以下、本発明に係る着座センサ、及び、それを用いた座席装置の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1実施形態)
図2は、本発明の実施形態に係る着座センサを示す平面図である。図2に示すように、着座センサ1は、互いに対称な形状の第1センサ部1A及び第2センサ部1Bと、第1センサ部1Aと第2センサ部1Bとを電気的に接続する配線としての導電線45とを主な構成として備える。
第1センサ部1Aは、第1電極シート10Aと、第1電極シート10Aに重ねられる第2電極シート20Aと、第1電極シート10Aと第2電極シート20Aとで挟まれるスペーサと、第1電極シート10Aのスペーサとは反対側に配置されるクッション部材51Aを主な構成要素として備える。同様に第2センサ部1Bは、第1電極シート10Bと、第1電極シート10Bに重ねられる第2電極シート20Bと、第1電極シート10Bと第2電極シート20Bとで挟まれるスペーサと、第1電極シート10Bのスペーサとは反対側に配置されるクッション部材51Bを主な構成要素として備える。
図3は、図2に示す第1電極シートを示す平面図である。具体的には、図3(A)は、第1センサ部1Aの第1電極シート10Aを示す図であり、図3(B)は、第2センサ部1Bの第1電極シート10Bを示す図である。上述のように第1センサ部1Aと第2センサ部1Bとは互いに対称な形状であるため、図3に示すように、第1電極シート10Aと第2電極シート10Bとは、互いに対称な形状をしている。
図3(A)に示すように第1電極シート10Aは、可撓性を有するフィルム状の第1絶縁シート11Aと、第1絶縁シート11A上に設けられる第1電極14A、14Bと、第1絶縁シート11A上に設けられる配線16A〜16Dと、第1絶縁シート11A上に設けられる端子42A、43Aとを主な構成要素として備える。
第1絶縁シート11Aは、一端の端縁の形状が半円形で、他端の端縁の形状が矩形で、全体的に帯状の形状をしている。
そして、半円形の端部から所定の間隔をあけて、第1電極14Aが設けられており、第1電極14Aから所定の間隔をあけて、第1電極14Bが設けられている。第1電極14Aと第1電極14Bは、互いに同じ形状の櫛歯電極とされている。この櫛歯電極は、互いに平行な複数本の導体が一方側において互いに接続されており、更に、互いに平行な他の複数本の導体が他方側において互いに接続されている。そして、一方側で接続された複数本の平行導体の間に、他方側で接続された他の複数本の平行導体が設けられて、それぞれの導体が交互に並べられている。そして、一方側で接続された複数本の平行導体と、他方側で接続された他の複数本の平行導体とは、互いに一定の間隔をあけており、互いに絶縁されている。このように櫛歯電極においては、1つの電極内に互いに絶縁されている一組の平行導体を有する。
配線16A〜16Dは、第1絶縁シート11Aの長手方向に沿って設けられている。そして、第1電極14Aにおいて、一方の平行導体が、配線16Aの一端に接続されており、他方の平行導体が配線16Cの一端に接続されている。さらに第1電極14Bにおいて、一方の平行導体が配線16Aの他端、及び、配線16Bの一端に接続されて、他方側の平行導体が配線16Cの他端、及び、配線16Dの一端に接続されている。
また、端子42A、43Aは、略四角形の形状をしており、第1絶縁シート11Aの矩形状の端部から所定の間隔をあけた位置に、第1絶縁シート11Aの長手方向に垂直な方向に沿って並設されている。そして、端子42Aは、配線16Bの他端と接続されており、端子43Aは、配線16Dの他端と接続されている。
こうして、第1電極14Aの一方の平行導体と、第1電極14Bの一方の平行導体と、端子42Aとが、配線16A、16Bにより電気的に接続され、第1電極14Aの他方の平行導体と、第1電極14Bの他方の平行導体と、端子43Aとが、配線16C、16Dにより電気的に接続されている。
また、第1電極シート10Aと対称な形状をしている第1電極シート10Bは、図3(B)に示すように、第1絶縁シート11Aと同様の第1絶縁シート11Bと、第1絶縁シート11B上において第1電極14Aと同様に配置され、第1電極14Aと対称の形状である第1電極14Cと、第1絶縁シート11B上において第1電極14Bと同様に配置され、第1電極14Bと対称の形状である第1電極14Dと、第1絶縁シート11B上において配線16A〜16Dと同様に配置される配線16E〜16Hと、第1絶縁シート11B上において端子42A、43Aと同様に配置され、端子42A、43Aと対称の形状を有する端子42B、43Bとを主な構成要素として備える。
そして、第1電極14Cにおいて、一方の平行導体が、配線16Gの一端に接続されており、他方の平行導体が配線16Eの一端に接続されている。さらに第1電極14Dにおいて、一方の平行導体が配線16Gの他端、及び、配線16Hの一端に接続されて、他方側の平行導体が配線16Eの他端、及び、配線16Fの一端に接続されている。
また、端子42Bは、配線16Hの他端と接続されており、端子43Bは、配線16Fの他端と接続されている。
こうして、第1電極14Cの一方の平行導体と、第1電極14Dの一方の平行導体と、端子42Bとが、配線16G、16Hにより電気的に接続され、第1電極14Cの他方の平行導体と、第1電極14Dの他方の平行導体と、端子43Bとが、配線16E、16Fにより電気的に接続されている。
図4は、図2に示す第2電極シートを示す平面図である。具体的には、図4(A)は、第1センサ部1Aの第2電極シート20Aを示す図であり、図4(B)は、第2センサ部1Bの第2電極シート20Bを示す図である。上述のように第1センサ部1Aと第2センサ部1Bとは互いに対称な形状であるため、図4に示すように、第2電極シート20Aと第2電極シート20Bとは、互いに対称な形状をしている。
図4(A)に示すように、第2電極シート20Aは、可撓性を有するフィルム状の第2絶縁シート21Aと、第2絶縁シート21Aの表面上に設けられる第2電極24A、24Bを主な構成要素として有する。
第2絶縁シート21Aは、第1絶縁シート11Aと幅が同じであり、長さが異なる。さらに、一端の端縁の形状が、第1絶縁シート11Aの一端の端縁と同様の半円形とされ、他端の端縁の形状が、第1絶縁シート11Aの他端の端縁と同様の矩形をしており、全体的に帯状の形状をしている。そして、第2絶縁シート21Aは、第1絶縁シート11Aの一端と、第2絶縁シート21Aの一端とを揃えて、第1絶縁シート11Aと第2絶縁シート21Aとを重ねる場合に、図2に示すように第1絶縁シート11A上に設けられた端子42A、43Aが露出するような長さとされている。なお、本実施形態においては、第2絶縁シート21Aと第1絶縁シート11Aとは、同じ可撓性を有し、同じ力が加えられる場合に、同じように撓むように構成されている。
また、第2電極24A、24Bは、円形の形状をしており、第1電極14A、14Bが外周内に収まる大きさとされている。さらに第2電極24A、24Bは、第1絶縁シート11Aの一端と、第2絶縁シート21Aの一端とを揃えて、第1絶縁シート11Aと第2絶縁シート21Aとを重ねる場合に、図2に示すように第2電極24A、24Bの外周内に、第1電極14A、14Bが収まる位置に設けられている。
また、第2電極シート20Aと対称な形状をしている第2電極シート20Bは、図4(B)に示すように、第2絶縁シート21Aと同様の第2絶縁シート21Bと、第2絶縁シート21B上において、第2電極シート20Aにおける第2電極24Aと同様に配置され、第2電極24Aと同様の形状・大きさとされる第2電極24Cと、第2絶縁シート21B上において、第2電極シート20Aにおける第2電極24Bと同様に配置され、第2電極24Bと同様の形状・大きさとされる第2電極24Dと、を主な構成要素として備える。
図5は、第1電極シート10A、10Bと第2電極シート20A、20Bとの間に挟まれるスペーサを示す平面図である。具体的には、図5(A)は、第1センサ部1Aのスペーサ30Aを示す図であり、図5(B)は、第2センサ部1Bのスペーサ30Bを示す図である。上述のように第1センサ部1Aと第2センサ部1Bとは互いに対称な形状であるため、図5に示すように、スペーサ30Aとスペーサ30Bとは、互いに対称な形状をしている。
スペーサ30Aは、可撓性を有する絶縁シート31Aからなる。そして、図5(A)に示すように、スペーサ30Aは、外形が第2電極シート20Aと一致している。また、スペーサ30Aには、それぞれ同じ大きさである開口34A、34Bが形成されている。開口34A、34Bは、周縁が略円形の形状であり、第2電極24A、24Bよりも直径が僅かに小さく形成され、第1電極14A、14Bが外周内に収まる大きさとされている。そして、開口34A、34Bは、スペーサ30Aを第2電極シート20Aと重ね合わせて、スペーサ30Aに垂直な方向に沿って見る場合に、図2に示すように第2電極24A、24Bのそれぞれの外周内にそれぞれの開口34A、34Bが収まり、開口34A、34Bの周縁内に、第1電極14A、14Bが収まるような位置に形成されている。
さらにスペーサ30Aには、空気抜け用のスリットであり開口34A、34Bを空間的に接続するスリット36Aが形成されている。また、スペーサ30Aには、気体流出口35Aと、この気体流出口35Aとスリット36Aとを接続するスリット36Bが形成されている。従って、それぞれの開口34A、34Bは、気体流出口35A及びスリット36A、36Bを介して、スペーサ30Aの外側と空間的に接続されている。
