JP5633118B2 - 走行制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両を目標進行ラインに沿って自動操舵する自動操縦制御を行う車両の走行制御装置に関するものである。
近年、自動操舵に対する様々な技術が提案され、実用化されている。
例えば、特許文献1では、カメラにより検出した前方の道路情報を基に走行制御する技術が提案されている。
また、特許文献2では、前方障害物の状態に応じて適切な回避動作を行う自動操舵制御が提案されている。
従来の走行制御装置では、CCDカメラなどのカメラから車両の前方の道路情報を取得し、その道路情報から目標進行ラインを演算すると共に、その目標進行ラインと現在の車両の進行ラインとの偏差を求める。さらに、その偏差を基にハンドルの目標操舵角を決定し、決定した目標操舵角に基づいてアクチュエータへの指示電流(指示信号)を演算して出力する。
アクチュエータは、入力された指示電流の正負に応じてハンドルを右あるいは左いずれかの方向に駆動するようにされ、指示電流の絶対値に応じた操舵角、すなわち目標操舵角となるようにハンドルを制御する。
アクチュエータは、大型車両においては一般に油圧回路からなり、例えば、ハンドルの操作を走行輪に伝達する操舵軸に、ハンドルを右回転させる右回転駆動部、および左回転させる左回転駆動部を設け、各駆動部にコントロールバルブをそれぞれ接続すると共に、両コントロールバルブをロータリーバルブに接続し、コントロールユニットからの信号に基づき、ロータリーバルブで右回転用、左回転用いずれかのコントロールバルブに油圧ポンプからの作動油を供給するようにされる。コントロールバルブは、右回転駆動部または左回転駆動部に供給される液圧を制御し、右回転駆動部または左回転駆動部で液圧に応じた反力を操舵軸に与えることにより、ハンドルを操舵する。コントロールユニットは、入力された指示電流の絶対値に応じてコントロールバルブを制御して、右回転駆動部または左回転駆動部に供給される液圧を調整することで、ハンドルを目標操舵角となるように制御する(例えば、特許文献3参照)。
特開2008−189058号公報 特開2008−126957号公報 特開2007−168674号公報
従来の走行制御装置では、目標操舵角とアクチュエータに出力する指示電流の関係を、倍数(線形)あるいは2次遅れ系の関係で決定している。つまり、操舵角が同じでれば、右に操舵する場合と左に操舵する場合で指示電流はその符号(正負)が異なるのみで、絶対値は同じとなる。
しかしながら、上述のようなアクチュエータで自動操舵を行う場合、アクチュエータに同じ絶対値の指示電流を入力しても、指示電流の正負により同じ応答時間における左右の操舵角が異なる場合がある。つまり、使用するアクチュエータによっては、指示電流の正負、すなわちハンドルを右に操舵するか左に操舵するかによって、同じ絶対値の指示電流を入力しても、目標操舵角に達する時間(つまり操舵角速度)が異なる場合がある。
例えば、上述のコントロールバルブを用いたアクチュエータでは、右回転用、左回転用いずれかのコントロールバルブを駆動してハンドルを右あるいは左に回転させるが、両コントロールバルブの特性が製造上の影響で異なる場合があり、この特性の違いにより、左右で操舵角速度が異なってしまう場合がある。さらには、摩擦、減衰などで生じる回転時の抵抗力が左右で異なる場合もあり、このような場合にも、左右で操舵角速度が異なってしまう。
したがって、従来方法では、このような左右で操舵角速度が異なるアクチュエータ、すなわち左右非対称な特性を有するアクチュエータを用いて自動操舵制御を行った場合、自動操舵の制御性能が十分に発揮できず、制御性能が制限されてしまうという問題がある。
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、アクチュエータによる操舵角速度の左右非対称性に起因する制御性能上の制限をなくし、自動操舵の制御性能を十分に発揮することが可能な走行制御装置を提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、車両に搭載され該車両が走行する前方の道路情報を検出するカメラと、該カメラからの道路情報が入力され、その道路情報から目標進行ラインを演算すると共に、前記目標進行ラインから走行中の車両のハンドルの目標操舵角を決定する自動操舵コントローラと、該自動操舵コントローラで決定された目標操舵角に基づいて、前記ハンドルを前記目標操舵角となるように制御する油圧回路からなるアクチュエータとを備え、車両を道路に沿って自動操舵する走行制御装置において、前記自動操舵コントローラから前記目標操舵角が入力され、その目標操舵角を基に、前記アクチュエータの左右方向の目標操舵角に対して前記アクチュエータによる左右の操舵角速度が同じとなるように指示電流を決定し、その指示電流を前記アクチュエータに出力する左右対称補償部を備えた走行制御装置である。
