(発明が解決しようとする課題)
特許文献1に記載の車両用ドアアウトサイドハンドルは、ハンドル部材の周囲から外方に延びたシール部を有するシール部材を備える。シール部の先端部分が車両用ドアアウトサイドハンドルのケース本体に接触することにより、ドア内部への漏水が防止される。
しかし、特許文献1に記載の車両用ドアアウトサイドドアハンドルによれば、シール部の先端部分が常に車両用ドアアウトサイドハンドルのケース本体に接触しているので、シール部の劣化の進行が早い。また、通常操作時の作動不良を考慮すると、シール部とケース本体とのラップ量が少なくなる。そのため、シール部の本来の目的であるシール機能を損なうおそれがある。また、シール部がハンドル部材の周囲から外方に延びているので、操作者がハンドル部材を操作するときにシール部材に触る頻度が高い。このためシール部が撓み、シール部の劣化の進行が早められる。シール部が劣化した場合、本来持ち得るシール機能が悪化するのみならず、ハンドル部材を操作したときにシール部とケース本体とが干渉してハンドル部材が作動不良を起こす可能性がある。
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、シール部の劣化に伴うシール部とケース本体との干渉によるハンドル部材の作動不良が解消された車両用ドアアウトサイドハンドルを提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段)
本発明は、車両のドアのアウターパネルに形成された孔部に隙間を有して配置され、操作者が操作することにより車両のドアロック装置を作動させるハンドル部材と、前記ハンドル部材の外周に設けられ、前記アウターパネルのうち前記孔部の周端を構成する部位に接触することにより前記隙間をシールするシール部材と、を備え、前記シール部材は、前記ハンドル部材に固定される基端部と、前記アウターパネルのうち前記孔部の周端を構成する部位に接触可能な先端部とを有するシール部と、前記ハンドル部材に固定されるとともに前記シール部の基端部を保持する保持プレートと、を備える、車両用ドアアウトサイドハンドルを提供する。
本発明によれば、アウターパネルに形成された孔部内に隙間を有して配置されたハンドル部材にシール部材が固定される。このシール部材はハンドル部材の外周に設けられ、アウターパネルのうち前記孔部の周端を構成する部位に接触することにより、孔部の周端縁とハンドル部材の外周縁との間の隙間がシールされる。また、シール部材のうちハンドル部材に固定される固定部側の強度が、アウターパネルに形成された孔部の周端を構成する部位に接触する先端部側の強度よりも大きいので、シール部材が劣化した場合であっても、シール部材の先端部側のみが劣化により変形し、固定部側はあまり変形しない。シール部材の先端部側のみが変形するため、劣化に伴う変形量が少ない。変形量が少ないので、車両用ドアアウトサイドハンドルのケース本体等とシール部材が干渉する可能性が低い。したがって、シール部材の劣化に伴うシール部材とケース本体等との干渉によるハンドル部材の作動不良を防ぐことができる。また、劣化に伴うシール部材の変形量が少ないので、シール部材が有するシール機能が劣化により損なわれる可能性が低い。
また、前記シール部材は、前記ハンドル部材に固定される基端部と、前記アウターパネルのうち前記孔部の周端を構成する部位に接触可能な先端部とを有するシール部と、前記ハンドル部材に固定されるとともに前記シール部の基端部を保持する保持プレートと、を備える。シール部の先端部がアウターパネルのうち孔部の周端を構成する部位に接触することにより、ハンドル部材の外周縁と孔部の周端縁との間の隙間がシールされる。また、保持プレートがシール部の基端部を保持することにより、シール部材の固定部側の強度が先端部側の強度よりも大きくされる。このように、シール部の基端部を保持プレートにより保持するといった簡易な構成により、シール部の劣化によるシール部材とケース本体との干渉を防ぐことができる。
この場合、前記保持プレートは、前記シール部の先端部が前記隙間に向かうように、前記シール部の基端部を保持するのがよい。これによれば、シール部の先端部が周端部に接触するように保持プレートによりシール部の基端部が保持される。また、保持プレートにより保持されるシール部の基端部と先端部との境界は、シール部とケース本体との間隔に応じて適宜決定することができる。すなわち、シール部が劣化した場合であってもシール部とケース本体とが干渉しない範囲で、保持プレートがシール部を保持すればよい。
