JP5626291B2 - 接着剤および半導体パッケージ - Google Patents
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Description
(1)支持体に半導体素子を接着するために用いる接着剤であって、前記接着剤の硬化後の260℃での弾性率が、250MPa以上であり、600MPa以下であることを特徴とする接着剤。
(2)前記支持体と前記半導体素子とを前記接着剤で接着して、該接着剤を硬化後に、260℃まで加熱した際に前記支持体が前記半導体素子と反対側が凸となるように反るものである上記(1)に記載の接着剤。
(3)前記支持体と前記半導体素子とを前記接着剤で接着して、該接着剤を硬化後に、175℃まで加熱した際に前記支持体が前記半導体素子と反対側に凸となる反りをA〔μm〕とし、260℃まで加熱した際に前記支持体が前記半導体素子と反対側に凸となる反りをB〔μm〕としたとき、B−A>3〔μm〕以上となる上記(2)に記載の接着剤。
(4)前記接着剤は、熱硬化性樹脂および充填剤を含む液状樹脂組成物を塗布した後、硬化させたものである上記(1)に記載の接着剤。
(5)前記熱硬化性樹脂は、ラジカル重合可能な官能基を有する化合物を含むものである上記(4)に記載の接着剤
(6)前記ラジカル重合可能な官能基は、(メタ)アクリロイル基である上記(5)に記載の接着剤。
(7)前記ラジカル重合可能な官能基を有する化合物は、マレイミド環を有する化合物を含むものである上記(5)に記載の接着剤。
(8)前記マレイミド環を有する化合物は、芳香族環を有さないビスマレイミド化合物である上記(7)に記載の接着剤。
(9)前記熱硬化性樹脂は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、マレイミド環を有する化合物およびアリルエステル系化合物の中から選ばれる少なくとも2種以上を含むものである上記(5)に記載の接着剤。
(10)前記アリルエステル系化合物は、芳香族環を有さないアリルエステル系化合物である上記(9)に記載の接着剤。
(11)上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の接着剤の硬化物を有することを特徴とする半導体パッケージ。
本発明の接着剤は、支持体に半導体素子を接着するために用いる接着剤であって、前記接着剤の硬化後の260℃での弾性率が、250MPa以上であり、600MPa以下であることを特徴とする。
また、本発明の半導体パッケージは、上記に記載の接着剤の硬化物を有することを特徴とする。
本発明の接着剤1は、例えば図1に示すように支持体2に、半導体素子3を接着するために用いるものである。
接着剤1は、硬化後の260℃での弾性率が、250MPa以上であり、600MPa以下であることを特徴とする。これにより、鉛フリー半田に用いられるような260℃の半田リフロー処理によっても耐半田クラック性に優れる。
従来、このような接着剤の硬化後の弾性率は、密着性に優れ、かつ半導体素子と支持体との間の応力を緩和させるために低弾性率であることが好ましいと考えられてきた。しかし、本発明者らは、種々の検討を行った結果、QFP(Quad Flat Package)やSOP(Small Outline Package)と言った両面封止をした半導体装置が半導体装置の成型後に行われるポストモールド温度である175℃にほぼ平坦になり、さらにリフロー温度260℃付近の高温になると半導体装置全体が内部にある半導体素子とは逆方向に凸型に反ることがわかった。その理由としては、半導体内部にあるシリコン製半導体素子と銅などの金属製支持体と封止樹脂の熱膨張係数の違いが上げられる。それぞれの熱膨張係数は半導体素子<支持体<封止樹脂の順であるため、175℃を境に低温では半導体素子の方向に凸、高温になると半導体素子とは逆に凸になるためと考えられる。
そのため半導体素子と支持体の応力緩和させるような低弾性率の接着剤の場合には、175℃付近でほぼ平坦になり、それよりも高い温度にしても反りに変化はない。その場合175℃よりも高い温度では封止樹脂や支持体などはさらに熱膨張するため発生する半導体素子とは逆側に凸型になる半導体装置の反りに対して支持体2と半導体素子3とからなる反りがほぼ平坦になるために、半導体装置内、特に半導体素子と支持体には応力が発生する。そこで発生する応力に対抗するために接着剤には、高い密着性が要求される。そのため、低弾性率の接着剤では密着性が不十分となると支持体2と半導体素子3との反りに対抗できずに半田クラックを生じてしまっていた。
