以下、本発明のヘアアイロンを実施するための形態について具体的に説明する。但し、本発明はその発明特定事項を備えるヘアアイロンを広く包含するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。
[1]本実施形態におけるヘアアイロンの構成:
本実施形態におけるヘアアイロンは、図1A、図1B、図1C,図2A、図2Bに示されるように、アーム3を少なくとも備えるヘアアイロンであって、アーム3には毛髪を加熱可能なヒーター部7と、ヒーター部7を保護可能である接触防止手段19とを備え、ヒーター部7が、接触防止手段19の上端19a、或いは19S、19Kから接触防止手段の内側の窪んだ位置までの間をスライド可能に形成されているヘアアイロン1(1A,1B)として構成されている。
[1−1]アーム:
本実施形態におけるアームは、少なくともヘアアイロンに備えられていればよく、ロッド型ヘアアイロンのようにアームがロッド型アームであるもの、或いは一対のアームを備えるヘアアイロンのようにアームを2本備えるものも本実施形態に含まれる。
すなわち、本実施形態のヘアアイロンとしては、ロッド型ヘアアイロン(カールアイロンともいう)として、ロッド状に形成されたロッド型アームと、そのロッド型アームの表面の一部を覆うように、当接可能なクリップとを備えるヘアアイロンとして構成されたものであることが好ましい。このようにロッド型ヘアアイロンとして構成されることによって、ロッド型アームとクリップとの間に毛髪を挟持しながら、ロッド型アームの周囲に毛髪を捲きつけることによって、毛髪に対してカール等の形状処理を行うことができる。
また、本実施形態のヘアアイロンとしては、たとえば、一対のアームを備えるヘアアイロン(ストレートアイロンともいう)として、アームが一対のアーム(2本のアーム)から構成されるとともに、その一対のアーム間に毛髪を挟持させて、毛髪の形状処理を行えるヘアアイロンとして構成されるものも好ましい。なお、本明細書でカールアイロンに特有のもの以外は、ストレートアイロンとカールアイロンの双方について適用できることは言うまでもない。
具体的に、一対のアームを備えるヘアアイロンとしては、たとえば、図1A、図1B、図2A、図2Bに示されるように、一方のアーム3a(下アームともいう)と、他方のアーム3b(上アーム)とから構成されているヘアアイロン1A,1Bを例示できる。このように一対のアームを備えるヘアアイロン1A,1Bでは、一方のアーム3aと他方のアーム3bとを開閉することにより、形状処理する毛髪を一方のアームと他方のアームとの間に挟持したり、解放したりすることができる。一方のアーム3aと他方のアーム3bは、その一端を、ビス31等を介して、開閉自在に連結されている。そして、一方のアーム3aと他方のアーム3bの間に毛髪を挟持させて、図1B、図2Bに示されるように互いのアームを閉じて、ヒーター部7により毛髪を加熱して形状処理を行う(なお、図2Bでは、毛髪は省略して示している)。さらに、他の毛髪に形状処理をする場合、或いは、形状処理を終了する場合には、ビス31等を基点にアーム3a,3bを回動させて、夫々のアーム(一方のアーム3aと他方のアーム3b)を離間させることで、図1A、図2Aに示されるように、毛髪をアームから外す(解放する)ことができる。したがって、毛髪の形状処理を連続的に行う場合には、前述の作業を繰り返し行えばよい。
また、ロッド型アームを備えるヘアアイロンとしては、たとえば、図12に示されるように、ロッド型アーム51、クリップ53、把持部55から概ね構成されるロッド型ヘアアイロン1Bを例示できる。このようにロッド型アーム1を備えるヘアアイロン1Bでは、ロッド型アーム51とクリップ53とが、アーム本体の一端でビス等の回動機構により連結されている。このように連結されたロッド型アーム51とクリップ53とを開閉することにより、形状処理する毛髪を、ロッド型アーム51とクリップ53との間に挟持したり、解放したりすることができる。そして、前述の一対のアームを備えるヘアアイロンと同様に、ロッド型ヘアアイロン1Bにおいても、毛髪を挟持した際に、後述するヒーター部の熱を付与して、毛髪の形状を整える。
なお、このようなアームを備えるものに特に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更、修正が加えられたヘアアイロンのアームも本発明に適用できる。
[1−2]接触防止手段:
本実施形態の接触防止手段は、ヒーター部を保護可能にするものである。ヒーター部を保護可能にすることにより、熱せられたヒーター部から、頭皮、耳、手指等への火傷を防ぐことができるからである。ここで、従来のヘアアイロンでは、一対のアーム(上下アーム)の接触面のいずれか一方(または両方)にヒーター部の表面が一致するように配置される。そのため一対のアームが開いた状態では、接触面が露出することとなる。すなわち、一対のアームを開いた際に、ヒーター部の表面がアームの内表面(たとえば、一対のアームであればその接触面、ロッド型アームであればクリップとの接触面)に位置するように、露出させて配置されている。このようにアームの内表面にヒーター部の表面が露出した状態で配置されると、毛髪にヒーター部の熱を伝え毛髪を適温に加熱させるという意味では、ヒーター部と毛髪とを接触させやすく利点があるものの、処理作業中にヒーター部に頭皮、耳、手指等が接触し火傷等の弊害を生じさせやすい。加えて、火傷を生じないように細心の注意を払いながら作業する必要があるため、作業効率性を低減させることになる。また、ロッド型ヘアアイロンにおいても同様に、ロッド型アームのクリップとの接触面にヒーター部の表面が露出するように、ヒーター部が配置されるため、前述のような弊害を生じさせやすい。
したがって、前述のように、ヒーター部を遮蔽又は保護可能である接触防止手段を設け、後述のようにヒーター部を、接触防止手段の上端から接触防止手段の内側の窪んだ位置までの間をスライド可能に構成することによって、ヒーター部の表面を露出しないようにヒーター部の位置を調整できる。したがって、ヒーター部の熱から、頭皮、耳、手指等を保護でき、火傷を防止できる。
ここで、「接触防止手段の上端」とは、アームを水平にした際に、接触防止手段の高さ方向で最も高い位置にある端面をいう。たとえば、前述の例で、ロッド型ヘアアイロンの場合には、ロッド型アームを水平にした際に、接触防止手段の高さ方向で最も高い位置にある端面が、接触防止手段の上端となる。また、一対のアームを備えるヘアアイロンのように、アームを2本備えるもののうち、一つのアーム(一方のアーム)に接触防止手段を設ける場合には、図1Aに示されるように、一方のアームの内表面を上側に向け、さらにそのアームを水平にした際に、接触防止手段の高さ方向で最も高い位置にある端面が、接触防止手段の上端となる。
また、一対のアームを備えるヘアアイロンのように、アームを2本備えるもののうち、2つのアームに接触防止手段を設ける場合には、まず、前述のように、一方のアームの内表面を上側に向け、さらにそのアームを水平にした際に、接触防止手段の高さ方向で最も高い端面が、接触防止手段の上端となる。さらに、一方のアームと他方のアームの天地を逆にして、他方のアームの内表面を上側に向け、さらに、そのアームを水平にした際に、接触防止手段の高さ方向で最も高い端面も、接触防止手段の上端となる。換言すれば、前述のように、アームを2本備え、両方のアームに接触防止手段を設ける場合には、前述の一方のアームと他方のアームとの天地を逆にしない場合には、他方のアームの内表面を下側に向けて、そのアームを水平にすると、前述の天地を逆にした際の接触防止手段の上端が、接触防止手段の最も低い位置にある端面、すなわち接触防止手段の下端に相当することとなる。そして、ヒーター部が、その接触防止手段の下端から接触防止手段の内側へ窪んだ位置、すなわち、他方のアームの厚み方向に向けた窪んだ位置までの間をスライド可能に配置されていることとなる。以下、同様である。
