本発明の実施の形態
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ここで図1乃至図40は本発明によるキャリアテープ巻取収納装置及びキャリアテープ巻取収納方法を示す図である。
本発明によるキャリアテープ巻取収納装置は、電子部品等のワークWを保持して収納した長尺状のキャリアテープT0(図4参照)を円板状の空リールR0に巻取り、巻取ったリールR1に対してラベルL0を貼付してラベル付リールR2を作製し、このラベル付リールR2をストッカ102に落下させて収納するものである。
このようなキャリアテープ巻取収納装置は、図1に示すように、キャリアテープT0を垂直に保持した空リールR0に巻取る巻取部101と、巻取部101に隣接して設けられ空リールR0にキャリアテープT0を巻取って作製されたリールR1に対してラベルL0を貼付してラベル付リールR2を作製する貼付部104と、巻取部101からのリールR1を垂直方向に保持する第1の保持位置αと、第1の保持位置αに対して90°回転しリールR1を水平方向に保持する第2の保持位置βをとる保持板105と、第2の保持位置βをとる保持板105の下方に設けられラベル付リールR2を収納するストッカ102とを備えている。
このうち巻取部101は内部に回転自在のモータを設置した回転駆動部101aを有し、モータの回転軸101bは回転駆動部101aの前面に突出し、モータの回転により矢印Aの方向に回転する。
回転駆動部101aの前面側には、上述のようにキャリアテープT0を巻き取ったリールR1を保持する保持手段としての保持板105が配置されている。保持板105は長方形の薄板で、その一辺には位置決めブロック106が固着されている。位置決めブロック106は直方体形状を有し、中央部に保持板105の板面側であって板面に対して直交して円弧状の位置決め凹部106aが形成されている。この位置決め凹部106aは、リールの半径と略同一の曲率半径を有している。
保持板105は図示されない駆動機構の作用により、垂直となる第1の保持位置αと水平となる第2の保持位置βとの間で、矢印J及び矢印Kのように略90°回転する。
図1において、保持板105が第1の保持位置αにある場合を実線で示し、第2の保持位置βにある場合を破線で示している。
保持板105が第1の保持位置αにある場合は、キャリアテープT0を巻き取ったリールR1は回転駆動部101aの前面と保持板105との間に垂直に保持される。このとき、位置決め凹部106aは上側に向けて開口する。また、保持板105が第2の保持位置βにある場合は、キャリアテープを巻き取ったリールR1は保持板105の上面に水平に載置される。保持板105の一面(第2の保持位置βをとる保持板105の下面)には、貼付部104に近い一辺のやや内側に凸部としての2個の突起105a1、105a2が形成されている。
突起105a1、105a2は、保持板105が第1の保持位置αにある場合には回転駆動部101aの反対側にあり、保持板105が第2の保持位置βにある場合には下側にくる。
貼付部104は巻取部101に隣接して設けられ、キャリアテープT0を巻き取ったリールR1にキャリアテープに収納されているワークの品名、定格、製造ロット番号等を記載したラベルを貼付する貼付手段として機能する。貼付部104は内部に回転自在のモータを設置した基台104aを有し、基台104aの上面には、垂直方向に上向きのスピンドル104bを有するターンテーブル104cが設置されている。このターンテーブル104cは基台104a内部のモータにより矢印Uの方向に回転するとともに、図示されない駆動機構により、矢印F及び矢印Gの方向に上下移動自在となっている。
また、基台104aの上方において、後方となる位置にプリンタ104dが設置されている。プリンタ104dはリールR1に貼付するラベルを印刷する機能を有し、プリンタ104dの前面には印刷されたラベルを載置するためのラベル置き台104eが設置されている。
巻取部101の回転駆動部101aの前面と、貼付部104の基台104aの上面との間に、図示しない駆動機構によって矢印D及び矢印Eの方向に往復する搬送手段としての搬送トレイ103が設置されている。搬送トレイ103は長方形の平板形状をなす搬送板103Aと、搬送板103Aのうち貼付部104と反対側の端部に設けられた枠体103bとを有し、搬送板103Aにはターンテーブル104cの直径よりもやや大きい直径を有する通過穴103aが開口している。
搬送トレイ103の回転駆動部101aの前面における停止位置は、ストッカ102の直上であり、かつ第2の保持位置βにある保持板105と対向する位置すなわち保持板105の直下である。また、搬送トレイ103の基台104aの上面における停止位置は、通過穴103aがターンテーブル104cの直上となる位置である。
図1においては、搬送トレイ103が回転駆動部101aの前面における停止位置に停止している様子を示している。搬送トレイ103は、その上面に巻取部101においてキャリアテープを巻き取ったリールR1を水平に載置して、巻取部101から貼付部104に向けて搬送し、貼付部104において水平に保持されてラベルを貼付したリール(ラベル付リール)R2を水平に載置して、貼付部104から巻取部101に向けて搬送する。搬送板103Aの貼付部104から遠い側の端部となる一辺には、枠体103bが設けられている。
枠体103bは搬送板103Aに近い下側に空隙103dを有し、枠体103bと搬送板103Aとにより側面からみてL字形状を形成している。また枠体103bのうち空隙103dの上側の部分には、押出手段としての押出板103c1及び103c2が設置されている。押出板103c1及び103c2は枠体103bから貼付部104側に向けて互いに反対の斜め方向に突出した2枚の平板からなる。キャリアテープを巻き取ったリールR1が第2の保持位置βにある保持板105の上面に水平に載置され、ラベルを貼付したリールR2が保持板105の直下位置に停止している搬送トレイ103の上面に水平に載置されている様子を、図1におけるX方向矢視図として図2に示す。また、同じ様子を図1におけるY方向矢視図として図3に示す。
図2に示すように、保持板105はキャリアテープを巻き取ったリールR1を上面に水平に載置し、押出板103c1,103c2は保持板105の上面側かつリールR1と略同一高さに位置している。また、保持板105の下面に設けられた突起105a1,105a2は、搬送トレイ103の上面に水平に載置されたリールR2に対して、搬送トレイ103が貼付部104に向けて移動する矢印Dの方向、すなわち貼付部104に近い側に位置しており、その下端はリールR2の上面よりも低い位置にある。
また、図3に示すように、搬送トレイ103の上面に水平に載置されたリールR2と保持板105は、枠体103bの搬送板103Aに近い下側に設けられた空隙103dの上端よりも下側に位置している。
また、図1に示すように、搬送トレイ103の回転駆動部101aの前面における停止位置の直下位置には、貼付部104においてラベルを貼付したリールR2を収納するストッカ102が配置されている。ストッカ102は、図示されない駆動機構により矢印B及び矢印Cの方向に移動自在の載置テーブル102aを有する。
ストッカ102の載置テーブル102aは3方向をストッカ枠102b1、102b2、102b3により囲まれており、載置テーブル102aの装置前面側は解放されている。また、載置テーブル102aは装置前面側がストッカ枠102b2側よりもやや高くなるように傾斜している。
このようなキャリアテープ巻取装置100を構成する各部の動作を制御するために、制御部100aが設けられている。なお、本発明の説明に関連する図面を見やすくするために、図中の保持板105は透明体として描かれているが、実際の装置においては保持板105を特に透明体により形成する必要はない。
次に以上のような構成を有するキャリアテープ巻取収納装置100の作用、すなわちキャリアテープ巻取収納方法について、図4乃至図34を用いて以下詳述する。
なお、以下の説明において、特に強調する必要がない場合は、「キャリアテープを巻き取ったリールR1」を単に「リールR1」と記載し、同様に、「ラベルを貼付したリールR2」を単に「リールR2」と記載する。
図4に示すように、空のリールR0がキャリアテープ巻取装置100に供給され、制御部100aの作用により、図示されない搬送機構がリールR0を搬送する。そして、搬送機構は、キャリアテープT0をリールR0に巻き取る巻取手段としての巻取部101を構成する回転駆動部101a内に設置されたモータの回転軸101bと、リールR0の略中心部に設けられた断面が円形状の中心穴Rcを嵌合させるように、リールR0を位置決めする。