また、スペーサ30Aと対称な形状をしているスペーサ30Bは、図5(B)に示すように、スペーサ30Aと同様の絶縁シート31Bから成り、スペーサ30Aにおける開口34A、34Bと同様の位置に形成され、同様の形状・大きさである開口34C、34Dが形成されている。さらにスペーサ30Bには、空気抜け用のスリットであり開口34C、34Dを空間的に接続するスリット36C形成されており、さらに、気体流出口35Bと、この気体流出口35Bとスリット36Cとを接続するスリット36Dとが形成されている。従って、それぞれの開口34C、34Dは、気体流出口35B及びスリット36C、36Dを介して、スペーサ30Bの外側と空間的に接続されている。
なお、スペーサ30A、30Bの両面には、第1電極シート10A、10B及び第2電極シート20A、20Bと接着されるための図示しない接着剤が塗布されている。
図6は、図2のV−V線に沿った断面の様子を示す図である。図2、図6に示すように、着座センサ1の第1センサ部1A及び第2センサ部1Bは、上述のように、第1電極シート10A(10B)と第2電極シート20A(20B)とがスペーサ30A(30B)を挟んで重ね合わせられており、スペーサ30A(30B)の両面に塗布された接着剤により互いに固定されて一体化されている。
このように第1電極シート10Aとスペーサ30Aと第2電極シート20Aとが、一体化された状態で、第1センサ部1Aを平面視する場合に、図2に示すように、第1電極シート10Aの第1電極14A、及び、第2電極シート20Aの第2電極24Aは、互いに重なっており、スペーサ30Aに形成されている開口34Aが、第2電極24Aの外周内に収まると共に、第1電極14Aが、開口34Aの周縁内に収まっている。そして、第1電極14Aと第2電極24Aとは、図6に示すようにスペーサ30Aにより所定の間隔を空けて互いに対向している。このようにして、第1、第2絶縁シート11A、21Aと、開口34Aが形成されたスペーサ30Aと、開口34Aを介して互いに対向する一対の電極14A、24Aとを有する感圧スイッチ40Aが構成されている。同様に他の第1電極14B〜14Dと、他の第2電極24B〜24Dとが、それぞれスペーサの開口34B〜34Dにおいて所定の間隔をあけて対向し、図2に示すように感圧スイッチ40B〜40Dが構成されている。
また、図6に示すように、第1センサ部1Aにおいて、第1絶縁シート11Aのスペーサ30A側とは反対側には、弾性力を有し、押圧力が加えられると潰れるように変形するクッション部材51Aが設けられている。このクッション部材51Aは、多数の空孔が設けられたスポンジ状の樹脂や、弾性力を有する樹脂製の繊維が絡み合った不織布や、ゴム等から構成される。そして、このクッション部材51Aは、図2に示すように第2絶縁シート21Aの外周内に収まるような形状をしている。そして、クッション部材51Aは、スペーサ30Aに垂直な方向から見る場合に、第1絶縁シート11Aを介して少なくともスペーサ30Aの開口34A、34Bを覆うように配置されている。同様に第2センサ部1Bにおいて、第1絶縁シート11Bのスペーサ30B側とは反対側には、第1センサ部1Aに設けられているクッション部材51Aと同様のクッション部材51Bが設けられており、クッション部材51Bは、スペーサ30Bに垂直な方向から見る場合に、第1絶縁シート11Bを介して少なくともスペーサ30Bの開口34C、34Dを覆うように配置されている。
なお、本実施形態においては、クッション部材51A、51Bが潰れる厚さは、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Dにおける、対向する電極間距離の半分以上とされている。
以上のように構成された第1センサ部1Aと第2センサ部1Bとは、上述のように導電線45により互いに電気的に接続されている。図7は、図2に示す導電線45の長さ方向に垂直な断面における構造の様子を示す図である。図7に示すように、導電線45は、金属の撚り線から成る導線46と、導線46の外周を被覆する絶縁層47とを有している。そして、図2に示すように導電線45は両端において、絶縁層47から導線46が露出しており、導線46の一端が端子43Aに接続されており、導線46の他端が端子43Bに接続されている。
図8は、図2に示す着座センサ1の回路構成を等価回路で示す回路図である。上述のように構成される感圧スイッチ40A〜40D、及び、端子42A、42Bは、図8に示すように、配線16A〜16H、及び、導電線45により互いに接続されている。このように各感圧スイッチ40A〜40Dが接続されることで、着座センサ1の回路が構成されている。
そして、第1センサ部1Aの感圧スイッチ40A及び感圧スイッチ40Bから成る感圧スイッチ群においてOR回路が構成されており、第2センサ部1Bの感圧スイッチ40C及び感圧スイッチ40Dから成る感圧スイッチ群においてOR回路が構成されている。さらに、感圧スイッチ40A及び感圧スイッチ40Bから成る感圧スイッチ群と、感圧スイッチ40C及び感圧スイッチ40Dから成る感圧スイッチ群とにより、AND回路が構成されている。こうして、着座センサ1においては、感圧スイッチ40A〜40Dにより、AND−OR回路が構成されている。
図9は、図2に示す着座センサ1が配置された本実施形態の座席装置を示す図である。具体的には、図9(A)は、着座センサ1が配置された座席装置9の様子を上方から示す図であり、図9(B)は、着座センサ1が配置された座席装置9の様子を側方から示す図である。図9(A)及び(B)に示すように、座席装置9は、シートパン92と、シートパン92の上に配置されるクッションパッド93と、背もたれ96と、シートパン92上に配置され、シートパン92とクッションパッド93とにより挟まれている着座センサ1とを備える。
シートパン92は、剛性の高い金属板が折曲げ加工されて構成されており、図9(A)に示すように、クッションパッド93の前後方向に平行で幅方向の中心を通る中心線Lを基準として、線対称の形状をしている。また、シートパン92には、略中央に略四角形の孔94が形成されており、この孔94は、人が座席装置9に正規着座する場合におけるヒップポイントHPよりも前方に形成されている。
そして、このシートパン92により、クッションパッド93が支えられている。つまり、シートパン92は、クッションパッド93の下方に配置されてクッションパッド93を支持する支持部材である。このクッションパッド93は、発泡ウレタンから構成されており、クッション性を有する。すなわち、クッションパッド93は、弾性力を有し、押圧力が加わると潰れるように変形する。また、クッションパッド93は、図示しない布製の表皮に覆われている。また、背もたれ96は、クッションパッド93の後方において、クッションパッド93に接触するように、図示しない手段によりシートパン92と接続されている。つまり、シートパン92は、クッションパッド93を支持する支持部材である。
また、図9(B)に示すように、着座センサ1は、クッションパッド93の下方において、クッションパッド93から押圧力を受けるように配置される。具体的には、着座センサ1は、車両等の座席装置9におけるシートパン92上に配置され、シートパン92とクッションパッド93とにより挟まれている。つまり、シートパン92は、着座センサ1が載置される載置部材でもある。また、着座センサ1がこのように配置された状態において、第2絶縁シート21A、21Bがクッションパッド93側に配置されて、クッションパッド93と接触し、さらに、第1絶縁シート11A、11Bがシートパン92側に配置されて、クッション部材51A、51Bがそれぞれシートパン92と第1絶縁シート11A、11Bとにより挟まれている。なお、本実施形態のようにシートパン92に孔94やリブが形成されている場合においては、第1センサ部1Aと第2センサ部1Bとの相対的位置を変更することにより、感圧スイッチ40A、40Bと感圧スイッチ40C、40Dとの相対的位置を変更して、シートパン92の孔94やリブを避けて着座センサ1は配置される。
本実施形態においては、図9(A)に示すように、着座センサ1は、クッションパッド93の幅方向の中心を通る中心線Lを基準とした右側に第1センサ部1Aが配置され、左側に第2センサ部1Bが配置されている。具体的には、第1センサ部1Aは、シートパン92の孔94に対して右側の横に隣接する領域において、感圧スイッチ40Bが前方側に位置し、感圧スイッチ40Aが後方側に位置するように配置されており、また、第2センサ部1Bは、シートパン92の孔94に対して左側の横に隣接する領域において、感圧スイッチ40Dが前方側に位置し、感圧スイッチ40Cが後方側に位置するように配置されている。従って、中心線Lを基準とした右側に感圧スイッチ40A、40Bが配置され、左側に感圧スイッチ40C、40Dが配置されている。なお、感圧スイッチ40Aと感圧スイッチ40Cとを結ぶ線は、中心線Lに垂直となり、感圧スイッチ40Aと感圧スイッチ40Cとは、中心線Lを基準として、互いに線対称となる位置に配置されている。同様に、感圧スイッチ40Bと感圧スイッチ40Dとを結ぶ線は、中心線Lに垂直となり、感圧スイッチ40Bと感圧スイッチ40Dとは、中心線Lを基準として、互いに線対称となる位置に配置されている。また、上述のように感圧スイッチ40A、40Bと、感圧スイッチ40C、40Dとで、アンド回路が構成されるため、中心線Lの一方側に配置された感圧スイッチ群と、中心線Lの他方側に配置された感圧スイッチ群とで、アンド回路が構成されている。さらに、上述のように感圧スイッチ40A、40Bから成る感圧スイッチ群においてOR回路が構成されており、感圧スイッチ40C、40Dから成る感圧スイッチ群においてOR回路が構成されているので、中心線Lの右側に配置された複数の感圧スイッチ、及び、中心線Lの左側に配置された複数の感圧スイッチのそれぞれにより、OR回路が構成されている。
