JP5630273B2 - 容量性負荷駆動回路および液体噴射装置 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電素子などの容量性負荷に駆動信号を用いて駆動する技術に関する。
インクジェットプリンターに搭載されている噴射ヘッドのように、圧電素子などの容量
性負荷によって構成されて、駆動信号が印加されることによって動作するアクチュエータ
ーは数多く存在する。この駆動信号を、アナログ増幅回路を用いて生成しようとすると、
アナログ増幅回路内を大きな電流が流れるために大きな電力が消費される。その結果、電
力効率が低下するだけでなく、回路基板が大きくなり、更には、消費された電力が熱に変
わるので大きな放熱板が必要になって、ますます基板が大型化する。
そこで、アナログの駆動信号を直接増幅するのではなく、駆動信号の基準となる駆動波
形信号をパルス変調して変調信号に一旦変換し、得られた変調信号を増幅した後に平滑フ
ィルターを通すことによって、増幅された駆動信号を得るようにした技術が提案されてい
る(特許文献1)。変調信号の増幅は、スイッチのON/OFFを切り換えるだけで実現
することが可能である。更に、平滑フィルターは、コイルとコンデンサーとを組み合わせ
たLC回路を用いて実現できるので、原理的には電力を消費することがない。このため提
案の技術によれば、大きな電力を消費することなく駆動信号を生成することが可能であり
、回路基板を小型化することが可能である。
この提案の技術は、LC回路で平滑フィルターを構成しているため、LC回路の共振周
波数でゲインにピークが現れる。通常は、電気負荷が有する抵抗値によって、あるいは別
途にダンピング抵抗を挿入することによって出力ピークを抑制するが、この方法では抵抗
によって電力消費が発生する。そこで、出力段からのフィードバックを行って、出力ピー
クを抑制することが提案されている(特許文献2)。また、平滑フィルターを通った信号
は位相が最大で180度まで遅れるので、出力段の信号でそのままフィードバックをかけ
ると出力が発振する恐れがある。そこで、出力段の信号に位相進み補償をかけてからフィ
ードバックすることが行われる。
また、出力段からの信号をフィードバックする際に、平滑フィルターから容量性負荷ま
での配線が有する抵抗によって駆動信号の波形がなまる(波形の電圧変化がなだらかにな
る)ことを抑制するために、配線抵抗を考慮してフィードバックをかける技術(特許文献
3)や、消費電力を抑制する目的で、パルス変調する際のキャリア周波数を駆動信号の波
形に応じて切り換える技術(特許文献4)なども提案されている。
特開2007−168172号公報 特開2009−153272号公報 特開2005−329710号公報 特開2007−190708号公報
しかし、上述した特許文献1〜特許文献4を始めとする従来の技術では、平滑フィルタ
ーで除去している筈のキャリア周波数のリップル(キャリアリップル)が駆動信号に重畳
する場合があるという問題があった。そのため、容量性負荷であるアクチュエーターを適
切に駆動できなくなるという問題があった。
この発明は、従来の技術が有する上述した課題の少なくとも一部を解決するためになさ
れたものであり、平滑フィルター後の駆動信号にキャリア周波数のリップルが重畳するこ
とを回避可能な技術を提供することを目的とする。
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の容量性負荷駆動回路は次の
構成を採用した。すなわち、
容量成分を有する容量性負荷に対して駆動信号を印加することによって、該容量性負荷
を駆動する容量性負荷駆動回路であって、
前記駆動信号の基準となる駆動波形信号を発生する駆動波形信号発生回路と、
前記容量性負荷に印加された駆動信号を用いて生成された帰還信号を、前記駆動波形信
号から減算することによって誤差信号を出力する演算回路と、
前記誤差信号をパルス変調して変調信号を生成する変調回路と、
前記変調信号を電力増幅してパルス波状の電力増幅変調信号を生成するデジタル電力増
幅器と、
前記パルス波状の電力増幅変調信号を平滑化することによって前記駆動信号を生成する
平滑フィルターと、
前記駆動信号に位相進み補償を行い、該位相進み補償後の信号を前記帰還信号として前
記演算回路に出力する位相進み補償回路と、
前記平滑フィルターと前記容量性負荷とを接続し、取り替え可能に設けられた配線と、
前記駆動信号に基づいて、該容量性負荷に印加される前記駆動信号のキャリアリップル
の振幅に関する振幅情報を取得する振幅情報取得手段と、
前記変調回路が前記誤差信号をパルス変調する際のキャリア周波数を、前記振幅情報に
基づいて、前記駆動信号のキャリアリップルの振幅が所定値以下となるように設定するキ
ャリア周波数設定手段と
を備えることを要旨とする。
こうした本発明の容量性負荷駆動回路においては、容量性負荷に印加すべき駆動信号の
基準となる駆動波形信号を、パルス変調することによって変調信号を生成し、得られた変
調信号を電力増幅した後に平滑化することによって駆動信号を生成する。こうして容量性
負荷に印加された駆動信号に対して位相進み補償を行って帰還信号を生成し、駆動波形信
号に負帰還させる。平滑フィルターと容量性負荷とは配線によって接続されており、平滑
フィルターから出力された駆動信号は、配線を経由して容量性負荷に印加される。また、
配線は取り替え可能となっている。更に、容量性負荷に印加される駆動信号のキャリアリ
ップルの振幅に関する情報(振幅情報)が、配線と容量性負荷との間の駆動信号から取得
される。そして、この振幅情報に基づいて、キャリアリップルの振幅が所定値以下となる
ようにキャリア周波数が設定され、そのキャリア周波数でパルス変調が行われる。
こうすれば、駆動信号の基準となる駆動波形信号に対して、容量性負荷に印加された駆
動信号を負帰還させるので、平滑フィルターの共振の影響で駆動信号が歪んでしまうこと
を抑制することができる。また、駆動信号を負帰還させるに際しては、位相を進ませる補
償(位相進み補償)を行ってから負帰還させているので、平滑フィルターによって位相が
