以下の説明は、本発明の一般的な原理を説明するためのものであり、本願明細書に主張されている本発明の概念を限定するためではない。更に、本願明細書に記載されている特定の特徴は、記載されている他の特徴と、可能なさまざまな組み合わせ及び並べ替えの各々で、組み合わせて使用可能である。
本願明細書に別様に規定されていない限り、全ての用語は、本願明細書から暗示される意味、ならびに当業者によって理解される、もしくは辞書、論文などに規定されている、またはその両方である意味を含む、それぞれの可能な最も広い意味を用いて解釈されるものとする。
本願明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるとき、別様の規定がない限り、単数形(「a」、「an」、及び「the」)は複数の指示対象を含むことにも留意されるべきである。
以下の説明は、テープ・ドライブ・システム、ならびにその動作もしくは構成部品またはその両方のいくつかの好適な実施形態を開示するものである。
1つの一般的な実施形態において、システムは、読み出しもしくは書き込みまたはその両方の動作を行うためのヘッドと、位置付け動作を第1のテープに対して行うための第1のモータ・セットと、位置付け動作を第2のテープに対して行うための第2のモータ・セットと、プロセッサと、このプロセッサに組み込まれた、もしくはこのプロセッサによって実行可能な、またはその両方である、ロジックとを含む。このロジックは、ヘッドへの第1のテープの架け渡しを第1のモータ・セットに行わせ、第2のテープに対する粗位置決め(coarselocation)及び巻き戻し動作の少なくとも一方を第2のモータ・セットに行わせるべく構成される。
別の一般的な実施形態において、方法は、読み出しもしくは書き込みまたはその両方の動作を第1のテープに対してヘッドを用いて行うことと、第1のテープに対する読み出しもしくは書き込みまたはその両方の動作が行われているときに、ほぼ動作位置近くまでの粗位置決めを第2のテープに対して行うことと、精密位置決め(finelocation)を第2のテープに対して行い、第2のテープに対する読み出しもしくは書き込みまたはその両方の動作を動作位置で上記ヘッドを用いて行うこととを含む。
テープ・ドライブのデータ転送速度が向上したので、現在では200MB/sを超えるデータ転送速度も可能である。ただし、テープは線形媒体であるため、所望のデータ位置へのアクセスには、一般にかなりの時間がかかる。従って、テープ式データ記憶システムにおいては、テープからのデータの読み出し、もしくはテープへのデータの書き込み、またはその両方に実際に費やされる時間は比較的短く、大部分の時間はテープの装填/取り出し(loading/unloading)及び巻き取りに費やされている。
その結果、従来の製品においては、テープの装填及び取り出しにかかる時間が10秒を超えることもあり、データの位置決めにかかる時間が1分を超えることもある。これでは、大部分の時間が、例えばテープを巻き取るために、モータ制御のみを使用して費やされ、その間、ドライブの高価な部分、例えば、記録ヘッド、アクチュエータ、読み出しもしくは書き込み、またはその両方の電子回路など、がアイドル状態に放置されて有効に利用されないので経済性が悪い。その結果、テープ・ドライブが長時間アイドル状態であることから、1秒当たりの入/出力回数(IOPS:input/output operations per second)を増やすために、複数のドライブを同時に動作させる必要が生まれた。ただし、より多くのドライブ、テープ搬送機構などを追加するのは非効率的であり、解決策として好ましくない。
上記とは際立って異なり、本願明細書に記載もしくは示唆されている、または記載及び示唆されている、実施形態もしくは方法、またはその両方は、以下により詳細に説明するように、好ましくは、例えば単一の読み出し/書き込み機構を含む、単一のドライブによって2本以上のテープの動作をオーバラップさせることができる。従って、1組のヘッド、アクチュエータ、もしくは駆動用電子回路、またはこれら全てを複数のリール及びリール・ドライバと共に用いて、高IOPSをより低コストで効率的に実現し得る。第2のテープに対して位置決めを行っているときに、第1のテープに対して読み出し、書き込み、もしくは位置付け、またはこれら全てを行うことによって、システムのスループットを著しく向上させることができる。以下により詳細に説明するように、さまざまなアプローチにおいて、このようなシステムをシングル・スプール・テープ構成用にも、デュアル・スプール・テープ構成用にも構築可能である。
図1は、1つの実施形態による線形媒体格納モジュール(LinearMedia Storage Module)100の詳細図を示す。必要であれば、線形媒体格納モジュール100は、他の図を参照して説明されている特徴など、本願明細書に記載されている他の何れかの実施形態の特徴と組み合わせて実現され得る。ただし、このような線形媒体格納モジュール100及び本願明細書に示されている他のモジュールは、本願明細書に記載の例示的実施形態に具体的に記載されているか否かを問わず、さまざまな用途に、もしくはさまざまな並べ替えで、またはその両方で、使用され得ることは言うまでもない。更に、本願明細書に示されている線形媒体格納モジュール100は、所望される如何なる環境においても使用され得る。更に、線形媒体格納モジュール100は図1に示されているものに決して限定されず、さまざまな実施形態に応じて望ましいとされる何れかの部品もしくは部品配向、またはその両方を含み得る。
図1の部分上面図に示されているように、テープ・ライブラリなどの線形媒体格納モジュール100は、データをテープから読み出すために少なくとも1つのテープ・リール102を、それがテープ・カートリッジの一部であるか否かに拘らず、テープ・ドライブ104に搬送するための、またテープ・ドライブ104から戻すための、移動ロボット110を1つ以上含み得る。
線形媒体(すなわち、テープ)は、好ましくは、本願明細書においてはスプールとも称されるテープ・リール102に巻かれている。テープ・リール102は、使用されていないとき、これらリールを格納するための待避領域の、「床」などの、下面304に置かれ得る。さまざまなアプローチによると、待避領域は、以下に説明するように、1つ以上のレベルを有し得る。また、線形媒体のレベル間移動を可能にするために、待避領域(restarea)は傾斜路(ramp)を含み得るが、これだけに限定されるものではない。待避領域は、テープ・リールがその上に載置される水平面であることが好ましい。ただし、他の複数のアプローチでは、鉛直面、傾斜面、段差面、積層面など、またはこれらの組み合わせ、を待避領域に組み込み得る。このような複数の代替アプローチにおいて、テープ・リールは、所望されれば、フック、リップ、磁石、棚、スリーブ、柱など、またはテープ・リールにかかる重力に対抗する他の何れかのデザイン、を用いて、待避領域に取り付けられ得る、もしくは待避領域によって支持され得る、または取り付けられて支持され得る。
図2は、本発明のコンテキストで使用され得る、テープ式データ記憶システムのテープ・ドライブ104の簡易図を示す。図2にはテープ・ドライブの1つの特定の具現例が示されているが、本願明細書に記載の各実施形態はさまざまなテープ・ドライブ・システムのコンテキストで実現され得ることに注目されたい。
図示のように、テープ222を支持するために、テープ供給リール220及び巻き取りリール221が設けられる。これらリールのうちの1つ以上は着脱可能なカートリッジの一部を形成し得るが、テープ・ドライブ104の一部である必要はない。図2に示されているようなテープ・ドライブは、テープ222を移動させて如何なる種類のテープ・ヘッド226にも架け渡すために、テープ供給リール220及び巻き取りリール221を駆動するための駆動用モータ(単数または複数)を更に含み得る。このようなヘッドは、複数のリーダ、複数のライタ、またはこの両方、から成る配列を含み得る。
テープ・ドライブ104は、線形媒体(linearmedia)の読み出し及び書き込みの両方を行い得るが、これら動作の一方のみ(すなわち、読み出しまたは書き込み)を所定の1つ以上のドライブに長時間行わせることが好ましい場合もある。更に、個別の線形媒体ドライブ(linearmedia drive)を複数有すると、電子回路、ヘッドなどの数が減るので、コスト面で有利であり得る。更に、複数の個々のドライブによるシーケンシャル書き込み法は全体として、より有効なランダム書き込み性能をもたらす。それ故、いくつかの書き込み用ドライブと、これより多い数の読み出し専用ドライブとを組み合わせることによって、システムのコストを減らし得る。従って、線形記憶媒体層(linearstorage media tier)内のドライブの少なくとも一部、大部分、または全てなどが書き込みまたは読み出し専用に最適化されることが好ましい場合もあり得る。
複数のガイド225がテープ222を案内してテープ・ヘッド226に架け渡す。このようなテープ・ヘッド226は、ケーブル231を介して制御装置組立体228に結合される。制御装置228は、一般に、サーボ・フォローイング、書き込み、読み出しなどのヘッド機能を制御する。この制御装置は、当該技術分野において公知のロジック、ならび本願明細書に開示されている何れかのロジック、の下で動作し得る。ケーブル231は、テープ222に記録されるデータをヘッド226に伝送するために、及びヘッド226がテープ222から読み出したデータを受信するために、読み出し/書き込み回路を含み得る。テープ222に対するヘッド226の位置はアクチュエータ232によって制御される。
当業者には全て理解されるように、テープ・ドライブと(一体型または外部)ホストとの間のデータの送受信用通信のために、及びテープ・ドライブの動作を制御し、テープ・ドライブの状態をホストに知らせるために、インターフェイス234が更に設けられ得る。
選択されたテープ・リールまたはテープ・リール対上のテープへのアクセスは、移動ロボット110によって行われ得る。移動ロボット110は(図3に示されているように、用語「天井」と同じ意味で使用され得る上面302などの)表面との接触によって移動する遠隔制御式ミニチュア車両でもよい。従って、これらテープ・リールは「床」などの下面に置かれ得る。移動ロボットは、ロボットと上面または上面の複数部分との間の磁気吸引及び駆動輪などによって上面と接触して上面を移動する(図3を参照)。1つのアプローチにおいて、テープ・ライブラリは複数のレベルを備え得る。各レベルには、複数のテープ・リールが下面(用語「床」と同じ意味で使用)に密パターンで配置され得る。1つの実施形態によると、この配置は、図1の部分上面図に示されている。
一続きの連続したテープは、単一のリールに格納され得る。このテープは、テープ・ドライブにおけるテープのスレッディング(threading)を可能にするピンまたは他の末端部品を含み得る。他の複数のアプローチにおいて、テープは、例えばテープ・カートリッジ内の、1対のリールに結合され得る。
1つの実施形態によると、磁気テープは複数のミニチュア・テープ・リール102に含まれ得る。この場合の磁気テープの長さは、標準的なテープ・カートリッジのテープ長の数分の一であるので、シーク時間が短縮される。このように短い長さは、例えば、標準的なリニア・テープ・オープン(LTO:Linear Tape Open)テープ・カートリッジのテープ長の約1/5未満、標準的なテープ・カートリッジのテープ長の約1/25未満、標準的なテープ・カートリッジのテープ長の約1/50未満などでもよい。いくつかのアプローチにおいて、複数のテープ・リール102上のテープの長さは、各テープ・リール102において約50メートル未満でもよい。ただし、他の複数のアプローチにおいて、複数のテープ・リール102上のテープの長さについては、所望される実施形態に応じて、各テープ・リール102上の長さを約25メートル未満、約20メートル未満、またはそれ以下などにし得る。
このようなテープ・リールを用いたテープ式システムのシーク時間は、更に、または代わりに、位置決め速度を、例えば秒当たり約20メートル(m/s)以上に、高速化することによって、短縮され得る。「位置決め時間」とは、テープ・ドライブへのテープの装填後、データ・セット(またはファイル)の先頭までテープを巻き取るための所要時間を指す。テープ長が約20m以下で、位置決め速度が約20m/sであると、平均位置決め時間は(20m/20m/s)/2=0.5sである。ドライブにおけるシーク時間の短縮に加え、システムのシーク時間も、約0.5sの平均装填時間を実現するべくテープ・ライブラリを構築することによって、短縮され得る。「装填時間」とは、要求がテープ・ライブラリに到達した第1の時点と、該当するテープ・リール(単数または複数)がテープ・ドライブに装填された第2の時点との間の時間を指す。
1つの実施形態によると、テープ式システムは、平均シーク時間が約2秒未満、好ましくは約1秒以下、になるように構成される。シーク時間とは、データへのアクセス要求がテープ・ライブラリによって受け取られた第1の時点と、テープ・ライブラリがデータを要求者に提供し始める第2の時点との間の遅延である。
引き続き図2を参照すると、限られたスペース内に格納され得るテープ・リール102の数を最大にするために、テープ・リール102は、例えば六角形配列、規則配列、円形配置などに、密に詰め込まれ得る。
1つの実施形態によると、これら複数のテープ・リール102の各々の直径を約100mm未満、例えば、約50mm未満、約40mm未満、約30mm未満など、にし得る。
