以下、本発明のヘアアイロンを実施するための形態について具体的に説明する。但し、本発明はその発明特定事項を備えるヘアアイロンを広く包含するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。
[1]本実施形態におけるヘアアイロンの構成:
本実施形態におけるヘアアイロンは、図1A、図1B、図2A、及び図2Bに示されるように、毛髪に形状付与するためのヘアアイロン1(1A)であって、毛髪を加熱可能なヒーター部7と、前記ヒーター部7への接触防止が可能なガード部5を備えてなり、前記ガード部5が、移動可能あるいは開閉可能に形成されるとともに、前記ガード部5の移動あるいは開閉により、前記ヒーター部7が露出して、毛髪と接触可能となるヘアアイロン1(1A)として構成されている。
[1−1]ガード部:
本実施形態におけるガード部は、ヒーター部7への接触防止が可能に構成されている。すなわち、ガード部を設けることにより、ヒーター部が手、指、耳、頭皮等に接触するのを防止できる。このように本実施形態では、ガード部に、所謂接触防止手段としての機能を備えさせるものである。
また、本実施形態におけるガード部は、移動可能あるいは開閉可能に形成されるとともに、前記ガード部の移動あるいは開閉により、ヒーター部が露出して、毛髪と接触可能となるように構成されている。ガード部が、このように形成されることによって、ヒーター部に毛髪を接触させて毛髪の形状処理を行う作業の、邪魔にならずに済む。すなわち、使用時に(加熱したヒーター部に接触させて毛髪の形状処理をする際に)、ガード部が、ヒーター部の一部或いは全部を遮蔽した状態であると、毛髪をヒーター部に接触させ難くなるため、毛髪の形状処理をし難くなる。一方、毛髪をアーム間に挿入する際、或いは、毛髪への形状処理作業を終えて、毛髪をヒーター部との接触から開放する際に、ヒーター部が露出した状態であると、ヒーター部に手指、耳等が誤って接触し、火傷を防止し難い。そこで、移動あるいは開閉可能なガード部を設けることにより、手指、耳等が接触しやすい処理工程時に、ヒーター部をアーム上に露出させないようにすることができ、火傷防止を実現するものとした。
なお、従来のヘアアイロンでは、一対のアーム(上下アームともいう。)の接触面のいずれか一方(または両方)に、ヒーター部の上面が露出するように配置されている。また、従来のヘアアイロンとして、ロッド型アームを備えるロッド型ヘアアイロンであれば、ロッド型アームとクリップとの接触面に、ヒーター部の上面が露出するように配置されている。そのため、一対のアーム(或いは、ロッド型アームとクリップ)が開いた状態では、毛髪の形状処理作業中に、加熱したヒーター部に、誤って頭皮、耳、手指等が接触してしまう。加えて、火傷を生じないように細心の注意を払いながら作業する必要があるため、作業効率を低減させるものであった。このように、従来のヘアアイロンでは、本発明のようなガード部がないため、火傷を生じやすいものであった。
たとえば、図1A〜図2Bに示されるガード部であれば、図1A、図1Bに示されるように、後述する挟持部としてのアーム3(3a,3b)が開いた際に、ガード部5が、ヒーター部の上面7a,7bよりも、突出する等して移動可能であることが好ましい。たとえば、図1A、図1Bの紙面上、ガード部5の夫々が互いに近づくように移動すると、ガード部5,5同士の間には、毛髪をヒーター部に挿入できる程度の隙間が形成される。すなわち、ガード部5,5同士の間に形成される隙間は、図2A、図2Bに示されるものよりも小さくなる。そのため、毛髪を一対の挟持部であるアーム間に挟み込む(或いは、アーム間から毛髪を開放する)ことは可能であるものの、手、指、頭皮等がこの隙間からヒーター部に接触し難くなり、火傷を防止することができる。このため、ガード部が移動しても、アーム間への毛髪の挿入、或いは、アーム間からの毛髪の開放をスムーズに行うことができる。
また、図2A、図2Bに示されるように、後述する挟持部としてのアーム3(3a,3b)が閉じた際に、たとえば、ガード部5が、ヒーター部の上面よりも、挟持部の背面側方向へ引っ込んだ状態になって、ガード部5が上下方向等に、移動可能に形成されることも好ましい。このようにガード部が移動可能であると、ヒーター部が露出して、毛髪と接触可能となる。すなわち、図2A、図2の紙面上、ガード部の夫々が上下方向に移動すると、ガード部5,5同士が離れることになる。これにより、ヒーター部7は露出されるものの、ヒーター部には既に毛髪が接触している。そのため、手、指、頭皮等の接触機会がないため、火傷することもない。さらに、ヒーター部と毛髪の接触箇所等を確認できるため、次の毛髪処理作業工程を行い易くなる。なお、上記例は一例であるため、これに限定するものではない。
なお、前述の、ガード部が移動する例は、ガード部が開閉している例とも言える。すなわち、ガード部が、ヒーター部の上面を基準として、ガード部が突出したり、引っ込んだりして移動することによって、ガード部が開閉していることに相当するといえる。