一方、硬化後の接着剤1の弾性率が高ければ(すなわち、接着剤1の硬化後の260℃
での弾性率が250MPa以上であれば)、半導体素子とは逆に凸型になる半導体装置の反りに対し、同方向の反りを生じる。そのため内部で発生する応力、特に半導体素子と支持体に生じる応力を分散するができる。また発生する応力が分散されることにより、封止樹脂の密着力が比較的低い銀メッキを半導体素子の接着面に有するリードフレームを用いた場合でも半田リフロー時の封止樹脂の剥離を低減させかつ接着剤の剥離を低減することができる。したがって、硬化後の弾性率が高い接着剤1を用いると、接着剤および封止樹脂の要求される密着性のレベルが低くなることが分かった。つまり、本発明では、硬化後の接着剤1の260℃での弾性率として250MPa以上有するものを用いるので、接着剤1が支持体2と半導体素子3の反りに追従するために要求される密着性のレベルが低下し、それによって耐半田クラック性が向上する。
この260℃の接着剤1の弾性率は、より具体的には280MPa以上がこのましく、特に300MPa以上が好ましい。弾性率が前記範囲内であると半導体素子3/接着剤1/支持体2から生じる反りが凹型になることにより、接着剤の剥離を低減させ、耐半田クラック性が向上する。
一方、接着剤の熱弾性率は高すぎても良くない。600MPaよりも高い場合は通常200〜250℃などで行われるワイヤーボンディングにおいて反りが大きくなるため、ワイヤーの接合時に加える力が逃げてしまうため十分な加重を加えることができずワイヤーの接合が不十分になる。また最悪の場合、その応力に耐えかねて半導体素子が割れることもある。よってこの260℃の接着剤1の弾性率は、より具体的には550MPa以下がこのましく、特に500MPa以下が好ましい。
したがって架橋が多ければ、すなわち架橋密度が高いと弾性率は高くなり、逆に低くすれば弾性率も低くなる。架橋密度は熱硬化樹脂の1分子あたりの官能基数や官能基間距離などにより変化する。例えば1分子あたりより多くの官能基を持つような樹脂を用いれば、架橋密度は上がる。また1分子に複数の官能基を含む場合、その間の距離が短い構造を持つ化合物を使うと架橋密度は上がる。
前記熱硬化性樹脂としては、例えば液状シアネート樹脂、液状エポキシ樹脂、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、マレイミド環を有する化合物、アリルエステル系化合物等のラジカル重合可能な官能基を有する化合物、アリル基を有するトリアリルイソシアヌレート、フェノール樹脂等が挙げられる。前記液状エポキシ樹脂としては、例えばビスフ
ェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルアミン型の液状エポキシ樹脂等が挙げられる。
前記ラジカル重合可能な官能基としては、例えばビニル基、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アリル基、マレイミド基等を挙げることができる。これらの中でも(メタ)アクリロイル基が好ましい。これにより、低温硬化、短時間硬化を図ることができる。またこれらの化合物はラジカル重合で硬化が進む。その際に使用されるラジカル開始剤である過酸化物の水素引き抜き反応のため重合物間の架橋反応が発生し、エポキシ樹脂とフェノール誘導体などとの付加反応に比べ、より架橋密度が高い硬化物を得られる。よって260℃での弾性率を向上させるには有用な熱硬化樹脂である。
また260℃の弾性率が250MPa〜600MPaの範囲でかつ硬化性、作業性、信頼性等に影響を与えない範囲でラジカル重合可能な官能基を有する化合物と、例えばエポキシ樹脂等と併用してもかまわない。
ジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクトキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリロキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,2−ジ(メタ)アクリルアミドエチレングリコール、ジ(メタ)アクリロイロキシメチルトリシクロデカン、2−(メタ)アクリロイロキシエチル、N−(メタ)アクリロイロキシエチルマレイミド、N−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、N−(メタ)アクリロイロキシエチルフタルイミド、n−ビニル−2−ピロリドン、スチレン誘導体、α−メチルスチレン誘導体、(メタ)アクリル変性ポリブタジエンなどがあるが特に限定しない。
