JP5628113B2 - エアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムの取付構造 - Google Patents

エアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムの取付構造 Download PDF

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Description

本発明は、エアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムの取付構造に関する。
従来より、車両本体部の側壁(例えばドア、ボディーサイドパネル等)の上方に配置される車両の屋根部材(例えばルーフパネル)を支える柱としてピラーが配置構成されている。このうち、車両の前部位置には、フロントピラーが配置構成される。かかるフロントピラーの大部分は、金属製の板状部材(例えば鋼板材)で形成されているためフロントピラーに対する車両内方側に、このフロントピラーを覆って車室の内壁として構成されるフロントピラートリムが配置装備されている。このフロントピラートリムは、他のトリム材と同様に適宜の合成樹脂素材や繊維素材等が組み合わされて構成されている。これは、単にフロントピラーを覆うだけではなく、車室内壁を滑らかな面形状とする意匠面としての機能と、車両衝突時の乗員保護の機能を果たすためである。
近年、車両衝突における乗員保護の対策として、一般にカーテンエアバッグと称されるエアバッグ装置を備えた車両が知られている。このエアバッグ装置は、エアバッグ袋体をフロントピラーからルーフサイドレールに沿って折り畳んで格納されている。そして、車両に取付けられた衝突検知センサからの出力に基いてイグナイタ(発火装置)を作動させインフレータ(ガス発生器)から発生するガスをエアバッグ袋体に導入し、このエアバッグ袋体を車室側面に沿ってカーテン状に膨張展開させ衝突時における乗員の保護をする。
ここで、フロントピラーの部分におけるエアバッグ袋体はフロントピラートリムの内側に折り畳んで格納されており、車両衝突時にはエアバッグ袋体の膨張展開圧によってフロントピラートリムの後側端縁部を押し退けて、フロントピラーとフロントピラートリムとの間に生じる間隙から車室側面に沿って膨張展開しうるように構成されている。
ところで、フロントピラーには、乗員の乗降補助として乗員が把持することのできるアシストグリップを装着した態様のものがある。かかるアシストグリップは、所望の剛性を確保すべく剛体であるフロントピラーに締結固定される。かかる場合、フロントピラートリムはアシストグリップとフロントピラーの間に挟持された状態で強固に固定されている。
上記構成のようなアシストグリップ付フロントピラートリムにおいてエアバッグ袋体を格納すると、フロントピラートリムが強固に固定されていることからエアバッグ袋体の膨張展開の際にフロントピラーとフロントピラートリムとの間の間隙が生じ難くなるおそれがある。このため、円滑にエアバッグ袋体が膨張展開しないおそれがある。
そこで、特許文献1には、フロントピラートリムのうち、アシストグリップの上端及び下端の締結固定部分の周囲にエアバッグ袋体の膨張展開圧で破断可能な易破断部を形成したピラートリムの取付構造が知られている。このフロントピラートリムの易破断部をエアバッグ袋体の膨張展開圧で破断させて車室内方側に浮き上がらせて、フロントピラーとフロントピラートリムとの間に生じる間隙を形成するものである。
特開2000−108826号公報
しかしながら、上記特許文献1において、フロントピラートリムの易破断部がエアバッグ袋体の膨張展開圧で破断して車室内方側に浮き上がらせた場合でも、所望の間隙が形成されないおそれがある。すなわち、アシストグリップは、剛体であるフロントピラーに締結固定されている。そのため、フロントピラートリムは、アシストグリップの内周面と当接する位置までしか浮き上がらない。
そのため、エアバッグ袋体の膨張展開圧によってフロントピラートリムが押し退けられてフロントピラートリムが変位して所望の間隙を形成することを予定するものの、このフロントピラートリムがうまく変位しない場合には、エアバッグ袋体が円滑に膨張展開しないおそれがある。
また、易破断部の破断順序によってはエアバッグの膨張展開圧がフロントピラートリムに局部荷重として及ぼされてフロントピラートリムの割れが発生して飛散のおそれがある。近年のエアバッグ装置の膨張展開能力の向上を鑑みると局部荷重に伴うフロントピラートリムの割れの発生が助長される傾向にあり懸念される。従来、このフロントピラートリムの割れ対策としては、フロントピラートリムの表面に表皮を貼付けて割れ防止の対策が図られるものの、表皮の材料コストが増加するという問題は払拭されない。
