JP5628132B2 - 易滑及び離型性熱可塑性樹脂フィルム並びに該熱可塑性樹脂フィルムからなる包装体及び離型又は加工プロセス用支持体フィルム - Google Patents
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Description
すなわち、前記のような高速充填包装においては低密度ポリエチレン、低密度エチレン系共重合体、ポリプロピレン系共重合体、ポリブテン系共重合体等、ポリα−オレフィン等及びこれらの混合粒子を使用することが一般的であるが、滑りが悪く、ブロッキングしやすいなどの問題点があった。
そして、これらの問題点を解消するとともに、低密度化された低温ヒートシール性樹脂によるフィルムの必要性が高まる中、滑性不良、ブロッキング問題から滑剤粉末散布が行われている。更に使用面では包装だけでなく、加工工程における支持体フィルムの巻取性、走行性などが要求されている。製品加工工程では、例えば保護フィルム、マスキングフィルム、電子部品加工プロセスフィルムでは高滑性均一エキスパンド性が要求されるなど各種の産業分野で使用され、或いはユニバーサルデザインの要求など利便性、使い易さなどが求められる。
更に滑性が悪いとフィルムの巻取性が悪く皺の混入、均一な巻き取りが不可能となり、またブロッキングに関しては巻取ロールを加工時に巻き戻す際に巻き戻しができなかったり、フィルムが切断したり、或いは巻戻テンションが変動して印刷、ラミネート加工段階で安定した巻き戻しテンションの下で加工ができなくなり二次加工性が低下する。
更に最終製品において、包装体の袋の口開きが不可能となったり、加熱殺菌処理において、袋内部が加熱接着し、製品化ができなくなる。
滑剤粉末を散布することで上記課題は解決される場合が多いが、滑剤粉末の散布は過少量では効果が実現せず、過剰量では脱落、転着など不要な汚染、内容物への移行、ヒートシール部への噛込みによるシール不良、空気抜けによる密封不良、高温殺菌処理時に滑剤粉体物の脱落による袋内面の熱融着がランダムに起こりやすい欠点が生じやすい。また本技術では滑剤粉末が容易に脱落するため、清浄度を要求される用途では使用が不可能であり、更に離型用途では製品への微小平面性を害し、且つ製品の汚染に繋がり、最も重要な問題点は全平面に滑剤粉末が付着することは不可能であるため、離型性が変動する欠点がある。
また本課題を解決する提案が各種なされているが、滑性及びアンチブロッキング性を改良する現実的で実用化されている方法は、無機系滑剤、例えば二酸化ケイ素、炭酸カルシウム、球形シリコンなどと無機系、酸化金属系滑剤などが使用されるのが一般的である。
しかしこの方法では完全に滑剤粉末の散布をやめることが困難であり、特に低密度タイプのポリエチレンでは依然として滑剤粉末を散布している事例が多い。
一方滑剤粉末を散布しなくても実用化が可能にするために多量の上記添加剤を混合すると、滑性及びアンチブロッキング性が実現してもフィルムの透明性が悪化するだけでなく、弊害として低温シール性及びラミネート強度の低下、更に経時により一層悪化し、密封性、耐スクラッチ性も低下する。また電子デバイス加工用プロセスフィルムでは、例えばシリコンウエハのチップ加工において、チップをピッキングアップするためにフィルムを伸長する必要があり、この際に均一に全面が引き伸ばされるためには前記の例示のような低密度熱可塑性樹脂フィルムを使用することが必要であり、低密度ゆえの滑りの悪さのために加工金具との滑性が悪いために伸長力を作用させる端部のみが過剰に伸長されその結果、端部フィルムが降伏伸度を越えて永久変形する。永久変形により加工金具から取り外した場合にフィルムが弛み、残留チップを保管する際に保管ストッカーに収納が困難になる問題が脱塩化ビニル樹脂を使用したフィルムでは生じている。
更に該滑剤粉末の撒布量の過少散布或いは過剰散布を避けるための調節が重要となり、管理の手間がかかるという問題があった。
包装以外の分野においては加工時の支持体フィルムとして使用された場合に適度の接着性と適度の剥離性を備えた離型性が求められ、且つクリーンな状態で製造しなければならない成形体及び電子デバイスなどの加工段階で求められる高活性非汚染性が求められている。
例えば電子デバイス加工プロセスでは環境問題に端を発して含塩素系樹脂である塩化ビニルフィルムが敬遠され、しかも本用途ではフィルムの慎重性が要求されるために、可塑剤が多量に含まれている。非塩素系樹脂だけでなく無化可塑剤フィルムが要求されてきた。
本発明はこの課題に対しても優れた解決を与えるものである。