さらに、別の形態として、図5A〜図5Eに示されるようなガード部であってもよい。具体的には、図5A〜図5Eに示されるように、ヒーター部5の上面を基準にして、その上面と水平な位置(ただし、厳格なまでの水平を求めるものではない。)から、ヘアアイロンの本体方向(挟持部本体方向)へ移動あるいは開閉可能に形成されるガード部を例示できる。このようなガード部が設けられることによって、ガード部が、ヒーター部の上面を基準にして、水平移動することで、毛髪を挟持部に挟持させやすくなる。また、毛髪に加熱処理を付与する際(形状処理を付与する際)に、ヒーター部に毛髪を接触させやすくすることができる。
また、別の形態として、図7A〜図7Dに示されるロッド型アームを備えるヘアアイロンに備えられるガード部であってもよい。具体的には、図7A〜図7Dに示されるように、ロッド型ヘアアイロン1Bは、挟持部3としてのロッド型アーム63、挟持部3としてのクリップ61、及びハンドル62から概ね構成され、回動機構31を介して回動可能に形成されている。そして、ガード部5は、このロッド型アーム63の周囲を移動可能に形成されている。たとえば、図7Aに示されるように、ロッド型アーム63と、クリップ61が開いた状態である場合には、図7Bに示されるように、ロッド型アーム63に備えられているヒーター部7の上方に、ガード部5が位置する。これにより、毛髪を、ロッド型アーム63とクリップ61との間に挟み込む際に、火傷を防止することができる。また、図7Cに示されるように、ロッド型アーム63と、クリップ61が閉じた状態である場合には、図7Dに示されるように、ロッド型アーム63に備えられているヒーター部7の上方から移動して、ロッド型アーム63の周囲に沿って、ガード部5が移動する。これにより、毛髪をヒーター部7に接触させる際に、ガード部5が作業の邪魔となることもない。ただし、これに限定されるものではない。なお、このように、一方の挟持部のみにガード部を設けてもよい。
具体的に、このようなガード部としては、ヒーターカバー、筐体部などを挙げることができる。たとえば、図1A〜図2Bに示されるように、ガード部5がヒーターカバー8であるものを例示できる。また、ガード部5が筐体部6(或いは筐体部の一部)である場合としては、たとえば、図8A、図8Bに示されるものを一例として挙げることができる。
ここで、ガード部の素材は、特に限定されるものではないが、ガード部がポリアミド、ポリプロピレン、フッ素樹脂等の耐熱性のある材料から形成されることが好ましい。ガード部がヒーター部の近傍に配置されるためである。ただし、図6A、図6Bに示されるように、ガード部5の一部(例えば、図中上縁5a等)を屈折・変形あるいは回動しやすいようにするために、ガード部を複数の素材から形成してもよい。また、ガード部の形状等についても特に限定されるものではないが、ガード部が、移動あるいは開閉しやすい形状であることが好ましい。たとえば、図1A〜図2Bに示されるような、平板状にガード部5が形成される場合には、移動又は開閉も容易となるため好ましい。また、図5A〜図5Eに示されるように、ガード部5を櫛状に形成したものであると、ガード部の移動又は開閉をしやすいことに加えて、毛髪をアームに挟持させやすくなり、さらにアームから毛髪を開放しやすくなる。
より好ましいのは、前記ガード部の上縁が、前記ヒーター部の上面よりも対向する前記挟持部側方向に突出した位置と、前記挟持部の背面側方向に下がった位置との間を移動できるように構成されることである。このように構成されることによって、ガード部の上縁が、前記ヒーター部の上面よりも対向する前記挟持部側方向に突出した位置に移動すると、ヒーター部の露出を防ぐことができ、毛髪をアーム間に挿入する際に火傷を防止することができる。さらに、ガード部の上縁が、挟持部の背面側方向に下がった位置に移動すると、ヒーター部を毛髪に接触させて毛髪に加熱処理(形状処理)を施す際に、加熱処理(形状処理)の邪魔にならない。さらに、毛髪に加熱処理(形状処理)を行わない場合には、ヒーター部の上面に相応する位置に、筐体部、壁面、及びヒーターカバーを移動させることもできるため、誤って手、指、頭皮等がヒーター部に接触することを防止することができる。なお、ガード部の上縁が、前記ヒーター部の上面よりも対向する前記挟持部側方向に突出した位置に移動しても、毛髪が挿入可能な程度に隙間が形成されるため、毛髪を挟持部などのアーム間に挿入する際に、ガード部が邪魔とならない。
ここで、「ガード部の上縁」とは、ガード部の端部であって、ヒーター部の上面方向に形成される端部(ガード部の上端部)及びその近傍領域をいう。また、「ガード部の上縁が、前記ヒーター部の上面よりも対向する前記挟持部側に突出した位置」とは、ガード部の上縁が、ヒーター部の上面方向であって、そのガード部が備えられている挟持部と、別の挟持部側に突出した際の位置を意味する。たとえば、挟持部がアームより構成される場合には、一方のアームと別のアーム(他方のアーム)側に突出した際の位置を意味する。ただし、この「突出した位置」は、ガード部が一方の挟持部と、別の挟持部とに備えられ、夫々のガード部の間に形成される隙間に、手、指、耳等が入らない程度の位置まで突出することが好ましい。突出しても、互いのガード部によって形成される隙間が大きいと、火傷防止としての機能を果たし難くなるからである。また、後述するように、ガード部の上縁が変形、屈曲あるいは回動するものであれば、ガード部の突出により互いに接触して変形、屈曲、あるいは回動するまでの位置に、ガード部が突出するものであることが好ましい。一方、ガード部が変形、屈曲、あるいは回動するものでない場合には、過度の接触は、意図しない変形や損傷をガード部にもたらすことになるため、好ましくない。
