定されたTF目標温度との偏差eに基づくPID演算で制御量QRを算出し、当該制御量QRに基づいて圧縮機13の周波数の操作量を決定し、周波数制御を行う。
また、モード10は、外気温度ATを検出する外気温度センサ32により検出された温度に基づき、それぞれの優先冷却モードにおける圧縮機13の運転周波数を設定するものであり、外気温度ATが5℃〜40℃の範囲で5℃単位でそれぞれ冷凍室優先冷却モード用としてHF1〜HF9が設定され、冷蔵室優先冷却モード用としてHR1〜HR9が設定されている。
尚、各圧縮機の運転周波数HF1〜HF9、HR1〜HR9は、それぞれ任意に、下限周波数30Hz〜上限周波数80Hzの間で設定可能とされている。一例として、外気温度ATが低い方がより周波数が低く、外気温度ATが高い方がより周波数が高くなるような傾向で設定されている。
通常、このインバータ周波数モード制御における設定は、冷却貯蔵庫1の冷凍室3の容積と、冷蔵室4の容積との比率や、各室内の設定温度、使用状況に対応して設定する。本実施例では、ステップS21において、一例としてモード08に設定する。そのため、当該優先冷却モードが冷凍室優先冷却モードである場合、圧縮機13の運転周波数は、冷凍室3の現在温度とTF目標温度との偏差eに基づくPID演算により算出された制御量QFに基づくリニア制御を行い、冷蔵室優先冷却モードである場合、圧縮機13は下限周波数にて運転を行う。
その後、制御装置40は、ステップS22において、上記タイマカウンタAをリセットしてステップS23に進み、タイマ27にてタイマカウンタBをスタートさせる。そして、ステップS24に進み、当該タイマカウンタBが予めコントロールパネル28にて所定の判定時間に達したか否かを判断する。
ここで、制御装置40のメモリ26には、予め優先冷却モードを行う場合における所定の判定時間Tが、一例として図10のタイマテーブルに示すように、外気温度ATに対応して冷凍室優先冷却モードと、冷蔵室優先冷却モード毎に記憶されている。
即ち、外気温度ATを検出する外気温度センサ32により検出された温度に基づき、それぞれの優先冷却モードにおける所定の判定時間Tを決定するものであり、外気温度ATが5℃〜40℃の範囲で5℃単位でそれぞれ冷凍室優先冷却モード用としてTF1〜TF9が設定され、冷蔵室優先冷却モード用としてTR1〜TR9が設定されている。
尚、各判定時間TF1〜TF9、TR1〜TR9は、それぞれ任意に、0〜99分の間で設定可能とされている。一例として、外気温度ATが低い方がより判定時間が短く、外気温度ATが高い方がより判定時間が長くなるような傾向で設定されている。
そして、外気温度ATと当該優先冷却モードの種類に応じて決定された判定時間TにタイマカウンタBが達していない場合には、制御装置40は、ステップS25に進み、当該優先冷却モードとされている冷凍室又は冷蔵室(冷凍室優先冷却モードでは、冷凍室。冷蔵室優先冷却モードでは冷蔵室。)の温度が所定の冷却温度範囲を下に逸脱し、三方弁17によって冷媒の流入を停止(サーモオフ)したか否かを判断する。
所定の判定時間T内に優先冷却モードとされている蒸発器5又は6への冷媒の流入を停止するサーモオフとなっていない場合には、制御装置40は、ステップS24に戻る。他方、所定の判定時間T内に優先冷却モードとされている蒸発器5又は6への冷媒の流入を停止し、他方の蒸発器6又は5への冷媒流入を開始した場合(但し、他方の室内も冷却温度範囲から上に逸脱していない場合には、圧縮機13を停止する)には、冷却不良が解消されたものと判断して、ステップS26に進み、タイマカウンタBをリセットする。そして、ステップS27に進み、上記インバータ周波数モードをリセットし、上記通常モード(ステップS1)に戻る。
