本実施例に示すぱちんこ遊技機は、従来にいう第1種ぱちんこ遊技機を複数混在させたような遊技を提供する。遊技球が第1始動入賞口または第2始動入賞口に入球すると第1の当否抽選または第2の当否抽選が実行され、その抽選が大当りとなると大入賞口が開放を繰り返す特別遊技が開始される。一方、第1の当否抽選または第2の当否抽選が「小当り」と呼ばれる所定の結果になった場合は、大入賞口の短時間の開放がなされる小当り遊技が実行される。この小当り遊技は、大当りの場合に複数回繰り返される単位遊技を1回分しか有しないため「大当り」とは区別される。大入賞口へ入球した遊技球が大入賞口内の特定領域に入球すると、「小当り」から「大当り」へと昇格し、特別遊技が実行されるため、小当り遊技は従来にいう第2種ぱちんこ遊技と実質的に同様の動作となる。第1の当否抽選と第2の当否抽選とでは、第2の当否抽選の方が小当りの発生確率が高確率に設定される。
特別遊技が終了すると、所定の確率でいわゆる変動時間短縮遊技(以下、「時短」という)と呼ばれる特定遊技に移行する。時短は、特別遊技の終了後、特別図柄の変動回数が所定回数(以下、「継続回数」とよぶ)に達するまで継続する。時短中においては、第2始動入賞口への入球容易性が高められる。その結果、小当りの発生可能性が高まるので、その分、小当りから発展する大当りの発生可能性も高まる。時短中に特別遊技が発生した場合において、その特別遊技の終了後に時短が付与されるか否かは、小当りとなったときの第2の当否抽選結果、つまり小当りとなった特別図柄の種類によって決定される。したがって、第2の当否抽選結果を示す特別図柄の小当りにには、「時短つき小当り」と「時短なし小当り」がある。この遊技機の場合、通常遊技の通常状態においては、第2始動入賞口への入球容易性が低いため、まずは遊技球を第1始動入賞口に入球させて特別遊技を発生させて時短に移行させた上で、小当りが発展した特別遊技を狙う遊技性が提供できる。
図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。
ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、遊技状態などに応じた効果音が出力される。
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、特別図柄表示装置70、演出図柄表示装置60、第1始動入賞口62、第2始動入賞口63、センター飾り64、第1大入賞口91、第2大入賞口92、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない多数の遊技釘や風車などの機構が設置される。
第1始動入賞口62は第1の遊技に対応する始動入賞口として設けられ、第2始動入賞口63は第2の遊技に対応する始動入賞口として設けられる。第1始動入賞口62および第2始動入賞口63は、遊技球の発射強弱によっていずれかを目標にした打ち分けが可能な程度に互いに離れた位置に設けられる。第1始動入賞口62と第2始動入賞口63は、遊技者の意思にしたがった遊技球の発射強弱によっていずれか一方への入球を狙うことが可能となるよう、それぞれ遊技領域52の左側と右側に離れて設置され、一方を狙った遊技球が他方へ入球しがたい構成となっている。例えば、第1始動入賞口62は遊技領域52の左側を狙って比較的弱めに発射したときに入球しやすくなるような位置に設けられ、第2始動入賞口63は遊技領域52の右側を狙って比較的強めに発射したときに入球しやすくなるような位置に設けられる。
第1始動入賞口62は、始動入賞検出装置74を備える。始動入賞検出装置74は、第1始動入賞口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第1始動入賞情報を生成する。第2始動入賞口63は、始動入賞検出装置75と、普通電動役物65と、普通電動役物65を開閉させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。始動入賞検出装置75は、第2始動入賞口63への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第2始動入賞情報を生成する。普通電動役物ソレノイド76の駆動力により普通電動役物65が拡開されると、第2始動入賞口63への入球容易性が高まる。普通電動役物65の1回の開放時間は、通常状態においては1秒程度の短時間であるが、時短中においては普通電動役物65の1回の開放時間が6秒程度と通常状態よりも長く設定されるので、遊技球は第2始動入賞口63に入球しやすくなる。また、第2始動入賞口63は図示するとおり遊技領域52の右側における狭い通路に設けられているので、右側を狙って強めに打球した遊技球の多くが少なくとも第2始動入賞口63の近傍に集まるので、第2始動入賞口63の入球可能性は高い。これに対して第1始動入賞口62には普通電動役物が設置されておらず、しかも狭い通路から離れた位置に設けられている。したがって、第1始動入賞口62よりも第2始動入賞口63の方が入球可能性が相対的に高くなるような配置または構成の関係となっている。
一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73を複数備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成する。
第1大入賞口91は、第1の遊技および第2の遊技に共通の大入賞口として設けられ、大当りの発生により開放される。第1大入賞口91は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、第1大入賞口91を開閉させるための大入賞口ソレノイド80を備える。入賞検出装置78は、第1大入賞口91への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第1大入賞口入賞情報を生成する。第1大入賞口91は、第1特別図柄192または第2特別図柄193が所定の大当り態様にて停止したときに「大当り」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。第1大入賞口91はアウト口58の上方の位置に設けられる。
一方、第2大入賞口92は、小当り遊技に対応する大入賞口として設けられ、小当りの発生により開放される。第2大入賞口92は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置79と、第2大入賞口92の羽根を開閉させるための大入賞口ソレノイド81を備える。入賞検出装置79は、第2大入賞口92への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す第2大入賞口入賞情報を生成する。第2大入賞口92は、第1特別図柄192または第2特別図柄193が所定の小当り態様にて停止したときに「小当り」として開放状態となる。遊技領域52の略中央に設けられた演出図柄表示装置60の周囲にはセンター飾り64が設けられ、第2大入賞口92は、そのセンター飾り64の右側に取り付けられている。開放された第2大入賞口92に入球した遊技球は、センター飾り64の内部に設けられた通路31を通って内側の空間へ流入する。入賞検出装置79は、その通路31に設けられている。第2大入賞口92は、小当り遊技中にこれが開放された際に発射強度をほぼ最大にするいわゆる右打ちがなされると、遊技球が極めて高い確率で入球されるようになる。
センター飾り64における第2大入賞口92の内側の空間には、特定領域(Vゾーン)が設けられており、第2大入賞口92に入球した遊技球は、その特定領域またはそれ以外の非特定領域を通過する。本実施例では、センター飾り64の内部中央の左方に特定領域が設けられ、右方に非特定領域が設けられており、第2大入賞口92が開放された状態で遊技球が入球すると、その遊技球が例えば約1/10の確率で特定領域を通過するように構成されている。変形例においては、入球した遊技球が特定領域または非特定領域に異なる確率にて通過するように構成してもよい。例えば、第2大入賞口92の内部に入球した遊技球を特定領域または非特定領域に振り分ける可動役物を設置し、その可動役物を駆動することにより遊技球を1/10よりも高確率または低確率にて特定領域に導くようにしてもよい。特定領域通過検出装置93は、遊技球がこの特定領域を通過したか否かを検出するセンサであり、通過時にその通過を示す特定領域通過情報を生成する。遊技球が特定領域を通過すると、大当りとなって特別遊技が開始される。
演出図柄表示装置60の左下方に第1の遊技および第2の遊技に対応する特別図柄表示装置70が設けられている。特別図柄表示装置70には第1の遊技に対応する第1特別図柄192と第2の遊技に対応する第2特別図柄193の変動が表示される。第1特別図柄192は、第1始動入賞口62への遊技球の入球を契機として行われる第1の当否抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が所定の当り態様にて停止されたときに特別遊技としての大当りが発生する。第2特別図柄193は、第2始動入賞口63への遊技球の入球を契機として行われる第2の当否抽選の結果に対応した図柄であり、その変動表示が所定の当り態様にて停止されたときに特別遊技としての大当りが発生する。特別図柄表示装置70は、例えば7セグメントLEDで構成される表示手段であり、第1特別図柄192および第2特別図柄193はそれぞれ「0」〜「9」の10種類の数字及び「−」で表される。