遅れた駆動信号を負帰還させることが原因で駆動信号の出力が不安定になってしまうこと
もない。更に、詳細には後述するが、容量性負荷に駆動信号を印加するための配線を付け
替えると、駆動信号にキャリアリップルが重畳する場合があるが、本願発明の容量性負荷
駆動回路では、配線と容量性負荷との間からキャリアリップルの振幅に関する情報(振幅
情報)が取得されて、キャリアリップルの振幅が所定値以下となるような周波数にキャリ
ア周波数が設定される。このため、駆動信号を容量性負荷に印加するための配線を取り替
えても、容量性負荷に印加される駆動信号にキャリアリップルが重畳してしまうことも無
い。
上述した本発明の容量性負荷駆動回路においては、次のようにしても良い。先ず、キャ
リア周波数は、所定の最低周波数から所定の最高周波数までの周波数範囲を取り得るもの
とする。キャリア周波数を設定するに際しては、最低周波数から最高周波数までの周波数
範囲内のキャリア周波数で、キャリアリップルの振幅を取得する。そして、キャリアリッ
プルの振幅が所定値以下となるようなキャリア周波数を設定するようにしてもよい。
こうすれば、配線が取り替えられた場合でも、容量性負荷に印加される駆動信号にキャ
リアリップルが重畳してしまうことを回避することが可能となる。尚、最低周波数から最
高周波数までの周波数範囲内では、キャリアリップルの振幅が所定値以下となるキャリア
周波数が存在しなかった場合には、振幅の最も小さいキャリア周波数を設定するようにし
ても良い。
また、上述した本発明の容量性負荷駆動回路においては、振幅情報取得手段でキャリア
リップルの振幅を取得している間は、変調信号のデューティー比が50パーセントとなる
ような駆動波形信号を発生するようにしてもよい。
平滑フィルター後の信号に重畳するキャリアリップルの振幅は、フィルターを通す前の
信号のデューティー比が50パーセントの場合に最も大きくなる。従って、変調信号のデ
ューティー比が50パーセントとなるような駆動波形信号を発生すれば、キャリアリップ
ルの振幅を感度良く取得することが可能となる。
また、上述した本発明の容量性負荷駆動回路と、液体を供給する供給ポンプと、
前記供給ポンプから供給された液体が流入する液体室と、前記容量性負荷であるアクチ
ュエーターと、前記液体室に流入された液体を噴射する噴射ノズルとを有する噴射ユニッ
トと、
を備え、
前記駆動信号が前記アクチュエーターに印加されることによって、前記液体室に流入さ
れた液体が前記噴射ノズルからパルス状に噴射される、
液体噴射装置においても、適用できる。
本発明の容量性負荷駆動回路を液体噴射装置に備えることで、駆動信号を容量性負荷に
印加するための配線を取り替えても、容量性負荷に印加される駆動信号にキャリアリップ
ルが重畳してしまうことも無いため、ケーブルの長さが異なる液体噴射装置に切換えると
きにおいても、アクチュエーターを意図した駆動信号で駆動することができる。
本実施例の容量性負荷駆動回路を搭載した液体噴射装置の構成を示した説明図である。 本実施例の容量性負荷駆動回路の回路構成を示した説明図である。 配線ケーブルが有する誘導成分(および抵抗成分)の影響でキャリアリップルが発生するメカニズムを示した説明図である。 本実施例の容量性負荷駆動回路の一部を詳細に示した回路図である。 容量性負荷駆動回路に搭載された振幅情報取得回路の詳細な構成を示した説明図である。 振幅情報取得回路で行われるキャリア周波数設定処理のフローチャートである。 変形例の容量性負荷駆動回路の一部を詳細に示した回路図である。 変形例の振幅情報取得回路の詳細な構成を示した説明図である。 変形例のキャリア周波数設定処理の一部を示したフローチャートである。 変形例のキャリア周波数設定処理の残りの部分を示したフローチャートである。 変形例の振幅情報取得回路の他の態様を示した説明図である。
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施
例を説明する。
A.装置構成:
B.容量性負荷駆動回路の回路構成:
C.キャリアリップルが発生するメカニズム:
D.本実施例の容量性負荷駆動回路:
E.変形例:
A.装置構成 :
図1は、本実施例の容量性負荷駆動回路200を搭載した液体噴射装置100の構成を
示した説明図である。図示されているように液体噴射装置100は、大きく分けると、液
体を噴射する噴射ユニット110と、噴射ユニット110から噴射される液体を噴射ユニ
ット110に向けて供給する供給ポンプ120と、噴射ユニット110および供給ポンプ
120の動作を制御する制御ユニット130などから構成されている。液体噴射装置10
0は、パルス状の液体を噴射ユニット110から噴射することによって、生体組織を切除
または切開することに使用する手術具としてのウォータージェットメスの一例である。
噴射ユニット110は、金属製のフロントブロック113に、同じく金属製のリアブロ
ック114を重ねてネジ止めした構造となっており、フロントブロック113の前面には
円管形状の液体通路管112が立設され、液体通路管112の先端には噴射ノズル111
が挿着されている。フロントブロック113とリアブロック114との合わせ面には、薄
い円板形状の液体室115が形成されており、液体室115は、液体通路管112を介し
て噴射ノズル111に接続されている。また、リアブロック114の内部には、積層型の
圧電素子によって構成されたアクチュエーター116が設けられている。噴射ユニット1
10と制御ユニット130とは配線ケーブル150によって接続されており、制御ユニッ
ト130内の容量性負荷駆動回路200からは、配線ケーブル150を介して駆動信号が
アクチュエーター116に供給される。また、配線ケーブル150の一端側はコネクター
152によって噴射ユニット110に取り付けられ、配線ケーブル150の他端側はコネ
クター154によって制御ユニット130に取り付けられている。このため、配線ケーブ
ル150は、長さや特性の異なる種々の配線ケーブル150に取り替えることが可能とな
っている。尚、この配線ケーブル150が、本発明における「配線」に対応し、アクチュ
