JP5622920B2 - 有機資材包装体 - Google Patents

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Description

本発明は有機資材包装体に関する。
昨今では環境の改善の一環として、都市部を中心に、植樹等を行う緑化事業が推進されている。また、高速道路においては、環境改善に加え、快適な走行の確保、及び安全性を向上させることも要求されるために、のり面植生、植樹による樹林化が行われ、更に休憩施設等にも植栽による緑地化といったいわゆる道路植栽が行われている。
かかる草木を植栽することにより緑地化された地域では、剪定作業又は除草作業時、即ち保全作業時に大量の剪定枝や刈草が発生する。特に道路においては安全性の確保等の観点から草木の育成管理が行われ、剪定作業及び除草作業が行われており、その結果、剪定枝等が大量に発生している。
一方で、緑化された地域については、草木の健全な発育の観点から、的確に堆肥等の有機資材を与える必要があり、そのための手法が種々検討されている。
例えば、発生した剪定枝等の処理を目的として、公園の遊歩道やジョギング道路などを舗装するためのウッドチップ舗装材、及びそのための組成物(混合物)等が知られている(特許文献1、2、及び3、参照)。
また、間伐材や廃木材などをチップ化して設けた舗装基材と、天然の樹脂系結合材である生分解性樹脂エマルジョンとを含み、必要に応じて細骨材及び添加剤を混入して成るウッドチップ舗装混合物が提案されている(例えば、特許文献4、参照)。このウッドチップ舗装混合物は、仮設敷地などの所定の路盤上に舗設した後、一定期間後には堆肥として使用することができると記載されている。
また、保全作業における堆肥活用では、散布された堆肥等は風や雨水の影響を受けやすく、斜面地等では施工初期の流失が懸念され、施肥箇所での安定化(定着化)が困難な場合がある。
このことから、施工性や保存安定性を改善した包装袋としては、例えば特許文献5には、ポリ乳酸にガラス転移温度が0℃以下の生分解性脂肪族−芳香族共重合ポリエステル、可塑剤、及び無機質充填材を必須成分として含有したフィルムを製膜した生分解性肥料用包装袋が記載されている(特許文献5)。
特開平8−113715号公報 特開平11−256508号公報 特開2000−120011号公報 特開2003−034904号公報 特開2003−183483号公報
しかしながら、上記のようなウッドチップ舗装用混合物などの加工品では処理量に限界があり、半永久的に発生する上述したような剪定枝等の問題を根本的に解決することは困難であった。また、作業時の施工性と、屋内での保管時の保存安定性を考慮した生分解性肥料用包装体では、使用時に、堆肥等を封入した状態で屋外となる散布場所に設置させたとしても分解速度が遅いため、本来の目的である堆肥等の散布用途に適しているとは言い難い。
従って本発明は、剪定枝等の処理に利用可能であり、屋外において早期に包装袋が分解して有機資材を迅速に散布すると共に、屋内での保管時では包装袋の分解が抑制されて有機資材を保持可能な有機資材包装体及びこれを用いた有機資材の散布方法を提供することを課題とする。
本発明は以下の通りである。
[1] 生分解性ポリマーを含有する第一の層を有する生分解性フィルムから得られ、該第一の層を内側表面に備える包装袋と、前記包装袋の内部に封入され、放線菌を5.0×10cfu/g以上の菌量で含有し、かつ水分率が10質量%〜90質量%である有機資材と、を有する有機資材包装体。
[2] 前記有機資材中の糸状菌の菌量が1.0×10cfu/g以下である[1]に記載の有機資材包装体。
[3] 前記第一の層が、デンプンを含む[1]または[2]に記載の有機資材包装体。
[4] 前記生分解性フィルムが、デンプンを含む第一の層のみを有し、第一の層におけるデンプンの含有率が、第一の層全体の質量に対して5質量%〜50質量%である[1]〜[3]のいずれか1項に記載の有機資材包装体。
[5] 前記生分解性フィルムに含まれる生分解性ポリマーがポリブチレンアジペートテレフタレートである[1]〜[4]のいずれか1項に記載の有機資材包装体。
[6] 前記生分解性フィルムが、当該層全体の質量に対して5質量%〜50質量%のデンプンを含有する第一の層と、第二の層と、前記第一の層及び第二の層の間に配置された第三の層と、を有し、前記包装袋が、該第二の層を、前記第一の層よりも外側に備えている[1]〜[3]のいずれか1項に記載の有機資材包装体。
[7] 前記生分解性フィルムが、当該層全体の質量に対して5質量%〜50質量%のデンプンを含有する第一の層と、当該層全体の質量に対して20質量%〜40質量%のデンプンを含有する第二の層と、前記第一の層および第三の層の間に配置された第三の層と、を有し、前記包装袋が、該第二の層を、前記第一の層よりも外側に備えている[1]〜[3]および[6]のいずれか1項に記載の有機資材包装体。
[8]前記第三の層が、水崩壊性ポリマーを含む[6]または[7]に記載の有機資材包装体。
[9] 前記水崩壊性ポリマーの含有量が、前記第三の層の全質量の20質量%〜60質量%である[8]に記載の有機資材包装体。
[10] 前記水崩壊性ポリマーがエーテル系高分子化合物である[8]又は[9]に記載の有機資材包装体。
11] 前記包装袋が、通気孔を有する[1]〜[10]のいずれか1項に記載の有機資材包装体。
[12] 前記通気孔の平均直径が0.1mmφ以上8.0mmφ以下である[11]に記載の有機資材包装体。
[1] 前記有機資材が、肥料、培土、球根及び種子からなる群より選択された少なくとも一種を含む[1]〜[12]のいずれか1項に記載の有機資材包装体。
[1] 前記有機資材の体積が、前記包装袋の内部の最大容積の90%以上である[1]〜[1]のいずれか1項に記載の有機資材包装体。
[1] 前記包装袋が、外側表面に分解促進層を有する[1]〜[1]のいずれか1項に記載の有機資材包装体。
[1] 前記生分解性フィルムの総厚み20μm〜100μmである[1]〜[1]のいずれか1項に記載の有機資材包装体。
[1] [1]〜[1]のいずれか1項に記載の有機資材包装体を、散布予定領域に配置して、前記有機資材を散布することを含む有機資材の散布方法。
本発明によれば、剪定枝等の処理に利用可能であり、屋外において早期に包装袋が分解して有機資材を迅速に散布すると共に、屋内での保管時では包装袋の分解が抑制されて保持可能な有機資材包装体及びこれを用いた有機資材の散布方法を提供することができる。
本発明の実施例における分解評価の例(30日目)を示す写真である。 本発明の実施例における分解評価の例(60日目)を示す写真である。 本発明の実施例における分解評価の例(36日目)を示す写真である。 本発明の実施例における分解評価の例(71日目)を示す写真である。 本発明の実施例における分解評価の例(96日目)を示す写真である。 本発明の実施例における通気孔の有無による分解評価の例(71日目)を示す写真である。 本発明の実施例における通気孔の有無による分解評価の例(96日目)を示す写真である。
本発明の有機資材包装体は、生分解性ポリマーを含有する第一の層を有する生分解性フィルムから得られ、該第一の層を内側表面に備える包装袋と、前記包装袋の内部に封入され、放線菌を5.0×10cfu/g以上の菌量で含有し、かつ水分率が10質量%〜90質量%である有機資材と、を有する有機資材包装体である。
本発明の有機資材の散布方法は、前記有機資材包装体を、散布予定領域に配置して、有機資材を散布することを含む有機資材の散布方法である。
本発明の有機資材包装体は、放線菌の菌量及び水分率をそれぞれ所定範囲とする有機資材と、所定の生分解性フィルムから得られた包装袋とを有するので、屋外での包装袋の分解速度と保管時での包装袋の分解速度とを適度に調整することができる。また、剪定枝等の有機資材を取り扱いよく利用することができる。これにより、剪定枝等の処理に利用可能であり、屋外において早期に包装袋が分解して有機資材を迅速に散布すると共に、屋内での保管時では包装袋の分解が抑制されて有機資材を保持することができる。本発明において有機資材包装袋の分解速度が調整可能となる理由の詳細は不明であるが、所定の水分率を有する有機資材中に所定の菌量で存在する放線菌の活動と、屋外又は屋内に有機資材包装体を保持したときの環境差によるものと推測される。