特別図柄表示装置70の下方には、特別図柄表示装置70で変動中の特別図柄が第1特別図柄192であることを遊技者に報知する報知手段として機能する第1報知ランプ200が設けられている。また、第1報知ランプ200の側方には、特別図柄表示装置70で変動中の特別図柄が第2特別図柄193であることを遊技者に報知する第2報知ランプ201が設けられている。したがって、特別図柄表示装置70により特別図柄が変動表示または停止表示されている場合、第1報知ランプ200と第2報知ランプ201のいずれかが点灯する。その結果、特別図柄表示装置70が第1特別図柄192の表示と第2特別図柄193の表示で共用される場合でも、現在いずれの特別図柄を表示しているか遊技者に容易に認識させることができる。
演出図柄表示装置60の表示領域194には第1特別図柄192に連動する装飾図柄190または第2特別図柄193に連動する装飾図柄190の変動が表示される。演出図柄表示装置60は、例えば液晶ディスプレイである。装飾図柄190は、第1特別図柄192で示される第1の当否抽選の結果表示または第2特別図柄193で示される第2の当否抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。演出図柄表示装置60は、装飾図柄190として、例えばスロットマシンのゲームを模した複数列の図柄変動の動画像を表示領域194に表示する。演出図柄表示装置60は、この実施例では液晶ディスプレイで構成されるが、機械式のドラムやLEDなどの他の表示手段で構成されてもよい。なお、第1特別図柄192および第2特別図柄193は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例では演出図柄表示装置60の左下方の特別図柄表示装置70にて目立たない大きさで表示させるが、特別図柄自体に演出的な役割をもたせて装飾図柄を表示させないような手法を採用する場合には、特別図柄を演出図柄表示装置60のような液晶ディスプレイに表示させてもよい。
作動口68は、遊技盤50の右側方位置に設けられる。作動口68は、通過検出装置69を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。作動口68への遊技球の通過は第2始動入賞口63の普通電動役物65を拡開させるための抽選の契機となる。
遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当りながらその当り方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72、第1始動入賞口62、第2始動入賞口63、第1大入賞口91、第2大入賞口92の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」「入球」「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
遊技球が第1始動入賞口62に入球すると、特別図柄表示装置70において第1特別図柄192が変動表示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190が変動表示される。遊技球が第2始動入賞口63に入球すると、同様に特別図柄表示装置70において第2特別図柄193が変動表示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190が変動表示される。第1特別図柄192、第2特別図柄193、装飾図柄190の変動表示は、表示に先だって決定された表示時間の経過後に停止される。停止時の第1特別図柄192および装飾図柄190が大当り態様であった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、第1大入賞口91の開閉動作が開始される。このときスロットマシンのゲームを模した装飾図柄190は、3つの図柄を一致させるような表示態様をとる。停止時の第2特別図柄193および装飾図柄190が大当り態様であった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、この場合も第1大入賞口91の開閉動作が開始される。
第1大入賞口91は、約30秒間開放された後、または9球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。このような第1大入賞口91の開閉が所定回数繰り返される。例えば、第1大入賞口91は特別遊技において15回の開閉が繰り返される。
特別遊技が発生した場合であって抽選などの所定の条件が満たされた場合、特別遊技の終了後に特定遊技として変動時間短縮(時短)が開始される。時短は、第1特別図柄192と第2特別図柄193の変動表示の合計が所定の終了条件回数(「継続回数」ともいう)、例えば100回に達するまで継続される。時短中は、第1特別図柄192または第2特別図柄193の変動時間が概ね短縮される。
作動口68を遊技球が通過すると、普通図柄抽選が実行され、所定時間、普通図柄195が普通図柄表示装置59に変動表示される。普通図柄表示装置59は第1大入賞口91の右方に設けられる。所定時間の経過後に普通図柄195の変動表示が所定の当り態様にて停止すると、第2始動入賞口63の普通電動役物65が所定時間拡開する。時短中は第2始動入賞口63の拡開時間が通常状態に比べて長く設定される。また、時短中は、普通図柄195の変動時間も短縮される。なお、本実施例では遊技状態にかかわらず、普通図柄抽選の当選確率が約99%と極めて高く設定されている。このため、作動口68に入球させることができれば、ほぼ確実に第2始動入賞口63を拡開させることが可能になる。ただし、後述のように、通常状態においては普通図柄195の変動時間が相当長いため、第2始動入賞口63を拡開させるまでに時間がかかり、小当りの発生、ひいては大当りへの発展は容易には実現されない。一方、時短中は逆に普通図柄195の変動時間が相当短いため、早期に小当り、ひいては大当りを発生させることが可能となる。なお、本実施例においては、第1特別図柄192が当りとなり特別遊技に移行した場合には、その特別遊技の終了後に時短が必ず付与される。一方、第2特別図柄193が小当りとなり、かつ第2大入賞口92に入球した遊技球が特定領域を通過したことに基づき特別遊技が発生した場合、時短の付与の有無は、小当りのときの第2特別図柄193が「時短つき」か「時短なし」かで決まる。時短つき小当りの場合は、第2大入賞口92に入球した遊技球が特定領域を通過したことを契機に発生した特別遊技後の遊技において時短が付与される。したがって、時短中、遊技者は第2始動入賞口63を狙う第2の遊技を遊技することになる。一方、時短なし小当りの場合は、第2大入賞口92に入球した遊技球が特定領域を通過したことを契機に発生した特別遊技後の遊技において時短は付与されない。そのため、第2始動入賞口63の普通電動役物65が頻繁に開放されることがなくなる。つまり、第2始動入賞口63に入球させることが困難になり、小当りにより第2大入賞口92が開放される可能性も低くなる。したがって、非時短中、遊技者は第1始動入賞口62を狙う第1の遊技を遊技することになる。
センター飾り64は、遊技球の流路、演出図柄表示装置60の保護、装飾等の機能を有する。遊技効果ランプ90がセンター飾り64の上部および下部に設けられ、点滅等することで演出の役割を果たす。特別図柄表示装置70の左側方には、第1の遊技に対応する第1特図保留ランプ20が設けられている。第1特図保留ランプ20は2個のランプからなり、その点灯個数または点滅個数によって第1の遊技における当否抽選値の保留数を表示する。第1特図保留ランプ20における当否抽選値の保留数は、第1特別図柄192の変動中または特別遊技の実行中に第1始動入賞口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示し、例えば4個である。
また、特別図柄表示装置70の右側方には、第2の遊技に対応する第2特図保留ランプ21が設けられている。第2特図保留ランプ21は1個のランプからなる。しかし、本実施例の第2の遊技においては、第1の遊技のような複数の当否抽選値の保留はなされず、保留上限が1個に制限されている。第2の遊技においては、第2始動入賞口63への入賞により当否抽選値が取得され、第2特図保留ランプ21を構成する1個のランプが点灯する。そして、その当否判定結果を示すための第2特別図柄193の変動表示が開始されると同時に、その第2特図保留ランプ21の1個のランプは消灯する。第2特別図柄193の変動表示中に第2始動入賞口63への入賞があった場合には、賞球の払い出しは行われるものの、当否抽選値の保留はなされず、第2特図保留ランプ21の点灯もなされない。その第2特別図柄193の変動が終了した後に第2始動入賞口63への入賞があると、当否抽選値が取得され、第2特図保留ランプ21を構成する1個のランプが再び点灯する。このように第2の遊技における保留を行わないのは、第2の遊技における後述の小当り発展大当りの連チャンが短時間で発生することにより遊技者の射幸心を過剰に煽ることを防止するものである。また、もし第2の遊技における保留が行われた場合、遊技者に有利な時短が終了した後も小当りが頻発することになり、時短終了による遊技状態の切り替えが遅れる。この不都合を解消するためにも第2の遊技における保留を行わないようにしている。