而して、本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、エアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムの取付構造において、エアバッグ袋体が膨張展開する際にフロントピラートリムとアシストグリップの干渉を抑制し、円滑なエアバッグ袋体の展開を図ると共にフロントピラートリムの割れを抑制することにある。
上記課題を解決するために、本発明のエアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムの取付構造は次の手段をとる。
先ず、第1の発明は、自動車等車両の前部位置に配設されるフロントピラーと、該フロントピラーの車両内方側を覆うフロントピラートリムと、前記フロントピラーとフロントピラートリムの間に格納されるエアバッグ袋体と、前記フロントピラーに支持されて取付けられ前記フロントピラートリムの車両内方側面の長手方向に沿って配設されたアシストグリップと、からなるエアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムの取付構造であって、前記フロントピラートリムは、前記アシストグリップが配設される領域を覆う第1フロントピラートリムと、該第1フロントピラートリムが配設される領域以外の領域を覆う第2フロントピラートリムと、が別体の分割構成とされており、前記第2フロントピラートリムには前記第1フロントピラートリムが配設される開口部を有して、該開口部に第1フロントピラートリムが離脱可能な爪掛合等の適宜掛合手段により一体状の接続状態とされており、前記第2フロントピラートリムは、エアバッグ袋体の膨張展開によって前記掛合手段の掛合状態が外れて第1フロントピラートリムから離脱して車室内方側に浮き上がり、前記第2フロントピラートリムと前記フロントピラーとの間にエアバッグ袋体の展開用間隙が形成されることを特徴とする。
この第1の発明によれば、フロントピラートリムは、第1フロントピラートリムと、第2フロントピラートリムと、が別体の分割構成とされている。この第2フロントピラートリムには第1フロントピラートリムが配設される開口部を有しており、この開口部に第1フロントピラートリムが離脱可能な爪掛合等の適宜掛合手段により一体状の接続状態とされている。そのため、第2フロントピラートリムは、エアバッグ袋体の膨張展開によって掛合手段の掛合状態が外れて第1フロントピラートリムから離脱して車室内方側に浮き上がり、第2フロントピラートリムとフロントピラーとの間にエアバッグ袋体の展開用間隙が形成される構成とされている。
よって、第2フロントピラートリムは、エアバッグ袋体の膨張展開によって第1フロントピラートリムから容易に離脱する構成とすることができる。また、第2フロントピラートリムには第1フロントピラートリムが配設される開口部を有しているから離脱時にアシストグリップとの干渉を抑制することができる。
即ち、フロントピラートリムのうち第1フロントピラートリムは、エアバッグ袋体の膨張展開時においてもアシストグリップと固定された状態を維持する。そのため、第1フロントピラートリムがアシストグリップの内周面と当接して干渉することを防ぐことができる。これにより、アシストグリップを構成するフロントピラートリムであっても、円滑なエアバッグ袋体の展開を図ることができる。
また、第1フロントピラートリムと、第2フロントピラートリムと、が別体の分割構成とされて離脱することからエアバッグ袋体の展開用間隙は十分確保することができる位置まで第2フロントピラートリムを車室内方側に浮き上がらせることができる。そのため、フロントピラートリムは、エアバッグ袋体の膨張展開圧によって局部的な荷重を及ぼされることを抑制できるためフロントピラートリムの割れの発生を抑制することができる。以上より、エアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムの取付構造において、エアバッグ袋体が膨張展開する際にフロントピラートリムとアシストグリップの干渉を抑制し、円滑なエアバッグ袋体の展開を図ると共にフロントピラートリムの割れを抑制することができる。
次に、第2の発明は、第1の発明のエアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムの取付構造において、前記フロントピラー又は第1フロントピラートリムのいずれかと、前記第2フロントピラートリムとの間には、前記第2フロントピラートリムが前記エアバッグ袋体の展開用間隙の形成寸法以上に車室内方側に浮き上がるのを防止する離脱防止手段が設定されていることを特徴とする。
