JP5633755B2 - 触媒劣化診断方法 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関から排出される排ガスの浄化等に用いる触媒の劣化を診断する方法に関する。
従来から、自動車のような内燃機関から排出される有害成分を浄化するための排ガス浄化用触媒が数多く開発されており、このような排ガス浄化用触媒としては、例えば、金属酸化物からなる担体に白金(Pt)やロジウム(Rh)といった貴金属を担持させたものが広く知られている。また、触媒の排ガス浄化性能をより向上させることを目的として、前記金属酸化物として酸素吸放出能を有するセリアやランタナ等の希土類金属酸化物を用いた触媒も広く知られており、このような触媒としては、例えば、特開2009−84061号公報(特許文献1)において、セリウムイオンとジルコニウムイオンとが規則配列した結晶相(以降、規則配列相と称する)を有する触媒としてセリア−ジルコニア系複合酸化物を用いた排ガス浄化用触媒が記載されている。
このような排ガス浄化用触媒の劣化を診断する方法としては、例えば、特開平10−30999号公報(特許文献2)において、電極、電気的絶縁性を有する複合酸化物等の拡散層、及び貴金属等の導電性金属種を備える熱履歴検出センサを用いて触媒が受けた熱履歴を検出し、触媒の劣化を検出する方法が記載されている。しかしながら、このような熱履歴検出センサにおいて検出している対象は貴金属の凝集であり、酸素吸放出能の低下を検出することはできなかった。
また、酸素吸放出能の低下を検出して触媒の劣化を診断する方法としては、例えば、特開2009−191787号公報(特許文献3)において、触媒に流入する排ガスの空燃比を強制的にリッチ側又はリーン側に切り替え、この切り替えに伴って触媒の酸素吸蔵容量を計測し、触媒の劣化を診断する方法(いわゆるCmax法)が記載されている。しかしながら、このようなCmax法を実施する際には、触媒に流入する排ガスの流路の上流及び下流にそれぞれ空燃比センサを設置することが必要であった。また、該Cmax法においては排ガス流路内の空燃比をモニタリングすることで触媒の状態変化を間接的にモニタリングしているため、センサ自体が劣化した場合には正確な診断をすることが困難となるという問題を有していた。なお、このようなセンサとしては、例えば、特開2007−315979号公報(特許文献4)において、温度補償材としてCe0.50.52−δを、ガス検出材である酸化物半導体としてCe0.9Zr0.1をそれぞれ用いた酸素センサ素子が記載されているが、センサ自体の劣化については記載されていない。
また、前記セリアを含むn型半導体については、例えば、チタニアを触媒とした一酸化炭素の酸化反応速度とチタニアの電子導電率の二乗とが相関関係にあることがJean−Marie Herrmann、Catalysis Today、2006年、112巻、73〜77ページ(非特許文献1)に記載されているが、酸素吸放出能や触媒劣化については何ら記載されていない。
特開2009−84061号公報 特開平10−30999号公報 特開2009−191787号公報 特開2007−315979号公報
Jean−Marie Herrmann、Catalysis Today、2006年、112巻、73〜77ページ
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、被検触媒から直接得られる情報に基づいて、触媒の劣化を簡便かつ正確に診断することが可能となる触媒劣化診断方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、酸素吸放出能を有する触媒においては、供給される排ガスの空燃比がリーン側(酸化雰囲気)からリッチ側(還元雰囲気)又はリッチ側からリーン側に反転される際の抵抗変化率と、酸素吸放出能との間には相関関係があることを見出し、例えば、前記空燃比がリーン側からリッチ側に反転される時の触媒の抵抗変化率は、該触媒の酸素吸放出量が低下するにつれて増加することを見出した。
このような知見に基づき、本発明者らは、排ガスが流通する排ガス流路内に配置された被検触媒を用いて該排ガスを浄化する触媒の劣化を診断する方法において、前記流路内の排ガスの空燃比をリーン側からリッチ側又はリッチ側からリーン側に反転させ、前記空燃比反転時に前記被検触媒の電気抵抗の経時変化を測定して該被検触媒の抵抗変化率を求め、前記抵抗変化率に基づいて前記被検触媒の劣化を判定することにより、排ガスを浄化する触媒における酸素吸放出能の低下による触媒活性の低下、すなわち該触媒の劣化を簡便かつ正確に診断することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の触媒劣化診断方法は、
排ガスが流通する排ガス流路内に配置された酸素吸放出能を有する被検触媒を用いて、酸素吸放出能を有し該排ガスを浄化する触媒の劣化を診断する方法であって、
前記流路内の排ガスの空燃比をリーン側からリッチ側又はリッチ側からリーン側に反転させる排ガス制御工程と、
前記空燃比反転時に前記被検触媒の電気抵抗の経時変化を測定して該被検触媒の抵抗変化率を求める測定工程と、
前記抵抗変化率と、前記被検触媒において予め求めた空燃比反転時の抵抗変化率と酸素吸放出能との間の相関関係とに基づいて前記被検触媒の酸素吸放出能の低下による劣化を判定する判定工程と、
を含むことを特徴とするものである。
上記本発明の触媒劣化診断方法の一形態としては、
前記流路内に配置された対向する少なくとも1対の第1の電極と、該第1の電極間に配置された前記被検触媒と、前記被検触媒に電気的に接続された抵抗値測定手段と、前記抵抗値測定手段に電気的に接続された判定手段とを備える触媒劣化診断装置を用い、
前記測定工程において、前記空燃比反転時に前記抵抗値測定手段により前記被検触媒の電気抵抗の経時変化を測定して該被検触媒の抵抗変化率を求め、
前記判定工程において、前記判定手段により、前記抵抗変化率と、前記被検触媒における酸素吸放出能と抵抗変化率との関係を予め求めて設定した抵抗変化率に関する第1の閾値とを比較することによって該被検触媒の劣化を判定することが好ましい。
また、上記本発明の触媒劣化診断方法の他の形態としては、
前記流路内に配置された対向する少なくとも1対の第1の電極と、該第1の電極間に配置された前記被検触媒と、前記流路内に配置された対向する少なくとも1対の第2の電極と、該第2の電極間に配置されかつ予め耐久試験を施されている参照触媒と、前記被検触媒及び参照触媒に電気的に接続された抵抗値測定手段と、前記抵抗値測定手段に電気的に接続された判定手段とを備える触媒劣化診断装置を用い、
前記測定工程において、前記空燃比反転時に前記抵抗値測定手段により前記被検触媒及び参照触媒の電気抵抗の経時変化を測定して該被検触媒及び参照触媒の抵抗変化率を求め、
