以下、本発明に係る着座センサの好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1実施形態)
図2は、本発明の第1実施形態に係る着座センサを示す平面図である。図2に示すように、着座センサ1は、感圧スイッチを有するセンサ部5と、座部フレームに張り渡される2本の線材で成るばねを横断する台座6とを主な構成要素として備える。
センサ部5は、第1電極シート10と、第2電極シート20と、第1電極シート10と第2電極シート20に挟まれるスペーサ30と、第1電極シート10と第2電極シート20にそれぞれ配置されるクッション部材51,52を主な構成要素として備える。
図3は、第1電極シート10を示す平面図である。図3に示すように、第1電極シート10は、可撓性を有するフィルム状の第1絶縁シート11と、第1絶縁シート11の表面に設けられる第1電極14A〜14Fと、第1絶縁シート11の表面に設けられる端子42A、42Bとを主な構成要素として備える。
第1絶縁シート11は、座席装置の前方向に対応する前部位11Aと、座席装置の後方向に対応する後部位11Bと、座席装置の左方向に対応する左部位11Cと、座席装置の右方向に対応する右部位11Dとから成る。
前部位11Aは、座席装置を構成するクッションパッドの幅の中心を通る中心線(以下、鉛直平面という)VFのうち、座席装置の前方向に対応する位置を中心として左右に同じ長さだけ延び、その鉛直平面VFに対して垂直となる帯状のブロックとされる。なお、図3では、便宜上、鉛直平面VFは直線として示している。後部位11Bは、鉛直平面VFのうち座席装置の後方向に対応する位置を中心として左右に同じ長さだけ延び、その鉛直平面VFに対して垂直となる帯状のベースブロックB1と、そのベースブロックB1の中心から前部位11Aの近傍にまで延びる帯状のテールブロックB2とされる。左部位11Cは、鉛直平面VFを等分平面とする左右の点P1,P2における左点P1を中心とした略矩形状の左島ブロックB3と、左島ブロックB3と前部位11Aの左端とを連結する帯状の連結ブロックB4と、左島ブロックB3と後部位11BにおけるベースブロックB1の左端とを連結する帯状の連結ブロックB5とされる。右部位11Dは、鉛直平面VFを等分平面とする左右の点P1,P2における右点P2を中心とした略矩形状の右島ブロックB6と、右島ブロックB6と前部位11Aの右端とを連結する帯状の連結ブロックB7と、右島ブロックB6と後部位11BにおけるベースブロックB1の右端とを連結する帯状の連結ブロックB8とされる。
このように第1絶縁シート11(各部位11A〜11D)は、座席装置の幅の中心を通る鉛直平面VFを基準として左右対称に形成されている。なお、第1絶縁シート11を左右対称に形成することは必須の条件となるものではないが、製造効率や安定性などの観点では、左右対称に形成される絶縁シートのほうが好ましい。また第1絶縁シート11が可撓性を有していることは必須の条件となるものではないが、柔軟性や安定性などの観点では、可撓性を有する絶縁シートのほうが好ましい。
第1電極14A〜14Fは、それぞれ略円形の形状とされる。第1電極14Aと、第1電極14Bは、前部位11Aにおける一方の表面のうち、鉛直平面VFと交わる部分となる線を基準として線対称の関係となり、該鉛直平面VFに対して垂直となる方向へ一列となる位置にそれぞれ設けられる。第1電極14Cと14D、及び、第1電極14Eと14Fは、並列接続対象の組とされる。第1電極14Cと14Dは、左部位11Cにおける一方の表面のうち、左点P1を基準として点対称の関係となり、鉛直平面VFに対して垂直となる方向へ一列となる位置にそれぞれ設けられている。第1電極14Eと14Fは、右部位11Dにおける一方の表面のうち、右点P2を基準として点対称の関係となり、鉛直平面VFに対して垂直となる方向へ一列となる位置にそれぞれ設けられている。さらに、一方の組となる第1電極14C及び14Dと、他方の組となる第1電極14E及び14Fとは、同一線上に並べられている。なお、第1電極14A〜第1電極14Fが設けられる表面は、第2電極シート20が対向される側の表面である。
第1電極14Aと第1電極14Bとは第1配線16Aにより互いに電気的に接続され、この第1配線16Aは前部位11Aの表面に配されている。第1電極14C及び14Dと、端子42Aとは第1配線16Bにより互いに電気的に接続され、この第1配線16Bは、テールブロックB2、ベースブロックB1、連結ブロックB5及び左島ブロックB3の表面に沿って配されている。また第1電極14E及び14Fと、端子42Bとは第1配線16Cにより互いに電気的に接続され、この第1配線16は、テールブロックB2、ベースブロックB1、連結ブロックB8及び右島ブロックB6の表面に沿って配されている。なお、これら第1配線16A〜16Cは同一表面上にそれぞれ配されるが、異なっていても良い。
このように第1電極シート10では、第1電極14Aと第1電極14Bとが、互いに電気的に接続され、第1電極14C及び第1電極14Dが端子42Aに対して並列接続され、第1電極14E及び第1電極14Fが端子42Bに対して並列接続されている。
図4は、第2電極シートを示す平面図である。図4に示すように、第2電極シート20は、可撓性を有するフィルム状の第2絶縁シート21と、第2絶縁シート21の表面に形成される第2電極24A〜24Fを主な構成要素として有する。なお、第2絶縁シート21における可撓性は、第1絶縁シート11と同程度とされるが、異なっていても良い。
第2絶縁シート21は、第1絶縁シート11における前部位11A、後部位11B、左部位11C及び右部位11Dと同形同大でなる前部位21A、後部位21B、左部位21C及び右部位21Dを有する。なお、この第2絶縁シート21と第1絶縁シート11とは異なった形状又は大きさであっても良い。