ここで、不定形無機系粒子Bの平均粒径とは、レーザー回折・散乱法に基づくマイクロトラック法により測定した累計粒子分布における50%点の粒径をいう。
前記不定形粒子は印刷、ラミネート加工による接着剤及びその有機溶剤などが該熱可塑性樹脂層に生じがちな吸着、拡散によるヒートシール面への移行による夾雑物を遮断する機能を有することにより接着特性、滑性、離型性、支持力等の重要な表面特性が損なわれることを防止できる。
本発明は、包装分野においては滑剤粉末を散布することなく、低温ヒートシール性、透明性を確保した上で滑性、アンチブロッキング性に加えて十分なラミネート強度を実現し、経時変化による強度低下がなく、完全密封ヒートシールが得られ、内容物汚染は勿論なく、清浄環境での使用も可能である。
また、安定した離型表面が得られ、しかも粉末滑剤のような離脱物もないから安定した接着力と相反する特性の実現が容易となる。
滑剤粉末の散布が不要であることにより、付着量の管理不要、環境への粉末の飛散、加工設備の汚染防止、内容物の非汚染性と合わせて大きな特徴を有する。
更に、離型用途分野、電子デバイスプロセス用分野における前記の課題を解決するものである。
なお、不定形無機系粒子Bは、累計粒子分布における20〜65μmの粒径を有する成分比率が、不定形無機系粒子B全量に対して30容量%以下であり、且つ、65μmを超える粒径のものが実質的に含まれないようにする(篩い分け等により、65μmを超える粒径のものを除去する。)ことが望ましい。
更に離型性と適度の接着性及び製品表面への粗面転写などから好ましくなく、バランスの良い表面が得られない。更に定形有機系粒子A単独では完全な滑性及びアンチブロッキング性、加熱殺菌中の袋内面の熱融着防止、離型力の調整が困難となり、更に二次加工における諸種の有機溶剤、接着剤などの化学的材料による拡散、ブリード現象による表面特性の変質などが抑制できないなど実用的に問題を解決することができないことがわかった。
定形有機系粒子Aは、例えば、図3に示すような球状のほか、棒状、楕円状、四角形状、三角形状、紡錘形状などの一定の形状をした粒子の集合体をいい、球状、楕円状のものが好ましい。
無機系定形球形粒子では上記の全体的な特性が得られず、更に本発明で使用する定形有機系球状粒子であれば、併用する不定形無機系粒子Bとの相乗効果が大きく、有機化合物を該形状にした後に架橋された材料か或いは溶融押出などの熱成形において320℃以下の温度で熱変形を生じない材料に限定される。無機系球状定形粒子も現在効果的に使用されているが、本発明の目的には使用できない。その理由は低密度ポリオレフィン、中でも低密度線状ポリエチレンでは極めて軟質であるために耐スクラッチが弱いためである。
また、有機系粒子でも高温度で成形する熱可塑性樹脂では形状が崩れ、且つ凝集するために本来期待した必要な滑性、アンチブロッキング性に有効な粒子サイズ以外の不要なサイズの粒子が混合状態とし存在するために、添加濃度に対する特性効果の発現効率が極めて悪くなり均一な特性を得ることが不可能である。
本発明では320℃以下では形状変化が生じないことが上記の理由で必要である。従って本粒子は形状変化がないだけでなく、粒子相互が独立で存在するために均一な粗面粗さや粗面密度を形成することができる。
つまり5μm未満では効果が発現しないということは不要な粒子サイズであり、混合する意味がなく、むしろ透明性の悪化を招くだけである。一方本発明の諸特性を獲得するには15μmを超えるサイズの粒子は不必要であり、前記のとおりヒートシール性、密封性、離型性のコントロール、ラミネート時の脱気性など問題を生じることを意味する。
従って定形寸法であることの必要性はかかる不必要な粒子の存在は必要がない無駄な粒子であることを意味している。
不定形粒子のシリカ、炭酸カルシウム、クレーなど不定寸法の粒子は実添加量のうち目的に対して有効に作用していない粒子が混合されていることを意味する。
本発明の定形粒子は球形シリコン、球形シリカなどでは本発明の有効な効果は実現しない。
本発明で使用する定形有機系粒子Aは、有機重合体からなる架橋粒子、例えばポリメチルメタクリレート及び本成分を主体とした共重合体からなるアクリル系樹脂からなる架橋球状定形架橋粒子、有機重合体の表面に架橋性有機重合体を被覆した粒子及び熱硬化性、加熱反応性を有する材料、無機系粒子の表面を有機合成樹脂で被覆した材料などが挙げられる。勿論上記に挙げた粒子に限定されるものではないが、上記のような形状と320℃以下の温度で加熱変形が生じにくく、無機系粒子のような柔軟性にかける材料ではない有機系粒子と該層を形成する熱可塑性樹脂と直接接触状態で混合存在するという基本に基づいた粒子であることが必要である。