次に、図示されない装着機構の作用により、リールR0の中心穴Rcが回転軸101bに固定装着される。そして、図示されない接続機構が電子部品等のワークWを収納した長尺のキャリアテープT0の先端部をリールR0の図示されない溝部に挿入して、キャリアテープT0がリールR0に接続される。次に、制御部100aの作用により、回転駆動部101a内に設置されたモータが回転を開始する。これによって、回転軸101bが矢印Aの方向に回転して、リールR0が垂直に保持された状態でキャリアテープT0がリールR0に巻き取られる。
このとき保持板105は第1の保持位置αに位置しており、搬送トレイ103はストッカ102の直上位置に停止している。搬送トレイ103及び載置テーブル102aの上には何も載置されておらず、載置テーブル102aはストッカ枠102b1、102b2、102b3により囲まれた空間内で最も高い位置すなわち搬送トレイ103に最も近い位置にある。これが載置テーブル102aの初期位置である。
図5にキャリアテープT0の巻き取りが完了した直後の様子を示す。巻き取りが完了したことを制御部100aが検知すると、図示されない切断機構の作用により余分なキャリアテープT0が切り取られる。そして、キャリアテープT0を巻き取ったリールR1は、図示されない搬送機構の作用により回転軸101bから取り外されて矢印M1の方向に搬送され、回転駆動部101aの前面と第1の保持位置αにある保持板105との間の空間に垂直に保持される。
このとき、保持板105の下端に固着された位置決めブロック106に形成された位置決め凹部106aは上側に向けて開口しており、かつこの位置決め凹部106aの曲率半径がリールR1の半径と略同一であるため、リールR1の下端部と位置決め凹部106aとが安定して接触し、リールR1の位置決めが行われる。第1の保持位置αにおいてリールR1の位置決めが行われたことを制御部100aが検知すると、図示されない搬送機構が再び空のリールR0を巻取部101に向けて搬送し、図示されない装着機構が回転軸101bにリールR0を固定装着する。これをリール交換と呼ぶ。
次に図6のように、図示されない駆動機構の作用により、保持板105が第1の保持位置αから矢印Jの方向に略90°回転し、第2の保持位置βに移動する。これに伴ってリールR1も略90°回転して水平位置をとり、第2の保持位置βにおいて水平に保持された保持板105の上面に載置される。
ここで、リールR1にラベルを貼付する位置はあらかじめ決められており、図6においては、その位置を破線で囲んでラベル貼付領域Laとして示している。ただし、実際のリールR1には破線は記載されておらず、ラベル貼付領域Laの位置は貼付部104に設置された図示されないセンサによって検知されている。
第2の保持位置βにおいて保持板105の上面にリールR1が載置されたことを制御部100aが検知すると、図7(a)(b)に示すように、図示されない駆動機構の作用により搬送トレイ103が貼付部104に向けて矢印Dの方向に移動を開始する。そして、図8に示すように、搬送トレイ103の矢印D方向への移動に伴い、枠体103bに設置された押出板103c1及び103c2が矢印D方向へ移動して、保持板105の上面に載置されたリールR1の外周に当接する。
この間、図2及び図3に示すように、保持板105は枠体103bに設けられた空隙103dの上端よりも下側に位置しているので、搬送トレイ103が矢印Dの方向に移動すると、図7乃至図9に示すように、保持板105は空隙103dを通過することができる。そして、図9に示すように、リールR1は押出板103c1及び103c2によって矢印Dの方向に押され、保持板105の上面から矢印M2の方向に落下して、搬送トレイ103の上面に移載される。
図6乃至図9における保持板105上のリールR1の移動の様子を、図1におけるZ方向から見た矢視図(平面図)として、図10乃至図14に示す。図10は、図6においてリールR1が保持板105の上面に載置された様子を示す。リールR1の端部は位置決め凹部106aと接触した状態にある。
ここから搬送トレイ103が、図11に示すように矢印Dの方向に移動を開始する。ここで、図2及び図3に示すように、押出板103c1及び103c2は保持板105の上面側かつリールR1と略同一高さに位置している。このため、移動開始後しばらくすると、図12に示すように、押出板103c1がリールR1の外周に点γ1において当接する。
この状態からさらに搬送トレイ103が矢印Dの方向に移動すると、点γ1における当接に起因する力によって、リールR1は位置決め凹部106aから離間して、図13に示すように、押出板103c1及び103c2にそれぞれ点γ1及び点γ2で当接しながら、矢印Dの方向に移動するようになる。そして、図14に示すように、リールR1は保持板105の上面から押し出されて、その後図9中の矢印M2のように搬送トレイ103の上面に移載される。
以上の説明に従って、リールR1が保持板105の上面から押し出されて、搬送トレイ103の上面に移載されるまでの様子を、図6乃至図9においては、図1におけるX方向矢視図として、図6(b)乃至図9(b)で表記している。この保持板105から搬送トレイ103への移載時に、搬送板103Aにおいて通過穴103aをリールR1が保持板105から移載される位置近傍に開口することにより、搬送トレイ103の進行方向についてのリールR1の位置決めが行われ、同時に、上述のように保持板105の上面に載置されたリールR1の外周が押出板103c1,103c2に2点で当接して押し出されることにより、搬送トレイ103の進行方向と直交する方向についてのリールR1の位置決めが行われる。これらの位置決めにより、保持板105から搬送トレイ103に移載されたリールR1は、搬送板103Aに開口する通過穴103aの上に載置される。
そして、搬送トレイ103は、図15に示すように更に矢印Dの方向に移動し、図16のように、貼付部104を構成する基台104aの上側において、上述のように搬送板103Aに開口する通過穴103a(図1)が基台104a上に設置されたターンテーブル104c(図1)の直上となる位置で停止する。そして、図示されない位置決め機構の作用により、リールR1の中心穴Rcがターンテーブル104cのスピンドル104bの直上となるように位置決めされる。
なお、図16において、全体の斜視図を図16(a)として表記し、位置決めされた搬送トレイ103、リールR1の中心穴Rc、およびターンテーブル104cを図16(a)の矢印Vの方向から見た矢視断面図を図16(b)に示す。
この時点で巻取部101におけるリール交換が完了し、回転軸101bと新しい空リールR0の中心穴Rcの位置決め及び固定装着が行われ、キャリアテープT0とリールR0とが接続された状態となる。そして、回転駆動部101a内に設置されたモータが回転を開始して回転軸101bが矢印Aの方向に回転し、キャリアテープT0の空のリールR0への巻き取りが開始される。
次に、上述のようにリールR1の中心穴Rcとターンテーブル104cのスピンドル104bの位置決めが行われたことを制御部100aが検知すると、図17に示すように、図示されない駆動機構の作用によりターンテーブル104cが矢印Fの方向に上昇して、直上に位置する搬送板103Aの通過穴103a(図1)を貫通する。そして、リールR1の中心穴Rcがスピンドル104bに嵌合して固定装着される。
次に、リールR1に設けられたラベル貼付領域Laの位置が図示されないセンサにより検出され、その検出情報が制御部100aに送付される。そして、この検出情報に基づいて、制御部100aが図示されない駆動機構を駆動させ、図18に示すように、ラベル貼付領域Laがプリンタ104dの直前位置となるように矢印Uの方向にターンテーブル104cが回転して停止する。
次に、ラベル貼付領域Laがプリンタ104dの直前位置となったことを制御部100aが検知すると、図示されない駆動機構の作用により、図19に示すように、ターンテーブル104cが矢印Gの方向に下降し、リールR1の中心穴Rcがスピンドル104bから外れる。そして、その間にプリンタ104dがラベルL0を印刷してラベル置き台104e上に載置する。このとき、ラベルL0の下面には貼付用の糊が付着しているが、ラベル置き台104eの上面は、糊によりラベルL0が付着するのを防止するように、表面処理が施されている。
この間に、図示されない駆動機構の作用により、保持板105は第2の保持位置βから矢印Kの方向に略90°回転して、第1の保持位置αに戻る。なお、図17乃至図19においては、装置の斜視図を図17(a)乃至図19(a)として表記し、図17(a)乃至図19(a)におけるV方向矢視図を図17(b)乃至図19(b)として表記している。
次に、図20に示すように、制御部100aの作用により、ラベル置き台104eに載置されたラベルL0は図示されない吸着ノズルに吸着された状態で、矢印NのようにリールR1のラベル貼付領域Laに向けて搬送され、吸着ノズルはラベルL0を吸着したままラベル貼付領域LaにラベルL0を上方から押圧して貼付する。その後、吸着ノズルは吸着を解除してラベル貼付領域Laから離間する。