また有機資材の散布に本発明の有機資材包装体を使用した有機資材の散布方法によれば、例えば、供用中の高速道路上での作業においても有機資材包装体を、有機資材の散布予定領域を、例えば緑地帯に載置するだけで、堆肥等の有機資材を、簡便に且つ飛散させることなく散布することができる。このため、有機資材を散布する際の作業性が良好であり、周囲の環境を汚染することがない。更に、保全作業における堆肥等の有機資材の活用に際して、当該有機資材は包装体に封入されているため、有機資材の散布における風や雨水の影響を最小限化し、斜面地等における施工初期の流失が少なく施肥箇所での堆肥等の有機資材の安定化(定着化)が良好となる。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
また本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示すものとする。
更に本明細書において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
以下、本発明について説明する。
(1)有機資材
本発明における有機資材は、本発明における包装袋の内部に封入され、放線菌を5.0×10cfu/g以上の菌量で含有し、かつ水分率が10質量%〜90質量%である有機資材である。放線菌の菌量が5.0×10cfu/g未満の有機資材、又は10質量%未満若しくは90質量%を超える水分率の有機資材では、後述する包装袋の内部に封入しても、有機資材包装体として、屋外での分解が充分に速いとは言えず、また屋内での保管時の分解速度が速すぎて保存安定性に劣る。
本発明における有機資材とは、放線菌と共存可能な有機物をいい、肥料、培土、球根、種子、土壌改良資材又はこれらの混合物をいう。肥料としては、有機質肥料等の普通肥料、堆肥等を含む特殊肥料等が挙げられる。有機資材としては、放線菌の十分な生息数を確保する観点、又は有機資材により土壌に十分な栄養素を付与する観点から、堆肥、培土、球根及び種子からなる群より選択された少なくとも一種を含むことが好ましい。
前記普通肥料としては、魚カス粉末、なたね油かす等の有機質肥料;化学肥料;配合肥料、成形複合肥料、液状複合肥料、混合汚泥肥料等の複合肥料;下水汚泥肥料、し尿汚泥肥料、工業汚泥肥料、複合汚泥肥料、汚泥発酵肥料等の汚泥肥料などが挙げられる。
前記特殊肥料としては堆肥、魚カス、肉カス、米ぬか、発酵カス、家畜の糞等が挙げられる。
前記土壌改良資材としては、地力増進法(昭和59年法律第34号)に定められた以下の資材が挙げられる:泥炭、バーク堆肥、木炭、アクリル酸・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合物のマグネシウム塩とポリエチレンイミンとの複合体であるポリエチレンイミン系資材、ポリ酢酸ビニルの一部鹸化したポリビニルアルコール系資材、VA菌根菌資材。なお、ここで、VA菌根菌とは、植物の根に共生し、根の内部まで菌糸を侵入させ、また、樹枝状体やのう状体という特徴ある器官を形成する菌を指す。
堆肥の原材料としては、一年生植物等の木質部が形成されない植物を刈った刈草、剪定枝、落ち葉、倒木等の植物発生材、生ごみ、家畜糞、下水処理場汚泥、工場廃液有機汚泥が挙げられ、土壌の水分保持性を向上させる観点から植物発生材を原材料とする堆肥が好ましい。堆肥の原材料として、植物発生材を用いる場合には、比表面積を確保して発酵しやすくする観点から、植物発生材の大きさは最大長さが10mm以下、好ましくは5mm以下である。
前記有機資材における放線菌の菌量は、5.0×10cfu/g以上である。有機資材中の放線菌量が5.0×10cfu/g未満となると包装体に含まれる生分解性フィルムの分解速度が遅くなり、生分解性フィルムの分解が不十分となる傾向がある。また、有機資材包装体の迅速な分解又は放線菌以外の菌の増殖防止の観点から、1.0×10cfu/g以上であることがより好ましい。
前記有機資材には、放線菌以外の他の菌、例えば糸状菌や一般細菌が含まれていてもよい。ここで一般細菌とは、放線菌及び糸状菌以外の細菌をいい、例えば、中温性好気性菌が挙げられる。前記有機資材中の糸状菌の菌量は、有機資材中に望ましくないカビの発生を防止する観点から、1.0×10cfu/g以下であることが好ましい。糸状菌の菌量が1.0×10cfu/g以下であれば、有機資材中のカビの大量発生を防止でき、放線菌の活動を制限することがない。なお、放線菌の菌量が5.0×10cfu/g以上であれば、放線菌の他菌の増殖抑制効果により、糸状菌含有量は1.0×10cfu/g以下に抑制されるものと考えられる。
放線菌の菌量、及び糸状菌の菌量は、「新編 土壌微生物実験法」(1992年、土壌微生物研究会編、第15〜第16頁)に従い希釈平板法により求めることができる。使用される培地としては、放線菌の場合にはエッグアルブミン培地(組成:エッグアルブミン 0.25g/リットル、グルコース 1.0g/リットル、KHPO 0.5g/リットル、MgSO・7HO 0.2g/リットル、Fe(SO 1%溶液 1mリットル、寒天 15.0g/リットル、蒸留水1000mリットル、pH6.8−7.0)を挙げることができる。糸状菌の場合にはローズベンガル培地(組成:真菌用ペプトン5g/リットル、ブドウ糖10g/リットル、KHPO 1.0g/リットル、Mg・7HO 0.5g/リットル、ローズベンガル0.05g/リットル、寒天15.5g/リットル、pH7.0〜7.4)を挙げることができる。一般細菌の菌量を求める場合には、エッグアルブミン培地を使用することができる。
前記有機資材の水分率は、10質量%〜90質量%である。有機資材の水分率が10質量%以上であれば有機資材に含有される放線菌の生育及び活動、並びに放線菌から放出される酵素の効果が充分に発揮され、土壌への養分付与及び生分解性フィルムの分解機能が十分に発揮される傾向がある。一方、有機資材に含有される水分量が90質量%以下であれば、有機資材の変敗が抑制でき、有機資材を安定して保管することができる傾向がある。有機資材中の放線菌の適切な育成の観点から、水分率は、15質量%〜85質量%が好ましく、20質量%〜80質量%がより好ましい。
有機資材の水分率は、加熱処理の前後における質量減少分として求めることができる。具体的には、採取された試料の質量を秤により測定して処理前の質量を得る。その後、110℃30分間、通風乾燥機又は電子レンジ等により加熱し、処理後の質量を、処理前の質量測定と同一の測定方法により得る。得られた処理の前後の質量を比較して、処理による質量減少分を水分率として求める。
前記有機資材の腐熟の指標であるC/N比(Carbon to nitrogen ratio)は、20以下であることが好ましく、16以下がより好ましい。C/N比が20以下の場合には堆肥の発酵が充分であって、有機資材として充分に腐熟されている傾向があり、土壌の栄養素としての有機資材の効果が十分に期待できる傾向がある。
有機資材のC/N比はC/Nコーダーによる測定もしくは、肥料取締法に規定する方法により測定することができる。
前記有機資材は、上述した各材料から常法に従って製造することができ、また市販品として入手することができる。市販品としては、バーク堆肥、牛糞堆肥等を挙げることができる。
前記有機資材としては、例えば、伐採木、刈草、剪定枝葉等の植物体に由来する材料(本明細書において、植物発生材と称する場合がある)から製造された「ハイウェイ堆肥」を好ましく挙げることができる。
ハイウェイ堆肥の製造方法としては、例えば、以下が挙げられる。原材料となる植物発生材を、長さ10cm幅5cmに破砕後、畝立て造成する。その後、適宜水分補給と切り返しを行って発酵を促し、容積の減少に応じて畝合わせを約3ヶ月行う。畝合わせ後の資材を、篩い分けし、得られた10mm以下の細粒分を集積して、完成堆肥としたものを「ハイウェイ堆肥」とする。このようなハイウェイ堆肥のC/N比は20以下となる。
