JP5632555B1 - アントシアニン安定化剤及びアントシアニンの安定化方法 - Google Patents

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【課題】優れたアントシアニンの安定性の向上作用を発揮するアントシアニン安定化剤及びそれを含有するアントシアニン含有組成物、並びにアントシアニンの安定化方法を提供する。【解決手段】アントシアニンに添加されるアントシアニン安定化剤は、リシン又はヒスチジンのうち少なくとも一種のアミノ酸を有効成分とする。リシンをデルフィニジン系アントシアニンに対して0.01〜1の範囲の質量比で含むことが好ましく、或いは、ヒスチジンをデルフィニジン系アントシアニンに対して0.005〜1の範囲の質量比で含むことが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、アントシアニンの安定性を向上させるためのアントシアニン安定化剤及びそれを含有するアントシアニン含有組成物、並びにアントシアニンの安定化方法に関する。
従来より、抗酸化作用を有する天然成分としてアントシアニンが知られている。アントシアニンは、フラボノイドであるアントシアニジンがアグリコンとして糖や糖鎖と結びついた配糖体の形で植物体中に存在している。
アントシアニンは、色素成分であることから、天然色素の用途においても、飲食品、医薬品、化粧品等の各分野において利用されている。アントシアニンは、ブルーベリー、ラズベリー、リンゴンベリー、ビルベリー等のベリー類に多く含有されており、これらのアントシアニン含有植物は、抗酸化作用等の発揮を目的とした健康食品等として適用されている。
一方、アントシアニンは、安定性が低く、特に光、熱、空気酸化、アルカリ等の条件下において、退色が進むことが知られている。そこで、従来より、アントシアニンに種々の物質を添加することにより、アントシアニンの安定性を向上させる試みが行われている(例えば、特許文献1〜5参照)。
特許文献1には、アントシアニンに、システインを含有するペプチド類等のSH基を有する化合物を添加することにより、アントシアニンを安定させる技術が開示されている。
特許文献2には、アントシアニン色素含有飲料に鉄イオンを添加することにより、前記飲料に含まれるアントシアニン色素の退色を防止する技術が開示されている。
特許文献3には、アントシアニン色素にヤマモモ科植物抽出物を添加することにより、アントシアニン色素の退色を抑制して安定化させる技術が開示されている。
特許文献4には、トコフェロールを含有する乳化組成物によりアントシアニン色素の退色化を防止する技術が開示されている。
特許文献5には、アントシアニン色素にグリシルリチンを添加することにより、アントシアニン色素の退色を抑制して安定化させる技術が開示されている。
特開2009−136187号公報 特開2005−104841号公報 特開平6−234935号公報 特開2012−75340号公報 特開平9−263707号公報
しかしながら、特許文献1〜5の技術を適用しても、アントシアニンを十分に安定させることはできなかった。
本発明は、優れたアントシアニンの安定性の向上作用を発揮するアントシアニン安定化剤及びそれを含むアントシアニン含有組成物、並びにアントシアニンの安定化方法を提供することにある。
本発明者は、特定のアミノ酸が、アントシアニンの安定性の向上作用を発揮することを知見した。
そこで、上記目的を達成するために、本発明のアントシアニン安定化剤は、リシンを有効成分とし、デルフィニジン系アントシアニンに有効であることを特徴とする。
本発明のアントシアニン安定化剤によれば、デルフィニジン系アントシアニンの安定性を向上することができる。
本発明のアントシアニン安定化剤は、リシンをデルフィニジン系アントシアニンに対して0.01〜1の範囲の質量比で含むことにより、デルフィニジン系アントシアニンの安定性向上効果を確実に得ることができる。