このようにして、貼付部104は搬送トレイ103にリールR1を水平に載置した状態でラベルL0を貼付する。
ラベルL0がリールR1に貼付されたことを制御部100aが検知すると、ラベルL0を貼付したリールR2を載置した搬送トレイ103は、図21に示すように、巻取部101に向けて矢印Eの方向に移動を開始する。そして、図22に示すように、図4と同様のストッカ102の直上位置で停止する。
次に、巻取部101におけるキャリアテープT0の巻き取りが完了し、これを制御部100aが検知する。この様子を図23に示す。
キャリアテープT0を巻き取ったリールR1は、図5に示す場合と同様に、図示されない切断機構の作用により余分なキャリアテープT0が切り取られ、図示されない搬送機構の作用により回転軸101aから取り外されて矢印M1の方向に搬送され、回転駆動部101aの前面と第1の保持位置αにある保持板105との間に垂直に保持される。次に、図24に示すように、図示されない駆動機構の作用により、保持板105が第1の保持位置αから矢印Jの方向に略90°回転し、第2の保持位置βに移動する。これに伴ってリールR1も略90°回転して水平となり、第2の保持位置βにおいて水平に保持された保持板105の上面に載置される。この動作は図6に示す場合と略同様であるが、図24において、リールR1が第2の保持位置βにおいて水平に保持された保持板105の上面に載置されたとき、保持板105の下面と対向する搬送トレイ103の上面には、ラベルLを貼付したリールR2が載置されている。この点は図6に示す場合とは異なっている。
次に、図25に示すように、搬送トレイ103が貼付部104に向けて矢印Dの方向に移動を開始する。
この点は図7に示す場合と略同様であり、図25乃至図28における保持板105の上面に載置されたリールR1と押出板103c1及び103c2の動作は、図7乃至図9と略同様である。
この間、図25において搬送トレイ103の上面に載置されているラベルL0を貼付したリールR2は、図26において保持板105の下面に設けられた突起105a1、105a2と当接し、搬送トレイ103とともに矢印Dの方向に移動することを阻止される。そして、図2及び図3に示すように、リールR2は枠体103bの搬送板103Aに近い下側に設けられた空隙103dの上端よりも下側に位置しているので、搬送トレイ103が矢印Dの方向に移動すると、搬送トレイ103とともに矢印Dの方向に移動することを阻止された状態のままで、図26乃至図27に示すように空隙103dを通過することができる。
その後、リールR2は、図27における矢印M3の方向に落下して、図28に示すように、ストッカ102の載置テーブル102a上に収納される。リールR2が載置テーブル102a上に収納されたことを制御部100aが検知すると、図示されない駆動機構の作用により、載置テーブル102aは図1における矢印Bの方向に下降する。その後も載置テーブル102aは、リールR2が1個載置される都度、図示されない駆動機構の作用により矢印Bの方向に下降する。
載置テーブル102aがそれ以上下降できなくなる位置まで下降すると、載置テーブル102a上にリールR2が満杯になったことを意味する。ストッカ102にはその位置を検知する図示されないセンサが設置されており、その検知情報が音と表示で外部に通知され、キャリアテープ巻取装置100は動作を停止する。
この通知により、装置の担当者はストッカ102内のリールR2をすべて搬出する。リールR2がすべて搬出されたことを上記センサが検知すると、載置テーブル102aは図示されない駆動機構の作用により図1に示す矢印Cの方向に上昇して初期位置に戻る。リールR2が満杯となる数量は20個から30個程度に設定されることが多い。
一方、図24において保持板105の上面に載置されたリールR1は、搬送トレイ103が図25に示す矢印Dの方向に移動を開始すると、図26乃至図28に示すように、押出板103c1,103c2の作用により矢印Dの方向に押され、保持板105の上面から図28に示す矢印M4の方向に落下して、直前にリールR2が載置テーブル102aに落下して空になった搬送トレイ103の上面に移載される。このときの押出板103c1,103c2の作用については、図6乃至図9を用いて説明したので、ここでは説明を省略する。
以上のように、保持板105の上面から搬送トレイ103の上面にリールR1が移載されると、搬送トレイ103は図28に示す矢印Dの方向にさらに移動し、図34に示すように、貼付部104を構成する基台104aの上側において、搬送板103Aに開口する通過穴103a(図1)が基台104a上に設置されたターンテーブル104c(図1)の直上となる位置で停止する。その後、貼付部104の作用により、図17乃至図20と同様にリールR1にラベル貼付が行われる。
次に搬送トレイ103上のリールR2の挙動を以下詳述する。ここで図24乃至図28における搬送トレイ103上のリールR2の移動の様子を、図1におけるZ方向矢視図(平面図)として、図29乃至図33に示す。ただし、図を見やすくするために、図29乃至図33においては保持板105の上面に載置されたリールR1を省略し、透視図として表記している。
図29は、図24においてリールR2が搬送トレイ103の上面に載置された様子を示す。まず搬送トレイ103が、図25に示すように矢印Dの方向に移動を開始する。ここで、図2に示すように、保持板105の下面に設けられた突起105a1及び105a2は、搬送トレイ103の上面に水平に載置されたリールR2に対して、搬送トレイ103が貼付部104に向けて移動する矢印Dの方向、すなわち貼付部104に近い側に位置しており、その下端はリールR2の上面よりも低い位置にある。このため、搬送トレイ103の移動開始後しばらくすると、図30に示すように、突起105a1がリールR2の外周に点δ1において当接する。
この状態からさらに搬送トレイ103が移動すると、点δ1における当接に起因する力によって、リールR2は図31及び図32に示すように、突起105a1、105a2にそれぞれ点δ1及び点δ2で当接しながら、矢印Dの方向に移動することを阻止される。そして、図33に示すように、リールR2は搬送トレイ103の上面から押し出されて、その後図27における矢印M3のようにストッカ102の載置テーブル102a上に落下する。
以上のように、リールR2が搬送トレイ103の上面から押し出されて、載置テーブル102aの上に落下し、その後、リールR1が保持板105の上面から押し出されて、搬送トレイ103の上面に移載される。この間の様子を、図24乃至図28においては、図1におけるX方向矢視図として、図24(b)乃至図28(b)で表記している。ただし、簡単のため、載置テーブル102aを始めとするストッカ102は表記していない。
以上のようなキャリアテープ巻取装置100の動作を、各部の名称を横軸に、時刻を縦軸にとった状態遷移図として図35に示す。図35において、時刻t1からt10の意味は以下のとおりである。t1はキャリアテープの巻き取り完了である。また、t2はキャリアテープを巻き取ったリールR1の回転軸からの取り外し開始である。また、t3は水平なリールR1の搬送手段への移載開始である。また、t4はリールR1の巻取部から貼付部への搬送開始である。また、t5はリールR1の貼付部への搬送完了である。また、t6はラベル貼付開始である。また、t7はラベル貼付完了である。また、t8はリールR2の貼付部から巻取部への搬送開始である。また、t9はリールR2の巻取部への搬送完了である。また、t10はリールR2のストッカへの収納である。時間は上から下に向けて経過している。すなわち、時刻t1、t2の順に時間が経過し、時刻t10は後述のように時刻t5及び時刻t6と同一になり、時刻t9の後の時刻t1で1周期となる。また、図35において、枠内には各部の状態或いは動作を記載し、対応する図がある場合には、当該の図番を記載している。また、リールR1、R2の移動経路を、矢印φ1乃至矢印φ7により示している。
図35と後述する比較例の状態遷移図としての図91を比較すると、図91においては時刻t1から時刻t10までがこの順に直列に経過しているのに対して、図35においては時刻t3と時刻t4、時刻t5と時刻t6と時刻t10、時刻t7と時刻t8がそれぞれ同一時点において経過している。これは、例えば時刻t3と時刻t4、すなわち水平なリールR1の搬送手段への移載開始とリールR1の巻取部から貼付部への搬送開始が略同時に実行されていることを示す。
具体的には、図25乃至図28において、搬送トレイ103が矢印Dの方向に移動することにより、第2の保持位置βに位置する保持板105上に載置されたリールR1が、搬送板103Aの枠体103bに設けられた押出板103c1および103c2により押し出されて搬送トレイ103上に移載されることに対応している。