前記左右対称補償部は、予め設定した左右対称な操舵角と目標操舵角速度の関係をマップとして記憶するマップ記憶部と、該マップ記憶部に記憶されたマップを用い、前記自動操舵コントローラで求めた目標操舵角に対応する目標操舵角速度を求める目標操舵角速度演算部と、該目標操舵角速度演算部で求めた目標操舵角速度に対して、前記アクチュエータの操舵角速度が一致するように指示電流を決定し、その指示電流を前記アクチュエータに出力する指示電流演算出力部とを備えてもよい。
前記指示電流演算出力部は、予め設定した前記操舵角と目標操舵角速度の関係曲線に基づき、その関係曲線の接線の傾きと切片をパラメータとして求めるパラメータ演算部と、前記ハンドルの操舵角と前記アクチュエータによる操舵角速度の関係が、予め設定した前記操舵角と目標操舵角速度の関係と一致するように、前記パラメータ演算部で求めたパラメータに基づいて、スライディングモード制御により前記指示電流を演算して出力するスライディングモード制御部とを備えてもよい。
前記パラメータ演算部は、前記目標操舵角と前記目標操舵角速度とに基づき、ニューラルネットワークのアルゴリズムを用いることにより、予め設定した前記操舵角と目標操舵角速度の関係における接線の傾きと切片をパラメータとして演算するようにされてもよい。
前記スライディングモード制御部は、被制御対象となる前記ハンドルの操舵角と前記アクチュエータによる操舵角速度を、前記パラメータに基づいて設定した切替超平面上に拘束するように、前記指示電流を演算して出力するようにされてもよい。
前記スライディングモード制御部は、出力する指示電流のゲインを、ファジー制御により求めるようにされてもよい。
本発明によれば、アクチュエータによる操舵角速度の左右非対称性に起因する制御性能上の制限をなくし、自動操舵の制御性能を十分に発揮することが可能な走行制御装置を提供できる。
本発明の一実施形態に係る走行制御装置の機能ブロック図である。 図1の走行制御装置を搭載する車両の入出力構成を示す図である。 本発明の一実施形態に係る走行制御装置の制御フローを示すフローチャートである。 本発明において、予め設定する操舵角と目標操舵角速度の関係を表すマップの一例を示す図である。 本発明において、パラメータ演算部に用いるニューラルネットワークの一例を示す図である。
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
図1は、本実施形態に係る走行制御装置の機能ブロック図であり、図2は、本実施形態に係る走行制御装置を搭載する車両の入出力構成を示す図である。
図1及び図2に示すように、車両には、車両が走行する前方の道路情報を検出するCCDカメラなどのカメラS1と、走行中の車両のヨー角を検出するヨーレートセンサS2と、ハンドルの角度を検出するハンドル角度センサS3と、トルクセンサS4とが搭載されている。
車両には、走行制御装置1が搭載されている。走行制御装置1には、カメラS1、ヨーレートセンサS2、ハンドル角度センサS3、トルクセンサS4の出力信号線がそれぞれ接続されている。
走行制御装置1は、車両を道路に沿って自動操舵する走行制御を行うためのものであり、カメラS1からの道路情報が入力され、その道路情報から目標進行ラインを演算すると共に、目標進行ラインと車両の進行ラインとの偏差を求め、その偏差と、ヨーレートセンサS2、ハンドル角度センサS3、及びトルクセンサS4から入力された信号とを基に、走行中の車両のハンドル2の目標操舵角を決定する自動操舵コントローラ3と、自動操舵コントローラ3で決定された目標操舵角に基づいて、ハンドル2を目標操舵角となるように制御するアクチュエータ4とを備えている。図1において、yは車両の横位置(車幅方向の位置)、φはヨー角、θRはハンドル角(操舵角)、θは目標操舵角を表す。