第2電極24A〜24Fは、第1電極14A〜14Fと同形同大とされている。さらに、第2電極24A〜24Fは、第2電極シート20が第1電極シート10と重ね合わせられたときに、第2絶縁シート21の第1電極シート10側の表面において、第1電極14A〜14Fと完全に重なる位置にそれぞれ設けられている。
第2電極24Aと、並列接続対象の組とされる第2電極24C及び24Dとは第2配線26Aにより互いに電気的に接続され、この第2配線26Aは前部位21A、連結ブロックB4及び左島ブロックB3の表面に沿って配されている。また第2電極24Bと、並列接続対象の組とされる第2電極24E及び第2電極24Fとは、第2配線26Bにより互いに電気的に接続され、この第2配線26Bは前部位21A、連結ブロックB7及び右島ブロックB6の表面に沿って配されている。なお、これら第2配線26A,26Cは同一表面上にそれぞれ配されるが、異なっていても良い。
このように第2電極シート20では、第2電極24C及び第2電極24Dが第2電極24Aに対して並列接続され、第2電極24E及び第2電極24Fが第2電極24Bに対して並列接続されている。
図5は、第1電極シート10と第2電極シート20との間に挟まれるスペーサを示す平面図である。スペーサ30は、可撓性を有する絶縁シートからなる。そして、図5に示すように、スペーサ30は、外形が第1電極シート10又は第2電極シート20と一致している。
また、スペーサ30には、それぞれ同じ大きさである開口34A〜34Fが形成されている。開口34A〜34Fは、周縁が略円形の形状であり、第1電極14A〜14Fよりも直径が僅かに小さく形成されている。そして、開口34A〜34Fは、スペーサ30を第1電極シート10と重ね合わせて、スペーサ30に垂直な方向に沿って見る場合に、第1電極14A〜14Fのそれぞれの外周の内側にそれぞれの開口34A〜34Fが収まるような位置に形成されている。
さらにスペーサ30には、空気抜け用のスリットであり開口34A〜34Fをスペーサ30の外部と空間的に接続するスリット36A〜36Fが形成されている。具体的には、それぞれのスリット36A〜36Fは、一端がスペーサ30の外部と接続されている。そして、スリット36A〜36Fの他端は、対応する開口34A〜34Fと接続されている。
なお、スペーサ30の両面には、第1電極シート10及び第2電極シート20と接着されるための図示しない接着剤が塗布されている。
図6は、第1電極シート10とスペーサ30と第2電極シート20とを重ね合わせた状態を、鉛直方向から見た図である。ただし、理解容易のため、クッションパッド51,52については省略している。図7は、図6のV−V線に沿った断面の様子を示す図である。図6、図7に示すように、センサ部5は、第1電極シート10と第2電極シート20とがスペーサ30を挟んで重ね合わせられており、スペーサ30の両面に塗布された接着剤により互いに固定されて一体化されている。
このように第1電極シート10とスペーサ30と第2電極シート20とが、重ね合わされ一体化された場合、図6に示すように第1電極シート10の第1電極14D、及び、第2電極シート20の第2電極24Dは、互いに重なっており、スペーサ30に形成されている開口34Dは、第2電極24Dの外周内に収まっている。そして、第1電極14Dと第2電極24Dとは、図6に示すようにスペーサ30により所定の間隔を空けて互いに対向している。このようにして、第1、第2絶縁シート11、21と、開口34Dが形成されたシート状のスペーサ30と、開口34Dを介して互いに対向する一対の電極14D、24Dとを有する感圧スイッチ40Dが構成されている。
同様に他の第1電極14A〜14C,14E〜14Fと、他の第2電極24A〜24C,24E〜24Fとが、それぞれスペーサ30の開口34A〜34C,34E〜34Fにおいて所定の間隔をあけて対向し、図6に示すように感圧スイッチ40A〜40C,40E〜40Fが構成されている。
また、図7に示すように、第2電極シート20の表面のうち、スペーサ30に対向される表面に対して反対側となる表面には、弾性力を有し、圧力が加えられると潰れるように変形するクッション部材52が設けられている。また、第1電極シート10の表面のうち、スペーサ30に対向される表面に対して反対側となる表面には、クッション部材51が設けられている。
なお、一対のクッション部材51,52は、それぞれ対応する第1電極シート10,第2電極シート20の一方の表面全体にわたって設けられていても良く、第1電極シート10,第2電極シート20の一方の表面のうち、感圧スイッチ40A〜40Fが配置される部分の反対側となる表面部分に設けられていても良い。また一対のクッション部材51,52が、感圧スイッチ40A〜40Fの全体又は一部を覆うように一体として設けられていても良い。少なくとも、スペーサ30に対向される表面に対して反対側となる表面の一部に設けられていれば良い。なお、クッション部材51,52は、便宜上、図3では省略されている。
本実施形態では、一対のクッション部材51、52が潰れる厚さの合計は、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Fにおける、対向する電極間の距離以上とされている。また、クッション部材51、52は、互いに同じ厚さとされ、それぞれのクッション部材51、52は、同じ材質で、同じ弾性力を有しており、同じ圧力が印加される場合に、同じように潰れるように構成されている。従って、着座センサ1は、第1電極シート10と第2電極シート20のどちらを上にして、使用しても着座の検出感度を同じようにすることができる。
図8は、センサ部5の回路構成を等価回路で示す回路図である。上述のように構成されるそれぞれの感圧スイッチ40A〜40F、及び、それぞれの端子42A、42Bは、図8に示すように、第1絶縁シート11の表面に形成される第1配線16A〜16C、及び、第2絶縁シート21の表面に形成される第2配線26A、26Bにより互いに接続されている。このように各感圧スイッチ40A〜40Fが接続されることで、着座センサ1の回路が構成されている。