エーター116が、本発明における「容量性負荷」に対応する。
供給ポンプ120は、噴射しようとする液体(水、生理食塩水、薬液など)が貯められ
た液体タンク123から、チューブ121を介して液体を吸い上げた後、チューブ122
を介して噴射ユニット110の液体室115内に供給する。このため、液体室115は液
体で満たされた状態となっている。
そして、制御ユニット130から駆動信号をアクチュエーター116に印加すると、ア
クチュエーター116が伸張して液体室115が押し縮められ、その結果、液体室115
内に充満していた液体が、噴射ノズル111からパルス状に噴射される。アクチュエータ
ー116の伸張量は、駆動信号として印加される電圧に依存する。従って、所望の特性の
パルス状の液体を噴射するためには、精度の良い駆動信号をアクチュエーター116に印
加する必要がある。そこで、このような駆動信号を生成するために、制御ユニット130
内には、以下に説明するような容量性負荷駆動回路200が搭載されている。
B.容量性負荷駆動回路の回路構成 :
図2は、制御ユニット130に搭載された容量性負荷駆動回路200の回路構成を示し
た説明図である。図示されているように容量性負荷駆動回路200は、駆動信号の基準と
なる駆動波形信号(以下、WCOM)を出力する駆動波形信号発生回路210と、駆動波
形信号発生回路210から受け取ったWCOMと後述する帰還信号(以下、dCOM)と
に基づいて誤差信号(以下、dWCOM)を出力する演算回路220と、演算回路220
からのdWCOMをパルス変調して変調信号(以下、MCOM)に変換する変調回路23
0と、変調回路230からのMCOMをデジタル的に電力増幅して電力増幅変調信号(以
下、ACOM)を生成するデジタル電力増幅器240と、デジタル電力増幅器240から
ACOMを受け取って変調成分を取り除いた後、駆動信号(以下、COM)として噴射ユ
ニット110のアクチュエーター116に供給する平滑フィルター250と、平滑フィル
ター250から出力されたCOMに対して位相を進ませる補償(位相進み補償)を加えて
、dCOM(帰還信号)を生成する位相進み補償回路260とを備えている。
このうち、駆動波形信号発生回路210は、WCOMのデータを記憶した波形メモリー
や、D/A変換器を備えており、波形メモリーから読み出したデータをD/A変換器でア
ナログ信号に変換することによって、WCOM(駆動波形信号)を生成する。演算回路2
20では、こうして出力されたWCOMからdCOMを減算した信号を、dWCOM(誤
差信号)として出力する。また逆に、駆動波形信号発生回路210は、WCOMのデータ
を記憶した波形メモリーからデジタルデータとしてWCOM(駆動波形信号)を読出し、
A/D変換器でdCOMをデジタルデータとした後、信号処理回路を用いて演算回路22
0でWCOMからdCOMをデジタル演算により減算し、dWCOM(誤差信号)をデジ
タルデータとして生成する構成としてもよい。その場合、変調回路230は前記信号処理
回路を用いてデジタル回路で構成し、dWCOMをデジタルデータのまま取り扱うように
する。
変調回路230では、dWCOMを一定周期の三角波と比較することによって、パルス
波状のMCOM(変調信号)を生成(パルス変調)する。ここで、パルス変調に用いる三
角波の基底周波数(キャリア周波数)は、キャリア周波数設定手段280からの制御によ
って設定可能となっている。そして、キャリア周波数設定手段280は、振幅情報取得手
段270によって取得した振幅情報(噴射ユニット110に供給される駆動信号に重畳す
るキャリアリップルの振幅に関する情報)に基づいてキャリア周波数を設定する。詳細に
は後述するが、こうして振幅情報に基づいて、パルス変調する際のキャリア周波数を設定
することによって、COMにキャリアリップルが重畳することを回避することが可能とな
る。ここでキャリアリップルとは、アクチュエーター116に印加されるRCOMに含ま
れる、パルス変調に用いるキャリア信号(三角波信号)の信号成分を意味する。
変調回路230によって得られたMCOMは、デジタル電力増幅器240に入力される
。デジタル電力増幅器240は、プッシュ・プル接続された2つのスイッチ素子(MOS
FETなど)と、電源と、これらスイッチ素子を駆動するゲートドライバーとを備えてい
る。MCOMがHigh状態の場合は、ハイサイド側のスイッチ素子がON状態になり、
ローサイド側のスイッチ素子がOFF状態になって、電源の電圧VddがACOMとして
出力される。また、MCOMがLow状態の場合は、ハイサイド側のスイッチ素子がOF
F状態になり、ローサイド側のスイッチ素子がON状態になってグランドの電圧がACO
Mとして出力される。その結果、変調回路230の動作電圧とグランドとの間でパルス波
状に変化するMCOMが、電源の電圧Vddとグランドとの間でパルス波状に変化するA
COMに電力増幅される。この増幅では、プッシュ・プル接続された2つのスイッチ素子
のON/OFFを切り換えているだけなので、アナログ波形を増幅する場合に比べて電力
損失を大幅に抑制することが可能である。その結果、電力効率を向上させることが可能と
なるだけでなく、放熱のために大きなヒートシンクを設ける必要もなくなるので、回路を
小型化することも可能となる。
こうして電力増幅されたACOM(電力増幅変調信号)は、LC回路によって構成され
る平滑フィルター250を通すことによってCOM(駆動信号)に変換され、配線ケーブ
ル150を介してアクチュエーター116に印加される。また、COMは演算回路220
に負帰還されるが、平滑フィルター250を通過することによって、COMはWCOMに
対して位相が遅れている。そこで、COMを単純に負帰還させるのではなく、コンデンサ
ーと抵抗とによって構成された位相進み補償回路260を通して位相を進ませる補償(位
相進み補償)を行い、得られた信号をdCOMとして演算回路220に負帰還させるよう
になっている。尚、前述したようにCOMを位相進み補償回路260を通して演算回路2
20に負帰還に負帰還させる目的は、LC回路で構成した平滑フィルターの出力ピークを