なお、この接触防止手段としては、ガード部を接触防止手段とするもの、或いは、アームに凹部を形成し、その凹部の周囲に形成される壁部を接触防止手段とするもの等が挙げられる。以下、順に説明する。
[1−2−1]ガード部:
好ましいのは、接触防止手段がガード部として構成されることである。このように接触防止手段を構成することによって、後述のヒーター部が、アームの内表面に露出した状態で配置されているとしても、ヒーター部は、接触防止手段の上端から前記接触防止手段の内側方向へスライドできるため、ヒーター部の接触防止手段の上端(たとえば、図1B、図1Cに示される上端19a)からの露出を防ぐことができる。特に、毛髪を挟持する等の所望の時に、確実にヒーター部の接触防止手段からの露出を防ぐことができる。換言すれば、前述のような火傷を生じやすい毛髪処理工程の際に、接触防止手段の上端がヒーター部の表面よりも突き出ているように、ヒーター部をスライドさせることができる。
このようなガード部として構成される接触防止手段としては、たとえば、図1A〜図1Cに示されるように、ガード部19を櫛状に構成したもの等を例示できる。
なお、接触防止手段としてこのようなガード部を設ける場合には、たとえば、一対のアームを半開きの状態で,通常の櫛を使うのと同様にして、ガード部によって毛髪を梳かすことができる。その後、毛髪を挟み込むようにアームを閉じて、挟持している毛髪を加熱処理することも可能となる。したがって、汎用性が向上するため好ましい。さらに、このようなガード部を設ける(取り付ける)場合には、ヒーター部が頭皮、耳、手指等に接触し難くなる。そのため、ヒーター部を毛髪に接触させる位置は、従来と同様にアームの内表面にスライドさせて、その位置で毛髪を加熱してもよいし、後述のように内底方向にスライドさせておいて(凹んだ状態にスライドさせておいて)、その位置で毛髪を加熱してもよい。
図を参照しながら、より具体的に説明する。図1A〜図1Cでは、接触防止手段は、櫛状に形成される櫛型ガード部19を、アームの長さ方向であって、その長さ方向の両側に、夫々離間させながら複数配列させている。このように、櫛状に形成される櫛型ガード部19を取り付けて、毛髪を上下のアーム、すなわち、ヒーター部7と、押圧部9との間(押圧部の代わりにアームの両方にヒーター部が夫々配置される場合には、ヒーター部7とヒーター部7との間)に、毛髪99を入れて挟持することで、ヒーター部からの加熱と、押圧部からの押圧力が相俟って、より確実に毛髪に形状付与を行うことができるため好ましい。
ここで、図1Aは、本実施形態のヘアアイロンの斜視図であって、櫛型ガード部19を取り付け、毛髪を挟持させる前の状態を模式的に示した図であり、図1Bは、図1Aのヘアアイロンに毛髪を挟持させた状態を、図1Aに示すA方向から見た状態を模式的に示す断面図であり、一部省略して図示したものである。
なお、このような櫛型ガード部は、耐熱性樹脂等の材質から形成されることが好ましい。
なお、ガード部はヒーター部の周囲を全部ガード可能であってもよいし、ヒーター部の一部をガード可能であってもよい。すなわち、火傷防止という点で、頭皮、耳、手指等との接触しやすい領域をガードするだけでも、好ましい効果を得ることができるからである。ただし、より好ましいのは、全部をガードするものである。
[1−2−2]凹部:
また、アームに凹部を設けることによって接触防止手段をアームに備えさせることも好ましい形態の一つである。このような凹部を形成し、ヒーター部が凹部内をスライド可能にすることにより、ヒーター部を露出させず、毛髪を挟持する等の処理工程の際に、誤って、ヒーター部に頭皮、耳、手指等が接触し火傷を生じさせる等といった弊害を防止できる。
すなわち、アームには凹部が形成されるとともに、接触防止手段が凹部の開口部の周囲に形成される壁部であることが好ましい。凹部の開口部の周囲に形成される壁部の上端から離れた位置であって、内底面側方向の位置にスライドさせると、ヒーター部が露出しないため好ましい。具体的には、アームと、毛髪を加熱可能なヒーター部とを少なくとも備えるヘアアイロンであって、アームには凹部が形成されるとともに、凹部の開口部を遮蔽可能な仮想面を引いた際に、前記ヒーター部が、前記仮想面から前記凹部の内底面までの領域をスライド可能に形成されているヘアアイロンとして構成されることが好ましい。凹部の開口部の周囲に形成される壁部の上端を結んで形成される仮想線(仮想面)から、前記凹部の内底面までの領域を、ヒーター部がスライド可能に形成されていることによって、ヒーター部が露出しなくて済み、かつヒーター部の熱を調整しながら毛髪に与えることができるからである。
図2A、図3、図4Aを用いてより具体的に説明する。ここで、図3は、ヒーター部を配設する前のものであって、下アームを模式的に示す図である。この図2A、図3に示されるように、凹部5は、下アームの壁部上端19S、及び下アーム基端の壁部上端19Kの間に形成される窪み(穴)であり、窪みの最も深い位置に内底面Wが形成されている。換言すれば、下アームが水平になるようにヘアアイロンを置いた際には、下アームの壁部上端19S、又は/及び下アーム基端の壁部上端19Kが下アームの最も高い位置になり、その間に内底面Wが形成される。つまり、下アームの先端側の壁部上端19Sと下アームの基端側の壁部上端19Kの間に凹部が形成され、その開口部を遮蔽可能な仮想面Z(図4A参照)を引いた際に、仮想面Zから凹部の内底面W方向の領域の間を、後述するヒーター部がスライド可能に配置されることになる。ただし、この例に限定されるものではなく、凹部を上アームに形成してヒーター部を配設してもよいし、上下アームの双方に凹部を形成してヒーター部を配設してもよい。
なお、「凹部の開口部を遮蔽可能な仮想面」、及び「仮想面から離れた領域であって凹部の内底面方向の領域」、「中底面」についてはヒーター部の欄で説明する。
また、このような凹部としては、ヒーター部を収納できる形状、深さ等であればよい。すなわち、凹部の断面形状(アームの厚さ方向の形状)としては、特に限定されるものではなく、内底面(内底)を備える穴、窪み等適宜選択されることが好ましい。ただし、ヒーター部を十分に収納(配置)でき、且つヒーター部をスライド可能な形状、より好ましくは、ヒーター部の沈降(又は上昇)を妨げないような形状等であることが好ましい。また、ヒーター部を収納できるとともに、ヒーター部がスライド(アームを水平にした際にアームの厚さ方向に沈降又は上昇)可能なスペースを、アームの厚み方向に形成されていることが好ましい。さらに、スライドしやすいという点から、アームの幅方向にもスペースが設けられと、操作性を向上させることができるため好ましい。ただし、このようなスペースは必要に応じて形成されればよく、また、スライド可能であればスペースを設けなくてもよい。また、後述のように一対のヘアアイロンであって、夫々のアームに、凹部を形成してスライド可能なヒーター部を配置する場合、または、押圧部をアームの内表面から突出させて、この押圧部の突出した領域を窪み内に収納させる場合、すなわち、ヒーター部を仮想面から離間させた領域に配置した際に形成される窪み内に収納させる場合には、ヒーター部、又は押圧部の突出した領域が収納可能に、凹部の形状、深さ等が形成されることが好ましい。
なお、凹部をアーム方向に平面視した形状(アームの長さ方向の形状)は、ヒーター部の外形と同じでよい。ただし、凹部と、ヒーター部との間に、後述の断熱材等を配置する場合等、この例に限定されるものではない。