いくつかのアプローチにおいて、これらテープ・リール102上のテープに対する読み出しもしくは書き込みまたはその両方のために利用可能なテープ・ドライブ104は1つだけである。ファイルの読み出し頻度によっては、図1で最も左側のテープ・ドライブ104がテープの読み出しを行っているように、これらテープ・リール102上のテープの読み出しもしくは書き込みまたはその両方のために利用可能なテープ・ドライブ104を複数にし得る。当業者には公知のように、好ましくは、テープ・ドライブ104への迅速アクセスによって装填時間及びデータ・アクセス時間を短縮できるように、これらテープ・ドライブ104は表面近くに如何なる配置でも位置付けられ得る。好適な一アプローチにおいては、図17A〜26を参照して以下に詳細に説明するように、テープ・ドライブ(例えば、テープ・ドライブ・システム)は、第1のテープに対する位置決め動作を行うための第1のモータ・セットと、第2のテープに対する位置決め動作を行うための第2のモータ・セットとを含み得る。
1つのアプローチにおいて、線形媒体格納モジュール100は、何れか1つの選択されたテープ・リール102の位置付け、取り出し、及びテープ・ドライブ104への搬送を移動ロボット110に行わせ、選択されたテープ・リール102のテープからのデータの読み出し要求を受け取ってから約5秒以内に、より好ましくは約2秒以内に、理想的には約1秒未満で、テープ・ドライブ104による当該テープからの読み出しを開始するべく構成され得る。別のアプローチにおいては、これらリールが少なくとも1つの線形媒体ドライブに装着される前に、以降の読み出し/書き込み動作のためにデータ位置近くにテープを位置付けるために、システムは、これらリールに対して粗位置決め動作(事前位置決め)を行うための巻き取りステーション114を少なくとも1つ含み得る。好適な一アプローチにおいて、粗位置決め動作は、所定のテープ・リールに格納されているテープの所望の部分を最短時間で位置決めすることを含み得る。
いくつかの実施形態においては、いくつかの、例えば2つ、5つ、またはこれ以上の、移動ロボット110が表面に沿って拘束されずに移動する。他の複数の実施形態においては、所定の一レベルに存在し得るロボットは1つだけである。これら移動ロボット110は線形媒体格納モジュール100の他の何れの部分にもケーブルによって接続されていないと好都合であり得る。この設計は、ロボットの高速移動に好都合であり、レベル間、室間、エンクロージャ間などでの移動ロボット110の移動を容易にする。更に、複数の移動ロボット110が用いられる場合、これら移動ロボット110が無線で、例えばロボット制御装置112を介して、制御されると、それぞれのロボット110からのケーブルがもつれ合う問題が排除される。
1つのアプローチによると、ロボット制御装置は各移動ロボット110と通信可能であり、各移動ロボット110の制御もしくは管理またはその両方を行い得る。さまざまなアプローチにおいて、ロボット制御装置は、平常動作状態、高トラフィック状態、損傷状況、オーバフロー、高優先順位要求など、または本願明細書を読まれることにより当業者には明らかになる他の何れかの状況、の制御もしくは管理またはその両方を行い得る。更に、ロボット制御装置は、ロボット制御装置が処理すべき要求を与え得るホスト、ユーザ、管理者、計算デバイスなどに接続され得る。
従って、システム、例えば線形記憶媒体層、のデータ・スループットを向上させるために、システムは複数の移動ロボットを使用し、これら複数のロボットを利用して動作をオーバラップさせ得る。これが可能である理由は、第2のロボットが第2のテープをその待避位置からドライブに送給しているときに、第1のロボットが第1のテープをドライブから待避位置に戻すことができるからである。従って、システムは、線形記憶媒体を待避領域と少なくとも1つの線形媒体ドライブとの間で搬送するための移動ロボットを少なくとも1つ、少なくとも2つ、またはそれ以上含み得る。これら移動ロボットは、好ましくは、少なくとも1つのテープ・リールを取り出し、このテープ・リールを所望の位置に、例えば巻き取りステーション、ドライブ、待避領域など、に移動することによって、線形記憶媒体を搬送し得る。さまざまなアプローチによると、所望される実施形態に応じて、これら移動ロボットは、本願明細書に記載もしくは示唆されている、または記載及び示唆されている、何れかの移動ロボットを含み得るが、これだけに限定されるものではない。
他の複数のアプローチにおいて、シングル・スプールと併用可能な巻き取りステーションは、巻き取りリールを含み得る。この巻き取りリールは、格納スプール(storagespool)と一緒に巻き取りステーションから取り外し可能であり、デュアル・スプールであるかのようにドライブに装着可能である。シングル・スプールが巻き取りステーションに載置されると、そこに巻かれているテープの一端が一時巻き取りリールに取り付けられ得る。これにより、巻き取りステーションにおいてシングル・スプールの粗位置決めが可能になり、その後、粗位置決めされたデータ位置を維持したまま、所定のドライブへの搬送が可能になる。以下により詳細に説明されているように、読み出しもしくは書き込みまたはその両方の動作が開始される磁気テープ上の所望の位置より少し前であると考えられる位置に達するまで、粗位置決め動作によってテープが高速で巻き取られ得る。更に、シングル・スプールからのテープが巻き戻されて一時巻き取りリールが空になると、一時巻き取りリールは1つの巻き取りステーションに戻され、例えば、粗位置決めされた次のシングル・スプールのために使用され得る。
その結果、所定の一ドライブのために複数の巻き取りステーションが使用され得る。このアプローチは、高スループットが所望されるが位置決め動作が低速である場合に好都合であり得る。更に、複数の巻き取りステーションを組み込むことにより、位置決め動作が特定のドライブに関係付けられず、位置決めされたテープが最初の空きドライブに装着され得るので、複数のドライブを有する実施形態の融通性が向上する。デュアル・スプールの場合は、スプール対のテープの半ばまで巻き戻すために余分の巻き取り装置を使用し得るので、以降のIO動作のための平均位置決め時間を短縮し得るという更なる利点がもたらされる。これら巻き取りステーションは、テープをドライブに送給するために用いられる機構(例えばロボット)上に配設され得る。
他の動作もオーバラップされ得る。例えば、図1を引き続き参照すると、読み出しもしくは書き込みまたはその両方の動作と以降の巻き戻し動作のためにリールがテープ・ドライブ104に装着される前に、テープ・リール102上で粗位置決め動作を行うために、巻き取りステーション114が少なくとも1つ含まれ得る。好適な一アプローチにおいて、粗位置決め動作は、所定のテープ・リールに格納されているテープの特定部分の位置決めを最短時間で行うことを含み得る。
更に、他の複数のリールで読み出しもしくは書き込みまたはその両方が行われている間に、粗位置決め動作が行われ得るので、動作がオーバラップされ得る。例えば、本発明を限定するものでは決してないが、テープ・リールは、特定のデータ・セットをテープ媒体の両端間の或るラップ(wrap)の或る位置まで書き込ませる。このテープ媒体の両端間の或るラップ(wrap)は、テープ媒体に一方向に同時に書き込まれた一組のトラックとして定義できる。テープ・リールを書き込み用に準備するための粗位置決め動作は、書き込まれているデータの末端の少し前と思われる位置に達するまで、テープを高速で巻き取り得る。巻き取りステーションにヘッドがある場合、巻き取りステーションは、書き込まれているデータの末端が位置決めされるまで、より低速で前進し得る。巻き取りステーションにヘッドが無い場合、その後にテープ・リールを収容する媒体ドライブは、事前位置付けが行われているため、テープ上のデータの末端を高速で見つけることができる。従って、粗位置決め動作は、書き込まれているデータの末端の位置決めを、ドライブを直接用いた場合に可能な速度より高速で、書き込まれているデータの末端を過ぎることなく、行い得る。これにより、書き込まれているデータの末端の位置決めの際に不要な時間遅延が防止される。
別の例においては、本発明を限定するものでは決してないが、粗位置決め動作は、読み出し要求を受け取ってからデータをテープ・リールからホストに返すまでの総時間を短縮するために使用され得る。粗位置決め動作は、リールに書き込まれたデータのマッピング位置を利用し得る。これは、マッピング・モジュールのマップに記憶され得る。これにより、好ましくは、所定のリールに記憶されたデータ・ブロックへの読み出しアクセス時間が短縮され得る(以下により詳細に説明)。従って、少なくとも1つの巻き取りステーションの粗位置決め動作は、位置決め動作と読み出し及びロボット動作とをオーバラップさせ得るので、システムの利用率を更に向上させ得る。
データの記憶場所を、特に対応するデータに関連して、追跡するには、ある種のマッピング方式が望ましい。このようなマッピング方式は、好ましくは、各論理ブロックの現行バージョンの物理位置を特定し得る。この情報は、本願明細書においてはメタ・データとも称される。さまざまなアプローチによると、このマッピング方式は、データの物理位置を、テープの製造中に記録された磁気インデックスとして、もしくはデータが書き込まれたテープの長さとして、またはその両方によって、記憶し得る。テープの長さは、例えばリールの回転数、長手方向位置(LPOS:longitudinal position)情報などによって求められ得る。1つのアプローチによると、このマッピング方式は、複数のマッピング・テーブルを使用し得る。これらマッピング・テーブルは、好ましくは如何なるデータもその書き込み後に位置決め及びアクセスされ得るように、データもしくはメタ・データまたはその両方が記憶された位置を追跡する。従って、マッピング・テーブルは、好ましくは、各書き込み要求もしくは各読み出し要求、またはその両方によって、アクセスもしくは更新、またはその両方が行われ得る。ただし、これらマッピング・テーブルへのアクセスもしくは更新、またはその両方は、所望される実施形態に応じて、各書き込み要求の完了後、各読み出し要求の処理前、時間間隔で、(例えばユーザからの)要求時などに行われ得る。マッピング・テーブルは、テープ自体、テープ・カートリッジ、テープ・ライブラリ・データベース等のデータベースなどに記憶され得る。
1つの実施形態によると、移動ロボット110によって示されているように、移動ロボット110は事前に定められた「退避」位置を有し得る。図1に示されているように、移動ロボット111は退避位置から移動し、複数のテープ・リールを取得し、テープの読み出しが行われるテープ・ドライブにテープ・リールを装填するためにテープ・ドライブに向かって移動している。更に、移動ロボット108は、読み出し動作が完了したテープ・ドライブからテープ・リールを取り出し、これらテープ・リールをそれぞれの格納位置に戻している。この動きは単なる例示であり、決して本発明を限定するものではないことは言うまでもない。これら移動ロボット110は少なくとも1つのテープ・リールを取り出し得るが、好ましくは、所望される実施形態に応じて、それぞれのテープ取り出し動作をオーバラップさせ得る。
さまざまな実施形態によると、これら移動ロボット110は直線上で少しずつ移動し得る、または表面上の位置間を弧状パターンでより自然に移動し得る。更に、本願明細書を読まれることにより当業者には理解されるように、何れかの方法によると、これら移動ロボット110は、それぞれの経路上の物体を回避し得る。
従来のいくつかのテープ・ライブラリの形状においては、レールまたはレール対に沿った第1のキャリッジの移動によって、ライブラリ・グリッパがテープ・リールもしくはテープ・カートリッジまたはその両方の配列にアクセスする。第1のキャリッジは、このライブラリ・グリッパを保持する第2のキャリッジの移動を可能にする別のレール・セットまたはガイド・セットを保持する。この方式によると、グリッパは、テープ・リールまたはテープ・カートリッジが位置する如何なる場所にも二次元アクセスを行える。あるいは、従来のいくつかの設計では、第2のキャリッジの代わりに、第1のキャリッジの各軸線を中心に回転する回転運動が用いられていた。この方式は、複数のグリッパ(またはロボット)が互いに干渉し得るので、ライブラリの融通性を制限する。例えば、これらグリッパが同じレール・セットを使用する場合、これらグリッパは互いに追い越せない。更に、一般には、追加のレール・セットを据え付けるために利用可能なスペースがテープ・ライブラリ内にないため、この方式はその機能が著しく制限される。また、これら従来の設計は、グリッパが故障した場合に、テープ・リールもしくはテープ・カートリッジまたはその両方へのアクセスを容易に回復できない。
さまざまな実施形態において、本願明細書のさまざまなシステムは、テープ・リールもしくはテープ・カートリッジまたはその両方へのアクセスを容易にする「非拘束式」ロボットを使用する。ここで、「非拘束式」という用語は、移動がレール、トラック、ガイドウェイ、経路などに拘束されず、例えば表面に沿って、少なくとも二次元に、自由に移動できることを示す。従って、非拘束式移動ロボットは表面への追加も表面からの除去も容易であり、レールまたはトラックに固定されていないので、表面上で互いの周囲を容易に移動可能である。
他の複数のアプローチにおいては、テープ・リールもしくはカートリッジまたはその両方の搬送のために、ガントリ型ロボット・アクセッサ(gantry-typerobotic accessor)が使用され得る。
更に他の複数のアプローチにおいては、テープ・リールもしくはカートリッジまたはその両方を移動するために、如何なる種類の搬送機構でも使用され得る。