普通図柄表示装置59の下方には、普通図柄変動に対応する普図保留ランプ22が設けられている。普図保留ランプ22もまた2個のランプからなり、その点灯個数または点滅個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄195の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄195の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。操作ボタン82は、遊技者が遊技機側所定の指示を入力するために操作するボタンである。操作ボタン82は、上球皿15近傍の外壁面に設けられる。
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40は、ぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板102は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、とくに第1始動入賞口62、第2始動入賞口63へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板104は、液晶ユニット42を備え、演出図柄表示装置60における表示内容を制御し、特にメイン基板102による抽選結果に応じて表示内容を変動させる。メイン基板102およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。セット基板39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
図3は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、第1始動入賞口62、第2始動入賞口63、第1大入賞口91、第2大入賞口92、一般入賞口72、作動口68、特別図柄表示装置70、第1報知ランプ200、第2報知ランプ201、演出図柄表示装置60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作や遊技の進行を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御する主制御装置としてのメイン基板102と、図柄の演出等を制御する副制御装置としてのサブ基板104とに機能を分担させた形態で構成される。遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。
本実施例におけるメイン基板102は、入球判定手段110、第1抽選手段126、第2抽選手段128、普図抽選手段136、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、小当り遊技制御手段121、特定遊技実行手段122、開閉制御手段124、特図調整手段152、条件保持手段176を備える。本実施例におけるサブ基板104は、パターン記憶手段130、演出決定手段132、演出表示制御手段134、報知制御手段202を備える。なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブ基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブ基板104に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブ基板104ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
ただし、メイン基板102とサブ基板104の間におけるデータの送受信はメイン基板102からサブ基板104への一方向であるため、そのような一方向でのデータ送受信にて全体動作が実現されるよう各構成がメイン基板102とサブ基板104に配置される。このようにメイン基板102からサブ基板104へのデータ送信の一方向性が保たれるため、サブ基板104に含まれる構成からメイン基板102に含まれる構成へはデータを送信することができず、データ送信の要求もできない。したがって、メイン基板102で生成された情報は、メイン基板102がサブ基板104へ一方的に送信しない限りサブ基板104から参照することはできない。
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、第1始動入賞情報を受け取ると遊技球が第1始動入賞口62に入賞したと判断し、第2始動入賞情報を受け取ると遊技球が第2始動入賞口63に入賞したと判断する。入球判定手段110は、第1大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が第1大入賞口91に入賞したと判断し、第2大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が第2大入賞口92に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。入球判定手段110は、特定領域通過情報を受け取ると遊技球が第2大入賞口92内の特定領域を通過したと判断する。
第1抽選手段126および第2抽選手段128は、「特図抽選手段」として機能する。第1抽選手段126は、第1抽選値取得手段112、第1当否判定手段113、第1パターン決定手段114を含み、第1始動入賞口62への入球に対応する特別図柄抽選として第1の当否抽選を実行する。第1の当否抽選の結果は、特別図柄表示装置70において第1特別図柄192の変動表示の形で示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190の変動表示の形で示される。一方、第2抽選手段128は、第2抽選値取得手段115、第2当否判定手段117、第2パターン決定手段119を含み、第2始動入賞口63への入球に対応する特別図柄抽選として第2の当否抽選を実行する。第2の当否抽選の結果は、特別図柄表示装置70において第2特別図柄193の変動表示の形で示され、演出図柄表示装置60の表示領域194において装飾図柄190の変動表示の形で示される。第1抽選手段126および第2抽選手段128は、図柄変動を開始するにあたり、その図柄変動に対応する抽選の結果を演出決定手段132へ送信する。
第1抽選値取得手段112は、第1始動入賞口62への入球を契機に、第1の当否抽選のために乱数の値を第1当否抽選値(「特図抽選値」ともいう)として取得する。第2抽選値取得手段115は、第2始動入賞口63への入球を契機に、第2の当否抽選のために乱数の値を第2当否抽選値(「特図抽選値」ともいう)として取得する。例えば、当否抽選のために第1当否抽選値および第2当否抽選値として取得する値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。第1当否抽選値または第2当否抽選値として取得された値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、保留制御手段116により保留される所定の保留上限数を超えない範囲で第1当否抽選値と第2当否抽選値が保留される。
第1当否判定手段113は、第1当否抽選値に基づき、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する。第2当否判定手段117は、第2当否抽選値に基づき、特別遊技へ移行するか否かを判定する当否判定を実行する。停止図柄は、図柄変動の終了時に表示すべき図柄である。
第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、当否判定で参照する当否テーブルを複数保持する。複数の当否テーブルには、大当り、小当り、外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられた当りの範囲設定に応じて当否確率が定まる。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、遊技状態に応じて複数の当否テーブルのうちいずれかを参照し、当否抽選値が大当りであるか否かを判定する。第1当否抽選と第2当否抽選とで大当りに該当する確率は等しい。第1抽選手段126は、第1当否抽選において第1の小当り移行確率にて小当り遊技への移行を示す結果となる。第2抽選手段128は、第2当否抽選において第1の小当り移行確率よりも高い第2の小当り移行確率にて小当り遊技への移行を示す結果となる。第1の小当り移行確率は比較的低い設定であるため、第1始動入賞口62へ入球させても小当りはさほど発生しない。これに対して、第2の小当り移行確率はほぼ100%と極めて高確率に設定されているため、小当りの発生を狙うには第1始動入賞口62よりも第2始動入賞口63へ入球させるほうが有利となる。