前記判定工程において、前記判定手段により、前記被検触媒の抵抗変化率と前記参照触媒の抵抗変化率との比と、前記被検触媒及び参照触媒における酸素吸放出能と抵抗変化率との関係を予め求めて設定した抵抗変化率比に関する第2の閾値とを比較することによって該被検触媒の劣化を判定することが好ましい。
なお、本発明の触媒劣化診断方法により、被検触媒から直接得られる情報に基づいて、触媒の劣化を簡便かつ正確に診断することが可能となる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、規則配列相を有するセリア−ジルコニア系複合酸化物のように酸素吸放出能を有する触媒は、高温条件に長時間及び/又は繰り返し曝されて触媒が劣化すると結晶構造が規則的な構造からランダムな構造へと変化し、酸素吸放出能が低下する。このような規則配列相を有する複合酸化物に用いられるセリア等の希土類金属酸化物は、酸化状態から還元されると電気抵抗が下がる傾向にあり、さらに、一般に、粒子の電気抵抗は、粒子の結晶構造、粒子界面の状態・量、粒子径等によっても左右される。したがって、前述のように結晶構造がランダムな構造になって結晶内からの酸素の放出速度が遅くなった触媒では、例えば、排ガスの空燃比をリーン側(酸化雰囲気)からリッチ側(還元雰囲気)に切り替えた場合(還元時)に、触媒の表面のみが優先的に還元されるため、還元時の急激な電気抵抗の減少がみられると本発明者らは推察する。
他方、劣化する前の結晶構造が規則的な触媒においては、結晶バルク内に酸素が十分に拡散され、結晶全体において酸素濃度が一様に保たれているため、還元時には触媒の内部から一様に還元され、還元による電気抵抗の低下が上記の劣化しているものと比較して緩やかになる。そのため、排ガスの空燃比反転時の被検触媒の電気抵抗の経時変化を測定し、その抵抗変化率を求めることにより、酸素吸放出能の低下による触媒活性の低下すなわち前記被検触媒の劣化を判定することが可能となると本発明者らは推察する。
したがって、排ガスの浄化等を目的として前記排ガスが流通する排ガス流路内に配置される触媒(排ガス浄化用触媒)と同様の触媒を前記被検触媒として用い、該被検触媒を前記排ガス浄化用触媒と同一流路内に配置して本発明の触媒劣化診断方法を実施し、前記被検触媒の劣化をモニタリングすることにより、前記排ガス浄化用触媒の劣化を診断することが可能となる。
本発明によれば、被検触媒から直接得られる情報に基づいて、触媒の劣化を簡便かつ正確に診断することが可能となる。
本発明の第1の実施形態に係る触媒劣化診断素子の一実施形態を示す概略斜視図である。 本発明において用いられる触媒劣化診断装置の一実施形態を示す模式図である。 酸素吸放出量と抵抗変化率との関係の一例を示すグラフである。 本発明の第1の実施形態に係る触媒劣化診断方法を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係る触媒劣化診断素子の一実施形態を示す概略斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係る触媒劣化診断方法を示すフローチャートである。 実施例1及び2において用いた測定装置を示す模式図である。 実施例1におけるガスの切り替えに伴う電気抵抗の経時変化を示すグラフである。 実施例1における酸素吸放出量と抵抗変化率との関係を示すグラフである。 実施例2における耐久試験回数と抵抗変化率比との関係を示すグラフである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。本発明の触媒劣化診断方法は、
排ガスが流通する排ガス流路内に配置された被検触媒を用いて該排ガスを浄化する触媒の劣化を診断する方法であって、
前記流路内の排ガスの空燃比をリーン側からリッチ側又はリッチ側からリーン側に反転させる排ガス制御工程と、
前記空燃比反転時に前記被検触媒の電気抵抗の経時変化を測定して該被検触媒の抵抗変化率を求める測定工程と、
前記抵抗変化率に基づいて前記被検触媒の劣化を判定する判定工程と、
を含むものである。
本発明によって劣化を診断することが可能な触媒としては、触媒の少なくとも一部が酸素吸放出能を有するものが挙げられる。このような触媒としては、例えば、希土類金属酸化物を含有する触媒が挙げられ、より具体的には、希土類金属酸化物からなる多孔性担体に貴金属を担持させた排ガス浄化用触媒等が挙げられる。前記希土類金属酸化物としては、セリア、ランタナ、セリア−ジルコニア複合酸化物、セリア−ジルコニア−イットリア複合酸化物、セリア−アルミナ複合酸化物、セリア−アルミナ−ジルコニア複合酸化物、セリア−シリカ複合酸化物、セリア−シリカ−ジルコニア複合酸化物等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記担体としては、前記希土類金属酸化物の他に、アルミナ、シリカ、酸化マグネシウム等の金属酸化物をさらに含有していてもよい。また、前記貴金属としては、Pt、Pd、Rh、Ir、Ru等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、本発明に係る被検触媒としては、診断対象となる上記触媒と同じものを用いることが好ましい。さらに、本発明に係る被検触媒としては、電気抵抗を直接測定され、抵抗変化率と酸素吸放出能との関係に基づいて劣化が判定されるため、酸素吸放出能を有し、かつ導電性又は半導電性を有するものが挙げられる。また、前記診断対象となる触媒がアルミナ、シリカ等の非導電性の酸化物を含有しており、導電性又は半導電性を確保できない場合には、酸素吸放出能を有し、かつ導電性又は半導電性を有する主要成分及び/又は一部を抜き出して被検触媒としてもよい。
このような触媒の製造方法としては、特に制限されず、適宜公知の方法を採用することができる。例えば、特開2009−84061号公報に開示されている方法に沿って、セリア及びジルコニアの複合酸化物粉末を1500〜1900℃で還元処理して得られた複合酸化物前駆体に酸化処理を施すことで得ることができる。
本発明において前記触媒によって浄化する対象となる排ガスとしては、工場や車のエンジン等の内燃機関から排出される混合ガスが挙げられ、含有される成分としては、NO、C、CO、H、O、CO、HO、N等が挙げられる。本発明において、排ガスの空燃比がリーン側にあるとは、排ガス雰囲気が酸化雰囲気にあることをいい、このような酸化雰囲気としては、排ガスにおける酸化性ガス濃度が0.1容量%以上にあることが好ましく、0.1〜20容量%にあることがより好ましい。前記酸化性ガス濃度が前記下限未満であると、酸化反応が進まず、電気抵抗の変化が起きにくくなる傾向にある。前記酸化性ガスとしては、酸素、一酸化窒素等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。このような酸化雰囲気のガス(以下、場合によりリーンガスという)を被検触媒に接触させることにより、被検触媒は酸化される。また、前記リーンガスの温度としては、触媒を十分に酸化することができる温度であれば特に制限されず、例えば、400〜800℃であることが好ましい。