前記の充填剤には導電性を付与するために銀、金、ニッケル、鉄等の金属粉を用い、絶縁性を付与するためにはシリカ、アルミナのようなセラミック粒子、熱硬化性樹脂もしくは熱可塑性樹脂の粒子を使用することができる。一般的に充填剤として使用されている粒子の形状には鱗状、球状、樹脂状、粉状等の種々の形状を有するものがあるが、本発明では形状については特に限定するものではない。
前記マレイミド環を有する化合物としては、例えば1,2−ビス(マレイミド)エタン
、1,6−ビスマレイミドヘキサン、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、6,7−メチレンジオキシ−4−メチル−3−マレイミドクマリン、ビス(3−エチル−5−メチル−4−マレイミドフェニル)メタン、N,N’−1,3−フェニレンジマレイミド、N,N’−1,4−フェニレンジマレイミド、N−(1−フェニル)マレイミド、N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、N−(4−アミノフェニル)マレイミド、N−(4−ニトロフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−ブロモメチル−2,3−ジクロロマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−スクシンイミジル3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル3−マレイミドプロピレート、N−スクシンイミジル3−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル3−マレイミドヘキサノアート、N−[4−(2−ベンズイミドリル)フェニル]マレイミド、炭酸9−フルオレニルメチルN−スクシンイミジル、炭酸2−ブロモベンジルスクシンイミジル、3,3’−ジチオジプロピオン酸ジ(N−スクシンイミジル)、炭酸ジ(N−スクシンイミジル)、N,N,N
’,N’−テトラメチル−O−(N−スクシンイミジル)ウロニウムテトラフルオロボラー
ト、N−(1,2,2,2−テトラクロロエトキシカルボニルオキシ)こはく酸イミド、N−(2−クロロカルボベンゾキシオキシ)こはく酸イミド、N−(tert−ブトキシカルボニル)−O−ベンジル−L−セリンN−スクシンイミジル、N−アミノこはく酸イミド塩酸塩
、N−ブロモこはく酸イミド、N−カルボベンゾキシオキシこはく酸イミド、N−クロロこ
はく酸イミド、N−エチルこはく酸イミド、N−ヒドロキシこはく酸イミド、N−ユードこ
はく酸イミド、N−フェニルこはく酸イミド、N−スクシンイミジル6−(2,4−ジニトロ
アニリノ)ヘキサノアート、N−スクシンイミジル6−マレイミド)ヘキサノアートなどが挙げられるが、好ましくは1分子中に2つのマレイミド環をもつビスマレイミドが硬化という観点からは望ましい。その2つのマレイミド環を脂肪族や芳香族の炭化水素やそれらの炭化水素からなるアルキレン基をエーテルやエステルなどを介し結合していても構わない。
このようなアリルエステル系化合物の数平均分子量は、特に限定されないが、500〜10,000が好ましく、特に500〜8,000が好ましい。数平均分子量が前記範囲内であると、硬化収縮を特に小さくすることができ、それによって密着性が低下するのを防止することができる。
上述したような数平均分子量を有するアリルエステル系化合物としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、5−ノルボルネン−endo−2,3−ジカルボン酸、1,4−ジシクロジカルボン酸、アジピン酸等のジカルボン酸やそのメチルエステル誘導体と炭素数2〜8であるアルキレンジオールにより合成されたポリエステルの末端にアリルアルコールをエステル化により付加した両末端アリルエステル系化合物等が挙げられる。
満であると硬化物がもろくなる場合が有り、前記上限値を超えるとブリードの発生を抑制する効果が低下する場合がある。