抑制することである。従って、回路の抵抗成分、あるいは別途に挿入したダンピング抵抗
によって出力ピークが抑えられている場合には、COMを負帰還させる必要はない。この
場合は、演算回路220および位相進み補償回路260は不要となる。振幅情報取得手段
270の詳細な構成については後述する。
ここで、図2に示されるように、配線ケーブル150も誘導成分および抵抗成分を有し
ている。従って、この影響で、平滑フィルター250から出力されたCOMと、実際にア
クチュエーター116に印加される信号(以下、RCOM)との間には、何某かのズレが
生じているものと思われる。実際に検討してみると、配線ケーブル150の誘導成分(お
よび抵抗成分)の影響で、実際にアクチュエーター116に印加されるRCOMにキャリ
アリップルが重畳し得ることが見いだされた。ここでキャリアリップルとは、アクチュエ
ーター116に印加されるRCOMに含まれる、パルス変調に用いるキャリア信号(三角
波信号)の信号成分を意味する。以下、この点について詳しく説明する。
C.キャリアリップルが発生するメカニズム :
図3は、配線ケーブル150が有する誘導成分(および抵抗成分)の影響でキャリアリ
ップルが発生するメカニズムを示した説明図である。図3(a)には、ACOMからRC
OMまでの回路構成が示されている。平滑フィルター250のコイルのインダクタンスを
Llpf とし、平滑フィルター250の容量成分のキャパシタンスをClpf とする。同様に
、片側の配線が有する抵抗値およびインダクタンスを、Rc 、Lc とする。更に、容量性
負荷のキャパシタンスをCloadとする。
また便宜上、平滑フィルター250のコイルの伝達関数をZ1 とおき、配線ケーブル1
50の往き側(平滑フィルター250からアクチュエーター116へ送る側)の伝達関数
をZa とおき、アクチュエーター116に配線ケーブル150の戻り側(アクチュエータ
ー116から容量性負荷駆動回路200のグランドへ戻す側)を加えた部分の伝達関数を
Zb とおくと、Z1 、Za 、Zb はそれぞれ以下の式で与えられる。
Z1 =s・Llpf
Za =Rc +s・Lc
Zb =1/(s・Cload)+(Rc +s・Lc )
また、図3(a)に示した回路構成の中で、平滑フィルター250のコイルに直列に接
続された伝達要素(配線ケーブル150の往復部分とアクチュエーター116と平滑フィ
ルター250の容量成分)の伝達関数Z2 は、次式で与えられる。
Z2 ={1/(s・Clpf )}//{2(Rc +s・Lc )+1/(s・Cload)}
但し、sはラプラス演算子で、虚数単位jに角周波数ωをかけたものである。また//は、
並列接続の合成インピーダンスを表す並列合成記号である。
すると、ACOMとRCOMとの間の伝達関数Hは、図3(b)の式で与えられる。
図3(c)には、伝達関数Hのゲイン-周波数特性の一例が示されている。尚、図3(
c)では、配線ケーブル150の単位長あたりの抵抗(=2×Rc )を、数百ミリΩ程度
とし、単位長あたりのインダクタンス(=2×Lc )を数μH程度と想定して、種々の配
線長で得られるゲイン−周波数特性を例示している。
図3(c)中に示した破線は、配線ケーブル150の長さが2[m(メートル)]の場
合のゲイン−周波数特性であり、一点鎖線は長さが1[m]の場合のゲイン−周波数特性
であり、二点鎖線は0.5[m]の場合のゲイン−周波数特性である。また、実線は、配
線ケーブル150なしの場合のゲイン−周波数特性を表している。図示されるように、配
線ケーブル150を介してアクチュエーター116(容量性負荷)を接続すると、平滑フ
ィルター250の共振周波数f0 よりも高周波数側に、配線ケーブル150のインダクタ
ンスと容量性負荷とによる共振が発生する。また、配線ケーブル150の長さを変更する
と配線ケーブル150のインダクタンス値が変化するので、共振周波数fc が変化する。
従って、接続する配線ケーブル150の長さによっては、パルス変調時のキャリア周波数
に共振ピークが接近(あるいは一致)して、アクチュエーター116に印加する駆動信号
に非常に大きなキャリアリップルが残ってしまう場合が起こり得る。
たとえば、デジタル電力増幅器240の電源電圧を100Vとし、平滑フィルター25
0とアクチュエーター116とを繋ぐ配線ケーブル150は、0.5[m]〜2[m]ま
での間で種々の長さのものが接続されるものとする。仮に、配線ケーブル150のインダ
クタンスが0であったとすると(ケーブル長が0[m]の場合に相当)、図3(c)に示
した実線のゲイン−周波数特性に示されるように、キャリア周波数fc におけるゲインは
−40dbであり、駆動信号に残るキャリアリップルは1Vppとなる。しかし、配線ケー
ブル150のケーブル長が0.5[m]の場合には、キャリア周波数fc におけるゲイン
は−40dbとなり、ケーブル長が1[m]の場合は−20dbとなり、ケーブル長が2
[m]の場合は−45dbとなる。駆動信号に残るキャリアリップルは、それぞれ1Vpp
、10Vpp、0.56Vppとなる。デジタル電力増幅器240によって増幅されたACO
Mを、平滑フィルター250を通して平滑化しているにも拘わらず、駆動信号にキャリア
リップルが重畳することがあるのは、以上のようなメカニズムによるものと考えられる。
キャリアリップルが重畳していたのではアクチュエーター116を適切に駆動すること
ができない。しかし、配線中にダンピング抵抗を挿入したのでは、抵抗で電力を消費して
しまうので電力効率が低下する。また、キャリアリップルの周波数成分が更に抑制される
ように平滑フィルター250の特性を変更すると、平滑フィルター250の共振周波数f
0 が低くなるので信号周波数の帯域が確保できなくなる。逆に、パルス変調時のキャリア
周波数を高くすればキャリアリップルを抑制することができるが、パルス変調時あるいは
変調信号の増幅時のスイッチング損失の増加を招くことになる。そこで、こうした問題を
伴うことなく、キャリアリップルの無い駆動信号をアクチュエーター116に印加するた
めに、以下のような方法を採用する。
D.本実施例の容量性負荷駆動回路 :