本発明において、排ガスの空燃比がリッチ側にあるとは、排ガス雰囲気が還元雰囲気にあることをいい、このような還元雰囲気としては、排ガスにおける還元性ガス濃度が0.1容量%以上にあることが好ましく、0.1〜10容量%にあることがより好ましい。前記還元性ガス濃度が前記下限未満であると、還元反応が進行しにくくなる傾向にある。前記還元性ガスとしては、水素、一酸化炭素、炭化水素等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。このような還元雰囲気のガス(以下、場合によりリッチガスという)を被検触媒に接触させることにより、被検触媒は還元される。前記リッチガスの温度としては、触媒を十分に還元することができる温度であれば特に制限されず、例えば、400〜800℃であることが好ましい。
前記排ガスの流量としては、被検触媒の量や排ガス流路の空間容量により適宜設定されるが、例えば、排ガス全体の空間速度で0.1〜100L/min程度が一般的である。
本発明においては、前記被検触媒を前記排ガスが流通する排ガス流路内に配置し、前記流路内の排ガスの空燃比をリーン側からリッチ側又はリッチ側からリーン側に反転させ(排ガス制御工程)、空燃比反転時の被検触媒の電気抵抗の経時変化を測定して該被検触媒の抵抗変化率を求め(測定工程)、得られた抵抗変化率に基づいて被検触媒の劣化を判定する(判定工程)。
本発明に係る排ガス制御工程においては、排ガス流路内の空燃比がリーン側にある場合にはリッチ側に、リッチ側にある場合にはリーン側に、それぞれ空燃比を反転させる。このような方法としては、特に制限されず、適宜公知の方法を用いることができる。例えば、前記排ガス流路内に配置された被検触媒の上流及び/又は下流にセンサを配置し、センサにより検出された信号に基づいて排ガスを排出する内燃機関を制御して排ガス流路内を流通させる排ガスをリーンガスからリッチガスに、又はリッチガスからリーンガスに切り替えたり、前記被検触媒の上流に排ガス制御バルブを設けて該排ガスの組成や流量を制御するといった方法が挙げられる。
本発明に係る測定工程において、被検触媒の電気抵抗の経時変化を測定する方法としては、特に制限されないが、例えば、被検触媒を絶縁性の基材に担持させ、対抗する1対の電極間に触媒を配置して測定することが好ましい。このような測定時間としては、排ガス流路の空間容量及び後述する判定方法において採用する閾値によっても異なるが、劣化した触媒の抵抗変化率と未劣化の触媒の抵抗変化率との差がより大きく、診断精度がより向上するという観点から、排ガス流路に流通する排ガスの空燃比反転時を始点として、10〜60秒間程度であることが好ましい。なお、この場合、本発明に係る抵抗変化率は、測定時間をtとすると、次式:
抵抗変化率=[空燃比反転時の電気抵抗(Ω)]/[空燃比反転時からt秒後の電気抵抗(Ω)]
で表わされる。
本発明に係る測定工程における測定温度としては、低温では電気抵抗が大きくなりすぎ、他方、高温では電気抵抗が小さくなりすぎる傾向にあるという観点から、400〜1200℃であることが好ましく、500〜700℃であることがより好ましい。また、本発明においては、排ガス流路に流通する排ガスの空燃比をリーン側からリッチ側に反転させた際(以下、場合により還元時という)における抵抗変化率を測定してもよく、排ガス流路に流通する排ガスの空燃比をリッチ側からリーン側に反転させた際(以下、場合により酸化時という)における抵抗変化率を測定してもよいが、劣化した触媒の抵抗変化率と未劣化の触媒の抵抗変化率との差がより大きく、診断精度がより向上するという観点から、還元時の抵抗変化率を測定することが好ましい。
本発明に係る判定工程においては、前記被検触媒における空燃比反転時の抵抗変化率と酸素吸放出能との間の相関関係を利用して、前記被検触媒の抵抗変化率に基づいて被検触媒の劣化を判定する。判定基準としては、診断に用いる装置や排ガスの規制値等により異なるが、例えば、下記の第1の実施形態及び第2の実施形態に挙げる判定基準が挙げられる。
以下、図面を参照しながら本発明の好ましい形態を例に挙げて詳細に説明するが、本発明における触媒劣化診断方法はこれに限定されるものではない。なお、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
先ず、本発明の好ましい一形態として、本発明の第1の実施形態について説明する。本発明の第1の実施形態は、
前記流路内に配置された対向する少なくとも1対の第1の電極と、該第1の電極間に配置された前記被検触媒と、前記被検触媒に電気的に接続された抵抗値測定手段と、前記抵抗値測定手段に電気的に接続された判定手段とを備える触媒劣化診断装置を用い、
前記測定工程において、前記空燃比反転時に前記抵抗値測定手段により前記被検触媒の電気抵抗の経時変化を測定して該被検触媒の抵抗変化率を求め、
前記判定工程において、前記判定手段により、前記抵抗変化率と、前記被検触媒における酸素吸放出能と抵抗変化率との関係を予め求めて設定した抵抗変化率に関する第1の閾値とを比較することによって該被検触媒の劣化を判定すること、
を特徴とする触媒劣化診断方法である。
本発明の第1の実施形態は、例えば、1対の電極131(第1の電極)と、電極131間に配置された被検触媒121とを備える図1に示す触媒劣化診断素子101を、抵抗値測定手段190と、判定手段200とを備える図2に示す触媒劣化診断装置の排ガス流路140内の所定の位置に配置することにより実施することができる。
本発明の第1の実施形態に係る触媒劣化診断装置は、図2に示すように、内燃機関160から排出される排ガスが180の方向に流通する排ガス流路140内に該排ガスを浄化する排ガス浄化用触媒170を備えており、触媒劣化診断素子101は、排ガス流路140内の排ガス浄化用触媒170の上流に配置される。また、本発明に係る被検触媒121と排ガス浄化用触媒との位置関係はこれに限定されるものではなく、例えば、排ガス流路140を排ガス浄化用触媒170の上流で分岐させ、分岐させた排ガス流路140内に触媒劣化診断素子101を配置する形態であってもよい。
抵抗値測定手段190としては、電極131を介して被検触媒121と電気的に接続されており、電極131に通電することで生じる被検触媒121の電気抵抗を経時的に測定することができるものであればよく、一般に抵抗値測定手段として用いられる抵抗値測定装置を適宜用いることができる。このような抵抗値測定装置としては、デジタルマルチメータ等が挙げられる。