また、感圧スイッチ40C及び40Dは、端子42A及び感圧スイッチ40Aに対して並列接続され、感圧スイッチ40E及び40Fは、端子42B及び感圧スイッチ40Bに対して並列接続されている。そして、端子42A、感圧スイッチ40C又は40D、感圧スイッチ40A、感圧スイッチ40B、感圧スイッチ40E又は40F、端子42Bが直列として接続されている。すなわち、端子42Aと、端子42Bとの間の経路に設けられる感圧スイッチ40A〜感圧スイッチ40Fのうち、2組の感圧スイッチ40C及び40D、40E及び40Fは並列接続されている。このため、クッション部材51又は52の押圧力が感圧スイッチ40C又は40D、40E又は40Fの一方にさえ伝われば、他方の感圧スイッチに対して伝わり難いとしても接続状態が維持される。
図9は、台座を一方の面側から示す平面図である。図10は、図9のW−W線に沿った断面の様子を示す図である。図9に示すように、台座6は、可撓性を有する樹脂製の板でなる。ただし、可撓性を有していることが必須の条件となるものではない。この台座6における広面の一方には図示しないクッション部材が接着剤を介して設けられ、他方には溝7が形成されている。
この溝7の形成方向は、入れ込むべき対象となるばね部位の形成方向に対応する方向に形成され、溝7の両端は台座6の側面SRで開放されている。したがって、この溝7は、クッションパッドの底面に沿って張り渡されるばねの中間にあるばね部位を、台座6の一面に入れ込ませることが可能となり、また入れ込むべきばね部位を、台座6に形成された溝7の形成方向によって直感的に把握させることが可能となっている。
また図10に示すように、溝7の鉛直断面の底部7aは、線材であるばねの鉛直断面の半円弧形状と同形状でなる。溝7の側部7bは互いに平行とされ、その間の距離(溝幅)Wは、線材であるばねの直径と同程度とされる。溝7の深さDは、線材であるばねの直径よりも大きい深さとされる。
このように溝7は、座部フレームに張り渡される線材であるばねのうち、入れ込むべき対象となるばね部位に対応する空間SPを有するものとして形成されている。
また、溝7における長方向の縁には、溝7の空間SPの内側に突出する1対の凸部8x,8yが連結されている。これら凸部8x,8yは、可撓性を有する樹脂製の板でなり、溝7の長方向の中心から互いに同じ間隔を隔てて向き合う状態となっている。これら凸部8x,8yの一方の広面は、溝7が形成される台座6の広面と同じ面上とされる。また、凸部8x,8yにおいて溝7側へ最も突出する位置と、その溝7の最低位置との間の高さHは、ばねの直径よりも小さい関係とされている。
図11は、本発明の実施形態に係る座席装置の様子を示す図である。具体的には、図11の(A)は、着座センサ1が配置された座席装置9の様子を上方から示す図であり、図11の(B)は、着座センサ1が配置された座席装置9の様子を側方から示す図である。図11に示すように、座席装置9は、座部フレーム91と、複数のばね92と、クッションパッド93と、背もたれ96と、着座センサ1とを主な構成として備えており、座席装置9は、例えば、車両用の座席装置とされる。
座部フレーム91は、前部位のフレームとして配置される前枠部材91aと、後部位のフレームとして配置される後枠部材91bと、左部位及び右部位のフレームとして配置される一対の側枠部材91c,91dを含むフレーム構造となっている。また、座部フレーム91は、これら部材91a〜91dにより囲まれた開口を有している。前枠部材91aと側枠部材91c,91dは、例えば板金のプレス成形品からなる。後枠部材91bは、例えば断面が円形の金属パイプからなり、車両の幅方向に延び、その両端は側枠部材91c,91dの後端部に連結されている。
各ばね92は、同一面上で繰り返しS字状に蛇行する形状の線材でなる。これらばね92の前端は、前枠部材91aに取り付けられ、後端は、後枠部材91bに取り付けられる。こうして、複数のばね92は、互いに所定の間隔を隔てて同一面上に張り渡され、クッションパッド93のマットとして構成している。
なお、ばね92は、例えばZ字状のようにS字状に限らず様々な形状の蛇行状態となる線材を適用でき、また複数の形状が組み合わさる蛇行状態の線材を適用できる。また、ばね92は、1つ又は複数の形状に繰り返し連続して蛇行する線材であっても良く、所定間隔おきに1つ又は複数の形状に蛇行する線材であっても良く、蛇行することなくストレートとなる線材であっても良い。さらに、複数のばね92が前後方向に張り渡されたが、左右方向であっても良く、斜め方向であっても良い。
クッションパッド93は、クッション性を有する例えば発泡ウレタンから構成されている。従って、クッションパッド93は、弾性力を有し、押圧力が加わると潰れるように変形する。また、クッションパッド93は、図示しない布製の表皮に覆われている。
背もたれ96は、クッションパッド93の後方において、クッションパッド93に接触するように、図示しない手段により座部フレーム91と連結している。
着座センサ1は、ばね92上に配置され、ばね92とクッションパッド93との間に挟み込まれている。この着座センサ1をばね92上に配置する手法は、ばね92のうち溝7に対応するばね部位を、その溝7の長方向の縁に連結されている凸部8x,8yに当てた状態で、台座6を押し込む。そうすると、凸部8x,8yは可撓性を有しているため、その凸部8x,8yの開放端が、溝7の内部側にたわんで、ばね部位が溝7に入り込む。こうして、ばね92上に着座センサ1が配置されることとなる。