前記ラジカル開始剤としては、例えばメチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ジ(tert−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチルー4,4−ジ(tert−ブチルパーオキシ)バレラート、2,2−ジ(4,4−ジ(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン)プロパン、p−メタンヒドロパーオキサイド、ジ磯プロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメメチルブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、tert−ブチルヒドロパーオキサイド、ジ(2−tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキシン、ジイソブチルパーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウリルパーオキサイド、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ベンゾイル(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジn−pロピルパーオキシジカルボネート、ジイソプロピルパーオキシジカルボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカルボネート、ジsec−ブチルパーオキシジカルボネート、クミルパーオキシネオデカネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカネート、tert−ヘキシルネオデカネート、tert−ブチルパーオキシネオヘプタネート、tert−ヘキシルパーオキシピバラート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、2,5−ジメチル−2,5、−ジ(2−ジエチルヘキノイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、tert−ヘキシパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパー
オキシマレイン酸、tert−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサネート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシモノカーボネート、tert−ヘキシルパーオキシベンゾネート、2,5―ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルパーオキシアセトネート、tert−パーオキシー3−メチルベンゾネート、tert−ブチルパーオキシベンゾネート、tert−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、3,3‘,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等が挙げられるが、これらを必要に応じて複数使用しても良い。
この反りの差が前記範囲内であると、耐半田クラック性に優れるのは次の理由と考えられる。
まず、260℃は前述したように半田リフロー温度に相当する温度であり、175℃は封止材のポストモールドキュアに相当する温度である。半導体装置は、一般的に接着剤1で支持体2と半導体素子3とを接着したものを、エポキシ樹脂を主体にした封止樹脂により封止してなる。この封止樹脂は、半導体装置の半導体素子や支持体等の他の構成部材に比べ、熱膨張率が大きいことから260℃のような高温になると膨張し、かつ膨張する量が半導体素子や支持体よりも大きいことから半導体素子内にひずみを生じさせる。このひずみの発生により、半導体装置は反りを生じる。通常、この反りは室温と比べると半導体装置の中心から見るとその端は上側、中心部が下側に反るので、半導体装置全体としては支持体が半導体素子と反対側に突出するような凸状になる。
しかし、半導体装置の内部では熱膨張率が小さい半導体素子があるために、半導体装置全体の反る方向に対し追従しない場合がある。この場合、支持体と半導体素子との間の接着剤部分にひずみが生じる。このひずみが大きいと半田リフロー温度である260℃近辺において、接着剤部分に剥離が生じることになる。
これに対して、前述したように260℃と175℃の両温度での反りが前記範囲内であると、半導体素子および支持体も半導体装置全体と同様の形状になる。これにより、接着剤部分のひずみの集中を緩和させることができるため、半導体装置の耐半田クラック性を向上させることができる。
この反りは、 例えば温度可変レーザー三次元測定機(日立エンジニアリングアンドサービス社製、LSI−150)等を用いて測定することができる。測定温度に達した熱板上に、測定するサンプルを2分間設置し加熱し、半導体素子の表面において対角に粗さを