図4は、本実施例の容量性負荷駆動回路200の一部を詳細に示した回路図である。本
実施例では、平滑フィルター250とアクチュエーター116とが3線式の配線ケーブル
150によって接続されている。このうち、図中に示した線1は、平滑フィルター250
とアクチュエーター116の上端とを接続しており、図中に示した線2は、平滑フィルタ
ー250のグランドとアクチュエーター116の下端とを接続する。また、線3は、アク
チュエーター116の上端と振幅情報取得手段270とを接続している。従って、アクチ
ュエーター116に印加される駆動信号は、配線ケーブル150の線3を経由して振幅情
報取得手段270に入力される。
振幅情報取得手段270には、A/D変換回路272と、後述する振幅情報取得回路2
74とが設けられている。配線ケーブル150の線3を経由して供給された駆動信号は、
A/D変換回路272の入力電圧範囲を超えないように、抵抗Ra と抵抗Rb とによって
抵抗分圧された後にA/D変換回路272に入力される。尚、配線ケーブル150を構成
する線1、線2、線3は、何れも同様な抵抗成分(Rc )およびインダクタンス(Lc )
を有している。アクチュエーター116に印加される駆動信号を取り出すための線3の配
線成分(抵抗成分およびインダクタンス)が、A/D変換回路272に入力される駆動信
号の波形に影響を与えないよう、分圧抵抗(抵抗Ra および抵抗Rb )の抵抗値は、線3
の抵抗成分(Rc )よりも十分に大きな値に設定されている。
そして、A/D変換回路272から出力されたデジタル信号(駆動信号情報)は、駆動
信号に重畳するキャリアリップルの振幅に関する情報(振幅情報)を取り出すために、振
幅情報取得回路274に入力される。
図5は、振幅情報取得回路274の詳細な構成を示した説明図である。図示されるよう
に振幅情報取得回路274には、A/D変換回路272から受け取った駆動信号情報に基
づいてキャリアリップルの振幅を算出するキャリアリップル振幅値算出回路274aと、
算出した振幅を記憶するメモリー274bと、メモリー274bに記憶された振幅が、所
定の許容値以内か否かを判別するキャリアリップル振幅値判別回路274cと、カウンタ
ー274dと、変調信号Duty設定回路274eが設けられている。
ところで、平滑フィルター250の共振周波数は必要な信号周波数帯域から決定されて
おり、それ以上には低くできない。すなわち高周波領域における減衰量をそれ以上大きく
は設計できないものとする。そのように決定された平滑フィルター250の特性において
、配線ケーブル150が接続されていない理想状態の場合に、アプリケーションのキャリ
アリップルの振幅の仕様値を最低限満足できる周波数を、最低周波数fcminと表記する。
またスイッチング損失を抑制する観点、すなわちスイッチ素子の発熱による破壊防止の観
点から、これ以上には高くできないキャリア周波数を、最高周波数fcmaxと表記する。カ
ウンター274dは、キャリア周波数を、最低周波数fcminから最高周波数fcmaxの間で
所定周波数dfずつ増加させる際のステップ数nを計数する。カウンター274dでの計
数値は、キャリア周波数設定手段280に入力され、キャリア周波数設定手段280は、
nステップ目のキャリア周波数fcn(=fcmin+df×n)の三角波を、変調回路230
の三角波発生回路に発生させる。また、変調信号Duty設定回路274eは、駆動波形
信号発生回路210に対して、一定のWCOMを出力させる。ここで、WCOMは、変調
回路230によって得られるMCOMのデューティー比が50パーセント(キャリアリッ
プルが最も大きくなるデューティー比)になるような一定のWCOMに設定されている。
尚、MCOMのデューティー比は50パーセントちょうどでなくてもよく、50パーセン
トからプラスマイナス数パーセントの誤差があってもよい。
キャリアリップル振幅値算出回路274aは、カウンター274dから計数値nを受け
取ると、nステップ目のキャリア周波数fcnの逆数に相当する時間(1/fcn)以上の期
間に亘ってA/D変換回路272からの駆動信号情報を取得して、その駆動信号情報の最
小値と最大値とに基づいて、キャリアリップルの振幅値を算出する。算出された振幅値は
、nステップ目の振幅値としてメモリー274bに記憶される。また、キャリアリップル
振幅値判別回路274cは、メモリー274bに記憶されたキャリアリップルの振幅値を
読み出して、キャリアリップルの振幅値が許容値以内か否かを判別する。このような構成
を有する振幅情報取得回路274は、以下のような処理を行うことにより、変調回路23
0がパルス変調する際のキャリア周波数を決定する。
図6は、振幅情報取得回路274で行われるキャリア周波数設定処理のフローチャート
である。この処理は、図1に示した液体噴射装置100の制御ユニット130および噴射
ユニット110に配線ケーブル150が接続されて、制御ユニット130が起動する際に
実行される処理である。その理由は、配線ケーブル150が取り替えられなければ、取得
される振幅情報が変わることはなく、新たにキャリア周波数を設定する必要はないためで
ある。
キャリア周波数設定処理を開始すると、先ず始めにカウンター274dの計数値nを「
0」に設定する(ステップS100)。そして、nステップ目のキャリア周波数fcnを、
最低周波数fcminに設定した後(ステップS102)、MCOMのDutyが50%とな
るようにWCOMの値を設定する(ステップS104)。そして、その状態(設定された
WCOMをキャリア周波数fcnでパルス変調して、得られたMCOMを平滑フィルター2
50を通してアクチュエーター116に印加した状態)で、A/D変換回路272から得
られた駆動信号情報を、1/fcn以上の時間に亘って取得する(ステップS106)。
こうして取得した駆動信号情報の最小値および最大値を検出することによって、駆動信
号に重畳したキャリアリップルの振幅を算出し(ステップS108)、得られた振幅を、
nステップ目のキャリア周波数fcnでのキャリアリップルの振幅値としてメモリー274
bに記憶する(ステップS110)。続いて、メモリー274bに記憶した振幅値が、所