そして、端子42A、42Bが外部の図示しない電源と測定部に電気的に接続され、端子42A、42Bに電圧が印加される。なお、上述のように導電線45の導線46は、絶縁層47で被覆されている。従って、着座センサ1を金属製のシートパン92上に配置しても、シートパン92との絶縁性に優れている。
また、本実施形態においては、クッションパッド93は、クッション部材51A、51Bと略同じ弾性力を有している。従って、クッションパッド93及びクッション部材51A、51Bに対して、同じ押圧力が印加される場合、クッションパッド93とクッション部材51A、51Bは、それぞれ同じように第1絶縁シート11A、11B、第2絶縁シート21A、21Bを押圧する。
次に、着座センサの動作について説明する。
図10は、図1と同じように、座席装置9に人が正規着座した状態で、座席装置9のシートパン92が、表皮及びクッションパッド93を介して、人から受ける荷重の分布を示す図である。図10においては、シートパン92がクッションパッド93から最も高い押圧力を受ける領域を右斜線(右上から左下に引かれる線)で示し、その次に高い押圧力を受ける領域を左斜線(左上から右下に引かれる線)で示し、右斜線及び左斜線の領域に加わる荷重よりも小さい荷重が加わる領域を点で示し、更に小さい荷重のかかる領域には、無地としている。ただし、図10においては、孔94の形状やシートパン92の表面の凹凸が、図9と比べて若干異なっており、シートパン92には、孔94の他にも孔が形成されている。
図1を用いて説明したように、人が座席装置に着座する場合、クッションパッドの表面においては、人の臀部が位置する場所に押圧力が集中しているが、図10に示すように、シートパン92が人の荷重によりクッションパッド93から受ける押圧力は、シートパン92上に広く分散している。そして、図10に示すように、人の着座時において、シートパン92は、シートパン92のそれぞれの孔と隣接する領域において、他の部分と比べてクッションパッド93から比較的強い押圧力を受けている。特に、ヒップポイントHPよりも前方で、中心線L上に形成されている孔94と隣接する領域は、他の孔と隣接する領域よりも強い力で押圧されており、孔94の横方向に形成された他の孔と隣接する領域が、孔94と隣接する領域の次に強く押圧されている。
これは、次のように考えられる。つまり、人が背もたれ96を備える座席装置9に正規着座するとき、人の背中が背もたれ96に接触して、背もたれ96により背中が押され、背中にかかる力が人の臀部を前方に押す。また、この人の臀部による荷重に加えて、前方向に延びる足の荷重が鉛直方向に働く。従って、着座する人の臀部は、重力により鉛直方向にクッションパッド93を押圧すると共に、背中からの力により前方に向かってクッションパッド93を押す。こうして、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方において、他の部分よりも強くなる。そして、人が着座する際、通常、人はクッションパッド93の幅方向の略中心に着座する。従って、クッションパッド93の幅方向の中心付近、すなわち、中心線Lの付近が、大きな力で押圧される傾向がある。こうして、ヒップポイントHPよりも前方で、クッションパッド93の幅方向の中心に形成されている孔94と隣接する領域が他の孔と隣接する領域よりも大きな力で押圧されている。なお、本実施形態においては、シートパン92がクッションパッド93から大きな押圧力を受ける場所(最大荷重領域)MGは、孔94に横方向に隣接する領域となっている。また、上述のように人が着座する際、通常、人はクッションパッド93の幅方向の略中心において、左右対称に着座するため、シートパン92がクッションパッド93から受ける押圧力は、中心線Lに対して略対称になっている。
なお、本明細書において、最大荷重領域とは、シートパン92がクッションパッド93から最も押圧力を受けていない場所における押圧力を0として、シートパン92がクッションパッド93から最も大きな押圧力を受けている場所における押圧力を100とする場合に、シートパン92が90以上の押圧力をうける領域をいう。
上述のように、第1センサ部1Aは、シートパン92の孔94に対して一方側の横に隣接する領域に配置され、第2センサ部1Bは、孔94に対して他方側の横に隣接する領域に配置されており、そして、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Dが配置されている場所が、最大荷重領域MGと重なっている。従って、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Dは、人が正規着座する場合に、適切に人の着座による押圧力を検知することができる。
図11は、図9のように着座センサ1が座席内に配置された状態で、感圧スイッチ40Aがオンする様子を図6と同じ視点で示す図である。なお、図11においては、理解の容易のため、シートパン92及びクッションパッド93は、一部分のみが示されている。着座センサ1が座席装置9内に配置された状態で、人が着座すると、図11に示すように、着座センサ1の両面対して垂直な方向から、矢印で示すように、人の荷重による押圧力がかかる。具体的には、第2絶縁シート21Aは、クッションパッド93から押圧力を受け、クッション部材51Aは、シートパン92から押圧力を受ける。このときクッション部材51Aは、押圧力により、潰れるように変形する。そして、第1絶縁シート11Aは、クッション部材51Aの弾性力により、クッション部材51Aから押圧力を受けて、スペーサ30Aの開口34Aに入り込むようにして撓む。同様に、第2絶縁シート21Aは、上述のようにクッションパッド93から押圧力を受けて、スペーサ30Aの開口34Aに入り込むようにして撓む。このため、スペーサ30Aの開口34Aを介して対向する第1絶縁シート11Aに設けられた第1電極14Aの一方の平行導体及び他方の平行導体と、第2絶縁シート21Aに設けられた第2電極24Aとが接触し、第1電極14Aの一方の平行導体と他方の平行導体とが、第2電極24Aを介して導通する。こうして、感圧スイッチ40Aがオンとなる。
なお、本実施形態の着座センサ1においては、上述のように、クッション部材51Aが潰れる厚さが、第1電極14Aと第2電極24Aとの間の距離の半分以上とされているため、クッション部材51Aが撓まずに潰れる変形をすることのみによって、絶縁シート11A上に設けられた第1電極14Aを第2電極24A側に、電極間距離の半分以上近付けることができ、感圧スイッチ40Aがオンし易くされている。
また、人の着座時においては、シートパン92及びクッションパッド93からは略同じ押圧力が着座センサ1に加えられる。そして、上述のように本実施形態においては、クッションパッド93は、クッション部材51Aと同じ弾性力を有しているため、クッション部材51A及びクッションパッド93は、それぞれ第1絶縁シート11A、第2絶縁シート21Aを同じ弾性力で押圧する。従って、一対の絶縁シート11A、21Aは、同じように撓み、一対の電極14A、24Aは、開口34A内において、スペーサ30Aの厚さ方向における、略中心付近において接触する。このため、本実施形態の座席装置9においては、着座センサ1の一方の絶縁シート21Aの撓み量が大きくなるということを抑制でき、着座の検出感度を向上させることができる。
また、第1絶縁シート11A及び第2絶縁シート21Aが撓む際、開口34A内の空気は、図5に示すスリット36A、36Bを介して気体流出口35Aから排出される。従って、着座センサ1に押圧力がかかるとき、第1絶縁シート11A及び第2絶縁シート21Aは適切に撓むことができる。
同様に、他の感圧スイッチ40B〜40Dも、感圧スイッチ40Aと同様にして、クッション部材51A、51B、クッションパッド93の弾性力により、第1絶縁シート11A、11B及び第2絶縁シート21A、21Bが押圧されて撓むことでオンになる。このとき各開口34B〜34D内の空気は、スリット36A、36B及びスリット36C、36Dを介して気体流出口35A、35Bから排出される。従って、感圧スイッチ40Aがオンになるときと同様に、適切に第1絶縁シート11A、11B及び第2絶縁シート21A、21Bが撓むことができ、各感圧スイッチ40B〜40Dの一対の電極が接触し易くされている。
そして、上述のように、感圧スイッチ40A〜40DによりAND−OR回路が構成されているため、感圧スイッチ40A及び感圧スイッチ40Bの少なくとも1つと、感圧スイッチ40C及び感圧スイッチ40Dの少なくとも1つとがオンになる場合に端子42Aと端子42Bとが導通する。こうして、着座センサ1により感知する感知信号を図示しない測定部が測定することにより人の着座を検出する。
以上説明したように、本実施形態における着座センサ1によれば、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Dが、電極が形成された第1絶縁シート11A、11B、第2絶縁シート21A、21Bやシート状のスペーサ30A、30Bの積層体であるため、薄くすることができ、シートパン92とクッションパッド93との間の様な限られた空間にそれぞれの感圧スイッチ40A〜40Dを配置することができる。そして、一対の絶縁シート、及び、スペーサが、互いに分離されている、第1センサ部1Aの感圧スイッチ40A、40Bと、第2センサ部1Bの感圧スイッチ40C、40Dとを接続する配線の一部は、屈曲性を有する導電線45から成るため、限られた空間内で、導電線45を介して電気的に接続された感圧スイッチ40A、40Bと、感圧スイッチ40C、40Dとの相対的な位置を容易に変更することができる。