また、「前記挟持部の背面側に下がった位置」とは、そのガード部が備えられている挟持部の背面側(挟持部に設けられたヒーター部の上面側と逆方向にある、挟持部の外面側)方向に下がった際の、ガード部の位置を意味する。さらに、「前記ガード部の上縁が、前記ヒーター部の上面よりも対向する前記挟持部側に突出した位置と、前記挟持部の背面側に下がった位置との間を移動できる」とは、前述の「突出した位置」と、「下がった位置」の間を、ガード部が移動可能に形成されていることを意味する。
たとえば、ガード部がヒーターカバーの場合には、図1A、図1B、及び図3Aに示されるように、「ガード部の上縁が、前記ヒーター部の上面よりも対向する前記挟持部側に突出した位置」は、ガード部の上縁5a,5bが、ヒーター部の上面7a,7b方向であって、さらに、そのガード部5が備えられている挟持部3(一方のアーム3b)と、別の挟持部3(他方のアーム3a)側方向に、ヒーター部の上面7bよりも突出する位置に相当する。また、「前記挟持部の背面側に下がった位置」は、そのガード部5が備えられている挟持部の背面側(ヒーター部が設けられている内面側と逆方向にある、挟持部の外面側)方向に下がった位置であって、ヒーター部の上面よりも下がった位置に相当する。さらに、「前記ガード部の上縁が、前記ヒーター部の上面よりも対向する前記挟持部側に突出した位置と、前記挟持部側に下がった位置との間を移動できる」とは、前述の「突出した位置」と、「下がった位置」の間であって、その両方の位置間を、ガード部が移動可能であることを意味する。
なお、「ガード部の上縁」は、挟持部を水平にした際に、接触防止手段の高さ方向で最も高い位置にある端面及び端面近傍領域をいう。たとえば、前述の例で、ロッド型ヘアアイロンの場合には、ロッド型アームを水平にした際に、接触防止手段の高さ方向で最も高い位置にある端面及び端面近傍領域が、接触防止手段であるガード部としての上縁となる。また、挟持部として、一対のアームを備えるヘアアイロンのように、アームを2本備えるもののうち、一つのアーム(一方のアーム)に接触防止手段を設ける場合には、図1Aに示されるように、一方のアームの上面を上側に向け、さらにそのアームを水平にした際に、接触防止手段であるガード部の高さ方向で最も高い位置にある端面及び端面近傍領域が、接触防止手段の上縁となる。ただし、一つのアーム(一方のアーム)と、他方のアームとの天地を逆にした場合には、「ガード部の上縁」が、ガード部の下縁ともなるため、ここでの「上縁」は、その字句に限定されるものではない。
さらに、前記一対の挟持部が開いている状態では、前記ガード部の上縁が、前記ヒーター部の上面よりも対向する前記挟持部側方向に突出した位置にあり、前記一対の挟持部が閉じている状態では、前記ガード部の上縁が、前記ヒーター部の上面よりも前記挟持部の背面側方向に下がった位置になるように構成されることが好ましい。このようにガード部が構成されることにより、挟持部の開閉時に、ガード部を所望位置に配置できるため、火傷防止を確実に行うことができる。
具体的には、図1A〜図2Bに示されるヘアアイロンを例示できる。このヘアアイロンでは、ガード部5がヒーターカバーから構成され、図1A〜図1Bに示されるように、一対の挟持部が開いた状態では、挟持部の外側に設けたヒーターカバーの上縁が、ヒーター部の上面よりも、(ヒーター部が設けられている挟持部に)対向する別の挟持部側に突出するようになっている。より具体的には、図3Aに示されるように、ヒーター部7,7の上面7a,7bから水平線をガード部方向に引いた際に形成される仮想線としての基準線Hに対して、ガード部5の上縁5a,5bが突出して近づいた状態となると、手、指、頭皮等が接触できる程度にヒーター部の露出がなくなる。そのため、ヒーター部間に毛髪を挿入させることはできても、手、指、頭皮等はヒーター部に接触できないため、火傷を防ぐことができる。さらに、図2A〜図2Bに示されるように、毛髪を挟んで形状処理するために挟持部を閉じると、ヒーターカバーが挟持部の背面側に移動し、ヒーター部の上縁が、ヒーター部の上面よりも挟持部の背面側に下がるように移動する。より具体的には、図3Bに示されるように、ヒーター部7,7の上面7a,7bから水平線をガード部方向に引いた際に形成される仮想線としての基準線Hに対して、ガード部5の上縁5a、5bが、引っ込んで離れた状態となる。この場合には、ヒーター部の露出は生じるものの、ヒーター部は既に毛髪を挟持しているため、手、指、頭皮等を接触する作業は不要となる。そのため、手、指、頭皮等の火傷を防ぐことができる。
なお、図3A、図3Bは、ガード部とヒーター部との関係を模式的に示した断面図であって、一部省略して図示したものである。ここで、図3Aでは、互いのヒーター部が離れた状態を示してあり、図3Bでは、互いのヒーター部が近づいて接触した状態を示してあるが、これは挟持部の回動(挟持部の開閉)に伴って移動しているものであり、ヒーター部が挟持部内を移動しているものではない。換言すれば、挟持部に沿って移動等するのは、ガード部であり、ヒーター部は、挟持部に固定されているため挟持部と共に移動している状態を模式的に示したものである。