ステージ速度10000pps(puls per second、1μm/puls)にて測定した。反りの値としては、最も高く突き出された部分の高さと半導体素子の端部の高さの高低差を用いた。
例えば、接着剤1が液状接着剤の場合、上述したような各種成分を予備混合した後、3本ロールを用いて混練し、真空脱泡することにより、液状接着剤を得ることができる。
そして、市販のダイボンダーを用いて、例えば支持体(特にリードフレーム)の所定の部位に得られた液状接着剤をディスペンス塗布した後、半導体素子をマウントして加熱硬化する。その後、ワイヤーボンディングして、エポキシ樹脂等を主成分とする封止樹脂を用いてトランスファー成形することにより半導体装置を得ることができる。
このように、半導体装置は、液状接着剤の硬化物を有している。すなわち、半導体装置は、半導体素子と支持体とが液状接着剤の硬化物で接着されていることになる。
なお、液状接着剤について、例を挙げて説明したが、フィルム状接着剤についても同様に行うことができる。この場合、例えば支持体にフィルム状接着剤をラミネートした後、同様の工程により、半導体装置を得ることができる。
1.接着剤の調製
ラジカル重合可能な官能基を有する化合物として2−メタクリロイロキシエチルコハク酸(共栄社化学(株)製、ライトエステルHO−MS、)、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート(日本化成化学(株)製、CHDMMA)、マレイミド環を有する化合物としてポリアルキレンマレイミド酢酸エステル(大日本インキ工業(株)製、ルミキュアMIA−200)、プロピルジメタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステル3PG)、アリルエステル系化合物としてポリアルキレンエステル含有アリルエステル(昭和電工(株)製、アリルエステル樹脂DA101)、ラジカル開始剤として1
,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(日本油脂(株)製、パーヘキサCS)、充填剤として平均粒径3μm、最大粒径20μmのフレーク状銀粉、添加剤としてγ−グリシジルプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、KBM−403E)およびテトラスルフィドジトリエトキシシラン(ダイソー(株)製、CABRUS4)を表1のように配合し、3本ロールにて混合し、更に真空脱泡して樹脂組成物を得た。
得られた接着剤の硬化後の260℃での弾性率は、400MPaであった。
支持体としてダイアタッチ部が銀メッキされた銅フレーム(ダイパッドサイズ:8x8mm、厚み160μm)と、表面にSiN層を持つ半導体素子(6x6mm、厚さ350μm)とを上述した接着剤で接着し、175℃、30分間オーブン内で硬化して接着した。次に、半導体封止用エポキシ樹脂組成物(住友ベークライト社製、EME−G700)を用いて、封止し、その後175℃、4時間ポストモールドキュアを行い、半導体装置(80LMQFP、サイズ14x20mm、厚み2mm)を得た。
支持体と半導体素子とを上述の接着剤で接着し、接着剤を硬化後に175℃まで加熱した際に支持体が半導体素子と反対側に凸となる反りは3〔μm〕であり、260℃まで加熱した際に支持体が半導体素子と反対側に凸となる反りは15〔μm〕であった。
接着剤を構成する熱硬化性樹脂として以下のものを用いた以外は、実施例1と同様にした。
ラジカル重合可能な官能基を有する化合物としてUM−90(1/1)DA(宇部興産株式会社製、1,6−ヘキサンジオール/1,4−ジメタノールシクロヘキサン(=1/1)と炭酸ジメチルから合成したポリカーボネートジオール(分子量約900)にアクロイル基を導入したポリカーボネートジアクリレート)、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸(共栄社化学(株)製、ライトエステルHO−MS、)、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート(日本化成化学(株)製、CHDMMA)、プロピルジメタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステル3PG)、アリルエステル系化合物としてポリアルキレン含有アリルエステル(昭和電工(株)製、アリルエステル樹脂DA101)、ラジカル開始剤として1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(日本油脂(株)製、パーヘキサCS)、充填剤として平均粒径3μm、最大粒径20μmのフレーク状銀粉、添加剤としてγ−グリシジルプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、KBM−403E)およびテトラスルフィドジトリエトキシシラン(ダイソー(株)製、CABRUS4)を表1のように配合した。