同様に、時刻t5と時刻t6については、図16乃至図20において、貼付部104はリールR1を搬送トレイ103上に載置した状態でラベル貼付を行っているため、リールR1の貼付部104への搬送完了時点である時刻t5とラベル貼付開始である時刻t6が同一時点となる。また、時刻t6と時刻t10については、図25乃至図28において、搬送トレイ103が矢印Dの方向に移動することにより、搬送トレイ103上に載置されたリールR2が保持板105の下面に設けられた突起105a1、105a2と当接し、搬送トレイ103とともに矢印Dの方向に移動することを阻止され、ストッカ102の載置テーブル102a上に収納されるため、ラベル貼付開始である時刻t6とリールR2のストッカ102への収納である時刻t10が同一時点となる。
このように、複数の時刻が同一時点となることは、処理時間が短縮されることに他ならない。本発明における実際の処理時間の例をあげると、時刻t1から時刻t6まで、すなわちキャリアテープの巻き取り完了からラベル貼付開始までの時間は約12秒である。
比較例においては、この時間は後述のように約38秒である。また、本発明における時刻t7から時刻t9まで、すなわちラベル貼付完了からリールR2の巻取部への搬送完了までの時間は約2秒である。比較例においては、この時間は後述のように約19秒である。また、比較例における時刻t9から時刻t10まで、すなわちリールR2の巻取部への搬送完了からリールのストッカへの収納までの時間は後述のように約8秒である。ところが、本発明におけるリールのストッカへの収納は、時刻t4から時刻t5まで、すなわちリールR1の巻取部から貼付部への搬送開始からリールR1の貼付部への搬送完了までの間に行われる。
このため比較例における時刻t9から時刻t10まで、すなわちリールR2の巻取部への搬送完了からリールのストッカへの収納までの時間に相当する時間は、本発明においては時刻t4から時刻t5まで、すなわちリールR1の巻取部から貼付部への搬送開始からリールR1の貼付部への搬送完了までの時間に含まれてしまうため、この時間は処理時間に加算されない。また、時刻t6から時刻t7まで、すなわちラベル貼付開始から完了までの時間は比較例と同一の約27秒である。その理由は、貼付部の機能が後述する比較例と同一であるためである。
以上により、本発明によるキャリアテープ巻取収納装置100の処理時間の1周期は、時刻t9から時刻t10までの5秒は加算されず、12+27+2=約41秒である。この値は後述する比較例の場合の約84秒に比べて、約50%の短縮となっている。
このように、本発明によってキャリアテープ巻取収納装置の動作の1周期の処理時間が大きく短縮される理由は、以下のとおりと考えられる。
本発明は、比較例が後述のように、進退自在の固定爪を内蔵する固定ユニットを取り付けた上下移動自在の搬送アームを用いてリールR1、R2を固定するのに対して、保持板或いは搬送トレイの上にリールR1、R2を載置した状態で、搬送トレイが水平方向に移動する際に、保持板に設けた突起の作用によりリールR2を搬送トレイからストッカに収納し、併せて搬送トレイに設けた押出板の作用により、リールR1を保持板から搬送トレイに移載している。このように、比較例においては後述のように、固定爪の進退や搬送アームの上下移動等のように時間を要する動作によってリールの収納、移載等の取り扱いを個別に実行しているのに対して、本発明においては搬送トレイの水平方向の移動時にその移動方向に働く力を利用して、リールの収納、移載等の取り扱いを同時に実行しているため、処理時間が大幅に短縮される。
また、本発明においては、貼付部において搬送トレイにリールR1を載置した状態でラベルを貼付している。これは、後述の比較例のように、搬送アームから貼付台にリールR1を移載してから貼付部がラベル貼付を行うものではないので、ラベル貼付が完了するまで搬送トレイ(比較例における搬送アーム)が巻取部に退避し、ラベル貼付が完了してから貼付部に復帰する必要がない。さらに、本発明においては、上記のように押出板の作用により、リールR1を保持板から搬送トレイに移載するため、第2の保持位置において搬送トレイを保持板の下側に位置させることができる。
このため、後述の比較例のように、保持板が略90°回転を完了するまで搬送トレイ(比較例における搬送アーム)が貼付部に退避し、回転完了後に巻取部に復帰する必要がない。これらの退避と復帰を不要としたことで、全体の処理時間をさらに短縮することができる。また、上記のように、リールのストッカへの収納を、リールR1の巻取部から貼付部への搬送開始からリールR1の貼付部への搬送完了までの間に同時に行うため、その分、処理時間が短縮されている。
次に、本発明において、キャリアテープの巻き取りが完了するまでの時間が変化した場合について説明する。上述のように、空リールに巻き取られるキャリアテープの長さは一定ではなく、様々な長さである。このため、巻取部がキャリアテープの巻き取りに要する時間も様々である。図35におけるキャリアテープの巻き取りに要する時間は、時刻t3のやや後から時刻t1までのTaである。これに対して、キャリアテープの長さが短く、図35における時間Taよりも短い時間で巻き取りが完了した場合の状態遷移図を、図36に示す。図36におけるキャリアテープの巻き取りに要する時間は、時刻t3のやや後から時刻t1までのTbである。ここで、本発明においては、上記のように処理時間が短縮されており、図35および図36の時刻t9の時点で搬送トレイはリールR2を載置した状態で巻取部に停止している。この状態は、搬送トレイがキャリアテープの巻き取りが完了したリールR1を受け取ることが可能であることを意味する。図36において、時刻t9の直後の時刻t1にキャリアテープの巻き取りが完了しており、この場合には即座に保持板の回転によりリールR1を水平に保持し、搬送トレイを巻取部から貼付部に向けて移動させることにより、リールR1を搬送トレイに移載することができる。すなわち、上記のように、リールR1、R2の固定、搬送の所要時間を短縮したことによる処理時間の短縮により、比較例に比べてキャリアテープの巻き取り時間の変動に対する融通性が向上している。
次に本発明の変形例について述べる。
上記実施の形態においては、保持板105の下面に凸部として2個の突起105a1、105a2を設けた例を示したが、凸部の形状は2個の突起に限定されるものではない。凸部の他の例を図37及び図38に示す。
図37は、図1において搬送板103Aの枠体103bに設けた押出板103c1及び103c2と同様の形状を有する2個の停止板105b1及び105b2を、保持板105の下面に設けた例を示す。また、図38は、図1において位置決めブロック106の中央部に設けた位置決め凹部106aと同様の形状を有する停止板105cを、保持板105の下面に設けた様子を示す。停止板105b1、105b2、105cはいずれも、保持板105の下側に位置する搬送トレイ103が図1に示す矢印Dの方向に移動する際に、搬送トレイ103に載置されたリールR2が矢印Dの方向に移動することを阻止して、リールR2をストッカ102に落下させて収納する作用を有している。
また、上記実施の形態においては、搬送板103Aの枠体103bに設ける押出手段として、枠体103bから貼付部104側に向けて互いに反対の斜め方向に突出した2枚の平板である押出板103c1及び103c2を設けた例を示したが、押出手段の形状は互いに反対の斜め方向に突出した2枚の平板に限定されるものではない。押出手段の他の例を図39及び図40に示す。
図39は、図1において保持板105の一面に設けた2個の突起105a1、105a2と同様の形状を有する2個の押出突起103e1及び103e2を、枠体103bの貼付部104側に向けて設けた様子を示す。また、図40は、図1において位置決めブロック106の中央部に設けた位置決め凹部106aと同様の形状を有する押出板103fを、枠体103bの貼付部104側に向けて設けた様子を示す。押出突起103e1、103e2、押出板103fはいずれも、保持板105の下側に位置する搬送トレイ103が図1に示す矢印Dの方向に移動する際に、保持板105上に載置されたリールR1を矢印Dの方向に押し出して搬送トレイ103に移載する作用を有している。
また、図1において位置決めブロック106の中央部に設けた位置決め凹部106aについても、枠体103bに設けた互いに反対の斜め方向に突出した2枚の平板である押出板103c1及び103c2と同一形状の板を用いたり、保持板105の下面に設けた2個の突起105a1、105a2と同一形状の突起を用いることで、位置決め凹部106aと同様のリールR1の位置決めが可能である。
比較例
次に本発明をよりよく理解するため、キャリアテープ巻取収納装置の比較例について、図41乃至図92を用いて説明する。
図41乃至図43は、キャリアテープをリールに巻取り、この巻取済のリールをストッカに収納するキャリアテープ巻取収納装置の動作説明図である。
