JP2016034918A - 難水溶性抗酸化物質送達用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】難水溶性抗酸化物質の生物学的利用能を効果的に向上させかつ優れた安定性を付与する。【解決手段】難水溶性抗酸化物質、油脂、トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート、およびアルコールを含んでなる、難水溶性抗酸化物質の送達用組成物を用いる。【選択図】なし
Description
本発明は、難水溶性抗酸化物質の送達用組成物に関し、より詳しくは、難水溶性抗酸化物質、油脂、トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)、およびアルコールを含んでなる、難水溶性抗酸化物質の送達用組成物に関する。
近年の健康志向の増加により、医薬品として使用されていた成分が一般の食品へも使用できるものが増加している。その中の一つであるコエンザイム Q10 は、ユビキノン、補酵素 Q、CoQ10、UQ とも呼ばれる油溶性成分である。イソプレノイド鎖 (n) 1〜12 が自然界に存在していることが知られているが、ヒトでは n=10 のコエンザイム Q10(ユビデカレノン)のみが存在する。コエンザイム Q10 は生体内で、ATP 産生に欠かせない成分として真核細胞のミトコンドリアに多く存在し、生体エネルギー産生の必須成分と言われている。また、生体内で優れた抗酸化機能を発揮することが知られており、生体内で活性酸素が関与すると考えられている疾患、心筋梗塞、高血圧、狭心症、肝炎、癌などの、いわゆる生活習慣病と呼ばれる疾病に対して予防効果が期待されている。さらに、アルツハイマー、パーキンソン病、うつ病などの脳疾患、歯肉歯周病、筋ジストロフィー、肥満防止などにも効果があるとされ、心肺機能向上効果、新陳代謝促進による老化防止効果などがあるとされている。加えて、コエンザイムQ10が肝障害に対する治療または予防効果も有すると考えられている(非特許文献1)。
コエンザイム Q10 の生体内での需要の一部は、生体内合成によってまかなわれており、それ以外は食物から取り入れている。生体内合成量は加齢により低下することが知られている。また食物から得られる量はごく僅かであるので、結果的に生体内でのコエンザイム Q10の総量は、加齢とともに減少することとなる。従って、生体内合成量を補う目的で、現在ではサプリメントとして摂取することが盛んに行なわれている。
現在市販されている経口投与型のコエンザイム Q10 サプリメントは基本的にコエンザイム Q10の結晶粉末を油脂に分散させたタイプか油脂に溶解させたもの、および結晶粉末をカプセルに封入したものが大半である。このような状態のものは摂取されても、体内への吸収率、とりわけ空腹時の生物学的利用能が非常に低いことが解っている(非特許文献2)。また、コエンザイム Q10 のみならず、チモキノンやセサミン、アスタキサンチン、ルテイン、イソフラボン、ヘスペリジン、ジンセノシドをはじめとする難水溶性抗酸化物質も経口吸収性および生物学的利用能が低く、ターゲット部位において効果的に薬効を発現させることが一般的に困難である。
そこで、コエンザイム Q10をはじめとする難水溶性抗酸化物質の生物学的利用能を向上させる種々の方法が従前検討されている。
例えば、コエンザイム Q10をマイクロエマルション前濃縮物として生体に投与する手法が報告されている(特許文献1)。
例えば、コエンザイム Q10をマイクロエマルション前濃縮物として生体に投与する手法が報告されている(特許文献1)。
また、チモキノンやセサミン等の難水溶性抗酸化物質の抗酸化能を補うためトコフェロール等を共に用いる手法が知られている。しかしながら、この手法では、エマルション形成能の低下等の問題があり、難水溶性抗酸化物質自体の生物学的利用能を向上させることが困難である場合が多い。
このような技術状況下、ターゲット部位における効果的な薬効発現のため、難水溶性抗酸化物質の生物学的利用能を向上させうる、新規な難水溶性抗酸化物質の送達用組成物の創出が求められている。また、難水溶性抗酸化物質の送達用組成物の製造においては、優れた安定性を付与することもまた重要な課題である。
Yoshikawa T. et al., Gastroenterol Jpn. (1981) 16(3), p.281-285
Bhagavan HN et al., Free Radic Res. (2006) 40 (5), p.445-453
本発明者らは、今般、難水溶性抗酸化物質を含む特定の組成物を生体に投与したところ、難水溶性抗酸化物質の生物学的利用能が向上することを見出した。本発明はかかる知見に基づくものである。
したがって、本発明は、難水溶性抗酸化物質の生物学的利用能を高めかつ安定性に優れた難水溶性抗酸化物質の送達用組成物の提供を目的としている。
本発明には、以下の発明が包含される。
(1)難水溶性抗酸化物質、油脂、トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート、およびアルコールを含んでなる、難水溶性抗酸化物質送達用組成物。
(2)前記難水溶性抗酸化物質の水に対する溶解度が5 mg/mL以下である、(1)に記載の組成物。
(3)前記難水溶性抗酸化物質が、コエンザイムQ10、セサミン、クルクミン、チモキノン、アスタキサンチン、ルテイン、イソフラボン、ヘスペリジンおよびジンセノシドからなる群から選択される少なくとも一つのものである、(1)または(2)に記載の組成物。
(4)前記油脂が中鎖脂肪酸トリグリセリドである、(1)〜(3)のいずれか一つに記載の組成物。
(5)前記アルコールが、一価アルコール、二価アルコールおよび三価アルコールから選択される少なくとも一つのものである、(1)〜(4)のいずれか一つに記載の組成物。
(6)前記アルコールが、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール (PEG) およびグリセリンから選択される少なくとも一つのものである、(1)〜(5)のいずれか一つに記載の組成物。
(7)自己乳化型である、(1)〜(6)のいずれか一つに記載の組成物。
(8)水性媒体に接触させたとき、平均粒子径が 50 nm〜10 μmとなるように分散する、(7)に記載の組成物。
(9)ポリマーをさらに含んでなる、(1)〜(8)のいずれか一つに記載の組成物。
(10)(1)〜(9)のいずれか一つに記載の組成物を内封してなるカプセル剤。
(1)難水溶性抗酸化物質、油脂、トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート、およびアルコールを含んでなる、難水溶性抗酸化物質送達用組成物。
(2)前記難水溶性抗酸化物質の水に対する溶解度が5 mg/mL以下である、(1)に記載の組成物。
(3)前記難水溶性抗酸化物質が、コエンザイムQ10、セサミン、クルクミン、チモキノン、アスタキサンチン、ルテイン、イソフラボン、ヘスペリジンおよびジンセノシドからなる群から選択される少なくとも一つのものである、(1)または(2)に記載の組成物。
(4)前記油脂が中鎖脂肪酸トリグリセリドである、(1)〜(3)のいずれか一つに記載の組成物。
(5)前記アルコールが、一価アルコール、二価アルコールおよび三価アルコールから選択される少なくとも一つのものである、(1)〜(4)のいずれか一つに記載の組成物。
(6)前記アルコールが、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール (PEG) およびグリセリンから選択される少なくとも一つのものである、(1)〜(5)のいずれか一つに記載の組成物。
(7)自己乳化型である、(1)〜(6)のいずれか一つに記載の組成物。
(8)水性媒体に接触させたとき、平均粒子径が 50 nm〜10 μmとなるように分散する、(7)に記載の組成物。
(9)ポリマーをさらに含んでなる、(1)〜(8)のいずれか一つに記載の組成物。
(10)(1)〜(9)のいずれか一つに記載の組成物を内封してなるカプセル剤。
本発明によれば上記難水溶性抗酸化物質の送達用組成物を用いて、難水溶性抗酸化物質の生物学的利用能を効果的に高め、かつ難水溶性抗酸化物質に安定性を付与することができる。また、本発明によれば、難水溶性抗酸化物質の送達用組成物にポリマーを添加することにより、難水溶性抗酸化物質の生物学的利用能を顕著に高めかつ上記組成物が水性媒体中で分散した際の乳化状態の安定性を顕著に向上することができる。かかる本発明の難水溶性抗酸化物質の送達用組成物は、ターゲット部位における難水溶性抗酸化物質の効果的な薬効発現において有利に利用することができる。