また、前記一対の挟持部が開いている状態では、前記ガード部の上縁が前記ヒーター部の上面よりも対向する前記挟持部側方向に突出した位置になるように構成され、前記一対の挟持部が閉じている状態では、前記ガード部が前記挟持部の基端側に移動して前記ヒーター部と毛髪が接触可能となるように構成されることも好ましい形態の一つである。このように構成されることによって、一対の挟持部が開いている状態では、ヒーター部の上面の露出を防ぐことができるため、火傷防止を確実に行える。一方、一対の挟持部が閉じている状態では、ガード部は、前記挟持部の基端側に移動するため、ヒーター周りが煩雑でなくなり、毛髪をスムーズに挟持させやすくなる。
ここで、「前記ガード部が前記挟持部の基端側に移動して」とは、ガード部が、ヒーター部の上面に相応する領域から、挟持部本体の近傍領域へ、移動することを意味する。また、挟持部の「基端側」とは、挟持部の回動軸寄りの把持部側を意味する。たとえば、挟持部がアームより構成され、アームの開閉が回動軸に基いて行われるものであれば、その回動軸寄りの把持部側を意味する。すなわち、ガード部が、挟持部の長さ方向であって、挟持部本体側へ水平方向に移動(厳密な意味での水平ではなく、挟持部に沿って挟持部本体側へ移動)することを意味する。なお、このようなガード部の移動を実現するものとしては、挟持部本体にガード部をスライド可能にさせるフランジ等を備える凹溝を形成し、ガード部の一端を凸状にして、前述の凹溝をスライドできるようなスライド機構を設けるとよい。ただし、この例に限定されるものではない。
具体的には、図5A〜図5Eに示されるように、アーム本体の近傍領域に移動できるガード部が形成されることが好ましい。すなわち、アームの長さ方向であって、アーム本体側へ、水平移動できることが好ましい。
さらに、前記一対の挟持部が閉じている状態では、前記ガード部の少なくとも上縁が、屈曲、変形あるいは回動して前記ヒーター部同士が接触可能となるように構成されることも好ましい。このように構成されることによって、毛髪を挟持しない段階では、一方の挟持部と他方の挟持部に設置されるガード部間には、一方の挟持部と他方の挟持部間に毛髪を挿入可能ではあるが、手、指、耳、或いは頭皮等が誤って入らない程度の隙間を形成することができる。そして、一方の挟持部と他方の挟持部によって、毛髪を挟持する段階では、一方の挟持部と他方の挟持部の夫々に設けられたガード部が互いに押圧することによって、ガード部の上縁が、屈曲、変形あるいは回動し、ヒーター部同士も接触可能となる。そのため、毛髪にヒーター部の熱を伝達できる。なお、このガード部の上縁の、屈曲、変形あるいは回動は、ヒーター部側ではなく、ヒーター部と反対に位置する挟持部の外側方向になされることが好ましい。ヒーター部側に屈曲、変形あるいは回動すると、挟持部によって毛髪を挟持する際に、その屈曲、変形あるいは回動したガード部上縁が邪魔となり、毛髪処理をし難くなるためである。
このようなガード部として構成する場合には、ガード部は、その上縁を含めて同一素材から形成してもよいし、ガード部上縁と、ガード部上縁を除いた残りの部分(ガード部本体)との素材を別材料から形成して一体化させてもよい。このように、ガード部が同一素材から形成される場合には、生産コストを低減できるため好ましい。また、別素材からガード部全体が形成される場合には、ガード部の移動或いは開閉と、ガード部の上縁の屈曲、変形あるいは回動といった夫々の機能をより実現しやすい。特に、ガード部の上縁の屈曲、変形あるいは回動を可能とする素材は、一般的に耐熱性の点で劣る傾向がある。他方、ガード部本体は、ヒーター部周りに設けられるため、ヒーター部の熱の影響を特に受けやすい。そのため、双方を満たす部材の選定が難しいが、別素材から一体化させる場合には、このような点が障害とならないため成形しやすい利点がある。
具体的には、図6A、図6Bに示されるような、ガード部がヒーターカバーとして構成されているものを例示できる。このヒーターカバー8は、挟持部としての、一方のアーム3aと、他方のアーム3bが開いている状態では、夫々の上縁5aが、接触しない程度に離間するように配置されている。そして、一方のアームと、他方のアームとが閉じた状態では、図6Bに示されるように、ヒーターカバー8が、互いに押圧し合い、その上縁5a及ぶ近傍領域が、ヒーター部7が配設されている側と反対側方向の、外側に屈曲、変形あるいは回動するように形成されている。このように、ヒーターカバー8が外側に屈曲、変形あるいは回動するように形成されることによって、一方のアーム3aと他方のアーム3bとが閉じる際に、邪魔とならずに、スムーズに毛髪の挟持を行うことができる。さらに、その屈曲、変形あるいは回動により、手、指等がヒーター部に接触することを防止できる。
このガード部の屈曲、変形あるいは回動をしやすいように、たとえば、屈曲、変形あるいは回動させたい領域にスリットを設けることも好ましい。前述のように、ガード部が柔らかい素材から形成されると、互いが押圧し合う際に、屈曲あるいは変形しやすいが、その屈曲、変形あるいは回動方向を調整し難い。そのため、屈曲、変形あるいは回動方向と逆側の方向に、たとえば、スリット等を入れることで、屈曲、変形あるいは回動方向を調節することにより、誤って、ヒーター部側に屈曲、変形あるいは回動して、毛髪を挟持し難くなるといった事態を防止することができる。