保持プレートとシール部とは、それぞれ別々にハンドル部材に固定されていても良いが、一体的にハンドル部材に固定されているのがよい。これによれば、保持プレートとシール部とを一度に固定することができるので、固定作業の工数を低減することができる。この場合、例えば、ハンドル部材にかしめピンを形成しておくとともに、保持プレートおよびシール部の基端部にかしめピン挿通用の貫通孔を形成し、それぞれの貫通孔にかしめピンを挿通した後に、熱かしめなどにより保持プレートとシール部とを一体的にかしめることで、これらを一体的にハンドル部材に固定することができる。
前記アウターパネルには車両上方を向いた面である上面部が形成され、前記孔部は前記上面部に形成されているのがよい。これによれば、車両用ドアアウトサイドハンドルがアウターパネルの上面に形成された孔部に設けられるので、車両を側面から見た場合にハンドル部材等が視認されない。よって車両の意匠性が向上する。また、ハンドル部材の外周縁とアウターパネルの上面に形成された孔部の周端縁との隙間がシール部材によりシールされるので、雨水などがドア内に侵入することを防止することができる。
この場合、前記ハンドル部材は、操作者がそのハンドル部材を下方に押し込むことにより、車両のドアロック装置が作動するように構成されているのがよい。これによれば、操作者がアウターパネルの上面部に形成された孔部に設けられたハンドル部材を下方(すなわちドア内)に押し込むことによりドアロック装置が作動して、車両のドアが解錠される。この状態で操作者がドアを引くことによりドアが開く。ハンドル部材を押して引くという一連の動作により、操作者は煩わしさを感じることなく車両のドアを開けることができる。
さらにこの場合、前記シール部材は前記上面部のうち前記孔部の周端を構成する部位の下面に接触するように構成されているとよい。また、前記車両用ドアアウトサイドハンドルは、前記シール部材が前記上面部のうち前記孔部の周端を構成する部位の下面に接触する方向に前記ハンドル部材を付勢する付勢部材を備え、前記ハンドル部材が操作されていないときに前記シール部材が前記上面部のうち前記孔部の周端を構成する部位の下面に接触することにより、前記孔部の周端縁と前記ハンドル部材の外周縁との間の隙間をシールするように構成されているとよい。
また、本発明の車両用ドアアウトサイドハンドルは、前記アウターパネルに固定されるとともに、前記ハンドル部材が前記アウターパネルの前記上面部に形成された孔部に隙間を有して配置されるように前記ハンドル部材を回動可能に支持するケース本体と、前記シール部材が前記上面部のうち前記上面部に形成された前記孔部の周端を構成する部位の下面に接触するように前記ハンドル部材を一方向に回動させるための付勢力を前記ハンドル部材に付与する付勢部材と、を備えるのがよい。さらに、前記ハンドル部材は、車両の前後方向に沿った軸周りであって且つ車両内方側の部分が下方に押し込まれるように回動可能に前記ケース本体に支持されているのがよい。
これによれば、ハンドル部材が操作されていないときは、付勢部材の付勢力によりハンドル部材に取り付けられたシール部材が上面部のうち孔部の周端を構成する部位の下面に接触することにより、ハンドル部材の外周縁と孔部の周端縁との間の隙間がシールされる。車両に乗車しようとする人がハンドル部材を操作するときは、ハンドル部材の車両内方側の部位を下方(ドア内)に押し込むようにハンドル部材を回動させ、その状態でドアを引く。このような自然な動作でドアを開けることができる。
また、前記ハンドル部材は、操作者が操作可能な操作レバーを有し、この操作レバーは操作者が非操作位置に位置する前記操作レバーを下方に押し込むことにより、前記操作レバーが操作位置に回動して車両のドアロック装置が作動するように構成されており、さらに、前記アウターパネルの長手方向(車両前後方向)に延び且つ前記操作レバーよりも車両外方に位置する回転軸を中心として前記ハンドル部材を回動可能に支持する支持部と、前記操作レバーにおける前記非操作位置から前記操作位置への回動を許容するハンドル収容部と、前記操作位置における前記操作レバーと当接可能な当接部とを有するケース本体を備えるものであるのがよい。
