JP5624928B2 - 制振塗料組成物 - Google Patents
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Description
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の制振塗料組成物において、前記含硫黄有機化合物が3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸トリエタノールアミンを含むことを要旨とする。
本実施形態における制振塗料組成物には、塗膜を形成する樹脂粒子が水系分散媒に分散した水系樹脂分散液と、塗膜の制振性向上剤として無機粒子とが含有されている。制振塗料組成物には、モリブデン酸系化合物と、含硫黄有機化合物とが金属腐食抑制剤として含有され、さらに水溶性ジルコニウム化合物が含有されている。
樹脂粒子を構成する高分子材料としては、例えばアクリル系樹脂、アクリル/スチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、酢酸ビニル/アクリル系樹脂、エチレン/酢酸ビニル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキッド系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン共重合ゴム、スチレン/ブタジエン共重合ゴム、ブタジエンゴム、及びイソプレンゴムから選ばれる少なくとも一種が挙げられる。なお、これらの高分子材料は変性体であってもよい。
制振性向上剤としての無機粒子の材質としては、炭酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、ガラス、シリカ、アルミナ、アルミニウム、水酸化アルミニウム、鉄、酸化チタン、酸化鉄、珪藻土、ゼオライト、フェライト等が挙げられる。無機粒子は、単独種を用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。無機粒子の粒径は、例えば5nm〜10μmである。
平均粒子径(μm)=6/(比重/比表面積)×10000
制振塗料組成物中における無機粒子の含有量は、樹脂粒子100質量部に対して、好ましくは540〜735質量部であり、より好ましくは540〜650質量部である。無機粒子の含有量が、樹脂粒子100質量部に対して、540質量部以上の場合、優れた制振効果が得られ易くなる。一方、無機粒子の含有量が、樹脂粒子100質量部に対して、735質量部を超える場合、流動性が低下することで塗布し難くなるおそれがある。
モリブデン酸系化合物は、塗膜の形成される金属物品の表面に不動態被膜を形成することで、前記金属物品の腐食を抑制する。モリブデン酸系化合物としては、モリブデン酸及びその塩から選ばれる少なくとも一種である。モリブデン酸としては、例えば、オルトモリブデン酸、メタモリブデン酸、及びパラモリブデン酸が挙げられる。モリブデン酸の塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、及びアンモニウム塩から選ばれるアルカリ金属塩が挙げられる。また、モリブデン酸の塩としては、リンモリブデン酸塩等の複塩を用いることもできる。
チアゾール類としては、例えば、3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸塩、3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸、2−N,N−ジエチルチオベンゾチアゾール、及び2−メルカプトベンゾチアゾールが挙げられる。2−ベンゾチアジルチオプロピオン酸塩としては、例えば、カリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩、及びトリエタノールアミン塩が挙げられる。
チオール類としては、例えば、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール、及び2−メルカプトベンズイミダゾールが挙げられる。
チラウム類としては、例えば、テトラエチルチラウムジスルフィドが挙げられる。
制振塗料組成物中における含硫黄有機化合物の含有量は、樹脂粒子100質量部に対して、好ましくは1〜40質量部であり、より好ましくは3〜35質量部であり、さらに好ましくは5〜30質量部である。
<水溶性ジルコニウム化合物>
水溶性ジルコニウム化合物は、上記金属腐食抑制剤の存在下で、塗膜の硬度を高めるとともに、塗膜と金属物品との密着性を高める働きを有する。