また、着座センサ1によれば、人の着座により着座センサ1に押圧力が加えられると、クッション部材51A、51Bが、潰れるように変形して、その弾性力により絶縁シート11A、11Bを押圧する。このとき、クッション部材51A、51Bは、絶縁シート11A、11Bがスペーサ30A、30Bの開口34A〜34Dに入り込むように、絶縁シート11A、11Bを押圧する。従って、この着座センサ1は、座席装置9のように、クッション部材51A、51Bがシートパン92と絶縁シート11A、11Bにより挟まれるようにして配置されることにより、人の着座時において、シートパン92側の絶縁シート11A、11Bが適切に撓むことができる。一方、シートパン92は、クッションパッド93を支えているため、シートパン92側の絶縁シート11A、11Bと対向する絶縁シート21A、21Bは、クッションパッド93により押圧され、適切に撓むことができる。このため、本実施形態の着座センサ1によれば、シートパン92上に配置された状態で、人の着座を適切に検出することができ、この着座センサ1を用いた座席装置9は、人の着座を適切に検出することができる。
さらに、本実施形態の座席装置9によれば、シートパン92とクッションパッド93との間に着座センサ1が配置されるため、着座する人が、着座センサ1により、クッションパッド93の感触と異なる感触を受けることを防止することができる。そして、シートパン92とクッションパッド93との間という、限られた空間内で、導電線45を介して電気的に接続された感圧スイッチ40A、40Bと感圧スイッチ40C、40Dとの相対的な位置を変更することができるため、それぞれの感圧スイッチを着座の検出を適切に行うことができる場所に配置することができる。
また、座席に着座する人は、通常、クッションパッド93の幅方向の中心に着座する。一方、荷物は、クッションパッド93の幅方向の中心に置かれるとは限らない。従って、座席装置9によれば、感圧スイッチ40A、40B及び感圧スイッチ40C、40Dが、クッションパッド93の幅方向の中心を通る中心線Lを基準とした一方側及び他方側に配置されるため、人の着座を適切に検出し、荷物を誤検出することを抑制することができる。
さらに、座席に着座する人は、通常、座席の前方を向いて着座する。この時、人の臀部の左右の骨盤は、クッションパッド93の前後方向に垂直な方向に並んで、クッションパッド93を押圧する。従って、座席装置9によれば、中心線Lを基準とした一方側及び他方側に配置される感圧スイッチ40Aと感圧スイッチ40C、及び、感圧スイッチ40Bと感圧スイッチ40Dとが、クッションパッド93の前後方向に垂直な方向に並んでいるため、人の着座をより適切に検出することができる。
さらに、座席に着座する人は、通常、クッションパッド93の幅方向の中心において、座席装置9の前方を向いて着座するため、人の臀部の左右の骨盤は、クッションパッド93の前後方向に平行で幅方向の中心を通る中心線Lを基準として、左右対称な位置に並んで、クッションパッドを押圧する。従って、座席装置9によれば、感圧スイッチ40Aと感圧スイッチ40C、及び、感圧スイッチ40Bと感圧スイッチ40Dとが、中心線Lに対して対称な位置に配置されているため、人の着座を更に適切に検出することができる。
次に、着座センサ1を構成する材料について説明する。
第1電極シート10A、10Bの絶縁シート11A、11B、及び、第2電極シート20A、20Bの絶縁シート21A、21B、及び、スペーサ30A、30Bは、可撓性を有する絶縁性の樹脂から構成される。このような樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)等が挙げられる。中でもPENが耐熱性に優れる観点から好ましい。
また、スペーサ30A、30Bの両面に塗布される接着剤としては、アクリル系の接着剤が好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの一種または二種以上を単量体成分として用いたアクリル系重合体をベースとするものが挙げられる。
また、第1電極14A〜14D、及び、第2電極24A〜24D、及び、配線16A〜16H、及び、端子42A、42B、43A、43Bは、導電性ペーストや、めっきにより形成される金属箔等から構成される。このうち一部を導電性ペーストにより構成し、他の部分をめっきによる金属箔により構成しても良い。導電性ペーストとしては、銀ペーストなどの各種金属ペーストやカーボンペースト等が挙げられる。また、めっきにより形成される金属箔としては、銅やニッケル、あるいは、これらの積層体等が挙げられる。
また、クッション部材51A、51Bは、上述のように弾性力を有し、潰れるように変形する部材である。このような部材を構成する材料であれば、特に制限されるものではないが、クッション部材51A、51Bの材料としては、シリコン、ポリエステルの少なくとも一方を含有する樹脂やゴムを挙げることができる。中でも、シリコン、ポリエステルの少なくとも一方を含有する樹脂が、温度の変化による弾性力の変化が少ないため、着座センサ1が環境温度の変化が大きい自動車内に配置される場合においても、着座の検出荷重の変化を抑制することができるため好ましい。
また、導電線45の導線46の材料としては、導体であれば特に限定されないが、銅、鉄、ニッケル、アルミ等を挙げることができる。絶縁層47の材料は、難燃性、耐水性、絶縁性等に優れた特性を有する材料が好ましい。このような材料としては、ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体及びエチレンアクリル酸エチル共重合体などのエチレン系材料や、それらとポリプロピレン、エチレンプロピレンゴム、スチレン系エラストマなどのポリオレフィンをブレンドした複合樹脂をベースに、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水酸化物を添加してなるものを挙げることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図12を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。図12は、本発明の第2実施形態に係る着座センサを示す平面図である。
図12に示すように、本実施形態の着座センサ2は、配線中に抵抗体48が設けられている点において、第1実施形態の着座センサ1と異なる。この抵抗体48は、導電線45の途中において、導電線45と直列に接続されている。
本実施形態の着座センサ2によれば、抵抗体48により過電流が流れることを抑制することができる。従って、過電流による発熱を抑制することができる。なお、本実施形態の着座センサ2と用いた座席装置においては、第1実施形態の座席装置9における着座センサ1と同様にして、着座センサ2を配置すれば良い。
また、本実施形態において、導電線45の代わりに、抵抗体48と接続されているいわゆる抵抗体の足(抵抗体48のリード線)を導電線として用いても良い。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図13〜図16を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して、特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。図13は、本発明の第3実施形態に係る着座センサを示す平面図である。
図13に示すように、着座センサ3は、互いに対称な形状の第1センサ部3A及び第2センサ部3Bと、第1センサ部3Aと第2センサ部3Bとを電気的に接続する配線としての導電線45とを主な構成として備える。
第1センサ部3Aは、第1電極シート10Aと、第1電極シート10Aに重ねられる第2電極シート20Aと、第1電極シート10Aと第2電極シート20Aとで挟まれるスペーサと、第1電極シート10Aのスペーサとは反対側に配置されるクッション部材51Aとを主な構成要素として備える。同様に第2センサ部3Bは、第1電極シート10Bと、第1電極シート10Bに重ねられる第2電極シート20Bと、第1電極シート10Bと第2電極シート20Bとで挟まれるスペーサと、第1電極シート10Bのスペーサとは反対側に配置されるクッション部材51Bとを主な構成要素として備える。
図14は、図13に示す第1電極シートを示す平面図である。具体的には、図14(A)は、第1センサ部3Aの第1電極シート10Aを示す図であり、図14(B)は、第2センサ部3Bの第1電極シート10Bを示す図である。上述のように第1センサ部3Aと第2センサ部3Bとは互いに対称な形状であるため、図14に示すように、第1電極シート10Aと第2電極シート10Bとは、互いに対称な形状をしている。
図14(A)に示すように第1電極シート10Aは、可撓性を有するフィルム状の第1絶縁シート11Aと、第1絶縁シート11A上に設けられる第1電極14A、14Bと、第1絶縁シート11A上に設けられる配線16A、16Bと、第1絶縁シート11A上に設けられる端子42Aとを主な構成要素として備える。
本実施形態の第1絶縁シート11Aは、一端の端縁の形状が第1実施形態の第1絶縁シート11Aと同様の形状をしているが、他端側が、階段状に切り欠かれている点において、第1実施形態の第1絶縁シート11Aと異なる。具体的には、本実施形態の第1絶縁シート11Aの他端側は、第1実施形態の第1絶縁シート11Aにおける端子43Aが設けられている部分が矩形に切り欠かれて、階段状に形成されている。