また、このような凹部は、アームハウジングによって形成されていることが好ましい。アームハウジングによって凹部が形成されることにより、凹部を形成しやすいからである。ここで、アームハウジングとは、アームの骨格を形成する部材である。アームハウジングの形状としては、凹部を形成しやすい形状であればよく、たとえば、円柱状、矩形状、棒状等を挙げることができる。また、これらの形状に限られず、毛髪を挟持し易く、加えて、連結機構を介して回動し易い形状であればよい。アームハウジングの材質としては、たとえば、チタン合金、ジェラルミン、アルミニウム合金、鋼などの公知の金属材料等を挙げることができる。ただし、これらの材料に限らず、軽量で、耐久性、耐熱性のあるもの等であればよい。
なお、前述では、一対のアームを備えるヘアアイロンのアームに、凹部を形成したものを例示して説明したが、ロッド型ヘアアイロンにおいても同様である。たとえば図12に示されるように、クリップを前述のロッド型アームの上方に位置させながら、ロッド型アームを水平にして、ロッド型ヘアアイロンを置いた際に、この図12に示されるような、凹部を形成することで(或いは、図2Aに示されるような凹部5を形成することで)、ロッド型アームの先端側の壁部上端、及びロッド型アームの基端側の壁部上端(ロッド型アーム本体の壁部上端)の間に窪みが位置することになる。そして、この窪みの最も深い位置に内底面が形成されることになる。したがって、一対のアームを備えるヘアアイロンのアームと同様となるため、ここでは説明を省略し、詳細については、前述の「一対のヘアアイロンの凹部」の説明を参照されたい。また、以下でも、特に言及しない場合には、一対のアームを備えるヘアアイロンの説明が、ロッド型ヘアアイロンにも適宜適用される。
さらに、前述のガード部をアームに形成するとともに、前述した凹部をアームに形成することも好ましい。ヒーター部と、頭皮、耳、手指等の接触を防ぎ、火傷等の弊害が生じるのを防ぐことができる。
たとえば、図14A、図14Bに示されるように、ガード部と凹部との接触防止手段をアームに設けて、後述のように押圧部が突出可能に形成されるヘアアイロンを例示できる。
[1−3]ヒーター部:
本実施形態のヒーター部は、接触防止手段の上端(壁部上端)から前接触防止手段の内側の窪んだ位置までの間をスライド可能に形成され、毛髪を加熱して形状を付与するために設けられる。このように形成されるのは、毛髪を挟持する際等に、誤って頭皮、耳、手指等にヒーター部が接触して火傷等をしないように、ヒーター部の露出を防ぐためである。さらに、操作性等の向上のためである。
また、このヒーター部は、ロッド型アームを備えるヘアアイロンでは、そのロッド型アームに、或いは、一対のアームを備えるヘアアイロンであれば、一対のアームのいずれか一方又は両方に備えられる。さらに、前述のように、ロッド型アームを備えるヘアアイロンであれば、そのロッド型アームに、或いは、一対のアームを備えるヘアアイロンであれば、一対のアームのいずれか一方又は両方に、接触防止手段が形成される。
ここで、「ヒーター部は、接触防止手段の上端(壁部上端)から接触防止手段の内側の窪んだ位置までの間をスライド可能」とするのは、前述のガード部を接触防止手段とするもののみならず、アームに凹部を形成し、その凹部の周囲に形成される壁部を接触防止手段とするものを含める趣旨である。さらに、「スライド可能」とするのは、任意にヒーター部の位置を変更可能にすることによって、ヒーター部と頭皮、耳、手指等接触を防ぐためである。ここで、「接触防止手段の『上端(壁部上端)』」は、「接触防止手段の内側へ窪んだ位置」との位置関係を示している。たとえば、(1)一対のヘアアイロンであって、下アームに接触防止手段が設けられる場合には、下アームを上アームより下方にしながら下アームを水平にした際に、接触防止手段の上端(壁部上端)から接触防止手段の内側の窪んだ位置までの間をスライド可能にしたヘアアイロンは、前述のヒーター部が、「接触防止手段の上端(壁部上端)から接触防止手段の内側の窪んだ位置までの間をスライド可能」といえる。また、(2)一対のヘアアイロンの、上アームに接触防止手段が設けられる場合であって、「接触防止手段」を設けたアームの天地を逆にした場合には、すなわち、上アームを下アームより下方にしながら、その上アームを水平にした際に、接触防止手段の上端(壁部上端)から、接触防止手段の内側の窪んだ位置までの間をスライド可能にしたヘアアイロンは、前述のヒーター部が、「接触防止手段の上端(壁部上端)から接触防止手段の内側の窪んだ位置までの間をスライド可能」といえる。一方、「接触防止手段」を設けたアームの天地を逆にしない場合には、ヒーター部は、「接触防止手段の下端(壁部下端)から接触防止手段の内側の窪んだ位置までの間をスライド可能」といえる。このように、接触防止手段の「上端」は、「接触防止手段」を設けたアームの天地を逆にした場合には、下端ともなり得る。そのため、接触防止手段の突き出ている上端(又は下端)から、接触防止手段の内側の窪んだ位置までの間を、ヒーター部がスライド可能であればよいとする趣旨である。さらに、一対のヘアアイロンの上下アーム(夫々のアーム)に接触防止手段を設ける場合にも同様である。
なお、前述の例は、ロッド型ヘアアイロンである場合にも、同様である。すなわち、クリップがロッド型アームの上方に位置するように、ロッド型アームを水平にした場合であって、ロッド型アームに接触防止手段が設けられる場合には、ヒーター部が、接触防止手段の上端から、接触防止手段の内側の窪んだ位置までの間をスライド可能にしたヘアアイロンは、前述のヒーター部が、「接触防止手段の上端(壁部上端)から接触防止手段の内側の窪んだ位置までの間をスライド可能」といえる。さらに、後述のように、ロッド型ヘアアイロンである場合にも、ロッド型の周囲に複数の接触防止手段の上端から、接触防止手段の内側へ窪んだ位置にヒーター部が配置されているものでも同様である。
具体的には、図1Aに示されるように、接触防止手段19の上端部19aから接触防止手段の内側の窪んだ位置までの間をスライド可能なヒーター部を配置したものを例示できる。なお、この例に限らず、上アームにヒーター部を配置してもよいし、両方のアームにヒーター部を配置してもよい。上アームにヒーター部を配置する場合には、図1Aの天地(上下)を逆さにしたものとなり、両方のアームにヒーター部を配置する場合には、前述の、下アームと上アームの夫々にヒーター部を配置する説明と同様となる。
また、より具体的には、図2A、図4Bに示されるように、アームに備えさせる接触防止手段19の上端部19a、19S、19Kが、凹部の壁部(壁部上端)として構成され、すなわち、アームの上端とアームの基端との間に凹部が形成され、その周囲を取り囲む壁部のうち前述のアームの上端19Sと、アーム基端の上端19Kとが壁部上端となっているヘアアイロンを例示できる。このようなヘアアイロンとして構成される場合には、図4Bに示されるように、凹部5の開口部を遮蔽可能な仮想面Zを引いた際に、仮想面Zから凹部の内底面W方向までの間を、毛髪を加熱可能なヒーター部がスライド可能に配置される。
ここで、「凹部の開口部を遮蔽可能な仮想面」とは、凹部の開口部を遮蔽できる仮想の面を意味する。すなわち、凹部の壁部の上端(アームを水平にした際に、凹部の周囲に形成される壁部の上端)に、(アームの長さ方向に向けて)水平線(水平な面)を引いた際に、形成される想像線(想像面)を意味する。換言すれば、凹部の開口部を遮蔽可能な遮蔽面としての仮想の面でもある。
