JP7190898B2 - 易溶出性アントシアニン組成物 - Google Patents
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Description
本発明は、一実施態様よれば、易溶出性アントシアニン組成物に関する。本実施形態による易溶出性アントシアニン組成物は、アントシアニン誘導体と、脂肪酸エステル系界面活性剤とを含み、前記脂肪酸エステル系界面活性剤が、HLB値が6~18であるソルビタン脂肪酸エステル、HLB値が6~18であるポリグリセリン脂肪酸エステル、及びHLB値が11~17であるショ糖脂肪酸エステルのうちの少なくともいずれかを含む。
本実施形態に係る易溶出性アントシアニン組成物におけるアントシアニン誘導体としては、特に限定されないが、天然物からの抽出物、又は化学的に合成された化合物を用いることができる。
本実施形態に係る易溶出性アントシアニン組成物における脂肪酸エステル系界面活性剤は、アントシアニン組成物について、アントシアニン誘導体の溶出性を向上する添加剤として好適に用いられる。
本実施形態に係る易溶出性アントシアニン組成物が含有するその他の成分としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カロテノイド類、ビタミン類、SH基を有するアントシアニン安定化剤、賦形剤、流動化剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤、懸濁化剤、乳化剤、安定化剤、矯味剤、香料などが挙げられる。これらは、1種単独での使用、又は2種以上の併用ができる。
カロテノイド類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、動植物から抽出、精製して得られたもの、発酵法あるいは合成法で得られたものなどが挙げられ、いずれも好ましく用いることができる。カロテノイド類の具体例としては、例えば、クロセチン、β-カロテン、α-カロテン、γ-カロテン、β-アポ-8’-カロテナール、β-アポ-10’-カロテナール、β-アポ-8’-カロテン酸、シトラナキサンチン、リコピン、ゼアキサンチン、クリプトキサンチン、エキネノン、3-ヒドロキシ-β-カロテン、フコキサンチン、ルテイン、アスタキサンチン、カンタキサンチン、カプサンチン、カプソルビン、ビキシンなどが挙げられる。また天然カロテノイドとしては、例えばアナトー色素、イモカロテン、クチナシ黄色素、エビ色素、オキアミ色素、オレンジ色素、カニ色素、デュナリエラカロテン、トウガラシ色素(別名:パプリカ色素)、トウモロコシ色素、トマト色素、ニンジンカロテン、パーム油カロテン、ファフィア色素、ベニノキ末色素、ヘマトコッカス藻色素、マリーゴールド色素などが挙げられる。これらは、1種単独での使用、又は2種以上の併用ができる。カロテノイド類は、公知の方法により製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。本実施形態に係る易溶出性アントシアニン組成物におけるカロテノイド類の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
ビタミン類としては、例えば動植物から抽出、精製して得られたもの、発酵法あるいは合成法で得られたものなどが挙げられ、いずれも好ましく用いることができる。本発明で用いられるビタミン類の具体例としては、例えばビタミンA、ビタミンB1(塩酸チアミン、硝酸チアミン、硝酸ビスチアミン、塩酸ジセチアミン、塩酸フルスルチアミン、ベンフォチアミンなど)、ビタミンB2(リボフラビン、リン酸リボフラビンナトリウム、酪酸リボフラビンなど)、ビタミンB6(塩酸ピリドキシン、リン酸ピリドキサールなど)、ビタミンB12(シアノコバラミンなど)、ナイアシン、パントテン酸(パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウムなど)、ビオチン、葉酸、ニコチン酸アミド、ビタミンC類(L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸ナトリウム、L-アスコルビン酸カルシウムなど)、ビタミンE(トコフェロール、コハク酸トコフェロール、コハク酸トコフェロールカルシウムなど)などが挙げられる。これらは、1種単独での使用、又は2種以上の併用ができる。ビタミン類は、公知の方法により製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。本実施形態に係る易溶出性アントシアニン組成物におけるビタミン類の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