図3に示されているように、1つの実施形態によると、移動ロボット110が拘束されずに移動する表面は、上面302(1つのアプローチにおいては天井など)でもよく、移動ロボット110が拘束されないように、例えば、移動が特定のトラック、経路、レール上などに限定されないように、非パターン化面にし得る。従って、各移動ロボット110は、他の何れの移動ロボット110の動きとも独立に移動可能である。例えば、各移動ロボット110は他の移動ロボット110が通った、または今後通る、経路を横切ることもできる。同様に、テープ・リール102を支持している表面304とは別の表面302に移動ロボット110を取り付けることによって、移動ロボット110は、テープ・リール102の群、列、行などの間の通路、経路、廊下などに従うように拘束されない。1つの例において、この移動はスーパーマーケット内のショッピング・カートの移動に類似し得る。ただし、移動ロボット110は、スーパーマーケットの棚間で移動するようには拘束されず、スーパーマーケットの天井に沿って拘束されずに移動可能であり、一例として、棚内の何れか所望のアイテムを上から選択できる。一群のテープ・リール102へのアクセスに複数の移動ロボット110を使用できると、短い、人気のあるファイルにより高速でアクセスできる。この形状は、テープ・カートリッジ・グリッパがx及びyポジショナ上に支持されて経路を横切ることができなかった従来の構成に比べ、はるかに融通性が高い。移動ロボット110を上面302に向けて付勢する磁石310または他の何らかの結合または吸引デバイスを用いて、移動ロボット110は上面302に結合され得る。移動ロボット110が上面302で移動できるようにすると、テープ・リール102を床などの下面304に単純に載置し得る。各磁石310は、移動ロボット110を下面304に向けて付勢する重力よりはるかに強い力で移動ロボット110を上面302に向けて付勢し得るので、移動ロボットの車輪306、308の摩擦力を高め、これにより、ロボットの更なる加速、ひいてはより短いシーク時間を可能にする。
1つのアプローチにおいて、移動ロボット110は3つの車輪306、308、すなわち2つの後輪308と1つの前(操向)輪またはボール306、を有し得る。別の三輪構成において、移動ロボット110は、2つの前輪308と1つの後(操向)輪またはボール306とを有し得る。なお、この説明における操向輪とは、ロボット本体に対する位置付けまたは回転方向が固定されていない車輪を示す。当業者には公知のように、移動ロボット110は、移動ロボット110を移動させるための車輪306、308または他の装置をいくつでも有し得ることは言うまでもない。例えば、移動ロボット110の1つの実施形態は、2つの駆動輪と2つの(操向)輪またはボールとを有し得る。ロボットの操縦は、何れか公知の方法で行い得る。例えば、1つのキャスタ型操向輪によって2つの車輪を独立に駆動することによって、または操向輪を用いて操縦することによって、または操向輪によって駆動及び操縦することによって、またはその他の方法によって、行い得る。
移動ロボット110は、リール・グリッパ312を有し得る。移動ロボット110が所望のテープ・リール102またはテープ・リール・セット102の上方に位置付けられると、リール・グリッパ312はテープ・リール102を把持する、(例えば、磁気によって)引き付ける、固着する、または別様に保持し得る。これにより、テープ・リール102は、移動ロボット110に装填されてテープ・ドライブまで搬送され得る、またはテープ・ドライブからテープ・リールの格納位置に戻され得る。1つのアプローチでは、リール102をその上方にある少なくとも1つの移動ロボット110に係合させるために、移動ロボット110はリール102を水平の待避領域304から鉛直に移動させ得るリール・グリッパ312を含み得る。更に、さまざまなアプローチによると、リール・グリッパ312は引き込み式アーム、磁石、吸引デバイスなどを含み得る。
引き続き図3を参照すると、いくつかの実施形態において、移動ロボット110は、高さ約1.75インチ(4.45cm)の空間H内でテープ・リール102の上方を移動できるような高さを有し得る。その寸法は、標準的なラック構成では約1Uである。ラック搭載式コンピュータ構成要素に使用される最小単位は、「1U」である。これは、1.75インチ(4.45cm)の高さである。標準的な0.5インチ(1.37cm)幅の磁気テープ用のリールは0.58インチ(1.47cm)と薄いので、この1Uという単位は、1層のテープ・リール102と移動ロボット110とを有する単一の格納層を保持するために十分な厚さであり得る。従って、複数の移動ロボット110と、複数のテープ・リール102と、複数のドライブとを有する単一層設計は、単一層から、格納室全体を占め得る積み重ねられた複数の層まで、さまざまなテープ・ライブラリ構成のために、または所望される如何なるサイズのためにも、使用され得る。
1つのアプローチにおいて、複数のテープ・リール102は上面から約15cm以内の距離に、例えば、15±1.5cm、約20cm未満、約10cm未満、約5cm未満、またはこれら範囲内の何れかの距離に、位置付けられ得る。
線形媒体格納モジュール100は、移動ロボット110を誘導するための制御装置112を更に備え得る。制御装置112は、移動ロボット110に搭載されても、(図1に示されているように)ロボット110から離れていてもよい。後者の場合、制御装置112は、何れかの種類の通信チャネル(無線、有線、赤外線など)を介して、ロボット110と通信し得る。
1つの例示的実施形態によると、線形媒体格納モジュール100は、複数のテープ・リール102のうちの1つに格納されたテープからデータを読み出すべく構成された少なくとも1つのテープ・ドライブ104と、複数のテープ・リール102のうちの1つ以上を選択的に取り出し、この取り出した1つ以上のテープ・リール102をテープ・ドライブ104まで搬送するべく構成された少なくとも1つの移動ロボット110とを備える。移動ロボット110の体積は、約1000立方インチ(約2540立方センチメートル)未満(いくつかのアプローチにおいては、約900in3(約2286cm3)未満、約750in3(約1905cm3)未満、約500in3(約1270cm3)未満、約250in3(約635cm3)未満、約100in3(約254cm3)未満、約50in3(約127cm3)未満)である。移動ロボット110は表面に沿って移動する。移動ロボット110は、好ましくは、事前に定められた通路または経路に沿って移動するように機械的に拘束されない(すなわち、非拘束式である)。いくつかのアプローチにおいて、移動ロボット110は機械的に拘束されず、表面上の望ましい経路を自律的に移動し得る。
移動ロボット110のナビゲーションを助けるために、下面及び上面の少なくとも一方は、移動ロボット110のナビゲーションのために有用な光学パターンを含み得る。この場合、移動ロボット110はこの光学パターンを認識するべく構成され得る。
図4に示されているように、下面すなわち床304は、例えば、移動ロボットがその位置を確認するために設計された光学パターン402を含み得る。この光学パターン402を床304全体に延在する矩形グリッドとし、特定のグリッド目404の行と列とを識別する読み取り可能コードを各グリッド目404に付けてもよい。当業者には理解されるように、この読み取り可能コードは如何なる形態でも取り得る。
さまざまな実施形態によると、床304は、図5に示されているように平面でもよく、または図6に示されているように小さな凹みで覆われてもよく、または図7に示されているように各テープ・リール102が位置付けられる収容領域を複数画成する格子を有してもよい。1つの実施形態によると、この格子をテープ・リール102より上まで延在させることによって、格子は、移動ロボット110が支持され得る表面を形成し得る。この場合、移動ロボット110は上面に沿って移動する代わりに、格子の頂面によって形成された下面を移動することになる。別のアプローチでは、リールを適所に保持するために、図8に示されているように、複数の柱401が下面304から上方に延在し得る。これら柱401は、例えば図5及び図6に示されているアプローチなど、他のアプローチと組み合わせて使用され得る。
本願明細書を読まれることにより当業者には理解されるように、この設計の移動ロボット110は、更なる特徴、能力などを含み得る。1つの実施形態において、1つのアプローチによる移動ロボット110が図9〜10に示されている。この例においては、前進及び後退運動を可能にするドライブの対称的な駆動輪308に1つ以上のモータ508から動力が供給される。別のアプローチでは、2つの対称的な駆動用モータ508を用いてこれら駆動輪308が互いに独立に駆動される場合、これら駆動輪308は操向をもたらし得る。これらモータ508は各車輪308に単一のステップダウン・ギアによって取り付けられ得る。いくつかのアプローチにおいて、移動ロボット110は他の1つ以上の全方向性被動輪(omni-directionalpassive wheel)306によって更に支持され得る。全方向性被動輪306は如何なる方向にも移動可能であり、操縦可能(例えば、操向可能、位置付け可能など)であり得る。全方向性被動輪(単数または複数)306は自在輪でもよく、より好ましくはボール・トランスファとも称される球状ボールにし得る。
テープ・リール(単数または複数)102を持ち上げるために、簡易プラットフォーム312がソレノイドまたはモータ(図示せず)によって上下され得る。テープ・リール102の上端が磁性板によって覆われている場合、電磁石502に電圧を印加することによってテープ・リール102をプラットフォーム312に強く付着させ得る。1つ以上のカメラ504が移動ロボット110のナビゲーションを可能にし得る。各リール保持位置506の上方にカメラ504を載置し得るので、移動ロボット110はその位置を判定でき、テープ・リール102をテープ・ドライブに直接送給できる。いくつかのアプローチにおいては、テープ・リール102を正確に位置付けるために、カメラ504がテープ・リール102と位置決めグリッド(またはドライブ上のテープ・リール・チャック)とを同時に撮像し得るので、移動ロボット110は精密に製造される必要はない。
複数の移動ロボット110を同じ床などの同じ作業空間で動作させるために、これら移動ロボット110にはケーブルが一切取り付けられないことが好ましい。移動ロボット110は電力を殆ど使用せず、いくつかの実施形態においては、ピーク速度が約2m/sであれば、テープ・リール102を持ち上げてドライブに運ぶまでを1/2秒以内に行える。150グラムの移動ロボット110の場合、対応する運動エネルギーは約0.3ジュールになるであろう。このエネルギー量は充電式電池から誘導結合などによって供給され得るが、コンデンサが、その極めて長い寿命故に、好ましい場合もある。1つの実施形態においては、3.2ジュールを含みながら、直径16mm、長さ40mmでしかない80ボルト、1000μFの電解コンデンサが使用され得る。移動ロボット110の再充電は、その駐車位置において行われ得るが、テープ・リール102の装填時は、テープ・ドライブにおいて行われ得る。更に、ロボットは、当該技術分野において公知の種類の配電機能を含む表面に接触することによって動作もしくは充電またはその両方のための電力を得ることもできる。ロボットは、動作用の電力もしくは制御情報またはその両方をテザー経由で得ることもできる。
図10に示されているように、好適な一実施形態によると、テープ・リール102は床304に位置付けられ、表面302は床304の反対側にあり、移動ロボット110は(磁石310による)磁気付勢などによって表面302に向けて付勢される。これにより、移動ロボット110はテープ・リール102の上方に吊り下げられる。例えば、移動ロボット110は、磁気によって上面302に向けて付勢され得る。
図11A〜11Bに示されているように、ライブラリ制御装置は赤外線(IR:infrared)などの光、無線周波数(RF:radio frequency)などによって移動ロボット110と通信し得るので、漏話を回避するために線形媒体格納モジュール100の各レベルで差別化され得る。ライブラリ制御装置は、移動ロボット110がテープ・リールを持ち上げ、降ろし、このテープ・リールをテープ・ドライブ104に装填するために取る経路を計算する。1つのアプローチにおいて、移動ロボット110は、そのカメラを用いて、経路に沿ってサーボ走行し得る。別の実施形態において、移動ロボット110は、そのモータまたは車輪上のエンコーダを用いてサーボ走行し、微調整のためにのみカメラを使用し得る。
1つの実施形態において、線形媒体格納モジュール100は、複数のテープ・ドライブ104を備え得る。この場合、各テープ・ドライブ104は、テープ・リールを支持する床に位置付けられる。この床は、移動ロボット110が移動する表面より下方にあり、その間で(テープ・リールと表面の間で)移動ロボット110が移動できるように当該表面から十分離れている。
大型の多層式線形媒体格納モジュール128において、移動ロボット110は傾斜路604を用いて複数の床の間を移動し得る。これにより、移動ロボット110自体がテープ・リールを複数の異なる床に装填でき、これら移動ロボット110の位置決め及びテープ・リールの編成を最適化することによって作業負荷を再均衡化できる。移動ロボット110、テープ・リール、及びテープ・ドライブ104の相対数は、ファイル、データ、その他へのアクセス頻度によって決められ得る。
1つのアプローチによると、複数の表面が互いに離隔されて積層された構成が使用され得る。この場合、移動ロボット110は複数の表面の間を移動するべく構成される。このアプローチでは、移動ロボット110が複数の表面の間を移動できるように、複数の表面のうちの少なくとも2つを接続する傾斜路604が少なくとも1つ設けられ得る。さまざまなアプローチにおいて、移動ロボット110とシステムの他の如何なる構成要素との間にもケーブルが結合されないので、移動ロボット110は複数の表面間を容易に移動できる。