図41に示すように、空のリールR0がキャリアテープ巻取収納装置100Xに供給されると、制御部100Xaの作用により、図示されない搬送機構がリールR0を搬送する。そして、搬送機構は、キャリアテープT0をリールR0に巻き取る巻取手段としての巻取部101を構成する回転駆動部101a内に設置されたモータの回転軸101bと、リールR0の略中心部に設けられた断面が円形状の中心穴Rcを嵌合させるように、リールR0を位置決めする。
次に、図示されない装着機構の作用により、リールR0の中心穴Rcが回転軸101bに固定装着される。そして、図42に示すように、制御部100Xaの作用により、図示されない接続機構が電子部品等のワークWを収納した長尺のキャリアテープT0の先端部をリールR0の図示されない溝部に挿入して、キャリアテープT0がリールR0に接続される。この状態で、リールR0の円板形状の面は垂直方向を向く。次に、制御部100Xaの作用により回転駆動部101a内に設置されたモータが回転を開始する。
これによって、回転軸101bが矢印Aの方向に回転してキャリアテープT0がリールR0に巻き取られる。巻き取りが完了したことを制御部100Xaが検知すると、図43に示すように、図示されない切断機構の作用により余分なキャリアテープT0が切り取られる。そして、キャリアテープT0を巻き取ったリールR1は、図示されない搬送機構の作用により回転軸101bから取り外されて、矢印Mの方向に搬送され、巻取部101の直下に位置するストッカ102に収納される。
リールR1が回転軸101bから取り外されたことを制御部100Xaが検知すると、図示されない搬送機構が再び空のリールR0を巻取部101に向けて搬送し、図示されない装着機構が回転軸101bにリールR0を固定装着する。これをリール交換と呼ぶ。ストッカ102は、リールR1を載置テーブル102a上に重ねて載置する。載置テーブル102a上にリールR1が全く載置されないときの載置テーブル102aの位置が初期位置である。
載置テーブル102aは、リールR1が1個載置される都度、図示されない駆動機構の作用により矢印Bの方向に下降する。載置テーブル102aがそれ以上下降できなくなる位置まで下降すると、載置テーブル102a上にリールR1が満杯になったことを意味する。
ストッカ102にはその位置を検知する図示されないセンサが設置されており、その検知情報が音と表示で外部に通知され、キャリアテープ巻取装置100Xは動作を停止する。この通知により、装置の担当者はストッカ102内のリールR1をすべて搬出する。リールR1がすべて搬出されたことを上記センサが検知すると、載置テーブル102aは図示されない駆動機構の作用により図41に示す矢印Cの方向に上昇して初期位置に戻る。リールR1が満杯となる数量は20個から30個程度に設定されることが多い。
なお、載置テーブル102aの装置正面側は、担当者がリールR1を搬出するために解放されている。このため、載置テーブル102a上のリールR1が装置正面側から滑落しないように、載置テーブル102aは装置正面側がやや高くなるように傾斜している。キャリアテープ巻取装置100Xの模式図を図50に示す。上記の説明のように、図50においてリールR1は矢印H1の方向すなわち上から下に搬送される。
このようなキャリアテープ巻取収納装置100Xに対し、キャリアテープに収納されているワークの品名、定格、製造ロット番号等を記載したラベルをキャリアテープを巻き取ったリールに貼付する機能を付加したキャリアテープ巻取装置100Yについて説明する。
キャリアテープ巻取収納装置100Yはキャリアテープ巻取装置100Xに、図44乃至図49に示す貼付手段としての貼付部104Xを付加したものである。すなわち、巻取部101により空のリールR0にキャリアテープT0を巻き取った後、キャリアテープT0を巻き取ったリールR1を貼付部104Xまで搬送し、キャリアテープT0に収納されているワークの品名、定格、製造ロット番号等を記載したラベルをリールR1に貼付し、ラベルを貼付したリールR2をストッカ102に収納する。
ラベルをリールR1に貼付する貼付部104Xの構成を図44(a)(b)により説明する。図44(a)は、貼付部104Xの全体を示す斜視図である。
貼付部104Xの下方には基台104aが配置され、垂直方向に上向きのスピンドル104bを有するターンテーブル104cが設置されている。スピンドル104bの直径は、リールR1の中心穴Rcの内径よりもやや小さい。
ターンテーブル104cは、基台104a内に設けられた図示されない駆動機構の作用により、矢印FおよびGの方向に昇降自在であり、かつスピンドル104bの周囲に矢印Uの方向に回転自在である。基台104aの上方には、図示されない支持機構により固定された貼付台104fが設置されている。貼付台104fにおいて、ターンテーブル104cの直上部分には、ターンテーブル104cの直径よりもやや大きい直径の通過穴104gが開口している。
貼付台104fおよびターンテーブル104cを、基台104aの正面である矢印V方向から見た矢視断面図を、図44(b)に示す。ターンテーブル104cは、スピンドル104bの最上部が貼付台104fの下面よりも低い位置となる初期位置にある。また、基台104aの上方において、後方となる位置にプリンタ104dが設置されている。
プリンタ104dはリールR1に貼付するラベルを印刷する機能を有し、プリンタ104dの前面には印刷されたラベルを載置するためのラベル置き台104eが設置されている。このような貼付部104Xを構成する各部の動作を制御するために、制御部104Xaが設けられている。
以上のような構成を有する貼付部104Xの動作について、図45乃至図49を用いて、以下に説明する。なお、図45乃至図48において、(a)は斜視図、(b)は(a)中の矢印V方向から見た矢視断面図である。
図42に示す巻取部101において、キャリアテープT0を巻き取ったリールR1は、図示されない搬送機構により回転軸101bから取り外されて、図44(a)(b)に示す貼付部104Xに向けて搬送され、図45(a)(b)に示すように貼付台104fに載置される。この状態で、リールR1の円板形状の面は水平方向なる。リールR1は、通過穴104gを塞ぐように貼付台104fに載置されるが、このとき、図示されない位置決め機構の作用により、図45(b)に示すように、リールR1の中心穴Rcがスピンドル104bの直上となるように位置決めされる。位置決めが行われたことを制御部104Xaが検知すると、図示されない駆動機構の作用により、図46(a)(b)のように、ターンテーブル104cが矢印Fの方向に上昇して通過穴104g内を貫通し、リールR1の中心穴Rcをスピンドル104bが貫通する。
そして、リールR1は貼付台104fからターンテーブル104cの上面に移載されて上昇し、ターンテーブル104cはリールR1の下面が貼付台104fの上面よりわずかに高くなる位置で停止する。この位置は、リールR1がターンテーブル104cに載置されているため、ターンテーブル104cの回転によってリールR1を回転させることができる回転位置である。この回転位置において、リールR1に設けられたラベル貼付領域Laの位置が図示されないセンサにより検出され、その検出情報が制御部104Xaに送付される。
次にこの検出情報に基づいて、制御部104Xaが図示されない駆動機構を駆動させ、図47(a)に示すように、ラベル貼付領域Laがプリンタ104dの直前位置となるように、矢印Uの方向にターンテーブル104cが回転して停止する。なお、図45乃至図47においては、ラベル貼付領域Laを破線で囲って表記しているが、実際のリールR1には破線が記されているわけではない。
ラベル貼付領域Laがプリンタ104dの直前位置となったことを制御部104Xaが検知すると、図示されない駆動機構の作用により、図48(a)(b)に示すように、ターンテーブル104cが矢印Gの方向に下降し、リールR1の中心穴Rcからスピンドル104bが離間する。そして、リールR1はターンテーブル104cの上面から貼付台104fに移載され、ターンテーブル104cは図44(b)と同じ初期位置において停止する。
この間にプリンタ104dがラベルL0を印刷し、ラベル置き台104eにラベルL0を載置する。このとき、ラベルL0の下面には貼付用の糊が付着しているが、ラベル置き台104eの上面は、糊によりラベルL0が付着することを防止するように表面処理が施されている。
次に、図49に示すように、制御部100Xaの作用により、ラベル置き台104eに載置されたラベルL0が図示されない吸着ノズルにより上方から吸着されて、矢印NのようにリールR1のラベル貼付領域Laに向けて搬送され、吸着ノズルはラベルL0を吸着したままラベル貼付領域LaにラベルL0を上方から押圧して貼付する。その後、吸着ノズルは吸着を解除してラベル貼付領域Laから離間する。その後、ラベルL0が貼付されたリールR2は、図示されない搬送機構の作用により、ストッカ102に向けて搬送される。