図12は、台座6の溝7にばね92が入れ込まれている部分の鉛直断面の様子を示す図である。上述したように、溝7の鉛直断面の底部7aは、ばね92の鉛直断面の半円弧形状に対して同程度の形状とされている。このため図12に示すように、溝7は、底部7aとばね92の表面とに隙間を形成させることなく、ばね部位を入れ込むことが可能となる。また、上述したように、溝7の側部7bは互いに平行とされ、その間の距離(溝幅)Wはばね92の直径と同程度とされている。このため図12に示すように、溝7は、溝幅方向へのばね92の動きを規制する。この結果、台座6に配置されるセンサ部5に生じる横揺れが大幅に低減されることになる。さらに図12に示すように、凸部8x,8yにおいて溝7側へ最も突出する位置と、その溝7の最低位置との間の高さHは、ばねの直径よりも小さい関係とされている。このため、凸部8x,8y自身が元に戻ろうとする力が、溝7に入れ込まれているばね部位を抑える力として働くことになる。この結果、凸部8x,8yは、溝7からばね部位が外れるといった事態を大幅に低減することができる。
図11に示すように、ばね92上に配置された着座センサ1におけるセンサ部5の感圧スイッチ40A、40Bは、クッションパッド93の幅方向の中心を通る鉛直平面VFを基準とした左側及び右側において、互いに対称の位置関係となり、クッションパッド93の幅方向に沿って配置される。
並列接続される2組の感圧スイッチ40C及び40D、40E及び40Fは、鉛直平面VFを基準とした左側及び右側において、互いに対称の関係となる位置に、クッションパッド93の幅方向に沿って配置される。また、並列接続される組となる一方の感圧スイッチ40C,40Fと、感圧スイッチ40A,40Bとは、ばね92の鉛直上となる位置に配されている。これに対して、並列接続される組となる他方の感圧スイッチ40D,40Eは、ばね92の鉛直上となる位置を避けた位置に配されている。
さらに、全ての感圧スイッチ40A〜40Fは、座部フレーム91上における正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方となるように配置されている。感圧スイッチ40A〜40Fに接続される端子42A、42Bは、座部フレーム91の下方から、外部の図示しない電源と測定部に電気的に接続される。
なお、「正規着座」とは、臀部が座面の奥深くに位置して、背中が背もたれ96に接触する状態で着座することを意味し、「ヒップポイント」とは、人が正規着座した状態で、臀部が最も下側に出ている点をいう。
次に、座席装置9における着座センサ1の動作について説明する。
図13は、座席装置9に人が正規着座したときに、座部フレーム91及びばね92が、クッションパッド93を介して受ける荷重の分布を示す概念図である。具体的にこの図13では、最も強く加わる荷重を右斜線で示し、その荷重よりも小さい荷重を左斜線で示し、右斜線及び左斜線で示す荷重よりも小さい荷重を点で示している。
この図13に示すように、ヒップポイントHPの近傍にあるばね部分(左斜線部分)に比べて、ヒップポイントHPの前方にあるばね部分と座部フレーム部分(右斜線部分)に加わる荷重が大きくなる。この理由は、次のように考えられる。
人が背もたれ96を備える座席装置9に正規着座するとき、臀部から前方向に延びる足の重力は、主にクッションパッド93の前方に加わる。また、人の背中が背もたれ96に接触して、背もたれ96により背中が押され、背中にかかる力が人の臀部を前方に押す。従って、着座する人の臀部は、重力により鉛直方向にクッションパッド93を押圧すると共に、背中からの力により前方に向かってクッションパッド93を押す。つまり、臀部が着座する人がクッションパッド93を押す力は、重力によって鉛直方向に働くことに加えて、背もたれ96が背中を押す力によって前方向にも働く。こうして、ばね92がクッションパッド93から受ける押圧力は、正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方において、他の部分よりも強くなる。
また、人の骨盤は前後方向に比べて左右方向に広がっているため、着座に応じてクッションパッド93からばね92が受ける押圧力は、クッションパッド93の前後方向に比べて幅方向へ大きく広がる。したがって、人が正規着座する場合、ばね92が受ける押圧力は、鉛直平面VFに対して略対称に幅方向にも広がる。
上述のように、感圧スイッチ40A〜40Fは、ヒップポイントHPよりも前方に配置されているため、ヒップポイントHPに比べて強い押圧力が感圧スイッチ40A〜40Fに加わることになる。従って、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Fは、人が正規着座する場合に、適切に人の着座による押圧力を検知することができる。
図14は、台座6の溝7にばね92が入れ込まれて着座センサ1がばね92上に配されている状態で、例えば感圧スイッチ40Dがオンする様子を図7と同じ視点で示す図である。なお、図14においては、理解の容易のため、台座6及びばね92の一部分のみを示している。
人が着座すると、ヒップポイントHPよりも前方に配置されている感圧スイッチ40Dは、その感圧スイッチ40Dの構成要素である第1電極14D及び第2電極24Dの電極面に対して垂直な方向から、ばね92及びクッションパッド93によって、矢印で示すように適切に押圧される。つまり、クッション部材52は、座席のクッションパッド93から押圧力を受け、クッション部材51は、ばね92から押圧力を受ける。このときクッション部材51、52は、押圧力により、潰れるように変形する。そして、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21は、クッション部材51、52の弾性力により、クッション部材51、52から押圧力を受けて、スペーサ30の開口34Dに入り込むようにして撓む。このため、スペーサ30の開口34Dを介して対向する絶縁シート11、20に設けられた電極14D、24Dが接触する。こうして、感圧スイッチ40Dがオンとなる。