また、「仮想面から凹部の内底面までの領域」とは、仮想面から、内底(中底)までの領域の間の領域を意味する。なお、中底面(内底面)とは、アームに凹部を形成した際に、凹部の中底(内底)に形成される面をいう。すなわち、仮想面と一致する領域、或いは、仮想面と一致せずに中底方向までの深さ方向(アームの厚さ方向)のいずれかの領域を意味し、このような領域をヒーター部がスライド可能に配置されていればよいとする趣旨である。
また、「ヒーター部が、仮想面から内底面までの領域をスライド可能」とは、一対のアームのうち、一方のアーム(下アーム)であれば、凹部の仮想面から内底面へ向けて、ヒーター部が所謂沈降するように移動すること、或いは、凹部の内底面から仮想面へ向けて、ヒーター部が上昇するように移動することを意味する。また、一対のアームのうち、アームが他方のアーム(上アーム)であれば、凹部の仮想面から内底面へ向けて、ヒーター部が所謂スライド(上昇)するように移動すること、或いは、凹部の内底面から仮想面へ向けて、ヒーター部が沈降するように移動することを意味する。さらに、ロッド型アームであれば、ロッド型ヘアアイロンを水平にし、クリップ部を上方ロッド型アームが下方となるように置いた際に、ロッド型ヘアアイロンに形成した凹部の仮想面から内底面へ向けて、所謂沈降するように移動すること、或いは、凹部の内底面から仮想面へ向けて、ヒーター部が上昇するように移動することを意味する。
たとえば、図4Aに示されるヒーター部のように、内底面方向から仮想面に向かって(図中の矢印方向に向かって)スライド(上昇)するヒーター部、或いは、図4Bに示されるヒーター部のように、仮想面から内底面に向かって(図中の矢印方向に向かって)スライド(下降)するヒーター部を例示できる。ここで、図4Aは、一対のアームを備えるヘアアイロンの下アーム3aにヒーター部7を配設し下アーム3aの内底面Wから仮想面Z側へ向けて(図4Aの矢印方向へ向けて)スライドしたヒーター部の状態を、アームの長さ方向に断面して示す模式図である。また図4Bでは、仮想面Z側から内底面W側へ向けて(図4Bの矢印方向へ向けて)スライドした状態をアームの長さ方向に断面して示す模式図である。
なお、本実施形態におけるヒーター部は、毛髪を加熱して形状処理する際には、所望の領域に留まって加熱を行うものである。したがって、毛髪を加熱して形状処理する際にも、仮想面から内底面方向まので間を移動し続けるものではない。すなわち、毛髪を加熱して形状処理する際には静止して加熱を行うものである。
また、ヒーター部を毛髪に接触させる位置、或いはヒーター部の熱を毛髪に付与させる位置は、仮想面から内底面の間であればよく、前述の凹部に形成される開口部の大きさ(あるいは深さ)、ヒーター部の加熱温度等に応じて適宜決定されることが好ましい。ただし、一対のアームを開いた際(又は、ロッド型アームとクリップを開いた際)には、ヒーター部が仮想面の位置から離れた、内底方向にあることが好ましい。火傷を確実に防止できるためである。なお、後述のようにヒーター部に接触防止手段が設けられている場合には、一対のアームを開いた際(ロッド型アームとクリップを開いた際)であっても、ヒーター部が仮想面の位置にある場合であってもよいが、確実に火傷を防止するという点においては、ヒーター部が仮想面の位置から離れた、内底方向にあることがより好ましい。
[1−4]押圧部:
一対のアームのいずれか一方、又はクリップには、押圧部が形成され、前記押圧部と、他方のアーム又はロッド型アームとにより毛髪を挟持可能に構成されていることが好ましい。すなわち、本実施形態における押圧部は、ヒーター部と毛髪を挟持させる際に、毛髪に形状付与可能な程度の応力を与えるものである。さらに、この押圧部によって、毛髪に押圧力を十分に与えながらヒーター部の熱を十分に伝えることもできる。すなわち、ヒーター部を毛髪に接触させやすくする役割も担う。したがって、一対のアームを備えるヘアアイロン、又はロッド型アームを備えるヘアアイロンでは、ヒーター部と対向する側のアーム(或いは、クリップ)に、前述の押圧部が配設されることが好ましい。ただし、一対のアームを備えるヘアアイロンであっても、ヒーター部をアームの双方に配置する場合には、ヒーター部に前述の押圧部の役割を担わせるため、押圧部は必須のものではない。また、ロッド型アームを備えるヘアアイロンである場合には、前述の押圧部がクリップ部に設けられることも好ましい形態の一つである。押圧部が、ロッド型アームに配置されるヒーター部と、毛髪を挟持可能に構成されることによって、更に毛髪をカール状に形状処理しやすくなるからである。
ここで、「押圧部」とは、ヒーター部を設けないアーム(或いはクリップ)に形成される押圧部材であって、前述のように、ヒーター部に対して毛髪を押圧する役割を果たすものである。したがって、ヒーター部のように自ら毛髪に熱を伝えて加熱するものでない。また、一対のアームを備えるヘアアイロンであって、アームの両方にヒーター部を設ける場合には、押圧部はアームに設けられないことになる。このような場合には、アームの両方に配置される夫々のヒーター部を用いて、毛髪に熱を伝えながら押圧を行わせてもよい。
また、この押圧部の形状は、板状(プレート状)のもの、ローラ状のものでもよい。なお、後述のように、ヒーター部の熱を毛髪に伝えながら毛髪を押圧可能なヒーター部を設けて、そのヒーター部に押圧部の機能を持たせてもよい。
また、押圧部の材質としては、ヒーター部と接触させること(或いは接触させなくてもアームを閉じた際ヒーター部の近傍になるように配設すること(ロッド型アームの場合には、そのロッド型アームと、クリップとを閉じた際にヒーター部の近傍になるように配設させること))から、耐熱性に優れる部材、さらには、毛髪を痛めず弾力性を有する部材等から形成されることが好ましい。このような部材としては、たとえば、金属、セラミック、樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、公知の材質を用いてもよい。また、押圧部の形状としては、平板状、円形状、楕円形状、凸状等が挙げられるが、このような形状に限られることなく、毛髪を押圧しやすい形状であればよい。ただし、後述のように、押圧部を突出させて、対向するアームの仮想面からヒーター部の表面までの間に形成される窪み内に収容させる場合には、押圧部の形状は凸状であると、毛髪を確実に挟持できるため好ましい。なお、押圧部の形状が凹部の窪んだ領域に収納可能に形成される場合には、毛髪に適度な押圧力と、ヒーター部の熱を伝えやすくなるため、押圧部の形状は、凹部の形状等と適宜調整して形成されることが好ましい。
この押圧部としては、図2Aのヘアアイロン1Bに示されるように、上アーム3bに配設される押圧部9を例示できる。ただし、この例に限定されるものではない。たとえば、ヒーター部が上アームに配置される場合には、押圧部を下アームに配置してもよい。また、ロッド型アイロンのように、ロッド型アームとクリップとを備えるアイロンでは、ロッド型アームとクリップと閉じた際に、ロッド型アーム(或いは配設されるヒーター部)に接触可能なように、クリップに押圧部を配置してもよい。
押圧部のアームへの取り付け(またはクリップへの取り付け)は、押圧部アームから突出するか否かによって異なる。たとえば、押圧部が、アーム(またはクリップの内表面)から突出しない、所謂固定型押圧部として構成される場合には、上アーム(又は下アーム、或いはクリップ)に接着剤等で固定してもよいし、上アーム(又は下アーム、或いはクリップ)と押圧部を、嵌合可能な構造にして固定させてもよい。また、このような取り付けに限定されるものではなく、公知の手法を用いて押圧部を取り付けてもよい。なお、アーム(またはクリップの内表面)から突出する突出型押圧部の取り付けについては、後段で説明する。
[1−5]アーム、接触防止手段、及びヒーター部の関係:
さらに、ヒーター部が、接触防止手段の上端から突出可能に形成されていることが好ましい。毛髪を挟持させる際に、ヒーター部が接触防止手段の上端から突出可能な位置にスライドさせることができるため、毛髪にヒーター部を接触させやすくなる。さらに、毛髪に適度な熱を与えながら、さらに、毛髪に適度な応力を加えることができるため、確実に毛髪に形状を付与することができるため好ましい。すなわち、ヒーター部を接触防止手段の上端から突出させた位置に移動させることができる。そのため、頭皮、耳、手指等をヒーター部に直に触れ難くできるため、火傷を防止できる。
ここで、「接触防止手段の上端から突出可能に形成されている」とは、一対のアームのうち、ヒーター部を配設した下アームを水平にし、更に下アームの上方に上アームが位置するように置いた際に(或いは、ロッド型アームを水平にし、クリップが上方になるように置いた際に)、接触防止手段の上端からヒーター部の表面が出ることを意味する。換言すれば、アームを前述のように置いた際には、接触防止手段の上端からヒーター部の表面が上方側に位置するようにヒーター部が突き出ていることを意味する。
ただし、ヒーター部の「接触防止手段から突出」は、接触防止手段からヒーター部から抜け出さない程度の突出であることが好ましく、その突出後、所望の時に、接触防止手段の内側方向にヒーター部の表面が戻るか、或いは凹部内に没入可能であることが好ましい。たとえば、接触防止手段が凹部(凹部の壁部)である場合には、その凹部に仮想面(仮想線)を引いた際に、ヒーター部が仮想面(仮想線)から完全に突出してしまった状態となると、凹部からヒーター部が抜け落ちてしまう虞がある。また、ヒーター部が設けられているアームと、他方のアーム(又は一方のアーム)間に、或いは、ヒーター部が設けられているロッド型アームと、クリップ間に、毛髪を挟持し難くなったりするため好ましくない。また、仮に毛髪を挟持できても、押圧力が強くなり過ぎてしまう虞があり、毛髪の断面を潰してしまい、毛髪にダメージを与えてしまう虞もある。したがって、このような「突出」は、ヒーター部の一部が仮想面よりも突出しながら、他の一部が凹部内に留まることが好ましい。なお、適度にヒーター部を突出可能にすると、押圧力が高まり毛髪の風合いを保ち、ダメージを与えずに形状処理をしやすいといった利点がある。
たとえば、仮想面が下アームの上端と水平にある場合には、図5Aに示されるように、仮想面を超えて上方側(上アーム側)に突出しているヒーター部7を例示できる。ただし、このようなヒーター部に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更、修正が加えられる。
前述のように、アームがロッド型アームから構成されるとともに、前記アームの一部を覆うように当接可能なクリップが備えられてなり、アームとクリップとの間に毛髪を挟持可能に構成されることが好ましく、また、アームが一対のアームから構成されるとともに、アームのいずれか一方又は両方に接触防止手段が備えられ、且つ、一対のアームの間に毛髪を挟持可能に構成されることも好ましい。前述のように、ロッド型アーム或いは一対のアームを備えるヘアアイロンの双方に適用でき、汎用性を向上させることができるためである。
さらに、接触防止手段が少なくとも2つ以上形成されるとともに、夫々の接触防止手段の上端から接触防止手段の内側の窪んだ位置までの間をスライド可能に、ヒーター部が夫々配設されていることも好ましい形態の一つである。たとえば、これまで説明したロッド型アームに、接触防止手段としてガード部等を複数配置し、そのガード部の上端からガード部の内側の窪んだ位置までの間をスライド可能なヒーター部を複数配置したものを例示できる。このようにヒーター部を複数配置することによって、ロッド型アームの周面を十分に利用でき、ロッド型アームの曲面に沿って毛髪を捲いた際に、捲いた毛髪にむらなく熱を伝えることができる。そのため、毛髪処理を確実に行うことができ好ましい。毛髪の形状付与が十分でないことに起因する、毛髪の風合いや所謂ムラ等を防ぐことができる。また、ロッド型アームに、接触防止手段として、前述の凹部を複数形成し、その凹部の仮想面から内底面までの間を、スライド可能にヒーター部を複数配置したものも、前述と同様の理由で好ましい。
さらに、ヒーター部が、毛髪を加熱する際に仮想面から突出可能に形成されていることが好ましい。このように毛髪を加熱する際に突出することによって、毛髪処理の際、確実に毛髪の風合いや所謂ムラ等を防ぐことができる上、火傷を防止できるからである。
また、ヒーター部は、ロッド型アームとクリップが開いている状態、又は一対のアームが開いている状態では、ヒーター部が接触防止手段の上端から接触防止手段の内側へ窪んだ位置へスライドし、ロッド型アームとクリップが閉じている状態、又は一対のアームが閉じている状態では、ヒーター部が接触防止手段の上端へスライド、或いは、接触防止手段の上端から突出可能であるヘアアイロンとして構成されることも好ましい形態の一つである。このように構成されることにより、たとえば、接触防止手段が凹部(凹部の壁部)である場合には、ロッド型アームとクリップが開いている状態、又は一対のアームが開いている状態では、内底面方向にスライドするためヒーター部が露出せず、毛髪を両方のアームの間に(ロッド型アームの場合には、ロッド型アームとクリップとの間に)挟み込む、又は両方のアームの間(ロッド型アームの場合には、ロッド型アームとクリップとの間)から抜き取る際に、頭皮、耳、手指等をヒーター部に接触させて火傷することを防ぐことができる。さらに、一対のアームが閉じている状態では(又はロッド型アームとクリップが閉じている状態では)、仮想面にスライドする(或いは仮想面から突出する)ため、毛髪を挟持させる際に、確実に毛髪を挟み込むことができ(さらには、押圧力を十分に与えることができ)、ヒーター部の熱を毛髪に伝えることができる。
具体的には、たとえば、図5Aに示されるように、ヘアアイロンの夫々のアームを閉じた状態では、ヒーター部が仮想面から突出し、他方のアーム(上アーム)側にスライドし、アームが開いた状態では、図4Bに示されるように、ヒーター部がアーム内の奥に沈んだ位置にスライド可能に形成されてもよい。このようにヒーター部をスライド可能にすると、ヘアアイロンの夫々のアームを閉じた状態では、ヒーター部が上昇して毛髪とヒーター部が密着するため、ヒーター部の熱を毛髪に伝えやすく、作業効率性を確保でき、アームが開いた状態では、ヒーター部が、仮想面から離れて内底面側に沈んだ位置にスライドしているため、ヒーター部が露出せずに、火傷を確実に防ぐことができる。また、図5Aとは別に、図5Bに示されるように、ヘアアイロンの夫々のアームを閉じた状態では、ヒーター部が仮想面にスライドし、他方のアーム(上アーム)側に配置する押圧部9と、仮想面で毛髪を挟持させるヘアアイロンであってもよい。なお。この際、ヒーター部と凹部間には空間77が形成されることになる。なお、図5Bに示されるように、ヒーター部7と押圧部9とが接触可能に夫々の設置位置(或いは、押圧部の突出等)を調整する場合には、ヒーター部7と内底面Wとの間には、スペースである空間77、或いは、押圧部9と上アーム3b間に空間79ができる場合がある。このような場合には、押圧部9が突出した後、元の位置に戻ることができるように、空間79はそのままでよいが、ヒーター部7と内底面Wとの間に形成される空間77には、後述する断熱材等を適度に目詰めすることによって、断熱効果を得てもよい。
なお、前述では、一対のアームを備えるヘアアイロンを例示して説明したが、ロッド型ヘアアイロンにおいても同様である。