以上のような構成と作用を有する貼付部104Xを巻取部101と組み合わせてキャリアテープ巻取収納装置100Yを構成する場合に、第1の構成として、巻取部101、貼付部104X、ストッカ102をこの順に上から下へ並べて配置することが考えられる。これを図51に模式図として示す。図51において、リールR1、R2が搬送される方向を矢印H2で示す。ここで、巻取部101は直径約180mmのリールR0を垂直に保持するためのスペースと、上記の接続機構、切断機構、搬送機構等の設置スペースにより、装置の上下方向に多くのスペースを必要とする。また、貼付部104Xはプリンタ104dや上記の吸着ノズルの設置スペースを上側に確保するとともに、基台104a内にターンテーブル104cの駆動機構の設置スペースを確保する必要がある。さらに、プリンタ104dはラベル用紙やインクの補充等のメンテナンス作業を必要とするため、その周囲にある程度広いスペースを確保する必要がある。このため、貼付部104Xもまた装置の上下方向に多くのスペースを必要とする。
また、ストッカ102はリールR2を20個から30個程度重ねて収納する高さを必要とする。ストッカ102に収納された状態において、リールR2の1個当たりの高さは約10mmであるため、ストッカ102の高さは約200mm〜300mm程度必要である。
従って、巻取部101と貼付部104Xとストッカ102を上下方向に配置すると、装置全体の高さが高くなり、装置の設置場所の天井高さに制約が発生する可能性がある。さらに、リールR1、R2を搬送する搬送機構が巻取部101と貼付部104Xとストッカ102との間を矢印H2のように上下方向に移動し、かつラベル置き台104eに載置されたラベルL0をリールR1のラベル貼付領域Laまで搬送する吸着ノズルもまた上下方向に移動するため、これらの移動範囲が重複しないように必要なスペースを、装置の前後左右方向に広くとる必要がある。
このため巻取部101と貼付部104Xとストッカ102を上下に配置することは、装置全体の占有スペースが大きくなるため、好ましくない。
キャリアテープ巻取収納装置100Yの第2の構成として、巻取部101と貼付部104Xとストッカ102をこの順に左から右へ並べて配置することが考えられる。これを図52に模式図として示す。図52において、リールR1、R2が搬送される方向を矢印H3で示す。この場合は、巻取部101と貼付部104Xが左右に並ぶため、第1の構成において生じた巻取部101と貼付部104Xにおける上下方向のスペースの確保、プリンタ104d周辺のスペースの確保、リールR1、R2を搬送する搬送機構とラベルL0を搬送する吸着ノズルの移動範囲が重複しないスペースの確保等の問題は発生しなくなる。ただし、装置の左右方向の大きさは、貼付部104Xを有しないキャリアテープ巻取収納装置100Xに比べて、貼付部104Xとストッカ102の各幅の和に相当する分が増加する。そして、図52のようにキャリアテープ巻取収納装置100Yにおいてストッカ102が最も右側に配置されるのに対して、貼付部104Xを有しないキャリアテープ巻取収納装置100Xにおいては、図50のようにストッカ102が巻取部101の直下に配置される。このため、キャリアテープ巻取収納装置100Xとキャリアテープ巻取収納装置100Yにおける部材が完全に別のものとなり、コストが高くなる。
この問題を解決するために、キャリアテープ巻取収納装置100Yの構成として、巻取部101とストッカ102を上下に配置し、その右に貼付部104Xを配置する第3の構成が考えられる。この構成を模式図として図53に示す。図53において、リールR1、R2が搬送される方向を矢印H4及び矢印H5で示す。第3の構成において、装置の左右方向の大きさはキャリアテープ巻取収納装置100Xに比べて貼付部104Xの分だけ増加するに過ぎない。また、巻取部101と貼付部104Xが左右に並ぶため、第2の構成と同様に、各種スペースの確保に関する問題も発生しない。そして、図53と図50を比較すると、巻取部101とストッカ102の相対位置が同一であることから、キャリアテープ巻取収納装置100Xの部材の一部を、キャリアテープ巻取収納装置100Yの部材に適用可能であることがわかる。すなわち、キャリアテープ巻取収納装置100Yにおいて第3の構成を採用することにより、装置をコンパクトに構成することが可能になり、かつ部材の一部をキャリアテープ巻取収納装置100Xと共通化することにより、コストダウンをはかることができるという効果を有する。
この第3の構成を採用した、比較例としてのキャリアテープ巻取収納装置100Yについて、以下に説明する。キャリアテープ巻取収納装置100Yの斜視図を図54に示す。図54において、図41乃至図49と同一の機能を有する部分については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。キャリアテープ巻取収納装置100Yの左側は巻取部101である。回転駆動部101a内に設置されたモータの回転軸101bが回転駆動部101aの前面に突出しており、回転軸101bはモータの回転に伴い矢印Aの方向に回転する。
巻取部101の前面の直下位置には、ストッカ102が設置されている。ストッカ102は、図示されない駆動機構の作用により、矢印Bおよび矢印Cの方向に昇降自在の載置テーブル102aを有する。載置テーブル102aは左側、奥側、右側の三方向をストッカ壁面102b1、102b2、102b3により囲まれ、装置正面側は解放されている。また、載置テーブル102aは装置正面側がやや高くなるように傾斜している。巻取部101およびストッカ102の右側には、貼付部104Xが設置されている。貼付部104Xの構成は、図44(a)(b)と同一である。
また、キャリアテープ巻取収納装置100Yには、載置テーブル102aの直上位置とターンテーブル104cの直上位置との間を水平方向に往復する搬送アーム113が設置されている。搬送アーム113は、図示されない駆動機構の作用により、水平方向に矢印Dおよび矢印Eの方向に移動自在である。また、図示されない駆動機構の作用により、垂直方向に矢印Pおよび矢印Qの方向に昇降自在である。
搬送アーム113の上面には、リールR1、R2を固定する機能を有する固定ユニット114が設置されており、後述のように搬送アーム113の下面側においてリールR1、R2を固定する。さらに、回転駆動部101a前面におけるストッカ102の直近位置には、図示されない駆動機構の作用により、垂直となる第1の固定位置εと水平となる第2の固定位置λとの間で、矢印Jおよび矢印Kのように略90°回転自在の回転板115が設置されている。
また、回転板115の一面側にはリールR1を固定する機能を有する固定ユニット116が設置されている。固定ユニット116は第1の固定位置εにおいて回転板115の回転駆動部101aと反対側に位置し、後述のように回転板115の回転駆動部101a側においてリールR1を固定する。また、固定ユニット116は第2の固定位置λにおいて回転板115の下側に位置し、後述のように回転板115の上側においてリールR1を固定する。
図54において、回転板115が第1の固定位置εにある場合を実線で示し、回転板115が第2の固定位置λにある場合を破線で示している。このようなキャリアテープ巻取収納装置100Yを構成する各部の動作を制御するために、制御部100Yaが設けられている。
以上のような構成を有するキャリアテープ巻取収納装置100Yの作用について、図55乃至図90を用いて説明する。図55は、キャリアテープT0と空のリールR0とがキャリアテープ巻取収納装置100に供給され、制御部100Yaの作用により、図示されない搬送機構及び装着機構が空リールR0の搬送及び回転軸101bとリールR0の中心穴Rcの位置決め及び固定装着を行い、図示されない接続機構がキャリアテープT0とリールR0とを接続して、リールR0を垂直に保持してキャリアテープT0を巻き取っている様子を示す。回転駆動部101a内に設置されたモータの回転に伴い、回転軸101bは矢印Aの方向に回転し、キャリアテープT0はリールR0に巻き取られる。回転板115は第1の固定位置εにあり、搬送アーム113はターンテーブル104cの直上位置に停止している。
キャリアテープT0のリールR0への巻き取りが完了した直後の状態を図56に示す。巻き取りが完了したことを制御部100Yaが検知すると、キャリアテープT0を巻き取ったリールR1は、図示されない切断機構の作用により余分なキャリアテープT0が切り取られ、図示されない搬送機構の作用により、回転軸101bから取り外されて矢印M1の方向に搬送され、回転板115と回転駆動部101aとの間において、図示されない位置決め機構の作用によって位置決めされ、垂直の状態で固定ユニット116の作用により固定される。