第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、別途取得する図柄抽選値と当否判定の結果に基づいて、図柄の変動開始にあたってその停止図柄を決定する。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、特別図柄の停止図柄を決定するために参照する図柄範囲テーブルを保持する。第1特別図柄192または第2特別図柄193を決定するための図柄範囲テーブルには、「0」〜「9」の数字および「−」の記号で表される特別図柄と第1図柄抽選値または第2図柄抽選値との対応関係が定められている。特別図柄の種類はそれぞれ大当りまたは外れの当否判定結果と対応付けられており、「0」〜「9」の数字が大当りに対応し、「−」の記号が外れに対応する。第1当否判定手段113および第2当否判定手段117は、それぞれ図柄範囲テーブルを複数保持する。
第1パターン決定手段114は、特別図柄表示装置70および演出図柄表示装置60に表示させる図柄変動の表示過程が定められた変動パターンを、別途取得する第1パターン抽選値に基づいて複数の変動パターンの中から決定する。第2パターン決定手段119は、特別図柄表示装置70および演出図柄表示装置60に表示させる図柄変動の表示過程が定められた変動パターンを、別途取得する第2パターン抽選値に基づいて複数の変動パターンの中から決定する。第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、それぞれ図柄変動を開始する際に変動パターンテーブルを参照してその図柄変動の変動パターンを決定する。第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、変動パターンを決定するために参照する変動パターンテーブルをそれぞれ複数保持する。変動パターンには、特別図柄を変動表示させるときの変動開始から停止までの変動態様が定められており、その種類によって長短様々な変動時間をもつ。すなわち、各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄の変動が停止される。
普図抽選手段136は、「普図決定手段」として機能し、作動口68を遊技球が通過したときに抽選値(「普図抽選値」ともいう)を取得することにより抽選を実行する。例えば、普図抽選値は「0」から「511」までの値範囲から取得される。普図抽選手段136が参照する当否テーブルには、当りまたは外れの判定結果と普図抽選値とが対応付けられており、対応付けられた当りの範囲設定に応じて当否確率が定まる。本実施例では、遊技状態にかかわらず約99%と極めて高い確率で当りとなるように設定され、作動口68を遊技球が通過すると、ほぼ確実に第2始動入賞口63が拡開されるようになる。なお、変形例においてはそれ以外の確率を設定することもできる。例えば、時短中のほうが通常状態よりも高確率で当りとなるように設定することもできる。普図抽選手段136による抽選の結果は、普通図柄表示装置59において普通図柄195の形で変動表示される。普図抽選手段136は、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄195の停止図柄を決定するために参照すべき図柄範囲テーブルを保持する。その図柄範囲テーブルには普図抽選値と普通図柄195の対応関係が定められており、普図抽選手段136は、普通図柄195の停止図柄を図柄範囲テーブルを参照して決定する。
普図抽選手段136は、また、普通図柄195の変動時間を決定するために参照すべき時間決定テーブルを保持し、遊技状態に応じて普通図柄195の変動時間を選択する。普図抽選手段136は、通常状態における普通図柄195の変動表示において200秒から400秒の間で比較的長い変動時間をランダムに選択する。一方、特定遊技中(時短中)は1秒と通常状態よりも相当短い変動時間を選択する。時間決定テーブルには、このような遊技状態と普通図柄195の変動時間との対応関係が定められており、普図抽選手段136は、普通図柄195の変動時間を時間決定テーブルを参照して決定する。
普図抽選手段136は、普図決定手段として機能する。普通図柄195について決定された停止図柄が所定の図柄となった場合、普通図柄195が当りに該当したと判定され、その停止図柄にて普通図柄195の変動表示が停止された後に開閉制御手段124が第2始動入賞口63の普通電動役物65を所定時間拡開する。この場合、開閉制御手段124が作動制御手段として機能する。普通図柄の抽選値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、保留制御手段116により保留される所定の保留上限数を超えない場合にだけ抽選値が保留される。
保留制御手段116は、第1保留手段144、第2保留手段146、普図保留手段147を含む。第1保留手段144は、新たに第1の当否抽選が実行されるときにそれ以前の抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな第1の当否抽選の結果をその抽選に対応する図柄の変動表示開始まで保留する。本実施例では第1の当否抽選の結果として4個を上限として当否抽選値を保持するが、その当否抽選値の当否判定結果とともに保持してもよい。その保留数が第1特図保留ランプ20の点灯数または点滅数により表される。一方、上述のように第2の当否抽選については、第1の当否抽選のような当否抽選値の保留は行われない。第2保留手段146は、新たに第2の当否抽選が実行されるときに、その当否判定が行われるまで当否抽選値を一時的に保持する。そして、第2特別図柄が変動中に、第2始動入賞口63に入球しても保留は行われない。本実施例では第2の当否抽選の結果として1個の当否抽選値のみ保留可能となるが、この保留は入球から当該入球に対応する当否抽選の結果を示す第2特別図柄193が変動を開始するまでの保留となる。その当否抽選値の保持の有無が、第2特図保留ランプ21の点灯の有無により表される。普図保留手段147は、普図抽選手段136により取得された普図抽選値を保留球として保持する。その保留数が普図保留ランプ22の点灯数または点滅数により表される。
メイン表示制御手段118は、第1特図制御手段148、第2特図制御手段150、普図制御手段153を含む。第1特図制御手段148は、第1抽選手段126による第1の当否抽選の結果として決定された変動パターンにしたがい第1特別図柄192の変動を特別図柄表示装置70に表示させる。第1特図制御手段148は、それ以前になされた第1の当否抽選または第2の当否抽選に対応する図柄の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。第2特図制御手段150は、第2抽選手段128による第2の当否抽選の結果として決定された変動パターンにしたがい第2特別図柄193の変動を特別図柄表示装置70に表示させる。第2特図制御手段150もまた、それ以前になされた第1の当否抽選または第2の当否抽選に対応する図柄の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。
第1特図制御手段148または第2特図制御手段150は、第1特別図柄192と第2特別図柄193の一方の図柄を特別図柄表示装置70の表示領域に停止表示した後に次の特別図柄を表示させる。この場合、先に表示領域に表示された特別図柄を構成する描画要素の少なくとも一部を消して、そこに次の特別図柄を構成する描画要素の少なくとも一部を表示させる。図1に示す例の場合、特別図柄表示装置70の表示領域は7セグメントの描画要素を表示できる。したがって、先に表示された特別図柄の描画要素を消す場合、次の特別図柄を完全な形で表示するためには、描画要素を全て消して、その消した表示領域の全てを使って次に表示する特別図柄を表示することになる。後述するが、表示領域に表示可能な描画要素の数が特別図柄を完全に描画するために必要な描画要素の数以上含んでいる場合には、描画要素の一部を消すだけでも、次の特別図柄を完全に表示することができる。このように、先に表示されていた特別図柄の少なくとも一部が消され、その部分を用いて次に表示される特別図柄の少なくとも一部が表示される。その結果、次に表示される特別図柄によって先に表示されていた特別図柄の描画形状は不完全なもの、すなわち特別図柄の体をなさないものとなり特別図柄としての判別が難しくなる。つまり、変動停止した特別図柄が表示されたままになることが防止される。
なお、特別遊技が実行されている間は第2特別図柄193は表示されたままであるが、その特別図柄が時短付きか時短なしかは特別遊技の実行中には判別がつき難い。つまり、表示されている第2特別図柄193と小当りの内容との関連付けは難しい。また、特別遊技終了は、特別遊技中に保留された第1特別図柄192の変動表示が直ちに開始されるので、表示されていた第2特別図柄193は上書きされて判別できなくなる。また、特別遊技後に第2特別図柄193が変動する場合も同様に、小当りとなった第2特別図柄193は変動を開始した第2特別図柄193によって消されるので判別できなくなる。また、遊技者が遊技をやめて空き台とするときは、特別遊技終了後の第1特別図柄192の保留による変動または遊技を止める前に新たに第1始動入賞口62へ入球した遊技球に基づく第1特別図柄192の変動により、第2特別図柄193は消されて第1特別図柄192が表示される。したがって、時短なし小当りとなった第2特別図柄193が空き台になった遊技機に表示されたままになることを防止できる。その結果、特別図柄の停止図柄の種類、特に時短なし小当りに対応する第2特別図柄193の情報収集をされ難くできる。