なお、上述の実施形態とは別の形態であって、ヒーターカバーを設けずに、筐体部の上縁を長く形成して、ガード部として構成するとともに、その上縁を屈曲、変形あるいは回動させてもよい。たとえば、図8A、図8Bに示されるように、筐体部6,6の上縁6b,6bが互いに押圧し合い、その上縁6bが、ヒーター部7が配設されている側と反対側方向の、外側に屈曲、変形あるいは回動するように形成されている筐体部を例示できる。
なお、このようなガード部の移動又は開閉は、特に限定されるものではないが、たとえば、図4A〜4Cに示されるような、ガイド板11、定加重バネ13、モーター15を用いて行うものを挙げることができる。具体的には、ガード部5の一端に接触可能なように、ガイド板11を取り付けるとともに、さらに、ガード部5の一端に、定加重バネ13の上端を、固定ピン17を介して取り付ける。さらに、定加重バネの軸心には、モーターが取り付けられ、モーターを駆動させることにより、定加重バネの軸心が回転するよう設置する。このようにして、モーターを駆動させて、定加重バネを巻取りすることで、ガード部はガイド板に沿って上昇し(移動又は開閉し)、また、モーターを駆動させて定加重バネを弛めることで、ガード部はガイド板に沿って下降(移動又は開閉)することになる。ただし、この例に限定されるものではない。なお、図4Bは、ガード部5、定加重バネ13、固定ピン17の配設を模式的に示した側面図であって、ガイド板11、モーター部を省略するとともに、部分的に拡大して図示したものである。また、図4Bは、ガード部5、ガイド板11、定加重バネ13、固定ピン17、モーター15の配設を模式的に示した斜視図であって、部分的に拡大して図示したものである。
また、手動操作により、前記ガード部が移動可能あるいは開閉可能であり、前記移動あるいは開閉により、前記ヒーター部同士が接触可能となるように構成されることが好ましい。このように構成されることにより、好みに応じてガード部が移動可能あるいは開閉可能となるため、汎用性が向上する。特に、理容業等の専門家が、本発明を使用する場合には、個人の技量によって、ヒーター部同士を接触させたい段階も異なる。そのため、幅広く使用できるようにした。
ここで、「手動操作により」とは、手等人力により、ガード部の位置を任意の位置に移動可能或いは開閉可能にすることである。このような手動操作を実現するものとしては、挟持部本体にガード部をスライド可能にさせるフランジを備える凹溝を形成し、ガード部の上縁を凸状にして、前述の凹溝をスライドできるようなスライド機構を設け、ガード部に手動により操作可能なレバー等を設けるとよい。ただし、この例に限定されるものではない。
さらに、前記ガード部が着脱可能に構成されることが好ましい。ガード部が着脱可能に構成されることによって、利便性・汎用性を向上させることができる。たとえば、火傷し難い箇所の毛髪の形状処理を行う場合には、細心の注意をする必要がないため、手、指等を火傷する虞も低くなる。一方、耳に近い箇所の毛髪の形状処理を行う場合、頭皮近くの毛髪の根元付近の形状処理を行う場合等は、そのような箇所を火傷しないように注意をするため、却って、手、指等の火傷をしてしまう場合も考えられる。したがって、ガード部を着脱可能に構成することによって、前者の場合には、ヘアアイロンから取り外して使用し、後者の場合には、ヘアアイロンにガード部を装着して、毛髪の形状処理を行うことで、毛髪形状処理の処理段階に応じて、利便性・汎用性が向上する。
ここで、ガード部を着脱可能にするものとしては、たとえば、ガイド部と筐体にそれぞれ溝を設け、スライドさせて、はめ込み式に着脱できる着脱方式を一例として挙げることができる。より具体的には、図4Cに示されるように、定荷重バネとガイド部とを固定ピンで連結したガード部移動機構を設けて、着脱の際に、固定ピンを外してガード部を分離するとよい。ただし、このような着脱方式に限定されるものではない。
さらに、前記ヒーターカバーは、凸部と、前記凸部が連結される前記基部とを備える櫛歯状に形成されてなり、前記ヒーター部を基準にして前記基部の移動又は開閉が行われる際に、前記凸部は、前記基部に随伴しながら移動又は開閉を行うと共に、前記凸部が回動可能であることが好ましい。このように構成されることによって、確実に火傷防止をしながら、毛髪の形状処理を行える。そのため、利便性及び汎用性がさらに向上する。
ここで、ヒーターカバーの凸部は、凸状に形成されていれば、その形状は特に限定されるものではない。この凸部は、毛髪以外の手、指等がヒーター部に接触することを防止するために設けられているものであるため、その機能を発揮することができる形状であればよい。具体的には、図5Aに示されるように、凸部12aが設けられるとともに、その1凸部12aが、プレート状の基部12bに回動可能に取り付けられている。なお、この基部は、移動又は開閉しやすい形状であればよい。すなわち、基部12bと凸部12aを備えるガード部が、図5Aに示されるように、ヒーター部7側(図中の矢印方向)へ移動する又は閉じることにより、手、指、耳、或いは頭皮等が接触しない程度に、ヒーター部7を、露出させないようにすることができればよい。さらに、図5Cに示されるように、ガード部が、挟持部本体(アーム基部)側(図中の矢印方向)へ移動する又は開くことにより、ヒーター部7を露出できるものであればよい。ここで、凸部12aと基部12bとは、ビス等によって回動可能な連結機構10によって、互いに連結されることが好ましい。回動可能に連結されることにより、ガード部の移動又は開閉に応じて、凸部は回動するため、必要に応じて、ヒーター部を露出させなかったり、露出させたりできる。さらに、凸部12aが、基部12bの移動に随伴しながら、同時に、凸部が回動可能であるため、必要に応じて、ヒーター部を露出させなかったり、露出させたりできる。