リシンの質量比が、0.01未満では、安定性向上効果が十分でないことがあり、1を超えては、添加剤としてのリシンが被添加剤としてのデルフィニジン系アントシアニンよりも多くなり、添加剤として意味がない。
また、本発明のアントシアニン安定化剤は、例えば、クワ、クランベリー、ボイセンベリー、スグリ、ハスカップ、ブルーベリー、ブラックベリー、プルーン、ビルベリー、アサイー、ブドウ、ラズベリー、イチゴ、赤キャベツ、ナス、有色米、黒豆、黒ゴマ、有色イモ、ベニイモ、椿、小豆、赤タマネギ、紫タマネギ、シソ、イワキベリー、ウスベニアオイ、紫トウモロコシ、ハックルベリー、リンゴンベリー、及びグズベリーから選択される少なくとも一種の植物から抽出されたデルフィニジン系アントシアニンに有効である。
さらに、本発明のアントシアニン安定化剤は、アントシアニン含有組成物に添加することによりアントシアニンの安定化を向上するアントシアニン安定化方法に用いることができる。
本実施形態のアントシアニン安定化剤の効果を示すグラフ。
次に、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
本実施形態のアントシアニン安定化剤は、リシン、ヒスチジンからなる群から選択される少なくとも一種のアミノ酸を有効成分とする。アントシアニン安定化剤は、アントシアニン含有組成物に添加されることにより、アントシアニン含有組成物に含まれるアントシアニンの安定化を向上することができる。
ここで、アントシアニンは、フラボノイドであるアントシアニジンがアグリコンとして糖や糖鎖と結びついた配糖体として構成されている。本実施形態のアントシアニン安定化剤が有効であるアントシアニンの種類は、特に限定されないが、例えば、ペラルゴニジン系、シアニジン系、デルフィニジン系、ペオニジン系、ペチュニジン系、及びマルビジン系のアントシアニンを挙げることができる。
リシンを有効成分とするアントシアニン安定化剤は、デルフィニジン系アントシアニンの安定性向上に有効である。また、ヒスチジンを有効成分とするアントシアニン安定化剤は、デルフィニジン系アントシアニン及びシアニジン系アントシアニンの安定性向上に有効である。
本実施形態のアントシアニン安定化剤に含まれるリシン、ヒスチジンは、アミノ酸として容易に入手可能であるので、安価且つ容易に、アントシアニンの安定化を向上することができる。
また、リシン、ヒスチジンは、水溶性アミノ酸であり、アントシアニン安定化剤が添加されたアントシアニン含有組成物を過剰摂取した場合でも健康に障害が生じる虞がないので、健康食品等の分野においてより安全に適用することができる。
前記アミノ酸は、単独で使用してもよく、2種を組み合わせて使用してもよい。前記アミノ酸は、L体のアミノ酸、D体のアミノ酸、又はDL体のアミノ酸(D体とL体が混合されたアミノ酸)のいずれを使用してもよく、また、塩として配合されてもよい。
リシンを含むアントシアニン安定化剤は、デルフィニジン系アントシアニンに対するリシンの質量比が0.01〜1の範囲、より好ましくは0.05〜1の範囲であるときに、デルフィニジン系アントシアニンの安定性向上効果を確実に得ることができる。
ヒスチジンを含むアントシアニン安定化剤は、デルフィニジン系アントシアニンに対するヒスチジンの質量比が0.005〜1の範囲、より好ましくは0.05〜1の範囲であるときに、デルフィニジン系アントシアニンの安定性向上効果を確実に得ることができる。
本実施形態のアントシアニン安定化剤は、アントシアニンを含む公知のアントシアニン含有組成物に添加することができ、アントシアニンの由来は特に限定されない。アントシアニン含有組成物として、アントシアニンを含有する天然素材、該天然素材からの抽出物、生合成品、化学合成品等を用いることができる。