第1特図制御手段148および第2特図制御手段150は、第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出表示制御手段134及び報知制御手段202へ送信する。これにより、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段134による変動表示が同期して連動が保たれると共に、特別図柄表示装置70において第1特別図柄192が変動中か第2特別図柄193が変動中かを示すことができる。普図制御手段153は、普図抽選手段136による抽選の結果を普通図柄195の変動表示として普通図柄表示装置59に表示させる。
特図調整手段152は、第1特別図柄192および第2特別図柄193のうち、一方を変動表示させる間は他方の変動表示の開始を待機させる。本実施例において、特図調整手段152は、第1特別図柄192よりも第2特別図柄193の変動表示を優先的に実行する。すなわち、第2保留手段146に当否抽選値が保留されている間は、第1保留手段144に当否抽選値が保留されていても、第2保留手段146に保留された当否抽選値の消化を優先させる。これにより、第2特別図柄193の変動終了ごとに第2始動入賞口63への入球を確保するかぎり、実質的に小当りを継続的に発生させることが可能になり、小当りから大当りへ発展する小当り発展大当りが発生する可能性が高くなる。
特図調整手段152は、第1特別図柄192および第2特別図柄193のうち、一方が当り態様で停止されたときは他方の変動表示の開始を待機させる。この場合、特別遊技を実行する間は特別図柄の変動表示は開始されないので、遊技者は特別遊技に集中することができる。
条件保持手段176は、特別遊技作動条件保持手段178、小当り遊技作動条件保持手段180を含む。特別遊技作動条件保持手段178は、第1大入賞口91の開放を伴う単位遊技を複数回含む特別遊技へ移行するための条件として特別遊技作動条件を保持する。特別遊技作動条件は、第1当否抽選または第2当否抽選で特別遊技へ移行する旨を示す結果となり、その抽選に対応する図柄変動が停止したこと、あるいは特定領域への入球があること、を条件の内容とする。小当り遊技作動条件保持手段180は、第2大入賞口92の開放を伴う単位遊技である小当り遊技へ移行するための条件として小当り作動条件を保持する。小当り作動条件は、第1当否抽選または第2当否抽選で小当り遊技へ移行する旨を示す結果となり、その抽選に対応する図柄変動が停止したことを条件の内容とする。
特別遊技制御手段120は、第1抽選手段126による第1の当否抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第1特別図柄192が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、第1大入賞口91を開放させることにより特別遊技を実行する。同様に、特別遊技制御手段120は、第2抽選手段128による第2の当否抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、第2特別図柄193が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、第1大入賞口91を開放させることにより特別遊技を実行する。特別遊技は、第1大入賞口91の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした複数回の単位遊技で構成される。特別遊技では単位遊技を15回繰り返す。1回の単位遊技において第1大入賞口91を原則として約30秒間開放させる。特別遊技制御手段120は、単位遊技の設定ラウンド数を消化したときに特別遊技を終了させる。
小当り遊技制御手段121は、第1抽選手段126または第2抽選手段128により小当り遊技への移行を示す抽選結果となり、第1特別図柄192または第2特別図柄193が所定の小当り態様で停止されたときに小当り作動条件が成立したとして小当り遊技を実行する。小当り遊技は1回の単位遊技で構成される。ただし、1回の単位遊技の間に第2大入賞口92が1回開放される。第2大入賞口92の開放時間は、1回の開放につき所定時間(例えば1.8秒)未満である。本実施例では0.8秒に設定されている。特別遊技制御手段120は、小当り遊技において第2大入賞口92に入球した遊技球がさらにその内部に設けられた特定領域を通過した場合にも、特別遊技作動条件が成立したとして特別遊技を実行する。
特定遊技実行手段122は、時短の状態における通常遊技を制御する。特定遊技実行手段122は、第1特別図柄192の当りよる特別遊技が終了すると通常遊技の遊技状態を時短状態へ移行させる。また、第2特別図柄193の小当りのときに第2大入賞口92に入球して、当該第2大入賞口92の内部の特定領域を遊技球が通過した場合、実行中の特定遊技を一度終了させて遊技状態を特別遊技に移行させる。そして、特別遊技が終了して通常遊技に遊技状態が移行する場合、終了した特別遊技へ移行する契機となった小当りが「時短つき」の場合のみ通常遊技の遊技状態を時短状態へ移行させる。時短状態は、第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動表示回数の合計が特別遊技の終了時点から数えて所定の終了条件回数、例えば100回に達するまで継続される。また、第1特別図柄192および第2特別図柄193の変動表示時間が概ね短くなるよう、第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119が変動時間の短い変動パターンを選択する。
開閉制御手段124は、第2始動入賞口63の普通電動役物65や第1大入賞口91、第2大入賞口92の開閉を制御する。開閉制御手段124は、普通図柄195が特定の態様で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、第2始動入賞口63の普通電動役物65を開放させる。開閉制御手段124は、時短状態においては普通電動役物65を通常状態に比べて長い時間作動させ、第2始動入賞口63を通常状態に比べて長い時間拡開させる開放延長を実行する。第2始動入賞口63の入球容易性を高め、遊技者が持ち玉を減らさずに遊技を継続できるようにするものである。開閉制御手段124は、特別遊技においては大入賞口ソレノイド80に開放指示を送り、第1大入賞口91を開放させる。開閉制御手段124は、小当り遊技においては大入賞口ソレノイド81に開放指示を送り、第2大入賞口92を所定の短期間(本実施例では0.8秒)開放させる。
パターン記憶手段130は、装飾図柄の変動パターンとして複数の変動パターンデータを保持する。演出決定手段132は、第1抽選手段126または第2抽選手段128により決定された装飾図柄190の変動パターンをパターン記憶手段130から選択する。演出決定手段132は、装飾図柄190の停止図柄の組合せを第1抽選手段126または第2抽選手段128から受け取る特別図柄の停止図柄および変動パターンに基づいて決定する。
演出決定手段132は、第1抽選手段126から受け取る第1の当否抽選の結果または第2抽選手段128から受け取る第2の当否抽選の結果に応じて、演出表示制御手段134によって演出図柄表示装置60へ表示させる演出内容を決定する。
装飾図柄190の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成され、例えば第1抽選手段126または第2抽選手段128による当否判定結果が特別遊技への移行を示す場合は「777」や「111」のように3つの図柄が揃った組合せが選択される。この場合、装飾図柄190として揃える数字には、第1特別図柄192や第2特別図柄193と同じ数字が選ばれるのが好ましい。例えば、第1特別図柄192または第2特別図柄193が「3」の場合は装飾図柄190が「333」となる。第1抽選手段126または第2抽選手段128による当否判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合は、「312」や「946」のように3つの図柄が揃っていない組合せが選択される。当否判定結果が特別遊技へ移行しない旨を示す場合であって、リーチ付きの外れを示す特別図柄の変動パターンが選択された場合は、「191」や「727」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。また、当否判定結果が小当り遊技への移行を示す場合には、小当りを示す第1特別図柄192や第2特別図柄193の種類に応じて、「135」や「246」のように3つの図柄が連続する奇数または偶数となる組合せが選択される。演出決定手段132は、装飾図柄190の停止図柄組合せと装飾図柄の変動パターンデータを演出表示制御手段134へ送る。
装飾図柄の変動パターンには、装飾図柄の変動表示態様、すなわち装飾図柄の変動開始から変動停止までの演出過程が定義される。変動パターンには、通常の外れ図柄を表示するときのパターンと、あと一つ図柄が揃えば大当りとなるリーチ状態を経て外れ図柄を表示するときのパターンと、リーチ状態を経て大当り図柄を表示するときのパターンが含まれる。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれる。各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、特別図柄と変動時間が等しい装飾図柄の変動パターンを選択する。