これによれば、操作者がアウターパネルの上面部に形成された孔部に設けられたハンドル部材の操作レバーを下方に押し込むことにより車両のドアロック装置が作動して、車両のドアが解錠される。また、操作レバーの回動軸は操作レバーよりも車両外方に位置しているため、上述のように車両のドアが解錠された際、操作レバーの車両内方に位置する部位が大きく下方に移動してハンドル収容部にて操作者がドアを引くことができる空間が作られる。そして、この状態では操作レバーが操作位置に回動してケース本体の当接部に当接しているため、操作者が操作レバーを車両外側に引く力がケース本体の当接部を介してドアに伝わる。それゆえ、ハンドル部材を押して引くという一連の動作により、操作者は煩わしさを感じることなく車両のドアを開けることができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る車両用ドアアウトサイドハンドルが車両のドアの外装を構成するアウターパネルに取り付けられた状態を示す図であり、図2は図1のA部拡大図である。これらの図に示すように、アウターパネル100は側面部110と上面部120とを有する。側面部110はアウターパネル100の側方の外装を構成する。上面部120は側面部110の上端から車両内方側に延び、車両上方を向いている。上面部120の断面形状は下方に窪んだ略半円形状であり、その底面部分に略矩形状の孔部121が形成されている。この孔部121内に車両用ドアアウトサイドハンドル1が配置される。
図3は車両用ドアアウトサイドハンドル1の平面図、図4は正面図、図5は側面図である。また、図6は図3のVI−VI断面図、図7は、車両用ドアアウトサイドハンドル1を車両に取り付けた場合における図3のVII−VII断面図、図8は図3のVIII−VIII断面図である。これらの図に示すように、車両用ドアアウトサイドハンドル1は、ハンドル部材10と、ケース本体20と、シール部材30と、コイルスプリング(付勢部材)40とを備える。
ハンドル部材10は、操作者により操作される操作レバー11を備える、図1乃至図4には操作レバー11が表わされている。操作レバー11は図1および図2に示すようにアウターパネル100の上面部120に形成された孔部121内に微小の隙間を有して配置される。また、操作レバー11が操作されていない状態では、上面部120と操作レバー11が面一になるように、操作レバー11が上面部120の形状に合わせて形成されている。
ケース本体20は、第1フランジ部21と、第2フランジ部22と、ハンドル収容部23と、連結軸部24と、スプリング保持軸部25と、を備える。第1フランジ部21は平板状であり、その表面から裏面に掛けて貫通した第1貫通孔21aおよび第2貫通孔21bを有する。第2フランジ部22も平板状であり、その表面から裏面に掛けて貫通した第3貫通孔22aを有する。第1貫通孔21a、第2貫通孔21b、第3貫通孔22aの形成方向は同一方向である。第1フランジ部21と第2フランジ部22は所定の距離だけ離間して配置される。
所定の距離だけ離間して配置された第1フランジ部21と第2フランジ部22との間にハンドル収容部23が形成される。ハンドル収容部23は、第1側壁部231と、第2側壁部232と、これらの側壁の側端部同士を連結する第3側壁部233とを有する。第1側壁部231は第1フランジ部21の図4において右端から第1フランジ部21に対して略垂直な方向に立設する。第2側壁部232は第2フランジ部22の図4において左端から第2フランジ部22に対して略垂直な方向に立設する。第1側壁部231と第2側壁部232は略平行に配置される。第3側壁部233は第1側壁部231の図3において下方部と第2側壁部232の図3において下方部とを連結する。これらの側壁部によりハンドル収容部23の断面が略コの字状に形成される。また、図3からわかるように、連結軸部24は長尺状に形成され、その一端にて第1側壁部231に連結され、その他端にて第2側壁部232に連結される。図3に示す方向から見て、第1側壁部231、第2側壁部232、第3側壁部233に囲まれた領域内に、操作レバー11は配設される。なお、連結軸部24の軸方向は車両の前後方向と平行である。