また、走行制御装置1は、自動操舵コントローラ3から目標操舵角が入力され、その目標操舵角を基に、アクチュエータ4の左右方向の目標操舵角に対してアクチュエータ4による左右の操舵角速度が同じとなるように指示電流(i)を決定し、その指示電流をアクチュエータ4に出力する左右対称補償部5を備えている。自動操舵コントローラ3と左右対称補償部5は、例えば、電子制御ユニット(ECU)に搭載される。
アクチュエータ4は、油圧回路からなり、ハンドル2の操作を走行輪に伝達する操舵軸に設けられたハンドル2を駆動するための駆動部4aと、その駆動部4aに作動油を供給する油圧ポンプ4bと、駆動部4aに供給する作動油の液圧を調整するためのコントロールバルブ4cと、左右対称補償部5から入力された指示電流に応じてコントロールバルブ4cを制御して駆動部4aの液圧を調整することにより、ハンドル2を目標操舵角となるように制御するコントロールユニットとを備える。
駆動部4aは、コントロールバルブ4cで調整された液圧に応じて、操舵軸に反力を付与し、ハンドルを右回転、あるいは左回転させる。また、コントロールバルブ4cは、ソレノイドと該ソレノイドにより駆動されるスプールを備えており、コントロールユニットでソレノイドを駆動することにより、スプールを駆動させて、駆動部4aの液圧を調整するようにされる。つまり、コントロールユニットに指示電流が入力されると、これに応じてコントロールユニットがソレノイドを駆動し、これによってスプールが駆動されて駆動部4aの液圧が調整され、駆動部4aがハンドル2を指示電流に応じた操舵角度に左右回転させる。
図1では、簡略化のため、1対のコントロールバルブ4cと駆動部4aのみを示しているが、実際には、右回転用と左回転用の2対のコントロールバルブ4cと駆動部4aを備えており、両コントロールバルブ4cは図示しないロータリーバルブを介して油圧ポンプ4bに接続されている。アクチュエータ4のコントロールユニットは、電子制御ユニット(ECU)に搭載される。
左右対称補償部5は、予め設定した左右対称な操舵角と目標操舵角速度の関係をマップとして記憶するマップ記憶部6と、マップ記憶部6に記憶されたマップを用い、自動操舵コントローラ3で求めた目標操舵角に対応する目標操舵角速度を求める目標操舵角速度演算部7と、目標操舵角速度演算部7で求めた目標操舵角速度に対して、アクチュエータ4による操舵角速度が一致するように指示電流を決定し、その指示電流をアクチュエータ4に出力する指示電流演算出力部8とを備える。
指示電流演算出力部8は、予め設定した操舵角と目標操舵角速度の関係に基づき、その接線の傾きhと切片lをパラメータとして求めるパラメータ演算部9と、ハンドル2の操舵角(θR)とアクチュエータ4による操舵角速度(θRドット)の関係が、予め設定した操舵角と目標操舵角速度の関係と一致するように、パラメータ演算部9で求めたパラメータh,lに基づいて、スライディングモード制御により指示電流を演算して出力するスライディングモード制御部としてのFSMC(Fuzzy Sliding Mode Controller)制御器10とを備える。
パラメータ演算部9は、自動操舵コントローラ3から入力された目標操舵角と、目標操舵角速度演算部7から入力された目標操舵角速度とに基づいて、ニューラルネットワークのアルゴリズムを用いることにより、予め設定した操舵角と目標操舵角速度の関係における接線の傾きh、切片lをパラメータとして演算するようにされる。
FSMC制御器10は、被制御対象となるハンドル2の操舵角とアクチュエータ4による操舵角速度を、パラメータh、lに基づいて設定した切替超平面上に拘束するように、指示電流を演算して出力するようにされる。また、FSMC制御器10は、出力する指示電流のゲインを、ファジー制御により求めるようにされる。FSMC制御器10における制御の詳細については後述する。
次に、本実施形態に係る走行制御装置1における制御フローを図3を用いて説明する。
図3に示すように、まず、自動操舵コントローラ3が、カメラS1、ヨーレートセンサS2、ハンドル角度センサS3、およびトルクセンサS4から必要なパラメータを読み込む(ステップC101)。
その後、自動操舵コントローラ3は、カメラS1からの道路情報を基に、目標進行ラインを設定する(ステップC102)。