また、ステップS24において、外気温度ATと当該優先冷却モードの種類に応じて決定された判定時間TにタイマカウンタBが達した場合には、制御装置40は、優先冷却モードとされている室内の温度が冷却温度範囲を下に逸脱する前であっても、ステップS26に進み、タイマカウンタBをリセットし、インバータ周波数モードをリセットし(ステップS27)、上記通常モード(ステップS1)に戻る。
このように、制御装置40は、両蒸発器5、6に冷媒を供給している状態が所定時間継続された場合に冷却不良判定を実行することにより、各室が著しい高負荷状態となっているか否かを適切に判別することが可能となる。
これにより、一方の室内が著しい高負荷状態となることで、両蒸発器5、6に冷媒を供給している状態を終了することができず、他方の室内の温度上昇をも招来してしまう不都合が生じていること、若しくは生じる傾向にあることを、早期に判定することができる。
そして、この冷却不良判定結果が冷凍室3の温度が冷凍冷却温度範囲に入っており、冷蔵室4の温度が冷蔵冷却温度範囲から上に逸脱していると判定されたとき(図14の場合)、冷凍室用蒸発器5に優先して冷蔵室用蒸発器6に冷媒を供給する冷蔵室優先冷却モードを実行することにより、それまで室内温度が冷蔵冷却温度範囲から上に逸脱していた冷蔵室4の蒸発器6にのみ優先的に冷媒を供給することで、早期に冷蔵室4内の冷却不良を改善することが可能となる。
また、冷却不良判定において、冷蔵室4の温度が冷蔵冷却温度範囲に入っており、冷凍室3の温度が冷凍冷却温度範囲から上に逸脱していると判定されたとき(図15の場合)、冷蔵室用蒸発器6に優先して冷凍室用蒸発器5に冷媒を供給する冷凍室優先冷却モードを実行することにより、それまで室内温度が冷凍冷却温度範囲から上に逸脱していた冷凍室3の蒸発器5にのみ優先的に冷媒を供給することで、早期に冷凍室3内の冷却不良を改善することが可能となる。
これにより、所定の冷却不良判定結果に基づき、冷却不良とされた室を優先的に冷却する優先冷却モードを実行することで、何れの室内をもそれぞれに設定された冷却温度範囲内に温度制御することができ、適切な温度環境を形成することが可能となる。
また、制御装置40は、上述したように、冷凍室3又は冷蔵室4の温度が各冷却温度範囲から下に逸脱した場合、当該逸脱した室を冷却する蒸発器5又は6への冷媒供給を停止するサーモオフを行うことにより、当該蒸発器への冷媒供給を停止して、三方弁17を切り換えることにより、冷却温度範囲から下に逸脱していない他方の室の蒸発器へのみ冷媒供給を供給することができる。
これにより、冷凍室3及び冷蔵室4の何れをも早期に冷却温度範囲の下限値まで冷却させることが可能となり、冷えすぎを防止した適切な冷却制御を実現することができる。
また、本実施例では、制御装置40は、各優先冷却モードが所定時間(判定時間T)継続して実行されたこと、又は、各優先冷却モードの実行中に冷凍室3又は冷蔵室4のうちの何れかの温度が冷却温度範囲から下に逸脱した(サーモオフした)ことの何れかが発生した場合、当該優先冷却モードを終了し、通常モードへ移行することから、何らかの原因により冷却不良が発生している冷凍室3又は冷蔵室4の蒸発器5又は6にのみ永続的に冷媒が供給され、他方の蒸発器に冷媒が供給されない不都合を解消することができる。これにより、冷却不良を緩和しつつ、他方の蒸発器への冷媒琉球をも可能とし、冷凍室3及び冷蔵室4内の適切な冷却制御を実現することができる。
(6)冷却不良判定結果(iv)
一方、上記(2)の冷却不良判定において、図16に示すように、冷蔵室現在温度TRが冷蔵冷却温度範囲から上に逸脱し、冷凍室現在温度TFが冷凍冷却温度範囲から上に逸脱している場合(何れもがそれぞれに対して設定された冷却温度範囲から上に逸脱している場合)には、冷凍室3及び冷蔵室4の両者が冷却不良となっているものと判断される。この状態が長く維持されると、冷凍室3及び冷蔵室4の両者が冷却不良となる時間が長期化することとなり、室内に貯蔵された品温上昇を招来する問題がある。