そして、鉛直平面VFを基準として、感圧スイッチ40Dと対称な位置に配置されている感圧スイッチ40Eも、感圧スイッチ40Dと同様にして、クッション部材51、52の弾性力により、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21が押圧されて撓むことでオンになる。また、感圧スイッチ40A、40B、40C、40Fも、感圧スイッチ40D,40Eと同様にして、クッション部材51、52の弾性力により、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21が押圧されて撓むことでオンになる。
並列接続の組となる感圧スイッチ40C及び40D、40E及び40Fの少なくとも一方がオンになり、感圧スイッチ40A及び40Bがオンになる場合に、端子42Aと端子42Bとが導通する。こうして、着座センサ1により感知する感知信号を図示しない測定部が測定することにより人の着座を検出する。
なお、本実施形態の着座センサ1では、上述のように、クッション部材51、52が潰れる厚さの合計が、電極14A〜14Fと電極24A〜24Fとの間の距離以上とされている。従って、クッション部材51、52が撓まずに潰れる変形をすることのみによって、感圧スイッチ40A〜40Fをオンにすることができるため、適切に着座の検出を行うことができる。
また、第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21が撓む際、各開口34A〜34F内の空気は、スリット36A〜36Fを介して外部に排出される。従って、各感圧スイッチ40A〜40Fがオンになるとき、適切に第1絶縁シート11及び第2絶縁シートが撓むことができ、各感圧スイッチ40A〜40Fの一対の電極が接触し易くされている。
以上説明したように、本実施形態の座席装置9によれば、着座センサ1が、ばね92上に配置されるため、着座センサ1による違和感を防止することができる。また、着座センサ1を構成する台座6に形成される溝7にばね92の一部が入れ込まれることで、着座センサ1がばね92上に配置され、そのばね92(溝7)の鉛直上に感圧スイッチ40A,40B,40C,40Fが配置されている。このため、感圧スイッチ40A,40B,40C,40Fがクッションパッド93から押圧力を受けた場合、その押圧力に対向する力が、ばね92の付勢力も加わって感圧スイッチ40A,40B,40C,40Fの下方から働くことになる。したがって、感圧スイッチ40A,40B,40C,40Fには、ばね92の鉛直上とは異なる位置に配置されている感圧スイッチ40D,40Eに比べて大きい力が働くことになる。つまり、単位押圧力当たりの感圧スイッチ40A,40B,40C,40Fの感度が、他の感圧スイッチ40D,40Eよりも向上される。
ところで、感圧スイッチ40A〜40Fは、線材であるばね92の直径(溝7の溝幅)よりも大きい断面を有しているため、その線材であるばね92の鉛直上に配置されている感圧スイッチ40A,40B,40C,40Fでは、その線材に対応する部分に対して他の部分に比べて大きな力が加わることになる。つまり、感圧スイッチ40A,40B,40C,40Fに対する加圧力が不均衡となる。しかし、感圧スイッチ40D,40Eは、線材であるばね92の鉛直上とは異なる位置に配置されているため、これら感圧スイッチには、クッションパッド93から受ける押圧力に対向する力がおおむね均一に加わることになる。したがって、感圧スイッチ40D,40Eは、線材であるばね92鉛直上に配置されている感圧スイッチ40A,40B,40C,40Fに比べて、加圧力の不均衡に伴う耐久性の低下が大幅に低減される。また、ばね92が張り渡される空間の周囲は、おおむね塞がれて通気性が不良となるため、一般に金属により成形されるばね92から熱を受け易くなる。この点、感圧スイッチ40D,40Eは、ばね92鉛直上とは異なる位置に配置されているため、ばね92鉛直上に配置される感圧スイッチ40A,40B,40C,40Fに比べて、加熱に伴う耐久性の低下が大幅に低減される。
ばね92の鉛直上に配置される感圧スイッチ40C,40Fと、その位置を避けて配置される感圧スイッチ40D,40Eとが並列接続されている。したがって、上述したように、ばね92の鉛直上に感圧スイッチを配置する場合の利点と、その位置を避けて感圧スイッチを配置する場合の利点との双方を同等に得ることができる。
また、着座センサ1の底部となる台座6と、ばね92との間にはクッション部材51が設けられているため、感圧スイッチ40A〜40Fに加わろうとする力が不均衡であったとしても、その差が緩和されて感圧スイッチ40A〜40Fに伝達される。つまり、加圧力の不均衡に伴う各感圧スイッチ40A〜40Fに対する伝達効率が向上するため、耐久性の低下がより一段と低減されるとともに、感圧スイッチ40A〜40Fの感度がより一段と向上される。
また上述したように、背もたれ96を備える座席装置9に人が正規着座して、クッションパッド93に荷重がかかるとき、ばね92がクッションパッド93から受ける押圧力は、正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方において、他の部分よりも比較的強い。従って、本実施形態の座席装置9によれば、感圧スイッチ40A〜40Fが、正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方に配置されているため、人の着座を適切に検出することができる。そして、座席装置9に用いる着座センサ1の配置方法によれば、着座センサ1をばね92上に配置するため、着座センサ1による違和感を防止することができ、さらに、感圧スイッチ40A〜40Fが、正規着座する人のヒップポイントHPよりも前方に配置されるため、人の着座を適切に検出することができる。