図11Bに示されているように、1つの実施形態によると、1つ以上のレベルを有する線形媒体格納モジュール100の各床606に1つ以上のテープ・ドライブ104が直接取り付けられ得る。また、移動ロボット110は各天井602に引き付けられ得る。この設計では、リール配列(図示せず)内に単にスペースを残すだけで、線形媒体格納モジュール100内の如何なる位置にもドライブ(単数または複数)104を容易に位置付け得る。この配置は、テープ・ドライブが万一故障した場合に故障したテープ・ドライブの交換を容易にするほか、線形媒体格納モジュール100の製造後の線形媒体格納モジュール100の再構成も容易にする。例えば、移動ロボット110は、テープ・ドライブ104の移動もしくは再位置決めまたはその両方のために適合化され得る。1つの実施形態によると、線形媒体格納モジュール100の各レベルに少なくとも1つのテープ・ドライブ104が位置付けられ得る。
1つの実施形態によると、「予備」のテープ・ドライブ104及び移動ロボット110を他のテープ・ドライブ及び移動ロボットの故障時に使用できるように待機させておくべく、ライブラリを構成可能である。別の実施形態においては、作業負荷の増加、移動ロボットもしくはテープ・ドライブまたはその両方の故障など、何らかの要因によって追加のテープ・ドライブ104または移動ロボット110の使用が必要になった場合、線形媒体格納モジュール100では、線形媒体格納モジュール100の製造後でも、テープ・ドライブ、テープ・リール、もしくは移動ロボット、またはこれら全ての追加または除去をユーザが行い得る。
さまざまな実施形態によると、当該技術分野において公知の如何なる種類のテープ・スレッディング・システムでも、本願明細書に記載のシステムでの使用のために適合化され得る。1つの実施形態によると、例えば、複数のテープ・リールが(対としてではなく)個々に用いられる場合、テープ・リールをテープ・ドライブにスレッディングするために、標準的なスレッディング機構が使用され得る。テープをリール対に格納すると、装填後、テープの使用準備が整っているので、別のインボード・リール(inboardreel)に巻き取る必要がないという利点がある。更に、テープの使用終了後、両リールをテープと共に取り外し得るので、テープを取り外すためにインボード・リールから繰り出す必要がない。
別の実施形態においては、図12に示されているように、テープ・ドライブ104自体にスレッディング機構が設けられなくてもよい。代わりに、取り出されたテープ・リール702のテープ706をテープ・ドライブ104にスレッディングするべく移動ロボット110が構成され得る。1つのアプローチにおいて、移動ロボット110は、一対のテープ・リール704、704に設けられたテープ706を装填する場合、最初に一対のテープ・リール704、704のうちの一方のリール702をテープ・ドライブ104に降ろし、次にもう一方のリール704をリール・チャック708に降ろす。テープ706の巻き取りには、リール・モータが用いられ得る。あるいは、テープ706が一方のリール(リール702など)にのみ格納されている場合は、図13〜15に関して説明されているように、移動ロボット110はリール702上にないテープの一端をインボード駆動輪に取り付けるために、その一端を移動し得る。いくつかのアプローチにおいて、移動ロボット110の動作精度は、テープ・ドライブに現在使用されているリーダ・ピン・ローダ機構の精度よりはるかに高くなり得る。
別の実施形態においては、図13〜15に示されているように、テープ706のスレッディングを容易にするために、テープ706を格納した単一のリール702をリール・チャック714及びモータに装填し得る。リール・チャック714及びモータは、チャック714をテープ・ドライブ104の周囲で移動させるためのガイド718に従うように適合化されたキャリッジ716に固定されている。リール702がチャック714に装填される前、図13に示されているように、チャック714はインボード(巻き取り)リール710に近付けられる。移動ロボット(明瞭化のために不図示)がリール702をチャック714に載置した後、機構712がテープ706の当該一端を巻き取りリール710に取り付ける。図14を参照。この時点で、テープ706が記録ヘッド720、またはローラなどの何れかのガイド面、に接触する前に、事前位置決め(prelocating)動作の一環として、テープ706はリール702及び710の間で移送され得る。これにより、テープの損傷及びドライブの摩耗を減らしながら、より高速のテープ位置決めが可能になる。次に、図15に示されているように、チャック714、リール・モータ、及びテープ・リール702がガイド718に沿って最終位置まで移動され、そこで読み出しまたは書き込みがテープ706に対して行われ得る。
別の実施形態においては、テープ・ドライブ104へのスレッディングのために、ライブラリ・リール702及びキャリッジ716を移動させる代わりに、巻き取りリール710とそのモータとが移動され得る。更に別の実施形態においては、テープ706がリール対に格納されている場合、移動ロボットはこの2つのリールをテープ・ドライブ104に直接位置付け得る。そこで、テープ706はスレッディング前に位置決めされ得る。
別の例示的実施形態によると、図16A〜16Dに示されているように、テープ706は2つのテープ・リール102に保持され得るので、リーダ・ピンの非信頼性を回避するための方法が使用され得る。このアプローチでは、これらリール・ドライブ・チャック802間の離隔間隔を格納位置における両テープ・リール102間の狭い間隔と同じにし得る。移動ロボットは、図16Bに示されているように、テープ・リール102をチャック802に載置し、2つの可動ローラ804、806が所定位置にあるテープ706を順次スレッディングする。最初に、図16Cに示されているように、ローラ804がテープ706をスレッディングし、次に、図16Dに示されているように、ローラ806がテープ706をスレッディングする。ローラ804、806がそれぞれの最終位置に移動する前にテープ706が位置決めされ得るので、ローラ806または他のガイド面及びヘッドとのテープ706の接触に伴う余分な摩耗及び制御上の問題が回避され得る。あるいは、別の実施形態においては、テープ・ドライブへのスレッディングのために、空気ベアリングを形成する2つの滑らかな円筒体が使用され得る。
さまざまな実施形態によると、本願明細書に記載されているように、ランダム入/出力(IO:input/output)のスループットが向上した新しいシステム・アーキテクチャは、巻き取り動作(例えば、粗位置決め)を第2のテープに対して行っているときに、読み出し/書き込みまたは位置決め動作を第1のテープに対して行うための装置を含む。その結果、コストを最小に維持したまま、ドライブによって1秒当たりに読み出し/書き込みが行われるデータ・ブロックの数(スループット)が2倍以上に増加し得る。テープ・ドライブが特定のテープに対するデータの読み出しもしくは書き込み、またはその両方の基本タスクに従事しているときに、他のテープの装填/取り出し及びそのデータ位置への位置決め/位置決め解除を行い得る。この機能は、事前位置決め後にテープをドライブにスレッディングする処理に取り込まれ得る。
好ましくは、システムは、所定のテープが読み出しヘッドに実際にスレッディングされていなくとも、事前に定められた位置へのそのテープの粗位置決めを可能にする。従って、テープ上の長手方向位置を実際に読み出さずに、この事前に定められた位置に到達し得る。1つのアプローチによると、これは、好ましくは、テープの粗位置決めが可能な複数の巻き取りステーションと、精密位置決め、ならびに読み出しもしくは書き込みまたはその両方の動作、を行うためにテープを移送する機構とを設けることによって、実現され得る。
上にある程度詳しく説明したように、粗位置決めは、事前に定められた位置、例えば基準位置、までテープを巻き取ることを含む。好適な一アプローチにおいて、テープ・ドライブは、テープ・ドライブでテープに書き込まれたデータの位置を記憶するために使用され得るメモリを含み得る、もしくは当該メモリに結合され得る、またはその両方である。さまざまなアプローチによると、このメモリは、ルックアップ・テーブル、制御装置、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random access memory)などを含み得る。
従って、粗位置決めを行うとき、テープ・ドライブは、テープを基準位置まで巻き取るためにメモリに記憶されたデータの位置を利用し得るので、テープ上のデータを実際に読み出す必要はない。代わりに、好ましくは、基準位置から巻き取られたテープの長さを用いて概略位置が判定される。一般に、所定のテープの基準位置はテープの先頭位置に置かれ得る。ただし、IO動作の完了時にテープが巻き戻されないデュアル・スプール構成を有する実施形態の場合、所定のテープ・スプール対のテープ位置は、メタ・データとしてシステム・レベルで記憶され得る。1つのアプローチによると、この値は、テープ上のサーボ情報から長手方向位置を読み出すなどしてIO動作中に求められた精密位置によって更新され得る。更に、他のさまざまなアプローチでは、この位置情報はシステム内の他の媒体、例えばハード・ディスク、固体記憶装置など、に記憶され得る。この位置情報は、スプールに結合されたフラッシュ・メモリを含む、ただしこれだけには限定されない、媒体またはテープにもローカルに記憶され得る。更に、基準位置は、例えば光検出、慣性検出などを用いて、各スプール上のテープ量から求めることも可能であり得る。
1つのアプローチにおいて、事前に定められたテープ厚、基準位置、及び所定のテープ・スプールに巻かれた回転数(整数及び小数)は、繰り出されたテープ長を、位置決め動作を可能にするために十分な精度まで、求めるために十分な情報であり得る。更に、基準位置に達した時点を判定するために、繰り出されたテープ長が基準位置と比較され得るので、テープ上のデータを読み出す必要はない。1つのアプローチによると、繰り出されたテープ長を求めるために、シャフト・エンコーダが使用され得る。引っ張り、温度、及び湿度に起因する最新式記録テープの長さの変動は、一般に1000ppm(parts per million)未満である。この値は十分に小さいので、いくつかのアプローチによると、回転数のみを用いてテープの精密位置決めが行われ得る。従って、好ましくは、粗位置決めによって位置決めがより高速化される。更に、粗位置決めは、テープをテープ・ドライブのヘッド、ローラ、ガイド、もしくは他の構成要素、またはこれら全て、に接触させないため、テープの損傷の可能性を減らし、更にはテープ・ドライブの構成要素の摩耗を減らすというという利点をもたらす。
上記のように、好適な一アプローチでは、単一のシステム、例えばテープ・ドライブ、が2つ以上のテープに対する動作を同時に行い得る。図17A〜18は、1つの実施形態による、オーバラップ動作を実施可能なシステム900のさまざまな図を示す。必要であれば、本システム900は、他の複数の図を参照して説明した特徴など、本願明細書に挙げた他の何れかの実施形態の特徴と共に実現され得る。ただし、このようなシステム900及び本願明細書に示された他のシステムは、本願明細書に挙げた例示的実施形態に具体的に説明されているか否かに拘らず、さまざまな用途において、もしくはさまざまな並べ替えで、またはその両方で、使用され得る。更に、本願明細書に示されているシステム900は、所望される如何なる環境においても使用され得る。従って、図17A〜18(及びその他の図)は、可能な如何なる、及びあらゆる、並べ替えを含むものと考えられるべきである。
図17A〜18のシステム900は、好ましくはテープ・ドライブ・システムを指すことに注目されたい。更に、システム900は、読み出しもしくは書き込みまたはその両方の動作を行うためのヘッド902を含む。従って、1つのアプローチにおいて、ヘッド902は、例えば、当該技術分野において公知の種類の、読み出しもしくは書き込み、またはその両方のためのトランスデューサを含み得る。更に、さまざまなアプローチによると、所望される実施形態に応じて、これらトランスデューサをピギーバック、マージ式などの構成にし得る。
更に、システム900は、第1のテープ906に対して位置付け動作を行うための第1のモータ・セット904、905と、第2のテープ910に対して位置付け動作を行うための第2のモータ・セット907、908とを含む。1つのアプローチによると、第1もしくは第2の、またはその両方の、テープ906、910の部分が1つ以上のスプール上に格納され得る(例えば、図1及び図27を参照)。ただし、再び図17A〜18を参照すると、別のアプローチでは、第1もしくは第2の、またはその両方の、テープ906、910の部分がカートリッジ内に保持され得る。更に、さまざまなアプローチによると、図17A〜18のテープ、例えばスプール、カートリッジなど、は、本願明細書に記載もしくは示唆されている、または記載及び示唆されている、何れかのアプローチによるドライブに送給され得る。好適な一アプローチにおいて、これらスプールはロボットによってドライブに運ばれ得る(例えば、図1の110を参照)。
1つのアプローチにおいて、第1のモータ・セット904、905もしくは第2のモータ・セット907、908、またはその両方は、ドライブとそこに装着された格納リールとを含み得る。従って、各セットのドライブ及び格納リールは、第1及び第2のテープ906、910をそれぞれモータ・セットに効果的に結合し得る。1つのアプローチによると、このドライブ及び格納リールは、第1及び第2のテープ906、910をそれぞれのモータ・セットに効果的に結合するために、ドライブ・チャックを使用し得る(例えば図12〜16を参照)が、これだけに限定されるものではない。
引き続き図17A〜18を参照すると、システム900は経路914を更に含む。図示のように、経路914は、第1及び第2のドライブ機構916、918をそこに沿って位置付け可能なトラック、リング、旋回軸上で回転するアームなどの役目を果たし得る。従って、第1もしくは第2の、またはその両方の、テープ906、910の部分を保持するスプールもしくはカートリッジまたはその両方は、以下に明らかになるように、好ましくは共通経路914に沿って移動し得る。