そして、本実施形態の第1絶縁シート11A上において、第1実施形態の第1電極14Aが設けられている場所に相当する場所に、本実施形態の第1電極14Aが設けられており、第1実施形態の第1電極14Bが設けられている場所に相当する場所に本実施形態の第1電極14Bが設けられている。これら第1電極14A及び第1電極14Bは、互いに同じ大きさの円形の形状をしている。また、端子42Aは、形状、及び、設けられる場所が、第1実施形態の端子42Aと同様とされている。
配線16A、16Bは、第1絶縁シート11Aの長手方向に沿って設けられている。そして、配線16Aが第1電極14A、及び、第1電極14Bに接続されており、配線16Bが、第1電極14B、及び、端子42Aに接続されている。こうして、第1電極14Aと、第1電極14Bと、端子42Aとが、配線16A、16Bにより電気的に接続されている。
また、第1電極シート10Aと対称な形状をしている第1電極シート10Bは、図14(B)に示すように、第1絶縁シート11Aと対称の形状をしている第1絶縁シート11Bと、第1絶縁シート11B上において本実施形態の第1電極14Aと同様に配置され、本実施形態の第1電極14Aと同じ形状・大きさである第1電極14Cと、第1絶縁シート11B上において本実施形態の第1電極14Bと同様に配置され、本実施形態の第1電極14Bと同じ形状・大きさである第1電極14Dと、第1絶縁シート11B上において配線16A、16Bと同様に配置される配線16C、16Dと、第1絶縁シート11B上において端子42Aと同様に配置され、端子42Aと同じ形状を有する端子42Bとを主な構成要素として備える。
そして、配線16Cが第1電極14C、及び、第1電極14Dに接続されており、配線16Dが、第1電極14D、及び、端子42Bに接続されている。こうして、第1電極14Cと、第1電極14Dと、端子42Bとが、配線16C、16Dにより電気的に接続されている。
図15は、図13に示す第2電極シートを示す平面図である。具体的には、図15(A)は、第1センサ部3Aの第2電極シートを示す図であり、図15(B)は、第2センサ部3Bの第2電極シートを示す図である。上述のように第1センサ部3Aと第2センサ部3Bとは互いに対称な形状であるため、図15に示すように、第2電極シート20Aと第2電極シート20Bとは、互いに対称な形状をしている。
図15(A)に示すように、第2電極シート20Aは、可撓性を有するフィルム状の第2絶縁シート21Aと、第2絶縁シート21Aの表面上に設けられる第2電極24A、24Bと、第2絶縁シート21A上に設けられる配線26A、26Bと、第2絶縁シート21A上に設けられる端子43Aとを主な構成要素として備える。
第2絶縁シート21Aは、第1絶縁シート11Aと対称の形状をしている。従って、第1絶縁シート11Aを裏返すと、第1絶縁シート11Aと第2絶縁シート21Aとは、同じ形状になる。なお、本実施形態においても、第2絶縁シート21Aと第1絶縁シート11Aとは、同じ可撓性を有し、同じ力が加えられる場合に、同じように撓むように構成されている。
また、第2電極24A、24Bは、第1電極14A、14Bと同じ大きさの円形の形状をしており、第1絶縁シート11Aと第2絶縁シート21Aとを重ねる場合に、第1電極14A、14Bと完全に重なる位置に設けられている。また、端子43Aは、第1実施形態の端子43Aと同じ形状、同じ大きさとされ、第1実施形態における第1電極シート10Aと本実施形態の第2電極シート20Aとを重ねる場合に、第1実施形態の端子43Aと重なる位置に設けられている。
配線26A、26Bは、第2絶縁シート21Aの長手方向に沿って設けられている。そして、配線26Aが第2電極24A、及び、第2電極24Bに接続されており、配線26Bが、第2電極24B、及び、端子43Aに接続されている。こうして、第2電極24Aと、第2電極24Bと、端子43Aとが、配線26A、26Bにより電気的に接続されている。
また、第2電極シート20Aと対称な形状をしている第2電極シート20Bは、図15(B)に示すように、第2絶縁シート21Aと対称の形状の第2絶縁シート21Bと、第2電極24Aと同様の形状・大きさとされる第2電極24Cと、第2電極24Bと同様の形状・大きさとされる第2電極24Dと、端子43Aと同様の形状・大きさとされる端子43Bと、配線26C、26Dとを主な構成要素として備える。
第2電極24C、24Dは、第1絶縁シート11Bと第2絶縁シート21Bとを重ねる場合に、第1電極14C、14Dと完全に重なる位置に設けられている。また、端子43Bは、第1実施形態における第1電極シート10Bと本実施形態の第2電極シート20Bとを重ねる場合に、第1実施形態の端子43Bと重なる位置に設けられている。
配線26C、26Dは、第2絶縁シート21Bの長手方向に沿って設けられている。そして、配線26Cが第2電極24C、及び、第2電極24Dに接続されており、配線26Dが、第2電極24D、及び、端子43Bに接続されている。こうして、第2電極24Cと、第2電極24Dと、端子43Bとが、配線26C、26Dにより電気的に接続されている。
また、第1電極シート10A、10Bと第2電極シート20A、20Bとの間に挟まれるスペーサは、第1実施形態のスペーサ30A、30Bと同様とされる。
図16は、図13のV−V線に沿った断面の様子を示す図である。図13、図16に示すように、着座センサ3の第1センサ部3A及び第2センサ部3Bは、上述のように、第1電極シート10A(10B)と第2電極シート20A(20B)とがスペーサ30A(30B)を挟んで重ね合わせられており、スペーサ30A(30B)の両面に塗布された接着剤により互いに固定されて一体化されている。
このように第1電極シート10Aとスペーサ30Aと第2電極シート20Aとが、一体化された状態で、第1電極14Aと第2電極24Aが重なり、第1電極14Aと第2電極24Aの外周内に開口34Aが収まっている。そして、第1電極14Aと第2電極24Aとは、図16に示すようにスペーサ30Aにより所定の間隔を空けて互いに対向している。このようにして、第1電極14Aと第2電極24Aを電極とした感圧スイッチ40Aが構成されている。同様に他の第1電極14B〜14Dと、他の第2電極24B〜24Dとが、それぞれスペーサ30A、30Bにより所定の間隔をあけて対向し、感圧スイッチ40B〜40Dを構成している。
また、図13に示すように、第1、第2センサ部3A、3Bの一方の面側から端子42A、42Bが露出しており、第1、第2センサ部3A、3Bの他方の面側から端子43A、43Bが露出している。そして、第1、第2センサ部3A、3Bの他方の面側から露出した端子43A、43Bに導電線45が接続されており、第1センサ部3A、第2センサ部3Bは互いに電気的に接続されている。そして、第1実施形態と同様にして、第1センサ部3Aの感圧スイッチ40A及び感圧スイッチ40Bから成る感圧スイッチ群においてOR回路が構成されており、第2センサ部3Bの感圧スイッチ40C及び感圧スイッチ40Dから成る感圧スイッチ群においてOR回路が構成されており、感圧スイッチ40A及び感圧スイッチ40Bから成る感圧スイッチ群と、感圧スイッチ40C及び感圧スイッチ40Dから成る感圧スイッチ群とにより、AND回路が構成されている。
このような構成の着座センサ3は、第1実施形態の着座センサ1と同様にシートパン92上に配置される。そして、それぞれの感圧スイッチ40Aが押圧されると、第1電極14Aと第2電極24Aとが接触して、感圧スイッチ40Aがオンとなる。同様に感圧スイッチ40B〜40Dがオンになる。着座センサ3においては、感圧スイッチ40A〜40Dにより、AND−OR回路が構成されているため、感圧スイッチ40A、40Bのいづれかと、感圧スイッチ40C、40Dのいずれかがオンすることにより、着座センサ3は、人の着座を検出する。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について図17を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して、特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。図17は、本発明の第4実施形態に係る着座センサを示す平面図である。
第1実施形態の着座センサ1においては、第1センサ部1Aのスペーサ30Aに形成される開口34A、34B、及び、第2センサ部1Bのスペーサ30Bに形成される開口34C、34Dが、全て同じ大きさであった。これに対し、図17に示すように、本実施形態の着座センサ4は、第1センサ部1Aのスペーサに形成される開口34A、34Bと、第2センサ部1Bのスペーサに形成される開口34C、34Dとが、互いに異なる大きさである。本実施形態においては、感圧スイッチ40C、40Dの開口34C、34Dの大きさが、感圧スイッチ40A、40Bの開口34A、34Bの大きさよりも小さく形成されている。
感圧スイッチのスペーサを挟む一対の絶縁シートは、それら絶縁シートの間に介在するスペーサの開口34A〜34Dが小さいほど撓みづらい。従って、開口34C、34Dの大きさが小さい感圧スイッチ40C、40Dは、開口34A、34Bの大きさが大きい感圧スイッチ40A、40Bよりも、オンしづらい。