触媒劣化診断素子101において、被検触媒121は、絶縁基材111により電極131以外の導電体から絶縁されていることが好ましい。電極131としては、特に制限されず、適宜公知の電極を採用することができ、例えば、このような電極の材質としては、Pt、W、Ni、Cr、Au等が挙げられる。1対の電極131間の間隔としては、特に制限されないが、間隔が広くなると電気抵抗が高くなる傾向にあり、他方、狭くなると導通してしまう傾向にあるという観点から、0.1〜10mm程度であることが好ましい。また、電極131の太さとしても、特に制限されないが、細くなると熱による断線が起きたり電気抵抗が高くなる傾向にあり、他方、太くなるとコストが高くなる傾向にあるという観点から、断面積が0.01〜1mm程度であることが好ましい。
絶縁基材111としては、被検触媒121を他の導電体から隔離できるものであればよく、特に制限されず、その材質としては、アルミナ、シリカ、ジルコニア等が挙げられる。また、その形状としても特に制限されず、板状であっても球状であっても凹凸を有する形状であってもよい。
また、触媒劣化診断素子101としては、それぞれ独立した複数の被検触媒をさらに備えていてもよく、複数の被検触媒に配置される電極をさらに備えていてもよい。また、測定精度をより向上させることを目的として、温度センサや酸素センサ等をさらに備えていてもよい。
触媒劣化診断素子101の製造方法としては、特に制限されず、例えば、先ず、板状の絶縁基材111の一方の面上に1対の電極131を蒸着し、次いで、粉末状にした本発明に係る被検触媒にエチレングリコール等の溶媒を添加してペースト状にしたものを電極131に接するように塗布した後、これを焼成することにより得ることができる。前記被検触媒の塗布面積としては、特に制限されないが、0.1〜1cm程度であることが好ましく、塗布の厚さとしても、特に制限されないが、0.05〜1mm程度であることが好ましい。前記焼成条件としては、被検触媒の量や種類、絶縁基材の材質等により異なるため、一概にはいえないが、例えば、500〜600℃において1〜10時間であることが好ましい。
触媒劣化診断素子101における電極131は、配線151を通じて抵抗値測定手段190と電気的に接続される。抵抗値測定手段190は、さらに判定手段200と電気的に接続される。判定手段200としては、コンピュータに予め搭載されたプログラム等が挙げられる。また、判定手段200は、判定結果を表示する手段として、OBD(自己故障診断:On−board diagnostics)モニタ230等とさらに電気的に接続されていることが好ましい。
このように被検触媒121を備えた触媒劣化診断素子101が配置される排ガス流路140としては、特に制限されず、例えば、石英管やアルミナ管等が挙げられる。また、本発明に用いる触媒劣化診断装置としては、排ガス制御手段210を備えるが、排ガス制御手段210としては、例えば、排ガス流路140の上流の内燃機関160に電気的に接続され、内燃機関160に供給する酸素等を制御して排ガスの空燃比をリーン側からリッチ側又はリッチ側からリーン側に反転させる手段が挙げられる。さらに、本発明に用いる触媒劣化診断装置としては、コンピュータに予め搭載されたプログラム等の初期条件判定手段(図示せず)をさらに備えていることが好ましい。
また、本発明に用いる触媒劣化診断装置としては、抵抗値測定手段190、判定手段200、排ガス制御手段210及び前記初期条件判定手段がそれぞれ、CPU、ROM、RAM、入出力ポート及び記憶装置等を備える電子制御ユニット220に電気的に接続されていることが好ましい。なお、図2において、抵抗値測定手段190、判定手段200、排ガス制御手段210及び電子制御ユニット220は直列に接続されているが、本発明に用いる触媒劣化診断装置における電気的接続形態はこれに限られるものではない。
さらに、本発明に用いる触媒劣化診断装置としては、抵抗値測定手段190、判定手段200、排ガス制御手段210、前記初期条件判定手段及び電子制御ユニット220とそれぞれ電気的に接続された制御弁や各種センサ等を必要に応じてさらに備えていてもよい。また、温度を一定に保つために電気ヒーター等をさらに備えていてもよい。
本発明の第1の実施形態における触媒劣化診断方法においては、判定の基準となる第1の閾値を設定する。すなわち、先ず、未使用(未劣化)の被検触媒121に対して任意の耐久試験(例えば、大気中、温度500〜1500℃において1〜1000時間加熱)を施すことにより、酸素吸放出量が既知の複数の検量触媒を作製する。次いで、これらの検量触媒について、診断時と同様の条件で、酸化時又は還元時の抵抗変化率を予め測定して、被検触媒121における酸素吸放出能と抵抗変化率との関係を求め、任意の酸素吸放出量における抵抗変化率を第1の閾値として設定する。
例えば、前記検量触媒の還元時の抵抗変化率(ΔR)をx軸、酸素吸放出量(ΔO)y軸とし、x軸を対数軸とした片対数グラフを作成すると、図3に示すように、直線関係が得られる。ここで、第1の閾値は、診断される被検触媒121の種類や排ガスの規制値等によって異なるため、一概にはいえないが、例えば、酸素吸放出量が未劣化の触媒の酸素吸放出量(OSC)の50%以下となるとき(OSC50)を触媒の劣化時と判断する場合には、D1が第1の閾値として設定される。
このような検量触媒の抵抗変化率の測定方法及び測定条件としては、触媒劣化診断時と同様の条件であることが好ましく、具体的には、前述の被検触媒の測定方法及び測定条件として記載した方法及び条件と同様である。例えば、還元時の抵抗変化率を測定する場合には、先ず、排ガス流路内に配置した検量触媒に酸素濃度0.1〜10容量%の窒素−酸素混合ガス(リーンガス)を供給しつつ排ガス流路内の温度を調整して400〜800℃において0.1〜5時間保持し、次いで、排ガス流路内の温度400〜800℃において、供給する排ガスを水素濃度0.1〜5容量%の窒素−水素混合ガス(リッチガス)に切り替え、切り替え時から10〜60秒間の触媒の電気抵抗の経時変化を測定して抵抗変化率を求めることが好ましい。
なお、本発明において、酸素吸放出量とは、触媒中の希土類元素(A)1mol当りの500℃における酸素の吸放出量(mol−O/mol−A)を指し、触媒を熱量分析計(TG、島津製作所社製、商品名:TGA−5D)の試料セルに設置し、500℃の温度条件下において、触媒15mgに対して100ml/minの流量で、H(20容量%)及びN(80容量%)からなるガスと、O(25%容量%)及びN(75容量%)からなるガスを10分毎に交互に10分間流し、前述の熱重量分析計を用いて可逆的重量変化から得ることができる。