本発明の難水溶性抗酸化物質の送達用組成物は、難水溶性抗酸化物質と共に、油脂、トコフェリルポリエチレングリコールスクシネートおよびアルコールを含んでなることを特徴としている。
難水溶性抗酸化物質
本発明における難水溶性抗酸化物質とは、水に不溶性であるかまたはほとんど溶けないかのいずれかの抗酸化物質をいい、日本薬局方に記載の「溶けにくい」、「極めて溶けにくい」および「ほとんど溶けない」に該当する抗酸化物質を包含する。本発明における難水溶性抗酸化物質は、例えば水への溶解度は、通常の医薬化合物の取扱い温度、例えば、室温20℃付近において、約10mg/mL以下であり、好ましくは5mg/mL以下であり、より好ましくは0.5mg/L以下であり、さらに好ましくは0.3mg/mL以下であり、さらに好ましくは0.1mg/mL以下あり、さらに好ましくは0.01mg/mL以下である。
本発明における難水溶性抗酸化物質とは、水に不溶性であるかまたはほとんど溶けないかのいずれかの抗酸化物質をいい、日本薬局方に記載の「溶けにくい」、「極めて溶けにくい」および「ほとんど溶けない」に該当する抗酸化物質を包含する。本発明における難水溶性抗酸化物質は、例えば水への溶解度は、通常の医薬化合物の取扱い温度、例えば、室温20℃付近において、約10mg/mL以下であり、好ましくは5mg/mL以下であり、より好ましくは0.5mg/L以下であり、さらに好ましくは0.3mg/mL以下であり、さらに好ましくは0.1mg/mL以下あり、さらに好ましくは0.01mg/mL以下である。
また、本発明において、抗酸化物質とは、フリーラジカルと反応し、そしてそれを中和することが可能な物質であることが好ましい。
具体的には、難水溶性抗酸化物質としては特に限定されないが、コエンザイムQ10、セサミン、クルクミン、チモキノン、アスタキサンチン、カプサンチン、リコペン、ルテイン、β−カロチン、ゼアキサンチン等のカロチノイド類、EPA、DHA、リノレン酸等のω−3油脂類、アリイン、アリシン、アントシアニン、イソフラボン、イソラムネチン、αリポ酸、エルゴカルシフェロール、オレウロペイン、オルニチン、カテキン、カプサイシン、カプソルビン、カルニチン、カルミン酸、カンタキサンチン、ギンコロイド、グルカン、キトサン、キノン、ギムネマ酸、β−クリプトキサンチン、クルクミノイド、クルクミン、グルコサミン、クレアチン、クロロフィル、ケルセチン、ノビレチン、タンジェリチン、ゴマリグナン、ビキシン、ビオチン、ビタミンAおよびその誘導体、ビタミンD2、ビタミンD3、フィトステロール、β−アポ−4−カロテナール、β−アポ−8−カロテン酸エチルエステル、フラボノイド、プロアントシアニジン、ペクチン、ポリフェノール、モナコリンK、ユビキノン、レスベラトロール、ルチン、ヘスペリジン、ジンセノシド等が挙げられ、好ましくは、コエンザイムQ10、セサミン、クルクミンまたはチモキノンである。
具体的には、難水溶性抗酸化物質としては特に限定されないが、コエンザイムQ10、セサミン、クルクミン、チモキノン、アスタキサンチン、カプサンチン、リコペン、ルテイン、β−カロチン、ゼアキサンチン等のカロチノイド類、EPA、DHA、リノレン酸等のω−3油脂類、アリイン、アリシン、アントシアニン、イソフラボン、イソラムネチン、αリポ酸、エルゴカルシフェロール、オレウロペイン、オルニチン、カテキン、カプサイシン、カプソルビン、カルニチン、カルミン酸、カンタキサンチン、ギンコロイド、グルカン、キトサン、キノン、ギムネマ酸、β−クリプトキサンチン、クルクミノイド、クルクミン、グルコサミン、クレアチン、クロロフィル、ケルセチン、ノビレチン、タンジェリチン、ゴマリグナン、ビキシン、ビオチン、ビタミンAおよびその誘導体、ビタミンD2、ビタミンD3、フィトステロール、β−アポ−4−カロテナール、β−アポ−8−カロテン酸エチルエステル、フラボノイド、プロアントシアニジン、ペクチン、ポリフェノール、モナコリンK、ユビキノン、レスベラトロール、ルチン、ヘスペリジン、ジンセノシド等が挙げられ、好ましくは、コエンザイムQ10、セサミン、クルクミンまたはチモキノンである。
本発明の難水溶性抗酸化物質のうち、コエンザイムQ10(以下、CoQ10ともいう)は、酵母、鯖、鰯、小麦胚芽等の天然物に多く含まれており、熱水、含水アルコール、アセトン等の溶媒によってコエンザイムQ10を抽出することができる。コエンザイムQ10は工業的にも製造可能であり、一般的には発酵法や合成法が知られている。本発明で使用されるコエンザイムQ10は、天然物から抽出されたものであってもよく、工業的に合成されたものであってもよい。また、コエンザイムQ10として市販品を使用してもよい。
本発明の送達用組成物における難水溶性抗酸化物質の含有量は、特に限定されないが、例えば、難水溶性抗酸化物質送達用組成物全体に対し、1〜40質量%、好ましくは 5〜15質量%とすることができる。
油脂
本発明において使用される油脂としては、特に限定されるものではなく、医薬品あるいは食品として使用され、または将来使用されるものが含まれる。難水溶性抗酸化物質の水性溶媒への分散を補助する油脂としては、常温で、液体の油脂(脂肪油)及び固体の油脂(脂肪)が挙げられる。
本発明において使用される油脂としては、特に限定されるものではなく、医薬品あるいは食品として使用され、または将来使用されるものが含まれる。難水溶性抗酸化物質の水性溶媒への分散を補助する油脂としては、常温で、液体の油脂(脂肪油)及び固体の油脂(脂肪)が挙げられる。
前記液体の油脂としては、中鎖脂肪酸トリグリセライド、オリーブ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ヒマシ油、アボガド油、月見草油、タートル油、トウモロコシ油、ミンク油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルチミン酸グリセリン、サラダ油、サフラワー油(ベニバナ油)、パーム油、ココナッツ油、ピーナッツ油、アーモンド油、ヘーゼルナッツ油、ウォルナッツ油、グレープシード油、スクワレン、スクワラン等が挙げられる。
また、前記固体の油脂としては、牛脂、硬化牛脂、ミンク油、卵黄油、豚脂、馬脂、羊脂、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム硬化油、モクロウ、モクロウ核油、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
また、前記固体の油脂としては、牛脂、硬化牛脂、ミンク油、卵黄油、豚脂、馬脂、羊脂、カカオ脂、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム油、パーム硬化油、モクロウ、モクロウ核油、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
上記の中でも、組成物が水性媒体中で分散してエマルション形成する際の粒子径、安定性等を勘案すれば、中鎖脂肪酸トリグリセライドが好ましく用いられる。「中鎖脂肪酸トリグリセライド」とは、3分子の中鎖脂肪酸と1分子のグリセロールとがエステル結合したものである。「中鎖脂肪酸」とは、一般に炭素数が8〜12程度の脂肪酸をいう。
本発明の難水溶性抗酸化物質の送達用組成物に配合される油脂の含有量は、特に限定されないが、例えば、難水溶性抗酸化物質の送達用組成物から難水溶性抗酸化物質を除いた成分全量に対し、1〜70質量%、好ましくは10〜50質量%とすることができる。
トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート
本発明におけるトコフェリルポリエチレングリコールスクシネート(以下、TPGSともいう)とは、親水性であるポリエチレングリコール分子によりトコフェリル酸スクシネートのカルボキシル基をエステル化することにより調製することができる。トコフェリル酸スクシネートをエステル化するために使用されるポリエチレングリコールは、望ましくは数平均分子量100〜20,000、望ましくは400〜10,000、好ましくは400〜3000、より好ましくは400〜2000の範囲を有しており、さらに好ましくは、そのポリエチレングリコールは数平均分子量1000を有している。得られる生成物には、少なくともトコフェリル酸スクシネートのポリエチレングリコールエステルが含まれる。そのエステルには、主成分としてトコフェリルポリエチレングリコールスクシネートのモノエステル及びトコフェリルポリエチレングリコールスクシネートのジエステルが含まれる。