第1フランジ部21に形成された第1貫通孔21a,第2貫通孔21bおよび第2フランジ部22に形成された第3貫通孔22aにはボルトなどの締結部材が挿通される。この締結部材によって、ケース本体20がアウターパネル100の上面部120の下面に締結固定される。
また、図4に示すように、ケース本体20は、第1支持ブラケット26および第2支持ブラケット27を有する。第1支持ブラケット26は、連結軸部24の下部から図4において下方に向かって延びて形成され、第2支持ブラケット27は第2側壁部232の下部から下方に向かって延びて形成される。第1支持ブラケット26と第2支持ブラケット27は図4において左右方向に離間して配置される。スプリング保持軸部25は、その一端にて第1支持ブラケット26に連結され、その他端にて第2支持ブラケット27に連結される。このスプリング保持軸部25は連結軸部24に平行になるように、第1支持ブラケット26および第2支持ブラケット27に取り付けられる。スプリング保持軸部25にコイルスプリング40が巻回される。
また、スプリング保持軸部25にベルクランク28が回動可能に取り付けられている。スプリング保持軸部25に巻回されたコイルスプリング40の一端はベルクランク28に係止され、他端はケース本体20に支持される。ケース本体20はアウターパネル100の上面部120に固定されているので、コイルスプリング40の弾性力(付勢力)がベルクランク28に伝達される。
図6に示すように、ベルクランク28の断面形状は3つの頂部A,B,Cを備える略三角形状に形成される。頂部A付近には、ドアロック装置DLに接続されるロッドRDが連結されるロッド部283が形成される。頂部B付近には図6の紙面方向に延びるカウンターウエイト部281が形成される。コイルスプリング40の一端はこのカウンターウエイト部281に係止される。また、頂部Cには後述する操作レバー11の接触子14が接触するレバー当接部282が形成される。スプリング保持軸部25は図6に示すベルクランク28の略中央付近でベルクランク28を支持するので、ベルクランク28は、カウンターウエイト部281に係止されたコイルスプリング40から、スプリング保持軸部25の周りを一方向に回動する付勢力を受ける。
図6に示すように、ハンドル部材10は、上述した操作レバー11と、連結部12と、支持部13と、接触子14とを備える。操作レバー11は平板状に形成される。操作者はこの操作レバー11を操作することによりドアロック装置DLを作動させる。また、操作レバー11は表面111および裏面112を有する。表面111が車両の外方に露出される。裏面112には連結部12が連結される。連結部12は断面格子状に形成され、その先端が二股状に分かれ、一方の先端に支持部13が設けられ、他方の先端に接触子14が設けられる。
支持部13は断面略円形状であり、中央に貫通孔13aが形成されている。この貫通孔13aにケース本体20の連結軸部24が挿通される。したがって、ハンドル部材10は連結軸部24の軸周りに回動可能にケース本体20に取り付けられる。また、接触子14はベルクランク28のレバー当接部282に接触する。上述のようにベルクランク28はスプリング保持軸部25の軸周りを一方向に回動する付勢力を受けているので、ハンドル部材10も接触子14からこの付勢力が伝達される。このためハンドル部材10は、連結軸部24の軸周りを一方向に回動する付勢力を受ける。この付勢力の付勢方向は、図6において連結軸部24を中心とした時計周り方向(矢印D方向とは反対の方向)である。
図9は、操作レバー11の裏面図である。図9および図5乃至図7に示すように、操作レバー11の裏面112にシール部材30が取り付けられる。シール部材30は操作レバー11の外周に設けられる。シール部材30は、シール31および保持プレート32を備える。シール31は操作レバー11の外周に沿って操作レバー11に取り付けられる。シール31の内周部(基端部)31a側が操作レバー11の裏面112に固定され、外周部(先端部)31b側が操作レバー11の外周から外方に延びている。このシール31は軟質樹脂材料で作られる。