SH基を有するアントシアニン安定化剤としては、酵母抽出物(例えば、ビール酵母)、ジヒドロリポ酸、アミノ酸塩などのジヒドロリポ酸の塩、システイン、N-アセチルシステインなどのシステインの誘導体、グルタチオン、グルタチオンの塩、パパインなどのSH-プロテイナーゼ、ブロメライン、フィチン、エヒモパパイン(ehymopapain)およびそれらの混合物、SH-メタロプロテイナーゼ、システイン含有ペプチド類、グルタチオン含有ペプチド類、発酵カキ抽出物、発酵マメ凝乳、チオール化キトサン、チオール化ゼラチンなどが挙げられる。これらは、1種単独での使用、又は2種以上の併用ができる。SH基を有するアントシアニン安定化剤は、公知の方法により製造したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。本実施形態に係る易溶出性アントシアニン組成物におけるSH基を有するアントシアニン安定化剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<実験例1>
第十六改正日本薬局方解説書溶出試験法に準拠し、溶出試験用溶液(NaClを2gと濃塩酸7mLとを純水に溶解して1000mLとした溶液(日局1液))900mLを用意した。この溶出試験用溶液に、以下の方法で作製された試料1~9をそれぞれ入れ、37℃、50rpmの攪拌条件において、溶出試験を行い、アントシアニン組成物の溶出率(%)を得た。
市販のカプセル1の内容物(アントシアニン誘導体を36質量%含有するアントシアニン含有物質)213mgに対し、添加剤を加えることによって、アントシアニン組成物を調製した。さらに、このアントシアニン組成物をゼラチンカプセルに充填することによって、試料1~9を作製した。試料1~9の添加剤の種類、添加量及び添加剤のHLB値は、以下の表1にまとめて記載した。表1において、試料3~8の添加剤は粉末であり、HLB値を有さないため、「-」で記載している。また、試料9には添加剤を加えていない。また、市販のカプセル1の内容物は、以下の配合成分を混合することによって、調製されている。
ブルーベリー(ビルベリー)抽出物:90.0mg
アサイー抽出物:5.0mg
クロセチン:2.5mg
ルテイン(フリー体として):0.5mg
β-カロテン:0.45mg
リコピン:0.05mg
ビタミンB1:1.0mg
ビタミンB2:0.2mg
ビタミンB6:1.0mg
ビタミンB12:20.0μg
<実験例2>
アントシアニン組成物における脂肪酸エステル系界面活性剤として、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含むゼラチンカプセルである試料10~18を前述の試料1~9の作製方法と同様の方法で作製し、前述の実験例1と同様の方法を用いて、溶出試験を行った。試料10~18の添加剤の種類、添加量及び添加剤のHLB値は、以下の表2にまとめて記載した。各試料を含む溶出試験用溶液の溶出率の経時変化の結果は、図2に示される。なお、比較のために、図2には、試料9の結果も記載している。
前述の実験例2の結果において、試料16のNIKKOL DECAGLYN 1-Lと試料18のNIKKOL HEXAGLYN 1-Lがアントシアニン組成物の溶出を向上させる効果が特に高い添加剤であることが示された。前述の試料16に含有されるNIKKOL DECAGLYN 1-Lを添加剤として、添加量がそれぞれ5mg、10mg、及び20mgであるアントシアニン組成物を充填したゼラチンカプセルについて、実験例1と同様の方法でアントシアニン組成物の溶出試験を行った。上記のゼラチンカプセルを含む溶出試験用溶液の溶出率の経時変化の結果は、図3に示される。なお、比較のために、図3には、試料9の結果も記載している。
アントシアニン組成物における脂肪酸エステル系界面活性剤として、ショ糖脂肪酸エステルを含むゼラチンカプセルである試料19~22を前述の試料1~9の作製方法と同様の方法で作製し、前述の実験例1と同様の方法を用いて、溶出試験を行った。試料19~22の添加剤の種類、添加量及び添加剤のHLB値は、以下の表3にまとめて記載した。各試料を含む溶出試験用溶液の溶出率の経時変化の結果は、図5に示される。なお、比較のために、図5には、試料9の結果も記載している。
アントシアニン組成物における脂肪酸エステル系界面活性剤として、ソルビタン脂肪酸エステルを含むゼラチンカプセルである試料23及び24を前述の試料1~9の作製方法と同様の方法で作製し、前述の実験例1と同様の方法を用いて、溶出試験を行った。試料23及び24の添加剤の種類、添加量及び添加剤のHLB値は、以下の表4にまとめて記載した。各試料を含む溶出試験用溶液のモル濃度及び溶出率の経時変化の結果は、図6に示される。なお、比較のために、図6には、試料9の結果も記載している。