本発明におけるトコフェリルポリエチレングリコールスクシネート(以下、TPGSともいう)とは、親水性であるポリエチレングリコール分子によりトコフェリル酸スクシネートのカルボキシル基をエステル化することにより調製することができる。トコフェリル酸スクシネートをエステル化するために使用されるポリエチレングリコールは、望ましくは数平均分子量100〜20,000、望ましくは400〜10,000、好ましくは400〜3000、より好ましくは400〜2000の範囲を有しており、さらに好ましくは、そのポリエチレングリコールは数平均分子量1000を有している。得られる生成物には、少なくともトコフェリル酸スクシネートのポリエチレングリコールエステルが含まれる。そのエステルには、主成分としてトコフェリルポリエチレングリコールスクシネートのモノエステル及びトコフェリルポリエチレングリコールスクシネートのジエステルが含まれる。
本発明におけるTPGSは水溶性であっても油溶性であってもよいが、好ましくは両親媒性分子である。
また、TPGSは、種々の食品及び薬品の配合物として使用されてきており、一般にそのような用途に安全であると認められている。通常、トコフェリルポリエチレングリコールスクシネートは、例えば、Eastman Chemical Companyから商品名Vitamine E TPGS(登録商標)、ビタミンEスクシネートポリエチレングリコール1000、コリフォールTPGS(登録商標)(BASF社製)として市販されている。
また、TPGSは、種々の食品及び薬品の配合物として使用されてきており、一般にそのような用途に安全であると認められている。通常、トコフェリルポリエチレングリコールスクシネートは、例えば、Eastman Chemical Companyから商品名Vitamine E TPGS(登録商標)、ビタミンEスクシネートポリエチレングリコール1000、コリフォールTPGS(登録商標)(BASF社製)として市販されている。
本発明の難水溶性抗酸化物質の送達用組成物に配合されるTPGSの含有量は、特に限定されないが、例えば、難水溶性抗酸化物質の送達用組成物から難水溶性抗酸化物質を除いた成分全量に対し、1〜90 質量%、好ましくは5〜70 質量%、さらに好ましくは20〜60 質量%とすることができる。
アルコール
本発明において使用されるアルコールとしては、特に限定されるものではなく、医薬品あるいは食品として使用され、または将来使用されるものが含まれる。上記アルコールは、界面活性剤としてのTPGSの乳化作用の増強剤、すなわち、コサーファクタントとして用いられる。
本発明において使用されるアルコールとしては、特に限定されるものではなく、医薬品あるいは食品として使用され、または将来使用されるものが含まれる。上記アルコールは、界面活性剤としてのTPGSの乳化作用の増強剤、すなわち、コサーファクタントとして用いられる。
アルコールとしては、組成物のエマルション形成時の粒子径、分散性等の観点から、一価アルコール、二価アルコールまたは三価アルコール等が挙げられる。具体的には、メタノール、エタノール、1−プロパノールまたは2−プロパノールであるプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(PEG)、グリセリン等が挙げられ、エタノールまたはグリセリンが好ましい。また、本発明に用いられるPEGとしては、特に限定されないが、例えば数平均分子量が約600以下のPEG、好ましくは、数平均分子量が200〜500のPEGである。例えば、PEG 300またはPEG 400が挙げられる。
本発明の難水溶性抗酸化物質の送達用組成物に配合されるアルコールの含有量は、特に限定されないが、例えば、難水溶性抗酸化物質の送達用組成物から難水溶性抗酸化物質を除いた成分全量に対し、1〜60 質量%、好ましくは5〜40 質量%、さらに好ましくは15〜30 質量%とすることができる。また、経口投与用組成物の場合は、アルコールの経口摂取の観点から30質量%以下であることが好ましい。
さらに、本発明の難水溶性抗酸化物質の送達用組成物には、必要に応じて、薬学的に許容可能な添加剤が含有され、特に限定されないが、精製水等の水性媒体、溶剤、溶解補助剤、等張化剤、安定化剤、保存剤、防腐剤、界面活性剤、調整剤、キレート剤、pH調整剤、緩衝剤、賦形剤、増粘剤、着色剤、芳香剤、香料等が挙げられ、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
本発明の組成物は、水性媒体中に添加した際に、難水溶性抗酸化物質と油脂とを含む油相粒子が水中に分散することが好ましい。さらに、本発明の組成物は、水性媒体中、例えば水中又は経口適用後の胃液でエマルションを自然に形成する組成物であることが好ましい。かかる組成物は、自己乳化性(型)組成物、または、自己乳化薬物送達系(SEDDS;Self-Emulsifying Drug Delivery System)と称される。また、自己乳化薬物送達系はその粒子の大きさに応じ、形成されるエマルションがマイクロエマルションの場合はSMEDDS;Self-Microemulsifying Drug Delivery System)と称され、形成されるエマルションがナノエマルションの場合はSNEDDS;Self-Nanoemulsifying Drug Delivery System)と称される。さらに、上記エマルションを自然に形成する組成物は濃縮組成物であることから、エマルション前濃縮物ともよばれる。
本発明の組成物を37℃の水性媒体に分散させたときの、難水溶性抗酸化物質を含むエマルションの、動的光散乱法により測定される平均粒子径は、特に限定されるものではないが、例えば 1〜10,000 nm、好ましくは10〜2,000 nm、さらに好ましくは100〜600 nmである。かかる平均粒子径は、例えば、後述する試験例1または2に記載のような公知の装置を用いて測定することができる。
ここで、水性媒体におけるエマルションの平均粒子径は、当業者に理解できるように、組成物中の成分の種類、それらの配合比率、pH、温度等の条件に基づき、適宜設定できる。
ここで、水性媒体におけるエマルションの平均粒子径は、当業者に理解できるように、組成物中の成分の種類、それらの配合比率、pH、温度等の条件に基づき、適宜設定できる。
また、本発明の一つの実施態様によれば、難水溶性抗酸化物質の送達用組成物として、難水溶性抗酸化物質、油脂、TPGS、およびアルコールに加え、ポリマーを含んでなる組成物が提供される。
ポリマー
本発明において使用されるポリマーとしては、特に限定されるものではなく、医薬品あるいは食品として使用され、または将来使用されるものが含まれる。
本発明において使用されるポリマーとしては、特に限定されるものではなく、医薬品あるいは食品として使用され、または将来使用されるものが含まれる。
ポリマーとしては、組成物のエマルション形成時の粒子径、安定性等の観点から、水溶性ポリマーであっても難水溶性ポリマーであってもよい。ここで用いられる水溶性ポリマーとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ボリビニルピロリドン(PVP)、メチルセルロース、プルラン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、カルボキシメチルセルロース・カルシウム、カルボキシメチルセルロース・カリウム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等が挙げられる。これらの水溶性ポリマーは、市販のものを使用しても良い。例えば、商品名(以下同様)TC−5E、TC−5M、TC−5R、TC−5S、メトローズ90SH、メトローズ65SH(信越化学工業(株)製)等のヒドロキシプロピルメチルセルロース;HPC−L、HPC−SL、HPC−SSL、HPC−M、HPC−H(日本曹達(株)製)等のヒドロキシプロピルセルロース;PVP−K30、PVP−K90(ビーエーエスエフ武田ビタミン(株)製)等のポリビニルピロリドン等が挙げられる。
一方、難水溶性ポリマーとしては、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートまたはポリアクリル酸エステル等が挙げられる。
上記ポリマーは、単独で用いても良いが、必要により2種以上で用いてもよい。
また、上記ポリマーは、好ましくは水溶性ポリマーであり、さらに好ましくはHPMCまたはPVPである。
一方、難水溶性ポリマーとしては、エチルセルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートまたはポリアクリル酸エステル等が挙げられる。
上記ポリマーは、単独で用いても良いが、必要により2種以上で用いてもよい。
また、上記ポリマーは、好ましくは水溶性ポリマーであり、さらに好ましくはHPMCまたはPVPである。
本発明の難水溶性抗酸化物質の送達用組成物に配合されるポリマーの含有量は、特に限定されないが、例えば、難水溶性抗酸化物質の送達用組成物全量に対し、1〜40 質量%、好ましくは1〜20 質量%、さらに好ましくは1〜5 質量%とすることができる。