本発明の第1の実施形態における触媒劣化診断方法としては、例えば、図4に示すフローチャートに沿った方法を好適に採用することができる。本発明の第1の実施形態においては、測定開始後、先ず、ステップS10の測定準備工程において、被検触媒121の電気抵抗を測定するための準備をする。具体的には、例えば、第1の閾値を設定した際に還元時における抵抗変化率を採用した場合には、排ガス制御手段210により排ガス流路140内に流通する排ガスをリーンガスとして排ガスの空燃比をリーン側にする。本発明の第1の実施形態においては、該リーンガスにおける酸化性ガス濃度が、第1の閾値設定時に採用した酸化性ガス濃度の±5容量%以内であることが好ましい。なお、排ガスをリッチガスとする場合にも、該リッチガスにおける還元性ガス濃度が、第1の閾値設定時に採用した還元性ガス濃度の±5容量%以内であることが好ましい。
また、このときの排ガス流路140内の温度としては、第1の閾値を設定した際に採用した温度の±10℃以内であることが好ましい。さらに、本発明においては、触媒の酸化・還元を十分に行って診断精度をより向上させるという観点から、このような排ガスの空燃比条件及び温度条件を一定時間(好ましくは0.5〜1時間)維持してから次のステップS20に進むことが好ましい。
ステップS20の初期条件判定工程では、前記初期条件判定手段により、排ガス流路140内の温度及び排ガス組成が第1の閾値を設定した際に採用した条件の範囲内にあるかどうかを判定し、範囲を外れる場合には再度前のステップS10に戻る判定をし、範囲内にある場合には次のステップS30に進む判定をする。本発明の第1の実施形態においては、酸素吸放出量が既知の前記検量触媒について測定された抵抗変化率を直接第1の閾値とするため、触媒劣化診断の精度をより向上させるためには、被検触媒121の抵抗変化率の測定は前記検量触媒の抵抗変化率と同じ条件で行うことが好ましく、このようなステップS20により、抵抗変化率測定前に、少なくとも前述の温度条件及び排ガス条件を満たしているか否かを判定することが好ましい。
ステップS30の排ガス制御工程においては、必要に応じて温度を調整した後、排ガス制御手段210により、排ガス流路140内の空燃比がリーン側にある場合にはリッチ側に、リッチ側にある場合にはリーン側に、それぞれ空燃比を反転させ、ステップS41に進む。ステップS41の測定工程では、抵抗値測定手段190により電極131に通電し、第1の閾値を設定した際に採用した条件と同様の条件で被検触媒121の電気抵抗の経時変化を測定してその抵抗変化率(ΔR)を求め、ステップS51に進む。
次いで、ステップS51の判定工程においては、判定手段200により、得られた抵抗変化率(ΔR)と第1の閾値(D1)とを比較し、被検触媒121が劣化しているか否かを判定する。例えば、第1の閾値設定時において、還元時における抵抗変化率を採用した場合には、ΔRがD1以上であるものは被検触媒121が劣化しているものであると判定し、ΔRがD1未満であるものについては被検触媒121が劣化していないものであると判定する。
ステップS51において被検触媒121が劣化していると判定された場合には、例えば、OBDモニタ230等を点灯することにより触媒が劣化していることを表示して触媒劣化診断を終了する(ステップS60)。他方、ステップS51において被検触媒121が劣化していないものであると判定された場合には、ステップS10に戻り再度被検触媒121の電気抵抗を測定するための準備をする。
なお、ステップS51(判定工程)を経てステップS10(測定準備工程)に戻った場合には、触媒の酸化・還元を十分に行うため、ステップS10において、抵抗変化率測定後の排ガスの空燃比条件及び温度条件を一定時間維持した後に電気抵抗を測定するための準備をすることが好ましい。すなわち、測定開始からの好ましい一例を挙げると、先ず、ステップS10において温度を調整しつつリーンガスを流通させて一定時間保持し、被検触媒121を十分に酸化させる。次いで、ステップS20を経て、ステップS30において流通させる排ガスをリッチガスに切り替え、ステップS40において還元雰囲気下において被検触媒121を還元させると共に抵抗変化率を測定する。次いで、ステップS51を経てステップS10に戻った際には、先ず、ステップS40〜S51における温度を維持したまま前記リッチガスを一定時間流通させて被検触媒121を十分に還元させた後に、再び温度を調整しつつリーンガスを流通させて一定時間保持して被検触媒121を再び十分に酸化させ、触媒が劣化しているものと判定されるまでステップS20〜S51を繰り返す。
次いで、本発明の好ましい他の一形態として、本発明の第2の実施形態について説明する。本発明の第2の実施形態は、
前記流路内に配置された対向する少なくとも1対の第1の電極と、該第1の電極間に配置された前記被検触媒と、前記流路内に配置された対向する少なくとも1対の第2の電極と、該第2の電極間に配置されかつ予め耐久試験を施されている参照触媒と、前記被検触媒及び参照触媒に電気的に接続された抵抗値測定手段と、前記抵抗値測定手段に電気的に接続された判定手段とを備える触媒劣化診断装置を用い、
前記測定工程において、前記空燃比反転時に前記抵抗値測定手段により前記被検触媒及び参照触媒の電気抵抗の経時変化を測定して該被検触媒及び参照触媒の抵抗変化率を求め、
前記判定工程において、前記判定手段により、前記被検触媒の抵抗変化率と前記参照触媒の抵抗変化率との比と、前記被検触媒及び参照触媒における酸素吸放出能と抵抗変化率との関係を予め求めて設定した抵抗変化率比に関する第2の閾値とを比較することによって該被検触媒の劣化を判定すること、
を特徴とする触媒劣化診断方法である。
本発明の第2の実施形態は、例えば、1対の電極131(第1の電極)と、電極131間に配置された被検触媒121と、1対の電極132(第2の電極)と、電極132間に配置された参照触媒122とを備える図5に示す触媒劣化診断素子102を、抵抗値測定手段190と、判定手段200とを備える図2に示す触媒劣化診断装置の排ガス流路140内の所定の位置に配置することにより実施することができる。
抵抗値測定手段190としては、電極131及び電極132にそれぞれ通電して被検触媒121及び参照触媒122の電気抵抗をそれぞれ経時的に測定することができるものであればよく、それぞれ本発明の第1の実施形態において挙げたものと同様のものを用いることができる。
また、本発明の第2の実施形態に用いる触媒劣化診断装置としては、触媒劣化診断素子101に代えて触媒劣化診断素子102を用い、触媒劣化診断素子102における電極131及び電極132をそれぞれ配線152を通じて抵抗値測定手段190等と接続すること以外は本発明の第1の実施形態に用いる触媒劣化診断装置と同様である。