アントシアニン組成物における脂肪酸エステル系界面活性剤として、グリセリン脂肪酸エステルを含むゼラチンカプセルである試料25を前述の試料1~9の作製方法と同様の方法で作製し、前述の実験例1と同様の方法を用いて、溶出試験を行った。試料25の添加剤の種類、添加量及び添加剤のHLB値は、以下の表5に記載した。また、アントシアニン組成物における脂肪酸エステル系界面活性剤として、グリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリン脂肪酸エステルの混合物を含むゼラチンカプセルである試料26~29を前述の試料1~9の作製方法と同様の方法で作製し、前述の実験例1と同様の方法を用いて、溶出試験を行った。試料26~29の添加剤の種類及び添加量は、以下の表5に記載した。各試料を含む溶出試験用溶液の溶出率の経時変化の結果はそれぞれ、図7に示される。なお、比較のために、図7には、試料9の結果も記載している。
アントシアニン組成物における脂肪酸エステル系界面活性剤として、モノステアリン酸ヘキサグリセリルを含むゼラチンカプセルである試料30を前述の試料1~9の作製方法と同様の方法で作製し、前述の実験例1と同様の方法を用いて、溶出試験を行った。試料30の添加剤の種類、添加量及び添加剤のHLB値は、以下の表6に記載した。試料30を含む溶出試験用溶液の溶出率の経時変化の結果は、図8に示される。なお、比較のために、図8には、試料9の結果も記載している。
<実験例8>
前述の実験例1~7の結果を踏まえ、市販品として用いられているハードカプセルにアントシアニン組成物を充填した試料を作製し、アントシアニン組成物の溶出性を検討した。なお、ゼラチンカプセルと比較するとハードカプセルを用いたときには、崩壊後にベッセル中での内容物のマウントが認められたため、攪拌条件を50rpmから100rpmへと変更し、溶出試験を行った。
市販のカプセル1もしくはカプセル2の内容物、またはブルーベリーエキス末に対し、添加剤を加えることによって、アントシアニン組成物を調製した。さらに、このアントシアニン組成物をハードカプセル(クオリカプス社製、ゼラチンハードカプセル3号)に充填することによって、試料31~37を作製した。試料31~37のアントシアニン誘導体の種類と配合量、添加剤の種類、添加量及び添加剤のHLB値は、以下の表7に記載した。試料31、32及び35には、下記の市販のカプセル2の内容物を用いた。試料34及び36には、実験例1において詳述した市販のカプセル1の内容物を用いた。試料37のアントシアニン組成物には、アントシアニン誘導体としてブルーベリー抽出物を含むブルーベリーエキス末を用いた。市販のカプセル2の内容物は、以下の配合成分を混合することによって、調製された。
ブルーベリー(ビルベリー)抽出物:100.0mg
メグスリノキ抽出物:5.0mg
アイブライト抽出物:5.0mg
ルテイン(フリー体として):5.0mg
アスタキサンチン(フリー体として):3.0mg
ビタミンB1:2.0mg
ビタミンB2:0.5mg
ビタミンB6:2.0mg
ビタミンB12:20.0μg
ビタミンE:9.0mg
<実験例9>
次に、アントシアニン組成物におけるアントシアニン誘導体の腸管吸収性を評価した。具体的には、薬物の膜透過性測定試験に一般に使用されているCaco-2細胞(ヒト結腸癌由来上皮細胞)を用いて、アントシアニン誘導体の膜透過性の検討を行った。
Claims (5)
- アントシアニン誘導体と、脂肪酸エステル系界面活性剤とを含み、
前記アントシアニン誘導体が、アントシアニン含有ビルベリー抽出物、アントシアニン含有ブラックカラント抽出物、アントシアニン含有クランベリー抽出物、アントシアニン含有クロダイズ抽出物、アントシアニン含有カウベリー抽出物、アントシアニン含有ブルーベリー抽出物、またはアントシアニン含有アサイー抽出物であり、
前記脂肪酸エステル系界面活性剤が、HLB値が6~18であるソルビタン脂肪酸エステルを含む、易溶出性アントシアニン組成物。 - 前記アントシアニン誘導体100重量部に対して、前記脂肪酸エステル系界面活性剤が1重量部以上である、請求項1に記載の易溶出性アントシアニン組成物。
- 前記アントシアニン誘導体が、アントシアニン含有ブルーベリー抽出物を含む、請求項1又は2に記載の易溶出性アントシアニン組成物。
- 前記アントシアニン誘導体が、さらに、アントシアニン含有アサイー抽出物を含む、請求項3に記載の易溶出性アントシアニン組成物。
- さらに、クロセチンを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の易溶出性アントシアニン組成物。
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