また上述のように、通常、人がクッションパッドの幅方向の略中心に着座した場合、前後方向に比べて左右方向に広がる骨盤に起因して、クッションパッドはその幅方向の中心を通る鉛直平面VFを基準としておおむね左右均等に押圧される。これに対し、荷物は、クッションパッド93の幅方向の中心に置かれるとは限らない。従って、荷物を座席装置9に置く場合においては、ばね92がクッションパッド93から受ける押圧力は、鉛直平面VFを基準として左右対称にならない傾向にある。本実施形態の2組の感圧スイッチ40C及び40Dと、40E及び40Fとは、座席装置の幅の中心を通る鉛直平面VFを基準として左右対称に配置されるため、人の着座を適切に検出し、荷物を誤検出することを抑制することができる。
次に、着座センサ1を構成する材料について説明する。
上述したように、台座6、凸部8x,8y、第1電極シート10の絶縁シート11、及び、第2電極シート20の絶縁シート21、及び、スペーサ30は、可撓性を有する絶縁性の樹脂から構成されている。このような樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)等が挙げられる。中でもPENが耐熱性に優れる観点から好ましい。
また、スペーサ30の両面に塗布される接着剤、及び、センサ部5のクッション部材51と台座6とに塗布される接着剤としては、アクリル系の接着剤が好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの一種または二種以上を単量体成分として用いたアクリル系重合体をベースとするものが挙げられる。
また、第1電極14A〜14F、及び、第2電極24A〜24F、及び、第1配線16A〜16C、及び、第2配線26A、26B、及び、端子42A、42Bは、導電性ペーストや、めっきにより形成される金属箔等から構成される。このうち一部を導電性ペーストにより構成し、他の部分をめっきによる金属箔により構成しても良い。導電性ペーストとしては、銀ペーストなどの各種金属ペーストやカーボンペースト等が挙げられる。また、めっきにより形成される金属箔としては、銅やニッケル、或いは、これらの積層体等が挙げられる。
特に、第1電極14A〜14F、及び、第2電極24A〜24Fの少なくとも一方は、温度の上昇に伴い、抵抗値が上昇する材料から構成されることが好ましい。第1絶縁シート11、第2絶縁シート21のような可撓性を有する樹脂は、通常、温度の上昇と共に撓み易くなり、座席装置9が置かれる環境の温度が上昇すると、弱い押圧力で第1電極14A〜14Fと第2電極24A〜24Fとが接触し易くなる。この場合において、上述のように、第1電極14A〜14F、及び、第2電極24A〜24Fの少なくとも一方が、温度の上昇に伴い抵抗値が上昇する電極であれば、温度の上昇と共に第1絶縁シート11及び第2絶縁シート21が撓み易くなり、第1電極14A〜14Fと第2電極24A〜24Fとが接触し易くなるが、接触した電極に電流が流れづらくなる。従って、電極同士の接触のしやすさと、電極に流れる電流の流れづらさとが相殺し合って、座席装置9の環境温度が変化する場合においても、感圧スイッチ40A〜40Fがオンとなる押圧力が変化することを抑制することができる。特に、座席装置9が自動車に搭載される場合においては、車内の温度の変化が大きい。そして、一般にばね92は金属性であるため、着座センサ1に熱が伝達し易い。従って、上述のように第1電極14A〜14F、及び、第2電極24A〜24Fの少なくとも一方が、温度の上昇に伴い抵抗値が上昇する材料から構成されれば、車内が温度変化する場合においても、適切に人の着座を感知することができる。従って、このような座席装置9は、特に自動車用途に有用である。このような電極としては、銀ペースト上にカーボンペーストが塗布された2層の電極を挙げることができる。
また、クッション部材51、52は、上述のように弾性力を有し、潰れるように変形する部材である。このような部材を構成する材料であれば、特に制限されるものではないが、クッション部材51、52の材料としては、多数の空孔が設けられたスポンジ状の樹脂や、弾性力を有する樹脂や、弾性力を有する樹脂製の繊維が絡み合った不織布や、ゴム等を挙げることができる。このような樹脂としては、ウレタンシリコン、ポリエステルの少なくとも一方を含有する樹脂をあげることができ、このような樹脂であれば、温度の変化による弾性力の変化が少ないため、着座センサ1が自動車等の環境温度の変化が大きい場所に配置される場合においても、着座の検出荷重の変化を抑制することができるため好ましい。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図15〜図17を参照して詳細に説明する。なお、特に説明する場合を除き、第1実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の参照符号を付して、重複する説明は省略する。図15は、本発明の第2実施形態に係る座席装置に用いられる着座センサのセンサ部を示す平面図である。
図15に示すように、本実施形態におけるセンサ部50は、感圧スイッチ40A〜40Fの第1電極14A〜14Fが櫛歯電極から構成されている点において、第1実施形態のセンサ部5と異なる。
図16は、第1電極シートを示す平面図である。図16に示すように、第1電極14A〜14Fを構成する櫛歯電極は、互いに平行な複数本の導体が一方側において互いに接続されており、更に、互いに平行な他の複数本の導体が他方側において互いに接続されている。そして、一方側で接続された複数本の平行導体の間に、他方側で接続された他の複数本の平行導体が入り込むように配置されており、それぞれの導体が交互に並べられている。そして、一方側で接続された複数本の平行導体と、他方側で接続された他の複数本の平行導体とは、互いに一定の間隔をあけて、互いに絶縁されている。このように櫛歯電極においては、1つの電極内に互いに絶縁されている一組の平行導体を有する。