また、前述のように、アームの開閉に応じて、自動的にヒーター部が突出位置にスライドしたりするヘアアイロンの他に、例えば、アームの開閉と同時にではなく、アームを閉じてから一定の時間経過後に、ヒーター部がスライドするように構成されてもよい。
このように、一対のアームを備えるヘアアイロンでは、一方のアーム(下アーム)にヒーター部を設け、他方のアーム(上アーム)に押圧部を設けたものに比べて、一方のアーム(下アーム)と他方のアーム(上アーム)との夫々に、ヒーター部を設けたヘアアイロンに、より利点がある。なお、従来のように、アームの双方に固定したヒーター部を設ける場合には、所謂上下のアームに設けたヒーター部を、頭皮、耳、手指等に接触させないように、より細心の注意を必要とし作業効率を低減させることにも繋がっていた。しかし、本実施形態のような構成を採用することにより、火傷を防ぐことができ、且つ作業効率を低減させることもない。
好ましいのは、一対のアームを閉じた際、又は、ロッド型アームとクリップとを閉じた際に、押圧部が、配置される前記一対のアームのいずれか一方又は両方、或いはクリップの内表面から突出可能に形成されていることである。このように構成されることにより、ヒーター部の表面が接触防止手段の上端(凹部形成する場合には、仮想面と一致する位置)になくとも、アームを閉じた際に、押圧部が、配置されるアームの表面から突出可能となる。そのため、押圧部の突出時に、ヒーター部と押圧部とが、毛髪を挟持可能となる。したがって、ヒーター部の熱を確実に毛髪に伝えることができる。加えて、ヒーター部は、毛髪を挟持させる際に、仮想面から離れた領域にスライドできるため、火傷等のダメージを与えることもない。
ここで、「アームを閉じた際、又は、ロッド型アームとクリップとを閉じた際に、押圧部が、配置される前記一対のアームのいずれか一方又は両方、或いはクリップの内表面から突出可能に形成されている」とは、アームを閉じた際、又は、ロッド型アームとクリップとを閉じた際に、押圧部が配設されているアーム(又はクリップ)の内表面から、押圧部(押圧部の表面)が突出可能に形成されていることを意味する。すなわち、一対のアームが開いた状態(又はロッド型アームとクリップが開いた状態)では、押圧部は、アーム(又はクリップ)の内表面から突出していても突出していなくてもよいが、アームを閉じた際(ロッド型アームとクリップとを閉じた際)には、押圧部が配置されるアーム(又はクリップ)の内表面の位置から、突出可能に形成されるとする趣旨である。また、「アーム(又はクリップ)の内表面」とは、アーム(またはクリップ)の長さ方向の面であって、毛髪を挟持させる側の面をいう。したがって、前述の押圧部が突出しない場合には、このアーム(又はクリップ)の内表面にあたかも略一枚面の如く配置されているか、又は、アーム(又はクリップ)の内表面からアーム(又はクリップ)の厚み方向に向けて、凹部状になるようにアームの内表面よりも内側の窪んだ位置に配置されてもよい。
また、(一対のアームのうちのいずれか一方の)アーム(又はクリップ)の内表面からアーム(又はクリップ)の厚み方向と対向する方向に向けて、凸上に突出している状態であってもよい。たとえば、(i)一対のアーム(又はロッド型アームとクリップ)が開いた状態ではアーム(又はクリップ)の内表面にあたかも略一枚面の如く配置され、一対のアームが閉じた状態(又はロッド型アームと前記クリップとを閉じた状態)では、そのアーム(又はクリップ)の内表面から突出する押圧部として構成されるものを例示できる。また、たとえば、(ii)一対のアームが開いた状態(又はロッド型アームとクリップとが開いた状態)では、一対のアームのいずれか一方のアーム(又はクリップ)の厚み方向に向けて、凹部状になるようにアームの内表面よりも内側に窪んだ位置にあって、そのアームが閉じた状態(又はロッド型アームとクリップと閉じた状態)では、アーム(又はクリップ)の内表面から突出する押圧部として構成されるものを例示できる。また、たとえば、(iii)一対のアームが開いた状態(又はロッド型アームとクリップとが開いた状態)では凸上に突出している状態であって、そのアームが閉じた状態(又はロッド型アームとクリップと閉じた状態)では、同様にそのアーム(又はクリップ)の内表面から突出した状態を保つ押圧部として構成されるものを例示できる。また、たとえば、(iv)一対のアームが開いた状態(又はロッド型アームとクリップとが開いた状態)では凸上に突出している状態であって、そのアームが閉じた状態(又はロッド型アームとクリップと閉じた状態では、更に、そのアーム(又はクリップ)の内表面から突出する押圧部等を例示できる。ただし、これらの例に限定されるものではない。
なお、押圧部の突出時にヒーター部と押圧部とが、毛髪を挟持可能に形成されることが好ましい。本実施形態では、ヒーター部が接触防止手段の上端から接触防止手段の内側の窪んだ位置までの間をスライド可能である。そのため凹部を形成する場合には、その仮想面から凹部の内底面方向へスライド可能であるため、ヒーター部が仮想面から離れた内底面方向の領域にスライドしている状態では、仮想面からヒーター部の表面までが凹状(窪み状)になる。したがって、毛髪を一対のアームのいずれか一方に対して十の字を描くように直交させて、さらに、両方のアームに挟持させて、毛髪の形状処理を行うことになる。また、ロッド型アームを備えるヘアアイロンの場合には、ロッド型アームに対して十の字を描くように直交させて、ロッド型アームとクリップとで毛髪を挟持させ、毛髪の形状処理を行うことになる。この際、前述のような押圧部が形成されていない場合にも、凹部の幅寸法よりも長い毛髪を、アームに形成される凹部の両側(凹部の幅方向に形成される壁部)と、アームの内表面(両方のアームに凹部が形成される場合には凹部の両側(凹部の幅方向に形成される壁部)、或いは、クリップ)とによって挟持可能ではある。しかし、十分な押圧力を毛髪の周方向に与えるという意味では、ヒーター部と押圧部とが毛髪を挟持可能である方が、より確実に毛髪に押圧力を与えることができ、さらに、ヒーター部の熱を与えやすくなる。
具体的には、図2Aに示されるように、ヒーター部7が、一方のアーム3aにのみ配置されるとともに、対向する他方のアーム3bには、押圧部9が配置され、アーム3a,3bが開いた状態では、押圧部が図7に示されるように他方のアームの内表面Nに略一枚面のように配置され、アーム3a,3bが閉じた状態では、図6に示されるように、押圧部9が他方のアームの内表面から更に突出し、ヒーター部と押圧部とが接触し、毛髪を挟持可能に形成されているヘアアイロンを例示できる。
また、押圧部の突出した領域が、接触防止手段の上端(凹部を形成する場合にはその仮想面)からヒーター部の表面までの間に形成される窪み内に収容可能であることも好ましい形態の一つである。すなわち、押圧部が突出した領域が、ヒーター部が仮想面近傍へスライドした際であっても、仮想面からヒーター部が離れた領域に位置させる場合には、仮想面からヒーター部の表面までの間に窪みが形成されるため、その窪み内に前述の押圧部が収容可能であることが好ましい。換言すれば、ヒーター部が、仮想面から離れた位置にあっても、押圧部がヒーター部と接触しやすいか、押圧部がヒーター部とともに、毛髪を挟持可能となり押圧を与えやすくなる。さらに、その窪みに押圧部を収納可能にすることで、挟持させた毛髪にむらなくヒーター部の熱を与えることができる。加えて、ヒーター部は、仮想面から離れた領域に形成されているため、火傷等のダメージを与えることもない。
具体的には、図6に示されるように、ヒーター部7が仮想面から離れた寸法分、押圧部9が、ヒーター部側へ突出しているヒーター部を備えるヘアアイロンを例示できる。