第1及び第2のドライブ機構916、918は、好ましくは、第1のモータ・セット904、905及び第2のモータ・セット907、908のどちらか一方にそれぞれ結合される、または第1のモータ・セット904、905及び第2のモータ・セット907、908のどちらか一方をそれぞれ含む。例えば、図17Aを見ると、モータ904は、第1のドライブ機構916において、第1のテープ906が巻き付けられたテープ・スプールを受け入れるためのアーマチュアまたは他の受け入れ装置に結合され得る。他方、モータ905は、第1のテープ906の先端を受け入れるための受け入れ装置に結合される。
次に図17Bを参照すると、第1のドライブ機構916が経路914に沿って移動するに伴い、テープ906は選択的にヘッド902上に位置付けられ得る。
更に、図17Cに示されているように、好適な一アプローチでは、ドライブ機構916は第2のドライブ機構918のできる限り近くに、ただしそこには接触せずに、位置し得る。その結果、ドライブ機構916は、好ましくは、ヘッド902及びガイド922に架け渡されたテープ906の大きな巻き付き角度を生じさせる(例えば、図2の225を参照)。これにより、例えばテープのよじれ、スカイブ角度不足などに起因する、テープの読み出しもしくは書き込みまたはその両方のエラー量を最小にする。
依然として図17Cを参照すると、使用中、ヘッドがデータの読み出しもしくは書き込みまたはその両方をテープ906で行っているときに、モータ905は第1のドライブ機構916のスプールからのテープ906の巻き取りを開始し得る。
第2のテープ910に対する第2のドライブ機構918及び第2のモータ・セット907、908の動作は、第1のドライブ機構916及び第1のモータ・セット904、905の動作と同様である。
上の例と同様の動作は、図17D〜17Eに示されているように、第2のテープ910及びドライブ機構918と組み合わされた第2のモータ・セット907、908にも当てはまることに注目されたい。更に、別のアプローチにおいては、これらテープのうちの1つ以上のテープは、読み出しもしくは書き込みまたはその両方の後にヘッド902に架け渡されているときに、位置決め解除され得る(例えば、巻き戻され得る)。更に、状況によっては、例えば、この処理のために適正な位置付けを実現するために、これらドライブ機構のうちの1つ以上を経路914に沿って位置付けることが望ましい場合がある。
本願明細書に記載もしくは示唆されている、または記載及び示唆されている、各実施形態によると、これらドライブ機構は非対称であることが望ましいが、必ずしもそうである必要はない。いくつかのアプローチでは、これらドライブ機構を対称にし得る。
依然として図17A〜18の二テープ構成を参照すると、テープ・ドライブ・システム900は非対称のドライブ機構916、918を示す。本願明細書を参照すると、第1のテープ906及び第2のテープ910の両方がヘッド902に架け渡されるときにテープのデータ収容面(例えば、スプール上のテープの外向面)がヘッド902に面するように第1のテープ906及び第2のテープ910の両方が位置付けられるべく、非対称のドライブ機構916、918が位置付けられる。従って、スプール、カートリッジなどに対してテープの外面でデータにアクセスできるようにテープが反時計回り方向に巻かれる限り、これらテープは、図17C及び図18にそれぞれ示されているように、どちらのドライブ機構にも載置され得るので、テープがヘッド902上に巻き付けられると、テープのデータ収容面はヘッド902に面することになるので好都合である。換言すると、好適な非対称配向では、両リール対について、駆動リールに対する格納リールの相対角度位置の符号(正または負)が同じである。従って、好適な一アプローチにおいては、両ドライブ機構を非対称にし得る。
さまざまなアプローチによると、ドライブ機構916、918は、それぞれの移動を可能にするために、車輪、モータなど、何れか公知の機構を用いて、互いに独立に経路914に沿って移動し得る。1つのアプローチにおいて、ドライブ機構916、918は、自己推進式である。他の複数のアプローチにおいて、ドライブ機構916、918は、コンベヤ・ベルト、ケーブル、枢動アームなど、当該技術分野において公知の種類の一体型位置付けシステムによって、経路に沿って位置付けられ得る。更に、ドライブ機構916、918に結合されたテープに対してヘッド902が読み出しもしくは書き込みまたはその両方を行っているときにドライブ機構916、918を静止させておきたい場合、ドライブ機構916、918は、例えば摩擦結合によって、機構916、918自体を経路914自体に結合し得る。さまざまなアプローチによると、ドライブ機構916、918は、ドライブ機構の下から突出しているブレーキ・パッド、アーム、グリッパなどを用いて、経路914に結合され得る。
引き続き図17A〜18を参照すると、さまざまなアプローチによると、所望される実施形態に応じて、経路914はさまざまな形状、例えば円弧、円形など、もしくはさまざまなサイズ、またはその両方を有し得る。別のアプローチにおいて、システムの経路は、以下により詳細に説明するように、閉ループを形成し得る(例えば、図22A〜22Cの1320を参照)。ドライブ機構の数に加え、経路のさまざまな形状もしくはサイズまたはその両方によっても、システムが同時にアクセスし得るテープの数が変わり得る。好適な一アプローチによると、コンパクトな経路が望ましい。その理由は、コンパクトな経路は、高い剛性と小さなシステム規模とをもたらし得る、もしくはより高い記憶密度を可能にし得る、またはその両方を可能にし得るからである。好適な複数の実施形態においては、ガイド面へのテープの大きな巻き付きがもたらされる。これは、横方向へのテープの移動を減らし、より高いトラック密度を可能にする要因である。従って、1つのアプローチによると、経路は凹状輪郭を含み得る(例えば、図24を参照)。これにより、好ましくは、アクセスされるテープの巻き付き角度を大きくできる一方で、他の候補リールを収容するために十分な長さの経路周長をもたらすことができる。
システム900は、プロセッサと、このプロセッサに組み込まれた、もしくはこのプロセッサによって実行可能な、またはその両方である、ロジックとを更に含み得る。好適な一アプローチにおいて、このロジックは、ヘッド902への第1のテープ906の架け渡しを第1のモータ・セット904、905に行わせ、同時に第2のテープ910の粗位置決め及び巻き戻し動作の少なくとも一方を第2のモータ・セット907、908に行わせるべく構成され得る。従って、好適な一アプローチによると、経路914は、単一のテープ・ドライブ・システム900を2つ以上のテープに同時にアクセスさせることによって、テープ・ドライブの動作をオーバラップさせる。
テープ・ドライブの多くの動作は5段階に分割可能である。そのうちのいくつかの段階は、複数のステップを含む。これらステップ及び対応する段階は、以下を含み得る。
●PRE(事前動作):
○装填(load):テープ・リールをモータ・セットの第1のモータに取り付ける。
○取り付け(attach):テープの先端をモータ・セットの第2のモータに取り付ける。
○位置決め(locate):読み出しまたは書き込み動作のためにデータの概略位置までテープを前進させる。
●THREAD(スレッディング):テープをヘッド上に位置付けるためにドライブ機構を移動させる。
●RW(読み出し/書き込み):
○加速(accelerate):テープを読み出し/書き込み速度まで加速する。
○読み出しまたは書き込み(read/write):データの読み出しまたは書き込みを行う。
○減速(decelerate):テープを減速させる。
●UNTHREAD(アンスレッディング):テープを両モータから外すためにドライブ機構を移動させる。
●POST(事後動作):
○位置決め解除(unlocate):テープをテープ・リールに戻す。
○取り外し(detach):テープの取り付けられていた先端を外す。
○取り出し(unload):テープを取り出す。
上記のように、さまざまなアプローチによると、上記の段階の全ステップを含む必要はなく、いくつかのアプローチにおいては、これらステップをオーバラップさせ得る。例えば、読み出し後にテープが減速されているときに、アンスレッディング(unthreading)も行われ得る。別のアプローチによると、第2のテープ910に対して読み出しもしくは書き込みまたはその両方の動作が行われているときに、第1のテープ906の巻き戻しを行わせるために、システム900は、プロセッサに組み込まれた、もしくはプロセッサによって実行可能な、またはその両方である、ロジックを含み得る。
引き続き図17A〜18を参照すると、2つのテープ906、910のどちらか一方は、もう一方のテープの状態に関係なく、上に挙げたPOSTまたはPRE段階のどちらの段階にも置かれ得ることは明らかである。例えば、上に挙げた各動作を見ると、2つのテープのうちの第2のテープ910の装填または取り出しが行われているときに、同時に第1のテープ906の装填が行われ得る。更に別の例においては、本発明を限定するものでは決してないが、第2のテープ910に対して位置決め動作が行われているときに、第1のテープ906に対する位置決め動作が行われ得る。別の例において、第2のテープ910に対して位置決め動作が行われているときに、第1のテープ906の装填または取り出しが行われ得る。従って、好適な一アプローチにおいて、第1もしくは第2の、またはその両方の、ドライブ機構916、918は、例えば動作コマンドを受け取るために、制御装置と通信し得る。その結果、第1及び第2のドライブ機構916、918は互いに独立に移動し得るので、動作をオーバラップさせることができ、システムの効率を大幅に向上させ得る。制御装置は、好ましくは、ドライブ機構同士が接触しないように両ドライブ機構の動きを制御する。
何れの時点においても、読み出しもしくは書き込みまたはその両方のためにヘッドに位置付けられ得るテープは1つだけである。従って、第1のテープ906がRW段階にあるときに(上記)、一般には第2のテープ910をTHREADまたはUNTHREAD段階にすることはできない。ただし、一例示的アプローチによると、(例えば、好ましくは制御装置を用いて)適正に調整される場合は、一方のテープのアンスレッディング処理中に、もう一方のテープのスレッディング処理を行い得る。図18を見ると、1つのアプローチによると、システム900は、第2のテープ910をヘッド902からアンスレッディングしているときに、第1のテープ906をヘッド902にスレッディングするために、プロセッサに組み込まれた、もしくはプロセッサが実行可能な、またはその両方である、ロジックを含み得る。その結果、一方のテープ906のスレッディングともう一方のテープ910のアンスレッディングとが同時に行われることによって、所定のテープ・ドライブ・システム900のアクセス時間が短縮されるので都合がよい。
更に、複数の動作をオーバラップできると、システム・レベルの待ち行列での待ち合わせ時に性能上の著しい利点をもたらす。1つのアプローチによると、待ち行列は、単一のドライブであっても、スループットの最大化などのために、動作の再順序付けを可能にする。例えば、位置決め時間と位置決め解除時間とのオーバラップを最大にするなどして、ヘッドのアイドル時間が最小になるように、動作の再順序付けが可能である。複数のドライブを有するシステムでは、待ち行列はよりいっそう有効であり得る。
図19は、AからFまでのアルファベット順に示された一連のテープを一ドライブで読み出すための、一例示的実施形態による動作シーケンスを示す。図示のように、動作がオーバラップされるように、2つのテープがドライブに同時に存在し得る。図19を見ると、テープAに対してRW及びUNTHREAD段階の動作が行われているときに、テープBに対してPRE段階の動作が行われる。更に、テープAに対してPOST段階の動作が行われているときに、テープBに対してTHREAD及びRW段階の動作が行われる。従って、図19は、スケジューリングが適正であれば、2つのテープは読み出し/書き込み処理の互いに異なる段階に、互いに干渉せずに、置かれ得ることを示している。図19において行われる処理及びタイミングによると、このドライブのスループットは、ドライブ内に一度に単一のテープのみがあるときの2倍になる。従って、テープ・ドライブの動作のオーバラップは、アクセス時間の大幅な短縮として示される。
一例示的実施形態によると、本発明を限定するものでは決してないが、テープ・ドライブ・システム1100は合流経路構成を含み得る。図20は、1つの実施形態によるオーバラップ動作を実施可能なシステム1100を示す。必要であれば、本システム1100は、その他の図を参照して説明したような、本願明細書に記載されている他の何れかの実施形態からの特徴と共に実現され得る。ただし、このようなシステム1100及び本願明細書に示されている他のシステムは、本願明細書に記載の例示的実施形態に具体的に説明されているか否かに拘らず、さまざまな用途に、もしくはさまざまな並べ替えで、またはその両方で、使用され得ることは言うまでもない。更に、本願明細書に示されているシステム1100は、所望される如何なる環境でも使用され得る。従って、図20(及びその他の図)は、可能なあらゆる、及び如何なる、並べ替えも含むものと考えられるべきである。