保持プレート32は本実施形態では金属製であり、長尺平板状に形成され、シール31の基端部31aを部分的に保持する。本実施形態では、保持プレート32は、シール31の基端部31aのうち、図9において上方の部分および下方の部分をそれぞれ2枚のプレートにより保持する。また、操作レバー11の裏面112には、図の左右方向に延びた複数のリブ16が形成されている。この複数のリブ16によりシール31の基端部31aのうち、図9において左方の部分および右方の部分が保持される。これらのリブ16により、保持プレート32によるシール31の保持が補助される。なお、保持プレート32によってシール31の基端部31aのうち左方の部分および右方の部分を保持するように構成してもよい。
図10は、シール31および保持プレート32を操作レバー11に取り付けた状態を示す詳細図である。図10に示すように、操作レバー11の裏面112には、図において下方に延びたかしめピン113が操作レバー11と一体的に形成される。また、シール31および保持プレート32にはそれぞれ貫通孔が形成されており、これらの貫通孔にかしめピン113が挿通される。そして、熱かしめなどによって、シール31および保持プレート32を一体的に操作レバー11に固定する。本実施形態では図9に示すように、操作レバー11の図示上辺に沿って3個のかしめピン113が形成され、図示下辺に沿って5個のかしめピン113が形成されているが、この限りでない。また、かしめ以外の方法によって、シール31および保持プレート32を操作レバー11に固定してもよい。
図10に示すように、保持プレート32は固定部321およびシール支持部322を備える。固定部321にてかしめピン113を介して保持プレート32が操作レバー11の裏面112に固定される。シール支持部322は固定部321に連続して形成され、シール31の先端部31b側が操作レバー11の外周端部とアウターパネル100の上面部120に形成された孔部121の周端との間の隙間Gに向くように、基端部31aを持ち上げるように保持する。このためシール31の先端部31bが図に示すように上向きとなるように、シール31が保持プレート32に保持される。保持プレート32によりシール31の基端部31a側が保持されることにより、シール部材30のうち操作レバー11に固定される固定部(シール31の基端部31aおよび保持プレート32)側の強度が、シール31の先端部31b側の強度よりも大きくされる。
このように構成された車両用ドアアウトサイドハンドル1において、操作レバー11が操作されていない状態では、コイルスプリング40の付勢力がベルクランク28を介してハンドル部材10に伝達される。このため操作レバー11は図6および図7において連結軸部24を軸中心として時計周り方向(図6の矢印D方向と反対の方向)に回動する力を受ける。これにより操作レバー11がアウターパネル100の上面部120に形成された孔部121から上方に飛び出る方向に移動しようとする。
ここで、図8に示すように、ハンドル部材10には、連結部12から延びたストッパ15が形成されており、このストッパ15にはコイルスプリング40の付勢力が図の矢印方向に作用する。このためストッパ15がケース本体の連結軸部24から下方に延びた背面部20aに接触する。ストッパ15が背面部20aに接触することにより、操作レバー10の図6および図7において連結軸部24を軸中心とした時計周り方向(図6の矢印D方向と反対の方向)への回動が規制される。ストッパ15が背面部20aに接触している状態では、図7に示すように、操作レバー11の外周縁から外方に延びたシール31の先端部31bが、アウターパネル100の上面部120のうち孔部121の周端を構成する部位の下面に接触する。この接触により操作レバー11の外周端と孔部121の周端縁との間の隙間Gがシールされる。また、この状態では図7に示すように操作レバー11の表面111がアウターパネル100の上面部120の形状に沿うように、操作レバー11が孔部121内に配置される。なお、ストッパ15を設けることなく、操作レバー11の外周縁から外側に延びたシール31の先端部31bが上面部120のうち孔部121の周端部を構成する部位の下面に接触することにより、操作レバー10の時計周り方向への回動を規制してもよい。