この第2の発明によれば、フロントピラー又は第1フロントピラートリムのいずれかと、第2フロントピラートリムとの間には、離脱防止手段が設定されている。この離脱防止手段は、第2フロントピラートリムがエアバッグ袋体の展開用間隙の形成寸法以上に車室内方側に浮き上がるのを防止する構成を有する。そのため、エアバッグ袋体の展開用間隙の形成を確保しつつ、係る展開用間隙の形成寸法以上に車室内方側に浮き上がるのを防止してフロントピラートリムの飛散を防止することができる。
次に、第3の発明は、第2の発明のエアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムの取付構造において、前記離脱防止手段は、前記第2フロントピラートリムが前記第1フロントピラートリムに対して扉状に回転可能にヒンジ連結されている構成であり、前記エアバッグ袋体は前記扉状の開口側位置に配設されることを特徴とする。
この第3の発明によれば、離脱防止手段は、第2フロントピラートリムが第1フロントピラートリムに対して扉状に回転可能にヒンジ連結されている構成である。そして、エアバッグ袋体は前記扉状の開口側位置に配設される。すなわち、係る開口側がエアバッグ袋体の展開用間隙となる構成である。これにより、第2フロントピラートリムは、エアバッグ袋体の膨張展開側を優先的に浮き上がらせて効率よく開口することができる。
次に、第4の発明は、第1の発明から第3の発明のいずれかのエアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムの取付構造において、前記アシストグリップと前記第1フロントピラートリムとが一体形成されていることを特徴とする。
この第4の発明によれば、アシストグリップと第1フロントピラートリムとが一体形成されることで、部品点数の抑制を図るとともに組み付け作業性の向上を図ることができる。
本発明は上記各発明の手段をとることにより、エアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムの取付構造において、エアバッグ袋体が膨張展開する際にフロントピラートリムとアシストグリップの干渉を抑制し、円滑なエアバッグ袋体の展開を図ると共にフロントピラートリムの割れを抑制することができる。
実施形態1に係るエアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムが車両のフロントピラーに取り付けられた状態を示す斜視図である。 図1のII−II線断面図である。 図1のIII−III線断面図である。 図1のIV−IV線断面図である。 実施形態2に係るエアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムにおける図4に対応する断面図である(図1のV−V線断面図)。 実施形態2に係るエアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムの離脱防止手段を示した斜視図である。 実施形態3に係るエアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムにおける図4に対応する断面図である(図1のVII−VII線断面図)。 実施形態3に係るエアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムの離脱防止手段を示した斜視図である。 実施形態4に係るアシストグリップの斜視図である。 実施形態4に係るエアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムにおける図2に対応する断面図である(図1のX−X線断面図)。 実施形態4に係るエアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムにおける図3に対応する断面図である(図1のXI−XI線断面図)。
<実施形態1>
以下に、本発明を実施するための実施形態1について、図1〜図4を用いて説明する。
図1に図示されるように、実施形態1にかかるエアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムの取付構造は、フロントピラー10と、フロントピラートリム30と、エアバッグ袋体60と、アシストグリップ70とを主体として構成される。
図1、3に図示されるように、フロントピラー10は、車両のボディ本体部と、車両の屋根として構成されるルーフパネルの間に配置構成されて、ルーフパネルを支える柱のうち、車両の前部位置に配設されて構成される。このフロントピラー10の車両内方側を覆うのがフロントピラートリム30である。エアバッグ袋体60は、フロントピラー10とフロントピラートリム30の間に格納される。アシストグリップ70は、フロントピラー10に支持されて取付けられフロントピラートリム30の車両内方側面の長手方向に沿って配設されている。上記構成の詳細について以下に説明する。