そして、第1電極14C,14Dにおける一方側で接続された複数本の平行導体は、第1実施形態と同様の第1配線16Bに接続され、他方側で接続された他の複数本の平行導体は、第1配線16Dの一端に接続される。第1配線16Dの他端は、第1電極14Aにおける一方側で接続された複数本の平行導体に接続され、第1電極14Aにおける他方側で接続された複数本の平行導体は、第1実施形態と同様の第1配線16Aに接続される。一方、第1電極14E,14Fにおける一方側で接続された複数本の平行導体は、第1実施形態と同様の第1配線16Cに接続され、他方側で接続された他の複数本の平行導体は、第1配線16Eの一端に接続される。第1配線16Eの他端は、第1電極14Bにおける一方側で接続された複数本の平行導体に接続され、第1電極14Bにおける他方側で接続された複数本の平行導体は、第1実施形態と同様の第1配線16Aに接続される。
図17は、第2電極シートを示す平面図である。図17に示すように、本実施形態の第2電極シート20は、第2配線26A、26Bが設けられていない点において、第1実施形態の第2電極シート20と異なる。
そして、図15に示すように、図16に示す第1電極シート10と図17に示す第2電極シート20とが、第1実施形態と同様のスペーサ30を介して重ねられて一体化されている。
本実施形態のセンサ部5は、第1実施形態の着座センサ1と同様に、台座6の座面に設けられ、その台座6を介して、座席装置9における座部フレーム91に張り渡されるばね92上に配置される。
人の着座に応じてクッションパッド93から感圧スイッチ40A〜40Fに押圧力が加わると、第2電極24A〜24Fが、第1電極14A〜14Fにおけるそれぞれの平行導体に接触する。このため、第1電極14A〜14Fにおける互いに絶縁されている一組の平行導体同士が、第2電極24A〜24Fを介して、電気的に接続される。こうして、感圧スイッチ40A〜40Fがオンとなる。このように感圧スイッチ40A〜40Fがオンとなることにより、センサ部50では人の着座が検出される。
以上、本発明について、第1実施形態及び第2実施形態を例に説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、2本のばね92に対して、台座6の座面とは反対側に形成される溝7を、ばね92の上方側から嵌め込むようにして、2本のばね92に台座6が支持された。しかしながら、ばねに対する台座の支持手法は、上記実施形態に限定されない。例えば、溝を形成すべき対象を台座6の座面側とし、2本のばね92に対して、その座面側に形成される溝を、ばね92の下方側から嵌め込むようにして、2本のばね92に台座6が支持されても良い。なお、このような支持手法を適用する場合、台座6の座面側に有する溝の底部に沿って1つ以上の感圧スイッチを配置し、ばねと溝との間に感圧スイッチが介在するようにしても良い。
また、上記実施形態では、溝7によって、ばね92に対して台座6が支持されたが、溝以外の固定具によって支持されても良い。例えば、接着剤によってばね92に台座6が支持されても良く、台座6と座部フレーム91又は床とに接続する手段によってばね92に台座6が支持されても良い。また別例として図18に示す台座60であっても良い。図18は、クッションパッドの幅方向に対応するばねと台座との断面の様子を示す図である。図18に示すように、この台座60は、樹脂製でなる1対の板部材の60a,60bを有する。これら板部材の60a,60bの一方の広面には、4つのばね92のうち、入れ込むべき対象となる各ばね部位の中心軸を通る水平面を境界として一方の領域に対応する空間を有する溝70a,70bが形成される。そして、これら溝70a,70bにばね部位が入れ込まれた状態で1対の板部材の60a,60bが一体化されることにより台座60が構成される。このような台座60が適用された場合にも上記実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、板部材の60a,60b同士の間に空間が形成されていても良い。この空間を形成する場合、例えば、線材であるばねの鉛直断面の一部の円弧と同じ形状となる鉛直断面となる溝70a,70bが適用されれば良い。
また、上記実施形態では、溝7にばね部位を押さえ付けるものとして、可撓性を有する板状の凸部8x,8yが、溝7の長方向の中心から互いに同じ間隔を隔てて向き合う状態で連結された。しかし、可撓性を有する板状の凸部8x,8yが、溝7の長方向の中心から互いに同じ間隔を隔てて向き合う状態で、溝7の長方向へ所定間隔ごとに連結されていても良い。また、溝7の長方向の一端に連結され、他端近傍にまで延びる凸部が適用されても良い。さらに、溝7の内周面に対して台座6の一面と平行に設けられるスライド溝を摺動可能な樹脂製の板材が適用されても良い。さらに、凸部8x,8yに代えて、テープを貼るようにしても良い。さらに、図18に示した例のように、凸部8x,8yが省略されていても良い。なお、これら例示以外のものが適用されても良い。
また、上記実施形態では、2本のばね92における一方の側から他方の側へ横断する台座6が適用されたが、2本以上のばね92を横断する台座が適用されても良い。
また、上記実施形態では、感圧スイッチの数が6つとされたが、5つ以下でもよく、7つ以上でも良い。また、並列接続される感圧スイッチの数は2つとされたが、2つ以上であれば良い。さらに、並列接続される感圧スイッチ群40C,40Dと40E,40Fの組が2組であったが、1組又は3組以上でもよい。ただし、並列接続される感圧スイッチ群の組数は、対称性の観点では、偶数であるほうが好ましい。さらに、並列接続される感圧スイッチ群を省略しても良い。さらに、感圧スイッチ40Aと40Bを省略し、並列接続される感圧スイッチ群40C,40Dと40E,40Fとを直列に接続して、AND/OR回路を形成しても良い。