演出表示制御手段134は、第1演出制御手段168および第2演出制御手段170を含む。第1演出制御手段168は、第1抽選手段126による第1の当否抽選の結果を、選択された変動パターンデータにしたがって装飾図柄190として演出図柄表示装置60の表示領域194に変動表示させる。第2演出制御手段170は、第2抽選手段128による第2の当否抽選の結果を、選択された変動パターンデータにしたがって装飾図柄190として演出図柄表示装置60の表示領域194に変動表示させる。第1演出制御手段168および第2演出制御手段170は、それ以前の第1の当否抽選または第2の当否抽選に対応する装飾図柄190の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。演出表示制御手段134は、遊技効果ランプ90の点灯および消灯や、スピーカ18からの音声出力などの演出処理をさらに制御する。
報知制御手段202は、特別図柄表示装置70に表示される特別図柄が第1特別図柄192であるか第2特別図柄193であるかを示す第1報知ランプ200または第2報知ランプ201の点灯を制御する。報知制御手段202は、第1特図制御手段148から第1特別図柄192が変動する旨の信号を受信すると第1報知ランプ200を点灯させ、第2特図制御手段150から第2特別図柄193が変動する旨の信号を受信すると第2報知ランプ201を点灯させる。なお、報知制御手段202は、第1報知ランプ200、第2報知ランプ201の制御に代えて、例えば演出図柄表示装置60に第1特別図柄192を表示中か第2特別図柄193を表示中かを示すメッセージを表示してもよい。また、遊技盤50上に形成された可動役物により第1特別図柄192を表示中か第2特別図柄193を表示中かを示唆してもよい。例えば、第1特別図柄192が変動中の場合は対応する第1可動役物を動作させ、第2特別図柄193が変動中の場合は対応する第2可動役物を動作させてもよい。また、報知制御手段202は、聴覚的な報知を行ってもよい。この場合、第1特別図柄192が変動中の場合はそれを示唆する第1効果音や第1メッセージをスピーカ18から出力し、第2特別図柄193が変動中の場合はそれを示唆する第2効果音や第2メッセージを出力してもよい。このように、報知制御手段202が報知を実行することにより、第1特別図柄192と第2特別図柄193を共通の表示領域を有する特別図柄表示装置70を用いて表示しても、いずれの特別図柄が変動しているか遊技者に理解させやすくできる。なお、上述した報知は、それぞれ独立して実施してもよいし、複数を組み合わせて実施してもよい。
図4は、第1当否抽選と第2当否抽選の大当りおよび小当りの当選確率を模式的に例示する図である。(a)は第1当否抽選における当選確率を示し、(b)は第2当否抽選における当選確率を示す。
図示のように、本実施例では、大当りの当選確率が第1当否抽選と第2当否抽選でともに1/300の確率である。一方、小当りの当選確率は、第1当否抽選では9/300と低確率であるのに対し、第2当否抽選では298/300と極めて高確率である。第1当否抽選では290/300の確率で外れになり、第2当否抽選では1/300の確率で外れになる。つまり、本実施例では、第2当否抽選において第1当否抽選よりも相当高い小当り移行確率にて小当り遊技への移行がなされるように設定されている。なお、本実施例の場合、第2当否抽選の小当りには、「時短つき小当り」と「時短なし小当り」が所定の割合で存在する。時短つき小当りの場合、第2大入賞口92の開放後特定領域を遊技球が通過して特別遊技が実行された場合、その特別遊技の終了後に時短が付与される。時短が付与されると普通電動役物65が入球容易状態になるので再び第2始動入賞口63を狙って第2大入賞口92を開放させて特別遊技に昇格させる遊技を遊技者は行うことになる。一方、時短なし小当りの場合、第2大入賞口92の開放後特定領域を遊技球が通過して特別遊技が実行された場合、その特別遊技の終了後に時短が付与されない。時短が付与されない場合、普通電動役物65は入球容易状態にならないので、第2始動入賞口63を狙っても入球し難いので、第1始動入賞口62を狙って第1特別図柄192で当り図柄を引き当てる遊技を遊技者は行うことになる。
ここで、もし「時短なし小当り」を示す第2特別図柄193を遊技者が複数の遊技台を見て回って収集して知っていた場合、「時短なし小当り」の場合は第2大入賞口92に入球させず、特別遊技を実行させないようにすることが可能になってしまう。その一方で、頻発する小当りの中から「時短つき小当り」を見極め、そのときに第2大入賞口92に入球させて特定領域を通過させて特別遊技に昇格させることが可能になってしまう。この場合、特別遊技終了後に時短が付与されるので、再び小当りを狙う遊技が可能になる。このような「時短つき小当り」を狙った遊技を繰り返し行うことで、第1特別図柄192で当り図柄を引き当てて特別遊技に移行させる場合に比べ、遙かに高い確率で特別遊技を獲得する遊技が繰り返し行えてしまう。つまり、遊技機の設計者が意図した遊び方とは異なる遊び方で遊技が行われて、設計段階で設定した出玉率と不整合が生じてしまう。
一方、本実例によれば、上述したように、第2特別図柄193を特別遊技の終了と共に第1特別図柄192の変動によって判別しにくい状態にしてしまうので、「時短なし小当り」を示す第2特別図柄193に関する情報収集は困難になる。つまり、上述したように、遊技機を見ていただけでは「時短なし小当り」を示す第2特別図柄193を知ることが困難になる。その結果、遊技機の設計者が意図した遊び方とは異なる遊び方で遊技されることを抑制できる。
図5は、普通図柄抽選において用いられる時間決定テーブルの構成例を表す模式図である。
本実施例では、図示の時間決定テーブルを用いることにより、遊技状態および普図抽選値(0〜511)に応じて複数の変動パターンのいずれかが選択される。図示のように、変動パターンとして、通常状態において選択される通常パターン、時短中に選択される時短中パターンが設けられている。
図示のように、通常状態においては、相当長い複数の変動時間のいずれか(本実施例では200秒、300秒、400秒のいずれか)がそれぞれ約1/3の確率で選択されるように設定されている。なお、変形例においては、例えば普通図柄195の複数種の停止図柄に対応させるように変動時間をそれぞれ設定しておき、決定された普通図柄195の停止図柄に応じてその変動時間を選択するようにしてもよい。一方、時短中においては抽選を伴うことなく、相当短い変動時間(本実施例では1秒)が選択されるように設定されている。このように通常状態においては普通図柄抽選の間隔がかなり長いため、第2始動入賞口63が拡開するまでに長時間を要する。その結果、小当りの発生、ひいては大当りへの昇格は容易ではない。一方、時短中においては普通図柄抽選の間隔が短いため、早期に小当りを発生させることができ、比較的に早期に大当りへ昇格させることが可能となる。
図6は、ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。
まず、遊技球が第1始動入賞口62、第2始動入賞口63、一般入賞口72、第1大入賞口91、第2大入賞口92などへ入賞した場合の処理を実行する(S10)。そして、通常遊技中であれば(S12のY)、当否抽選などの通常遊技の制御処理を実行し(S14)、通常遊技中でなければ(S12のN)、特別遊技の制御処理(S16)や、小当り遊技の制御処理を実行し(S17)、S10からS17までの処理における各種入賞に応じた賞球払出を処理する(S18)。なお、S16の特別遊技とS17の小当り遊技は同時に実行されることはなく、一方が実行されるときは他方は作動回避される。
図7は、図6におけるS14の通常遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。 通常遊技の制御処理においては、特別図柄および装飾図柄の処理が実行されるとともに(S20)、普通図柄の処理が実行される(S22)。
図8は、図7におけるS20の特別図柄および装飾図柄の処理を詳細に示すフローチャートである。
この図柄変動処理は、第1特別図柄192、第2特別図柄193、装飾図柄190を変動表示させる処理を示す。まだ図柄変動表示が開始されていない場合(S30のN)、第1特別図柄192の変動表示タイミングであれば(S32のY)、第1当否判定手段113が第1保留手段144から抽選値を読み出して第1特別図柄192の当否を判定し(S34)、第1当否判定手段113が第1特別図柄192を決定し(S36)、第1パターン決定手段114が第1特別図柄192の変動パターンを決定し(S38)、特別図柄表示装置70において第1特別図柄192の図柄変動を開始すると共に演出図柄表示装置60において装飾図柄190の図柄変動を開始する(S40)。また、それに併せて報知制御手段202は第1報知ランプ200を点灯させて第1特別図柄192が変動中であることを示す。