本発明の難水溶性抗酸化物質の送達用組成物は、例えば、所定量の油脂、アルコール、および、TPGSを混合して得られた混合物に難水溶性抗酸化物質を添加し均一化することにより調製することができる。ポリマーを添加する際には、前記混合物にポリマーを添加することにより調製することができる。
本発明の難水溶性抗酸化物質の送達用組成物は本発明の効果を妨げない限りいずれの形態であってもよい。例えば、液体状(油状、スラリー状を含む)、半固体状(ペースト、ゲルを含む)、固体状が挙げられる。有利には、液体状、半固体状において、本発明の組成物の製造・保管において安定性を付与するという効果を有する。また、剤形は特に限定されず、本発明の抗酸化組成物は、難水溶性抗酸化物質、油脂、TPGS、アルコールおよび必要に応じてポリマーといった成分の組み合わせを含むものであるが、当該組み合わせの特徴が保持されている限り、注射剤、錠剤、カプセル剤、丸剤、粉剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤、ドライシロップ剤、乳剤、液剤、吸入剤、エアロゾル剤、粉末吸入剤、坐剤、軟膏、クリーム剤、ゲル剤、貼付剤、点滴剤、点眼剤、点鼻剤等として提供することができる。好ましくは、実施例に示す通り、本発明の難水溶性抗酸化物質の送達用組成物が経口摂取された場合に難水溶性抗酸化物質の濃度が高まることから、経口摂取または投与用の剤形であることが好ましく、錠剤、カプセル剤、丸剤、粉剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤、ドライシロップ剤、乳剤、液剤等が挙げられる。
ここで、本発明の難水溶性抗酸化物質の送達用組成物を上記剤形とするにあたり、難水溶性抗酸化物質、油脂、TPGS、アルコールおよび必要に応じてポリマーといった成分の組み合わせの特徴が保持されている限り、薬学的に許容可能な添加剤と共に、更なる加工が施された製品中の一部分として提供されてもよい。このような製品としては、本発明の組成物をカプセル用外殻材に内封したソフトカプセル、ハードカプセル、シームレスカプセル等のカプセル剤、本発明の組成物を含んでなるマイクロカプセル、本発明の組成物を打錠成形に必要な成分とともに打錠成形した錠剤、本発明の組成物を造粒した顆粒剤、丸剤等が挙げられる。
ここで、本発明の難水溶性抗酸化物質の送達用組成物を上記剤形とするにあたり、難水溶性抗酸化物質、油脂、TPGS、アルコールおよび必要に応じてポリマーといった成分の組み合わせの特徴が保持されている限り、薬学的に許容可能な添加剤と共に、更なる加工が施された製品中の一部分として提供されてもよい。このような製品としては、本発明の組成物をカプセル用外殻材に内封したソフトカプセル、ハードカプセル、シームレスカプセル等のカプセル剤、本発明の組成物を含んでなるマイクロカプセル、本発明の組成物を打錠成形に必要な成分とともに打錠成形した錠剤、本発明の組成物を造粒した顆粒剤、丸剤等が挙げられる。
本発明の難水溶性抗酸化物質の送達用組成物は難水溶性抗酸化物質を含み、優れた抗酸化作用を有している。したがって、本発明の別の態様によれば、上記難水溶性抗酸化物質の送達用組成物は、抗酸化用組成物または抗酸化剤として提供される。
本発明の難水溶性抗酸化物質の送達用組成物は経口摂取された場合に優れた肝臓保護作用を奏することが可能である。具体的には血漿中の ALT (アラニンアミノトランスフェラーゼ)および AST (アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)活性を抑制する作用を有する。したがって、本発明の別の態様によれば、上記難水溶性抗酸化物質の送達用組成物は、肝臓疾患または障害の治療もしくは予防剤または肝臓保護剤として提供される。ここで、「治療」とは、確立された病態の改善、例えば肝機能の低下の改善、を意味し、「予防」とは、想定される悪化に対して事前に備え、疾患の発生を未然に防ぐこと、例えば、肝機能の低下を未然に防ぐこと、を意味する。特に、上記難水溶性抗酸化物質の送達用組成物は、医薬品、医薬部外品、飲食品等の経口摂取用の組成物として用いることもできる。また、上記難水溶性抗酸化物質としては、コエンザイムQ10が好ましい。
上記肝臓疾患とは、急性肝障害、肝硬変、脂肪肝、急性肝炎・ウイルス性肝炎・慢性肝炎等の肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎等が挙げられる。
本発明の肝臓疾患または障害の治療もしくは予防剤または肝臓保護剤としての難水溶性抗酸化物質の送達用組成物を提供する場合、上記難水溶性抗酸化物質の含有量は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されない。例えば、かかる有効量としては、0.1〜10000 mg/体重kg/日、好ましくは、10〜1000 mg/体重kg/日を1回または数回等が挙げられる。
また、本発明の別の態様によれば、有効量の本発明の難水溶性抗酸化物質の送達用組成物を対象に投与または摂取させることを含んでなる、肝臓疾患または障害の治療もしくは予防方法または肝臓保護方法が提供される。また、本発明の別の態様によれば、有効量の本発明の難水溶性抗酸化物質の送達用組成物を対象に投与または摂取させることを含んでなる、対象の肝臓疾患または障害の肝機能の低下を改善または予防する方法が提供される。
また、本発明の別の態様によれば、有効量の本発明の難水溶性抗酸化物質の送達用組成物を対象に投与または摂取させることを含んでなる、難水溶性抗酸化物質の体内吸収率改善のための方法が提供される。また、本発明の別の態様によれば、有効量の本発明の難水溶性抗酸化物質の送達用組成物を対象に投与または摂取させることを含んでなる、難水溶性抗酸化物質の体内血中濃度を上昇させる方法が提供される。
本発明の難水溶性抗酸化物質の送達用組成物の投与または摂取方法としては、特に限定されないが、点滴、静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射、皮内注射等の注射、経口、経粘膜、経皮、鼻腔内、口腔内等による投与または摂取が挙げられる。好ましくは、実施例に示す通り、本発明の難水溶性抗酸化物質の送達用組成物が経口摂取された場合に難水溶性抗酸化物質の濃度が高まることから、経口摂取または投与用の組成物であることが好ましい。その具体的な用途としては、医薬品、医薬部外品、化粧料、または特定保健用食品を含む飲食品等が挙げられる。
また、一つの態様によれば、難水溶性抗酸化物質の送達用組成物を適用する対象としては、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。
また、本発明の難水溶性抗酸化物質の有効量は、特に限定されず、難水溶性抗酸化物質の種類、純度、対象の種類、性質、性別、年齢、症状等に応じて当業者によって、適宜決定される。例えば、かかる有効量としては、0.1〜500 mg/体重kg/日、好ましくは 1.0 〜50.0 mg/体重kg/日を1回または数回等が挙げられる。
また、本発明の別の態様によれば、本発明の難水溶性抗酸化物質の送達用組成物の肝臓疾患または障害の治療もしくは予防剤または肝臓保護剤としての使用が提供される。また、本発明の別の態様によれば、肝臓疾患または障害の治療もしくは予防剤または肝臓保護剤の製造における、本発明の難水溶性抗酸化物質の送達用組成物の使用が提供される。
上記別の態様はいずれも、本発明の肝臓疾患または障害の治療もしくは予防剤または肝臓保護剤、肝臓疾患または障害の治療もしくは予防方法または肝臓保護方法、または、肝臓疾患または障害の肝機能の低下を改善または予防する方法の記載に準じて実施することができる。
上記別の態様はいずれも、本発明の肝臓疾患または障害の治療もしくは予防剤または肝臓保護剤、肝臓疾患または障害の治療もしくは予防方法または肝臓保護方法、または、肝臓疾患または障害の肝機能の低下を改善または予防する方法の記載に準じて実施することができる。
また、本発明の別の態様によれば、難水溶性抗酸化物質に、油脂、TPGS、アルコール、必要に応じてポリマーを含んでなる、難水溶性抗酸化物質を含むエマルションの安定化方法が提供される。
以下、試験例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
試験例1:難水溶性抗酸化物質の送達用組成物 (コエンザイムQ10 送達用組成物) の調製