得られた接着剤の硬化後の260℃での弾性率は、350MPaであった。
また、支持体と半導体素子とを上述の接着剤で接着し、接着剤を硬化後に175℃まで加熱した際に支持体が半導体素子と反対側に凸となる反りは2〔μm〕であり、260℃まで加熱した際に支持体が半導体素子と反対側に凸となる反りは14〔μm〕であった。
接着剤を構成する樹脂組成物の配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様にした。
ラジカル重合可能な官能基を有する化合物として2−メタクリロイロキシエチルコハク酸(共栄社化学(株)製、ライトエステルHO−MS、)、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート(日本化成化学(株)製、CHDMMA)、マレイミド環を有する化合物としてポリアルキレンマレイミド酢酸エステル(大日本インキ工業(株)製、ルミキュアMIA−200)、アリルエステル系化合物としてポリアルキレン含有アリルエステル(昭和電工(株)製、アリルエステル樹脂DA101)、ラジカル開始剤として1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(日本油脂(株)製、パーヘ
キサCS)、充填剤として平均粒径3μm、最大粒径20μmのフレーク状銀粉、添加剤としてγ−グリシジルプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、KBM−403E)およびテトラスルフィドジトリエトキシシラン(ダイソー(株)製、CABRUS4)を表1のように配合した。
得られた接着剤の硬化後の260℃での弾性率は、280MPaであった。
また、支持体と半導体素子とを上述の接着剤で接着し、接着剤を硬化後に175℃まで加熱した際に支持体が半導体素子と反対側に凸となる反りは1〔μm〕であり、260℃まで加熱した際に支持体が半導体素子と反対側に凸となる反りは9〔μm〕であった。
接着剤を構成する樹脂組成物の配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様にした。
ラジカル重合可能な官能基を有する化合物としてUM−90(1/1)DA(宇部興産株式会社製、1,6−ヘキサンジオール/1,4−ジメタノールシクロヘキサン(=1/1)と炭酸ジメチルから合成したポリカーボネートジオール(分子量約900)にアクロイル基を導入したポリカーボネートジアクリレート)、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸(共栄社化学(株)製、ライトエステルHO−MS、)、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート(日本化成化学(株)製、CHDMMA)、マレイミド環を有する化合物としてポリアルキレンマレイミド酢酸エステル(大日本インキ工業(株)製、ルミキュアMIA−200)、アリルエステル系化合物としてポリアルキレン含有アリルエステル(昭和電工(株)製、アリルエステル樹脂DA101)、ラジカル開始剤として1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(日本油脂(株)製、パーヘキサCS)、充填剤として平均粒径3μm、最大粒径20μmのフレーク状銀粉、添加剤としてγ−グリシジルプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、KBM−403E)およびテトラスルフィドジトリエトキシシラン(ダイソー(株)製、CABRUS4)を表1のように配合した。
得られた接着剤の硬化後の260℃での弾性率は、420MPaであった。
また、支持体と半導体素子とを上述の接着剤で接着し、接着剤を硬化後に175℃まで加熱した際に支持体が半導体素子と反対側に凸となる反りは2〔μm〕であり、260℃まで加熱した際に支持体が半導体素子と反対側に凸となる反りは18〔μm〕であった。
接着剤を構成する樹脂組成物の配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様にした。