触媒劣化診断素子102において、被検触媒121及び参照触媒122は、それぞれ絶縁基材111及び絶縁基材112により電極131及び電極132以外の導電体から絶縁されていることが好ましい。絶縁基材111、電極131及び被検触媒121としては前述のとおりであり、絶縁基材112及び電極132としては、それぞれ、絶縁基材111及び対向電極131と同様のものが挙げられる。
参照触媒122は、被検触媒121と同様の触媒に耐久試験を施したものである。参照触媒122としては、予め前記耐久試験が施されていることにより、触媒劣化診断条件においてそれ以上劣化せず、酸素吸放出能がそれ以上低下しないこと、すなわち、触媒劣化診断条件において、酸化時又は還元時の抵抗変化率が実質的に一定であることが好ましい。本発明において、抵抗変化率が実質的に一定であるとは、測定温度、排ガス雰囲気及び電極条件を同条件にして測定した場合の抵抗変化率の最大値と最小値との差が±10%以内にあることをいう。このような耐久試験としては、診断する被検触媒の種類及び触媒劣化診断条件により異なるため、一概にはいえないが、例えば、大気中において、900〜1500℃で5〜20時間熱処理を施すことが好ましい。
触媒劣化診断素子102において、絶縁基材111と絶縁基材112とは同一のものであってもよく、被検触媒121と参照触媒122とは同一面上にあっても図5に示すように反対面上にあってもよい。また、触媒劣化診断素子102としては、それぞれ独立した複数の被検触媒、参照触媒及び各電極を備えていてもよく、測定精度をより向上させることを目的として、温度センサや酸素センサ等をさらに備えていてもよい。
触媒劣化診断素子102の製造方法としては、特に制限されず、例えば、先ず、前述と同様にして、絶縁基材111、電極131及び被検触媒121からなる素子と、絶縁基材112、電極132及び参照触媒122からなる素子とを作製し、これらを貼り合わせることにより得ることができる。また、本発明の第2の実施形態としては、被検触媒121と参照触媒122とがそれぞれ離れて配置された形態であってもよい。
本発明の第2の実施形態における触媒劣化診断方法においては、判定の基準となる第2の閾値を設定する。すなわち、先ず、前記第1の実施形態と同様に、予め酸素吸放出量が既知の検量触媒を用いて片対数グラフを作成し、任意の酸素吸放出量が達成される抵抗変化率を設定する(ΔR)。次いで、参照触媒122についても前記検量触媒と同条件で酸化時又は還元時の抵抗変化率(ΔR)を予め測定しておき、これらの抵抗変化率の比(ΔR/ΔR)を第2の閾値(D2)とする。
ここで、ΔRの値としては、診断される被検触媒121の種類や排ガスの規制値等によって異なるため、一概にはいえないが、例えば、酸素吸放出量が未劣化の触媒の酸素吸放出量(OSC)の50%となるとき(OSC50)を触媒の劣化時と判断する場合は、図3におけるD1がΔRとして設定される。このような抵抗変化率の測定方法及び測定条件としては、前述の第1の閾値設定時において述べたとおりである。
本発明の第2の実施形態における触媒劣化診断方法としては、例えば、図6に示すフローチャートに沿った方法を好適に採用することができる。本発明の第2の実施形態においては、測定開始後、先ず、ステップS10の測定準備工程において、被検触媒121及び参照触媒122の電気抵抗を測定するための準備をする。このような測定準備工程としては、前記第1の実施形態において述べたとおりである。
次いで、前記第1の実施形態と同様に、前記初期条件判定手段により、排ガス流路140内の温度及び排ガス組成が第2の閾値を設定した際に採用した条件の範囲内にあるかどうかを判定するステップS20の初期条件判定工程を実施することが好ましいが、本発明の第2の実施形態においては、十分に劣化して触媒劣化診断条件では抵抗変化率が実質的に変化しない参照触媒122における抵抗変化率を同時に測定することにより、測定条件による抵抗変化率の変動を補正することができるため、測定条件としては、少なくとも空燃比がリーン側であるかリッチ側であるかが満たされていればよく、ステップS20は必ずしも実施しなくともよい。
また、前記本発明の第1の実施形態においては、硫黄やリン等が含まれる排ガスにより被検触媒121が被毒された場合に、被検触媒121の抵抗変化率が変動し、被検触媒121が劣化しているものであると判定されてしまう可能性が生じるが、本発明の第2の実施形態においては、このような抵抗変化率の変動も補正することができ、誤判定を防止することができるため、さらに精度の高い触媒劣化診断を行うことができる。
次いで、排ガス制御手段210によるステップS30の排ガス制御工程を経て、ステップS42の測定工程において、抵抗値測定手段190により電極131及び電極132に通電して被検触媒121及び参照触媒122の電気抵抗の経時変化を測定し、被検触媒121の抵抗変化率(ΔR)及び参照触媒122の抵抗変化率(ΔR)を求め、ステップS52に進む。
次いで、ステップS52の判定工程においては、判定手段200により、ΔRとΔRとの抵抗変化率比(ΔR/ΔR)を求め、得られた抵抗変化率比と第2の閾値(D2)とを比較し、被検触媒121が劣化しているか否かを判定する。例えば、第2の閾値設定時において、還元時における抵抗変化率を採用した場合には、抵抗変化率比がD2以下であるものは被検触媒121が劣化しているものであると判定し、抵抗変化率比がD2を超えるものについては被検触媒121が劣化していないものであると判定する。
S52において被検触媒121が劣化していると判定された場合には、次のステップS60を経て触媒劣化診断を終了する。他方、ステップS52において被検触媒121が劣化していないものであると判定された場合には、再度ステップS10(測定準備工程)に戻り、ステップS30(排ガス制御工程)、ステップS42(測定工程)及びステップS52(判定工程)を実施し、ステップS52において被検触媒121が劣化していると判定されるまで繰り返す。なお、本発明の第2の実施形態においても、ステップS52(判定工程)を経てステップS10(測定準備工程)に戻った場合には、触媒の酸化・還元を十分に行うため、ステップS10において、抵抗変化率測定後の排ガスの空燃比条件及び温度条件を一定時間維持した後に電気抵抗を測定するための準備を開始することが好ましい。