ところで、着座センサ4をシートパン等といった載置部材上に配置する場合、クッションパッドや載置部材の構造等に起因して、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Bが受ける押圧力が均一とはならない場合がある。しかし、本実施形態の着座センサ4によれば、比較的大きな押圧力で押圧される場所に、開口の小さな感圧スイッチ40C、40Dが位置し、比較的小さな押圧力で押圧される場所に開口の大きな感圧スイッチ40A、40Bが位置するように、着座センサ4を配置することにより、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Dのオンのし易さのばらつきが低減するように調整することができる。この結果、着座センサ4が受ける押圧力が均一とはならない場合であっても、人の着座をより適切に検出可能に調整することができる。
なお、本実施形態の着座センサ4においては、一対の絶縁シート、及び、スペーサが、互いに分離されている感圧スイッチ40A、40Bの開口34A、34Bと感圧スイッチ40C、40Dの開口34C、34D同士が、互いに異なる大きさとされた。しかし、一対の絶縁シート、及び、スペーサが、互いに分離されていない感圧スイッチの開口(例えば、感圧スイッチ40Aの開口と感圧スイッチ40Bの開口)が、互いに異なる大きさとされても良い。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について図19〜図21を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して、特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。
図18は、本発明に係る着座センサが本実施形態の載置部材上に配置された様子を示す図である。第1実施形態においては、着座センサ1が載置部材としてのシートパン92上に配置されたのに対し、本実施形態においては、図18に示すように、第1センサ部1Aが、一方の台座6上に配置され、第2センサ部1Bが他方の台座6上に配置されている。
それぞれの台座6は、座部フレームに張り渡される複数のばねを有する座席装置内に着座センサ1を配置するための部材である。具体的には、一方の台座6上に、第1センサ部1Aが載置され、他方の台座6上に第2センサ部1Bが載置された状態で、それぞれの台座6は、座席装置の複数のばねの一部に着脱可能とされる。つまりそれぞれの台座6は、着座センサ1をばねの上方に配置するための載置部材である。なお、本実施形態においては、それぞれの台座6は、互いに同じ形状とされる。
図19は、台座6の構造を示すである。具体的に図19(A)は、台座6を一方の広面側から見た上視図であり、図19(B)は、図19(A)のW−W線に沿った断面図である。図19(A)に示すように、台座6は略板状の形状をしており、一方の面は平面状とされ、他方の面には、一対の溝7が形成されている。
これら溝7は、座部フレームに張り渡される複数のばねの内、2本のばねのそれぞれの一部が嵌め込めこまれる空間SPを有している。なお、図19(B)においては、溝7に嵌め込まれるばね95を点線で示している。本実施形態におけるそれぞれの溝7は、溝7に嵌め込まれるべき上記2本のばね95の一部の形状に合わせて形成されており、溝7の両端は台座6の側面で開放されている。
また、図19(B)に示すように、溝7を形成している台座6の内側面の底部7aは、溝7に嵌め込まれるばね95の外周面の一部の形状に合わせた形状とされており、本実施形態においては、底部7aの断面形状は半円弧形状とされている。このため、溝7にばね95が嵌め込まれる場合に、底部7aと、ばね95の表面とに隙間が形成させることを防止することができる。
また、溝7を形成している台座6の内側面の側部7bは互いに平行な形状とされ、両方の側部7B間の距離(溝幅)Wは、溝7に嵌め込まれるばね95の直径と同程度とされる。さらに溝7の深さDは、ばね95の直径よりも大きい深さとされる。従って、溝7にばね95が嵌め込まれる場合に、溝7は、台座6とばね95との相対的な、位置の動きを規制する。この結果、溝7によって、座部フレームに張り渡されるばね95の上方に配置される台座6の横揺れを低減することができる。
さらに、台座6の溝7の長手方向の縁には、溝7の空間SPの内側に突出する一対の凸部8x,8yが設けられている。これら凸部8x,8yは、可撓性を有する樹脂製の板でなり、溝7の幅方向の中心から互いに同じ間隔を隔てて向き合う状態とされている。これら凸部8x,8yの一方の広面は、溝7が形成されている台座6の広面と面一とされている。また、凸部8x,8yにおいて溝7側へ最も突出する位置と、その溝7の最低位置との間の高さHは、ばね95の直径よりも小さい関係とされている。このため、溝7がばねに嵌め込まれる場合に、凸部8x,8y自身が撓むと共に、この撓みから元に戻ろうとする力が、溝7に嵌め込まれたばね95を抑える力として働くことになる。この結果、凸部8x,8yは、ばね95が溝7から外れるといった事態を低減することができる。
そして、図18に示すように、それぞれの台座6における溝7が形成されていない側の平面状の面には、第1センサ部1Aのクッション部材51A及び第2センサ部1Bのクッション部材51Bがそれぞれ接着剤により貼着されており、第1センサ部1Aが一方の台座6に載置され、第2センサ部1Bが他方の台座6に載置されている。
図20は、本実施形態の座席装置の様子を示す図である。具体的に図20(A)は、着座センサ1が配置された座席装置90の様子を上方から示す図であり、図20(B)は、着座センサ1が配置された座席装置90の様子を側方から示す図である。
図20に示すように、本実施形態の座席装置90は、座部フレーム91と、複数のばね95と、着座センサ1と、第1実施形態と同一構成のクッションパッド93及び背もたれ96とを主な構成として備える。つまり、第1実施形態の座席装置9は、シートパン92によりクッションパッド93が支持されていたのに対し、本実施形態の座席装置90は、座部フレーム91及び複数のばね95によりクッションパッド93が支持されている。従って座部フレーム91及び複数のばね95は、クッションパッド93の支持部材とされる。
座部フレーム91は、前部位のフレームとして配置される前枠部材91aと、後部位のフレームとして配置される後枠部材91bと、左部位及び右部位のフレームとして配置される一対の側枠部材91c,91dを含むフレーム構造となっている。また、座部フレーム91は、これら部材91a〜91dにより囲まれた開口を有している。前枠部材91aと側枠部材91c,91dは、例えば板金のプレス成形品からなる。また、後枠部材91bは、例えば断面が円形の金属パイプからなり、車両の幅方向に延び、その両端は側枠部材91c,91dの後端部に連結されている。
複数のばね95は、互いに所定の間隔を隔てて座部フレーム91に張り渡される。本実施形態におけるそれぞれのばね95は、同一面上で繰り返しS字状に蛇行する形状の線材からなり、それぞれのばね95の前端は前枠部材91aに取り付けられ、各ばね95後端は後枠部材91bに取り付けられている。
なお、ばね95は、例えばZ字状のようにS字状に限らず様々な形状の蛇行状態となる線材を用いることができ、また複数の形状が組み合わさる蛇行状態の線材を用いることができる。また、ばね95は、1つ又は複数の形状に繰り返し連続して蛇行する線材であっても良く、所定間隔おきに1つ又は複数の形状に蛇行する線材であっても良く、蛇行することなくストレートとなる線材であっても良い。さらに、本実施形態においては、複数のばね95は、前後方向に張り渡されるが、左右方向であっても良く、斜め方向であっても良い。
着座センサ1を載置しているそれぞれの台座6は、それぞれ2本のばね95上に配置され、ばね95とクッションパッド93との間に挟み込まれている。これらの台座6をばね95上に配置する手法は、ばね95のうち溝7に対応する部分を、その溝7の縁に設けられている凸部8x,8yに当てた状態として、それぞれの台座6をばね95に押し付ける。そうすると、凸部8x,8yは可撓性を有しているため、その凸部8x,8yの開放端が、溝7の内部側に撓んで、ばね95が溝7に嵌め込まれる。こうして、ばね95上にばね95上に台座6が配置され、クッションパッド93を配置することにより、着座センサ1は、クッションパッド93の下方において、クッションパッド93から押圧力を受けるように配置され、台座6とクッションパッド93とにより挟まれることになる。
また、着座センサ1における感圧スイッチ40A〜40Dは、それぞれヒップポイントHPよりも前方に配置される。更に本実施形態においては、感圧スイッチ40B、40Dは、互いにクッションパッドの幅方向に沿って、ばね95の鉛直上となる位置を避けて配列され、中心線Lを基準として左右対称な位置に配置される。また、感圧スイッチ40A、40Cは、感圧スイッチ40B、40Dの後方において、互いにクッションパッド93の幅方向に沿って、ばね95の鉛直上となる位置に配列され、中心線Lを基準として左右対称な位置に配置される。
これら感圧スイッチ40A〜40Dに接続される端子42A、42B(図20では省略している)は、座部フレーム91の下方から、外部の図示しない電源と測定部に電気的に接続される。
図21は、図20の座席装置90に人が正規着座したときに、座部フレーム91及びそれぞれのばね95が、クッションパッド93を介して受ける荷重の分布を示す概念図である。具体的に図21では、クッションパッド93から最も高い押圧力を受ける領域を右斜線(右上から左下に引かれる線)で示し、その次に高い押圧力を受ける領域を左斜線(左上から右下に引かれる線)で示し、右斜線及び左斜線の領域に加わる荷重よりも小さい荷重が加わる領域を点で示している。