一方、第2特別図柄193の変動表示タイミングであれば(S42のY)、第2当否判定手段117が第2保留手段146から抽選値を読み出して第2特別図柄193の当否を判定し(S44)、第2当否判定手段117が第2特別図柄193を決定し(S46)、第2パターン決定手段119が第2特別図柄193の変動パターンを決定し(S48)、特別図柄表示装置70において第2特別図柄193の図柄変動を開始すると共に演出図柄表示装置60において装飾図柄190の図柄変動を開始する(S40)。また、それに併せて報知制御手段202は第2報知ランプ201を点灯させて第2特別図柄193が変動中であることを示す。
なお、第1特別図柄192の変動表示タイミングであるか、第2特別図柄193の変動表示タイミングであるかは、第2保留手段146に抽選値が保留されているか否かに応じて決定される。本実施例では上述のように、第2保留手段146が保留する抽選値を第1保留手段144が保留する抽選値よりも優先的に消化し、第1特別図柄192よりも第2特別図柄193の変動表示を優先的に実行する。したがって、第2保留手段146が抽選値を保留していれば、次の変動表示タイミングには第2特別図柄193の変動表示が開始されることになる。第2保留手段146が抽選値を保留しておらず、第1保留手段144のみが抽選値を保留している場合、次の変動表示タイミングには第1特別図柄192の変動表示が開始されることになる。第1特別図柄192の変動表示タイミングでなく(S32のN)、第2特別図柄193の変動表示タイミングでもない場合(S42のN)、本図のフローを終了する。
既に図柄変動表示が開始されている場合(S30のY)、図柄変動表示を処理し(S50)、所定の変動時間が経過して図柄表示の停止タイミングに達したときは(S52のY)、表示中の図柄変動を停止する(S54)。このとき、特図抽選が大当りでなければ(S56のN)、特定遊技中(時短中)であれば(S62のY)、特定遊技開始からの特別図柄の変動回数N1をインクリメントする(S64)。このとき、変動回数N1が設定回数Nsetに達した場合には(S66のY)、特定遊技を終了し(S68)、その変動回数N1をゼロクリアする(S70)。なお、本実施例における変動回数N1は、第1特別図柄192の変動と第2特別図柄193の変動とを合わせた変動回数であり、いずれか一方の特別図柄の変動が終了するごとにRAM上の所定領域に更新される。また、設定回数Nsetは、特定遊技の継続期間を規定する特別図柄の変動回数(「継続回数」ともいう)であり、本実施例では100回に設定されている。変動回数N1が設定回数Nsetに達していなければ(S66のN)、S68およびS70の処理をスキップする。特定遊技中でなければ(S62のN)、S64からS70の処理をスキップする。
一方、大当りであった場合には(S56のY)、変動回数N1をゼロクリアし(S58)、特別遊技へ移行する(S60)。停止タイミングでなければ(S52のN)、S54以降の処理をスキップして本図のフローを終了する。
図9は、図7におけるS22の普通図柄の処理を詳細に示すフローチャートである。 普図保留手段147に普図抽選値の保留がなされている場合(S80のY)、普通図柄195が変動表示中でなければ(S82のN)、普図抽選手段136が普図保留手段147から抽選値を読み出して当否を判定し(S84)、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄195の停止図柄を決定し(S86)、その普通図柄195の変動時間を決定する(S88)。このとき、時短中である場合には、通常よりも短い変動時間が選択される。そして、普通図柄195の図柄変動を開始する(S90)。S80において普図抽選値が保留されていなかった場合は(S80のN)、S82からS90までの処理はスキップされ、S82において普通図柄195が変動表示中であった場合は(S82のY)、S84からS90までの処理はスキップされる。
続いて、普通図柄195の変動表示が開始済であれば(S92のY)、普通図柄195の変動表示を処理し(S94)、設定された変動時間が経過して普通図柄195の変動表示の停止タイミングに達したときは(S96のY)、変動表示中の普通図柄195は停止する(S98)。停止図柄が当り態様であれば(S100のY)、第2始動入賞口63を拡開させる開放時間を決定し(S102)、その開放時間にしたがって普通電動役物65を作動させて第2始動入賞口63を開放させる(S104)。一方、停止図柄が当り態様でなければ(S100のN)、S102およびS104の処理はスキップされる。変動時間経過前である場合(S96のN)、S98からS104の処理はスキップされる。S92において変動表示が開始されていないときは(S92のN)、S94からS104の処理はスキップされる。
図10は、図9におけるS88の変動時間決定処理を詳細に示すフローチャートである。
普図抽選手段136は、図5に示した時間決定テーブルを用いて普通図柄195の変動時間を決定する。すなわち、特定遊技中(時短中)であれば(S110のY)、変動時間を1秒とする短縮変動時間を設定する(S112)。特定遊技中でなければ(S110のN)、通常変動時間を設定する(S116)。すなわち、変動時間決定のための抽選結果に応じて200秒、300秒、400秒のいずれかの変動時間が設定される。
図11は、図9におけるS102の開放時間決定処理を詳細に示すフローチャートである。
普図抽選手段136は、特定遊技中(時短中)であれば(S120のY)、第2始動入賞口63の開放時間を6秒とする開放延長を設定する(S122)。特定遊技中でなければ(S120のN)、第2始動入賞口63の開放時間を1秒とする通常開放を設定する(S124)。開閉制御手段124は、このようにして決定された開放時間にしたがって普通電動役物65を拡開動作させ、第2始動入賞口63を開放する。
図12は、図6におけるS16の特別遊技を詳細に示すフローチャートである。まず、第1大入賞口91がまだ開放済でない場合(S130のN)、演出表示制御手段134が特別遊技の演出処理を開始し(S132)、開閉制御手段124が第1大入賞口91を開放する(S134)。第1大入賞口91が開放済であれば(S130のY)、S132およびS134をスキップする。第1大入賞口91が開放されてから、所定の開放時間が経過した場合(S136のY)、または、開放時間が経過していないものの(S136のN)、第1大入賞口91への入球数が9球以上に達した場合(S138のY)、開閉制御手段124が第1大入賞口91を閉鎖させる(S140)。開放時間が経過しておらず(S136のN)、第1大入賞口91への入球数も9球以上に達していない場合は(S138のN)、S140以降の処理をスキップしてS16のフローを終了する。
S140における第1大入賞口91の閉鎖後、単位遊技が最終ラウンドに達していた場合(S142のY)、演出表示制御手段134は特別遊技の演出処理を終了させる(S144)。特別遊技制御手段120は、特別遊技を終了させる(S146)。このとき、次の遊技状態として特定遊技に移行することが決まっている場合(S147のY)、例えば、第1特別図柄192が当りとなり特別遊技に移行した場合、または、第2特別図柄193が時短つき小当りとなり第2大入賞口92が開放され特定遊技に入球したことにより特別遊技に移行した場合、特定遊技(時短)の実行を開始して(S148)、本処理を一旦終了する。一方、第2特別図柄193が時短なし小当りとなり第2大入賞口92が開放され特定遊技に入球したことにより特別遊技に移行した場合、つまり特定遊技に移行しない場合(S147のN)、S148の処理をスキップして本処理を一旦終了する。なお、時短つき小当りとは、遊技球が特定領域を通過することによって特別遊技に移行して、その特別遊技が終了して通常遊技が開始される際に時短状態に移行する小当りである。また、時短なし小当りとは、遊技球が特定領域を通過することによって特別遊技に移行して、その特別遊技が終了して通常遊技が開始される際に時短状態に移行しない小当りである。S142において、単位遊技が最終ラウンドに達していなければ(S142のN)、ラウンド数Rに1を加算してS16のフローを終了する(S143)。
図13は、図6におけるS17の小当り遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。
第1当否抽選または第2当否抽選が小当りとなったときは(S160のY)、第2大入賞口92の開放を伴う単位遊技である小当り遊技が実行される。まず、第2大入賞口92がまだ開放済でない場合(S162のN)、開閉制御手段124が第2大入賞口92を開放する(S164)。第2大入賞口92が開放済であれば(S162のY)、S164の処理をスキップする。そして、第2大入賞口92が開放されてから、その開放時間が所定時間(例えば0.8秒)を経過した場合(S166のY)、開閉制御手段124が第2大入賞口92を閉鎖させる(S168)。このとき、特定領域への遊技球の通過があれば(S170のY)、特別遊技へ移行する(S172)。すなわち、小当り発展大当りとなる。特定領域への遊技球の通過がなければ(S170のN)、S172の処理をスキップする。S166において開放時間が所定時間に満たない場合には(S166のN)、S168からS172の処理をスキップして本処理を終了する。S160にて小当りが発生していない場合には(S160のN)、S162以降の処理をスキップして本処理を終了する。