車両に乗車する場合、操作者が操作レバー11を図7において下方に押し込む。この押し込み操作により、操作レバー11はコイルスプリング40の付勢力に抗して連結軸部24を軸中心として図7において反時計周り方向に回動する。このとき図7に示すように、連結軸部24は操作レバー11に対して車両外方寄りに配置されているので、操作レバー11のうち連結軸部24に遠い側(車両内方側)の回動ストロークが近い側(車両外方側)の回動ストロークよりも多い。したがって、操作者により操作レバー11のうち車両内方側の部分がより多く押し込まれる。
操作者による操作レバー11の押し込み操作により、操作レバー11は、第1側壁部231、第2側壁部232および第3側壁部233により囲まれたハンドル収容部23内の空間を回動する。また、ケース本体20の連結軸部24から下方に延びた背面部20aには弾性部材などにより形成されたクッション29が配置されていて、操作レバー11はこのクッション29に当接することにより、それ以上の反時計周り方向への回動が規制される。
操作者による操作レバー11の回動方向は、図6において矢印Dにより示される。矢印D方向に操作レバー11が回動操作された場合、図6に示すように、操作レバー11に連結された接触子14がベルクランク28を矢印E方向に回動させる。ベルクランク28にはその回動中心(スプリング保持軸部25)から離れた位置にドアロック装置DLに連結したロッドRDが取り付けられているので、ベルクランク28が矢印E方向に回動することによりロッドRDが動作する。ロッドRDの動作によりドアロック装置DLが作動して、車両のドアが解錠する。したがって、操作者は、操作レバー11を押し込み操作したままドアを開くことができる。
操作者がドアを開いた後に操作レバー11を放した場合、接触子14がベルクランク28を付勢する力が消失するので、ベルクランク28はコイルスプリング40から受ける付勢力によって、図6の矢印E方向とは反対の方向に回動する。この回動に伴い操作レバー11も矢印D方向とは反対の方向に回動する。操作レバー11の矢印D方向とは反対の方向への回動は、ハンドル部材10のストッパ15がケース本体の背面部20aに当接することにより規制される。このとき操作レバー11の外周縁から外方に延びたシール31の先端部31bが上面部120のうち孔部121の周端部を構成する部位の下面に接触することにより、図7に示すように孔部121の周端縁と操作レバー11の外周縁との間の隙間がシールされる。なお、操作者によるハンドル部材10の回動操作中に、ハンドル部材10の外周に設けられたシール部材30はケース本体20(ハンドル収容部23)に干渉しない。
本実施形態の車両用ドアアウトサイドハンドル1は、ハンドル部材10とシール部材30とを備える。ハンドル部材10は、車両のドアのアウターパネル100の上面部120に形成された孔部121内に隙間Gを有して配置され、操作者が操作することにより車両のドアロック装置を作動させる操作レバー11を備える。シール部材30は、操作レバー11に設けられ、操作レバー11に固定される固定部(保持プレート32およびシール31の基端部31a)と、アウターパネル100の上面部120のうち孔部121の周端を構成する部位に下面から接触可能な先端部(シール31の先端部31b)とを有する。そして、先端部がアウターパネル100の上面部120のうち孔部121の周端を構成する部位の下面に接触することにより、孔部121の周端縁と操作レバー11の外周縁との間の隙間Gがシールされる。このシール部材30はシール31と保持プレート32とを備える。シール31は上記隙間Gをシールするために操作レバー11の外周から外方に延びている。
操作レバー11の外周からシール31が延びて形成されているため、操作者が操作レバー11を操作する際に、誤ってシール31に接触する頻度が高い。このためシール31の劣化が促進される。シール31の劣化が進行するとシール31がへたり、その弾性力を失う。シール31が弾性力を失うと、重力に負けてシール31が変形する。この場合において、軟質樹脂製のシール31のみによりシール部材30を構成した場合、軟質樹脂製のシール31の劣化により図11の二点鎖線で示すようにシール31の先端部31bが上面部120の下面に接触しなくなる。その結果、シール機能が損なわれる。また、シール31が基端部31aから先端部31bに亘って大きく変形してケース本体20(ハンドル収容部23)に干渉する。シール31がケース本体20に干渉した状態で操作レバー11が押し込み操作された場合、シール31とケース本体20との干渉によって操作レバー11の操作性が悪化するのみならず、押し込まれた操作レバー11が元の位置に復帰しなくなるおそれもある。