なお、畝立て造成としては、特に制限はないが、例えば、底辺2m、高さ1.5mの三角形の畝(三角畝)を、20m程度、造成することを挙げることができる。畝合わせとは、発酵による減容が進行した三角畝を、複数組み合わせ、発酵を促進することをいう。畝合わせの数については特に制限はないが、例えば、第一段階の畝を4畝造成した場合に、第二段階は4畝を2畝に合わせ、第三段階は2畝を1畝に合わせることができる。
(2)包装袋
本発明における包装袋は、生分解性ポリマーを含有する第一の層を有する生分解性フィルムから得られ、該第一の層を内側表面に備える包装袋である。前記包装袋では、内側表面に、生分解性ポリマーを含有する第一の層を備えているので、内部に有機資材を封入すると、有機資材が包装袋の第一の層と接触する。これにより、第一の層が、有機資材により調整された速度で分解可能となる。
前記第一の層は、菌等の微生物によって分解される生分解性ポリマーを含有する。前記生分解性ポリマーとしては、脂肪族ポリエステル、脂肪族−芳香族ポリエステル、変性ポリビニルアルコール、セルロースエステル化合物(カゼイン等)、変性デンプン等が挙げられる。前記生分解性ポリマーとしては、これらを単独で、又は2種以上を組み合わせたものを使用することができる。
脂肪族ポリエステルとしては、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリヒドロキシアルカノエート等が挙げられ、この他にも、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を縮合重合して得られる脂肪族ポリエステル(A−1)、ポリラクトン系脂肪族ポリエステル(A−2)等が挙げられる。
脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸を縮合して得られる脂肪族ポリエステル(A−1)のうち、脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等が挙げられる。また、かかる脂肪族ポリエステル(A−1)は、脂肪族ジオール及び脂肪族ジカルボン酸に加えε−カプロラクトン等のラクトン又は脂肪族ヒドロキシカルボン酸を共重合させてもよい。脂肪族ポリエステル(A−1)は、これらの中からそれぞれ1種類以上選んで縮合重合し、あるいは必要に応じてイソシアネート化合物等の鎖延長剤を使用して分子量を増大させて所望の分子量のポリマーとして得ることができる。かかる脂肪族ポリエステル(A−1)の数平均分子量Mnは通常10,000〜300,000の範囲、好ましくは、40,000〜200,000の範囲にある。
ポリラクトン系脂肪族ポリエステル(A−2)としては、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン等のラクトンの1種類若しくは2種以上を重合して得られるポリラクトン及びラクトンと他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸とのコポリマーが例示できる。かかるポリラクトン系脂肪族ポリエステル(A−2)の数平均分子量Mnは通常30,000〜300,000の範囲、好ましくは、40,000〜200,000の範囲にある。 かかるポリラクトン系脂肪族ポリエステル(A−2)の具体例としては、例えば、ε−カプロラクトンの開環重合によって得られたもの、6−ヒドロキシカプロン酸の脱水重縮合によって得られたもの、あるいは両者を重合させて得られるポリε−カプロラクトン、ポリδ−バレロラクトン等が挙げられる。また、ラクトンと共重合される他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、グリコライド、乳酸、ラクタイド、各種ヒドロキシ酪酸、各種ヒドロキシ吉草酸、各種ヒドロキシカプロン酸又はそれらの環状無水物等が挙げられる。
脂肪族−芳香族ポリエステルとしては、脂肪族ジオールと芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸を縮合したものを挙げることができる。脂肪族−芳香族共重合ポリエステルを構成する脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができ、芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等を挙げることができ、脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン酸等を挙げることができる。これらは、それぞれ1種、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。必要に応じて多官能のイソシアネート化合物により架橋することもできる。
前記第一の層における生分解性ポリマーの含有率は、生分解性の観点から、第一の層全体の質量に対して50質量%以上とすることが好ましく、75質量%以上とすることがより好ましく、85質量%以上とすることが更に好ましい。また第一の層における生分解性ポリマーの含有率は、第一の層の全体の質量に対して95質量%以下であることが好ましい。
前記第一の層は、その機能を損なわない範囲で生分解性ポリマー以外の他のポリマー、添加剤などを含んでもいてもよいが、前記第一の層に含まれるデンプン以外の樹脂としては、生分解性ポリマーのみであることがより好ましい。
前記第一の層は、デンプンを含有することが好ましい。デンプンを含有することにより、第一の層の分解をより促進させることができる。前記第一の層におけるデンプンの含有率は、生分解性フィルムの層構成等によって適宜調整可能であり、分解速度及びハンドリング性の観点から、5質量%以上、50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上、40質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上、35質量%以下であることがより好ましく、さらに7質量%以上、35質量%以下であることが好ましく、15質量%以上、35質量%以下であることがさらに好ましい。デンプン含有率は5質量%以上、50質量%以下であれば、分解がより適切な速度で進行し、取り扱い性を大きく損なわない傾向がある。
本発明に係る包装体が2以上の層のフィルムから構成される場合には、第一の層の厚みは、分解促進と取扱い性確保の観点から、3μm〜50μmが好ましく、5μm〜30μmがさらに好ましい。3μm以上であれば、内部に充填された有機資材からの水分の漏れだしを良好に抑制できる傾向があり、50μm以下であれば、分解速度をより適切な範囲に調整できる傾向がある。本発明に係る包装体が、第一の層のみによる単層のフィルムから構成される場合には、第一の層の厚みは、分解促進と取扱い性確保の観点から、10μm〜100μmが好ましく、20μm〜90μmがさらに好ましい。100μm以下であれば、袋の分解が遅くならない傾向があり、10μm以上であれば袋の強度が十分となる傾向がある。
本発明において層の厚みは、5点を測定したときの平均厚みを意味し、前記フィルムの断面を得て、光学顕微鏡を用いて断面を測定したときの値とする。
前記生分解性フィルムは、有機資材を封入した場合の生分解性フィルムの円滑な分解の観点から、保管性を担保しつつ、より分解性を促進させる観点からは、単層であることが好ましく、一方、保管性と分解性とを適度なバランスで両立させる観点からは、2以上の層を有する多層構成であることが好ましい。前記生分解性フィルムが多層構成の場合には、包装袋の内側表面に配置された前記第一の層と、第一の層よりも外側に第二の層を配置させた二層構造であってもよく、更に第一の層と第二の層との間に第三の層を有する三層構造になっていてもよい。
<単層フィルム>
本発明に係る包装体を構成する生分解性フィルムが第一の層のみからなる単層フィルムであることが、分解促進の観点から好ましい。
前記第一の層から構成される単層フィルムは、デンプンを含有させることが好ましい。該単層フィルム中にデンプンを含有させることにより、単層フィルム自体の分解をより促進させることができる。また、分解速度及びハンドリング性の観点から、第一の層中のデンプンの含有率は、第一の層の全質量に対して5質量%以上、50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上、40質量%以下であることがより好ましく、さらに7質量%以上、35質量%以下がより好ましく、15質量%以上、35質量%以下であることがさらに好ましい。上記範囲内であれば、分解がより適切な速度で進行し、取り扱い性を大きく損なわない傾向がある。