有機重合体である意味は軟質熱可塑性樹脂では硬い無機系材料ではフィルムに傷がつきやすく、耐スクラッチ性が悪化し、フィルム間の擦傷や内容物との摺擦による傷の発生により透明性が悪化するからである。
ここで、不定形無機系粒子Bの平均粒径とは、レーザー回折・散乱法に基づくマイクロトラック法により測定した累計粒子分布における50%点の粒径をいう。
不定形無機系粒子Bを併用する目的は、印刷インク、ラミネートの接着剤、コーティング剤、離型剤などに含まれる有機溶剤、分散剤、添加剤などが該熱可塑性樹脂の加工面に吸着したり、拡散、移行してヒートシール面や離型面に析出してくることを防止するためである。
不定形無機系粒子Bは、例えば、図4に示すような多孔性粒子を含む混合体からなり、全くの不定形材料の集合体、具体的には、不定形の多孔体と棒状体、板状体との集合体であることが重要であり、粒子相互の絡み合いによる膜状分散形態をとるために、定形粒子の効果の発現性を増幅し、優れた滑性、アンチブロッキング性を発現し、不要な夾雑物の吸着による移行を防ぐ遮断層を形成することが本発明のもう一つの特徴である。
更に加圧状態における耐スクラッチが向上し、最小の定形有機系粒子Aの添加量で効果が発現するために、透明性も得られる効果が大きい。また高い面間圧力でも滑性が低下することなく、優れた耐スクラッチ性が得られる。これらの特性から滑剤粉末の散布を完全に除外して使用することができる。
不定形無機系粒子Bの寸法が3μm未満では滑性効果が発現しないだけでなく、印刷インク、ラミネートの接着剤、コーティング剤などに含まれる有機溶剤、分散剤、添加剤などが該熱可塑性樹脂の加工面に吸着し、次いで拡散、移行しヒートシール面に析出してくることを防止できない。
すなわち、不定形無機系粒子Bはその多孔性と粒子相互の絡み合いによる膜状分散形態をとるために、定形粒子の効果の発現性を増幅し、優れた滑性、アンチブロッキング性を発現し、不要な夾雑物の吸着による移行を防ぐ遮断層を形成することが本発明のもう一つの特徴であるが、この効果的に発現できないからである。定形有機系粒子Aとの併用効果も得られない。平均粒径が20μmを超えるとフィルム表面が荒れるために、密封ヒートシール性が得られにくく、前記同様に接着性と離型性、更に耐スクラッチ性などのバランスの良い特性を実現することが困難となる。
なお、不定形無機系粒子Bは、累計粒子分布における20〜65μmの粒径を有する成分比率が、不定形無機系粒子B全量に対して30容量%以下であり、且つ、65μmを超える粒径のものが実質的に含まれないようにする(篩い分け等により、65μmを超える粒径のものを除去する。)ことが望ましいが、これは、20μmを超える粗大粒子の混在比率が、該不定形無機系粒子B全量に対して30容積%を超えると、フィルムの製膜工程においてフィルター詰まりを生じやすく、更にアルミ箔のような変形しやすい材料とラミネートした場合、突起状の外観不良を生じるためであり、該粗大粒子が混在しても支障を生じないためには、混在比率は30容積%以下、好ましくは20容積%以下、更に好ましくは10容積%以下である。
不定形無機系粒子Bは、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、各種クレーなどの無機系不定形粒子とは異なることが重要である。本発明の不定形粒子は円筒系棒状体、平板状多孔質体、多角形体など混在状態である材料であり、例えば棒状体は長さ方向が最大であり、直径方向は極めて細く、長さと直径の比が極めて大きな材料である。従って大きな最大寸法でもフィルム表面は従来の不定形粒子と異なり平滑な表面を形成し、不定形粒子間の絡み効果によるフィルム表面の硬さを向上し、前記定形有機系粒子Aとの併用効果が極めて大きいことが本発明の大きな特徴であることを見出した。
これらの材料としては、特に限定されるものではないが、珪藻土のほか、クリストバライト、マイカ、ウイスカーなどがあり、好ましい材料としては珪藻土、分級珪藻土、表面有機酸などで処理した珪藻土、表面処理モンモリロナイト、平板状無機系粒子が選ばれる。
不定形無機系粒子Bは、印刷、ラミネート加工による接着剤及びその有機溶剤などが熱可塑性樹脂層に生じがちな吸着、拡散によるヒートシール面への移行による夾雑物を遮断する機能を有することにより、接着特性、滑性、離型性等の重要な表面特性が損なわれないようにすることができる。
Aの混合比率が0.1未満であると優れた平滑性が得られるものの滑剤粉末を散布しなくても実用化できる滑性とアンチブロッキング性を得ることが不可能である。