定の許容値以内か否かを判断する(ステップS112)。説明の便宜上、ここでは、振幅
値が許容値以内に収まらなかったものとする(ステップS112:no)。このような場
合は、続いて、その時のキャリア周波数fcnが最高周波数fcmaxに達しているか否かを判
断する(ステップS116)。その結果、キャリア周波数fcnが未だ最高周波数fcmaxに
達していない場合は(ステップS116:no)、カウンター274dの計数値nを「1
」増加させる(ステップS120)。これに伴って、キャリア周波数fcnも、所定周波数
dfだけ増加させた周波数を新たなキャリア周波数fcnとして(ステップ122)、その
キャリア周波数fcnでの駆動信号情報を取得する(ステップS106)。
このような処理を繰り返しているうちに、キャリアリップルの振幅値が所定の許容値以
内に収まるか(ステップS112:yes)、キャリア周波数fcnが最高周波数fcmaxに
達するか(ステップS116:yes)の何れかの条件が成立する。キャリアリップルの
振幅値が所定の許容値以内になった場合は(ステップS112:yes)、その時のキャ
リア周波数fcnを、アクチュエーター116を駆動する際に用いるキャリア周波数として
設定する(ステップS114)。一方、キャリアリップルの振幅値が所定の許容値以内に
収まらずに(ステップS112:no)、キャリア周波数fcnが最高周波数fcmaxに達し
た場合は(ステップS116:yes)、メモリー274bに記憶されている振幅値の中
で最も小さな振幅値に対応するキャリア周波数fcnを、アクチュエーター116を駆動す
る際に用いるキャリア周波数として設定する(ステップS118)。こうして、キャリア
周波数を設定したら、図6に示すキャリア周波数設定処理を終了する。
図4あるいは図5に示した振幅情報取得回路274では、最低周波数fcminから最高周
波数fcmaxまでの間で、キャリア周波数fcnを変化させながらキャリアリップルの振幅に
関する情報を取得することにより、キャリアリップルの振幅の大きさが許容値以内に収ま
るキャリア周波数を選択する。そして、最終的に選択したキャリア周波数をキャリア周波
数設定手段280に設定する。こうすることにより、どのような配線ケーブル150が接
続された場合にも、アクチュエーター116に印加される駆動信号のキャリアリップルの
振幅を所定の値以下に抑制することが可能となる。
E.変形例 :
上述した実施例では、液体噴射装置100の制御ユニット130が起動する際に実行さ
れる際に、振幅情報を取得してキャリア周波数を設定するものとして説明した。これは、
配線ケーブル150が取り替えられなければ、取得される振幅情報が変わることはなく、
従って、制御ユニット130の起動時にキャリア周波数を設定すれば十分なためである。
しかし、液体噴射装置100の用途によっては、装置を起動した後にも振幅情報を取得し
てキャリア周波数を設定してもよい。たとえば、いわゆるインクジェットプリンターの噴
射ヘッドが液体噴射装置100に対応する場合には、液体(インク)の噴射中に噴射ヘッ
ドが頻繁に移動する。また、噴射ヘッド内の容量性負荷(ピエゾ素子)に対して駆動信号
を送る配線ケーブル150が、曲がり易く芯数の多いフラットケーブルが用いられ、ツイ
ストペア構成のケーブルではないため、配線ケーブル150の状態によっては共振周波数
が変化することも起こり得る。従って、このような場合には、リアルタイムで振幅情報を
取得して、キャリア周波数を変更するようにしても良い。以下では、このような変形例の
容量性負荷駆動回路200について説明する。
図7は、変形例の容量性負荷駆動回路200の一部を示した説明図である。図示される
ように変形例の容量性負荷駆動回路200では、振幅情報取得手段270にコンデンサー
Cおよび抵抗Rによるハイパスフィルターが設けられており、ハイパスフィルターを通過
した信号がA/D変換回路272に入力されるようになっている。また、このハイパスフ
ィルターの特性は、最低周波数fcminよりも低い周波数成分を抑制するように設定されて
いる。従ってA/D変換回路272には、RCOMの中の主にキャリアリップルに相当す
る成分が入力され、この成分がデジタルデータに変換された後、駆動信号情報として振幅
情報取得回路274に入力される。また、ハイパスフィルターを通過した信号がA/D変
換回路272の入力電圧範囲を超えるような場合には、配線ケーブル150の線3とハイ
パスフィルターのコンデンサーCとの間に抵抗Rdを更に設け、抵抗Rdとハイパスフィル
ターの抵抗Rによって抵抗分圧する構成としてもよい。
図8は、変形例の容量性負荷駆動回路200に搭載される振幅情報取得回路274の詳
細な構成を示した説明図である。図5を用いて前述した振幅情報取得回路274と同様に
、変形例の振幅情報取得回路274にも、キャリアリップル振幅値算出回路274aや、
メモリー274b、キャリアリップル振幅値判別回路274cが設けられている。変形例
の振幅情報取得回路274には、後述するフラグ設定回路274fも設けられている。こ
のような構成を有する変形例の振幅情報取得回路274は、COMを出力してアクチュエ
ーター116(容量性負荷)を駆動している間にも以下のような処理を行うことにより、
変調回路230がパルス変調する際のキャリア周波数を決定する。
図9および図10は、振幅情報取得回路274で行われるキャリア周波数設定処理のフ
ローチャートである。キャリア周波数設定処理を開始すると、先ず始めに制御ユニット1
30を起動する(ステップS200)。そして、振幅情報取得回路274のフラグ設定回
路274fに設けられたフラグを「0」に設定する(ステップS202)。続いて、キャ
リア周波数fcnを最低周波数fcminに設定した後(ステップS204)、駆動波形信号発
生回路210からWCOMを出力する(ステップS206)。すると、容量性負荷駆動回
路200では図2を用いて前述した一連の処理が行われて、平滑フィルター250からC
OMが出力され、配線ケーブル150を介してアクチュエーター116にRCOMが印加
される。
こうしてアクチュエーター116に印加されたRCOMは、配線ケーブル150の線3