制振塗料組成物中における水溶性ジルコニウム化合物の含有量は、樹脂粒子100質量部に対して、好ましくは0.1〜40質量部であり、より好ましくは1〜35質量部であり、さらに好ましくは2〜30質量部である。
制振塗料組成物には、水、難燃剤、着色剤、酸化防止剤、帯電防止剤、安定剤、発泡剤、滑剤、分散剤、ゲル化剤、造膜助剤、凍結防止剤、粘度調整剤等を必要に応じて加えることができる。
制振塗料組成物は、常法に従って上記の原料を混合することで調製することができる。調製した制振塗料組成物を、周知の塗布方法及び乾燥方法により金属物品に塗布した後に乾燥することで、塗膜を形成することができる。制振塗料組成物の塗布量は、金属物品に求められる制振性や耐食性に応じて適宜変更することができる。例えば、乾燥した塗膜の厚みは10〜900μm、好ましくは10〜500μmとされる。
(1)制振塗料組成物には、モリブデン酸系化合物と含硫黄有機化合物とが金属腐食抑制剤として含有されているため、塗膜の形成された金属物品の腐食が抑制される。制振塗料組成物には、さらに水溶性ジルコニウム化合物が含有されることで、塗膜の硬度及び塗膜の密着性を高めることが容易となる。これにより、金属物品と水分との接触が抑制された状態となるため、金属腐食抑制剤の効果が継続して発揮され易くなる結果、金属物品の腐食がさらに抑制され易くなる。すなわち、耐食性を高めることが容易となる。
(3)含硫黄有機化合物が、3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸トリエタノールアミンを含むことで、制振塗料組成物の保存安定性が得られ易くなる。
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想について以下に記載する。
(ロ)金属物品としての屋根材に塗膜を形成する用途に用いられる制振塗料組成物。
(実施例1)
表1に示すように、樹脂粒子としてメタクリル酸メチルとアクリル酸2−エチルヘキシルとの共重合体からなる樹脂粒子を水系分散媒に分散した水系樹脂分散液(DIC(株)、BC−280、固形分濃度50質量%)に無機粒子及び各化合物を混合することで、制振塗料組成物を調製した。
表1に示す配合に変更した以外は、実施例1と同様に制振塗料組成物を調製した。
<試験片の作製>
表1に示す制振塗料組成物を厚さ0.5mmのガルバリウム鋼板(アルミニウムと亜鉛との合金めっき鋼板)に塗布した後、220℃で40秒間加熱乾燥することにより塗膜を形成し、試験片とした。なお、制振塗料組成物の塗布量は、加熱乾燥後の塗膜の厚さが100μmとなるように調整した。
この耐食性の評価では、JIS K5600−7−1(1999)に準拠して、中性塩水噴霧試験を行い、以下の評価基準によって判定した。前記噴霧試験を240時間以上継続させたときに、白錆が発生したものを「4」、200時間以上継続させたときに白錆が発生したものを「3」、160時間以上継続させたときに白錆が発生したものを「2」、120時間以上継続させたときに白錆が発生したものを「1」として表1に示す。
この密着性の評価1では、JIS K 5600−5−2(1999)、及びJIS K 5600−5−6(1999)に準拠して、碁盤目に切り、エリクセン試験機にて5mm押し出した後、テープ剥離をして剥離していない部分をカウントした。その結果を表1に示す。
この密着性の評価2では、JIS G3312(2008)における13.2.2に準拠して、180度曲げた後、テープ剥離を行い剥離が発生した割合を求めた。その結果を表1に示す。
この硬度の評価では、JIS K5600−5−4(1999)に準拠して、鉛筆硬度を測定した。その結果を表1に示す。
Claims (4)
- 塗膜を形成する樹脂粒子が水系分散媒に分散した水系樹脂分散液と、前記塗膜の制振性向上剤として無機粒子とを含有する制振塗料組成物であって、
モリブデン酸系化合物と含硫黄有機化合物とを金属腐食抑制剤として含有し、
さらに水溶性ジルコニウム化合物を含有することを特徴とする制振塗料組成物。 - 前記水溶性ジルコニウム化合物が炭酸ジルコニウム塩を含むことを特徴とする請求項1に記載の制振塗料組成物。
- 前記含硫黄有機化合物が3−(2−ベンゾチアジルチオ)プロピオン酸トリエタノールアミンを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の制振塗料組成物。
- 前記樹脂粒子がアクリル系樹脂粒子を含むとともに、前記無機粒子が炭酸カルシウム粒子を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の制振塗料組成物。
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