図14は、第1特別図柄192及び第2特別図柄193を共通の表示領域を用いて表示する特別図柄表示装置の他の構成例を示す図である。特別図柄表示装置270の表示領域は、第1表示部分270aと、第2表示部分270bと、第3表示部分270cとで構成されている。特別図柄表示装置270は、第1表示部分270aと第3表示部分270cとを用いて第1特別図柄192を表示することができる。この場合、第1特別図柄192の内容は2桁の数字で表現することになる。また、特別図柄表示装置270は、第2表示部分270bと第3表示部分270cとを用いて第2特別図柄193を表示することができる。この場合、第2特別図柄193の内容は2桁の数字で表現することになる。第2表示部分270bと第3表示部分270cとを用いて第2特別図柄193が表示されていたて、その次に第1特別図柄192が表示される場合、第1特別図柄192を表示するために第2特別図柄193を構成していた第3表示部分270cが利用される。その結果、先に表示されていた第2特別図柄193は不完全な表示内容となり、その種類の判別がし難くなり、時短なし小当りを示す第2特別図柄193の情報収集をされ難くすることができる。
なお、図14の場合、特別図柄表示装置270の左側方には、第1特図保留ランプ20が配置され、右側方に第2特図保留ランプ21が配置されている。また、特別図柄表示装置270の下方には、第1報知ランプ200及び第2報知ランプ201が配置されている。上述したように、特別図柄表示装置270の場合、第1特別図柄192が表示領域の左側に偏った位置に配置された第1表示部分270aと中央に配置された第3表示部分270cを用いて表示される。また、第2特別図柄193が表示領域の右側に偏った位置に配置された第2表示部分270bと中央に配置された第3表示部分270cを用いて表示される。したがって、第1特別図柄192と第2特別図柄193の表示位置はずれる。そのため、特別図柄表示装置270の表示領域内での表示位置によって第1特別図柄192と第2特別図柄193のいずれが変動しているかを示唆することができる。その結果、特別図柄表示装置270の場合、第1報知ランプ200及び第2報知ランプ201を省略することができる。
特別図柄表示装置270において、第1特別図柄192から第2特別図柄193へ表示を変化させる場合またはその逆に変化させる場合、残った表示部分は表示したままでも消してもよい。すなわち第1特別図柄192を表示する場合は第2表示部分270bを表示したままでも消してもよい。また、第2特別図柄193を表示する場合は第1表示部分270aを表示したままでも消してもよい。図14の特別図柄表示装置270は、表示領域上に7セグメント表示を3つ並べた形態を例示しているが、この他、表示領域をドットマトリックス表示器で構成して、第1表示部分270a、第2表示部分270b、第3表示部分270cを形成してもよい。この場合、第2表示部分270bと第3表示部分270cを用いて表示されている第2特別図柄193における第3表示部分270cを、左側からシフトしてきた第1特別図柄192によって順次書き換えるような演出も容易となり演出効果を向上できる。
図15(a)、図15(b)は、図1に示す特別図柄表示装置70で表示態様を変化させることにより第1特別図柄192と第2特別図柄193のいずれが表示中であるかを示す例である。特別図柄表示装置70に第1特別図柄192を表示させる場合は、図15(a)に示すように第1の表示態様で表示させ、第2特別図柄193を表示させる場合は、図15(b)に示すように第1の表示態様と異なる第2の表示態様で表示させる。例えば、第1特別図柄192を表示する場合は第1の表示態様として、各描画要素を赤色で表示する。一方、第2特別図柄193を表示する場合は第2の表示態様として、各描画要素をオレンジ色で表示する。このように、第1特別図柄192と第2特別図柄193でその表示色を変化させることで、第1報知ランプ200や第2報知ランプ201を省略しても、いずれの特別図柄が変動中であるか遊技者に容易に理解させることができる。
なお、第1の表示態様と第2の表示態様は、例えば表示形状で差別化してもよい。例えば第1特別図柄192を表示する場合は数字表示として、第2特別図柄193を表示する場合はアルファベット表示としてもよい。この場合も第1報知ランプ200や第2報知ランプ201を省略可能であり、いずれの特別図柄が変動中であるか遊技者に容易に理解させることができる。
ところで、遊技機が空き台になった場合、または第1始動入賞口62や第2始動入賞口63になかなか入球ができない場合、特別図柄は変動しないので、特別図柄は表示されたままになる。そこで、第1特図制御手段148と第2特図制御手段150は、特別図柄表示装置70において第1特別図柄192または第2特別図柄193の停止表示が所定期間継続した場合、その表示を終了させてもよい。この場合の所定期間は、例えば標準的な変動時間の特別図柄が数変動、例えば5変動する変動時間と同程度とすることができる。この期間は、長すぎると特別図柄の情報収集を抑制するために表示を終了させることの意味がなくなる。一方、短すぎると遊技中に第1始動入賞口62や第2始動入賞口63になかなか入球しない場合に、頻繁に特別図柄表示装置70の表示が終了して遊技者に違和感を与えてしまう場合がある。したがって、所定期間の設定は適宜決定することが望ましい。表示を終了させる場合は、特別図柄表示装置70を非表示の状態にしてもよいし、図15(c)に示すように、通常表示している特別図柄とは異なる図柄、例えば、アルファベット等のいわゆる「ダミー図柄」を表示してもよい。この場合、特別遊技の終了後に1度も特別図柄が変動しない場合でも、特別図柄表示装置70に特別図柄が表示されたままになることが防止され、特別図柄の停止図柄の種類の情報収集をされ難くできる。
図15で説明した特別図柄表示装置70の表示態様は、特別図柄表示装置270に適用してもよい。特別図柄表示装置270の表示領域は特別図柄表示装置70の表示領域に比べて広いので、特にダミー図柄を表示する場合に様々なダミー図柄を表示できる点で好ましい。例えば、特別図柄表示装置270をドットマトリックス表示器や液晶表示器で構成する場合、ダミー図柄としてキャラクタ表示やメッセージ表示を用いた演出が容易にできる。
上述した実施例は、第2の遊技により小当りを狙って第2大入賞口92内部の特定領域に入球させて特別遊技を獲得する遊技性を有する遊技機に第1特別図柄192と第2特別図柄193を共通の特別図柄表示装置70や特別図柄表示装置270で表示する構成を適用する例を説明した。別の例では、第2の遊技においても第1の遊技と同様に当否抽選の結果に基づき特別遊技に移行させる遊技性の遊技機に本実施例の特別遊技の表示手法を適用してもよい。
例えば、第1の遊技で第1始動入賞口62の入球に基づく当否抽選の結果当りとなった場合に、その特別遊技の終了後に通常の状態より当りとなる確率が高い状態となる確率変動遊技(以下、確変という)が第1の遊技及び第2の遊技に付与されるとする。同時に、第2の遊技に時短が付与されるとする。そして、第2の遊技では、当りの種類として、特別遊技の単位遊技の継続回数が15回の「15ラウンド確変あり・時短あり」、「2ラウンド確変あり・時短なし」、「2ラウンド確変なし・時短なし」が設定されているとする。この場合、第2の遊技で「2ラウンド確変あり・時短なし」または「2ラウンド確変なし・時短なし」を引き当てた場合、2ラウンドの特別遊技終了後は時短が付与されていないので、第2始動入賞口63への入球は困難になる。つまり、第1始動入賞口62を狙う第1の遊技をすることになる。このような遊技性の遊技機において、演出上、「2ラウンド確変あり・時短なし」のときに、遊技者に確変であることを報知しない、いわゆる「潜伏確変」にする場合がある。
上述のように、第2の遊技で「2ラウンド確変あり・時短なし」または「2ラウンド確変なし・時短なし」を引き当てた場合は、2ラウンドの特別遊技終了後は第2始動入賞口63を狙う遊技から第1始動入賞口62を狙って第1特別図柄192を変動させる遊技に遊技の仕方を切り替えることになる。その結果、第1特別図柄192と第2特別図柄193を個別に表示していた場合、第2特別図柄193が表示されたままになることがある。特に「2ラウンド確変なし・時短なし」の第2特別図柄193が表示されたままになることが多い。この場合、「2ラウンド確変なし・時短なし」の第2特別図柄193の種類の情報収集が容易になってしまう。
ところで、上述のような第2特別図柄193の種類の情報収集が行われてしまうと、2ラウンドの特別遊技終了後に「確変あり・時短なし」なのか「確変なし・時短なし」なのかの見分けが容易にできてしまう。その結果、設計者が意図的に遊技状態や演出を「潜伏確変」の状態にしているにも拘わらず、その効果を十分に活かせなくなる。
一方、このような遊技機において、図1等で説明したような第1特別図柄192と第2特別図柄193の表示を共通の表示領域を用いて実行する構成を適用することで、第2特別図柄193が表示されたままになることが防止できる。その結果、上述のような第2特別図柄193の情報収集がされ難くできできて、遊技状態が見分けられてしまう可能性を低減できる。その結果、遊技者が意図的に行っている遊技状態の設定効果や演出効果が低減することを抑制できる。
なお、上述した実施例では、第1特別図柄192および第2特別図柄193を数字やアルファベットで表す例を説明したが、例えば幾何学模様や、キャラクタ、単純形状の集合体等表してもよく、同様の効果が得られる。
以上、本発明を実施例をもとに説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。