図21に示すように、ヒップポイントHPの近傍にあるばね部分(左斜線部分)に比べて、ヒップポイントHPの前方にあるばね部分と座部フレーム部分(右斜線部分)に加わる荷重が大きくなる。この理由は、第1実施形態の場合と同様に、背もたれ96により着座する人の背中が押されることで、背中にかかる力が人の臀部を前方に押し、着座する人の臀部が、重力により鉛直方向にクッションパッド93を押圧すると共に、背中からの力により前方に向かってクッションパッド93を押すことと、前方向に延びる足の荷重が鉛直方向に働くためと考えられる。
上述したように、感圧スイッチ40A〜40Dは、ヒップポイントHPよりも前方に配置されるため、感圧スイッチがヒップポイントHPの直下に配置されると比べて、強い押圧力が感圧スイッチ40A〜40Dに加わることになる。従って、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Dは、人が正規着座する場合に、適切に人の着座による押圧力を検知することができる。
なお、本実施形態においては、クッションパッド93から最も高い押圧力を受ける領域(右斜線部分)に感圧スイッチ40B、40Dが配置され、その次に高い押圧力を受ける領域(左斜線部分)に感圧スイッチ40A、40Cが配置される。ただし、感圧スイッチ40A〜40Dそれぞれが、クッションパッド93から最も高い押圧力を受ける領域(右斜線部分)又はその領域の次に高い押圧力を受ける領域(左斜線部分)に配置されていても良い。
以上説明したように、本実施形態によれば、座部フレーム91に張り渡される複数のばね95の一部を嵌め込み可能な溝7が形成される台座6の上面に、感圧スイッチ40A〜40Dを有する着座センサ1が配置される。このため、複数のばね95の所定部位を溝7に嵌め込ませれば、ばね95の直径が小さい場合や、ばね95同士間の空間が大きい場合であっても、それぞれの台座6を介して、ばね95の上方に感圧スイッチ40A〜40Dを配置することができる。従って、感圧スイッチ40A〜40Dを安定した状態で、ばね95と、そのばね95に載置されるクッションパッド93との間に配置することができる。
そして、感圧スイッチ40A〜40Dがクッションパッド93から押圧力を受けた場合、その押圧力に対向する力が、各感圧スイッチ40A〜40Dの下方から働く。従って、感圧スイッチ40A〜40Dは、人の荷重により適切にオン状態となり、着座センサ1は、人の着座を検知することができる。
また、第1センサ部1Aと第2センサ部1Bは、屈曲性を有する導電線45により接続されているため、それぞれの台座6をそれぞれ適切な場所に配置することにより、感圧スイッチ40A〜40Dを適切な場所に配置することができる。この場合、それぞれの台座を適切な場所に配置できるよう、予めそれぞれの台座6が配置されるべき場所のばね95の形状に合わせて、溝7は形成される。
また、本実施形態の場合、感圧スイッチ40B、40Dは、ばね95の鉛直上となる位置を避けた位置に配置される一方、感圧スイッチ40A、40Cは、ばね95の鉛直上となる位置に配置されている。従って、クッションパッド93から受ける押圧力に対向する力は、ばね95の鉛直上にない感圧スイッチ40B、40Dに比べて、ばねの鉛直上にある感圧スイッチ40A、40Cのほうが大きくなる。一方、感圧スイッチ40B、40Dは、感圧スイッチ40A、40Cよりもクッションパッド93からより強い押圧力を受ける場所に配置されている。こうして、各感圧スイッチ40A〜40Dが受ける押圧力のばらつきが生じることが抑制される。この結果、各感圧スイッチ40A〜40Dがオン状態となる均一性(バランス)を向上することができる。
ところで、感圧スイッチ40A〜40Dは、線材であるばね95の直径(溝7の溝幅)よりも大きな直径を有している。このため、ばね95の鉛直上に配置される感圧スイッチ40A、40Cにおいては、そのばね95の鉛直上にある部分が、鉛直上にない部分に比べて大きな力が加わる傾向にある。つまり、感圧スイッチ40A、40Cに対する加圧力の分布が不均一となる傾向にある。この傾向は、線材であるばね95の直径が小さくなるほど顕著となる。これに対し、感圧スイッチ40B、40Dは、ばね95の鉛直上の位置を避けて配置されているため、当該感圧スイッチ40B、40Dにおける加圧力の分布はおおむね均一となる。従って、ばね95の鉛直上を避けて配置される感圧スイッチ40B、40Dは、当該ばね95の鉛直上に配置される感圧スイッチ40A、40Cに比べて、加圧力の不均一に伴う耐久性の低下が低減される。
また、ばね95が張り渡される空間の周囲は、塞がれて通気性が不良となる傾向があるため、一般に金属により成形されるばね95から熱を受け易くなる。従って、ばね95の鉛直上の位置を避けて配置される感圧スイッチ40B、40Dは、当該ばね95の鉛直上に配置される感圧スイッチ40A、40Cに比べて、ばねから受ける熱の影響が小さく、加熱に伴う耐久性の低下が大幅に低減される。
従って、本実施形態においては、ばね95の鉛直上となる位置に配置される感圧スイッチ40A(40C)と、その位置を避けて配置される感圧スイッチ40B(40D)とが並列接続されて、OR回路が構成されているため、本実施形態の着座センサ1の配置は特に有用である。この理由は、ばね95の鉛直上に感圧スイッチを配置することの利点と、その位置を避けて感圧スイッチを配置することの利点との双方を同等に得ることができるためである。
なお、本実施形態の着座センサ1における第1、第2センサ部1A、1Bの底部にはそれぞれクッション部材51A,51Bが設けられているため、ばね95の鉛直上にある感圧スイッチ40A、40Cに対する加圧力の分布が不均一になることを緩和することができる。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について図22を参照して詳細に説明する。なお、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して、特に説明する場合を除き重複する説明は省略する。
図22は、本発明の第6実施形態に係る着座センサの一部、及び、座席装置の一部の様子を示す図である。具体的には、図22は、着座センサ1の感圧スイッチ40A近傍の状態を示す図である。図22に示すように、本実施形態の着座センサ1の感圧スイッチ40Aの近傍においては、それぞれの第1絶縁シート11A側がクッションパッド93側とされて、第1絶縁シート11Aの表面に塗布された接着剤ADにより、第1絶縁シート11Aがクッションパッド93の下面に貼着されている。また、図示しないが、感圧スイッチ11B〜11Dの近傍においても、第1絶縁シート11A、11Bがクッションパッド93の下面に貼着されている。すなわち、着座センサ1は、第1絶縁シート11A及び第1絶縁シート11Bが、クッションパッドの下面に貼着により固定されることで、クッションパッド93の下方に配置され、着座センサ1の下方が空間とされる点において、第1実施形態の着座センサ1と異なる。
クッションパッド93には、凹部が形成され、この凹部にクッション部材51Aが入り込むことにより、クッション部材51Aがクッションパッド93に囲まれる構成とされても良く、或いは、クッションパッド93を弾性変形させながら、クッション部材51Aがクッションパッド93に囲まれる状態としても良い。
このようにクッションパッド93の下面に貼着された着座センサ1は、次のようにして人の着座を検知する。すなわち、人が座席装置に着座すると、人の荷重によりクッションパッド93が潰れながら下側に撓む。このときクッションパッド93の下面は、ヒップポイントHPよりも前方に位置する特定の部位が最も下側となるように撓む。そして、クッションパッド93の下面に貼着された着座センサ1は、クッションパッド93から押圧力を受けるので、クッションパッド93に押圧されたクッション部材51Aが、感圧スイッチ40Aの開口34Aに入り込むように変形する。そしてクッション部材51Aに押される第1絶縁シート11Aが、第1絶縁シート11A上に配置される第1電極14Aと共に、開口34Aに入り込むように変形して、第1電極14Aと第2電極24Aとが接触する。こうして、感圧スイッチ40Aがオンとなる。更に、クッションパッド93の下面の撓みに沿って、感圧スイッチ40Aは、クッションパッド93の下面の撓みに沿って撓む。つまり、第1絶縁シート11A及び第2絶縁シート21Aは、同じ方向に撓む。このときクッションパッド93側に配置されている第1絶縁シート11Aは、第2絶縁シート21Aよりも撓みの内周側となる。従って、感圧スイッチ40Aにおいて、第1絶縁シート11Aと第2絶縁シート21Aとの内外周差に起因して、第1電極14Aと第2電極24Aがより近づく。その結果、感圧スイッチ40Aは、よりオンし易い状況とされる。また、他の感圧スイッチ40B〜40Dも同様にオンとされる。
なお、本実施形態においては、着座センサ1は、接着剤ADで貼着されることで、クッションパッド93の下面に固定されたが、着座センサ1は、他の方法で固定されて良い。例えば、着座センサ1は、それぞれの感圧スイッチの周囲を貫通しクッションパッド93に刺される複数のピン等により、クッションパッド93の下面に固定されても良い。
本実施形態の着座センサ1及び座席装置によれば、クッションパッド93からクッション部材51Aが受ける押圧力が比較的大きい場所や、クッション部材51Aの下面の撓み量が比較的大きい場所に、各感圧スイッチ40A〜40Dが位置するように、着座センサ1を配置することができるので、全体として感圧スイッチがオンする感度を向上させることができる。
また、着座センサ1を載置する載置部材が無くとも人の着座を検知することができるので、座席装置の構成を簡易にすることができる。