図3、4に図示されるように、このフロントピラー10は、鋼板製のアウターパネル12とインナーパネル14、金属リインフォースメント16の三つの部材から構成されている。アウターパネル12は、車両の外壁となる部材であり、インナーパネル14は、車両の内方側に配設されて車室を区画形成するために構成されている。金属リインフォースメント16は、アウターパネル12及びインナーパネル14の剛性の補強を図るための補強材である。このフロントピラー10は、このアウターパネル12とインナーパネル14との間に、金属リインフォースメント16を挟んだ状態で、各々の両端に構成されているフランジ部12f、14fをスポット溶接することで接合された閉断面構造として構成されている。このフロントピラー10の一端のフランジ部12f、14fには、フロントウィンドガラス18の端部が配設されており、アウターパネル12とフロントウィンドガラス18との間をフロントウィンドシール19で塞いでフロントウィンドガラス18が支持されている。また、フロントピラー10の他端のフランジ部12f、14fには、ドアシール20が取り付けられている。
このドアシール20の車両外方には、フロントドア21が構成されている。このフロントドア21は、外周に枠状のドアサッシ24が配置構成されており、その枠内にフロントドアウィンドガラス22が配設されている。このドアシール20は、フロントドア21を閉じたたときにドアサッシ24に密接することでシールするものである。
そして、このフロントピラー10に対する車室内方側には、フロントピラートリム30が配置設備されている。すなわち、インナーパネル14を全体的に被覆するようにフロントピラートリム30が配設されている。
フロントピラートリム30の詳細な構成については後述する。
図3、4に図示されるように、また、インナーパネル14とフロントピラートリム30との間には、乗員保護のためのエアバッグ装置のエアバッグ袋体60が折畳んで上下方向に格納配置されている。
このエアバッグ袋体60は、図1に図示されるように、フロントピラー10から天井トリム材の車幅方向側縁部で覆われる図外のルーフサイドレールに沿って配設されている。フロントピラー10の下側基部あるいはルーフサイドレールの後部には、図示を省略したインフレータが配設されている。
そして、このエアバッグ袋体は、車両に取付けられた衝突検知センサからの出力に基いて図示を省略するイグナイタ(発火装置)を作動させインフレータ(ガス発生器)から発生するガスをエアバッグ袋体60に導入しこのガスにより膨張して、車室側面に沿ってカーテン状に展開されて衝突時における乗員の保護をする。
図2、3に図示されるように、アシストグリップ70は、前述のようにフロントピラー10に支持されて取付けられフロントピラートリム30の車両内方側面の長手方向に沿って配設されている。このアシストグリップ70は、前席乗員が乗降時にこのアシストグリップ70を把持することにより楽に乗降を行えるようにするものである。
アシストグリップ70は、その把持部から見て上端部及び下端部をインナーパネル14に接合配置されたスタンド14sに、ボルト78bとナット78nとにより、フロントピラートリム30の第1フロントピラートリム40を部分的に挟んで締結固定される。詳しくは、図2に図示されるように、アシストグリップ70の上,下端部には、ボルト78bを受け入れ可能な凹部72が形成されている。この凹部72の開放部は樹脂キャップ74で閉塞されるように構成されている。凹部72の底部には、第1挿通孔76が貫通形成される。
ボルト78bは、この第1挿通孔76に挿通されてスタンド14sの背面に設けられたナット78nに螺合,締結される。なお、第1挿通孔76は、ボルト78bが挿通可能な構成であれば嵌め合い公差は厳しく設定しなくてもよい。
一方、アシストグリップ70の凹部72の背面側(第1フロントピラーと当接する部位)には、凸座面形状のボス部73が形成されている。このボス部73は、第1フロントピラートリム40の凹陥部43と嵌合して位置決めをするために構成される。
第1フロントピラートリム40のアシストグリップ70の上,下端部に挟まれてスタンド14sに共締め固定される部分には、上記ボス部73が嵌合する凹陥部43が形成されている。この凹陥部43はボス部73を貫通形成されているがボス部73を嵌合可能な凹部であってもよい。なお、アシストグリップ70のボス部73と、第1フロントピラートリム40の凹陥部43の嵌め合い公差を厳しく設定することでアシストグリップ70と第1フロントピラートリム40の互いの位置決めを容易とすることが可能となる。
図2〜4に図示されるように、このフロントピラートリム30は、上記フロントピラー10に対する車室内方側に配置装備されるものである。このフロントピラートリム30は、適宜の合成樹脂材をもって所用の型成形によって長尺状の板状部材に形成されている。このフロントピラートリム30は、先ずその外表面が、車室内壁を滑らかな面形状とする意匠面としての機能を果たす。なお、装飾性に鑑み表皮を貼合されるものであってもよい。また、車両衝突時の乗員保護の機能を果たす。すなわち、車両の衝突時に乗員が慣性によってフロントピラー10に衝突する所謂2次衝突に対するプロテクター機能とを併有する。