具体的には、自動操舵コントローラ3が、カメラS1で撮像した画像から道路両端の白線を認識し、両端の白線間を自車の走行レーンとして設定すると共に、片側の白線(例えば、車両の左側の白線)から所定の距離離れたラインを目標進行ライン(目標車線)として設定する。例えば、片側の白線から50%の距離(走行レーンの幅の50%の距離)を目標進行ラインとするように設定した場合、両端の白線の中央のラインが目標進行ラインとなる。
目標進行ラインを設定した後、自動操舵コントローラ3は、カメラS1で撮像した画像から走行中の車両(自車)の進行ラインと目標進行ラインとの偏差を求める(ステップC103)。ここでは、車両と片側の白線との距離(横位置)と、片側の白線と目標進行ラインとの距離の差を偏差(目標偏差)とする。
その後、自動操舵コントローラ3は、求めた偏差を基に目標操舵角を演算する(ステップC104)。
目標操舵角の演算は、公知の方法により演算すればよい。具体的には、まず、操舵系の状態方程式は、[数1]に示す式(1)で表される。
式(1)におけるA11、A12、A13、A31、A32、A33、B11、B31は、以下のように表される。
一方、車両追従制御則として、[数3]に示す式(2)がある。
式(2)を最小化する最適レギュレータの操舵角制御入力、すなわち目標操舵角は、[数4]に示す式(3)で与えられる。
自動操舵コントローラ3は、求めた目標操舵角を左右対称補償部5の目標操舵角速度演算部7、パラメータ演算部9、FSMC制御器10に出力する。また、自動操舵コントローラ3は、ハンドル角度センサS3より得たハンドル角度(操舵角)と、その操舵角を微分して得た操舵角速度をFSMC制御器10に出力する。
左右対称補償部5の目標操舵角速度演算部7は、自動操舵コントローラ3から入力された目標操舵角を基に、予め設定しマップ記憶部6に記憶された操舵角と目標操舵角速度のマップを用いて、目標操舵角に対応する目標操舵角速度を求める(ステップC105)。
マップ記憶部6に記憶させるマップ(操舵角と目標操舵角速度の関係)の一例を図4に示す。図4に示すマップ41は、横軸をハンドル2の操舵角、縦軸を目標操舵角速度としたものであり、左右対称(原点0に対して点対称)となるように、理想的な操舵角と操舵角速度の関係曲線42を設定したものである。マップ記憶部6に記憶させるマップは図4のマップ41に限らず、任意に設定することが可能である。
目標操舵角速度演算部7は、求めた目標操舵角速度をパラメータ演算部9、FSMC制御器10に出力する。
パラメータ演算部9は、自動操舵コントローラ3から入力された目標操舵角、および目標操舵角速度演算部7から入力された目標操舵角速度を基に、予め設定した操舵角と目標操舵角速度の関係(マップ41の関係曲線42)における接線の傾きhと切片l(マップ41に示すl1〜ln)をパラメータとして求める(ステップC106)。
本実施形態では、図5に示すように、目標操舵角と目標操舵角速度を入力として、ニューラルネットワーク推定により、操舵角と操舵角速度の関係曲線42における接線の傾きhと切片lをパラメータとして演算するようにした。
パラメータ演算部9は、求めたパラメータh、lをFSMC制御器10に出力する。
FSMC制御器10は、自動操舵コントローラ3から入力された操舵角(ハンドル角度)と操舵角速度と目標操舵角、目標操舵角速度演算部7から入力された目標操舵角速度、パラメータ演算部9から入力されたパラメータh,lに基づき、指示電流を演算する(ステップC107)。
本実施形態では、下式(4)のようにスライディングモード制御の滑り面である超平面σを規定する。
σ=hx1+x2 ・・・(4)
式(4)において、x1、x2はシステムの状態変数であり、x1=θ、x2=θドット+lとする。
したがって、σ=0となる切替超平面は、下式(5)
2=−hx1 ・・・(5)
で表される。
式(6)にx1,x2を代入すると、[数5]に示す式(6)となる。
つまり、切替超平面は、上述の操舵角と目標操舵角速度の関係曲線42における接線を、θ軸(操舵角軸)に対して反転させたものとなり、その収束点は上記関係曲線42上(θ軸に対して反転させた関係曲線42上)となるように設定される。したがって、この切替超平面に制御対象となるハンドル2の操舵角とアクチュエータ4による操舵角速度を拘束するように、制御入力(指示電流)を決定することで、実際の操舵角と操舵角速度の関係が予め設定した関係曲線42と一致するように制御される。
スライディングモード制御における制御入力(ここでは指示電流)の構造は、一般に、[数6]に示す式(8)のように表すことができる。