アントシアニンを含有する天然素材として、例えば、クワ、クランベリー、ボイセンベリー、スグリ、ハスカップ、ブルーベリー、ブラックベリー、プルーン、ビルベリー、アサイー、ブドウ、ラズベリー、イチゴ、赤キャベツ、ナス、有色米、黒豆、黒ゴマ、有色イモ、ベニイモ、椿、小豆、赤タマねぎ、紫タマネギ、シソ、イワキベリー、ウスベニアオイ、紫トウモロコシ、ハックルベリー、リンゴンベリー、グズベリー等を挙げることができる。これらの天然素材は単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
前記アントシアニン含有組成物において、前記アントシアニン安定化剤が添加される前のアントシアニンの含有量は特に限定されないが、アントシアニンの摂取を目的とする場合や、アントシアニンを主成分として各種用途に適用する場合には、30質量%以上が好ましい。また、アントシアニンをより効果的に摂取するためには、40質量%以上が好ましい。
前記アントシアニン安定化剤を含むアントシアニン含有組成物は、液状、固体状のいずれであってもよい。前記液状は、流動性を有する液体、ゲル状、ゼリー状等の形態を含む。前記固体状は、粉末状、粒子状、タブレット状等の形態を含む。
また、前記アントシアニン安定化剤を含むアントシアニン含有組成物は、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、ドリンク剤、シロップ剤、トローチ剤等の各剤型として用いることができる。
また、前記アントシアニン安定化剤を含むアントシアニン含有組成物は、医薬品、医薬部外品、飲食品、化粧品、研究用試薬等、種々の分野に適用することができ、例えば、抗酸化剤、眼精疲労回復溶剤、天然色素を用いた着色料や染料等に適用することができる。
前記アントシアニン安定化剤を含むアントシアニン含有組成物を飲食品として適用する場合には、種々の食品素材又は飲料品素材、例えば、健康食品、サプリメントに適用することができる。前記アントシアニン含有組成物を飲食品として適用するとき、ゲル化剤、糖類、香料、甘味料、油脂、基材、賦形剤、食品添加材、副素材、増量剤等を適宜配合してもよい。
また、前記アントシアニン含有組成物を液状の飲食品として適用する場合には、アントシアニンの安定性をより向上させるために、pHを3.5〜7.5の範囲とすることが好ましい。また、前記アントシアニン含有組成物が液状である場合には、保存安定性を向上させるために、前記アントシアニン含有組成物をソフトカプセルに充填してもよい。
前記アントシアニン安定化剤を含むアントシアニン含有組成物を化粧品として適用する場合には、化粧品基材に配合することにより製造することができる。化粧品の形態は、化粧水状、乳液状、クリーム状、粉末状等とすることができる。前記化粧品基材は、一般に化粧品に共通して配合される基材であって、油分、精製水及びアルコールを主成分とする。前記アントシアニン含有組成物を化粧品として適用するとき、界面活性剤、保湿剤、酸化防止剤、増粘剤、抗脂漏剤、血行促進剤、pH調整剤、色素、防腐剤、香料等を適宜配合してもよい。
前記アントシアニン安定化剤を含むアントシアニン含有組成物を医薬品として適用する場合には、経口投与、塗布、血管内投与、経皮投与等種々の方法で投与することができる。医薬品は、液剤、軟膏、スプレー剤、シート剤、散剤、粉剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、座剤、注射剤の剤形とすることができる。前記アントシアニン含有組成物を医薬品として適用するとき、賦形剤、基材、乳化剤、溶剤、安定剤等を適宜配合してもよい。
次に、本実施形態のアントシアニン安定化剤について、実施例及び比較例を示す。
〔試験1:各種アミノ酸によるアントシアニンの安定性試験〕
本試験では、アントシアニンとしてのデルフィニジン系アントシアニンと、リシン、ヒスチジンのうちのいずれか1種のアミノ酸を含むアントシアニン安定化剤とを混合し、所定期間放置後に残存するアントシアニン量を測定することにより、アントシアニン安定化剤による効果を測定した。