このフロントピラートリム30は、図2〜4に図示されるように、第1フロントピラートリム40と、第2フロントピラートリム50と、が別体の分割構成とされている。
第1フロントピラートリム40は、アシストグリップ70が配設される領域を覆う略長方形状に形成されている。アシストグリップ70によりインナーパネル14に接合配置されたスタンド14sに共締め固定される。
第2フロントピラートリム50は、この第1フロントピラートリム40が配設される領域以外のインナーパネル14を全体的に被覆する領域を覆う形状に形成されている。
すなわち、第1フロントピラートリム40と、第2フロントピラートリム50とが合わさることで、インナーパネル14を全体的に被覆する構成とされている。
第2フロントピラートリム50には、図2〜4に図示されるように、第1フロントピラートリム40が配設される開口部52を有している。この開口部52の内周縁部には、インナーパネル14に向かって少なくとも2つの突出する爪部材54(掛合手段)が構成されている。この爪部材54は、第2フロントピラートリム50と同様の合成樹脂材で一体に形成されており、第1フロントピラートリム40に対し弾性変形することで掛合可能に形成されている。これにより、第2フロントピラートリム50の開口部52の爪部材54が、第1フロントピラートリム40の外周縁部に掛合わされて一体状の接続状態とされている。また、図示を省略するが第2フロントピラートリム50の上,下端部に内,外方向に向けてオフセットした接続片が形成されている。この接続片は、図示を省略するがルーフトリムまたはルーフレールトリム等の天井トリム材の裏側およびインストルメントパネルの側部に差込み係着して、これら天井トリム材およびインストルメントパネルとの面整合が図られている。
図4に図示されるように、第1フロントピラートリム40と、第2フロントピラートリム50との間には、ストラップ80(離脱防止手段)によって連結されている。
このストラップ80は、第2フロントピラートリム50がエアバッグ袋体の展開用間隙S1の形成寸法以上に車室内方側に浮き上がるのを防止する。ストラップ80は、紐状の部材でありエアバッグ袋体の膨張展開圧によって破断しない部材であれば種々選択できる。例えば、天然繊維や合成樹脂材の紐部材、金属製のワイヤ等が種々選択できる。本実施形態1においては、合成樹脂材の紐部材が選択されている。
このストラップ80の一端は、第1フロントピラートリム40の背面側(インナーパネル14と対向する面)に設けられた第1固定部49に取り付けられており、他端部は、第2フロントピラートリム50の内面(インナーパネル14と対向する面)のうち車両前方側の内面56に設けられた第2固定部59に取り付けられている。これは、車両後方側の内面58側にはエアバッグ袋体60が配設されることによる。ストラップ80の長さは、第2フロントピラートリム50がエアバッグ袋体60の展開用間隙S1の形成寸法以上に車室内方側に浮き上がるのを防止する長さであれば適宜設定できる。
このエアバッグ袋体60を格納したアシストグリップ70付のフロントピラートリム30の作用は次のとおりである。
図2〜4に図示されるように、常時は、第2フロントピラートリム50の開口部52に設けられた爪部材54と第1フロントピラートリム40の外周縁部が掛り合って一体状の接続状態とされている。
次に、車両に取付けられた衝突検知センサからの出力がなされると、この出力に基いて図示を省略するイグナイタ(発火装置)が作動されインフレータ(ガス発生器)からのガスによりエアバッグ袋体60が膨張展開する。
第2フロントピラートリム50は、エアバッグ袋体60の膨張展開によって爪部材54の掛合状態が外れて第1フロントピラートリムから離脱して車室内方側に浮き上がり、第2フロントピラートリム50とフロントピラー10との間にエアバッグ袋体60の展開用間隙S1が形成される。
第2フロントピラートリム50は、ストラップ80の構成によってエアバッグ袋体60の展開用間隙S1の形成を確保しつつ、係る展開用間隙S1の形成寸法以上に車室内方側に浮き上がるのが防止される。これにより、エアバッグ袋体60は、車室側面に沿ってカーテン状に展開される。
このように、実施形態1のエアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムの取付構造は、フロントピラートリム30は、第1フロントピラートリム40と、第2フロントピラートリム50と、が別体の分割構成とされている。この第2フロントピラートリム50には第1フロントピラートリム40が配設される開口部52を有しており、この開口部52に第1フロントピラートリム40が離脱可能な爪部材54(掛合手段)により一体状の接続状態とされている。そのため、第2フロントピラートリム50は、エアバッグ袋体60の膨張展開によって爪部材54の掛合状態が外れて第1フロントピラートリム40から離脱して車室内方側に浮き上がり、第2フロントピラートリム50とフロントピラーとの間にエアバッグ袋体60の展開用間隙S1が形成される構成とされている。