理想的なシステムでは、制御入力(ここでは指示電流)が、σ=0となる切替超平面において瞬時に理想的に切り替わり、理想的なスライディングモードが切替超平面上において実現される。しかし、実際のシステムでは、切替超平面上で瞬時に制御入力を切り替えることは困難であり、現実の切り替えは切替超平面近傍(σ=±Δ)のある有限幅の区間で起こる。そこで、切替超平面を含む有限幅の境界層を設定し、この境界層内で、制御入力に対する切替超平面の連続近似を行う(切替超平面の近傍でハイゲインの制御を行う)ことで、スライディングモードのチャタリングを低減することが行われている。
本実施形態では、このようなチャタリングを低減し、ロバスト性を向上させるため、ファジーのアルゴリズムを用いて、スライディングモード制御の制御入力(指示電流)のゲインを決定する。
具体的には、式(8)を[数7]に示す式(9)に改良する。
式(9)におけるファジーのルールは、例えば、以下のようになる。
If σ is PB, then u is PB
If σ is PM, then u is PM
If σ is PS, then u is PS
If σ is ZO, then u is ZO
If σ is NS, then u is NS
If σ is NM, then u is NM
If σ is NB, then u is NB
上記条件において、PBはプラスに大きい、PMはプラスに中くらい、PSはプラスに小さい、ZOはゼロ、NSはマイナスに小さい、NMはマイナスに中くらい、NBはマイナスに大きい、を表す。例えば、上記条件における1行目は、σの値がプラスに大きい場合、制御入力(指示電流)をプラスに大きくすることを表す。
つまり、FMSC制御器10は、ファジーのアルゴリズムを用いて、厳密な数学モデルを用いずに、制御入力である指示電流を演算する。厳密な数学モデルを用いた場合、実際のモデルと厳密な数学モデルの誤差の影響が問題となるが、制御入力(指示電流)をファジーな関係を用いて演算するようにすることで、このような誤差の影響を抑制し、ロバスト性を向上することが可能となる。
式(9)より、指示電流は[数8]に示す式(10)により求めることができる。
式(10)で得られた指示電流をアクチュエータ4(上述のコントロールユニット)に出力することにより、実際の操舵角と操舵角速度の関係を、予め設定した関係曲線42と一致するように制御することが可能となる。
本実施形態の作用を説明する。
本実施形態に係る走行制御装置1では、自動操舵コントローラ3から入力された目標操舵角を基に、アクチュエータ4の左右方向の目標操舵角に至るまでのアクチュエータ4による左右の操舵角速度が同じとなるように指示電流を決定し、その指示電流をアクチュエータ4に出力する左右対称補償部5を備えている。
これにより、アクチュエータ4による操舵角速度の左右非対称性に起因する制御性能上の制限をなくし、自動操舵の制御性能を十分に発揮することが可能な走行制御装置1を実現できる。
また、本実施形態では、マップ記憶部6に、予め設定した左右対称な操舵角と目標操舵角速度の関係を記憶させておき、これを基に目標操舵角速度演算部7で目標操舵角に対応する目標操舵角速度を求めると共に、パラメータ演算部9で予め設定した操舵角と目標操舵角速度の関係に基づき、その接線の傾きhと切片lをパラメータとして求め、FSMC制御器10にて、ハンドル2の操舵角とアクチュエータ4による操舵角速度の関係が、予め設定した操舵角と目標操舵角速度の関係と一致するようにスライディングモード制御を用いて指示電流を演算して、求めた指示電流をアクチュエータ4に出力するようにしている。
これにより、予め設定した理想的な操舵角と操舵角速度の関係と、実際の操舵角と操舵角速度の関係を一致させることが可能となる。よって、アクチュエータ4として左右非対称な操舵角速度の特性を有するものを用いたとしても、予め設定した理想的な操舵角と操舵角速度の関係を実現することが可能である。
さらに、アクチュエータ4はその特性(操舵角速度の特性)に個体差が存在する場合も考えられるが、この場合、アクチュエータ4ごとに特性を補正しなければならず、煩わしい。本実施形態によれば、アクチュエータ4の特性に個体差がある場合でも、予め設定した理想的な操舵角と操舵角速度の関係を実現することが可能である。
また、本実施形態では、パラメータ演算部9で、目標操舵角と目標操舵角速度とに基づき、ニューラルネットワークのアルゴリズムを用いることにより、予め設定した操舵角と目標操舵角速度の関係における接線の傾きhと切片lをパラメータとして演算するようにしている。