この様子を、リールR1の中心穴Rc付近を矢印Y方向から見た矢視断面図として、図77乃至図79に示す。図77は、リールR1が図56における矢印M1の方向に搬送され、位置決めされた状態を示す。回転板115と固定ユニット116には、回転板115の一面側に開口する管路115x、116xが連続して設けられている。管路115x、116xは長手方向に垂直な断面が円形状をなし、その内径はリールR1の中心穴Rcの内径よりもやや大きい。また、管路116xの内部には、長手方向に沿って2本の固定爪116a、116bが密着した状態で配置されている。
図77において、リールR1は回転板115とわずかな隙間を隔てて対向し、その中心穴Rcの中心と管路115x、116xの中心が同一直線上に並ぶように位置決めされている。第1の固定位置εにおいてリールR1の位置決めが行われたことを制御部100Yaが検知すると、図示されない搬送機構、装着機構及び接続機構によるリール交換が開始される。
次に、図78に示すように、図示されない駆動機構の作用により、固定爪116a、116bが矢印S1aの方向に進出し、その先端が管路115xの開口部から飛び出して、リールR1の中心穴Rc内に進入する。そして、図79に示すように、図示されない駆動機構の作用により、固定爪116a、116bが矢印S1b、S1cの方向に離間し、リールR1の中心穴Rcの内壁に当接する。このとき、中心穴Rcの内壁において矢印S1b、S1cの方向に印加される圧力の作用により、リールR1は固定爪116a、116bと一体となって固定される。
図56において、以上のようにリールR1が固定されると、次に図57に示すように、図示されない駆動機構の作用により、回転板115が矢印Jの方向に略90°回転して第2の固定位置λに移動する。この様子を、リールR1の中心穴Rc付近を矢印Y方向から見た矢視断面図として、図80および図81に示す。
図80において、第2の固定位置λに移動したリールR1は、その下面が回転板115の上面とわずかな隙間を隔てた状態で、固定爪116a、116bの作用により固定されている。図80の状態になった後、図81に示すように、図示されない駆動機構の作用により、固定爪116a、116bが矢印S1d、S1eの方向に移動して密着し、リールR1の中心穴Rcの内壁から離間する。このため、リールR1は解放され、重力の作用によって矢印Myの方向に落下し、回転板115の上面に載置される。
リールR1が回転板115の上面に載置されたことを制御部100Yaが検知すると、図58に示すように、図示されない駆動機構の作用により、搬送アーム113がターンテーブル104cの直上位置から載置テーブル102aの直上位置に向けて、矢印Eの方向に移動する。
ここで、リールR1にラベルを貼付する位置はあらかじめ決められており、図57においては、その位置を破線で囲んでラベル貼付領域Laとして示している。ただし、実際のリールには破線は記載されておらず、ラベル貼付領域Laの位置は貼付部104Xに設置された図示されないセンサによって検知されている。また、この時点でリール交換が終了し、回転軸101bと新しい空リールR0の中心穴Rcの位置決め及び固定装着が行われ、キャリアテープT0とリールR0とが接続された状態となる。
そして、図59に示すように、回転駆動部101a内に設置されたモータが回転を開始して回転軸101bが矢印Aの方向に回転し、キャリアテープT0の空のリールR0への巻き取りが開始される。また、搬送アーム113は載置テーブル102aの直上位置において停止する。
このときの搬送アーム113、リールR1、回転板115の様子を、リールR1の中心穴Rc付近を矢印Y方向から見た矢視断面図として図82に示す。搬送アーム113と固定ユニット114には、上述の回転板115と固定ユニット116と同様に、搬送アーム113の一面側に開口する管路113x、114xが連続して設けられている。管路113x、114xの形状は、上述の管路115x、116xと同様であり、管路114xの内部には、長手方向に沿って2本の固定爪114a、114bが密着した状態で配置されている。
図82において、リールR1の中心穴Rcの中心と管路113x、114xの中心が同一直線上に並ぶように位置決めされている。次に、図60に示すように、図示されない駆動機構の作用により、搬送アーム113が矢印Pの方向に下降する。
このときのリールR1の中心穴Rc付近を矢印Y方向から見た矢視断面図を図83に示す。図83に示すように、搬送アーム113はリールR1とわずかな隙間を隔てて対向する位置まで矢印Pの方向に下降して停止する。この状態から搬送アーム113がリールR1を固定する様子を、リールR1の中心穴Rc付近を矢印Y方向から見た矢視断面図として図84乃至図86に示す。
最初に、図84に示すように、図示されない駆動機構の作用により、回転板115上に載置されているリールR1の中心穴Rc内の固定爪116a、116bが、矢印S1fの方向に下降して中心穴Rcから退出する。次に、図85に示すように、図示されない駆動機構の作用により、管路114x内の固定爪114a、114bが矢印S2aの方向に下降して中心穴Rc内に進入する。そして、図86に示すように、図示されない駆動機構の作用により、固定爪114a、114bが矢印S2b、S2cの方向に離間し、リールR1の中心穴Rcの内壁に当接する。そして、リールR1は固定爪114a、114bと一体となって搬送アーム113に固定される。
次に、図61に示すように、図示されない駆動機構の作用により、搬送アーム113がリールR1とともに矢印Qの方向に上昇する。この様子を、リールR1の中心穴Rc付近を矢印Y方向から見た矢視断面図として図87に示す。搬送アーム113は矢印Qの方向に上昇した後、図82と同じ位置で停止する。
次に、図62に示すように、図示されない駆動機構の作用により、搬送アーム113が載置テーブル102aの直上位置からターンテーブル104cの直上位置に向けて、矢印Dの方向に移動する。これにより、リールR1が巻取部101から貼付部104Xに向けて搬送される。
そして、図63に示すように、搬送アーム113はターンテーブル104cの直上位置において停止する。また、図示されない駆動機構の作用により、回転板115が矢印Kの方向に略90°回転して第1の固定位置εに移動する。
次に、図64に示すように、図示されない駆動機構の作用により、搬送アーム113が矢印Pの方向に下降する。このときのリールR1の中心穴Rc付近を矢印Y方向から見た矢視断面図を図88に示す。図88に示すように、搬送アーム113はリールR1が貼付台104fとわずかな隙間を隔てて対向する位置まで矢印Pの方向に下降して停止する。そして、図89に示すように、図示されない駆動機構の作用により、固定爪114a、114bが矢印S2d、S2eの方向に移動して密着し、リールR1の中心穴Rcの内壁から離間する。
このため、リールR1は解放され、重力の作用によって矢印Mzの方向に落下し、貼付台104fの上面に載置される。
次に、図90に示すように、図示されない駆動機構の作用により、固定爪114a、114bが矢印S2fの方向に上昇して管路114x内に退出する。このようにしてリールR1が貼付台104fに載置されたことを制御部100Yaが検知すると、図65に示すように、図示されない駆動機構の作用により、搬送アーム113が矢印Qの方向に上昇する。
そして、図66に示すように、図示されない駆動機構の作用により、搬送アーム113がターンテーブル104cの直上位置から載置テーブル102aの直上位置に向けて、矢印Eの方向に移動する。この移動の理由は、搬送アーム113がターンテーブル104cの直上位置にあると、リールR1が搬送アーム113の下側に位置することになり、この後で貼付部104XによってリールR1へのラベル貼付を行う際に搬送アーム113がラベル貼付の動作の妨げになるためである。すなわち、搬送アーム113は一度貼付部104Xから巻取部101に退避するのである。
次に、図67に示すように、搬送アーム113が載置テーブル102aの直上位置において停止し、図示されない駆動機構の作用により、ターンテーブル104cが矢印Fの方向に上昇して通過穴103a内を貫通し、リールR1の中心穴Rcをスピンドル104bが貫通する。この後、貼付部104Xの作用により、リールR1のラベル貼付領域Laにラベルを貼付する。その動作については、既に図44乃至図49を用いて説明したので、ここでは省略する。
ラベルがリールR1に貼付されたことを制御部100Yaが検知すると、図68に示すように、図示されない駆動機構の作用により、巻取部101の載置テーブル102aの直上位置に退避していた搬送アーム113が矢印Dの方向に移動して、貼付部104Xのターンテーブル104cの直上位置に復帰する。そして、図69に示すように、搬送アーム113はターンテーブル104cの直上位置において停止した後、図70に示すように、図示されない駆動機構の作用により、搬送アーム113はリールR2とわずかな隙間を隔てて対向する位置まで矢印Pの方向に下降して停止する。
その後、図84乃至図86における固定爪114a、114bの動作と同様の動作により、貼付台104f上に載置されたリールR2は固定爪114a、114bと一体化して固定される。