図20に示されているように、テープ・ドライブ・システム1100は、図17A〜18に示されているものと同様の特徴を含む。ただし、システム1100は、合流経路1104を代わりに含む。合流経路1104は、好ましくは、どちらのドライブ機構916、918もそれぞれのテープ906、910をヘッド902上に位置付け得るように設計される。テープ・ドライブ・システム1100の複数の動作がオーバラップされ得る。例えば、ヘッド902が第1のテープ906にアクセスしているときに、第2のテープ910に対して粗位置決め、巻き戻し、装填、取り出しなどが行われ得る。更に、他の複数のアプローチによると、システム1100の動作は、上に記載もしくは示唆されている、または記載及び示唆されている、他の何れかのアプローチに応じて、オーバラップされ得る。更に、他の複数のアプローチにおいては、システム1100は、合流区間に達する前に、より長い「走行路」、例えば、経路1104の部分、を複数含み得る。これら「走行路」は、一方のテープのアンスレッディングが行われているときに、もう一方のテープの部分スレッディングのために使用され得る。
別の例示的実施形態によると、システム1200は、図21A〜21Cに示されているように、ドライブ機構を1つだけ含み得る。図21A〜21Cは、1つの実施形態によるオーバラップ動作を実施可能なテープ・ドライブ・システム1200を示す。必要であれば、本システム1200は、他の複数の図を参照して説明した特徴など、本願明細書に挙げられている他の何れかの実施形態の特徴と共に実現され得る。ただし、このようなシステム1200及び本願明細書に示されている他のシステムは、本願明細書に挙げた例示的実施形態に具体的に説明されているか否かに拘らず、さまざまな用途において、もしくはさまざまな並べ替えで、またはその両方で、使用され得ることは言うまでもない。更に、本願明細書に示されているシステム1200は、所望される如何なる環境においても使用され得る。従って、図21A〜21C(及びその他の図)は、可能な如何なる、及びあらゆる、並べ替えを含むものと考えられるべきである。
図21A〜21Cに示されているように、システム1200は、2つのモータ対1208、1210及び1212、1214をそれぞれ用いて、2つのテープ1204、1206に対する動作を同時に行い得る。更に、上記のように、システム1200は、例えば図17A〜18に示されている2つのドライブ機構とは異なり、単一のドライブ機構1216を有する。
図21A〜21Cを再び参照すると、1つのアプローチによると、単一のドライブ機構1216は、2つのドライブ機構を有する実施形態と同様の機能を提供しながら、システム1200の製造をより低価格で可能にする。この単一のドライブ機構1216では、何れの時点においてもPREまたはPOST段階の動作を実行できるリールは1つだけであるが、PROまたはPOST段階の動作が一方のテープに対して実行されているときに、同時にRW段階の動作が別のテープに対して実行され得る。更に、この共通ドライブ機構1216では、第2のテープ1206をスレッディングしているときに、第1のテープ1204のアンスレッディングを行える。または、この逆も可能である。
更に別の例示的実施形態において、システム1300は、2つのモータを有するドライブ機構を2つ含み得る。図22A〜22Cは、1つの実施形態によるオーバラップ動作を実施可能なテープ・ドライブ・システム1300を示す。必要であれば、本システム1300は、他の複数の図を参照して説明した特徴など、本願明細書に挙げた他の何れかの実施形態の特徴と共に実現され得る。ただし、このようなシステム1300及び本願明細書に示された他のシステムは、本願明細書に挙げた例示的実施形態に具体的に説明されているか否かに拘らず、さまざまな用途において、もしくはさまざまな並べ替えで、またはその両方で、使用され得ることは言うまでもない。更に、本願明細書に示されているシステム1300は、所望される如何なる環境においても使用され得る。従って、図22A〜22C(及びその他の図)は、可能な如何なる、及びあらゆる、並べ替えを含むものと考えられるべきである。
図22A〜22Cに示されているように、システム1300は、2つのテープ1304、1306に対して同時動作を可能にする2つのモータ対1308、1310及び1312、1314を有する。この例示的システム1300において、2つのモータ1308、1314は一方のドライブ機構1316に装着され、他の2つのモータ1310、1312はもう一方のドライブ機構1318に装着される。
更に、経路1320は、閉ループを形成するために、図17Aに示されている実施形態よりさらに延長される。その結果、経路1320は、例えば2つのテープ1304、1306がアクセスされるときに、2つのドライブ機構1316、1318のシフトを経路1320の底部近くの位置間で可能にする。好適な一アプローチでは、図22A及び22Cに示されているように、読み出しもしくは書き込みまたはその両方がテープ1304、1306のどちらか一方に対して行われているとき、2つのドライブ機構1316、1318は経路1320の底部のほぼ中心に保持されている。これにより、好ましくは、例えばガイド1326及びヘッド1302の周囲でテープの大きい巻き付き角度を維持することによって(例えば、図2の225を参照)、テープ経路の最適化を可能にし得る。
引き続き図22A〜22Cを参照すると、アクセスされるテープを切り替えるために、カートの位置を逆にし得る。図22Aを見ると、第1のテープ1304がアクセスされており、例えばデータの読み出しもしくは書き込みまたはその両方が第1のテープ1304に対して行われている。更に、第2のテープ1306が装着されており、モータ対1312、1314は粗位置決め、巻き戻し動作などを第2のテープ1306に対して行い得る。
次に図22Bを参照すると、システムが第2のテープ1306にアクセスしようとするとき、両ドライブ機構は経路に沿って、例えば図示のように反時計回り方向に、移動する。この移動中に、第1のテープ1304はアンスレッディングされ、第2のテープ1306はヘッド1302にスレッディングされる。その結果、図22Cに示されているように、第1のテープの巻き戻し、取り外しなどが行われ得る一方で、第2のテープがアクセスされ得る。
図22A〜22Cには反時計回りの動きが示されていたが、いくつかのアプローチにおいては、両ドライブ機構は、同じ機能を実現するために、時計回りに、または時計回りと反時計回りとを組み合わせて、移動し得ることに注目されたい。
更に、好適な一アプローチにおいて、両ドライブ機構はテープの切り替えごとに、反時計回りの回転と時計回りの回転とを切り換え、その間にテープにアクセスし得る。その結果、1つのアプローチによると、両ドライブ機構もしくはモータまたはその両方への信号もしくは電力またはその両方の接続は、例えば可撓性ケーブルによってもたらされ得る。その理由は、各反時計回りの動きの後に時計回りの動きが続くため、可撓性ケーブルがからまないからである。ただし、一代替アプローチでは、両ドライブ機構は反時計回りまたは時計回りのどちらか一方の方向にのみ回転し得る。従って、電力もしくは信号またはその両方は、経路、摺動接点などとの接触によって、両ドライブ機構に、もしくはその上のモータに、またはその両方に送給され得る。更に、使用される接続の種類は、両ドライブ機構もしくはモータまたはその両方に信号を送るために必要なリード数、もしくは両ドライブ機構もしくはモータまたはその両方に送給される電力、またはその両方によって決まり得る。
次に図23を参照すると、図22A〜22B示されている実施形態と同様の実施形態によると、システム1400は、3本のテープが同時に装填される閉ループ経路を含み得る。所定の一テープ・ドライブの容量を増やすことによって、記憶システム全体のコストが低減される。その理由は、より少数のテープ・ドライブ内にドライブ機構を追加すると、追加のドライブを含めるより、システムのスループットを向上させるための解決策としてはるかに安価であることによる。
図23に示されているように、各テープ1404、1406、1408はモータ・セット1410、1412;1414、1416;1418、1420にそれぞれ対応する。更に、個々のモータ1410、1412、1414、1416、1418、1420は、それぞれ別のドライブ機構1422、1424、1426、1428、1430、1432に装着される。その結果、上記のPRE、POST、及びRW段階の動作が3本のテープ1404、1406、1408に対して同時に行われ得る。上に挙げたものを含む何れか公知の手法により、電力及び制御信号がドライブ機構1422、1424、1426、1428、1430、1432に供給され得る。
1つのアプローチによると、アクセスされる3本のテープを切り替えるために、これらドライブ機構は一方向にのみ(例えば、反時計回りまたは時計回りに)回転し得る。その結果、システム1400は、アクセスされる3本のテープを切り替えるために必要な個々の角運動が小さくて済む、例えば好ましくは360°未満になる、という利点を有し得る。
別のアプローチでは、ドライブ機構1422、1424、1426、1428、1430、1432は双方向に位置付け可能である。従って、別のアプローチによると、電力もしくは信号またはその両方をカートに導くために可撓性ケーブルを、例えばからませずに、使用し得る。
更に別の例示的実施形態において、図24は、凹状及び凸状輪郭を組み込んだ経路1504を有するシステム1500を示す。上記のように、凹状輪郭は、好ましくは、アクセスされる、例えばヘッド1502によってデータの読み出しもしくは書き込みまたはその両方が行われる、テープ1506の大きな巻き付き角度をもたらす。更に、凹状輪郭は、その他のテープ1508、1510を収容するために十分に長い経路周長を更にもたらす。従って、さまざまなアプローチによると、第1のテープ1506がヘッド1502にほぼ係合しているときに、その他のテープ1508、1510の巻き戻し、粗位置決め、装填、取り外しなどが行われ得る。
更に、さまざまなアプローチによると、図24に示されているシステム1500は、本願明細書に記載もしくは示唆されている、または記載及び示唆されている、何れのアプローチも含み得る。従って、図24(及びその他の図)は、可能なあらゆる、及び如何なる、並べ替えも含むものと考えられるべきである。
図25A〜25Dは、1つの実施形態によるシステム1600を示す。必要であれば、本システム1600は、他の複数の図を参照して説明した特徴など、本願明細書に挙げた他の何れかの実施形態の特徴と共に実現され得る。ただし、このようなシステム1600及び本願明細書に示された他のシステムは、本願明細書に挙げた例示的実施形態に具体的に説明されているか否かに拘らず、さまざまな用途において、もしくはさまざまな並べ替えで、またはその両方で、使用され得ることは言うまでもない。更に、本願明細書に示されているシステム1600は、所望される如何なる環境においても使用され得る。従って、図25A〜25D(及びその他の図)は、可能な如何なる、及びあらゆる、並べ替えも含むものと考えられるべきである。
次に図25A〜25Dを参照すると、一ドライブでの単一ヘッドによる動作のために2本以上のテープを移動させる代わりに、以下に明らかになるように、ヘッド1602をこれらテープに選択的に係合させるために、ヘッド1602を、場合によっては更にテープ・ガイドを、位置付けることもできる。システム1600は、ヘッド1602をテープ1606、1610の各々に選択的に係合させるために、ヘッド1602がそこに沿って移動可能な経路1614を含む。システム1600は、システム1600の動作を制御するための、制御装置のプロセッサに組み込まれた、もしくは当該プロセッサによって実行可能な、またはその両方である、ロジックを更に含み得る。
図25A〜25Bに示されているように、第1のテープ1606の一部を保持する第1のスプール1620はテープ・トラック1624に沿って伸張位置に向けて移動される。伸張位置に達すると、第1のテープ1606は、第1のテープ1602に対する読み出しもしくは書き込みまたはその両方の動作を可能にするために、ヘッド1602がそこに沿って移動可能な経路1614を横切って延在する。
更に、図25C〜25Dに示されているように、図25Bに示されている動作の完了後、ヘッド1602は後退し、第1のスプール1620は後退位置に向かって後退する。第2のテープ1610の一部を保持している第2のスプール1622は、第2のテープ・トラック1626に沿って伸張位置に向けて移動される。伸張位置に達すると、第2のテープ1610は、第2のテープ1610に対する読み出しもしくは書き込みまたはその両方の動作を可能にするために、ヘッド1602がそこに沿って移動可能な経路1614を横切って位置付けられる。
図25A〜25Dにはテープに対して移動するヘッド1602が示されているが、別のアプローチによると、ヘッド1602とテープ1606、1610との間の相対移動が存在し得る。例えば、ヘッド1602を静止させ、この静止中のヘッド1602に対して移動するプラットフォームにテープ1606、1610を取り付けることによって、例えば、ヘッド1602をテープ1606、1610のどちらか一方に選択的に係合させ得る。
次に別の例示的実施形態を参照すると、図26は、1つの実施形態によるシステム1700を示す。必要であれば、本システム1700は、他の複数の図を参照して説明した特徴など、本願明細書に挙げた他の何れかの実施形態の特徴と共に実現され得る。ただし、このようなシステム1700及び本願明細書に示された他のシステムは、本願明細書に挙げた例示的実施形態に具体的に説明されているか否かに拘らず、さまざまな用途において、もしくはさまざまな並べ替えで、またはその両方で、使用され得ることは言うまでもない。更に、本願明細書に示されているシステム1700は、所望される如何なる環境においても使用され得る。従って、図26(及びその他の図)は、可能なあらゆる、及び如何なる、並べ替えも含むものと考えられるべきである。
図26に示されている例示的実施形態によると、テープ・ドライブ・システム1700は、ヘッド1702を少なくとも2つの異なる位置間で移動させるべく構成された機構を含み得る。ここで、この実施形態、もしくは他の実施形態、またはその両方において何れか一組の位置「間で」とは、示された位置への位置付けを含むものとする。図26に示されている例示的実施形態によると、ヘッド1702は、例えば、図示の3本のテープ1708、1714、1716の位置にそれぞれ対応する、3つの異なる位置1720、1722、1724間で位置付けられ得る。ただし、さまざまなアプローチによると、ヘッドは、所望される実施形態に応じて、少なくとも2つの位置間で、少なくとも4つの位置間で、またはその他の数の位置間で、位置付けられ得る。