ラジカル重合可能な官能基を有する化合物として2−メタクリロイロキシエチルコハク酸(共栄社化学(株)製、ライトエステルHO−MS、)、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート(日本化成化学(株)製、CHDMMA)、プロピルジメタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステル3PG)、マレイミド環を有する化合物としてポリアルキレンマレイミド酢酸エステル(大日本インキ工業(株)製、ルミキュアMIA−200)、アリルエステル系化合物としてポリアルキレン含有アリルエステル(昭和電工(株)製、アリルエステル樹脂DA101)、ラジカル開始剤として1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(日本油脂(株)製、パーヘキサCS)、充填剤として平均粒径3μm、最大粒径20μmのフレーク状銀粉、添加剤としてγ−グリシジルプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、KBM−403E)およびテトラスルフィドジトリエトキシシラン(ダイソー(株)製、CABRUS4)、アクリル樹脂(東亜合成(社)製、UP−1150)を表1のように配合し、3本ロールにて混合し、更に真空脱泡して樹脂組成物を得た。
得られた接着剤の硬化後の260℃での弾性率は、260MPaであった。
また、支持体と半導体素子とを上述の接着剤で接着し、接着剤を硬化後に175℃まで加熱した際に支持体が半導体素子と反対側に凸となる反りは2〔μm〕であり、260℃
まで加熱した際に支持体が半導体素子と反対側に凸となる反りは6〔μm〕であった。
接着剤を構成する樹脂組成物の配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様にした。
ラジカル重合可能な官能基を有する化合物として2−メタクリロイロキシエチルコハク酸(共栄社化学(株)製、ライトエステルHO−MS、)、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート(日本化成化学(株)製、CHDMMA)、マレイミド環を有する化合物としてポリアルキレンマレイミド酢酸エステル(大日本インキ工業(株)製、ルミキュアMIA−200)、プロピルジメタクリレート(共栄社化学(株)製、ライトエステル3PG)、アリルエステル系化合物としてポリアルキレンエステル含有アリルエステル(昭和電工(株)製、アリルエステル樹脂DA101)、ラジカル開始剤として1,1−ジ(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(日本油脂(株)製、パーヘキサCS)、充填剤として平均粒径5μm、最大粒径20μmのフレーク状銀粉と平均粒径2μm、最大粒径20μmの球状銀粉、添加剤としてγ−グリシジルプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、KBM−403E)およびテトラスルフィドジトリエトキシシラン(ダイソー(株)製、CABRUS4)を表1のように配合し、3本ロールにて混合し、更に真空脱泡して樹脂組成物を得た。
得られた接着剤の硬化後の260℃での弾性率は、440MPaであった。
また、支持体と半導体素子とを上述の接着剤で接着し、接着剤を硬化後に175℃まで加熱した際に支持体が半導体素子と反対側に凸となる反りは3〔μm〕であり、260℃まで加熱した際に支持体が半導体素子と反対側に凸となる反りは17〔μm〕であった。
接着剤を構成する樹脂組成物の配合を以下のようにした以外は、実施例1と同様にした。
ラジカル重合可能な官能基を有しない化合物としてジグリシジルビスフェノールF(日本化薬(社)製、RE−303S)、クレジルグレシジルエーテル(阪本薬品(社)製、CGE)、上記熱硬化樹脂の硬化剤としてビスフェノールF(大日本インキ工業(株)製、DIC−BPF)、硬化促進剤として2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール(キュアゾール2P4MHZ:四国化成工業(株)製)、充填剤としてフレーク状銀粉を、を表1のように配合し、3本ロールを用いて混練し、脱泡することで樹脂組成物を得た。
得られた接着剤の硬化後の260℃での弾性率は、140MPaであった。
また、支持体と半導体素子とを上述の接着剤で接着し、接着剤を硬化後に175℃まで加熱した際に支持体が半導体素子と反対側に凸となる反りは0〔μm〕であり、260℃まで加熱した際に支持体が半導体素子と反対側に凸となる反りは2〔μm〕であった。