また、上記実施形態では、並列接続対象の組となる感圧スイッチ40C及び40Dと40E及び40Fとが、鉛直平面VFに対して垂直となる方向へ一列に並べられたが、鉛直平面VFに対して平行となる方向へ一列に並べられても良い。
また、上記実施形態では、感圧スイッチ40Aと40B、並列接続対象の感圧スイッチ40C,40Dと40E,40Fが、鉛直平面VFを境界として左右対称となるように配置されているとしたが、鉛直平面VFを境界として、一方側のみに配置されても良い。
また、各感圧スイッチ40A〜40Fにおける、第1電極14A〜14Fと第2電極24A〜24Fとは形状、大きさが一致しており、互いに完全に重なるものとされたが、押圧力を感知できる範囲で、大きさや形状等が異なっていても良い。例えば、感圧スイッチ40A,40Bにおける開口34A、34Bの直径が、感圧スイッチ40C〜40Fにおける開口34C〜34Fの直径よりも大きく形成されても良い。つまり少なくとも2つの感圧スイッチが、互いに開口の直径が異なるようにしても良い。人が座席装置に着座する場合において、座部フレーム91がクッションパッド93から受ける押圧力は、座部フレーム91の場所により異なるが、着座センサ1をこのように構成することにより、座部フレーム91上において、クッションパッド93から比較的小さな押圧力がかかる場所に開口の直径が大きな感圧スイッチを配置して、比較的大きな押圧力がかかる場所に開口の直径が小さな感圧スイッチを配置することができる。このように着座センサを配置することにより、クッションパッド93上に人が着座して、スペーサ30に形成された開口の直径が互いに異なるそれぞれの感圧スイッチに対して、異なる押圧力がかかる場合に、それぞれの感圧スイッチにおける絶縁シート11、21が適切に撓み、それぞれの感圧スイッチ40A〜40Fが適切にオンすることができる。このため、人の着座を適切に検出することができる。そして、このように少なくとも2つの感圧スイッチが、互いに開口の直径が異なる場合においては、互いに開口の直径が異なるそれぞれの感圧スイッチは、互いに電気的に直列に接続されていることが好ましい。
またさらに、上記の様に、少なくとも2つの感圧スイッチが、互いに開口の直径が異なるようにする場合、さらに、開口の直径が互いに等しい少なくとも2つの感圧スイッチを備え、鉛直平面VFを基準とした左側及び右側に、開口の直径が互いに等しい感圧スイッチが少なくとも1つずつ配置されることが好ましい。人は、通常、クッションパッド93の幅方向の中心に着座するため、人の着座をより適切に検出して、クッションパッド93の幅方向に中心に配置されない荷物を人の着座として荷物を誤検出することを抑制することができる。そして、このように構成する場合、さらに鉛直平面VFの左側及び右側に配置される開口の直径が互いに等しい感圧スイッチの少なくとも一組は、クッションパッド93の幅方向に沿って配置されていることが好ましく、鉛直平面VFの左側及び右側に配置される開口の直径が互いに等しい感圧スイッチの少なくとも一組は、鉛直平面VFを基準として互いに対称な位置に配置されていることがより好ましい。このように構成することにより、人の着座を更に適切に検出し、荷物を人の着座として誤検出することを更に抑制できる。このように構成するには、例えば、感圧スイッチ40A〜40Fの位置が上述の実施形態と同様にされ、感圧スイッチ40A,40Bにおける開口34A、34Bの直径が、感圧スイッチ40C〜40Fにおける開口34C〜34Fの直径よりも大きく形成され、さらに、感圧スイッチ40C,40Dと40Bにおける開口34C,34Dと34Bを同じ直径にして、感圧スイッチ40E,40Fと40Aにおける開口34E,34Fと34Aを同じ直径にすれば良い。
更に、上記実施形態において、クッション部材52を設けず、クッション部材51のみが設けられる構成であっても良い。この場合においても、着座センサ1は、従って、クッション部材51が、シートパン側の絶縁シート11がスペーサの開口に入り込むように、絶縁シート11を押圧し、クッションパッド93側の絶縁シート21は、クッションパッド93の弾性力により、スペーサ30の開口34A〜34Fに入り込むように撓む。こうして、一対の絶縁シートが撓むことにより、スペーサの開口を介して対向する一対の電極同士が接触することができるので、適切に感圧スイッチをオンすることができ、着座を適切に検出することができる。さらに、クッション部材51、52は、必ずしも必要ではない。この場合においても、クッションパッド93が、絶縁シート21を押圧することで、人の着座を感知することができる。
また、上記実施形態のように、一対のクッション部材51、52が設けられている場合、クッション部材51、52は、同じ弾性力を有し、同じ厚さとされたが、本発明は、これに限らず、クッション部材51、52が互いに異なる弾性力を有しても良く、互いに異なる厚さであっても良い。
また、上記実施形態のように、一対のクッション部材51、52が設けられている場合、クッション部材51、52は、着座センサ1に垂直な方向から見る場合に、互いに異なる形状であっても良い。この場合、クッション部材51は、第1絶縁シート11を介して少なくともスペーサ30の開口34A〜34Fを覆い、クッション部材52は、第2絶縁シート21を介して、少なくともスペーサ30の開口34A〜34Fを覆うように配置されていれば良く、クッション部材51、52の少なくとも一方が、スペーサ30の開口と重なる位置のみに設けられていてもよい。
また、上記実施形態においては、第1絶縁シート11と第2絶縁シート21とが、互いに同じ可撓性を有し、同じ力が加わると同じように撓むとしたが、第1絶縁シート11と第2絶縁シート21とは、互いに異なる可撓性を有していても良い。