まず、pH6.8のリン酸緩衝液2mLに、アミノ酸又は抗酸化剤6.54mgを加えることにより、各種アミノ酸又は抗酸化剤の濃度が3.27mg/mLであるアントシアニン安定化剤(実施例1〜2及び比較例1〜14)を調製した。
前記アミノ酸として、実施例1ではL−リシン(和光純薬工業株式会社Lot.HCJ9046)(以下、リシンと略記する)、実施例2ではL−ヒスチジン(ナカライテスク株式会社、Lot.M8K9101)(以下、ヒスチジンと略記する)、比較例1では、L−グルタミン酸(ナカライテスク株式会社、Lot.M8R9515)(以下、グルタミン酸と略記する)、比較例2ではL−トレオニン(東京化成工業株式会社、Lot.TNXTL-LG)(以下、トレオニンと略記する)、比較例3ではL−アラニン(ナカライテスク株式会社、Lot.M8R9380)(以下、アラニンと略記する)、比較例4ではL−アスパラギン酸(ナカライテスク株式会社、Lot.M4E3671)(以下、アスパラギン酸と略記する)、比較例5ではL−ロイシン(ナカライテスク株式会社、Lot.M9E4265)(以下、ロイシンと略記する)、比較例6ではL−メチオニン(ナカライテスク株式会社、Lot.M2A8983)(以下、メチオニンと略記する)、比較例7ではL−プロリン(ナカライテスク株式会社、Lot.M1E7764)(以下、プロリンと略記する)、比較例8ではL−グルタミン(キシダ化学株式会社、Lot.H30411S)(以下、グルタミンと略記する)、比較例9ではL−アルギニン(ナカライテスク株式会社、Lot.M2F0711)(以下、アルギニンと略記する)、比較例10ではL−バリン(ナカライテスク株式会社、Lot.M3A9803)(以下、バリンと略記する)、比較例11ではL−チロシン(ナカライテスク株式会社、Lot.M8G2206)(以下、チロシンと略記する)、比較例12ではL−シスチン(ナカライテスク株式会社、Lot.M4E4835)(以下、シスチンと略記する)を用いた。
また、前記抗酸化剤として、比較例13では(+)-カテキン(東京化成工業株式会社、Lot.FJN01)(以下、カテキンと略記する)、比較例14ではトロロックス(CALBIOCHEM、Lot.D00042958)(以下、トロロックスと略記する)を用いた。
前記リン酸緩衝液は、リン酸二水素カリウム(ナカライテスク株式会社、Lot.M6P2693)17.0gと無水リン酸水素二ナトリウム(キシダ化学株式会社、Lot.E39656T)17.75gとを超純水に溶解して1000mLとした後に、本試験の直前に超純水によって10倍に希釈したものである。
次に、容量15mLのチューブに、実施例1〜2及び比較例1〜14のアントシアニン安定化剤200μLを分注し、前記リン酸緩衝液を加えて全量を9mLとした。また、参考例1(コントロール)として、容量15mLのチューブに、水200μLを入れ、前記リン酸緩衝液を加えて全量を9mLとした。
次に、前記アントシアニン安定化剤又は水と前記リン酸緩衝液とが入れられたチューブを、温度37℃に調整した振とう式恒温水槽(タイテック株式会社、Water Bath Shaker MM-10)によって振とうさせた後、前記チューブにアントシアニン含有溶液1mLを添加することにより、試験溶液を調製した。前記試験溶液が本発明のアントシアニン含有組成物に相当する。
前記アントシアニン含有溶液は、容量25mLのメスフラスコに、アントシアニンとしてDelphinidin-3-Glucoside Chloride(株式会社常盤植物化学研究所、Lot.111140201)(以下、デルフィニジン系アントシアニンと略記する)を16.35mg入れて、0.01N塩酸水溶液によってメスアップしたものである。