コエンザイムQ10 (旭化成ファーマ社製) 1 mg を 5質量% 含有するコエンザイムQ10組成物を作成し、その自己乳化能力を評価した。上記コエンザイムQ10送達用組成物には中鎖脂肪酸トリグリセリド (ココナード MT,花王社製) 、TPGS (BASF 社製) 、99.5% 発酵エタノール (日本アルコール販売社製) (以下、エタノールともいう) が含まれる。上記コエンザイムQ10送達用組成物の調製は、コエンザイムQ10,中鎖脂肪酸トリグリセリドおよびTPGSを秤量し,そこにエタノールを添加して混合・均一化することにより行われた。
コエンザイムQ10 (旭化成ファーマ社製) 1 mg を 5質量% 含有するコエンザイムQ10組成物を作成し、その自己乳化能力を評価した。上記コエンザイムQ10送達用組成物には中鎖脂肪酸トリグリセリド (ココナード MT,花王社製) 、TPGS (BASF 社製) 、99.5% 発酵エタノール (日本アルコール販売社製) (以下、エタノールともいう) が含まれる。上記コエンザイムQ10送達用組成物の調製は、コエンザイムQ10,中鎖脂肪酸トリグリセリドおよびTPGSを秤量し,そこにエタノールを添加して混合・均一化することにより行われた。
コエンザイムQ10送達用組成物に含有される成分(CoQ10 を除く)の組成を変化させ種々のコエンザイムQ10送達用組成物を作成した。かかるコエンザイムQ10送達用組成物 1 mg に 5 mL の精製水(37℃)を加え、その外観を目視で確認した。
その結果、コエンザイムQ10を除くコエンザイムQ10送達用組成物の成分全量に対し、中鎖脂肪酸トリグリセリドが 10〜30 質量%、TPGSが 50〜90 質量%、およびエタノールが 0〜30 質量%であるコエンザイムQ10送達用組成物は、澄んだ透明な溶液であることが確認された。また、コエンザイムQ10を除くコエンザイムQ10送達用組成物の成分全量に対し、中鎖脂肪酸トリグリセリドが 25〜60 質量%、TPGSが 25〜75 質量%、およびエタノールが 0〜30 質量%であるコエンザイムQ10送達用組成物は、濁った乳白色の溶液であることが確認された。
その結果、コエンザイムQ10を除くコエンザイムQ10送達用組成物の成分全量に対し、中鎖脂肪酸トリグリセリドが 10〜30 質量%、TPGSが 50〜90 質量%、およびエタノールが 0〜30 質量%であるコエンザイムQ10送達用組成物は、澄んだ透明な溶液であることが確認された。また、コエンザイムQ10を除くコエンザイムQ10送達用組成物の成分全量に対し、中鎖脂肪酸トリグリセリドが 25〜60 質量%、TPGSが 25〜75 質量%、およびエタノールが 0〜30 質量%であるコエンザイムQ10送達用組成物は、濁った乳白色の溶液であることが確認された。
さらに、上記コエンザイムQ10送達用組成物のうち、コエンザイムQ10を除いた成分としてココナード MT:TPGS:エタノールの比率が 20:55:25 である組成物をコエンザイムQ10送達用組成物1とした。かかるコエンザイムQ10送達用組成物1を5 mL の精製水(37℃)に懸濁した後、得られたエマルションの粒度分布を ELS-Z (大塚電子社製) を用いて動的光散乱法で測定した。その結果、図1に示すように平均粒子径は約 140 nm であった。また、かかる組成物は油状であった。
試験例2:難水溶性抗酸化物質の送達用組成物 (セサミン送達用組成物) の調製
セサミン (和光純薬株式会社製) 1 mg を 10質量% 含有するセサミン送達用組成物を作成した。セサミン送達用組成物にはセサミン以外の成分の全量に対して中鎖脂肪酸トリグリセリドが 40質量%、TPGS が30質量%、グリセリンが 30質量% 含まれる。かかる組成物は油状であった。その調製方法は、難水溶性抗酸化物質としてセサミンを用いる以外は試験例1と同様に行った。
セサミン (和光純薬株式会社製) 1 mg を 10質量% 含有するセサミン送達用組成物を作成した。セサミン送達用組成物にはセサミン以外の成分の全量に対して中鎖脂肪酸トリグリセリドが 40質量%、TPGS が30質量%、グリセリンが 30質量% 含まれる。かかる組成物は油状であった。その調製方法は、難水溶性抗酸化物質としてセサミンを用いる以外は試験例1と同様に行った。
前記セサミン送達用組成物 1 mgを5 mL の精製水(37℃)に懸濁した後、Zetasizer Nano ZS (Malvern Instruments Ltd., United Kingdom)を用いて動的光散乱法で測定した結果、平均粒子径は約 540 nm であった。
試験例3:難水溶性抗酸化物質の送達用組成物 (クルクミン送達用組成物) の調製
クルクミン (和光純薬株式会社製) 1 mg を 2質量% 含有するクルクミン送達用組成物を作成した。前記クルクミン送達用組成物にはクルクミン以外の成分の全量に対し中鎖脂肪酸トリグリセリドが 50質量%、TPGS が35質量%、エタノールが 15質量% 含まれる。その調製方法は、難水溶性抗酸化物質としてクルクミンを用いる以外は試験例1と同様に行った。
クルクミン (和光純薬株式会社製) 1 mg を 2質量% 含有するクルクミン送達用組成物を作成した。前記クルクミン送達用組成物にはクルクミン以外の成分の全量に対し中鎖脂肪酸トリグリセリドが 50質量%、TPGS が35質量%、エタノールが 15質量% 含まれる。その調製方法は、難水溶性抗酸化物質としてクルクミンを用いる以外は試験例1と同様に行った。
前記クルクミン送達用組成物 1 mgを 5 mL の精製水(37℃)に懸濁した後、Zetasizer Nano ZS (Malvern Instruments Ltd., United Kingdom)を用いて動的光散乱法で測定した結果、平均粒子径は約 200 nm であった。
試験例4:難水溶性抗酸化物質の送達用組成物 (チモキノン送達用組成物) の調製
チモキノン (シグマ社製) 1 mg を 10質量% 含有するチモキノン送達用組成物を作成した。前記チモキノン送達用組成物にはチモキノン以外の成分の全量に対して中鎖脂肪酸トリグリセリドが 30質量%、TPGS が40質量%、グリセリンが 30質量% 含まれる。その調製方法は、難水溶性抗酸化物質としてチモキノンを用いる以外は試験例1と同様に行った。
チモキノン (シグマ社製) 1 mg を 10質量% 含有するチモキノン送達用組成物を作成した。前記チモキノン送達用組成物にはチモキノン以外の成分の全量に対して中鎖脂肪酸トリグリセリドが 30質量%、TPGS が40質量%、グリセリンが 30質量% 含まれる。その調製方法は、難水溶性抗酸化物質としてチモキノンを用いる以外は試験例1と同様に行った。
前記チモキノン送達用組成物 1 mgを 5 mL の精製水(37℃)に懸濁した後、Zetasizer Nano ZS (Malvern Instruments Ltd., United Kingdom)を用いて動的光散乱法で測定した結果、平均粒子径は約 600 nm であった。
試験例5:難水溶性抗酸化物質の送達用組成物 (コエンザイムQ10 送達用組成物) の溶出特性
試験例1で得られたコエンザイムQ10送達用組成物1および結晶性コエンザイム Q10をコエンザイム Q10として 9 mg 用い、日本薬局方第16改正に記載されている溶出試験法パドル法により、溶出試験を実施した。試験液として溶出試験第1液 (pH1.2) および溶出試験第2液 (pH6.8) それぞれ900 mLを用いた。パドルの回転数は100rpm、水温は37℃とした。試験開始から所定時間経過後に溶出液を採取し、コエンザイムQ10濃度(μg/mL)をHPLC(カラム:Inertsil ODS-3(GL サイエンス)、移動相:エタノール:アセトニトリル=10:90、流速:0.5 mL/min、温度:60℃)を用いて測定した。平均±標準誤差(n=3)の値を図2に示す。
その結果、コエンザイムQ10送達用組成物1は結晶性コエンザイム Q10 と比較して、著しい分散性の改善を認めた (図2)。
試験例1で得られたコエンザイムQ10送達用組成物1および結晶性コエンザイム Q10をコエンザイム Q10として 9 mg 用い、日本薬局方第16改正に記載されている溶出試験法パドル法により、溶出試験を実施した。試験液として溶出試験第1液 (pH1.2) および溶出試験第2液 (pH6.8) それぞれ900 mLを用いた。パドルの回転数は100rpm、水温は37℃とした。試験開始から所定時間経過後に溶出液を採取し、コエンザイムQ10濃度(μg/mL)をHPLC(カラム:Inertsil ODS-3(GL サイエンス)、移動相:エタノール:アセトニトリル=10:90、流速:0.5 mL/min、温度:60℃)を用いて測定した。平均±標準誤差(n=3)の値を図2に示す。
その結果、コエンザイムQ10送達用組成物1は結晶性コエンザイム Q10 と比較して、著しい分散性の改善を認めた (図2)。
試験例6:難水溶性抗酸化物質の送達用組成物 (セサミン送達用組成物) の溶出特性