このような触媒劣化診断方法を用いることにより、内燃機関から排出される排ガス浄化用触媒の劣化を簡便かつ正確に診断することが可能となる。本発明においては、排ガス浄化用触媒をそのまま被検触媒として該排ガス浄化用触媒に電極を配置し、その抵抗変化率に基づく劣化判定を行ってもよいが、図2に示すように、被検触媒121として排ガス浄化用触媒170と同じ触媒を用いた触媒劣化診断素子101又は触媒劣化診断素子102を、排ガス浄化用触媒170と同一の排ガス流路140内に配置して前述の本発明の触媒劣化診断方法を実施することが好ましい。このような触媒劣化診断方法により被検触媒121が劣化しているものと判定された場合には、排ガス浄化用触媒170も劣化しているものと判定することができるため、被検触媒121の劣化をモニタリングすることにより排ガス浄化用触媒170の劣化を簡便かつ正確に診断することが可能となる。また、排ガス浄化用触媒170において導電性又は半導電性を確保できない場合には、酸素吸放出能を有し、かつ導電性又は半導電性を有する、排ガス浄化用触媒170の主要成分及び/又は排ガス浄化用触媒170の一部を抜き出して被検触媒121としてもよい。 以上、本発明の触媒劣化診断方法の好適な実施態様について説明したが、本発明の触媒劣化診断方法はこれに限定されるものではない。例えば、本発明の触媒劣化診断方法においては、上記以外にも様々な判定基準を設けてもよい。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、各触媒調製例における触媒の酸素吸放出量測定は以下のように行った。
<酸素吸放出量測定>
各触媒調製例で得られた触媒をそれぞれ熱量分析計(TG、島津製作所社製、商品名:TGA−5D)の試料セルに設置し、500℃の温度条件下において、触媒15mgに対して100ml/minの流量で、H(20容量%)及びN(80容量%)からなるガスと、O(25%容量%)及びN(75容量%)からなるガスを10分ごとに交互に10分間流し、前述の熱重量分析計を用いて、可逆的重量変化から500℃におけるセリウム1mol当りの酸素の吸放出量(ΔO、mol−O/mol−Ce)を算出した。
(触媒合成例1)
特開2009−84061号公報に記載されている方法に従い、以下のように触媒を作製した。すなわち、先ず、CeO換算で28質量%の硝酸セリウム水溶液49.1gと、ZrO換算で18質量%のオキシ硝酸ジルコニウム水溶液54.7gと、ノニオン系界面活性剤(ライオン社製、商品名:レオコン)1.2gとをイオン交換水90ccに溶解した混合液に、該混合液中の陰イオンに対してNHが1.2倍当量となるようにNHが25質量%のアンモニア水を添加し、共沈殿せしめた。次いで、得られた共沈物を濾過、洗浄して110℃で乾燥した後、炉内に配置し、大気中において1000℃で5時間焼成してセリウムとジルコニウムの固溶体を得た。次いで、前記固溶体を粉砕機(アズワン社製、商品名:ワンダーブレンダー)を用いて平均粒子径が1000nmとなるように粉砕し、セリアとジルコニアとの含有モル比(CeO:ZrO)が50:50であるセリア−ジルコニア固溶体粉末を得た。
次いで、得られたセリア−ジルコニア固溶体粉末50gを、ポリエチレン製のバッグ(容量0.05L)に詰め、内部を脱気した後、前記バッグの口を加熱してシールした。次に、静水圧プレス装置(日機装社製、商品名:CK−4−22−60)を用いて、前記バッグに対して静水圧プレス(CIP)を300MPaの圧力で1分間行って成形し、セリア−ジルコニア固溶体粉末の固形状原料を得た。なお、この操作を複数回行って10個の固形状原料を成形した。
次いで、プレス後のバッグからそれぞれ取り出した前記固形状原料10個を、黒鉛製の円筒形容器(内容積:直径15cm、高さ20cm)に詰め、黒鉛製の蓋をした。次いで、前記円筒形容器を、炉内が黒鉛性の断熱材及び発熱体からなる炉内(黒鉛炉)に配置した。その後、前記炉内をディフュージョンポンプで0.01Torrまで真空引きした後、アルゴンガスを導入し、アルゴンガス100容量%雰囲気とした。次に、前記炉内の温度を1700℃にして前記固形状試料を5時間加熱して還元処理を施し、複合酸化物前駆体を得た。その後、炉内の温度が50℃となるまで炉冷し、炉から前記複合酸化物前駆体を取り出した。そして、得られた複合酸化物前駆体を、大気中、500℃の温度条件で5時間加熱して酸化し、セリア−ジルコニア複合酸化物を得た。なお、得られたセリア−ジルコニア複合酸化物は乳鉢で粉砕し、平均粒子径が5μmの粉末とした。
(触媒調製例1)
先ず、触媒合成例1で得られたセリア−ジルコニア複合酸化物の粉末2質量部と、エチレングリコール(東京化成工業製、商品名:Polyethylene Glycol #300)1質量部とを乳鉢で混合し、一様のペースト状にした。次いで、1cm角のアルミナ板上に、電極間隔が5.0mmになるように2mm太さのPt線を2本蒸着して基板を作製した。Pt線の厚さは、それぞれ約200nmとした。この基板上に前記Pt線を覆うように前記ペーストを厚さ0.1mmとなるように塗布し、大気中において500℃で5時間焼成して、触媒劣化診断素子1を得た。触媒劣化診断素子1における触媒(触媒1)の酸素吸放出量は0.25(mol−O/mol−Ce)であった。
(触媒調製例2)
触媒調製例1と同様にして得られた触媒劣化診断素子に対して、大気中、1100℃の温度条件で5時間加熱する耐久試験を行い、耐久試験後の触媒劣化診断素子を触媒劣化診断素子2とした。触媒劣化診断素子2における触媒(触媒2)の酸素吸放出量は0.22(mol−O/mol−Ce)であった。
(触媒調製例3)
耐久試験の温度条件を1400℃としたこと以外は触媒調製例2と同様にして触媒劣化診断素子3を得た。触媒劣化診断素子3における触媒(触媒3)の酸素吸放出量は0.16(mol−O/mol−Ce)であった。
(触媒調製例4)
耐久試験の温度条件を1500℃としたこと以外は触媒調製例2と同様にして触媒劣化診断素子4を得た。触媒劣化診断素子4における触媒(触媒4)の酸素吸放出量は0.10(mol−O/mol−Ce)であった。
(実施例1)
先ず、図7に示す装置を用いて、内径1/4インチの石英管14内に、Pt電極に直径0.2mmのPt線15を接続した触媒劣化診断素子1を配置した。図7に示す装置では、石英管14に温度制御装置付きのヒーター24が装着されており、Pt線15にはPt電極に通電して触媒1の電気抵抗を測定する抵抗値測定装置19(HP社製、商品名:マルチメータ34401A)が接続されている。この石英管14内に300cc/minの流量で、18の方向にO(1容量%)及びN(99容量%)からなるガス(リーンガス)を供給しつつ、100℃/10分の昇温速度で600℃まで加熱して石英管14内を酸化雰囲気とし、そのまま1時間保持した。その後、供給するガスをH(1容量%)及びN(99容量%)からなるガス(リッチガス)に切り替えて石英管14内を還元雰囲気とし、ガス切り替え時から10秒間の触媒1の電気抵抗を測定して、次式:
ΔR=[ガス切り替え時の電気抵抗(Ω)]/[ガス切り替え時から10秒後の電気抵抗(Ω)]
により還元時の抵抗変化率(ΔR)を求めた。
次いで、触媒劣化診断素子2〜4についても同様にして還元時の抵抗変化率を求めた。各触媒のガスの切り替えに伴う電気抵抗の経時変化を示すグラフを図8に、各触媒の酸素吸放出量及び還元時の抵抗変化率を表1に示す。また、各触媒の還元時の抵抗変化率をx軸、酸素吸放出能をy軸とし、x軸を対数軸とした片対数グラフを図9に示す。