前記第一の層から構成される単層フィルムにおける生分解性ポリマーの含有率は、生分解性の観点から、第一の層全体の質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、65質量%以上であることが更に好ましく、前記第一の層に含まれるデンプン、又は他の成分の種類又は含有率に応じて、適宜調整される。
前記第一の層から構成される単層フィルムとして好適な生分解性ポリマーは、上述した生分解性フィルムの中でも、前記脂肪族ポリエステル(A−1)、前記脂肪族−芳香族ポリエステル等であることが袋の強度と適度な分解速度の点で好ましい。これらの中でも、テレフタル酸・アジピン酸・1,4−ブタンジオールポリエステル共重合体、即ち、ポリブチレンアジベートテレフタレート(PBAT)であることが更に好ましい。
前記生分解性フィルムが前記第一の層から構成される単層フィルムは、フィルムの保持性の観点から、水溶性樹脂を多く含まないことが好ましい。前記単層フィルムにおける水溶性樹脂の含有率は、第一の層の全質量の10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、0質量%、即ち、前記単層フィルムは、水溶性樹脂を含まないことが最も好ましい。
<3層フィルム>
本発明に係る包装袋を構成する生分解性フィルムは、保管性と分解性とをより適度なバランスで両立させる観点から、3層構成を備えた3層フィルムであることがより好ましい。前記生分解性フィルムが3層フィルムの場合、本明細書では、第一の層を「裏面層」、第二の層を「表面層」、第三の層を「中間層」と称する場合がある。
前記3層フィルムにおける第一の層のデンプンの含有率は、分解性及びハンドリングの観点から、5質量%以上、50質量%以下であることが好ましく、5質量%以上、40質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上、35質量%以下であることがより好ましく、さらに7質量%以上、35質量%以下であることが好ましく、15質量%以上、35質量%以下であることがさらに好ましい。デンプン含有率は5質量%以上、50質量%以下であれば、分解がより適切な速度で進行し、取り扱い性を大きく損なわない傾向がある。
前記3層フィルムにおいて、第一の層中の生分解性ポリマーの含有率は、生分解性の観点から、第一の層全体の質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、65質量%以上であることが更に好ましく、前記第一の層に含まれるデンプン、又は他の成分の種類又は含有率に応じて、適宜調整される。
前記3層フィルムへの使用が好適な生分解性ポリマーは、上述した生分解性フィルムのいずれであってもよく、特に制限されない。
また、前記第二の層は、好ましくは、層全体の質量に対して20質量%〜40質量%のデンプンを含有する。デンプンの含有率が20質量%以上であれば生分解をより適度な速度で進行させることができ、40質量%以下であれば良好なハンドリング性を得ることができる。これにより、第一の層とは異なる速度で第二の層が円滑に分解可能となる。第二の層におけるデンプンの含有率は、円滑な生分解性の観点から、10質量%〜30質量%であることがより好ましく、20質量%〜25質量%であることが更に好ましい。
前記第二の層は、分解性の観点から、生分解性ポリマーを含むことが好ましい。第二の層に含まれる生分解性ポリマーとしては、第一の層に含有可能な生分解性ポリマーとして記載したものを適用することができる。前記第二の層における生分解性ポリマーの含有率は、生分解性の観点から、50質量%以上とすることが好ましく、60質量%以上とすることがより好ましく、70質量%以上とすることが更に好ましい。
前記第二の層は、表面層としての機能を損なわない範囲で生分解性ポリマー以外の他の樹脂、添加剤等を含んでもよいが、前記第一の層に含まれるデンプン以外の樹脂としては、生分解性ポリマーのみであることが好ましい。
第二の層の厚みは、5μm〜50μmであることが好ましく、3μm〜30μmであることがより好ましい。5μm以上であれば、外部からの水分の侵入を良好に抑制できる傾向があり、50μm以下であれば、分解速度をより適切な範囲に調整できる傾向がある。
また、第二の層の厚みは、積層フィルムの反りを軽減する観点から、第一の層の厚みに対して、0.5倍〜1.5倍とすることが好ましく、0.8倍〜1.2倍とすることがより好ましく、第一の層の厚みと等しいことが最も好ましい。
第三の層は、分解性の観点から、水崩壊性ポリマーを含むことが好ましい。前記水崩壊性ポリマーとは、水の存在下に、膨潤、分解等によりその物理的強度が極度に低下するポリマーを意味し、具体的には、エーテル系高分子化合物、これらエーテル系高分子化合物と脂肪族ジカルボン酸又はその無水物とのエステル化反応により得られるポリエステル等が挙げられる。これら水崩壊ポリマーの中でも、エーテル系高分子化合物;エーテル系高分子化合物と脂肪族ジカルボン酸又はその無水物とのエステル化反応により得られるポリエステルが好適である。
前記エーテル系高分子化合物としては、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール等のポリオキシアルキレングリコールなどのエーテル系高分子化合物;並びに、当該エーテル系高分子化合物をイソシアネートで共重合したウレタン−エーテル系高分子が挙げられる。重合形態としては、例えばポリエチレングリコールであれば、ポリエチレンオキシド、若しくはそのカップリング重合体又はそれらの2種以上の混合物などが、安定した重合で製造できるため均質なフィルムが得られるという観点から特に好ましい。
前記第三の層における水崩壊性ポリマーの含有率は、層の全質量の80質量%以下であることが好ましく、20質量%〜60質量%であることがより好ましく、30質量%〜50質量%であることが更に好ましい。水崩壊性ポリマーの含有率が第三の層の全質量に対して80質量%以下であれば、屋内保存時での膨潤がより抑制されて、ハンドリングが損なわれない傾向がある。
また、第三の層は、分解性の観点から、生分解性ポリマーを含むことが好ましい。第三の層に含まれる生分解性ポリマーとしては、第一の層に含有可能な生分解性ポリマーとして記載したものを適用することができる。前記第二の層における生分解性ポリマーの含有率は、生分解性の観点から、40質量%以上とすることができ、又は50質量%以上とすることができる。
また、第三の層は、中間層としての機能を損なわない範囲で、水崩壊性ポリマー及び生分解性ポリマー以外の他の樹脂、添加剤等を含んでもよいが、前記第三の層に含まれる樹脂としては、水崩壊性ポリマー及び生分解性ポリマーのみであることが好ましい。
前記包装体における生分解性フィルムは、組成が同一又は異なる複数の第三の層を有してもよい。
第三の層の総厚みは、分解速度をより適切な範囲に調整できるとの観点から、20μm〜84μmであることが好ましく、24μm〜60μmであることがより好ましい。また、第三の層の厚みは、分解速度をより適切な範囲に調整できるとの観点から、第一の層の厚みに対して1倍〜5倍とすることが好ましく、1.5倍〜4倍とすることがより好ましい。
前記包装袋を形成する生分解性フィルムの総厚みとしては、生分解性フィルムの層の数に関係なく、ハンドリング性、有機資材の封入時の作業性、生分解性等の観点から、好ましくは20μm〜100μm、より好ましくは30μm〜80μmである。20μm以上であれば、内部に充填された有機資材からの水分の漏れだしを良好に抑制でき、包装体としての十分な強度を保持できる傾向があり、100μm以下であれば、良好な分解が可能となる傾向にある。尚、本発明において層の厚みは、5点を測定したときの平均厚みを意味し、接触式厚み計を用いて測定したときの値とする。