一方、Aの混合比率が15を超えると滑性及びアンチブロッキング性に関して面間に低い圧力が作用した場合は問題がないが、高圧力、又は長時間加圧状態である場合に、滑性及びアンチブロッキング性が悪化するだけでなく、ラミネート接着性が極めて悪化し、離型性は良くなるものの接着力が低下するために、支持力が低下する欠点が生じる。
更に摺擦すると傷により透明性が極度に悪化して、耐スクラッチ性が悪化することが確認できた。このような特性は不定形無機系粒子Bの存在が大きく寄与していることを見出した。
Cの混合量が600ppm未満であると期待するアンチブロッキング性が得られず、長尺巻、長期間在庫、高圧状態例えば袋を重ねてダンボールに詰め込み充填した場合や積重ね保管した場合など、長期間在庫、輸送工程などでブロッキングを生じる。
一方10,000ppmを超えると、透明性、外観不良だけでなく、接着不良が生じ、且つヒートシール面の密封性が悪化し、内容物の漏洩、浸み出し、ラミネート加工段階での空気の噛込みなど、二次加工性も低下する。これはラミネートの接着性、ヒートシール性の顕著な低下、内容物保護性、保管適性不良、離型力の低下による支持性能の低下など製品特性が大きく崩れる。
A及びBの混合濃度は前者が500〜6,000ppmの濃度であり、後者は100〜5,500ppmの濃度範囲であり、A及びBの混合物であるCの混合量は600〜10,000ppmである。
更にA対Bの混合比率は0.1対1〜15対1である。
好ましくはAが1,000〜5,000ppmの濃度範囲であり、Bは200〜5,000ppmの濃度範囲であり、両成分の合計混合量は1,200〜9,000ppmである。
A及びBの混合比率は0.22:1〜12:1が好ましい。
更に好ましくはAは1,500〜4,500ppmでありBは400〜4,800ppmであり、両成分の合計混合量は1,900〜8,000ppmの範囲であり、両成分のA:Bの混合比率は0.32:1〜9:1である。
その理由は前記A及びBの混合系が例え前記の混合濃度条件範囲に調整してもアンチブロッキング性は確保できても、滑性が不十分なために、巻取性、袋の口開き性、印刷、ラミネート、離型加工などの二次加工性などが悪化し実用性が低下するからである。
代表的な脂肪酸アミドの例としてパルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベへニン酸アミド、ステアリルエルカミド等の脂肪酸アミドやメチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミドのアルキレン脂肪酸アミドが挙げられる。
また、代表的な脂肪酸エステルの例としてステアリン酸ブチル、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリルステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
その理由は前記のとおりであるが、透明性、平滑性、ヒートシール部分からの長期間保存における内容物の加圧、振動などの外力及び微小な非密着面からの漏洩が生じない高密封性、ラミネート工程でのラミネート面への空気噛込みなどが生じにくいという優れた安定性のある二次加工適正を兼備し、滑剤粉末の散布をすることなく、優れた滑性、アンチブロッキング性に優れ、摺擦による粒子脱落が起こらないクリーンなフィルムを得ることができる。
2層以上の複合フィルムからなる場合、包装体として使用する場合は該表面層が、つまりヒートシール面に相当し、また離型性用途、支持体フィルムとして使用する場合は第2層を使用する。
該表面層のDの混合量が熱可塑性樹脂及び上記Cも含めた全体量の全重量基準で400ppmから2,500ppmの濃度に混合された混合樹脂層を形成した少なくとも2層からなっていることが好ましい製品を提供することができる。
好ましくは、Dの混合量は全重量基準で450〜2,000ppmにすることがより優れた製品を提供できる。更に好ましくは500〜1,800ppmである。
またDの混合量が2,500ppmを超えると滑性は改善されるが、ラミネート強度の低下、特に経時保管中、加工終了後の流通、在庫中に強度低下を著しく害し、ヒートシール性、密封性、各種接着剤、印刷インクなどとの接着強度低下、経時による透明性の低下、離型力の経時変動、同じく局所変動が生じて実用上安定して製品を提供することができない該混合物におけるDは炭素数が16以上である成分がC全量基準に対して60%以上からなる添加剤に限定される。好ましくは炭素数が18以上であることが本発明の効果を更に向上できる。炭素数が16以上である成分が60%未満では、滑性効果が発現しにくく、特に加工段階で使用する各種接着剤、コーティング剤に含まれる有機溶剤、表面処理剤、分散剤、可塑剤などによりフィルムの滑性、アンチブロッキング性が悪化し、生産後からの経時変化、季節変動による温湿度の影響を受けやすいために年間を通じた品質保証が困難となる。