よって、第2フロントピラートリム50は、エアバッグ袋体60の膨張展開によって第1フロントピラートリム40から容易に離脱する構成とすることができる。また、第2フロントピラートリム50には第1フロントピラートリム40が配設される開口部52を有しているから離脱時にアシストグリップ70との干渉を抑制することができる。
即ち、フロントピラートリムのうち第1フロントピラートリム40は、エアバッグ袋体60の膨張展開時においてもアシストグリップ70と固定された状態を維持する。そのため、第1フロントピラートリム40がアシストグリップ70の内周面と当接して干渉することを防ぐことができる。これにより、アシストグリップ70を構成するフロントピラートリム30であっても、円滑なエアバッグ袋体60の展開を図ることができる。
また、第1フロントピラートリム40と、第2フロントピラートリム50と、が別体の分割構成とされて離脱することからエアバッグ袋体60の展開用間隙S1は十分確保することができる位置まで第2フロントピラートリム50を車室内方側に浮き上がらせることができる。そのため、フロントピラートリム30は、エアバッグ袋体60の膨張展開圧によって局部的な荷重を及ぼされることを抑制できるためフロントピラートリム30の割れの発生を抑制することができる。以上より、エアバッグ袋体60を格納したアシストグリップ70付のフロントピラートリム30の取付構造において、エアバッグ袋体60が膨張展開する際にフロントピラートリム30とアシストグリップ70の干渉を抑制し、円滑なエアバッグ袋体60の展開を図ると共にフロントピラートリム30の割れを抑制することができる。
また、第1フロントピラートリム40と、第2フロントピラートリム50との間には、ストラップ80(離脱防止手段)が設定されている。このストラップ80は、第2フロントピラートリム50がエアバッグ袋体60の展開用間隙S1の形成寸法以上に車室内方側に浮き上がるのを防止する構成を有する。そのため、エアバッグ袋体60の展開用間隙S1の形成を確保しつつ、係る展開用間隙S1の形成寸法以上に車室内方側に浮き上がるのを防止してフロントピラートリム30の飛散を防止することができる。
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2に係るエアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムの取付構造を図5、6にしたがって説明する。なお、上記実施形態1と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略することがある。この実施形態2では、上記実施形態1とは離脱防止手段の構成が異なっている。すなわち、実施形態1の離脱防止手段はストラップ80とする構成であった。
これに対し、実施形態2は上記点の構成を変更した次のようなものである。
図5、6に図示されるように、フロントピラートリム230の離脱防止手段は、第2フロントピラートリム250が第1フロントピラートリム240に対して扉状に回転可能にヒンジ連結されている構成である。図6によく示されるように、第1フロントピラートリム240の車両前方側には、車両前方に向かって突出する矩形の枠状部位244が一体に設けられている。この矩形の枠状部位244の周方向の一部が分離した分離部245が形成されている。
これに対し、第2フロントピラートリム250には、上記枠状部位244に対応する位置には、リブ255が形成されている。このリブ255は、車両前方側の内面256と開口部252の内面近傍を繋ぐように棒状の部材が一体に形成されている。
第2フロントピラートリム250は、このリブ255を枠状部位244の分離部245から進入させて枠状部位244内に挿通した状態で、第1フロントピラートリム240に取り付ける。
エアバッグ袋体60は、車両後方側が扉状に開口されてエアバッグ袋体60の展開用間隙S2が形成される。エアバッグ袋体60は、この開口側位置(展開用間隙S2)に配設される。
その他の構成については実施形態1と同様である。以上より、実施形態2に係るエアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムの取付構造は、実施形態1と同一の機能を果たし、同一の作用、効果を得ることができる。
また、離脱防止手段は、第2フロントピラートリム250が第1フロントピラートリム240に対して扉状に回転可能にヒンジ連結されている構成である。そして、エアバッグ袋体60は扉状の開口側位置に配設される。すなわち、係る開口側がエアバッグ袋体60の展開用間隙S2となる構成である。これにより、第2フロントピラートリム250は、エアバッグ袋体60の膨張展開側を優先的に浮き上がらせて効率よく開口することができる。