セサミン 1 mg を 10質量% 含有する半固形組成物を作成した。前記半固形組成物にはセサミン以外の成分の全量に対して中鎖脂肪酸トリグリセリドと TPGS とがそれぞれ 30質量%、70質量% 含まれる。試験例2で調製したセサミン送達用組成物と溶出挙動を比べた。溶出試験方法は、難水溶性抗酸化物質の送達用組成物としてセサミン送達用組成物をセサミン含量として 9 mg を用い、パドルの回転数を50 rpmとする以外は試験例5と同様に行った。セサミン濃度(μg/mL)はHPLC(カラム:Inertsil ODS-3(GL サイエンス)、移動相:ミリQ水:アセトニトリル=30:70、流速:0.5 mL/min、温度:40℃)を用いて測定した。
pH6.8 において約 30 分撹拌した際(50 rpm,37℃),半固形組成物からの溶出率は 15% であったのに対し、セサミン送達用組成物は約 80% であった。本知見は本発明の自己乳化型組成物の優れた溶出特性(溶出速度)を示唆するものである。
セサミン 1 mg を 10質量% 含有する半固形組成物を作成した。前記半固形組成物にはセサミン以外の成分の全量に対して中鎖脂肪酸トリグリセリドと TPGS とがそれぞれ 30質量%、70質量% 含まれる。試験例2で調製したセサミン送達用組成物と溶出挙動を比べた。溶出試験方法は、難水溶性抗酸化物質の送達用組成物としてセサミン送達用組成物をセサミン含量として 9 mg を用い、パドルの回転数を50 rpmとする以外は試験例5と同様に行った。セサミン濃度(μg/mL)はHPLC(カラム:Inertsil ODS-3(GL サイエンス)、移動相:ミリQ水:アセトニトリル=30:70、流速:0.5 mL/min、温度:40℃)を用いて測定した。
pH6.8 において約 30 分撹拌した際(50 rpm,37℃),半固形組成物からの溶出率は 15% であったのに対し、セサミン送達用組成物は約 80% であった。本知見は本発明の自己乳化型組成物の優れた溶出特性(溶出速度)を示唆するものである。
試験例7:難水溶性抗酸化物質の送達用組成物 (コエンザイムQ10 送達用組成物) の薬物動態学的評価
雄性Sprague-Dawley ラット (週齢: 11 週) に結晶性コエンザイム Q10 (100 mg/kg) および試験例1で得られたコエンザイムQ10送達用組成物1 (100 mg-コエンザイムQ10/kg) をそれぞれ経口投与した(n=6)。その後、経時的採血を行い、血漿中コエンザイムQ10 濃度を HPLC-UV (Shimadzu class-VP HPLC system, Shimadzu, Kyoto, Japan; UV: 275 nm;HPLC(カラム:Inertsil ODS-3(GL サイエンス)、移動相:エタノール:アセトニトリル=10:90、流速:0.5 mL/min、温度:60℃) を用いて測定した。その血漿中濃度推移の結果を図3に示す。データは、平均±標準誤差の値である。また、各薬物動態学的パラメーターの算出を行った (表1)。コエンザイムQ10送達用組成物1投与群は結晶性コエンザイム Q10 投与群に比較してAUCを有意に高めた(フィッシャーの最小有意差法、p<0.05)。コエンザイムQ10送達用組成物1投与群は結晶性コエンザイム Q10 投与群と比較して高い血漿中濃度推移を示し、コエンザイムQ10送達用組成物1の生物学的利用能(Bioavailability : BA) は結晶性コエンザイム Q10と比較して約 10 倍高値を示し、有意に高めた(Student's t-test、p<0.05)。この結果は、自己乳化型製剤技術によるコエンザイムQ10 の溶解性改善が経口吸収性向上に寄与したものと考えられる。
雄性Sprague-Dawley ラット (週齢: 11 週) に結晶性コエンザイム Q10 (100 mg/kg) および試験例1で得られたコエンザイムQ10送達用組成物1 (100 mg-コエンザイムQ10/kg) をそれぞれ経口投与した(n=6)。その後、経時的採血を行い、血漿中コエンザイムQ10 濃度を HPLC-UV (Shimadzu class-VP HPLC system, Shimadzu, Kyoto, Japan; UV: 275 nm;HPLC(カラム:Inertsil ODS-3(GL サイエンス)、移動相:エタノール:アセトニトリル=10:90、流速:0.5 mL/min、温度:60℃) を用いて測定した。その血漿中濃度推移の結果を図3に示す。データは、平均±標準誤差の値である。また、各薬物動態学的パラメーターの算出を行った (表1)。コエンザイムQ10送達用組成物1投与群は結晶性コエンザイム Q10 投与群に比較してAUCを有意に高めた(フィッシャーの最小有意差法、p<0.05)。コエンザイムQ10送達用組成物1投与群は結晶性コエンザイム Q10 投与群と比較して高い血漿中濃度推移を示し、コエンザイムQ10送達用組成物1の生物学的利用能(Bioavailability : BA) は結晶性コエンザイム Q10と比較して約 10 倍高値を示し、有意に高めた(Student's t-test、p<0.05)。この結果は、自己乳化型製剤技術によるコエンザイムQ10 の溶解性改善が経口吸収性向上に寄与したものと考えられる。
試験例8:難水溶性抗酸化物質の送達用組成物 (コエンザイムQ10 送達用組成物) の肝保護機能評価
雄性Sprague-Dawley ラット (週齢: 11-12 週) に CCl4 溶液 (0.7 mL-CCl4/kg) 経口投与 6、12 時間前に結晶性コエンザイム Q10 およびコエンザイムQ10送達用組成物1 (100 mg-CoQ10/kg) を経口投与し、CCl4 を投与した(n=6)。CCl4 投与後 24 時間における血漿中 ALT および AST 活性を ALT/AST activity assay kit(和光純薬)を用いて測定した。その結果を図4に示す。データは、平均±標準誤差の値である。CCl4 投与 24 時間後、血漿中 ALT および AST 活性は顕著な上昇を認め、コエンザイムQ10送達用組成物1前投与により、血漿中 ALT および AST 活性をそれぞれ 55%、42% 抑制し、結晶性コエンザイム Q10と比較して高い肝保護機能性を示した。この結果は、自己乳化型製剤技術によるコエンザイム Q10 の溶解性改善、経口吸収性向上により肝臓へのコエンザイム Q10 曝露量が増加したことに加えて、TPGS による抗酸化能が補助的に働くことによってもたらされたものと推察する。
雄性Sprague-Dawley ラット (週齢: 11-12 週) に CCl4 溶液 (0.7 mL-CCl4/kg) 経口投与 6、12 時間前に結晶性コエンザイム Q10 およびコエンザイムQ10送達用組成物1 (100 mg-CoQ10/kg) を経口投与し、CCl4 を投与した(n=6)。CCl4 投与後 24 時間における血漿中 ALT および AST 活性を ALT/AST activity assay kit(和光純薬)を用いて測定した。その結果を図4に示す。データは、平均±標準誤差の値である。CCl4 投与 24 時間後、血漿中 ALT および AST 活性は顕著な上昇を認め、コエンザイムQ10送達用組成物1前投与により、血漿中 ALT および AST 活性をそれぞれ 55%、42% 抑制し、結晶性コエンザイム Q10と比較して高い肝保護機能性を示した。この結果は、自己乳化型製剤技術によるコエンザイム Q10 の溶解性改善、経口吸収性向上により肝臓へのコエンザイム Q10 曝露量が増加したことに加えて、TPGS による抗酸化能が補助的に働くことによってもたらされたものと推察する。
試験例9:難水溶性抗酸化物質の送達用組成物 (コエンザイムQ10 送達用組成物) の安定性試験
5 質量%の濃度でココナード MT に溶解したコエンザイム Q10 (以下、コエンザイム Q10 溶液という)およびコエンザイムQ10送達用組成物1を 40℃、75% 相対湿度下に保存し、約 1 ヶ月経過後に CoQ10 残存量を測定した。測定は試験例5と同様に行った。コエンザイム Q10 溶液中のコエンザイム Q10 は約 8% の含量低下を認めたが、コエンザイムQ10送達用組成物1中のコエンザイム Q10の減成量は 1% 未満であった。これは TPGS の抗酸化能が組成物中のコエンザイム Q10 を安定化したものと考えられる。
5 質量%の濃度でココナード MT に溶解したコエンザイム Q10 (以下、コエンザイム Q10 溶液という)およびコエンザイムQ10送達用組成物1を 40℃、75% 相対湿度下に保存し、約 1 ヶ月経過後に CoQ10 残存量を測定した。測定は試験例5と同様に行った。コエンザイム Q10 溶液中のコエンザイム Q10 は約 8% の含量低下を認めたが、コエンザイムQ10送達用組成物1中のコエンザイム Q10の減成量は 1% 未満であった。これは TPGS の抗酸化能が組成物中のコエンザイム Q10 を安定化したものと考えられる。