さらに、ヒーター部の突出及び/又はスライドと、前記押圧部の突出が、連動して行われることが好ましい。このように構成されることにより、押圧部と、ヒーター部が確実に接触すると共に、その接触時をコントロールできるため、ヒーター部を露出させることもない。すなわち、ヒーター部と押圧部との接触時に、挟持させた毛髪にむらなくヒーター部の熱を与えることができ、加えて、ヒーター部は、仮想面から離れた領域に形成されているため、火傷等のダメージを与えることもない。
ここで、「ヒーター部の突出及び/又はスライドと、前記押圧部の突出が、連動して行われる」とは、前述のようなヒーター部のスライドに連動して、押圧部が他方のアームの内表面から突出することを意味する。
さらに、ヒーター部には、ローラ状の回転体からなる定加重バネが取り付けられ、定加重バネの回転方向に応じて、ヒーター部のスライドが行われることが好ましい。このよう構成されることにより、ヒーター部のスライドを容易に行わせることができる。
たとえば、図8A、8Bに示されるように、ヒーター部7の一端に接触可能なように、ガイド板11を取り付けるとともに、さらに、ヒーター部7の一端に、定加重バネ13の上端を、固定ピン17を介して取り付ける。さらに、定加重バネの軸心には、モーターが取り付けられ、モーターを駆動させることにより、定加重バネの軸心が回転するよう設置する。このようにして、モーターを駆動させて、定加重バネを巻取りすることで、ヒーター部はガイド板に沿って上昇し(一方のアームの仮想面側へスライドし)、また、モーターを駆動させて、定加重バネを弛めることで、ヒーター部はガイド板に沿って下降(一方のアームの内底面側へスライド)することになる。ただし、この例に限定されるものではなく、例えば、ヒーター部を他方のアームへ配設した場合、ヒーター部を両方のアームへ配設した場合等も同様に定加重バネを設けて、ヒーター部をスライドさせてもよい。なお、図8Aは、ヒーター部7、定加重バネ13、固定ピン17の配設を模式的に示した側面図であって、ガイド板11、モーター部を省略するとともに、部分的に拡大して図示したものである。また、図8Bは、ヒーター部7、ガイド板11、定加重バネ13、固定ピン17、モーター15の配設を模式的に示した斜視図であって、部分的に拡大して図示したものである。
また、押圧部が突出する場合には、図は省略するものの、前述したヒーター部と同様に、ローラ状の回転体からなる定加重バネを取り付けて、定加重バネの回転方向に応じて、押圧部の突出を行ってもよい。
また、ヒーター部又は/及び押圧部が、手動操作によりスライド可能であることも好ましい。このように、ヒーター部又は/及び押圧部が手動操作によりスライド可能であることによって、任意に、ヒーター部又は/及び押圧部の位置を調整できるため、微妙な操作性を得ることができる。とりわけ、理容師等の専門家が使用する場合には、毛髪に与える押圧力や加熱する温度等、個々の経験則に基づくこともあり、前述のように任意に操作できるようにすることによって、多様なニーズの毛髪形状処理を行える。すなわち、手動でも制御可能にすることにより、必要に応じてヒーター部又は/及び押圧部の突出/沈降等の操作を選択できるため好ましい。
このような手動操作によって、ヒーター部をスライドさせるものとしては、たとえば、前述した定加重バネ及びモーターを取り付ける代わりに、手動でヒーター部がスライドできるように、又は/及び押圧部アームの内表面から突出きるようにしてもよい。具体的には、たとえば、レーバ式のもの(図示せず)、或いは、前述のように、定加重バネを取り付けて、その回転を手動で行う等して、ヒーター部をスライドさせてもよい。なお、押圧部の手動操作についても、同様の構成を採用することにより、手動操作可能となる。ただし、このような例に限定されるものではく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更したものも、本発明に含まれる。
また、ヒーター部の加熱は、(一対の)アームが閉じている状態(又は、ロッド型アームとクリップが閉じている状態)で行われることが好ましい。ヒーター部の加熱が、(一対の)アームが閉じている状態(又は、ロッド型アームとクリップが閉じている状態)で行われる場合には、アームが閉じているから、ヒーター部が頭皮、耳、手指等に接触しないため、確実に火傷を防止できるから好ましい。
具体的には、図2Aに示されるように、アームが閉じている状態で、スイッチ33に凸部35が接触し、ヒーター部に通電させて加熱させ、さらに、アームが開いた状態では、スイッチ33から凸部35が離れ、通電しないようにすることで、ヒーター部を加熱させないようにしたヘアアイロンを例示できる。
さらに、前記ヒーター部が、プレート状又はロール状に形成され、及び/又は前記押圧部が、プレート状又はロール状に形成されていることが好ましい。ヒーター部をプレート状にする場合には、押圧部に押圧された毛髪を、その押圧部に対向する面側から下支え可能となり、押圧部の押圧を毛髪に十分に施すことが可能となる。そのため毛髪を、押圧部とヒーター部とによって挟持させる際に、ヒーター部の熱を毛髪に十分伝えることができ、確実に毛髪の形状処理を行うことができる。また、ヒーター部がロール状の形状に形成される場合、たとえば、軸を備える回転体としてヒーター部が形成される場合には、回転しながらヒーターの表面が毛髪に接触するため、毛髪が本来備える形状(円状或いは楕円状等)、風合い等を損ねることを低減させながら、毛髪の形状処理を行える。すなわち、毛髪は個人差もあるが、その断面形状が円状(或いは楕円状)になっていることが多いため、毛髪の周上に沿うように、ヒーター部からの熱を伝えながら、毛髪の形状処理を行うことが好ましい。
また、押圧部がプレート状に形成される場合には、ヒーター部に対して、押圧する力を適度に且つ十分に施すことができるため好ましく、押圧部がロール状の形状に形成される場合には、毛髪が本来備える形状(円状或いは楕円状等)を損ねることを低減させながら、毛髪の形状処理を行えるため好ましい。
なお、前述のようにロール状の形状、たとえば回転体としてヒーター部が形成される場合には、ヒーター部の軸を中心にスライドが行われることになる。すなわち、回転体の軸が下アーム(又は上アーム、或いはロッド型アーム)の厚み方向にスライドすることにより、その回転体の表面も、下アーム(又は上アーム、或いはロッド型アーム)の厚み方向にスライドすることになる。換言すれば、回転体の表面が凹部の仮想面から内底面の間をスライドする際に、回転体の軸も、下アーム(又は上アーム、或いはロッド型アーム)の厚み方向をスライドすることになる。ただし、回転体が仮想面から突出する場合にも、回転体の軸は仮想面から突出しないことになる。回転体の軸が突出すると、ヒーター部が落下する虞もあるからである。
ここで、押圧部が回転する場合には、押圧部の軸心の両端をアーム(或いはクリップ)に支持させる支持部を設けて、その支持部を基点に押圧部が回転可能に形成されることが好ましい。
具体的には、図2BのX方向から見た際に、図9Bに示されるように、ロール状のヒーター部7aを例示できる。
ここで、ヒーター部と押圧部(又はヒーター部)の組み合わせとしては、たとえば、(i)プレート状に形成される押圧部と、プレート状に形成されるヒーター部を夫々備える一対のヘアアイロン(或いはロッド型アイロン)、(ii)プレート状に形成される押圧部と、ロール状に形成されるヒーター部を夫々備える一対のヘアアイロン(或いはロッド型アイロン)、(iii)ロール状に形成される押圧部と、ロール状に形成されるヒーター部を夫々備える一対のヘアアイロン(或いはロッド型アイロン)、(iv)プレート状に形成されるヒーター部と、プレート状に形成されるヒーター部を備える一対のヘアアイロン(或いはロッド型アイロン)、(v)ロール状に形成されるヒーター部と、ロール状に形成されるヒーター部を夫々備える一対のヘアアイロン(或いはロッド型アイロン)等を例示できる。