以上、本発明について、第1〜第6実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態において、感圧スイッチの数を4つとしたが、本発明はこれに限らず、感圧スイッチの数は複数であればよく、感圧スイッチの数は、2つ或いは3つでもよく、5つ以上でも良い。また、上記実施形態において、感圧スイッチ40A、40Bから成る感圧スイッチ群、及び、感圧スイッチ40C、40Dから成る感圧スイッチ群のそれぞれの感圧スイッチ群においてOR回路が構成され、さらに、感圧スイッチ40A、40Bから成る感圧スイッチ群と、感圧スイッチ40C、40Dから成る感圧スイッチ群とにより、AND回路が構成されているとした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば、感圧スイッチ40A〜40D全体でOR回路が形成されても良く、感圧スイッチ40A〜40Dが直列に接続されて、感圧スイッチ40A〜40D全体でAND回路が形成されても良い。
また、上記実施形態においては、クッション部材51A、51Bは、必須の構成ではない。また、着座センサ1が、クッション部材51A、51Bを有する上記実施形態においては、クッション部材51A、51Bとクッションパッド93とが、同じ弾性力を有するとされたが、本発明は、これに限らず、クッション部材51A、51Bとクッションパッド93とが互いに異なる弾性力を有しても良い。例えば、座席装置90において、クッション部材51A、51Bが有する弾性力は、クッションパッド93が有する弾性力よりも弱いこととすることができる。この場合、座席装置90によれば、クッションパッド93よりも弾性力の弱いクッション部材51A,51Bにより、シートパン92からの振動が感圧スイッチ40A〜40Fに伝達することを抑制することができ、より感圧スイッチ40A〜40Fが安定して動作し、安定して人の着座を検出することができる。或いは、座席装置90において、クッション部材51A、51Bが有する弾性力は、クッションパッド93が有する弾性力よりも強いこととすることができる。この場合、座席装置90によれば、人の着座時にクッションパッド93の方がクッション部材51A、51Bよりも収縮し、クッション部材51A、51Bの収縮が抑制されるため、シートパン92からそれぞれの感圧スイッチ40A〜40Fまでの距離が小さくなることを抑制することができる。従って、シートパン92からそれぞれの感圧スイッチ40A〜40Fに伝わる熱をクッション部材51A、51Bでより吸収することができるので、感圧スイッチ40A〜40Fがオンするために必要な押圧力が温度により変動することを抑制することができ、着座を検出する荷重が温度により変化することを抑制することができる。また、クッション部材51A、51Bが潰れる厚さは、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Dにおける、対向する電極間距離の半分以上でなくとも良い。
また、第1〜第5実施形態では、第1センサ部1Aの第1絶縁シート11A側だけにクッション部材51Aが設けられたが、第1絶縁シート11A側及び第2絶縁シート21A側の双方にクッション部材が設けられても良い。図23は、このような第1絶縁シート11A側及び第2絶縁シート21A側の双方にクッション部材が設けられている変形例を図6と同じ視点で示す図である。図23に示す着座センサでは、第1絶縁シート11Aのスペーサ30A側とは反対側に、クッション部材51Aが設けられ、第2絶縁シート21Aのスペーサ30A側とは反対側に、クッション部材52Aが設けられている。このようなクッション部材51A、52Aに対して、着座に起因する荷重が加えられる場合、各クッション部材51A、52は、当該荷重によって潰れるように変形し、その弾性力によって各絶縁シート11A、21Aを、スペーサ30Aの開口34Aに入り込むよう適切に撓ませる。このように各絶縁シート11A、21Aを撓ませることは、荷重により変形しない物の上に着座センサが配置された場合であっても、荷重により変形する物の上に着座センサが配置された場合であっても得ることができる。従って、本変形例のように、第1絶縁シート11A側及び第2絶縁シート21A側の双方にクッション部材を設ける場合には、着座センサを配置すべき場所によって着座の検出荷重が異なることを抑制することができる。また、それぞれのクッション部材51A、52Aは、状況に応じて自在に変化できる性質を有しているため、それぞれのクッション部材51A、52Aと、クッション部材51A、52Aに対向する部材との間に部分的な隙間が生じていたとしても、第1絶縁シート11A、第2絶縁シート21Aを適切に撓ませることが可能となる。なお、所定の押圧力で押圧する位置を基準とした単位面積での弾性力や、クッション部材51A、52Aが潰れる厚さは、クッション部材51Aとクッション部材52Aとで同じであっても良く異なっていても良い。また、このような第1センサ部1Aと同様にして、第2センサ部1Bの第1絶縁シート11B側及び第2絶縁シート21B側の双方にクッション部材が設けられても良い。また、第6実施形態においても、第1絶縁シート11A、11B側及び第2絶縁シート21A、21B側の双方にクッション部材が設けられても良い。
また、上記実施形態では、クッション部材51Aは、第1センサ部1Aの第1絶縁シート11Aを介して、スペーサ30Aに形成された開口34A、30Bの全体を覆うものとされ、クッション部材51Bは、第2センサ部1Bの第1絶縁シート11Bを介して、スペーサ30Bに形成された開口34C、30Dの全体を覆うものとされた。しかしながら、クッション部材51A、51Bは、開口全体を覆わなくても良い。図24は、開口34Aとクッション部材51Aとの関係の一例を説明する図である。例えば、図24に示すように開口34Aは、クッション部材51Aにより、一部が覆われる構成とされても良い。同様に開口34Bは、クッション部材51Aにより、一部が覆われる構成とされても良く、開口34C、34Dは、それぞれクッション部材51Bにより、一部が覆われる構成とされても良い。要するに、クッション部材51A、51Bは、第1絶縁シート11A、11Bを介して各開口34A〜34Dの少なくとも一部を覆うクッション部材であれば良い。また、上記変形例においても、開口34A〜34Dの少なくとも一部が第2絶縁シート21A、21B側に設けられるクッション部材により、覆われれば良い。
このようにクッション部材51A、51Bが、各開口34A〜34Dの少なくとも一部を覆うクッション部材である場合、クッション部材が開口を覆う割合(開口に対するクッション部材の閉塞量)を相違させることで、感圧スイッチ40A〜40Dの感度を調整することができる。特に、第4実施形態のように感圧スイッチにより開口の大きさが異なる場合、例えば、開口が大きい方の感圧スイッチ及び開口が小さい感圧スイッチにおいて、いずれか一方の感圧スイッチの開口は全体がクッション部材で覆われ、他方の感圧スイッチの開口は一部のみがクッション部材で覆われるよう構成することができる。このようにすれば、感圧スイッチ40A〜40Dを配すべき場所に制約があったとしても、各感圧スイッチ40A〜40Dがオン状態となる均一性(バランス)を向上させることができる。
また、上記第5実施形態では、着座センサ1が台座により、複数のばねの上に配置された。しかし、第5実施形態のような座部フレームに91に複数のばね95が張り渡される構造である場合、着座センサ1が載置される載置部材は、台座6に限定されるものではない。例えば、座部フレーム91を着座センサ1が載置される載置部材として適用することができる。具体的には、着座センサ1を前枠部材91a、後枠部材91b、側枠部材91c又は91dの上面に載置することができる。なお、図21に示したように、これら部材91a〜91dのなかでは、前枠部材91aの上面がクッションパッド93から最も高い押圧力を受ける。このため、感圧スイッチ40A〜40Dの感度をより向上させる観点から、前枠部材91aの上面を着座センサ1の配置場所とすることが好ましい。ところで、一つの台座に載置される感圧スイッチの数が多くなる場合等においては、台座が大きくなる傾向にあり、当該台座が大きくなるほどクッションパッド93のクッション性を阻害する可能性が高くなる。このような可能性を感圧スイッチ数等にかかわらず回避する観点では、座部フレーム91の上面等を着座センサ1の配置場所とするほうが好ましい。
また、上記第5実施形態では、2本のばね95に支持可能な台座6が用いられたが、1本のばね95の屈曲部分に支持可能な台座が用いられても良い。このような台座としては、例えば、図19の(A)に示す台座6を、2つの溝7の間で切断して、切断された台座6の一方を新たな台座とすれば良い。
また、上記第5実施形態では、着座センサ1をばね95の上方で載置する台座6が用いられたが、当該ばね95の下方で載置する台座が用いられても良い。例えば、座の座面側に溝7を形成し、その溝7を2本のばね95の一部分に下方側から嵌め込んで、2本のばね95の下方で着座センサを載置する台座を挙げることができる。このような台座を採用する場合、感圧スイッチは、互いに隣り合うばねの間に配置されていても良く、ばねの直下に配置されていても良い。
また、上記実施形態において、導線46が絶縁層47で被覆された導電線45を用いたが、導電線45において、絶縁層47は必ずしも必須ではなく、導電線45の種類は、屈曲性を有する限りにおいて、変更可能である。
なお、本発明における着座センサ又は座席装置の構成要素は、上述した以外にも適宜組み合わせることができる。