試験例10:難水溶性抗酸化物質の送達用組成物 (セサミン送達用組成物) の安定性試験
5 質量%の濃度でココナード MTに溶解したセサミン(以下、セサミン溶液という)および試験例2で調製したセサミン送達用組成物を 60℃,75% 相対湿度下に保存し,72 時間経過後にセサミン残存量を測定した。測定は試験例6と同様に行った。セサミン溶液中のセサミンは約 5% の含量低下を認めたが、上記セサミン送達用組成物中のセサミンの減成量は 1% 未満であった。これは TPGS の抗酸化能が製剤中のセサミンを安定化したものと考えられる。
5 質量%の濃度でココナード MTに溶解したセサミン(以下、セサミン溶液という)および試験例2で調製したセサミン送達用組成物を 60℃,75% 相対湿度下に保存し,72 時間経過後にセサミン残存量を測定した。測定は試験例6と同様に行った。セサミン溶液中のセサミンは約 5% の含量低下を認めたが、上記セサミン送達用組成物中のセサミンの減成量は 1% 未満であった。これは TPGS の抗酸化能が製剤中のセサミンを安定化したものと考えられる。
試験例11:難水溶性抗酸化物質の送達用組成物 (チモキノン送達用組成物) の安定性試験
5 質量%の濃度でココナード MTに溶解したチモキノン(以下、チモキノン溶液という)および試験例4で調製したチモキノン送達用組成物を 60℃,75% 相対湿度下に保存し,72 時間経過後にチモキノン残存量を測定した。測定はHPLC(カラム:Inertsil ODS-3(GL サイエンス)、移動相:ミリQ水:アセトニトリル=40:60、流速:0.5 mL/min、温度:40℃)を用いて行った。チモキノン溶液中のチモキノンは約 7% の含量低下を認めたが、上記チモキノン送達用組成物中のチモキノンの減成量は 2% 未満であった。これは TPGS の抗酸化能が製剤中のチモキノンを安定化したものと考えられる。
5 質量%の濃度でココナード MTに溶解したチモキノン(以下、チモキノン溶液という)および試験例4で調製したチモキノン送達用組成物を 60℃,75% 相対湿度下に保存し,72 時間経過後にチモキノン残存量を測定した。測定はHPLC(カラム:Inertsil ODS-3(GL サイエンス)、移動相:ミリQ水:アセトニトリル=40:60、流速:0.5 mL/min、温度:40℃)を用いて行った。チモキノン溶液中のチモキノンは約 7% の含量低下を認めたが、上記チモキノン送達用組成物中のチモキノンの減成量は 2% 未満であった。これは TPGS の抗酸化能が製剤中のチモキノンを安定化したものと考えられる。
試験例12:ポリマーを加えた難水溶性抗酸化物質の送達用組成物 (コエンザイムQ10 送達用組成物) の調製
エマルジョンを安定化させるためにポリマーを加えた難水溶性抗酸化物質の送達用組成物(コエンザイムQ10 送達用組成物2)を作製した。すなわち、CoQ10 1 mg を 5質量% 含有するコエンザイムQ10 送達用組成物2にはコエンザイムQ10 以外の成分として中鎖脂肪酸トリグリセリドが 50質量%,TPGS が30質量%,エタノールが 20質量% 含まれる。前記コエンザイムQ10 送達用組成物2にポリマーとしてポリビニルピロリドン K30 (PVP K30) (和光純薬社製)あるいはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC) 2910 (和光純薬社製)を添加し、最終的には、PVP K30またはHPMCの含量はPVP K30またはHPMC添加コエンザイムQ10 送達用組成物2全量に対してそれぞれ5質量% とした。その調製方法としては、中鎖脂肪酸トリグリセリド、エタノール、コエンザイムQ10および、TPGSを混合して得られた混合物にポリマーを添加し均一化することにより調製した。
1 mg のPVP添加コエンザイムQ10 送達用組成物2および1 mg のHPMC添加コエンザイムQ10 送達用組成物2それぞれに 5 mL の精製水(37℃)を加え希釈して得られたエマルションの、Zetasizer Nano ZS (Malvern Instruments Ltd., United Kingdom)を用いた動的光散乱法で求められた平均粒子径はいずれも 200 nm 以下であった。
エマルジョンを安定化させるためにポリマーを加えた難水溶性抗酸化物質の送達用組成物(コエンザイムQ10 送達用組成物2)を作製した。すなわち、CoQ10 1 mg を 5質量% 含有するコエンザイムQ10 送達用組成物2にはコエンザイムQ10 以外の成分として中鎖脂肪酸トリグリセリドが 50質量%,TPGS が30質量%,エタノールが 20質量% 含まれる。前記コエンザイムQ10 送達用組成物2にポリマーとしてポリビニルピロリドン K30 (PVP K30) (和光純薬社製)あるいはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC) 2910 (和光純薬社製)を添加し、最終的には、PVP K30またはHPMCの含量はPVP K30またはHPMC添加コエンザイムQ10 送達用組成物2全量に対してそれぞれ5質量% とした。その調製方法としては、中鎖脂肪酸トリグリセリド、エタノール、コエンザイムQ10および、TPGSを混合して得られた混合物にポリマーを添加し均一化することにより調製した。
1 mg のPVP添加コエンザイムQ10 送達用組成物2および1 mg のHPMC添加コエンザイムQ10 送達用組成物2それぞれに 5 mL の精製水(37℃)を加え希釈して得られたエマルションの、Zetasizer Nano ZS (Malvern Instruments Ltd., United Kingdom)を用いた動的光散乱法で求められた平均粒子径はいずれも 200 nm 以下であった。
試験例13:ポリマーを加えた難水溶性抗酸化物質の送達用組成物 (コエンザイムQ10 送達用組成物)の溶出挙動
試験例12で作製した 3 種のコエンザイムQ10 送達用組成物を対象として 溶出試験第1液 (pH1.2)中における溶出試験を実施した。その方法はパドルの攪拌速度を50rpmとする以外は試験例5と同様に行った。
その結果、試験開始30分後のコエンザイムQ10の濃度が、それぞれポリマー添加なしコエンザイムQ10 送達用組成物2は 597 ng/mL、PVP添加コエンザイムQ10 送達用組成物2は 1283 ng/mL、HPMC添加コエンザイムQ10 送達用組成物2は 1098 ng/mLを示し、ポリマー非添加群と比して,ポリマー添加群はいずれも著しい溶解性の改善を認めた。特に PVP 添加時に溶出挙動が優れている傾向にあった。
試験例12で作製した 3 種のコエンザイムQ10 送達用組成物を対象として 溶出試験第1液 (pH1.2)中における溶出試験を実施した。その方法はパドルの攪拌速度を50rpmとする以外は試験例5と同様に行った。
その結果、試験開始30分後のコエンザイムQ10の濃度が、それぞれポリマー添加なしコエンザイムQ10 送達用組成物2は 597 ng/mL、PVP添加コエンザイムQ10 送達用組成物2は 1283 ng/mL、HPMC添加コエンザイムQ10 送達用組成物2は 1098 ng/mLを示し、ポリマー非添加群と比して,ポリマー添加群はいずれも著しい溶解性の改善を認めた。特に PVP 添加時に溶出挙動が優れている傾向にあった。
試験例14:ポリマーを加えた難水溶性抗酸化物質の送達用組成物 (コエンザイムQ10 送達用組成物)の安定性
試験例12で得られたポリマー非添加コエンザイムQ10 送達用組成物2および PVP 添加コエンザイムQ10 送達用組成物2それぞれ 10 mgを水(1 mL)に分散した後静置した。その後、光学顕微鏡によって観察したところ、ポリマー非添加コエンザイムQ10 送達用組成物2は15分間安定してエマルションを形成している一方、PVP 添加コエンザイムQ10 送達用組成物2は30分間安定してエマルションを形成した(図5)。また、静置後30分後に、濁度の指標として 405 nm の吸光度の測定を行ったところ、ポリマー非添加コエンザイムQ10 送達用組成物2および PVP 添加コエンザイムQ10 送達用組成物2 はそれぞれ0.32および0.19 であった.これら結果から、ポリマー添加によってエマルションを安定化することが示唆された。