前記試験溶液を調製したとき、実施例1〜2及び比較例1〜14及び参考例1の試験溶液10mLにはデルフィニジン系アントシアニンが0.65mg含まれていて、さらに、実施例1〜2及び比較例1〜14の試験溶液には前記アミノ酸又は抗酸化剤が0.65mg含まれている。すなわち、前記試験溶液において、デルフィニジン系アントシアニンに対するアミノ酸の質量比は1である。
次に、前記試験溶液を調製した直後(前記アントシアニン含有溶液を添加した直後)、60分後、120分後、及び240分後に、前記チューブから前記試験溶液1mLを分取して、容量1.5mLのマイクロチューブに200μL分注し、10%ギ酸水溶液で4倍に希釈することにより、分析用サンプルを調製した。前記ギ酸水溶液は、純水450mLにギ酸(キシダ化学株式会社、Lot.G11625C)50mLを加えたものである。
次に、前記分析用サンプル300μLを、96ウェルのマイクロプレートに分注し、マイクロプレートリーダー(DSファーマバイオメディカル株式会社、POWERSCAN HT)を用いて波長535nmの光の吸光度を測定した。
実施例1〜2、比較例1〜14及び参考例1の分析用サンプルについて、前記試験溶液を調製した直後、60分後、120分後、及び240分後の吸光度比を、表1に示す。前記吸光度比は、前記試験溶液を調製した直後の吸光度を100%としたときの相対値である。
また、実施例1(リシン)、実施例2(ヒスチジン)及び参考例1の分析用サンプルについて、吸光度比の時間変化を、図1に示す。
Figure 0005632555
表1及び図1によれば、リシン、ヒスチジンのうちのいずれか1種のアミノ酸を含む実施例1〜2のアントシアニン安定化剤は、アミノ酸を全く含まない参考例1と比較して、前記試験溶液を調製後の時間経過に伴う吸光度比の減少度合が小さい。また、実施例1〜2のアントシアニン安定化剤は、リシン、ヒスチジン以外のアミノ酸又は抗酸化剤を含む比較例1〜14のアントシアニン安定化剤と比較して、前記試験溶液を調製後の時間経過に伴う吸光度比の減少度合が小さい。
したがって、リシン、ヒスチジンのうちのいずれか1種のアミノ酸を含むアントシアニン安定化剤は、それ以外のアミノ酸又は抗酸化剤を含むアントシアニン安定化剤を比較して、アントシアニン(デルフィニジン系アントシアニン)の退色を抑制し、アントシアニンの安定性を向上させる効果に優れることが明らかである。
〔試験2:アミノ酸配合比率に関する試験〕
次に、アントシアニン安定化剤に配合されるアミノ酸の配合比率を変化させて、アントシアニンの安定性について試験を行った。
まず、アミノ酸としてリシンを用い、デルフィニジン系アントシアニンに対するアミノ酸の質量比を1(実施例3),0.5(実施例4),0.1(実施例5),0.05(実施例6),0.01(実施例7),0.005(実施例8),0.001(実施例9)とした以外は、実施例1と全く同一にしてアントシアニン安定化剤を調製し、試験溶液を調製した。
また、アミノ酸としてヒスチジンを用いた以外は、実施例3〜9と同一にして、試験溶液を調製した(実施例10〜16)。
また、参考例2として、参考例1と全く同一にして、アミノ酸を全く含まない試験溶液を調整した。
そして、得られた試験溶液を用いた以外は、実施例1と全く同一にして分析用サンプルを調製し、前記分析用サンプルについて波長535nmの光の吸光度を測定した。
前記試験溶液を調製した直後、120分後、及び240分後の吸光度比を、表2に示す。
Figure 0005632555
表2によれば、リシン、ヒスチジンのうちのいずれか1種のアミノ酸を含むアントシアニン安定化剤は、デルフィニジン系アントシアニンに対するアミノ酸の質量比(配合比)が大きいほど、前記試験溶液を調製後の時間経過に伴う吸光度比の減少度合が小さく、アントシアニンの安定性向上に優れる傾向にあることが明らかである。
アミノ酸がリシンであるときには、デルフィニジン系アントシアニンに対するリシンの質量比が、0.01〜1の範囲、より好ましくは0.05〜1の範囲にあるときに、アントシアニンの安定性向上効果を確実に得ることができることが明らかである。