そのための炭素数16以上の構造を有する有機滑剤の範囲に限定しなければならない。好ましくはDの炭素数が16以上である成分比率は75%以上である。
炭素数16未満の成分は生産直後からの早期の滑性、アンチブロッキング生が発現する利点もあることから、上記から最大で40%以下であることが必要である。
40%を超えると上記のとおり滑性効果、アンチブロッキング効果、離型性の支持体としての接着力と離型力が経時変化、季節変動により変動し、品質保証が困難となる。
本発明のフィルムは少なくとも2層からなり表面層は前記のとおりの熱可塑性混合物から構成されたものであり、該表面層の反対面を構成する第2層は該表面層の混合成分が限定されることが重要条件である。
限定要件としては、該混合樹脂中のC及びDの混合濃度を表面層の混合濃度に対して0%から30%に調整した第2層からなる少なくとも2層からなる複合熱可塑性プラスチックフィルムである。
30%を超えると滑性は改善されるが、ラミネート強度の低下、経時によるデラミネーション、離型性、及び該表面への各種コーティング剤の接着性が激変するために、長期の品質保証は不可能である。
勿論上記の2及び3層複合フィルムに後加工で更にラミネートすることも当然行うことができる。ラミネートする基材は限定されるものではないが一般的に使用される材料を例示すれば二軸延伸ポリプロピレン、二軸延伸ポリエステル、二軸延伸ポリアミドフィルムである。
フィルムの第2層とのラミネート方法は既存の汎用方法である押出ラミネーション、サンドラミネーション、ドライラミネーションなどにより製造することができる。
一方第2層又は第3層は優れた接着性を示し、経時変化がなく、長期接着安定性を提供できる。特に本発明におけるAの混合率或いは混合量の範囲外では離型力が軽度になり易剥離性が得られるものの、要求される接着力が余りにも低下するために好ましくない。
更に第2層又は第3層はC及びDが表面層に比べて減少するので、第2層又は第3層のみからなるフィルムでは滑性が悪くなるために巻取時における空気含有量が少なくなり巻皺、又は巻内層と巻外層にわたる空気含有量が揃わず均一な巻取ロールの提供が不可能になり、且つ高温状態でフィルムはブロッキングするために実用化が不可能である。
しかし本発明では表面層が使用時表面に出ること及び巻取時は第1層と第2層又は第1層と第3層が接触するために極めて容易に巻取が可能であり、フィルム面間の空気含有量も制御し得ることがわかった。また離型用途、電子デバイス加工用途における支持体フィルムとして使用する場合は表面層の反対側の外面を形成する第2層又は第3層面を用い、優れた表面層加工適正を利用し、且つ該第2層又は第3層面の優れた接着性を利用することができる。
表面層及び第2層以上の表面層以外の層との厚み構成は表面層が重要であり15〜70μmが望ましい。更に好ましくは20〜50μmである。70μmを超えると本発明品の特性が失われるものではないが、本発明の特性を実現しつつも、更に透明性を求める用途では、好ましくは15〜70μmが好ましいという理由であり、第1層が15μm未満では前記課題を解決する本発明の性能は得られない。表面層が70μmを超えると臨界的に透明性が悪化するものではないが、過剰に厚くする意味はないからである。
従って表面層を除く他の層の合計厚みは10〜185μmの範囲において実用化される場合が多い。
この理由は前記のとおり本発明の目的、構成要件から見れば表面層の厚みは15μm以上でなければ、本発明の目的は達成できないからである。第2層はラミネート面であるので特に限定されるものではないが上記のとおり実用化される表面層厚みと全体厚みで決定される。
10cm角のフィルムを5枚重ね、下部の支持台と上部のアルミニウム板の間に挿入し、アルミニウム板の上に重さ1kgの重りを乗せて温度40℃の環境内に3日間放置した後に取り出し、重ねたフィルムの剥離力を測定した。特別に荷重依存性などを調べる場合は上記標準条件とは重りの重量のみを変更して同様に測定した。勿論表面層と第2層又は第3層との接触状態と表面層同士及び第2層又は第3層同士の面を合わせて、該合わせ面を測定評価した。