好適な一アプローチにおいて、3つの異なる位置間での相対移動を組み込むことによって、ヘッド1702をこれら3つの位置間で位置付け得る。1つのアプローチにおいては、3本のテープ1708、1714、1716間で中心点周りにヘッド1702を回転させ得る。ただし、別のアプローチによると、システム1700は、ヘッド1702とテープ1708、1714、1716との間で相対移動を生じさせ得る。例えば、各テープをヘッド1702の周りに回転させ得る。
テープ・スレッディング動作は、図16A〜16Dに示されている実施形態と同様に行われ得る。従って、システム1700は、各位置に第1のガイド・セット804、806を含み得る。図26に示されているように、ヘッド1702が第1の位置1720にあるときに、第1のテープ1708をヘッド1702に係合させるために、ガイド804、806を位置付けることができる。これにより、第1のテープ1708に対する読み出しもしくは書き込みまたはその両方の動作が可能になる。従って、両ガイド及びヘッドは、上記と同様に機能し得る。
更に、第1のテープ1708がヘッド1702にほぼ係合しているときに、第2及び第3のテープ1714、1716の巻き戻し、粗位置決め、装填、取り外しなどが行われ得る。
ヘッドが第2または第3の位置1722、1724にあるとき、ガイド804、806はそれぞれの位置においてそれぞれのテープをヘッド1702にスレッディングする。
本願明細書に記載もしくは示唆されている、または記載及び示唆されている、さまざまな実施形態を参照すると、そこに組み込まれている各リールは十分に大きい(例えば、フランジが十分に大きい)ので、テープ全体がアクセスされる場合でも、テープの全長を保持できる。テープがこれら大型リール対に格納される場合、ライブラリの容積を、単一のリールが使用され得る場合に比べ、2分の1に減らし得る。
別のアプローチでは、テープは一対のリールに格納され得る。この場合、少なくとも一方のリールはテープの全長を収容できるほど大きくない。図27A〜27Cに示されているように、一時フランジ・エクステンダ1802、1804をテープ・ドライブに組み込むことによって、リール・サイズを小型化し得る。テープ・ドライブにおいては、リール・フランジ1806がテープ・ドライブ上にあるときにリール・フランジ1806が拡大されるように、一時フランジ・エクステンダ1802がモータ/リール・チャック1808に固定される。テープを一方のリールに巻けるように、各リール102がドライブに載置された後、各リール102の上に別のフランジ・エクステンダ1804が載置される。これらテープ・リール102がテープ・ドライブから取り出される前に、テープはこれらテープ・リール102の間で均一に巻き戻されるので、テープはこれらテープ・リール102上の永久フランジ1806の間にのみ存在する。
別のアプローチでは、テープの直径がフランジより大きくなった後、テープをリールに保持しておくためにパッキング・ローラが使用され得る。
いくつかのアプローチによると、1つのスプールを収容したカートリッジ内にテープがパッケージングされ得る。
他の複数のアプローチにおいては、2つのスプールを有するカートリッジ内にテープがパッケージングされ得る。この場合、テープは一方のスプールからもう一方のスプールに巻き取られる(例えばVHSカートリッジの構成と同様)。ただし、ライブラリ・ロボットが2つのスプールへのアクセス、もしくは2つのスプールの搬送、またはその両方を、テープを損傷せずに、行える場合は特に、これら2つのスプールを1つのカートリッジ内に収容する必要はない。更に、1つのアプローチによると、カートリッジが使用される場合は、例えばアクセスのために各リールの個別移動を可能にするために、ドライブへのテープの装填後、一方のリールをカートリッジから除去し得る(図17A〜26を参照)。別のアプローチでは、これらスプールが動作していないときに、これらスプールを一緒に保持するために、着脱可能なクリップが使用され得る。例えば、このクリップは、これらスプールがドライブに装填されるときに取り外され、これらスプールがドライブから取り出されると再び取り付けられ得る。
いくつかのアプローチにおいて、テープ・ライブラリは、耐故障性もしくは自己修復性、またはその両方を有し得る。例えば、各テープ・カートリッジはいくつかの異なるドライブによって読み出され得る。この場合、或るロボットが故障すると、他のロボットは故障したロボットを迂回し得る、もしくは故障したロボットは別のロボットによって牽引されて交換され得る、もしくは故障したテープ・ドライブが牽引されて交換され得る、またはこれら全てが行われ得る。
1つの実施形態によると、或る移動ロボットが故障すると、別の移動ロボットによって牽引されて交換され得る。移動ロボットがテープ・ドライブを除去するときに取る経路内に存在するテープ・リールを一時的に片付けた後で、当該テープ・ドライブを容易に牽引して交換できるように、テープ・ドライブは構成され得る。電力及びデータの接続は、テープ・ドライブのデータ転送用の電力及び光リンクのために、例えば単純な摺動ばね接点を用いることによって、極めて小さな力を用いるべく行われ得る。
1つの実施形態によると、システムは、故障した移動ロボットの除去を別の移動ロボットを用いて行えるべく構成され得る。この場合、いくつかのアプローチにおいては、故障した移動ロボットの代わりに、除去を行った移動ロボット、または別の移動ロボットが使用され得る。
別の実施形態において、移動ロボットは、例えばテープ・ドライブが破損した場合に、このテープ・ドライブを除去するべく構成され得る。同様に、移動ロボットは、交換用または修理済みのテープ・ドライブを設置し得る。
本願明細書に記載もしくは示唆されている、または記載及び示唆されている、何れの実施形態も、所望される実施形態に応じて、さまざまな機能方法と組み合わされ得る。
図30は、1つの実施形態による方法2100を示す。必要であれば、本方法2100は、他の複数の図を参照して説明した特徴など、本願明細書に挙げた他の何れかの実施形態の特徴と共に実現され得る。ただし、このような方法2100及び本願明細書に示された他のシステムは、本願明細書に挙げた例示的実施形態に具体的に説明されているか否かに拘らず、さまざまな用途において、もしくはさまざまな並べ替えで、またはその両方で、使用され得ることは言うまでもない。更に、本願明細書に示されている方法2100は、所望される如何なる環境においても使用され得る。従って、図30(及びその他の図)は、可能なあらゆる、及び如何なる、並べ替えも含むものと考えられるべきである。
図示のように、方法2100は、読み出しもしくは書き込みまたはその両方の動作を第1のテープに対してヘッドを用いて行うことを含む。動作2102を参照。
更に、方法2100は、読み出しもしくは書き込みまたはその両方の動作が第1のテープに対して行われているときに、粗位置決め(事前位置決め)を第2のテープに対して行うことを含む。動作2104を参照。本願明細書を参照すると、動作位置とは、テープから取り出されるデータの概略位置または実際の物理位置、次の書き込み動作の概略位置、などを指す。好適な一アプローチによると、動作位置付近への粗位置決めを行うことによって、テープは、動作位置に近いテープ区間まで、例えば動作位置から約25mm以内になるまで、スプールに巻かれるはずである。このテープ区間は、テープの或る長さにわたり得る。上記のように、オーバラップ動作は並行して行われ得る。例えば、第1のテープの装填、取り出し、粗位置決め、読み出し、書き込みなどが行われているときに、粗位置決め動作2104が第2のテープに対して行われ得る。
引き続き図30を参照すると、方法2100の動作2106は、第2のテープの精密位置決めを行い、第2のテープに対して読み出しもしくは書き込みまたはその両方の動作を上記動作位置で上記ヘッドを用いて行うことを含む。動作2106は、第1のテープが依然としてテープ・ドライブに結合されているときに、おそらくそのスプールに巻き戻されているときに、行われ得る。
1つのアプローチにおいて、方法2100における第1及び第2のテープの粗位置決め、精密位置決め、及び読み出しもしくは書き込みまたはその両方の動作は、例えば本願明細書に記載もしくは示唆されている、または記載及び示唆されている、何れかのアプローチによるモータを用いてそれぞれ行われ得る。更に、好適な一アプローチにおいて、第2のテープの粗位置決めに使用されるモータは、第2のテープの精密位置決め及び読み出しもしくは書き込みまたはその両方の動作にも使用され得る。
1つのアプローチによると、第1及び第2のテープの粗位置決め、精密位置決め、及び読み出しもしくは書き込みまたはその両方の動作に使用され得るモータは、本願明細書に記載もしくは示唆されている、または記載及び示唆されている、何れかのアプローチによるドライブ機構に結合され得る、または当該ドライブ機構に含まれ得る。従って、1つのアプローチにおいて、モータは経路に沿って位置付け可能であり得る(例えば、図17A〜18の914を参照)。別のアプローチによると、第2のテープの粗位置決めに使用される少なくとも1つのモータは、第2のテープをヘッドに巻き付けるために、例えば経路に沿って、第2のテープを物理的に移動させ得る。
ただし、上記のように、いくつかのアプローチによると、位置決めもしくは位置決め解除またはその両方は、ドライブ自体から離れた(例えば、ドライブ機構上ではなく)巻き取りステーションで行われ得る。従って、好適な一アプローチによると、巻き取りステーションはトランスデューサを必要としない場合もある。さまざまなアプローチにおいて、巻き取りステーションは、シングル・スプールもしくはデュアル・スプールまたはその両方と併用され得る(例えば、カートリッジ内で、またはカートリッジ無しで、その他)。デュアル・スプールは巻き取りステーションに装填され、位置決めされ、その後に巻き取りステーションから取り出され得る。これにより、デュアル・スプールはその後、読み出しもしくは書き込みまたはその両方のために、ドライブに移送され得る。
当業者には理解されるように、本発明の複数の態様は、システムとして、方法として、またはコンピュータ・プログラム製品として具体化され得る。従って、本発明の複数の態様は、ハードウェアのみの実施形態、ソフトウェアのみの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、またはソフトウェア及びハードウェアの両側面を組み合わせた実施形態の形態を取り得る。これらは、本願明細書においては一般に「ロジック」、「回路」、「モジュール」、または「システム」と称され得る。更に、本発明の複数の態様は、コンピュータ可読プログラム・コードがそこに具体化された1つ以上のコンピュータ可読媒体に具体化されたコンピュータ・プログラム製品の形態を取り得る。
1つ以上のコンピュータ可読媒体の如何なる組み合わせも利用され得る。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体またはコンピュータ可読記憶媒体でもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電子、磁気、光、電磁、赤外線、または半導体システム、装置、またはデバイス、あるいはこれらの何れか適した組み合わせでもよい。ただし、これだけに限定されるもではない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例(非包括的一覧)として、1本以上の線を有する電気的接続、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハード・ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random access memory)、読み出し専用メモリ(ROM:read−only memory)、消去・プログラム可能な読み出し専用メモリ(EPROM(erasable programmable read−only memory)またはフラッシュ・メモリ)、光ファイバ、ポータブル・コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD−ROM:compact disc read−only memory)、光記憶デバイス、磁気記憶デバイス、またはこれらの何れか適した組み合わせが挙げられる。本願明細書のコンテキストにおいて、コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイスによって使用される、または命令実行システム、装置、またはデバイスに関連付けられた、プログラムを収容または格納可能な何れの有形媒体でよい。
コンピュータ可読信号媒体は、コンピュータ可読プログラム・コードがその内部に具体化された、例えば、ベースバンドで、または搬送波の一部として、伝搬されるデータ信号を含み得る。このような伝搬信号は、電磁気、光、またはこれらの何れか適した組み合わせを含む、ただしこれだけに限定されない、さまざまな形態のうちの何れの形態でも取り得る。コンピュータ可読信号媒体は、命令実行システム、装置、またはデバイスによって使用される、または命令実行システム、装置、またはデバイスに関係付けられた、プログラムを通信、伝搬、または転送可能な、コンピュータ可読記憶媒体以外の、何れのコンピュータ可読媒体でもよい。
コンピュータ可読媒体上に具体化されるプログラム・コードは、無線、有線、光ファイバ・ケーブル、RFなど、またはこれらの何れか適した組み合わせ、を含む適切な媒体を用いて伝送され得る。ただし、使用され得る媒体は、これだけに限定されるもではない。