前記生分解性フィルムが3層から構成される場合には、良好な分解性の観点から、以下(1)〜(5)のいずれかの各層をこの順で組み合わせて有することが好ましい:
(1) 生分解性ポリマーを含有する第一の層と、生分解性ポリマー及びデンプンを含有する第二の層;
(2) 生分解性ポリマーを含有する第一の層と、生分解性ポリマー及びデンプンを含有する第二の層と、第三の層;
(3) 生分解性ポリマーを含有する第一の層と、生分解性ポリマー及び層の質量の20質量%〜40質量%のデンプンを含有する第二の層と、第三の層;
(4) 生分解性ポリマーを含有する第一の層と、生分解性ポリマー及びデンプンを含有する第二の層と、水崩壊性ポリマーを含有する第三の層;
(5) 生分解性ポリマーを含有する第一の層と、生分解性ポリマー及びデンプンを含有する第二の層と、生分解性ポリマー及び水崩壊性ポリマーを含有する第三の層;
(6) 生分解性ポリマーを含有する第一の層と、生分解性ポリマー及び層の質量の20質量%〜40質量%のデンプンを含有する第二の層と、生分解性ポリマー及び水崩壊性ポリマーを含有する第三の層;並びに、
(7) 生分解性ポリマー及びデンプンを含有する第一の層と、生分解性ポリマー及びデンプンを含有する第二の層と、生分解性ポリマー及び水崩壊性ポリマーを含有する第三の層。
前記生分解性フィルムは、種々公知の方法で製造することができる。例えば、各層を構成する各成分を夫々所定の量で配合し、直接三層以上の多層ダイを備えたインフレーション成型機等のフィルム成形機に投入して共押出し成形により製造することができる。前記生分解性フィルムは、印刷性の改良のために、一方の表面を、たとえばコロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、アンダーコート処理等で表面活性化処理を行うことができる。前記生分解性フィルムとしては、例えば、特開2010−42655号等に記載の積層フィルムを挙げることができる。
前記包装体においては、前記生分解性フィルムの分解を促進させるために、分解促進層を更に有していることが好ましい。本発明における分解促進層とは、有機資材又は有機資材包装体の載置場所に依存した微生物活性とは独立に、包装体の分解を促進可能な成分を含む層を指す。より具体的には、分解促進層とは、包装体の外側表面上に本発明の有機資材を載置することにより形成される層を意味する。このような分解促進層を備えることにより、包装体では、よりいっそう迅速に有機資材包装体の分解を促進させることができる。
これを更に説明すれば、前記有機資材包装体の使用時では、土壌等に有機資材包装体を設置するため、内部の有機資材に基づく分解と、使用場所で接触する土壌等に由来する微生物による分解が進行する。この結果、袋上面の分解速度との差が生じて、部分的に分解せずに残る場合がある。この場合、分解促進層が存在することにより、包装体を構成する生分解性フィルムの分解速度が促進され、分解速度の差を小さくすることができる。また、分解促進層を包装体表面の一部、たとえば上側表面に設けることにより生分解性有機資材包装体の上面が先に分解し、分解により生分解性フィルムが破れれば有機資材が当該生分解性フィルムを覆うように広がり、残存した生分解性フィルムの飛散を抑制できる。
分解促進層の配置位置は、前記包装体の表面であれば特に制限はなく、例えば、有機資材を内部に封入した場合に側面側となる表面の一部又は全部であってもよく、有機資材包装体を散布場所に載置した場合に上面となる表面の一部又は全部であってもよい。前記有機資材包装体を屋外設置した場合に、生分解性フィルムを均一に生分解させて残存したフィルムの飛散を防止する観点から、土壌面に接してない側の表面に設けることが好ましい。
生分解性フィルムが前記3層フィルムである包装体の場合には、第二の層の位置よりも包装体外側となる位置に有機資材を配置することにより形成されたものであることが好ましい。また、包装体における生分解性フィルムが前記単層フィルムである包装体の場合には、包装袋の外側表面に有機資材を配置することにより形成されたものであることが好ましい。3層フィルムの場合でも単層フィルムの場合でも、包装体の最表面であって、載置場所に設置された包装体の上面となる位置に設けることが特に好ましい。
また前記包装体は、外側表面に複数の通気孔を有することが、生分解性フィルムの均一かつ迅速な生分解の観点から好ましい。前記通気孔が包装袋の外側表面に設けられることにより、包装体外部と内部の有機資材の封入部が連通する。この結果、内部の空気等の気体を抜くことが可能となる。気体を抜くことにより、有機資材と包装体を構成する生分解性フィルムが均一に接することになり、有機資材に含有される放線菌により生分解性フィルムが均一に分解される。包装体内の気体を抜く場合には放置することにより徐々に生分解性フィルムと有機資材とが均一に接触するようにしてもよいし、外部からの圧力を付与することにより、人為的に気体を抜いてもよい。
前記包装体に設けることができる通気孔の密度としては、1個/cm以上かつ10個/cm以下とすることにより、包装体内部の菌を当該包装体表面に移動させて包装体表面からも分解を促し、加えて通気孔間で亀裂が進むことにより包装体の分解残フィルムの大きさが1cm角以下の大きさになることが期待できる。
ここで通気孔の密度が1個/cm以上とすることにより良好な分解性が期待でき、10個/cm以下とすることにより包装袋としての強度を大きく損なわない。
さらに、通気孔の平均直径は0.1mmφ以上8.0mmφ以下が好ましく、0.2mm以上5.0mm以下がより好ましい。通気孔の平均直径が0.1mmφ以上とすることにより通気孔の貫通を充分なものにすることができ、5.0mmφ以下とすることにより包装体の強度を担保し、かつ、予め開けた通気孔から堆肥が漏れることを回避してハンドリング性を大きく損なわない。ここで、平均直径とは、通気孔の最大の直径と最小の直径との和を2で除した値をいう。また、前記通気孔の数も特に制限はないが複数個所かつ均一に設けることが、円滑な包装体内の気体の排除の観点から好ましい。前記通気孔を設ける手段としては特に制限はなく、包装袋の材質に応じて適宜選択することができる。
前記包装袋は、前記生分解性フィルムを袋状にしたものであり、生分解性フィルムを、サーマルラミネート法、ドライラミネート法、ウエットラミネート法等により縁部を接着させることにより形成することができる。中でも、ヒートシールのようなサーマルラミネート法により形成することが、機械的物性面では十分な強度とヒートシール強度、溶断シール強度の包装袋を得ることができるため、好ましい。
前記包装袋の大きさ及び形状に特に制限はないが、ハンドリング性の観点から、前記包装袋の内部の最大の体積は3リットル〜8リットルであることが好ましく、2リットル〜5リットルであることがより好ましく、5リットル程度であることが特に好ましい。8リットルの最大体積とするには、例えば、300mm×450mmの矩形状の形状及び大きさ(有機資材の質量としては約3kg)とすることができる。
前記包装袋の内部に前記有機資材を封入することにより、本発明にかかる有機資材包装体を得ることができる。封入する有機資材の体積は、包装体の形状及び大きさによって異なるが、効率的な有機資材の散布の点で包装袋の内部の最大容積の50%以上とすることが好ましく、また、包装体を構成する生分解性フィルムと有機資材とが均一に接触するになり、生分解をより均一かつ迅速に進めることが可能となる点で、60%以上とすることがより好ましく、90%以上とすることが最も好ましい。
前記有機資材包装体は、室内でのハンドリング性の維持と屋外での生分解性に優れている。即ち、室内で長期間、例えば1週間以上の安定的な保管ができ、屋外である現場に設置すれば短期間、例えば2週間程度で包装体を構成する生分解性フィルムの分解が始まる。また、分解片が飛散しても分解消失が可能であるため、例えば、残存フィルムが流れ出すことにより排水設備の機能を阻害するということを排除でき、環境を汚すことが少ない。
本発明の有機資材の散布方法は、前記有機資材包装体を散布予定領域に載置して、前記有機資材を散布することを含む。本発明にかかる有機資材包装体を用いて有機資材を散布するには、前記有機資材包装体を散布予定領域に配置すればよい。また、散布は、前記有機資材包装体が分解して、内部に封入されていた有機資材が散布予定領域に放出されればよく、散布の様式等については特に制限はない。