を介して振幅情報取得手段270に入力される。変形例の振幅情報取得手段270では、
入力された信号をハイパスフィルターを通した後、A/D変換回路272によってデジタ
ルデータに変換し、このデジタルデータを駆動信号情報として取得する(ステップS20
8)。その後、キャリアリップル振幅値算出回路274aを用いてキャリアリップルの振
幅値を算出し(ステップS210)、得られた振幅値をメモリー274bに記憶する(ス
テップS212)。
そしてキャリアリップルの振幅値が許容値以内であるか否かを判断する(ステップS2
14)。その結果、許容値以内であると判断した場合は(ステップS214:yes)、
フラグを0に設定した後(図10のステップS220)、液体噴射装置100の使用を終
了するか否かを判断する(ステップS222)。終了でなければ(ステップS222:n
o)、ステップS208に戻って、再び駆動信号情報を取得した後(ステップS208)
、続く一連の処理を繰り返す。
このように、液体噴射装置100を使用している間は、所定の時間毎にこうした処理を
繰り返す。処理では、先ず始めにキャリア周波数fcnを最低周波数fcminに設定し、その
周波数でのキャリアリップルの振幅が許容値以内であるか否かを判断し、許容値以内であ
れば、最低周波数fcminをキャリア周波数fcnとする。従って、キャリアリップルの振幅
が許容値以内である限りは、最低周波数fcminがキャリア周波数fcnとして設定され続け
ることになる。
もちろん、算出されたキャリアリップルの振幅が許容値を超える場合も起こり得る。こ
のような場合は、図9のステップS214で「no」と判断される。続いて、フラグが0
か否かを判断する(ステップS216)。前述したようにフラグの初期状態は0に設定さ
れているから、ステップS216では「yes」と判断して、現在のキャリア周波数fcn
が最低周波数fcminに設定されているか否かを判断する(図10のステップS228)。
通常はキャリア周波数fcnは最低周波数fcminに設定されているので、ステップS228
では「yes」と判断して、キャリア周波数fcnを最高周波数fcmaxに変更した後(ステ
ップS230)、フラグを1に変更する(ステップS234)。フラグの意味する処につ
いては後述する。また、現在のキャリア周波数fcnが最低周波数fcminに設定されていな
い場合は(ステップS228:no)、最低周波数fcminをキャリア周波数fcnに設定し
た後(ステップS232)、フラグを1に変更する(ステップS234)。
こうしてフラグを1に設定したら(ステップS234)、ステップS208に戻って、
駆動信号情報を取得する(ステップS208)。そして、変更されたキャリア周波数fcn
でのキャリアリップルの振幅値を算出し(ステップS210)、得られた振幅値をメモリ
ー274bに記憶した後(ステップS212)、得られた振幅値が許容値以内であるか否
かを判断する(ステップS214)。その結果、許容値以内であった場合は(ステップS
214:yes)、フラグを0に戻して(図10のステップS220)、液体噴射装置1
00の使用終了か否かを判断し(ステップS222)、使用終了でなければ(ステップS
222:no)、再びステップS208に戻って、続く一連の処理を繰り返す。
このような処理を行う結果、キャリア周波数fcnを、先ず始めに最低周波数fcminに設
定してキャリアリップルの振幅値を取得し、その振幅値が許容値以内であれば、キャリア
周波数fcnは最低周波数fcminのままとなる。これに対して、振幅値が許容値を超えてい
る場合は、キャリア周波数fcnを最高周波数fcmaxに変更し、変更後のキャリアリップル
の振幅値を算出する。そして新たな振幅値が許容値以内であれば、キャリア周波数fcnを
最高周波数fcmaxに変更する。
ところが、最高周波数fcmaxでのキャリアリップルの振幅値も許容値を超えてしまう場
合も起こり得る。このような場合は、ステップS214で「no」と判断されるので、続
いて、フラグが0か否かを判断する(ステップS216)。前述したように、フラグは、
キャリア周波数fcnが変更されると1に設定される。従って、フラグが1であるというこ
とは、キャリア周波数fcnが変更されて、二つのキャリア周波数fcn(ここでは、最低周
波数fcminと最高周波数fcmax)でのキャリアリップルの振幅値がメモリー274bに記
憶されていることを示している。そこで、フラグが1である場合は(ステップS216:
no)、二つのキャリア周波数fcn(ここでは、最低周波数fcminと最高周波数fcmax)
で取得されたキャリアリップルの振幅値を比較して、振幅値が小さい方の周波数を、キャ
リア周波数fcnとして設定する(ステップS218)。その後、フラグを0に設定した後
(図10のステップS220)、液体噴射装置100の使用を終了するか否かを判断する
(ステップS222)。終了でなければ(ステップS222:no)、ステップS208
に戻って、再び駆動信号情報を取得した後(ステップS208)、続く一連の処理を繰り
返す。
このように、液体噴射装置100を使用している間は、所定の時間毎にこうした処理が
繰り返されて、キャリア周波数fcnの見直しが行われる。また、液体噴射装置100の使
用終了と判断した場合は(ステップS222:yes)、駆動波形信号発生回路210か
らのWCOMの出力を停止し(ステップS224)、制御ユニット130を停止した後(
ステップS226)、図9および図10に示したキャリア周波数設定処理を終了する。
変形例の容量性負荷駆動回路200では、制御ユニット130を起動すると以上のよう
なキャリア周波数設定処理が所定の時間間隔で実行されて、キャリア周波数の見直しが行
われる。その結果、容量性負荷がインクジェットプリンターの噴射ヘッドのように、配線
ケーブル150を含めた共振周波数が使用中に変化し得る場合でも、ほぼリアルタイムで
キャリア周波数を見直すことにより、RCOMにキャリアリップルが重畳することを回避
することが可能となる。
尚、上述した変形例では、図4を用いて前述した振幅情報取得手段270の分圧回路の