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3に係るエアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムの取付構造を図7、8にしたがって説明する。なお、上記実施形態2と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略することがある。この実施形態3では、上記実施形態2とは離脱防止手段の構成が異なっている。すなわち、実施形態2の扉状に回転可能にヒンジ連結の構成の一部が異なるものである。
図7によく示されるように、フロントピラートリム330の第2フロントピラートリム350の開口部352の車両前方側には、インナーパネル14に向かって突出する矩形の枠状部位355が一体に設けられている。
これに対し、第1フロントピラートリム340には、上記枠状部位355に対応する位置には、引掛爪部材344が上記枠状部位355側(車両前方側)に向かって一体に突出形成されている。この引掛爪部材344は、車両後方側から車両前方側に向かって枠状部位355の内周面に挿通されて互いが係止した状態で保持されている。
第2フロントピラートリム350の枠状部位355に、第1フロントピラートリム340の引掛爪部材344を進入させて枠状部位355内に挿通した状態で、第1フロントピラートリム340と第2フロントピラートリム350を一体状の接続状態に取り付ける。
エアバッグ袋体60は、実施形態2と同様である。すなわち、エアバッグ袋体60は、車両後方側が扉状に開口されてエアバッグ袋体60の展開用間隙S3が形成される。エアバッグ袋体60は、この開口側位置(展開用間隙S3)に配設される。
その他の構成については実施形態2と同様である。以上より、実施形態3に係るエアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムの取付構造は、実施形態2と同一の機能を果たし、同一の作用、効果を得ることができる。
<実施形態4>
次に、本発明の実施形態4に係るエアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムの取付構造を図9〜11にしたがって説明する。なお、上記実施形態1から3と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略することがある。この実施形態1では、アシストグリップ70と第1フロントピラートリム40が別体の構成であった。
これに対し、実施形態4は上記点の構成を変更した次のようなものである。図9〜11に図示されるように、フロントピラートリム430のアシストグリップ470は、第1フロントピラートリム440とが一体形成されたものである。
その他の構成については実施形態1から3の各構成を適用できる。以上より、実施形態4に係るエアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムの取付構造は、実施形態1から3と同一の機能を果たし、同一の作用、効果を得ることができる。
また、部品点数の抑制を図るとともに組み付け作業性の向上を図ることができる。
以上、本発明の実施形態1〜実施形態4について説明したが、本発明のエアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムの取付構造は、本実施の形態に限定されず、その他各種の形態で実施することができるものである。
例えば、第2フロントピラートリムの開口部の内周縁部には、インナーパネルに向かって突出するアングルを設けてもよい。このアングルは、第1フロントピラートリムの外周縁部と面接触することで、第2フロントピラートリムと第1フロントピラートリムとの互いの位置合わせをする機能部位とすることができるこれにより、両部品の合わせ部を均一な溝とすることで見栄えの向上を図ることもできる。
また、第1フロントピラートリムの外周部位のうち、第2フロントピラートリムと重なり合う部位を第2フロントピラートリムの板厚分、段差形状とすることで両部品の合わせ部の見栄えの向上を図ることもできる。
爪部材は、掛合手段の一例に過ぎない。エアバッグ袋体が膨張展開する以外の常時において、第1フロントピラートリムと第2フロントピラートリムが離脱可能な掛合手段により一体状の接続状態を構成するものであれば、種々の掛合いの構成を適用できる。
また、爪部材は、第2フロントピラートリムと同様の合成樹脂材で一体に形成されるものに限定されない。すなわち、爪部材は、別体で構成されて第2フロントピラートリムに後付けして一体的にするものでもよい。また、別材質の合成樹脂材で別体で構成され、第2フロントピラートリムに後付けして一体的にするものでもよい。