図8に示した結果から明らかなように、空燃比をリーン側(酸化雰囲気)からリッチ側(還元雰囲気)に反転させると触媒の電気抵抗は大きく変化し、その変化率は触媒の劣化の度合いの大きさに伴って大きくなることが確認された。また、図9に示した結果から明らかなように、抵抗変化率の対数と酸素吸放出量との間には直線関係が得られることが確認された。これより、被検触媒の抵抗変化率を測定してモニタすることにより、被検触媒の劣化を正確に判定することが可能であることがわかる。例えば、酸素吸放出能が未劣化の触媒(触媒1)の50%以下である触媒は劣化したものであるという判定をする場合には、図9より、閾値を40に設定して、抵抗変化率が40以上になった場合に「劣化」の判定をすることができる。
(実施例2)
先ず、被検触媒を触媒1、参照触媒を触媒4としたときに、酸素吸放出能が未劣化の触媒(触媒1)の50%以下である触媒は劣化したものであるという判定をするために、実施例1の結果を用いて閾値(D2)を次式:
D2=[76.9(触媒4の抵抗変化率)]/[40(酸素吸放出量が触媒1の50%となるときの抵抗変化率)]
により、D2=2に設定した。
次いで、図5に示した本発明の第2の実施形態と同様にして、触媒劣化診断素子1のアルミナ板の触媒1が塗布されていない面に、触媒劣化診断素子4のアルミナ板の触媒4が塗布されていない面を貼り付け、触媒1を被検触媒、触媒4を参照触媒とする触媒劣化診断素子5を作製した。次いで、石英管14に代えて内径1/4インチのアルミナ管を用い、触媒劣化診断素子1に代えて直径0.2mmのPt線に各Pt電極をそれぞれ接続した触媒劣化診断センサ5を用いたこと以外は実施例1で用いた装置と同様の装置を用いて、アルミナ管内に300cc/minの流量で、O(1容量%)及びN(99容量%)からなるガス(リーンガス)を供給しつつ、100℃/10分の昇温速度で1400℃まで加熱し、1400℃において1時間、アルミナ管内を酸化雰囲気として保持した。その後、600℃付近まで200℃/10分の降温速度で冷却した後、供給するガスをH(1容量%)及びN(99容量%)からなるガス(リッチガス)に切り替えてアルミナ管内を還元雰囲気とし、ガス切り替え時から10秒間の触媒1及び触媒4の電気抵抗を測定して触媒1の抵抗変化率(ΔR)及び触媒4の抵抗変化率(ΔR)を求め、これらの抵抗変化率比(ΔR/ΔR)を求めた(耐久試験1回目)。
耐久試験1回目の抵抗変化率比を求めた後、前記ガス切り替え時から30分後に再度前記リーンガスを供給しつつ、100℃/10分の昇温速度で1400℃まで加熱し、1400℃において1時間保持した後、600℃付近まで200℃/10分の降温速度で冷却し、供給するガスを前記リッチガスに切り替え、ガス切り替え時から10秒間の触媒1及び触媒4の電気抵抗を測定し、上記と同様にして耐久試験2回目の抵抗変化率比(ΔR/ΔR)を求めた。同様に、耐久試験3回目から10回目までの抵抗変化率比を求め、抵抗変化率比が閾値(D2:2)以下となる耐久試験7回目に触媒1が劣化しているものと判定した。
図10には、耐久試験回数と抵抗変化率比との関係を示す。これより、実施例2において触媒1が劣化しているものと判断した耐久試験7回目以降では、抵抗変化率がほとんど低下せず、触媒1がそれ以上劣化しないことが確認された。すなわち、実施例2における判定結果と一致して、触媒1は耐久試験7回目において劣化していることが確認された。
以上説明したように、本発明によれば、被検触媒から直接得られる情報に基づいて、触媒の劣化を簡便かつ正確に診断することが可能となる。したがって、本発明の触媒劣化診断方法は、酸素吸放出能を有する排ガス浄化用触媒の劣化を診断する方法として特に有用である。
101、102…触媒劣化診断素子、111、112…絶縁基材、121…被検触媒、122…参照触媒、131、132…電極、140…排ガス流路、151、152…配線、160…内燃機関、170…排ガス浄化用触媒、180…排ガスの流れる方向、190…抵抗値測定手段、200…判定手段、210…排ガス制御手段、220…電子制御ユニット、230…OBDモニタ、10…触媒劣化診断素子、14…石英管、15…Pt線、18…ガスの流れる方向、19…抵抗値測定装置、24…ヒーター。

Claims (3)

  1. 排ガスが流通する排ガス流路内に配置された酸素吸放出能を有する被検触媒を用いて、酸素吸放出能を有し該排ガスを浄化する触媒の劣化を診断する方法であって、
    前記流路内の排ガスの空燃比をリーン側からリッチ側又はリッチ側からリーン側に反転させる排ガス制御工程と、
    前記空燃比反転時に前記被検触媒の電気抵抗の経時変化を測定して該被検触媒の抵抗変化率を求める測定工程と、
    前記抵抗変化率と、前記被検触媒において予め求めた空燃比反転時の抵抗変化率と酸素吸放出能との間の相関関係とに基づいて前記被検触媒の酸素吸放出能の低下による劣化を判定する判定工程と、
    を含むことを特徴とする触媒劣化診断方法。
  2. 前記流路内に配置された対向する少なくとも1対の第1の電極と、該第1の電極間に配置された前記被検触媒と、前記被検触媒に電気的に接続された抵抗値測定手段と、前記抵抗値測定手段に電気的に接続された判定手段とを備える触媒劣化診断装置を用い、
    前記測定工程において、前記空燃比反転時に前記抵抗値測定手段により前記被検触媒の電気抵抗の経時変化を測定して該被検触媒の抵抗変化率を求め、
    前記判定工程において、前記判定手段により、前記抵抗変化率と、前記被検触媒における酸素吸放出能と抵抗変化率との関係を予め求めて設定した抵抗変化率に関する第1の閾値とを比較することによって該被検触媒の劣化を判定すること、
    を特徴とする請求項1に記載の触媒劣化診断方法。
  3. 前記流路内に配置された対向する少なくとも1対の第1の電極と、該第1の電極間に配置された前記被検触媒と、前記流路内に配置された対向する少なくとも1対の第2の電極と、該第2の電極間に配置されかつ予め耐久試験を施されている参照触媒と、前記被検触媒及び参照触媒に電気的に接続された抵抗値測定手段と、前記抵抗値測定手段に電気的に接続された判定手段とを備える触媒劣化診断装置を用い、
    前記測定工程において、前記空燃比反転時に前記抵抗値測定手段により前記被検触媒及び参照触媒の電気抵抗の経時変化を測定して該被検触媒及び参照触媒の抵抗変化率を求め、
    前記判定工程において、前記判定手段により、前記被検触媒の抵抗変化率と前記参照触媒の抵抗変化率との比と、前記被検触媒及び参照触媒における酸素吸放出能と抵抗変化率との関係を予め求めて設定した抵抗変化率比に関する第2の閾値とを比較することによって該被検触媒の劣化を判定すること、
    を特徴とする請求項1に記載の触媒劣化診断方法。
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