本発明の主目的は表面層同志のアンチブロッキングが最も重要であるために、各実施例及び比較例においては該表面層間の特性を示す。
JIS K7125に準拠して摩擦係数を測定した。
縦横7cmのフィルムを第1層同士を合わせて1cmのシール幅で三方を完全密封ヒートシールし、次いで水2gを計量充填した後に、開放部をヒートシールして、シール内寸法が5cm角になるようにした。
水充填袋を90℃及び95℃の熱湯に10分間浸漬した後に取り出し、袋フィルム内面が融着していないかを確認した。
JIS P8117に準拠してフィルムを直径15mmにカットし、標準台の上に皺がよらないように置き、該面300gの重りを置いた後、100ccの空気量が透過する秒数をもって空気流通性と定義した。本特性は表面層にとって重要な特性であるため基本的には表面層の特性を評価した。
本発明フィルムとポリエステルフィルムとをポリエステルポリウレタン樹脂を用いて接着し、45℃で48時間エージングした。両面間の接着威力を測定した。
その後フィルムのラミネート面に有機溶剤を適量付着させ面間を部分的に剥離し、次いでこのきっかけ部分からフィルムを剥離して剥用強度を測定した。
10cm角のフィルムを表面層同士合わせて2セット重ね、下部の支持台と上部のアルミニウム板の間に挿入し、アルミニウム板の上に重さ1kgの重りを乗せて温度40℃の環境内に3日間放置した後に取り出し、重ねたフィルムのスライド方向の面間剥離力を測定した。特別に荷重依存性などを調べる場合は上記標準条件とは重りの重量のみを変更して同様に測定した。
フィルムの表面層に硬化剤を混合した不飽和ポリエステル樹脂を100g/m2マイヤーバーで塗布した後に、180℃で硬化反応させた後に該樹脂板と本発明フィルムの剥離力を測定した。
表面層上面にして金属台の上に固定し、上部には摺動子にゴム板を装着して、荷重500gをかけて5往復摺動し、フィルムのヘイズ変化を測定した。
100mm角の袋に水:オリーブオイル:酢の混合比率が1:1:1の比率に混合した液体を150g充填した。該袋にそれぞれ5kgの重りを乗せて、合計20袋を7日間、30℃の環境に保管した後、ヒートシール部を吸取紙でふき取り内容物の漏れ具合を評価した。
図5に示すように、フィルム伸長力を作用させた方向に対して厚み5mm、表面粗さ5Sのアルミニウム板の曲面部にフィルムの表面層を90度の接触角度に接触させたフィルムに伸長力F1を作用させた場合の伝播力F2のF1に対する比率を示す。
フィルムを10%伸長して変形し、その状態で30秒間維持してから伸長力を解放し、フィルムが復元した後の初期寸法に対して復元できない残留ひずみ量を初期寸法に対する比率で評価した。
各成分の混合比率は表1のとおりである。
ここで、定形有機系粒子Aには、ポリメチルメタクリレート球状粒子(日本触媒社製、ポリメタクリル酸メチル系架橋物、ポリスターMA1010)を用いるようにしている。
また、不定形無機系粒子Bには、珪藻土(白石カルシウム社製、ST−C499)を用いるようにしている。
A、Bの粒子の平均粒径は、それぞれ、10.0μm、9.8μmである。
A、Bの粒子は、以下の実施例及び参考例を含めて、特記する場合を除き、同じものを用いるようにしている。
また、Bの20μmを超える粗大粒子の混在比率は、該不定形粒子の全量に対して15容積%であり、且つ、65μmを超える粒径のものが実質的に含まれないものであった。
そして、A、Bの粒子には、以下の実施例及び参考例を含めて、特記する場合を除き、同じものを用いるようにしている。
また、Dには、以下の実施例及び参考例を含めて、特記する場合を除き、エルカ酸アミドを用いるようにしている。
一方第2層はAが100ppm、Bが900ppmの濃度とし、Dは0ppmに調整した。
本フィルムは表面層及び第2層も30μmの複合構成にした。
第2層面のみにコロナ放電処理をして、表面張力を39mN/mに調整した。
得られたフィルムの特性は表1のような結果となった。
比較例1及び2は本発明で使用する材料構成のうち混合範囲以外の場合の特性を示す。比較例3は表面層には平均粒径が5μmの不定形シリカを5,000ppm混合し、第2層には同じく該シリカを100ppm、Dを600ppm添加した。比較例4は比較例1の表面層に澱粉の表面のシリコンを付着させた粉末を散布した。
同様に第2層にコロナ放電処理を施した。
高温融着性、口開き性、浸み出し有無、ラミネート強度、ヒートシール強度に関しては、以下の各実施例、比較例共にナイロン6フィルム15μmに本発明フィルムをラミネートした後に評価したものである。