さらに、図9Aに示されるような、幅狭いプレート状からなるヒーター部を下アームに備え、幅狭いプレート状からなる押圧部を上アームに備えるヘアアイロン(このヒーター部と押圧部の組み合わせだけでなく、ヒーター部を上下のアームに備えるものでもよい)、或いは、図9Bに示されるように、ローラ状の形状からなるヒーター部を下アームに備え、ローラ状の形状からなる押圧部を上アームに備えるヘアアイロン等に、前述の櫛型ガード部材を組み合わせたものも例示できる。図9Aのように構成すると、高温部分が狭いので触れにくいという利点があり、図9Bのように構成するとヒーターを回転させて滑らかな毛髪処理ができるという利点があるため、好ましい。
また、ヒーター部とアーム又はアームハウジング間の少なくとも一部に断熱材を用いてアームの背面又は把持部の温度を制御可能であることが好ましい。背面や把持部がヒーターの熱で高温になるのを防ぐことができる。すなわち、ヒーター部の周辺部材の温度を制御でき、火傷防止を確実に行えるだけでなく、使いやすさを向上させるため好ましい。
なお、ロッド型ヘアアイロンのクリップをロッド型アームに押圧する際に、クリップ側の(ロッド型アームに接する)接触面を大きくとれるように形成することも好ましい形態の一つである。また、狭くとれるように形成することも好ましい形態の一つである。たとえば、複数の開口部を形成する場合などには、一つの開口部に対応可能なクリップの接触面を形成してもよいし、複数の開口部に対応可能なようにクリップの接触面を形成してもよい。
[1−6]遮蔽板:
好ましいのは、ヒーター部を遮蔽可能な遮蔽板が配置されていることである。このように遮蔽板が配置されていることによって、ヒーター部が、アームの内表面に露出した状態で配置されているとしても、遮蔽板によって、ヒーター部が遮蔽されるため、ヒーター部が露出せず、頭皮、耳、手指等がヒーター部と接触せずに済む。そのため、火傷を防止することができる。
ヒーター部を遮蔽可能な遮蔽板としては、たとえば、ヒーター部の全面あるいは一部を、覆う遮蔽状のプレートとして構成されるものを例示できる。なお、このような遮蔽板を接触防止手段として用いる場合にも、ヒーター部を遮蔽してしまうことから、ヒーターがアイロンの内表面に配置されたとしても、その露出を防ぐことができ好ましい。特に、遮蔽板がヒーター部の全面を覆うことできる場合には、確実に加熱したヒーター部と、頭皮、耳等の接触を防止できる。また、遮蔽板がヒーター部の一部を覆うことできる場合には、アームの根本(アームの基端であって、たとえば、図2Aに示される壁部上端19K近傍)付近で、耳等と接触して火傷を生じさせやすいため、そのような領域を遮蔽することによって、火傷を確実に防止できる。さらに、一部の領域に遮蔽板の配置が限定されるため、一般的なヘアアイロンの操作性と同様に使用でき、使用者に違和感を覚えさせることもない。
このような遮蔽板として、図10A、10Bに示されるように、ヒータープレートの全面をガード部材21で遮蔽したものを例示できる。
また、たとえば、アームの周囲に、ヒータープレートを囲むように遮蔽板を設けてもよい。さらに、前述の例では、一対のヘアアイロンの、一方のアームのみにヒーターが組み込まれていたが、他方のアームにも、これまで説明したヒーター部を図11Aに示されるように配置し、このヒーター部を囲むように遮蔽板23を取り付けてもよい。さらに、図11Aに示されるように遮蔽板23をアームのそれぞれに配置し、ヒーター部を遮蔽する場合には、図中の矢印方向に遮蔽板23をスライドさせることで、たとえば、図11Bに示されるように、ヒーター部を覆うように配置させることができる。このような場合には、ヒーター部を遮蔽した際に、ヒーター部上で、一時的にスライドしないように、固定可能な固定手段を設けてもよい。
なお、遮蔽板は、ヒーター部の全面を遮蔽可能であってもよいし、ヒーター部の一部を遮蔽可能であってもよい。すなわち、火傷防止という点で、頭皮、耳、手指等との接触しやすい領域を遮蔽するだけでも、好ましい効果を得ることができるからである。ただし、より好ましいのは、全面を遮蔽するものである。
なお、このような遮蔽板としては、耐熱性樹脂等の材質から形成されることが好ましい。
[1−7]ヒーター部のその他の構成:
ヒーター部の形状としては、特に限定されるものではない。たとえば、前述の平板状(プレート状)のものが一般的であるがこれに限定されるものではなく、たとえば、ヒートローラーのようなローラ状に形成されてもよい。また、ヒーター部の大きさ(寸法)についても特に限定されるものではない。一般的なヒーター部の幅寸法としては、5mm程度のものが見られるが、同程度の大きさであってもよい。
ヒーター部の加熱温度としては、60〜280℃、より好ましいのは、100〜120℃で、温度が制御できるようにすることが好ましい。60℃未満では、毛髪の形状処理をスムーズに行うには低い温度であるため好ましくなく、280℃を超えると毛髪を痛めてしまう虞があるからである。
さらに、ヒーター部の周辺領域を冷却可能な冷却素子が配置されていることも好ましい形態の一つである。冷却素子を用いることによって、ヒーター部の周辺領域を冷却できるため、本願の効果をより奏することができる。なお、この冷却素子としては、たとえば、ペルティエ素子などの冷却素子を挙げることができるが、これらの冷却素子に限定されるものではなく、公知の冷却素子等を用いてもよい。
[2]本実施形態のヘアアイロンの使用方法:
前述のように、一対のヘアアイロンであれば、2本のアームを開いて毛髪をその間に挟持させる。この際、ヒーター部の位置を、仮想面或いは所望位置にスライドさせて(或いは仮想面から突出させて)調整する。ヘアアイロンの電源を入れてヒーター部を加熱させ毛髪の形状を処理する。毛髪の別の箇所を、形状処理する場合には、ヒーター部をスライドさせて仮想面から離し、内底面側へ移動させる。その後、2本のアームが夫々離れるように、互いのアームを回動させて、それまで挟持させていた毛髪を取り外す。そして、前述のような処理工程を繰り返して、毛髪の形状処理を行うとよい。なお、毛髪の形状処理を終了する場合には、毛髪をアームから外すことで終了する。
ロッド型ヘアアイロンの場合では、ロッド型アームとクリップとを開いて、毛髪をその間に挟持させる。この際、ヒーター部の位置を、仮想面或いは所望位置にスライドさせて(或いは仮想面から突出させて)調整する。ヘアアイロンの電源を入れてヒーター部を加熱させ毛髪の形状を処理する。毛髪の別の箇所を、形状処理する場合には、ヒーター部をスライドさせて仮想面から離し、内底面側へ移動させる。その後、前述のロッド型アームとクリップが夫々離れるように、ロッド型アーム及びクリップを回動させて、それまで挟持させていた毛髪を取り外す。そして、前述のような処理工程を繰り返して、毛髪の形状処理を行うとよい。なお、毛髪の形状処理を終了する場合には、毛髪をアームから外すことで終了する。
なお、前述のヘアアイロンの使用方法は一例であって、これに限定されるものではない。たとえば、ヒーター部のスライドが自動的に行われる場合、又はヒーター部のスライドが任意に行われる場合、又は、一対のアーム(或いは、ロッド型アームとクリップ)が、閉じた際に電源が入るように構成されているもの、さらには、押圧部が突出可能に構成されているものである場合等では、前述と同様に、或いは異なるように使用してもよい。
また、接触防止手段がアームに着脱可能に構成される場合等については、毛髪を挟持させる前に、予めアーム(ロッド型アーム等)に装着させてから、前述したように、本実施形態のヘアアイロンを使用してもよい。