このような凸部が、基部の移動に随伴して回動するメカニズムとしては以下のようなものを一例として挙げることができる。たとえば、図5A〜5Eに示されるヘアアイロンは、櫛歯状に形成されているヒーターカバー備え、さらに、このヒーターカバーは凸部12aと、この凸部を連結する基部12bとから構成されている。そして、ヒーター部を基準にして基部12bの移動又は開閉が行われる際に、凸部12aは、前記基部12bに随伴しながら移動又は開閉を行うと共に、凸部が回動可能に構成されている。
さらに、図5A、図5Dに示されるように、ヒーターカバーの櫛歯である凸部12aは、基部12bに、板バネなどのバネ部材等によって付勢され、挟持部が開いた状態では、起立した状態(立位した状態)を保つようにされている。そして、挟持部を閉じ始めると、図5Bに示されるように、挟持部に設けられた規制部材57に凸部12aが接触し押圧されて、凸部12aが部分的に回動し倒れるようになっている。すなわち、凸部12aは、基部12bに、1回転ではなく部分的に回動可能に連結されている。また、図5B、図5C、及び図5Dに示されるように、基部12bは、挟持部先端から挟持部本体間をスライド可能に形成されている。このようにすることで、凸部が、基部の移動に随伴可能となる。さらに、挟持部本体に定加重バネ55と、定加重バネ55を作動可能なモーター、及びこのモーターの作動を制御するマイクロスイッチ59を設けて、定加重バネ55と基部12bを接続して、基部12bのスライド可能にするとよい。このようにすることで、図5Aから図5Cに示されるように、ヒーターカバーを挟持部本体方向へ移動させることができ、挟持部の移動等の動きに応じて、図5Dに示されるようなヒーターカバーの櫛葉である凸部12aが立位した状態から、図5Eに示されるようなヒーターカバーの櫛葉である凸部12aが倒れた状態にすることができる。なお、凸部12aが倒れた状態から、凸部12aが立位した状態に戻す場合には、挟持部本体方向から挟持部の先端方向へ移動させると、凸部12aが、規制部材57から開放され立位することになる。ただし、凸部が、基部の移動に随伴して回動するメカニズムは、これに限定されるものではない。
さらに、前記ヒーター部と前記筐体部との間には、支柱、スペーサーあるいは断熱材が配置され、前記ヒーター部と前記筐体部とを離間させ断熱構造にしたヘアアイロンであることも好ましい形態の一つである。このように構成されることよって、さらに確実に、手、指、耳、頭皮等の火傷を防止できる。加えて、ガード部としての筐体部の移動開閉の制御を行いやすく、製造しやすいといった利便性がある。
ここで、「支柱」とは、筐体部からヒーター部を支持する柱状部材を意味する。このような支柱の素材としては、たとえば、ポリアミド、ポリプロピレン、フッ素樹脂等を挙げることができる。また、「スペーサー」とは、筐体部とヒーター部間に配置される緩衝材である。
また、ヒーターカバーと前記筐体部との間に配置される支柱、スペーサーあるいは断熱材は、ヒーターカバーと前記筐体部の夫々に接着などの手法により固定される。
[1−2]挟持部:
さらに、一対の挟持部を備えることが好ましい。このような一対の挟持部があることにより、毛髪の形状付与を確実に行うことができる。たとえば、ロッド型ヘアアイロンの場合には、一方の挟持部がロッド型アームとして、また、他方の挟持部がクリップとして、この「一対の挟持部」を構成することになる。また、一対のアームを備えるヘアアイロンの場合には、一対のアームがこの「一対の挟持部」を構成することになる。
具体的には、本実施形態のヘアアイロンには、ロッド型ヘアアイロン(カールアイロンともいう)と一対のアームを備えるヘアアイロン(ストレートアイロンともいう)が含まれる。
さらに、ロッド型ヘアアイロン(カールアイロン)である場合には、挟持部としてロッド状に形成されたロッド型アームと、そのロッド型アームの表面の一部を覆うように、当接可能な、挟持部としてのクリップとを備えるヘアアイロンであることが好ましい。このようなロッド型ヘアアイロンとして構成されることによって、ロッド型アームとクリップとの間に毛髪を挟持しながら、ロッド型アームの周囲に毛髪を捲きつけることによって、毛髪に対してカール等の形状処理を行うことができる。
さらに、一対のアームを備えるヘアアイロン(ストレートアイロンともいう)である場合には、挟持部としてのアームを一対(2本のアーム)備えるヘアアイロンであることが好ましい。このような一対のアームを備えるヘアアイロンであると、その一対のアーム間に毛髪を挟持させて、毛髪の形状処理を行える。なお、本明細書でカールアイロンに特有のもの以外は、ストレートアイロンとカールアイロンの双方について適用できることは言うまでもない。