すなわち、明らかに優れた滑性、アンチブロッキング性、90℃で30分加熱水中にて殺菌処理した後の表面層の熱融着特性を示すと共に、口開き性も良好で、1kgで1ヶ月間の加圧保管後も簡単に口開きができた。更にこのような易滑性、アンチブロッキング性を示した上で、本来問題となるラミネート強度、ヒートシール強度も全く経時変化もなく安定した長期品質保証性を示した。
比較例1は本発明と同一の材料で製膜したが粒子Aが不足したために滑性、アンチブロッキング性、耐スクラッチ性が悪く、比較例2は粒子の混合比率が本発明の範囲を外れているが、粒子Aが過剰高濃度であるために、透明性が悪く、ラミネート強度、ヒートシール強度、耐スクラッチ性などが悪化する傾向が認められた。
また、比較例3は滑性、アンチブロッキング性が悪く比較例2のように滑剤散布が必要であることが認められる。そして、90℃における加熱殺菌処理においては、部分的に熱融着が認められ、散布した滑剤粒子が全くまんべんなく散布付着ができないことによるものと考えられる。またヒートシール性はいくらか悪くなり、且つ密封性は内容物の2週間後における加圧浸み出しテストから明らかに悪化していることが認められた。また製膜時の巻取性は明らかに比較例では滑り不良と空気の流通性が悪いために、巻取時の随伴流空気の巻込みによる小窪状の凹凸の発生、巻皺の発生が認められ、フィルム厚み斑が少しでも悪い場合は斜皺が生じた。また再度次の加工工程で巻戻する場合に、フィルムロールが軽いブロッキング状態になり、剥離強度が高く、剥離音と共に剥離強度のばらつきで巻き戻ししテンション変動を誘発する原因となる。また剥離強度が本発明フィルムより明らかに高いために剥離帯電し、加工時の静電気トラブルの原因ともなることが認められた。
滑剤粉末を散布した比較例4ではこの種の問題はなかったが、加工機でのガイド板など機械設備の汚染を避けることはできなかった。
A対B比は約2.5対1に混合した。
一方第2層はAが0ppm、Bが500ppmの濃度とし、Dが50ppmの濃度にした。
本フィルムは表面層及び第2層も30μmの構成にした。
これらの混合組成物は先ず第2層を二軸延伸ポリエステルフィルムのコロナ放電処理面に溶融押出ラミネートした後、引き続いて表面層を溶融押出ラミネートした。
本実施例では表2に示すようにAとBのサイズをそれぞれ変更した。
得られたフィルムの特性は表2のような結果となった。
比較例5及び6は本発明の範囲外の大きさの添加剤を使用した場合の例を示し、比較例7及び8は表面層には球形シリカ5μmを5,000ppm混合し、Dとしてステアリン酸アミドを600ppm混合した。第2層には同じく該シリカを0ppm、ステアリン酸エステルを0ppmとした。比較例も実施例同様にそれぞれ二軸延伸ポリエステルフィルムのコロナ放電処理面に溶融押出ラミネートした。比較例8は比較例7の表面層に澱粉の表面のシリコンを付着させた粉末を散布した。
A対B比は約2.25対1に処方した。
一方第2層はAが0ppm、Bが0ppmの濃度とし、Dも0ppmとした。本フィルムは表面層が30μmであり、第2層も30μmの構成にして共押出溶融押出ラミネートした。フィルムの表面層の特性は表3のような結果となった。
比較例9、10は本発明の添加剤処方に関して、Dが本発明の範囲外である場合の特性を示す。
比較のため比較例11は表面層には不定形シリカ5μmを5,000ppmと、Dとしてステアリン酸アミドを1,500ppm混合し、第2層には同じく該シリカを0ppm、ステアリン酸アミドを0ppmとした。
比較例12は比較例1の表面層に澱粉の表面にシリコンを付着させた粉末を散布した。
比較例13は実施例1と同様の原材料を用いてフィルムを製膜した。
比較例14及び15はそれぞれ比較例7及び8と同一原材料組成である。
また比較例14から添加剤処方の効果が極めて悪いことが確認できた。
高滑性、アンチブロッキング性が優れた上で、ヒートシール性も高く、密封性も優れたフィルムにすることができた。空気流通性も極めて良好であるため、皺のない長尺巻の製品ロールを得ることができた。
これらの複合フィルムの第2層面にアクリル系粘着剤を固形分厚み5g/m2塗布した後、厚みが200μmのシリコンウエハを貼りつけてその離型性、空気噛込み、伸長時の応力伝播性、応力開放後の復元性等を評価した。比較例18及び比較例21はシリコンウエハをカッティングした後、エキスパンド工程でウエハの剥離が生じて、チッピング現象が認められ、接着保持力の弱さが表れた。