散布予定領域は、有機資材を付与することによる効果、例えば養分の補給、病害予防成分の付与等が求められている土壌等であればよい。散布予定領域としては、園地等の植栽箇所、法面等の樹木植え込み箇所等を挙げることができる。
前記有機資材包装体をより良好に分解促進させるために、分解促進処理を行ってもよい。このような分解促進処理としては、使用の直前に、有機資材包装体の表面に、分解促進成分を付与することが挙げられる。この場合の分解促進成分としては、前記包装袋における分解促進層の分解促進成分として既述した成分を挙げることができる。分解促進成分、分解促進層に関する事項は、前述の通りである。
また、分解促進成分として、有機資材包装体の内容物としての有機資材とは別の有機資材を用いることができる。有機資材を分解促進成分として用いる場合は、有機資材包装体を散布予定場所に設置した後に、有機資材包装体の上部表面に、分解促進成分としての有機資材を載置する方法、散布予定場所に分解促進成分としての有機資材を載置した後に、有機資材の載置場所に有機資材包装体を設置する方法、又はこれら双方の方法を組み合わせることにより、分解促進成分を付与することができる。
以下、実験例により本発明を説明する。
<<実験例I>>
以下の有機資材及び生分解性フィルムを用いて、以下の実験例Iを行った。
1.内容物
ハイウェイ堆肥(1)(以下、「HW堆肥」又は「堆肥」と表記することがある。)は、桜土浦CP製造より入手した(平均水分率57.5質量%)。堆肥(2)は、堆肥(1)を40℃で乾燥して調製した(平均水分率17.5質量%)。堆肥(3)は、堆肥(1)に均一に水を加えて調製した(平均水分率80.0質量%)。
なお、上記堆肥は、植物発生材の草と枝等を破砕後、畝立て造成し、適宜水分補給と撹拌を行って発酵を促し、減容に応じて畝合わせを約3ヶ月行い篩い分けして、10mm以下の細粒分を完成堆肥としたものを用いた。畜糞や発酵促進剤を混入した堆肥製造と異なり、原料を植物発生材だけで短期間製造したものである。
パーライト(真珠岩高温焼成材)は、三井金属鉱業(株)製(商品名 ネニサンソ 1号)を用いた。チップ材(剪定枝チップ材)は、ネクスコ東日本桜土浦緑化資材リサイクルプラントで製造したものを用いた。バーク堆肥は、有限会社日光有機社製(商品名 スリーダイヤ 2号)を用いた。
[水分率の測定]
水分率の測定は、それぞれの内容物サンプル100gを、秤を用いて秤取り、その後、110℃30分間電子レンジにより加熱し、処理後の質量を、処理前の質量測定と同一の測定方法により得た。得られた処理の前後での質量の減少分を水分率として求めた。結果を表1に示す。
[菌量の測定]
各試料における一般細菌、
糸状菌、放線菌の菌量は、「新編 土壌微生物実験法」(1992年、土壌微生物研究会編、第15〜第16頁に記載された方法に従い、希釈平板法で測定した。用いた培地は、一般細菌数についてはエッグアルブミン培地、一般糸状菌数についてはローズベンガル培地、一般放線菌数はエッグアルブミン培地とした。結果を表1に示す。
2.生分解性フィルム
(1)層構成
表面層(i):脂肪族ポリエステル76質量%、デンプン24質量%
中間層(ii):脂肪族ポリエステル60質量%、水崩壊性ポリマー40質量%
裏面層(iii):脂肪族ポリエステル100〜76質量%、デンプン0〜7.5質量%
但し、上記脂肪族ポリエステルにはEcoflexに含有されるアジピン酸・テレフタル酸・1,4−ブタンジオールポリエステル共重合体も含まれるものとする。
(2)層比
表面層:中間層:裏面層=1:3:1
(3)裏面層(iii)のサンプルA〜Eの内容
裏面層(iii)のデンプン量及び厚みを、表2及び表3のように変更したサンプルA〜Eを準備した。生分解性フィルムの全厚みは表2及び表3のとおりである。
(4)生分解性フィルムの原材料
<マタービーNF01U>
ノバモント社製:マタービーNF01U、デンプン含有量:30質量%、MFR(150℃、荷重5kg):3g/10分、融点(Tm):110℃、密度:1.3g/cm
マタービーNF01Uは、予め脂肪族・芳香族ポリエステル(アジピン酸・テレフタル酸・1,4−ブタンジオールポリエステル共重合体−BASF社製、商品名Ecoflex(PBAT))にデンプンを30質量%、分散粒径10μm〜100μmで分散させたものである。
<Eco−Vio>
BASF社製:Eco−vio、ポリ乳酸配合量:45質量%、MFR(190℃、荷重2160g):1.5g/10分、融点(Tm):110℃、145℃、 密度:1.25g/cm
Eco−vioは、予め脂肪族・芳香族ポリエステル(アジピン酸・テレフタル酸・1,4−ブタンジオールポリエステル共重合体−BASF社製、商品名 Ecoflex(PBAT))にポリ乳酸を45質量%、分散粒径0.1μm〜2μmで分散させたものである。
<Ecoflex>
アジピン酸・テレフタル酸・1,4−ブタンジオールポリエステル共重合体(B−1)(BASF社製:商品名Ecoflex(PBAT))
テレフタル酸:26モル%、アジピン酸:27モル%、1,4−ブタンジオール:50モル%、MFR(190℃、荷重2160g):3g/10分、融点(Tm):112℃、密度:1.26g/cm
<パオゲンPP15>
ポリエチレングリコールカップリング重合体(E−1)(第一工業製薬株式会社製:商品名パオゲンPP−15)
溶融粘度:約200Pa・s(200℃)、約2000(Pa・s)(100℃)、融点(Tm):55℃、ガラス転移温度(Tg):−36℃、密度:1.07g/cm
<AD92W>
コハク酸・アジピン酸・1,4−ブタンジオール・乳酸ポリエステル共重合体(三菱化学社製、商品名 GS−Pla AD92W(PBSA)) MFR(190℃、荷重2160g):4.5g/10分、融点(Tm):86.9℃、結晶化温度(Tc):40.4℃、密度:1.25g/cm
<FZ91PD>
コハク酸・1,4−ブタンジオール・乳酸ポリエステル共重合体(三菱化学社製、商品名 GS−Pla FZ91PD(PBS))
MFR(190℃、荷重2160g):4.5g/10分、融点(Tm):108.9℃、結晶化温度(Tc):68.0℃、(Tm)−(Tc):40.9℃、密度:1.25g/cm
<AB3>
Ecoflexベースのシリカ30%マスターバッチ(東京インキ社製、商品名 AB−3)
<カラーマスターバッチ>
PBSベースの顔料10%カラーマスターバッチ茶色(大日精化製、商品BR−RM0372
ブラウン)
(5)生分解性フィルムの原材料の配合質量比
既述の「(2)層構成」及び「(3)裏面層(iii)のサンプルA〜Eの内容」の脂肪族ポリエステル量及びデンプン量になるように上記各原材料を配合した。具体的な配合は下記のとおりである。
表面層(i):マタービーNF01U/Eco−Vio/AB3=80/20/1
中間層(ii):パオゲンPP−15/Ecoflex=60/40
裏面層(iii)(A、B):マタービーNF01U/Eco−Vio/AD92W/AB3=25/25/50/1
裏面層(iii)(C):マタービーNF01U/Eco−Vio/AD92W/AB3=0/25/75/1
裏面層(iii)(D):マタービーNF01U/Eco−Vio/AD92W/AB3=15/25/60/1
裏面層(iii)(E):マタービーNF01U/Eco−Vio/AD92W/AB3=20/25/55/1
生分解性フィルムの成形は、3種3層インフレーション成形機(ダイス径:250mmφ、押出機:内65、中間55、外55mmφ各1台)を用いて、押出温度:60℃〜145℃(中間層ホッパー下のみ60℃、あとは145℃)、ダイス温度:160℃の条件で、所定の層比で表面層(i)が外層に、裏面層(iii)(A〜E)が内層になるように行った。得られた生分解性フィルムを、300mm×450mmの大きさの袋状となるようにし、サンプル袋を得た。
3.評価
上記サンプル袋(300mm×450mm)に、上述した各内容物5リットル(充填量:64体積%)を入れ、ヒートシーラーを用いて密閉し、包装体サンプルを得た。得られた各包装体サンプルの、屋外(土壌若しくはアスファルト)又は屋内となる倉庫内における分解を以下のように評価した。それぞれの結果を表2及び表3に示す。