本発明の複数の態様のための動作を実行するためのコンピュータ・プログラム・コードは、Java、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語と、「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語など従来の手続き型プログラミング言語とを含む1つ以上のプログラミング言語の何れかの組み合わせで記述され得る。このプログラム・コードは、全体がユーザのコンピュータ上で、または一部がユーザのコンピュータ上でスタンドアロン・ソフトウェア・パッケージとして、または一部がユーザのコンピュータ上で、及び一部がリモート・コンピュータ上で、または全体がリモート・コンピュータまたはサーバ上で、実行され得る。後者のシナリオにおいて、リモート・コンピュータは、ローカル・エリア・ネットワーク(LAN:local area network)またはワイド・エリア・ネットワーク(WAN:wide area network)を含む何れかの種類のネットワークを介して、ユーザのコンピュータに接続され得る、または外部コンピュータに(例えば、インターネット・サービス・プロバイダを用いてインターネット経由で)接続され得る。
本発明の実施形態による方法、装置(システム)、及びコンピュータ・プログラム製品のフローチャート図もしくはブロック図またはその両方を参照して、本発明の複数の態様を以下に説明する。このフローチャート図もしくはブロック図またはその両方の各ブロック及びブロックの組み合わせは、コンピュータ・プログラム命令によって実現可能であることを理解されるであろう。これらコンピュータ・プログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサに対して発行されて機械が製造される。これら命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能データ処理装置のプロセッサによって実行されると、フローチャートもしくはブロック図内の1つ以上のブロックに指定されている機能/操作を実現するための手段を作成し得る。
コンピュータ、他のプログラム可能データ処理装置、または他のデバイスを特定の方法で機能させることができるこれらコンピュータ・プログラム命令は、コンピュータ可読媒体にも記憶され得るので、コンピュータ可読媒体に記憶された命令は、フローチャートもしくはブロック図またはその両方の中の1つ以上のブロックに指定されている機能/操作を実現する命令を含む製品を製造し得る。
これらコンピュータ・プログラム命令をコンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、または他のデバイスに読み込ませると、一連の動作ステップをそのコンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置、または他のデバイスで実行させ、コンピュータによって具現化されるプロセスを作成し得る。従って、これらコンピュータ・プログラム命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能装置で実行されると、フローチャートもしくはブロック図またはその両方の1つ以上のブロックに指定されている機能/操作を具現化するためのプロセスを提供し得る。
これらの図のフローチャート及びブロック図は、本発明のさまざまな実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータ・プログラム製品の可能な具現例のアーキテクチャ、機能、及び動作を示している。この点に関して、フローチャートまたはブロック図内の各ブロックは、指定された論理機能(単数または複数)を具現化するために実行可能な1つ以上の命令を備えたモジュール、セグメント、またはコード部分を表し得る。いくつかの代替実施例においては、ブロック内に記載されている機能は、これらの図に記載されている順番以外でも行われ得ることにも注目されたい。例えば、連続して示されている2つのブロックは、関与する機能によっては、実際には、ほぼ同時に実行され得るか、または時には逆の順番で実行され得る。これらブロック図もしくはフローチャート図またはその両方の各ブロック及びブロックの組み合わせは、指定された機能または操作を実行する専用ハードウェア・システムによって、または専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせによって、具現化可能であることにも注目されるであろう。
図28は、1つの実施形態によるネットワーク・アーキテクチャ1900を示す。必要であれば、ネットワーク・アーキテクチャ1900は、他の複数の図を参照して説明した特徴など、本願明細書に挙げた他の何れかの実施形態の特徴と共に実現され得る。ただし、このようなネットワーク・アーキテクチャ1900及び本願明細書に示された他のアーキテクチャは、本願明細書に挙げた例示的実施形態に具体的に説明されているか否かに拘らず、さまざまな用途において、もしくはさまざまな並べ替えで、またはその両方で、使用され得ることは言うまでもない。更に、本願明細書に示されているネットワーク・アーキテクチャ1900は、所望される如何なる環境においても使用され得る。
図28に示されているように、第1のリモート・ネットワーク1904と第2のリモート・ネットワーク1906とを含む複数のリモート・ネットワーク1902が設けられている。リモート・ネットワーク1902と隣接ネットワーク1908との間にゲートウェイ1901が結合され得る。本ネットワーク・アーキテクチャ1900のコンテキストにおいて、ネットワーク1904、1906は、インターネット、公衆交換電話網(PSTN:public switched telephone network)、構内電話網などのWAN、LANを含む何れかの形態を取り得るが、これだけに限定されるものではない。
使用中、ゲートウェイ1901は、リモート・ネットワーク1902から隣接ネットワーク1908への入口点の役割を果たす。そのため、ゲートウェイ1901は、ゲートウェイ1901に到達した所定のデータ・パケットの行先を指定できるルータとして、及び所定のパケットのためのゲートウェイ1901への実際の入出用経路を提供するスイッチとして、機能し得る。
更に、隣接ネットワーク1908に結合されたデータ・サーバ1914が少なくとも1つ含まれる。リモート・ネットワーク1902からデータ・サーバ1914へのアクセスは、ゲートウェイ1901を介して行える。データ・サーバ(単数または複数)1914は、如何なる種類の計算デバイス/グループウェアでも含み得ることに注目されたい。各データ・サーバ1914には、複数のユーザ・デバイス1916が結合される。このようなユーザ・デバイス1916として、デスクトップ・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、ハンドヘルド・コンピュータ、プリンタ、または他の何れかの種類のロジックが挙げられる。1つの実施形態において、ユーザ・デバイス1911は、これらネットワークのうちの何れのネットワークにも直接結合され得ることに注目されたい。
周辺機器1920または一連の周辺機器1920、例えば、ファクシミリ機、プリンタ、ネットワーク化された、もしくはローカルの、またはその両方の記憶ユニットまたはシステムなど、が1つ以上のネットワーク1904、1906、1908に結合され得る。ネットワーク1904、1906、1908に結合された何れの種類のネットワーク要素にも、データベースもしくは追加の構成要素またはその両方が統合され得る、あるいはデータベースもしくは追加の構成要素またはその両方は、ネットワーク1904、1906、1908に結合された何れかの種類のネットワーク要素と共に利用され得る、ことに注目されたい。本願明細書のコンテキストにおいて、ネットワーク要素とは、ネットワークの何れかの構成要素を指し得る。
いくつかのアプローチによると、本願明細書に記載の方法及びシステムは、IBM z/OS環境をエミュレートするUNIXシステム、マイクロソフト・ウインドウズ(R)環境を仮想的にホストするUNIXシステム、IBM z/OS環境をエミュレートするマイクロソフト・ウインドウズ(R)システムなど、1つ以上の他のシステムをエミュレートするシステムもしくは仮想システムまたはその両方によって実現され得る、もしくは1つ以上の他のシステムをエミュレートするシステムもしくは仮想システムまたはその両方に実装され得る。いくつかの実施形態においては、この仮想化もしくはエミュレーションまたはその両方は、ハイパーバイザの使用によって強化され得る。
より多くのアプローチにおいて、1つ以上のネットワーク1904、1906、1908は、「クラウド」と一般に称されるシステム・クラスタを表し得る。クラウド・コンピューティングにおいて、処理用電力、周辺機器、ソフトウェア、データ、サーバなどの共有資源は、クラウド内の何れのシステムにもオンデマンド関係で供給される。これにより、多くの計算システムにわたるアクセス及びサービス分散が可能になる。クラウド・コンピューティングは、クラウド内で運用されているシステム間のインターネット接続を一般に伴うが、他のシステム接続手法も使用され得る。
図29は、1つの実施形態による、図28のユーザ・デバイス1916もしくはサーバ1914またはその両方に対応付けられた代表的なハードウェア環境を示す。このような図は、マイクロプロセッサなどの中央処理装置2010と、システム・バス2012によって相互接続された他のいくつかのユニットとを有するワークステーションの一般的なハードウェア構成を示す。
図29に示されているワークステーションは、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)2014、読み出し専用メモリ(ROM)2016、ディスク記憶ユニット2020などの周辺デバイスをバス2012に接続するためのI/Oアダプタ2018、キーボード2024、マウス2026、スピーカ2028、マイクロフォン2032、もしくはタッチ・スクリーン及びデジタル・カメラ(図示せず)などの他のユーザ・インターフェイス・デバイス、またはこれら全て、をバス2012に接続するためのユーザ・インターフェイス・アダプタ1022、ワークステーションを通信網2035(例えば、データ処理網)に接続するための通信アダプタ2034、及びバス2012をディスプレイ・デバイス2038に接続するためのディスプレイ・アダプタ2036を含む。
ワークステーションには、マイクロソフト・ウインドウズ(R)オペレーティング・システム(OS:Operating System)、MAC OS、UNIX OSなどのオペレーティング・システムが常駐し得る。言及した以外のプラットフォーム及びオペレーティング・システムでも好適な実施形態が実現され得ることは理解されるであろう。好適な一実施形態は、オブジェクト指向プログラミング法と共に、JAVA、XML、C、もしくはC++、またはこれら全ての言語、または他のプログラミング言語を用いて記述され得る。複雑なアプリケーションの開発にますます広く使用されるようになったオブジェクト指向プログラミング(OOP:object oriented programming)が使用され得る。
これらの図のフローチャート及びブロック図は、本発明のさまざまな実施形態によるシステム、方法、及びコンピュータ・プログラム製品の可能な具現例のアーキテクチャ、機能、及び動作を示している。この点に関して、フローチャートまたはブロック図内の各ブロックは、指定された論理機能(単数または複数)を具現化するために実行可能な1つ以上の命令を備えたモジュール、セグメント、またはコード部分を表し得る。いくつかの代替実施例においては、ブロックに記載されている機能は、これらの図に記載されている順番以外でも行われ得ることにも注目されたい。例えば、連続して示されている2つのブロックは、関与する機能によっては、実際には、ほぼ同時に実行され得るか、または時には逆の順番で実行され得る。これらブロック図もしくはフローチャート図またはその両方の各ブロック及びブロックの組み合わせは、指定された機能または操作を実行する専用ハードウェア・システムによって、または専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせによって具現化可能であることにも注目されるであろう。
本願明細書に記載の方法及び実施形態のさまざまな特徴は、如何様にも組み合わせて複数の組み合わせを作り得ることは本願明細書に示されている説明から明らかであろう。
入/出力すなわちI/Oデバイス(キーボード、ディスプレイ、ポインティング・デバイスなどを含むが、これだけに限定されない)などの通信用構成要素は、システムに直接、またはI/O制御装置を介して、結合され得る。
データ処理システム、例えばホスト、を私設または公共ネットワークを介して他のデータ処理システム、リモート・プリンタ、記憶デバイスなどに結合できるように、バス、インターフェイス、ネットワーク・アダプタなどの通信用構成要素もシステムに結合され得る。モデム、ケーブル・モデム、及びイーサネット・カードは、現在市販されている種類のネットワーク・アダプタの一例であり、いくつかのアプローチにおいて使用され得る。
本願明細書に記載の各実施形態は、要求に応じてサービスを提供するために顧客のために配備されるサービスの形態で設けられ得ることを更に理解されるであろう。
さまざまな実施形態を上で説明してきたが、これら実施形態は例として示されており、限定のためではないことを理解されたい。従って、本発明の実施形態の広さ及び範囲は、上記の例示的実施形態の何れによっても限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲及びその等価物に従って定義されるべきである。