この場合、制御装置40は、図5のステップS28に進み、各室に対してそれぞれ設定された目標温度との偏差を比較する。即ち、冷凍室用温度センサ29にて検出された冷凍室現在温度TFと、コントロールパネル28にて設定されたTF目標温度との冷凍室偏差eF(TF−TF目標温度)と、冷蔵室用温度センサ30にて検出された冷蔵室現在温度TRと、コントロールパネル28にて設定されたTR目標温度との冷蔵室偏差eR(TR−TR目標温度)を比較する。
そして、制御装置40は、ステップS29に進み、三方弁17の開度を双方の蒸発器5、6に冷媒を供給する状態から、一方、この場合、上記偏差eが小さい方の蒸発器5又は6のみに選択的に冷媒を供給して、偏差が小さい方の室内の冷却優先することとし、ステップS30に進んで、偏差優先冷却モードを実行する。図16の場合、冷凍室偏差eFと冷蔵室偏差eRとでは、冷凍室偏差eFの方が小さいため、ここでは、冷凍室3の冷却を優先する場合を例に挙げて説明する。尚、冷凍室偏差eFと冷蔵室偏差eRとが同一であった場合には、予め決定しておいたどちらか一方、例えば、冷凍室3の優先冷却、若しくは、今回算出された偏差と、前回算出された偏差との差が大きい方(冷却速度が速い方)を優先して冷却するものとしても良い。
(7)偏差優先冷却モード
ここで、図8のフローチャートを参照して偏差優先冷却モードについて説明する。偏差優先冷却モードでは、ステップS29において、選択的に冷媒を優先して供給する側、この場合偏差が小さかった冷凍室用蒸発器5側に三方弁17が切り換えられている。
制御装置40は、ステップS31に進み、圧縮機13のインバータ周波数モード制御に移行する。尚、当該偏差優先冷却モードにおけるインバータ周波数モード制御は、詳細は上述した如き優先冷却モードにおけるインバータ周波数モード制御と同様であるため、同様のテーブル(図9)を参照して圧縮機13の運転周波数制御を行う。尚、詳細な説明は省略する。
ここでは、上記と同様一例としてモード08に設定されているため、偏差優先冷却モードで、冷凍室用蒸発器5を優先するため、圧縮機13の運転周波数は、冷凍室3の現在温度とTF目標温度との偏差eFに基づくPID演算により算出された制御量QFに基づくリニア制御を行う。
その後、制御装置40は、ステップS32において、上記タイマカウンタAをリセットしてステップS33に進み、タイマ27にてタイマカウンタBをスタートさせる。そして、ステップS34に進み、当該タイマカウンタBが予めコントロールパネル28にて所定の判定時間Tに達したか否かを判断する。尚、この場合も所定の判定時間Tは、上記優先冷却モードにおけるタイマテーブル(図10)を参照し、外気温度ATに基づき優先する冷凍室3又は冷蔵室4毎に決定された判定時間を採用する。
そして、外気温度ATと当該偏差優先冷却モードの種類に応じて決定された判定時間TにタイマカウンタBが達していない場合には、制御装置40は、ステップS35に進み、当該偏差優先冷却モードとされている偏差eが小さい室(この場合冷凍室3)の温度が所定の冷却温度範囲を下に逸脱し、三方弁17によって冷媒の流入を停止(サーモオフ)したか否かを判断する。
所定の判定時間T内に偏差優先冷却モードとされている偏差eが小さい方の蒸発器(この場合冷凍室用蒸発器5)への冷媒の流入を停止するサーモオフとなっていない場合には、制御装置40は、ステップS34に戻る。他方、所定の判定時間T内に偏差優先冷却モードとされている蒸発器(この場合冷凍室用蒸発器5)への冷媒の流入を停止し、他方の蒸発器(この場合冷蔵室用蒸発器6)への冷媒流入を開始した場合には、当該冷凍室3の冷却不良が解消されたものと判断して、ステップS36に進み、タイマカウンタBをリセットする。そして、ステップS37に進み、上記インバータ周波数モードをリセットし、上記通常モード(ステップS1)に戻る。