(1)屋外設置時の堆肥散布能力
各サンプルを、桜土浦CP内の土壌又はアスファルト上に載置し、2012年6月から2ヶ月間、各サンプルにおける側面の分解の程度を目視にて観察し、散布能力について評価した。各サンプルの側面の分解の様子を図1A及び図1Bに示す。なお図1Aは30日目の様子、図1Bは60日目の様子を示す。
<評価基準>
5・・・分解していない
4・・・表面破れ
3・・・側面の片側破れ
2・・・両側面破れ(一部破れていない部分が残っている。)
1・・・完全両側破れ
分解の進行順序として上記「5・・・分解していない」から「1・・・両側破れ」へと進み最終的に完全に分解されて消失する。従って、「5」→「1」へと進むに従いフィルム分解の程度が大きい。
(2)屋内での保持性
各包装袋サンプルを、更にダンボール箱1つに4袋入れて、室温(平均)23℃、相対湿度(平均)79%の倉庫内に保管し、9日目の袋の状況を以下のように評価した。
<評価基準>
5・・・使用前の状態と比べて変化無し
4・・・裏面に湿気(但し、問題ないレベル)
3・・・脇又は裏面に湿気(但し、問題ないレベル)
2・・・上記に加えて、表面も吸湿ししわになっている(但し、気をつけて使用できるレベル)
1・・・べとべとになり、搬送時に破孔(但し、使用できないレベル)
表2及び表3に示されるように、放線菌の菌量が5.0×10cfu/g以上であり、水分率が10質量%〜90質量%である堆肥(1)〜(3)を内容物として封入し、生分解性ポリマーを内側に有する有機資材包装体を用いた試料1〜試料15では、いずれも30日目で、土壌又はアスファルト上に載置した場合には良好に分解することがわかった。また、倉庫内で保管した場合には、9日目でもほとんどが使用できるレベルを保持していた。
また、試料1〜15は、アスファルト上でも土壌上と同様に迅速に分解していた。このことから、試料1〜15における良好な分解性は土壌における微生物の影響ではなく、包装袋の内部に封入した有機資材によるものであることがわかる。
なお、有機資材の水分率が17.5%である堆肥(2)を用いた場合は、堆肥(1)及び堆肥(3)を用いた場合よりも、倉庫内での保存性がより良好であった。
また、最内層でのデンプン含有率を10質量%以下とした場合は、デンプン含有率を24質量%とした以外はサンプル包装袋と同一とした場合よりも、倉庫内での保存性より良好であった。
これに対して、放線菌の菌量が5.0×10cfu/g未満である内容物を封入した試料16〜30は、いずれも、屋内での保存安定性には問題ないものの屋外での分解が充分でなく、肥料の散布用としては使用できるとは言えなかった。
<評価方法>
上面のフィルムの状態は、膨潤して表面にしわが寄った状態を「変質している」と評価した。また、フィルムの厚みはフィルムの透明度により目視で評価した。それ以外は、目視にて評価した。
<評価基準>
5・・・分解していない
4・・・上面のフィルムが変質している
3・・・上面のフィルムが薄くなっている
2・・・上面のフィルムの孔が空き、飛散する前にフィルムがバラバラになり始めている
1・・・上面のフィルムが内容物の堆肥に密着して飛散しない状態になっている
分解の進行順序として上記「5・・・分解していない」から「1・・・上面のフィルムが内容物の堆肥に密着して飛散しない状態になっている」へと進み上面のフィルムが飛散することなく、最終的に完全に分解されて消失する。従って、「5」→「1」へと進むに従いフィルム分解の程度が大きい。
表4及び表5中、「ブランク」とは有機資材包装体サンプルをそのまま用いた場合を意味する。*1〜*4は以下の通りである。
*1: 袋上に、直径30mmの先端がとがったポールを用いて直径20mm〜30mmの通気孔を1箇所又は5箇所設け、その後、内容物の内部の気体を、袋上面を押さえて抜いて評価に用いた。
*2: 有機資材包装体サンプルに堆肥を載置する場合は、堆肥として堆肥(1)を、袋の表面が見えないように隙間無く載置した。
*3:内容物の充填量を90体積%(7L)以上に変更した。また、内容物の充填量を90体積%とした上で、袋上に、上記*1と同様にスパイクで用いて通気孔を10個設けた箇所を1箇所又は5箇所設けた。
表4及び表5に示されるように、分解促進処理の効果が認められた。特に、総厚みの薄い包装袋を用いた試料(試料34〜試料40)の方が、総厚みの厚い包装袋サンプルを用いた試料(試料41〜試料47)よりも分解促進処理の効果が得られやすいことがわかった。
なお、表4より、総厚み50μmの有機資材包装体を用いた場合には、14日目において充填量を増やした試料38(評価「4」)よりも、更にスパイクで通気孔を設けた試料39及び試料40(評価「3」)の方が分解の程度が進んでいた。このことから、分解促進処理を組み合わせることにより、より分解が促進されることがわかった。また、表5より、充填量を増やすこと(試料45)、並びに、充填量を増やすと共に通気孔を設けること(試料47)は、総厚みの厚い包装袋を用いた場合に、分解促進処理として効果的であることがわかった。
<<実験例II>>
実験例Iで用いた内容物と、以下の生分解性フィルムを用いて、実験例IIを行った。
1.生分解性フィルムの構成と原材料の配合質量比
表6に示される総デンプン量となるように上記各原材料を配合し、3層フィルム又は単層フィルムであるサンプルF〜Jを得た。具体的な配合は下記のとおりである。なお、原材料は、前述のとおりである。
サンプル(F):前出サンプル(A)と同じ3層フィルム
表面層(i):マタービーNF01U/Eco−Vio/AB3=80/20/1、厚み10μmm
中間層(ii):パオゲンPP−15/Ecoflex/カラーマスターバッチ=60/40/1、厚み30μm
裏面層(iii):マタービーNF01U/Eco−Vio/AD92W/AB3=25/25/50/1、厚み10μm
サンプル(G):
表面層(i):マタービーNF01U/Eco−Vio/AB3=80/20/1、厚み50μm
中間層(ii):Ecoflex/カラーマスターバッチ=100/1、厚み50μm
裏面層(iii)(A、B):マタービーNF01U/Eco−Vio/AD92W/AB3=25/25/50/1、厚み50μm
サンプル(H):
単層 :FZ91PD/AB3/カラーマスターバッチ=100/0.5/0.5、厚み50μm
サンプル(I):
単層 :FZ91PD/マタービーNF01U/AB3/カラーマスターバッチ=50/50/0.5/0.5、厚み50μm
サンプル(J)
単層 :マタービーNF01U/AB3/カラーマスターバッチ=100/0.5/0.5、厚み50μm
サンプル(H)〜(J)の生分解性フィルムの成形は、単層インフレーション成形機(ダイス径:100mmφ、押出機:内30mmφ各1台)を用いて、押出温度:60℃〜145℃、ダイス温度:160℃の条件で行った。得られた生分解性フィルムを、300mm×450mmの大きさの袋状となるようにし、サンプル袋を得た。
2.評価
(1)分解性確認
上記包装袋に通気孔(5mmφ 約10個/100cm)を開けたものと開けてないものの2種を用意し、放線菌の菌量が5.0×10cfu/g以上であり、水分量約60%のハイウエイ堆肥を充填し、桜土浦インターチェンジCP内の土壌上(樹林下)に載置した。包装袋の一部には2個/cmの通気孔を設け、通気孔無しの有機資材包装体および通気孔有りの有機資材包装体を各々並べて、各n=2(サンプル(I)及び(J)はn=4)で行った。
2013年5月から約3ヶ月間、各サンプルにおける側面の分解の程度を目視にて観察し、分解による散布能力について評価した。各サンプルの側面の分解の様子を図2A〜図2Eに示す。
なお図2Aは36日後の様子、図2Bは71日後の様子、図2Cは96日後の様子を示す。更に図2Dは71日後の、図2Eは96日後の、それぞれ、通気孔無し/通気孔有りの差を拡大して示した。図2A〜図2Eでは、図面上から下に向かって並べられたサンプル(F)〜(J)が示されている。図2Cにおける枠はサンプル(J)の位置を示す。図2Eは、サンプル(J)の拡大図であり、枠上段が通気孔なしのサンプル(n=2)の位置を示し、枠下段は通気孔ありのサンプル(n=2)の位置を示す。