この点に関し、本実施形態の車両用ドアアウトサイドハンドル1によれば、シール31のうち操作レバー11に固定される基端部31aは、一体的に操作レバー11に固定される保持プレート32により保持される。つまり保持プレート32によりシール部材30の固定部側が補強される。よって、この保持プレート32およびシール31の基端部31aにより構成されるシール部材30の固定部の強度が、シール部材30のうち上面部120の孔部121の周端を構成する部位に接触可能な先端部(31b)の強度よりも大きい。したがって、シール31が劣化した場合であっても、図10に示すようにシール31の先端部31b側のみが劣化により変形し、基端部31a側はあまり変形しない。シール31の先端部31b側のみが変形するため、劣化に伴う変形量が少ない。変形量が少ないので、ケース本体20とシール部材30が干渉する可能性が低い。したがって、シール31の劣化に伴うシール部材30とケース本体20との干渉による操作レバー11の作動不良(操作性の悪化)を防ぐことができる。また、劣化に伴うシール部材30の変形量が少ないので、シール部材30が有するシール機能が劣化により損なわれる可能性も低い。
また、シール31の基端部31aを保持プレート32により保持するといった簡易な構成により、シール31の劣化によるシール部材30とケース本体20との干渉を防ぐことができる。さらに、保持プレート32のシール支持部322によりシール31の基端部31a側が持ち上げられるように保持されているので、保持プレート32により保持されていないシール31の先端部31bのみが劣化により変形するような構成を実現させることができる。
また、本実施形態によれば、保持プレート32とシール31が熱かしめにより一体的に操作レバー11の裏面112に固定される。このため固定作業の工数を低減することができる。
また、本実施形態の車両用ドアアウトサイドハンドル1の操作レバー11は、アウターパネル100の上面部120に設けられるので、車両を側面から見た場合にハンドル部材10等が視認されない。よって車両の意匠性が向上する。また、ハンドル部材10の外周縁とアウターパネル100の上面部120に形成された孔部121の周端縁との隙間Gがシール部材30によりシールされるので、雨水などがドア内に侵入することを防止することができる。
また、本実施形態の車両用ドアアウトサイドハンドル1のハンドル部材10は、操作者が操作レバー11を下方に押し込むことにより、車両のドアロック装置が作動するように構成されている。このため操作者は、操作レバー11を押し込んでから引くという一連の動作により、煩わしさを感じることなく車両のドアを開けることができる。
また、本実施形態の車両用ドアアウトサイドハンドル1は、アウターパネル100の上面部120に固定されるとともに、ハンドル部材10の操作レバー11がアウターパネル100の上面部120に形成された孔部121に隙間Gを有して配置されるようにハンドル部材10を回動可能に支持するケース本体20と、シール部材30がアウターパネル100の上面部120のうちこの上面部120に形成された孔部121の周端を構成する部位の下面に接触するようにハンドル部材10を一方向に回動させるための付勢力をハンドル部材10に付与するコイルスプリング40とを備える。さらに、ハンドル部材10は、車両の前後方向に沿った軸周りであって且つ車両内方側の部分が押し込まれるように回動可能にケース本体20に支持される。
これによれば、ハンドル部材10の操作レバー11が操作されていないときは、コイルスプリング40の付勢力によりハンドル部材10に取り付けられたシール部材30がアウターパネル100の上面部120のうち孔部121の周端を構成する部位の下面に接触することにより、操作レバー11の外周縁と孔部121の周端縁との間の隙間Gがシールされる。また、車両に乗車しようとする人が操作レバー11を操作するときは、操作レバー11の車両内方側の部位を下方に押し込むように操作レバー11を回動させ、その状態でドアを引く。このような自然な動作でドアを開けることができる。