試験例12で得られたポリマー非添加コエンザイムQ10 送達用組成物2および PVP 添加コエンザイムQ10 送達用組成物2それぞれ 10 mgを水(1 mL)に分散した後静置した。その後、光学顕微鏡によって観察したところ、ポリマー非添加コエンザイムQ10 送達用組成物2は15分間安定してエマルションを形成している一方、PVP 添加コエンザイムQ10 送達用組成物2は30分間安定してエマルションを形成した(図5)。また、静置後30分後に、濁度の指標として 405 nm の吸光度の測定を行ったところ、ポリマー非添加コエンザイムQ10 送達用組成物2および PVP 添加コエンザイムQ10 送達用組成物2 はそれぞれ0.32および0.19 であった.これら結果から、ポリマー添加によってエマルションを安定化することが示唆された。
試験例15:ポリマーを加えた難水溶性抗酸化物質の送達用組成物 (コエンザイムQ10 送達用組成物) の薬物動態学的評価
雄性Sprague-Dawley ラット (週齢: 11 週) に結晶性コエンザイム Q10 (100 mg/kg) および試験例12で得られたポリマー非添加コエンザイムQ10 送達用組成物2および PVP 添加コエンザイムQ10 送達用組成物2(CoQ10として 100 mg/kg)をそれぞれ経口投与後、経時的採血を行い、血漿中コエンザイムQ10 濃度を HPLC-UV (Shimadzu class-VP HPLC system, Shimadzu, Kyoto, Japan; UV: 275 nm;HPLC(カラム:Inertsil ODS-3(GL サイエンス)、移動相:エタノール:アセトニトリル=10:90、流速:0.5 mL/min、温度:60℃) を用いて測定した。その結果、結晶性コエンザイム Q10 (100 mg/kg)、試験例12で得られたポリマー非添加コエンザイムQ10 送達用組成物2および PVP 添加コエンザイムQ10 送達用組成物2の血中濃度−時間曲線下面積(0〜∞時間)はそれぞれ,5.1 h.μg/mL、44.0 h.μg/mL、55.0 h.μg/mL となった。すなわち、いずれのコエンザイムQ10 送達用組成物も優れた吸収性を示すが、特に PVP 添加コエンザイムQ10 送達用組成物はポリマー非添加コエンザイムQ10 送達用組成物と比して約 25% の向上を認めた。
雄性Sprague-Dawley ラット (週齢: 11 週) に結晶性コエンザイム Q10 (100 mg/kg) および試験例12で得られたポリマー非添加コエンザイムQ10 送達用組成物2および PVP 添加コエンザイムQ10 送達用組成物2(CoQ10として 100 mg/kg)をそれぞれ経口投与後、経時的採血を行い、血漿中コエンザイムQ10 濃度を HPLC-UV (Shimadzu class-VP HPLC system, Shimadzu, Kyoto, Japan; UV: 275 nm;HPLC(カラム:Inertsil ODS-3(GL サイエンス)、移動相:エタノール:アセトニトリル=10:90、流速:0.5 mL/min、温度:60℃) を用いて測定した。その結果、結晶性コエンザイム Q10 (100 mg/kg)、試験例12で得られたポリマー非添加コエンザイムQ10 送達用組成物2および PVP 添加コエンザイムQ10 送達用組成物2の血中濃度−時間曲線下面積(0〜∞時間)はそれぞれ,5.1 h.μg/mL、44.0 h.μg/mL、55.0 h.μg/mL となった。すなわち、いずれのコエンザイムQ10 送達用組成物も優れた吸収性を示すが、特に PVP 添加コエンザイムQ10 送達用組成物はポリマー非添加コエンザイムQ10 送達用組成物と比して約 25% の向上を認めた。
試験例16:難水溶性抗酸化物質の送達用組成物 (コエンザイムQ10 送達用組成物) の肝保護機能評価
TPGS を使用しないコエンザイムQ10 送達用組成物として、コエンザイムQ10 1 mg を 5 質量%含有し、コエンザイムQ10以外の成分としてココナード MT:tween20:エタノールの比率が 30:35:35 である組成物を作製し、コエンザイムQ10送達用組成物3とした。雄性Sprague-Dawley ラット (週齢: 11-12 週) に CCl4 溶液 (0.7 mL-CCl4/kg) 経口投与 6、12 時間前にコエンザイムQ10送達用組成物3およびコエンザイムQ10送達用組成物1 (20 mg-CoQ10/kg) を経口投与し、CCl4 投与後 24 時間における血漿中 ALT 活性を ALT activity assay kit(和光純薬)を用いて測定した。その結果、コエンザイムQ10送達用組成物3は ALT の上昇を約 4% 抑えただけに留まったが、コエンザイムQ10送達用組成物1は約 23% 抑制することができた。この結果は、おなじコエンザイムQ10 送達用組成物のなかでも,TPGS 添加によって抗酸化能が高まることを示唆する。
TPGS を使用しないコエンザイムQ10 送達用組成物として、コエンザイムQ10 1 mg を 5 質量%含有し、コエンザイムQ10以外の成分としてココナード MT:tween20:エタノールの比率が 30:35:35 である組成物を作製し、コエンザイムQ10送達用組成物3とした。雄性Sprague-Dawley ラット (週齢: 11-12 週) に CCl4 溶液 (0.7 mL-CCl4/kg) 経口投与 6、12 時間前にコエンザイムQ10送達用組成物3およびコエンザイムQ10送達用組成物1 (20 mg-CoQ10/kg) を経口投与し、CCl4 投与後 24 時間における血漿中 ALT 活性を ALT activity assay kit(和光純薬)を用いて測定した。その結果、コエンザイムQ10送達用組成物3は ALT の上昇を約 4% 抑えただけに留まったが、コエンザイムQ10送達用組成物1は約 23% 抑制することができた。この結果は、おなじコエンザイムQ10 送達用組成物のなかでも,TPGS 添加によって抗酸化能が高まることを示唆する。
Claims (10)
- 難水溶性抗酸化物質、油脂、トコフェリルポリエチレングリコールスクシネート(TPGS)、およびアルコールを含んでなる、難水溶性抗酸化物質送達用組成物。
- 前記難水溶性抗酸化物質の水に対する溶解度が5 mg/mL以下である、請求項1に記載の組成物。
- 前記難水溶性抗酸化物質が、コエンザイムQ10、セサミン、クルクミン、チモキノン、アスタキサンチン、ルテイン、イソフラボン、ヘスペリジンおよびジンセノシドからなる群から選択される少なくとも一つのものである、請求項1または2に記載の組成物。
- 前記油脂が中鎖脂肪酸トリグリセリドである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記アルコールが、一価アルコール、二価アルコールおよび三価アルコールから選択される少なくとも一つのものである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記アルコールが、エタノール、プロパノール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール (PEG) およびグリセリンから選択される少なくとも一つのものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
- 自己乳化型である、請求項1〜6に記載の組成物。
- 水性媒体に接触させたとき、平均粒子径が50 nm〜10 μmとなるように分散する、請求項7に記載の組成物。
- ポリマーをさらに含んでなる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物を内封してなるカプセル剤。
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JP2014158155A JP2016034918A (ja) | 2014-08-01 | 2014-08-01 | 難水溶性抗酸化物質送達用組成物 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018235939A1 (ja) * | 2017-06-23 | 2018-12-27 | Tkヘルスリサーチ株式会社 | 包接化された抗酸化物質を含む眼科用組成物ならびにその使用 |
JP2019089746A (ja) * | 2017-11-17 | 2019-06-13 | 花王株式会社 | 固形状組成物 |
JP2022511223A (ja) * | 2018-09-11 | 2022-01-31 | リードバイオセラピューティクスリミテッド | 粘膜付着性分散ナノ粒子系およびその製造方法 |
-
2014
- 2014-08-01 JP JP2014158155A patent/JP2016034918A/ja active Pending
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