また、ステップS34において、外気温度ATと偏差優先冷却モードの種類に応じて決定された判定時間TにタイマカウンタBが達した場合には、制御装置40は、偏差優先冷却モードにて優先冷却とされている偏差eが小さい方(この場合冷凍室3)内の温度が冷凍冷却温度範囲を下に逸脱する前であっても、ステップS38に進み、三方弁17をこれまで偏差eが小さかった方の冷凍室用蒸発器5側から、偏差eが大きい方の冷蔵室用蒸発器6側に切り替える。
制御装置40は、ステップS39に進み、圧縮機13のインバータ周波数モード制御を継続し、この場合、冷媒を流す蒸発器が切り換えられたため、上記と同様にテーブル(図9)を参照して、圧縮機13の運転周波数制御を行う。
ここでは、上記と同様一例としてモード08に設定されているため、偏差優先冷却モードで、冷蔵室用蒸発器5を優先するため、圧縮機13の運転周波数は、圧縮機13は下限周波数にて運転を行う。
その後、制御装置40は、ステップS40において、上記タイマカウンタBをリセットしてステップS41に進み、タイマ27にて別途、タイマカウンタCをスタートさせる。そして、ステップS42に進み、当該タイマカウンタCが予めコントロールパネル28にて所定の判定時間Tに達したか否かを判断する。尚、この場合も所定の判定時間Tは、上記タイマカウンタBの場合と同様にタイマテーブル(図10)を参照し、外気温度ATに基づき優先する冷凍室3又は冷蔵室4毎に決定された判定時間を採用する。
そして、外気温度ATと当該偏差優先冷却モードの種類に応じて決定された判定時間TにタイマカウンタCが達していない場合には、制御装置40は、ステップS43に進み、当該偏差優先冷却モードとされている偏差eが大きい室(この場合冷蔵室4)の温度が所定の冷却温度範囲を下に逸脱し、三方弁17によって冷媒の流入を停止(サーモオフ)したか否かを判断する。
所定の判定時間T内に偏差優先冷却モードとされている偏差eが大きい方の蒸発器(この場合冷蔵室用蒸発器6)への冷媒の流入を停止するサーモオフとなっていない場合には、制御装置40は、ステップS42に戻る。他方、所定の判定時間T内に偏差優先冷却モードとされている蒸発器(この場合冷蔵室用蒸発器6)への冷媒の流入を停止し、他方の蒸発器(この場合冷凍室用蒸発器5)への冷媒流入を開始した場合(但し、他方の室内も冷却温度範囲から上に逸脱していない場合には、圧縮機13を停止する)には、当該冷蔵室4の冷却不良が解消されたものと判断して、ステップS44に進み、タイマカウンタCをリセットする。そして、ステップS37に進み、上記インバータ周波数モードをリセットし、上記通常モード(ステップS1)に戻る。
このように、制御装置40は、両蒸発器5、6に冷媒を供給している状態が所定時間継続された場合に冷却不良判定を実行することにより、各室が著しい高負荷状態となっているか否かを適切に判別することが可能となる。
これにより、一方の室内が著しい高負荷状態となることで、両蒸発器5、6に冷媒を供給している状態を終了することができず、他方の室内の温度上昇をも招来してしまう不都合が生じていること、若しくは生じる傾向にあることを、早期に判定することができる。
そして、この冷却不良判定結果が、冷蔵室3及び冷凍室4の温度がそれぞれに対して設定された冷却温度範囲から上に逸脱していると判定されたとき(図16の場合)、各室に対してそれぞれ設定された目標温度との偏差eが小さい方の蒸発器(この場合冷凍室用蒸発器5)に冷媒を優先して供給する偏差優先冷却モードを実行することにより、先ず初めに偏差の小さい方の蒸発器にのみ冷媒を優先供給して対応する室内の温度を冷却温度範囲内にまで冷却させることができる。