コロナ放電処理面にエチレンアクリル共重合樹脂90重量%、光増感剤4重量%、及び光硬化剤6重量%の比率からなる混合物を溶剤希釈して、固形分が40重量%の溶液を塗布した後乾燥して、固形成分が10g/m2の粘着剤層を形成した。次いで該粘着面に厚さ150μmのシリコンウエハを装着し、3mm角の寸法にダイシングカットを行った。引き続いて、10%伸長を行い、各部位の伸長率を測定したがほぼ全面にわたり均一に伸長された。
この場合において端部リングに作用させた伸長力がリング中心部において求められた伸長力の伝播率は93%であった。比較のために密度が0.89g/cm3の線状ポリエチレンを用いて本実施例と同様の3層構成にした。表面層には粒径10μmの球形シリカを6,000ppmとDを1,500ppmを混合し、第2層及び第3層も同様の球形シリカを用いて本実施例と同様の濃度で混合した。得られたフィルムを同様に粘着加工し、ダイシングカットを行い評価した。
比較例23は厚さ90μmのダイシング用塩化ビニル市販フィルムを表す。添加剤及び可塑剤を含むが本発明の添加剤は含まないため0ppmとした。
その結果を表7に示す。
また本発明は空気流通性が優れるために、このような軟質フィルムでの巻取性を著しく向上した。
また環境問題に絡み、フィルムの薄肉化が求められる昨今、優れた滑性、アンチブロッキング性、口開き性、高速長尺巻取性などが改善されるために実用性が著しく向上することができた。
本発明品は第2層の滑剤設計が適正であるために、易滑性、アンチブロッキング性、良好な巻取性を確保した上で1年間の評価結果より長期安定した品質が確立できたことが証明できた。
本発明品は5色印刷でも容易な口開き性を示し、消費者が開封しやすいことを確認した。
滑剤粉末を使用する場合は全ての袋から浸み出ることはなかったが、100袋中3袋から浸み出し、更に圧力を5kgかけた場合は100袋中12袋から浸み出した。
本発明品は滑剤粉末を全く使用していないため、袋のヒートシール幅、約10mmが完全に夾雑物がない完全密封状態であるために全て浸み出しが認められなかった。
且つ経時変化による透明性の変化も少ないことは実施例で示したとおりである。
2 第2層
3 第3層
Claims (7)
- 320℃以下の温度において溶融変形せず、粒子の平均粒径が5〜15μmの範囲にある定形有機系粒子Aが500〜6,000ppmの範囲にあり、粒子の平均粒径が3〜20μmの範囲にある不定形の多孔体と棒状体、板状体との集合体からなる粒子相互が絡み合った不定形無機系粒子Bが100〜5,500ppmの範囲にあって、定形有機系粒子A及び不定形無機系粒子Bの合計添加量が600〜10,000ppmの範囲にあり、且つ、定形有機系粒子Aと不定形無機系粒子Bの混合比率が0.1:1〜15:1の混合比率からなる混合粒子Cと、炭素数が16以上である成分が60%以上の脂肪酸アミド系及び/又は脂肪酸エステル系滑剤Dが400〜2,500ppmの範囲で混合された混合熱可塑性樹脂が少なくとも片面の表面層を構成し、該表面層に対して第2層を構成する熱可塑性樹脂層の少なくとも2層からなることを特徴とする易滑及び離型性熱可塑性樹脂フィルム。
- 前記熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の易滑及び離型性熱可塑性樹脂フィルム。
- 第2層を構成する熱可塑性樹脂が、前記表面層を構成する混合熱可塑性樹脂における混合粒子C及び脂肪酸アミド系及び/又は脂肪酸エステル系滑剤Dの混合濃度に対して、0〜30%の混合濃度に調整された樹脂からなることを特徴とする請求項1又は2記載の易滑及び離型性熱可塑性樹脂フィルム。
- 第2層の第1層の反対側の面に第3層を構成する熱可塑性樹脂層を有する3層構成のフィルムからなり、該第3層を構成する熱可塑性樹脂が、前記表面層を構成する混合熱可塑性樹脂における混合粒子C及び脂肪酸アミド系及び/又は脂肪酸エステル系滑剤Dの混合濃度に対して、0〜10%の混合濃度に調整された樹脂からなることを特徴とする請求項3記載の易滑及び離型性熱可塑性樹脂フィルム。
- 少なくとも二軸延伸樹脂フィルムを基材した複合フィルムに、請求項1〜4のいずれか1項記載の熱可塑性樹脂フィルムの表面層の反対側の外表面を積層してなることを特徴とする包装体。
- 複合フィルムと熱可塑性樹脂フィルムとの間に、水蒸気及び/又はガス遮断性材料からなる層を介在してなることを特徴とする請求項5記載の包装体。
- 請求項1〜4のいずれか1項記載の熱可塑性樹脂フィルムの表面層又は表面層の反対側の外表面を支持面にしてなることを特徴とする離型又は加工プロセス用支持体フィルム。
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