そして、図71に示すように、図示されない駆動機構の作用により、搬送アーム113がリールR2とともに矢印Qの方向に上昇する。次に、図72に示すように、図示されない駆動機構の作用により、搬送アーム113がターンテーブル104cの直上位置から載置テーブル102aの直上位置に向けて、矢印Eの方向に移動する。これにより、リールR2が貼付部104Xから巻取部101に向けて搬送される。そして、図73に示すように、搬送アーム113は載置テーブル102aの直上位置において停止する。
次に、図89における固定爪114a、114bの動作と同様の動作により、リールR2は重力の作用により図74の矢印Mxの方向に落下し、載置テーブル102a上に載置され、ストッカ102への収納が完了する。リールR2が載置テーブル102a上に載置されたことを制御部100Yaが検知すると、図示されない駆動機構の作用により、載置テーブル102aは図54における矢印Bの方向に下降する。その後も載置テーブル102aは、リールR2が1個載置される都度、図示されない駆動機構の作用により矢印Bの方向に下降する。
載置テーブル102aがそれ以上下降できなくなる位置まで下降すると、載置テーブル102a上にリールR2が満杯になったことを意味する。ストッカ102にはその位置を検知する図示されないセンサが設置されており、その検知情報が音と表示で外部に通知され、キャリアテープ巻取収納装置100Yは動作を停止する。この通知により、装置の担当者はストッカ102内のリールR2をすべて搬出する。
リールR2がすべて搬出されたことを上記センサが検知すると、載置テーブル102aは図示されない駆動機構の作用により図54に示す矢印Cの方向に上昇して初期位置に戻る。
その後、巻取部101によるキャリアテープの巻き取りが完了し、これを制御部100Yaが検知すると、図75に示すように、キャリアテープT0を巻き取ったリールR1は、図示されない搬送機構の作用により、回転軸101bから取り外されて矢印M1の方向に搬送される。そして、回転板115と回転駆動部101aとの間において、図56と同様に垂直に位置決め固定される。
同時に、図示されない駆動機構の作用により、搬送アーム113が載置テーブル102aの直上位置からターンテーブル104cの直上位置に向けて、矢印Dの方向に移動する。
この移動の理由は、搬送アーム113が載置テーブル102aの直上位置にあると、この後で回転板115が第2の固定位置λに移動する際に搬送アーム113と衝突するためである。すなわち、搬送アーム113は一度巻取部101から貼付部104Xに退避するのである。
そして、図76に示すように、図示されない駆動機構の作用により、回転板115が矢印Jの方向に略90°回転して第2の固定位置λに移動する。これにより、リールR1は図57と同一の状態となり、貼付部104Xのターンテーブル104cの直上位置に退避していた搬送アーム113は、図示されない駆動機構の作用により、図58の矢印Eの方向に移動して巻取部101の載置テーブル102aの直上位置に復帰する。そして、以下同様の動作が繰り返される。
以上の一連の動作を、各部の名称を横軸に、時間を縦軸にとり、状態遷移図として表したものを図91に示す。
時間は上から下に向けて経過している。すなわち、時刻t1、t2の順に時間が経過し、時刻t10の後の時刻t1で1周期となる。枠内には各部の状態或いは動作を記載し、対応する図がある場合には、当該の図番を記載している。また、リールR1、R2の移動経路を、矢印φ11乃至矢印φ21により示している。ここで、時刻t1からt10の意味は以下のとおりである。t1はキャリアテープの巻き取り完了である。また、t2はキャリアテープを巻き取ったリールR1の回転軸からの取り外し開始である。また、t3は水平なリールR1の搬送手段への移載開始である。また、t4はリールR1の巻取部から貼付部への搬送開始である。また、t5はリールR1の貼付部への移載完了である。また、t6はラベル貼付開始である。また、t7はラベル貼付完了である。また、t8はリールR2の貼付部から巻取部への搬送開始である。また、t9はリールR2の巻取部への搬送完了である。また、t10はリールR2のストッカへの収納である。
このような比較例によるキャリアテープ巻取収納装置には、以下の問題点がある。第1の問題点は、リールの固定手段として固定爪を内蔵する固定ユニットを使用しているため、リールR1、R2の固定と解放に時間を要することである。図77乃至図90に示すように、リールを固定する際には、固定爪をリールの中心穴に進入させ、固定爪を離間させるという2段階の動作が必要である。
また、固定されたリールを解放する場合には、固定爪を密着させ、固定爪をリールの中心穴から退出させるという2段階の動作が必要である。図91において、このようなリールの固定および解放に係る動作の枠を二重線で示している。例えば、第2の固定位置にある回転板上のリールR1を解放し、それを搬送アームに固定する動作(時刻t3〜t4の2箇所)、搬送アームから貼付台上にリールR1を移載する動作(時刻t4〜t5)、貼付台上のリールR2を搬送アームに固定する動作(時刻t7〜t8)等であり、これらの動作に時間を要している。
第2の問題点は、搬送アームの動作が複雑であり、全体の処理時間が増加することである。搬送アームは、単に巻取部と貼付部との間を往復するだけではなく、水平に載置されたリールを固定する際には、固定ユニットをリールに接近させるために搬送アームを下降させる必要があり、固定したリールを搬送する際には、搬送アームを再び元の位置まで上昇させる必要がある。これらの動作により、全体の処理時間が増加する。このため、図91において、リールを固定して巻取部から貼付部へ搬送する動作(時刻t4〜t5)や貼付部から巻取部へ搬送する動作(時刻t8〜t9)に時間を要する。
さらに、上述のように、回転板が第1の固定位置から第2の固定位置まで略90°回転する際には、回転板と搬送アームの衝突を防止するために、搬送アームが巻取部から貼付部に退避した後で回転板が回転し、その後で再び搬送アームが貼付部から巻取部に復帰して回転板上のリールを固定している(図91の時刻t2〜t3)。
同様に、リールを貼付部に搬送した搬送アームが貼付部の動作を妨げないように、搬送アームが貼付部から巻取部に退避した後で貼付部の動作を開始し、貼付部の動作が完了した後で再び搬送アームが巻取部から貼付部に復帰して貼付板上のリールを固定している(図91の時刻t5〜t6および時刻t7〜t8)。
図91において、このような搬送アームの退避および固定に係る動作の枠を破線で示している。このような退避と復帰に要する時間も全体の処理時間に加算され、処理時間の増加を招く。実際の処理時間の例をあげると、時刻t1から時刻t6まで、すなわちキャリアテープの巻き取り完了からラベル貼付開始までの時間は約38秒である。また、時刻t7から時刻t9まで、すなわちラベル貼付完了からリールR2の巻取部への搬送完了までの時間は約11秒である。
また、時刻t9から時刻t10まで、すなわちリールR2の巻取部への搬送完了からリールのストッカへの収納までの時間は約8秒である。また、時刻t6から時刻t7まで、すなわちラベル貼付開始から完了までの時間は約27秒である。すなわち、比較例としてのキャリアテープ巻取収納装置100Yの処理時間の1周期は、38+27+11+8=84秒である。
第3の問題点は、キャリアテープの巻き取り時間の変動に対する融通性に欠けることである。空リールに巻き取られるキャリアテープの長さは一定ではなく、様々な長さである。このため、巻取部がキャリアテープの巻き取りに要する時間も様々である。図91におけるキャリアテープの巻き取りに要する時間は、時刻t3のやや後から時刻t1までのTaである。これに対して、キャリアテープの長さが短く、図91における時間Taよりも短い時間で巻き取りが完了した場合の状態遷移図を、図92に示す。
図92におけるキャリアテープの巻き取りに要する時間は、時刻t3のやや後から時刻t7のやや後の時刻t1までのTbである。ここで、上記のように、キャリアテープ巻取収納装置100Yの処理時間の1周期はキャリアテープの長さによらず常に一定である。従って、図92のように、時刻t7のやや後の時刻t1においてキャリアテープの巻き取りが完了した場合でも、搬送アームがラベルを貼付したリールR2を解放してストッカに収納する時刻t10までは、キャリアテープを巻き取ったリールR1を搬送アームに固定することはできない。すなわち、図92において、時刻t1から時刻t10までの時間T0が待ち時間となり、処理時間の融通性に欠ける。その原因は、処理時間の1周期が長いためである。
これに対して本発明によれば、搬送手段が第2の保持位置をとる保持手段から貼付手段側へ移動する際、保持手段からリールを受け取り、同時に搬送手段上のラベル付リールをストッカ側へ落下して収納することができ、全体としての処理時間を短縮することができる。