下記のリードフレームとシリコンチップを、175℃に設定されたオーブン中で30分加熱し硬化させ接着した。その後スミコンEME−G700(住友ベークライト(株)製)を封止材として用い封止したパッケージを85℃、相対湿度60%の条件下で168時間吸湿処理した後、IRリフロー処理(260℃、10秒、3回リフロー)を行い、処理後のパッケージを超音波深傷装置(透過型)により剥離の程度を測定した。各符号は、以下の通りである。
パッケージ:QFP(14×20×2.0mm)
リードフレーム:銀スポットメッキした銅リードフレーム
チップサイズ:5×5mm
◎:半導体装置に剥離が、無かった。
○:半導体装置に剥離が、面積比で10%未満であった。
△:半導体装置に剥離が、面積比で10%以上30%未満であった。
×:半導体装置に剥離が、面積比で30%以上であった。
4×4mmシリコンチップをダイアタッチ部に銀メッキがある銅リードフレーム上にマウントし、表面温度が175℃に設定されたオーブン中で30分加熱し、硬化した。硬化直後および封止材のポストモールドキュアと同等条件(175℃、4時間)で加熱した後吸水処理後(85℃、85RH%、72時間)に自動接着力測定装置を用いて250℃での熱時ダイシェア強度を測定した(単位:N/チップ)。この時の測定値が35N/チップ以上であるものを合格とした。
さらに、実施例1〜6は、接着強度にも優れていた。
2 支持体
3 半導体素子
Claims (7)
- ラジカル重合可能な官能基を有する化合物を含む熱硬化性樹脂および充填剤を含む樹脂組成物からなり、支持体に半導体素子を接着するために用いる接着剤であって、
前記熱硬化性樹脂は、(A)非ポリカーボネート系(メタ)アクリロイル基を有する化合物を必須成分とし、更に下記のI、II、IIIの中から選ばれるいずれか1種の組み合わせを含有し、
I:(B)ポリカーボネート系(メタ)アクリロイル基を有する化合物
II:(C)マレイミド環を有する化合物と、(D)アリルエステル系化合物
III:(B)ポリカーボネート系(メタ)アクリロイル基を有する化合物と、(D)ア
リルエステル系化合物
前記樹脂組成物は、ラジカル開始剤を含有するものであり、
前記充填剤の配合量は樹脂組成物全体の60〜90重量%であり、
前記熱硬化性樹脂の中のラジカル重合可能な官能基を有する化合物の配合量は樹脂組成物全体の10〜25重量%であり、
(A)成分の配合量は樹脂組成物全体の4.6〜9.6重量%、
(B)成分の配合量は樹脂組成物全体の6.0〜14.3重量%、
(C)成分の配合量は樹脂組成物全体の1〜10重量%、
(D)成分の配合量は樹脂組成物全体の5〜15重量%、
ラジカル開始剤の配合量は樹脂組成物全体の0.4重量%以下
であり、
前記接着剤の硬化後の260℃での弾性率が、250MPa以上であり、600MPa以下であり、
ダイパッド部サイズが8mm×8mm×160μmの銅製リードフレームである支持体と、サイズが6mm×6mm×350μmである半導体素子とを、厚み20μmの前記接着剤で接着して、該接着剤を硬化後に260℃まで加熱した際に該支持体が該半導体素子と反対側が凸となるように反るものであり、
該半導体素子の表面において対角に粗さを測定し、最も高く突き出された部分の高さと該半導体素子の端部の高さの高低差を反りの値として、
175℃まで加熱した際に該支持体が該半導体素子と反対側に凸となる反りをA〔μm〕、
260℃まで加熱した際に該支持体が該半導体素子と反対側に凸となる反りをB〔μm〕、
としたとき、
B−A≧4〔μm〕である
ことを特徴とする、両面封止をした半導体装置用の接着剤。 - 前記樹脂組成物は、更に、テトラスルフィドジトリエトキシシランを含むことを特徴とする、請求項1に記載の接着剤。
- 前記マレイミド環を有する化合物は、芳香族環を有さないビスマレイミド化合物である請求項1または2に記載の接着剤。
- 前記アリルエステル系化合物は、芳香族環を有さないアリルエステル系化合物である請求項1ないし3のいずれかに記載の接着剤。
- 前記接着剤は、液状であり、塗布した後、加熱硬化させるものである請求項1ないし4のいずれかに記載の接着剤。
- 前記接着剤は、フィルム状であり、支持体にフィルム状接着剤をラミネートした後、加熱硬化させるものである請求項1ないし4のいずれかに記載の接着剤。
- 請求項1ないし6のいずれかに記載の接着剤の硬化物を有することを特徴とする半導体パッケージ。
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