代わりに、コンデンサーCと抵抗Rとによるハイパスフィルターを挿入し、ハイパスフィ
ルターを通過した信号を、A/D変換回路272を用いてデジタルデータに変換すること
で、駆動信号情報を生成するものとして説明した。しかし、ハイパスフィルターを通す前
の信号をA/D変換回路272を用いてデジタルデータに変換して、駆動信号情報を生成
するようにしても良い。すなわち、図4に示した前述の実施例と同様に、アクチュエータ
ー116に印加されたRCOMを配線ケーブル150の線3を介して取得した後、抵抗分
圧してからA/D変換回路272に入力して駆動信号情報を生成する。こうして得られた
駆動信号情報は、COMの信号成分も含んだ情報となる。そこで、図11に示したように
、振幅情報取得回路274側に、変形例のハイパスフィルターに相当するハイパスフィル
ター274g(デジタルフィルター)を設けるようにしても良い。
以上、本実施例および変形例の容量性負荷駆動回路について説明したが、本発明は上記
の実施例あるいは変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種
々の態様で実施することが可能である。例えば、上記の実施例では、最低周波数fcmi
nから最高周波数fcmaxの間でキャリア周波数を設定する構成としたが、最低周波数
fcminと最高周波数fcmaxがない構成でもよい。この場合、キャリアリップルの
振幅値が許容値以内になるまでキャリア周波数の変更を繰り返すこととなる。また、上記
の実施例では、駆動波形信号発生回路210がデューティー比50パーセントとなる駆動
波形信号WCOMを発生する構成としたが、WCOMのデューティー比は、キャリアリッ
プルの振幅を取得できるデューティー比であればよく、50パーセントでなくてもよい。
また、例えば薬剤や栄養剤を内包するマイクロカプセルを形成することに用いる流体噴
射装置など、医療機器を含む様々な電子機器に本実施例の容量性負荷駆動回路を適用する
ことで、電力効率が良く小型化の電子機器を提供することができる。また、インクジェッ
トプリンターに搭載されて、インクを噴射する噴射ノズルを駆動するための容量性負荷駆
動回路に対しても、本発明を好適に適用することが可能である。
100…液体噴射装置、 110…噴射ユニット、 111…噴射ノズル、
112…液体通路管、 113…フロントブロック、 114…リアブロック、
115…液体室、 116…アクチュエーター、 120…供給ポンプ、
121…チューブ、 122…ステップ、 122…チューブ、
123…液体タンク、 130…制御ユニット、 150…配線ケーブル、
152…コネクター、 154…コネクター、 200…容量性負荷駆動回路、
210…駆動波形信号発生回路、 220…演算回路、
230…変調回路、 240…デジタル電力増幅器、 250…平滑フィルター、
260…補償回路、 270…振幅情報取得手段、 272…A/D変換回路、
274…振幅情報取得回路、 274a…キャリアリップル振幅値算出回路、
274b…メモリー、 274c…キャリアリップル振幅値判別回路、
274d…カウンター、 274f…フラグ設定回路、
274g…ハイパスフィルター、 280…キャリア周波数設定手段

Claims (3)

  1. 容量成分を有する容量性負荷に対して駆動信号を印加することによって、該容量性負荷を駆動する容量性負荷駆動回路であって、
    前記駆動信号の基準となる駆動波形信号を発生する駆動波形信号発生回路と、
    前記容量性負荷に印加された駆動信号を用いて生成された帰還信号を、前記駆動波形信号から減算することによって誤差信号を出力する演算回路と、
    前記誤差信号をパルス変調して変調信号を生成する変調回路と、
    前記変調信号を電力増幅してパルス波状の電力増幅変調信号を生成するデジタル電力増幅器と、
    前記パルス波状の電力増幅変調信号を平滑化することによって前記駆動信号を生成する平滑フィルターと、
    前記駆動信号に位相進み補償を行い、該位相進み補償後の信号を前記帰還信号として前記演算回路に出力する位相進み補償回路と、
    前記平滑フィルターと前記容量性負荷とを接続し、取り替え可能に設けられた配線と、
    前記駆動信号に基づいて、該容量性負荷に印加される前記駆動信号のキャリアリップルの振幅に関する振幅情報を取得する振幅情報取得手段と、
    前記変調回路が前記誤差信号をパルス変調する際のキャリア周波数を、前記振幅情報に基づいて、前記駆動信号のキャリアリップルの振幅が所定値以下となるように設定するキャリア周波数設定手段とを備え
    前記駆動波形信号発生回路は、前記振幅情報取得手段が前記キャリアリップルの振幅を取得している間は、前記変調信号のデューティー比が50パーセントとなる前記駆動波形信号を発生させる、容量性負荷駆動回路。
  2. 請求項1に記載の容量性負荷駆動回路であって、
    前記変調回路は、所定の最低周波数から所定の最高周波数までの範囲内に含まれる前記キャリア周波数で、前記誤差信号をパルス変調する回路であり、
    前記振幅情報取得手段は、前記最低周波数から前記最高周波数までの範囲内で前記キャリア周波数を設定して、前記キャリアリップルの振幅を取得する手段であり、
    前記キャリア周波数設定手段は、前記変調回路がパルス変調する際のキャリア周波数を、前記振幅情報取得手段によって取得された振幅が前記所定値以下の前記キャリア周波数に設定する手段である容量性負荷駆動回路。
  3. 請求項1または請求項2に記載の容量性負荷駆動回路と、
    液体を供給する供給ポンプと、
    前記供給ポンプから供給された液体が流入する液体室と、前記容量性負荷であるアクチュエーターと、前記液体室に流入された液体を噴射する噴射ノズルとを有する噴射ユニットと、
    を備え、
    前記駆動信号が前記アクチュエーターに印加されることによって、前記液体室に流入された液体が前記噴射ノズルからパルス状に噴射される、
    液体噴射装置。
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