また、アミノ酸がヒスチジンであるときには、デルフィニジン系アントシアニンに対するヒスチジンの質量比が、0.005〜1の範囲、より好ましくは0.05〜1の範囲にあるときに、アントシアニンの安定性向上効果を確実に得ることができることが明らかである。
〔試験3:アントシアニンに関する試験〕
次に、アントシアニン安定化剤が添加されるアントシアニンの種類を変えて、アントシアニンの安定性について試験を行った。
本試験では、アントシアニンとして、デルフィニジン系アントシアニンに代えて、Cyanidin 3-Glucoside Chloride(株式会社常磐植物化学研究所製,Lot.112130504)(以下、シアニジン系アントシアニンと略記する)を用いた以外は、試験1と全く同一にして、アントシアニン含有溶液を調製した。
また、実施例2と全く同一にして、ヒスチジンを含むアントシアニン安定化剤を調製して、試験溶液を調製した(実施例17)。また、比較例5,9,10又は13と全く同一にして、ロイシン、アルギニン、バリン又はカテキンを含むアントシアニン安定化剤を調製し、試験溶液を調製した(比較例15〜18)。
また、参考例3として、参考例1と全く同一にして、アミノ酸を全く含まない試験溶液を調整した。
そして、本試験で得られたアントシアニン含有溶液及び試験溶液を用いた以外は、実施例1と全く同一にして分析用サンプルを調製し、前記分析用サンプルについて波長535nmの光の吸光度を測定した。
前記試験溶液を調製した直後、60分後、120分後、及び240分後の吸光度比を、表3に示す。
Figure 0005632555
表3の参考例3(コントロール)及び表1の参考例1(コントロール)から、シアニジン系アントシアニンは、デルフィニジン系アントシアニンと比較して、前記試験溶液を調製後の時間経過に伴う吸光度比の減少度合が小さく、比較的安定性に優れることが明らかである。
そして、表3から、ヒスチジンを含む実施例17のアントシアニン安定化剤は、参考例3と比較して、前記試験溶液を調製後の時間経過に伴う吸光度比の減少度合が小さく、比較的安定性に優れるシアニジン系アントシアニンの安定性をさらに向上させることが明らかである。
一方、ヒスチジン以外のアミノ酸を含む比較例15〜18のアントシアニン安定化剤は、参考例3と比較して、前記試験溶液を調製後の時間経過に伴う吸光度比の減少度合が大きく、シアニジン系アントシアニンの安定性を損ない、退色が促進されることが明らかである。

Claims (4)

  1. リシンを有効成分とし、デルフィニジン系アントシアニンに有効であることを特徴とするアントシアニン安定化剤。
  2. 請求項記載のアントシアニン安定化剤において、
    前記リシンを前記デルフィニジン系アントシアニンに対して0.01〜1の範囲の質量
    比で含むことを特徴とするアントシアニン安定化剤。
  3. 請求項1又は請求項2記載のアントシアニン安定化剤において、
    前記アントシアニン安定化剤は、クワ、クランベリー、ボイセンベリー、スグリ、ハスカップ、ブルーベリー、ブラックベリー、プルーン、ビルベリー、アサイー、ブドウ、ラズベリー、イチゴ、赤キャベツ、ナス、有色米、黒豆、黒ゴマ、有色イモ、ベニイモ、椿、小豆、赤タマネギ、紫タマネギ、シソ、イワキベリー、ウスベニアオイ、紫トウモロコシ、ハックルベリー、リンゴンベリー、及びグズベリーから選択される少なくとも一種の植物から抽出されたアントシアニンに有効であることを特徴とするアントシアニン安定化剤。
  4. 請求項1〜請求項のいずれか1項記載のアントシアニン安定化剤を、アントシアニン
    含有組成物に添加することを特徴とするアントシアニン安定化方法。
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