ニューラルネットワークを用いない場合、目標操舵角速度ごとに接線の傾きhと切片lをデータベース(テーブル)として記憶しておく必要があるが、この場合、目標操舵角速度と接線の傾きh,切片lの関係が連続的とならない。また、目標操舵角速度と接線の傾きh,切片lの関係を精度よく求めるためには、記憶するデータベースのデータ量が膨大となってしまう。
本実施形態では、ニューラルネットワークを用いてパラメータh、lを演算しているため、このようなデータベースを用いずに連続的な目標操舵角速度と接線の傾きh,切片lの関係を得ることができ、膨大なデータを記憶させておく必要がなくなる。
また、本実施形態では、FSMC制御器10にて、被制御対象となるハンドル2の操舵角とアクチュエータ4による操舵角速度を、パラメータh、lに基づいて設定した切替超平面上に拘束するように、指示電流を演算して出力するようにし、出力する指示電流のゲインを、ファジー制御により求めるようにしている。
FMSC制御器10にて、指示電流のゲインをファジーのアルゴリズムを用いて求めることにより、ファジー制御を用いない一般的なスライディングモード制御を行う場合と比較して、チャタリングを低減し、ロバスト性を向上させることが可能となる。
1 走行制御装置
2 ハンドル
3 自動操舵コントローラ
4 アクチュエータ
5 左右対称補償部
6 マップ記憶部
7 目標操舵角速度演算部
8 指示電流演算出力部
9 パラメータ演算部
10 FSMC制御器(スライディングモード制御部)

Claims (3)

  1. 車両に搭載され該車両が走行する前方の道路情報を検出するカメラと、該カメラからの道路情報が入力され、その道路情報から目標進行ラインを演算すると共に、前記目標進行ラインから走行中の車両のハンドルの目標操舵角を決定する自動操舵コントローラと、該自動操舵コントローラで決定された目標操舵角に基づいて、前記ハンドルを前記目標操舵角となるように制御する油圧回路からなるアクチュエータとを備え、車両を道路に沿って自動操舵する走行制御装置において、
    前記自動操舵コントローラから前記目標操舵角が入力され、その目標操舵角を基に、前記アクチュエータの左右方向の目標操舵角に対して前記アクチュエータによる左右の操舵角速度が同じとなるように指示電流を決定し、その指示電流を前記アクチュエータに出力する左右対称補償部を備え、
    前記左右対称補償部は、被制御対象となる前記ハンドルの操舵角と前記アクチュエータによる操舵角速度の関係が、予め設定した左右の操舵特性が対称となる理想的な操舵角と目標操舵角速度の関係と一致するように、スライディングモード制御により前記指示電流を演算して出力するように構成され、かつ、出力する指示電流のゲインを、ファジー制御により求めるように構成される
    ことを特徴とする走行制御装置。
  2. 前記左右対称補償部は、
    予め設定した前記理想的な操舵角と目標操舵角速度の関係をマップとして記憶するマップ記憶部と、
    該マップ記憶部に記憶されたマップを用い、前記自動操舵コントローラで求めた目標操舵角に対応する目標操舵角速度を求める目標操舵角速度演算部と、
    前記アクチュエータの操舵角速度が、前記目標操舵角速度演算部で求めた目標操舵角速度と一致するように指示電流を決定し、その指示電流を前記アクチュエータに出力する指示電流演算出力部とを備え
    前記指示電流演算出力部は、
    予め設定した前記理想的な操舵角と目標操舵角速度の関係曲線に基づき、その関係曲線の接線の傾きと切片をパラメータとして求めるパラメータ演算部と、
    前記ハンドルの操舵角と前記アクチュエータによる操舵角速度を、[数1]に示す式(1)
    で表される切替超平面上に拘束するように、前記指示電流を演算して出力するスライディングモード制御部とを備える請求項1記載の走行制御装置。
  3. 前記パラメータ演算部は、前記目標操舵角と前記目標操舵角速度とに基づき、ニューラルネットワークのアルゴリズムを用いることにより、予め設定した前記操舵角と目標操舵角速度の関係における接線の傾きと切片をパラメータとして演算するようにされる請求項2記載の走行制御装置。
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