また、ハンドル部材10は、操作者が操作可能な操作レバー11を有する。この操作レバー11は、それが非操作位置に位置するときに操作者の下方への押し込み操作により操作位置に回動して車両のドアロック装置DLが作動するように構成されている。さらに、ハンドル部材10は、アウターパネル100の長手方向(車両前後方向)に延び且つ操作レバー11よりも車両外方に位置する回転軸を中心としてハンドル部材10を回動可能に支持する連結軸部24と、操作レバー11の非操作位置から操作位置への回動を許容するハンドル収容部23と、操作レバー11が操作されたときに操作レバー11と当接可能なクッション29とを有するケース本体20を備える。
これによれば、操作者がアウターパネル100の上面部120に形成された孔部121に設けられたハンドル部材10の操作レバー11を下方に押し込むことにより車両のドアロック装置DLが作動して、車両のドアが解錠される。また、操作レバー11の回動軸は操作レバー11よりも車両外方に位置しているため、車両のドアが解錠された際、操作レバー11の車両内方に位置する部位が大きく下方に移動してハンドル収容部23にて操作者がドアを引くことができる空間が作られる。そして、この状態では操作レバー11が操作位置に回動してケース本体20のクッション29に当接しているため、操作者が操作レバーを車両外側に引く力がケース本体20のクッション29を介してドアに伝わる。それゆえ、ハンドル部材10を押して引くという一連の動作により、操作者は煩わしさを感じることなく車両のドアを開けることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるべきものではない。例えば、上記実施形態においては、シール31の基端部31a側を保持プレート32によって保持することにより、シール部材30のうち操作レバー11に固定される固定部側の強度がアウターパネル100の上面部120に形成された孔部121の周端を構成する部位に接触する先端部側の強度よりも大きくなるように構成される例について示した。本発明は上記実施形態に代えて、図12および図13に示す変形例により表わすこともできる。
図12に示す変形例によれば、シール部材30がシール31のみで構成されている。このシール31のうち、操作レバー11に固定される基端部(固定部)31a側が硬質樹脂により成形され、上面部120の孔部121の周端を構成する部位に接触する先端部31b側が軟質樹脂により成形される。このシール31は二色成形により基端部31a側と先端部31b側とを一体に成形することができる。このような構成のシール部材30でも、操作レバー11に固定される基端部(固定部)31a側の強度を上面部120のうち孔部121の周端を構成する部位に接触する先端部31b側の強度よりも大きくすることができる。
図13に示す変形例もシール部材30がシール31のみで構成されている例である。このシール31は軟質樹脂により成形される。シール31の基端部(固定部)31a側が熱かしめなどにより操作レバー11の裏面112に固定される。さらに、シール31の基端部31aの先端部31b寄りの部分が接着剤等により操作レバー11の端部に固定される。このような構成のシール部材30でも、操作レバー11に固定される固定部側の強度を上面部120のうち孔部121の周端を構成する部位に接触する先端部31b側の強度よりも大きくすることができる。また、シール部材30のうち操作レバー11に固定される固定部側の厚みが、アウターパネル100の上面部120に形成された孔部121の周端を構成する部位に接触する先端部側の厚みよりも大きくなるように構成してもよい。
また、上記実施形態では、車両用ドアアウトサイドハンドル1が配置される車両のドアが車両側方に配置されるウイングドアである例を示したが、スライドドア、バックドアおよびガルウイングドア等に本発明の車両用ドアアウトサイドハンドルを適用してもよい。さらに、上記実施形態では、車両用ドアアウトサイドハンドル1がアウターパネル100の上面部120に配置される例を示したが、アウターパネル100の側面部110に配置してもよい。さらに、クッション29はケース本体20に一体成形してもよい。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、変形可能である。