具体的に、一対のアームを備えるヘアアイロンとしては、たとえば、図1A、図1B、図2A、図2Bに示されるように、一方のアーム3a(下アームともいう)と、他方のアーム3b(上アーム)とから構成されているヘアアイロン1Aを例示できる。このように一対のアームを備えるヘアアイロン1Aでは、一方のアーム3aと他方のアーム3bとを開閉することにより、形状処理する毛髪を一方のアームと他方のアームとの間に挟持したり、解放したりすることができる。一方のアーム3aと他方のアーム3bは、その一端を、ビス31等を介して、開閉自在に連結されている。そして、一方のアーム3aと他方のアーム3bの間に毛髪を挟持させて、図2A、図2Bに示されるように互いのアームを閉じて、ヒーター部7により毛髪を加熱して形状処理を行う(なお、図2Bでは、毛髪は省略して示している)。さらに、他の毛髪に形状処理をする場合、或いは、形状処理を終了する場合には、ビス31等を基点にアーム3a,3bを回動させて、夫々のアーム(一方のアーム3aと他方のアーム3b)を離間させることで、図1A、図1Bに示されるように、毛髪をアームから外す(解放する)ことができる。したがって、毛髪の形状処理を連続的に行う場合には、前述の作業を繰り返し行えばよい。
また、ロッド型アームを備えるヘアアイロンとしては、たとえば、図7A〜図7Dに示されるように、挟持部としてのロッド型アーム63、挟持部としてのクリップ61、ハンドル62(把持部ともいう)から概ね構成されるロッド型ヘアアイロン1Bを例示できる。このようにロッド型アーム63を備えるヘアアイロン1Bでは、ロッド型アーム63とクリップ61とが、挟持部本体の一端でビス等の回動機構により連結されている。このように連結されたロッド型アーム63とクリップ61とを開閉することにより、形状処理する毛髪を、ロッド型アーム63とクリップ61との間に挟持したり、解放したりすることができる。そして、前述の一対のアームを備えるヘアアイロンと同様に、ロッド型ヘアアイロン1Bにおいても、毛髪を挟持した際に、後述するヒーター部の熱を付与して、毛髪の形状を整える。
なお、このような挟持部としてのアームを備えるヘアアイロンに特に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更、修正が加えられたヘアアイロンに広く適用できる。
また、挟持部は、アームハウジング(筐体部)によって形成されていることが好ましい。挟持部を形成しやすいからである。ここで、アームハウジングとは、挟持部の骨格を形成する部材である。アームハウジングの形状としては、たとえば、円柱状、矩形状、棒状等を挙げることができる。また、これらの形状に限られず、毛髪を挟持し易く、加えて、連結機構を介して回動し易い形状であればよい。アームハウジングの材質としては、たとえば、チタン合金、ジェラルミン、アルミニウム合金、鋼などの公知の金属材料等を挙げることができる。ただし、これらの材料に限らず、軽量で、耐久性、耐熱性のあるもの等であればよい。
さらに、一対の挟持部を備えるとともに、前記挟持部の一方あるいは両方に前記ヒーター部、及び前記ガード部を備えることが好ましい。このように、ヘアアイロンに一対の挟持部を備えられ、夫々の挟持部にヒーター部が備えられると、毛髪の形状処理をしやすくなるから好ましい。さらに、夫々の挟持部にガード部が備えられることにより、確実に火傷を防止することができる。なお、このような例は、一対のアームを備えるヘアアイロン(ストレートアイロン)に限定されるものではなく、ロッド型アームとクリップを備える所謂ロッド型ヘアアイロンにも適用できる。
[1−3]ヒーター部:
本実施形態のヒーター部は、毛髪を加熱して形状を付与するために設けられる。また、このヒーター部は、挟持部としてのロッド型アームを備えるヘアアイロンでは、そのロッド型アームに、或いは、一対のアームを備えるヘアアイロンであれば、一対のアームのいずれか一方又は両方に備えられる。
ヒーター部の形状は、特に限定されるものではない。たとえば、前述の平板状(プレート状)のものが一般的であるがこれに限定されるものではなく、たとえば、ヒートローラーのようなローラ状に形成されてもよい。また、ヒーター部の大きさ(寸法)についても特に限定されるものではない。一般的なヒーター部の幅寸法としては、5mm程度のものが見られるが、同程度の大きさであってもよい。
ヒーター部の加熱温度としては、60〜280℃、より好ましいのは、100〜120℃で、温度が制御できるようにすることが好ましい。60℃未満では、毛髪の形状処理をスムーズに行うには低い温度であるため好ましくなく、280℃を超えると毛髪を痛めてしまう虞があるからである。
また、ヒーター部の加熱は、(一対の)挟持部が閉じている状態(又は、ロッド型アームとクリップが閉じている状態)で行われることが好ましい。ヒーター部の加熱が、(一対の)挟持部が閉じている状態(又は、ロッド型アームとクリップが閉じている状態)で行われる場合には、挟持部が閉じているから、ヒーター部が頭皮、耳、手指等に接触しないため、確実に火傷を防止できるから好ましい。
具体的には、図4Aに示されるように、挟持部が閉じている状態で、スイッチ33に凸部35が接触し、ヒーター部に通電させて加熱させたヘアアイロン、さらに、挟持部が開いた状態では、スイッチ33から凸部35が離れ、通電しないようにすることで、ヒーター部を加熱させないようにしたヘアアイロンを例示できる。
[1−4]押圧部:
一対の挟持部のいずれか一方には、押圧部が形成され、前記押圧部と、他方の挟持部により毛髪を挟持可能に構成されていることが好ましい。すなわち、本実施形態における押圧部は、ヒーター部と毛髪を挟持させる際に、毛髪に形状付与可能な程度の応力を与えるものである。さらに、この押圧部によって、毛髪に押圧力を十分に与えながらヒーター部の熱を十分に伝えることもできる。すなわち、押圧部は、ヒーター部を毛髪に接触させやすくする役割も担う。したがって、一対の挟持部を備えるヘアアイロンでは、ヒーター部と対向する側の挟持部(アーム、或いは、クリップ)に、前述の押圧部が配設されることが好ましい。ただし、一対の挟持部を備えるヘアアイロンであっても、ヒーター部を挟持部の双方に配置する場合には、ヒーター部に前述の押圧部の役割を担わせるため、押圧部は必須のものではない。また、ロッド型アームを備えるヘアアイロンである場合には、前述の押圧部がクリップ部に設けられることも好ましい形態の一つである。押圧部が、ロッド型アームに配置されるヒーター部と、毛髪を挟持可能に構成されることによって、更に毛髪をカール状に形状処理しやすくなるからである。
ここで、「押圧部」とは、ヒーター部を設けない挟持部(アーム、或いは、クリップ)に形成される押圧部材であって、前述のように、ヒーター部に対して毛髪を押圧する役割を果たすものである。したがって、ヒーター部のように自ら毛髪に熱を伝えて加熱するものでない。また、一対の挟持部を備えるヘアアイロンであって、挟持部の両方にヒーター部を設ける場合には、押圧部は挟持部に設けられないことになる。このような場合には、挟持部の両方に配置される夫々のヒーター部を用いて、毛髪に熱を伝えながら押圧を行わせてもよい。
また、この押圧部の形状は、板状(プレート状)のもの、ローラ状のものでもよい。なお、後述のように、ヒーター部の熱を毛髪に伝えながら毛髪を押圧可能なヒーター部を設けて、そのヒーター部に押圧部の機能を持たせてもよい。
また、押圧部の材質としては、ヒーター部と接触させること(或いは接触させなくても挟持部を閉じた際ヒーター部の近傍になるように配設すること(ロッド型アームの場合には、そのロッド型アームと、クリップとを閉じた際にヒーター部の近傍になるように配設させること))から、耐熱性に優れる部材、さらには、毛髪を痛めず弾力性を有する部材等から形成されることが好ましい。このような部材としては、たとえば、金属、セラミック、樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、公知の材質を用いてもよい。また、押圧部の形状としては、平板状、円形状、楕円形状、凸状等が挙げられるが、このような形状に限られることなく、毛髪を押圧しやすい形状であればよい。
押圧部の挟持部への取り付け(アーム、または、クリップへの取り付け)は、挟持部に接着剤等で固定してもよいし、挟持部と押圧部を、嵌合可能な構造にして固定させてもよい。また、このような取り付けに限定されるものではなく、公知の手法を用いて押圧部を取り付けてもよい。
また、押圧部がプレート状に形成される場合には、ヒーター部に対して、押圧する力を適度に且つ十分に施すことができるため好ましく、押圧部がロール状の形状に形成される場合には、毛髪が本来備える形状(円状或いは楕円状等)を損ねることを低減させながら、毛髪の形状処理を行えるため好ましい。
[2]本実施形態のヘアアイロンの使用方法:
前述のように、挟持部として一対のアームを備える、ヘアアイロンであれば、2本のアームを開いて毛髪をその間に挟持させる。この際、ガード部5の上縁5a,5bの位置を、ヒーター部7の上面7a,7bに相応する位置になるよう、ガード部5を移動させて又はガード部5を閉じて毛髪(図示せず)をアーム3a,3b間に挿入する(図1B参照)。その後、ガード部5の上縁5a,5bを移動させて又はガード部5を開いてヒーター部7に毛髪(図示せず)を接触させる(図2B参照)。さらに、この状態で、ヘアアイロンの電源を入れてヒーター部を加熱させ毛髪の形状を処理する。毛髪の別の箇所の形状処理する場合、或いは、毛髪への熱処理作業を終えて毛髪をヒーター部との接触から開放する場合には、ガード部の上縁を再び移動させて又はガード部を閉じて、毛髪をアーム間から開放する。
ロッド型ヘアアイロンの場合では、ロッド型アーム63とクリップ61とを開いて、毛髪をその間に挟持させる。この際、毛髪(図示せず)を、ロッド型アーム63とクリップ61間に挿入し、ガード部5の上縁の位置を、ヒーター部7の上面に相応する位置になるよう、ガード部を移動させる(図7A,及び図7B参照)。その後、ガード部5の上縁の位置を、ヒーター部7の上面に相応する位置から移動させて、ヒーター部7に毛髪(図示せず)を接触させる(図7C及び図7D参照)。さらに、この状態で、ヘアアイロンの電源を入れてヒーター部を加熱させ毛髪の形状を処理する。毛髪の別の箇所の形状処理する場合、或いは、毛髪への熱処理作業を終えて毛髪をヒーター部との接触から開放する場合には、前述のロッド型アームとクリップが夫々離れるように、ロッド型アーム及びクリップを回動させて、ガード部の上縁を再びヒーター部の上面に相応する位置になるように移動させながら、毛髪をアーム間から開放する。そして、前述のような処理工程を繰り返して、毛髪の形状処理を行うとよい。なお、毛髪の形状処理を終了する場合には、毛髪をアームから外すことで終了する。