これにより、早期に冷却温度範囲にまで冷却しやすい傾向の蒸発器のみに冷媒を優先して供給することで、当該室内の冷却不良を早期に改善することができる。そのため、例えば、一方の室内が著しい高負荷状態となることで、それに影響されて他方の室内をも冷却不良が生じている場合であっても、影響されて冷却不良となっている蒸発器にのみ優先的に冷媒供給することで、冷凍室3及び冷蔵室4が共に継続した冷却不良を生じる不都合を早期に解消することが可能となる。
そして、偏差優先冷却モードを所定の判定時間T、継続して実行した場合、目標温度との偏差eが大きい方の蒸発器(図16の場合冷蔵室用蒸発器6)に三方弁17を切り換えて冷媒を優先供給することにより、目標温度との偏差eが小さい方の蒸発器(この場合冷凍室用蒸発器5)への冷媒の優先供給によって、対応する室内の温度が冷却温度範囲から下に逸脱する前であっても、所定時間経過後、他方の目標温度との偏差が大きい方の蒸発器(この場合冷蔵室用蒸発器6)のみへの冷媒の優先供給を実行することができる。
これにより、偏差eが大きい方の蒸発器(この場合冷蔵室用蒸発器6)にも冷媒を優先供給することで対応する室内の温度を冷却温度範囲内にまで冷却させることができ、対応する室内の冷却不良を早期に改善させることができる。
また、制御装置40は、上述したように、冷凍室3又は冷蔵室4の温度が各冷却温度範囲から下に逸脱した場合、当該逸脱した室を冷却する蒸発器5又は6への冷媒供給を停止するサーモオフを行うことにより、何れか一方のみの室が該冷却温度範囲から下に逸脱した場合、当該蒸発器5又は6への冷媒供給を停止して、冷却温度範囲から下に逸脱していない他方の室の蒸発器6又は5へのみ冷媒供給を供給することができる。
これにより、冷凍室3及び冷蔵室4の何れをも早期に冷却温度範囲の下限値まで冷却させることが可能となり、冷えすぎを防止した適切な冷却制御を実現することができる。
また、偏差優先冷却モードの実行中に冷凍室3又は冷蔵室4のうちの何れかの温度が冷却温度範囲から下に逸脱した場合、当該偏差優先冷却モードを終了することにより、何らかの原因により冷却不良が発生している冷凍室3又は冷蔵室4の蒸発器5又は6にのみ永続的に冷媒が供給され、他方の蒸発器に冷媒が供給されない不都合を解消することができる。これにより、冷凍室3及び冷蔵室4内の適切な冷却制御を実現することができる。
また、本実施例では、上述したように、制御装置40により制御され、各蒸発器5、6のうちの何れか一方のみに選択的に冷媒を供給する状態と、双方の蒸発器5、6に同時に冷媒を供給する状態とを実現可能な三方弁17を備え、蒸発器5、6に対応して設けられる減圧手段は、キャピラリチューブ18、19により構成されている。通常、各蒸発器5、6に流入する冷媒を制御する手段として絞り量を零を含めて制御可能な電子膨張弁を採用した場合、各蒸発器5、6への冷媒流入に偏りが発生し難く、一方の冷却負荷に影響されて他方が冷却不良となる不都合が生じにくい。しかし、本願実施例の如く、格別な制御が不要、故障等を生じないキャピラリチューブ18、19を減圧手段として採用した場合には、冷媒の蒸発温度が異なるため、冷凍室用蒸発器5側に液冷媒が偏り、冷蔵室用蒸発器6側にガス冷媒が偏ることで、冷蔵室用蒸発器6側が頻繁に乾いた状態となり、冷却の偏りが生じやすくなる。そのため、上述したような冷却不良判定を行い、当該冷却不良を解消する制御を行う本願発明が特に有効なものとなる。
また、本実施例では、制御装置40は、各室内の送風機7の故障や、冷蔵室用温度センサ29や冷蔵室用温度センサ30の故障、三方弁17の固着等に基づく冷却不良が発生した場合には、従前と同様に、バックアップ制御を実行するものとする。