離脱防止手段は、フロントピラーと第2フロントピラートリムとの間に設定されるものであってもよい。例えば、樹脂クリップで両部材を連結するものであってもよい。
10 フロントピラー
12 アウターパネル
12f フランジ部
14 インナーパネル
14f フランジ部
14s スタンド
16 金属リインフォースメント
18 フロントウィンドガラス
19 フロントウィンドシール
20 ドアシール
21 フロントドア
22 フロントドアウィンドガラス
24 ドアサッシ
30 フロントピラートリム
40 第1フロントピラートリム
43 凹陥部
49 第1固定部
50 第2フロントピラートリム
52 開口部
54 爪部材(掛合手段)
56 車両前方側の内面
58 車両後方側の内面
59 第2固定部
60 エアバッグ袋体
70 アシストグリップ
72 凹部
73 ボス部
74 樹脂キャップ
76 第1挿通孔
78b ボルト
78n ナット
80 ストラップ(離脱防止手段)
230 フロントピラートリム
240 第1フロントピラートリム
244 枠状部位(離脱防止手段)
245 分離部
250 第2フロントピラートリム
252 開口部
255 リブ(離脱防止手段)
256 車両前方側の内面
330 フロントピラートリム
350 第2フロントピラートリム
352 開口部
355 枠状部位
340 第1フロントピラートリム
344 引掛爪部材
430 フロントピラートリム
440 第1フロントピラートリム
470 アシストグリップ
S1、S2、S3 展開用間隙

Claims (4)

  1. 自動車等車両の前部位置に配設されるフロントピラーと、該フロントピラーの車両内方側を覆うフロントピラートリムと、前記フロントピラーとフロントピラートリムの間に格納されるエアバッグ袋体と、前記フロントピラーに支持されて取付けられ前記フロントピラートリムの車両内方側面の長手方向に沿って配設されたアシストグリップと、からなるエアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムの取付構造であって、
    前記フロントピラートリムは、前記アシストグリップが配設される領域を覆う第1フロントピラートリムと、
    該第1フロントピラートリムが配設される領域以外の領域を覆う第2フロントピラートリムと、が別体の分割構成とされており、
    前記第2フロントピラートリムには前記第1フロントピラートリムが配設される開口部を有して、該開口部に第1フロントピラートリムが離脱可能な爪掛合等の適宜掛合手段により一体状の接続状態とされており、
    前記第2フロントピラートリムは、エアバッグ袋体の膨張展開によって前記掛合手段の掛合状態が外れて第1フロントピラートリムから離脱して車室内方側に浮き上がり、前記第2フロントピラートリムと前記フロントピラーとの間にエアバッグ袋体の展開用間隙が形成されることを特徴とするエアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムの取付構造。
  2. 請求項1に記載のエアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムの取付構造であって、
    前記フロントピラー又は第1フロントピラートリムのいずれかと、前記第2フロントピラートリムとの間には、前記第2フロントピラートリムが前記エアバッグ袋体の展開用間隙の形成寸法以上に車室内方側に浮き上がるのを防止する離脱防止手段が設定されていることを特徴とするエアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムの取付構造。
  3. 請求項2に記載のエアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムの取付構造であって、
    前記離脱防止手段は、前記第2フロントピラートリムが前記第1フロントピラートリムに対して扉状に回転可能にヒンジ連結されている構成であり、前記エアバック袋体は前記扉状の開口側位置に配設されることを特徴とするエアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムの取付構造。
  4. 請求項1から3のいずれかに記載のエアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムの取付構造であって、
    前記アシストグリップと前記第1フロントピラートリムとが一体形成されていることを特徴とするエアバッグ袋体を格納したアシストグリップ付フロントピラートリムの取付構造。
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