また、サンプル(F)、(H)〜(J)については、分解の様子を目視で確認し、分解性の評価を行った。分解性の評価は、分解の様子を上面(地面に接していない面)、下面(地面に接している面)に分けて以下の評価基準に従って詳細に行った。
<評価基準>
V・・・分解していない
IV・・・フィルムが変質している
III・・・フィルムが薄くなり、破れている
II・・・フィルムがばらばらになり3cm×3cm以下の大きさになっている
I・・・フィルムが完全に分解して消失している
表6に示されるように、サンプル(F)、(H)〜(J)について包装袋の分解が進んでいることがわかる。特にサンプル(J)(デンプンを30質量%含むアジピン酸・テレフタル酸・1,4−ブタンジオールポリエステル共重合体を主成分とする単層フィルムは、他系に比べて分解促進処理の効果が認められた。その際に上面のフィルムが下面のフィルムとほぼ同じ速度で分解するので下面のフィルムのみ分解し、上面のフィルムが下面から千切れて飛ばされることもなく、理想的な分解であった。
更に、図2D、2Eから明らかなように、通気孔を空けたサンプル(枠内下段)は、通気孔のない上段のサンプル(枠内上段)よりも分解が早く、より優れていた。
一方、中間層(ii)に水溶性樹脂を含むものの3層のフィルム全体での総デンプン量が6質量%と少ないサンプル(F)も分解は良好であった。また、包装袋の下面のフィルムの分解は上面のフィルムと比較して上面のフィルムの分解が早かった。
なお、分解速度に寄与しているのはデンプンの他、アジピン酸・テレフタル酸・1,4−ブタンジオールポリエステル共重合体成分、コハク酸・1,4−ブタンジオール・乳酸ポリエステル共重合体成分、およびコハク酸・アジピン酸・1,4−ブタンジオール・乳酸ポリエステル共重合体成分であると考えられる。
さらに、コハク酸・1,4−ブタンジオール・乳酸ポリエステル共重合体成分、およびコハク酸・アジピン酸・1,4−ブタンジオール・乳酸ポリエステル共重合体成分については、乳酸成分が含有されていなくともよく、具体的には、コハク酸・1,4−ブタンジオール・ポリエステル共重合体(ポリブチレンサクシネート(PBS))、およびテレフタル酸・アジピン酸・1,4−ブタンジオール・ポリエステル共重合体(ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT))であってもよい。
(2)屋内での保存安定性試験
サンプル(F)、(H)〜(J)について、屋内での保存安定性試験を行った。各有機資材包装体サンプルを、更にダンボール箱1つに4袋入れて、室温(平均)14.5℃、相対湿度(平均)70%の倉庫内に保管し、9日目、21日目の袋の状況を以下のように評価した。結果を表7に示す。
<評価基準>
5・・・使用前の状態と比べて変化無し
4・・・裏面に湿気(但し、問題ないレベル)
3・・・脇又は裏面に湿気(但し、問題ないレベル)
2・・・上記に加えて、表面も吸湿ししわになっている(但し、気をつけて使用できるレベル)
1・・・べとべとになり、搬送時に破孔(但し、使用できないレベル)
表7に示されるように、サンプル(F)、(H)〜(J)のいずれも倉庫内の保存安定性に問題がないことが分かった。さらに、サンプル(H)、(I)、(J)(水溶性樹脂を含まずに総デンプンが各々0、15、30質量%である単層フィルム)は倉庫内での21日間保存しても問題なく、長期の保存安定性に特に優れていた。
このように、剪定枝等の処理により発生した有機資材を効果的に処理可能であり、屋外において早期に分解して有機資材を迅速に散布すると共に、屋内での保管時では分解することなく保持可能な有機資材包装体を提供することができた。
また、本発明で用いられる有機資材は、放線菌を多く含むので従来の堆肥等の有機資材に比べて樹木の病を防ぐ効果も期待できる。
従って、本発明にかかる有機資材包装体は、例えば、堆肥として道路建設の緑地に散布する際に、天候等の都合に応じて室内で1週間以上保管ができ、必要なときに、屋外である現場に設置することができる。更に、その際に環境を汚さないことが期待される。このことから、本発明の有機資材包装体については、例えば、農作業の狭小空間での堆肥散布、また種子、球根などを育成する修景緑化材、道路緑地管理や施工性の求められる公共緑地管理作業、造園工事での活用等が見込まれる。
このように本発明によれば、剪定枝等の処理に利用可能であり、屋外において早期に包装袋が分解して有機資材を迅速に散布すると共に、屋内での保管時では包装袋の分解が抑制されて有機資材を保持可能な有機資材包装体及びこれを用いた有機資材の散布方法を提供することができる。

Claims (17)

  1. 生分解性ポリマーを含有する第一の層を有する生分解性フィルムから得られ、該第一の層を内側表面に備える包装袋と、
    前記包装袋の内部に封入され、放線菌を5.0×10cfu/g以上の菌量で含有し、かつ水分率が10質量%〜90質量%である有機資材と、
    を有する有機資材包装体。
  2. 前記有機資材中の糸状菌の菌量が1.0×10cfu/g以下である請求項1に記載の有機資材包装体。
  3. 前記第一の層が、デンプンを含む請求項1または請求項2に記載の有機資材包装体。
  4. 前記生分解性フィルムが、デンプンを含む第一の層のみを有し、第一の層におけるデンプンの含有率が、第一の層全体の質量に対して5質量%〜50質量%である請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の有機資材包装体。
  5. 前記生分解性フィルムに含まれる生分解性ポリマーがポリブチレンアジペートテレフタレートである請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の有機資材包装体。
  6. 前記生分解性フィルムが、
    当該層全体の質量に対して5質量%〜50質量%のデンプンを含有する第一の層と、
    第二の層と、
    前記第一の層及び第二の層の間に配置された第三の層と、
    を有し、前記包装袋が、該第二の層を、前記第一の層よりも外側に備えている請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の有機資材包装体。
  7. 前記生分解性フィルムが、
    当該層全体の質量に対して5質量%〜50質量%のデンプンを含有する第一の層と、
    当該層全体の質量に対して20質量%〜40質量%のデンプンを含有する第二の層と、
    前記第一の層および第二の層の間に配置された第三の層と、
    を有し、前記包装袋が、該第二の層を、前記第一の層よりも外側に備えている請求項1〜請求項3および請求項6のいずれか1項に記載の有機資材包装体。
  8. 前記第三の層が、水崩壊性ポリマーを含む請求項6または請求項7に記載の有機資材包装体。
  9. 前記水崩壊性ポリマーの含有量が、前記第三の層の全質量の20質量%〜60質量%である請求項8に記載の有機資材包装体。
  10. 前記水崩壊性ポリマーがエーテル系高分子化合物である請求項8又は請求項9に記載の有機資材包装体。
  11. 前記包装袋が、通気孔を有する請求項1〜請求項10のいずれか1項記載の有機資材包装体。
  12. 前記通気孔の平均直径が0.1mmφ以上8.0mmφ以下である請求項11に記載の有機資材包装体。
  13. 前記有機資材が、肥料、培土、球根及び種子からなる群より選択された少なくとも一種を含む請求項1〜請求項12のいずれか1項記載の有機資材包装体。
  14. 前記有機資材の体積が、前記包装袋の内部の最大容積の90%以上である請求項1〜請求項1のいずれか1項記載の有機資材包装体。
  15. 前記包装袋が、外側表面に分解促進層を有する請求項1〜請求項1のいずれか1項記載の有機資材包装体。
  16. 前記生分解性フィルムの総厚みが20μm〜100μmである請求項1〜請求項1のいずれか1項記載の有機資材包装体。
  17. 請求項1〜請求項1のいずれか1項記載の有機資材包装体を、散布予定領域に配置して、前記有機資材を散布することを含む有機資材の散布方法。
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