JP5622277B2 - 複層塗膜形成方法及び塗装物品 - Google Patents

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Description

本発明は、塗膜硬化にかかる時間短縮、塗装設備等の縮小化、及び焼き付け時間短縮に伴うCO削減等の環境対応を備えた、耐擦り傷性、耐候性、耐酸性及び仕上り性に優れる複層塗膜を形成する方法及び塗装物品に関する。
二輪車、自動車、コンテナ等の車両の車体には、電着塗膜、中塗り塗膜、ベース塗膜等が必要に応じて形成された後に、クリヤ塗膜が形成される。クリヤ塗膜は、一般的に、水酸基含有アクリル樹脂等の熱硬化性官能基含有樹脂及びメラミン樹脂等の架橋剤を含有する熱硬化性塗料組成物、酸基含有樹脂及びエポキシ基含有樹脂を含有する熱硬化性塗料組成物等を塗装後、加熱硬化する塗膜形成方法により形成される。この塗膜形成方法によれば、付着性、塗膜硬度等の塗膜性能に優れた塗膜を形成することができる。
近年、塗装工程においては省エネルギー化及び生産性向上が要求されている。それに伴って、低温での硬化が可能な塗料組成物、及び短時間での硬化が可能な塗料組成物が期待されている。しかし、上記熱硬化性塗料組成物は、一般的な塗装工程において、通常、140℃の加熱温度、20分間〜40分間の加熱時間が必要であり、省エネルギー化及び生産性向上の要求を満足するものではない。
特許文献1には、下塗り層および/またはさらなるコーティング層をプレコートした被塗物にサーフェーサー塗料を塗布し、次いで色彩付与および/または特殊効果付与ベースラッカー層ならびに透明なクリヤラッカー層からなるトップコート、または顔料入り単層トップラッカーからなるトップコートを施す多層ラッカー仕上げをする方法であって、フリーラジカルおよび/またはカチオン重合によって硬化可能なバインダーを含む塗料をサーフェーサー、ベースラッカーおよびクリヤラッカーならびに単層トップラッカーとして使用し、そして前記バインダーを高エネルギー放射線によって硬化させることを特徴とする方法、が開示されている。
また、特許文献2には、クリヤ塗料が着色層内部や場合によっては基材表面近傍までしみ込むものの、塗料硬化に必要な波長の光が着色層中や基材表面近傍まで十分に透過しないことによる塗膜不具合の改良に関して、着色層上に形成された350nm以上の最大吸収波長を有する光重合開始剤を含有するクリア塗料層に光を照射して、クリア塗料を硬化させる塗装材の製造方法が開示されている。
しかしながら、これらの方法では、低温短時間での硬化性、耐擦り傷性、耐候性、耐酸性及び仕上り性のいずれかに不具合が生じ、全ての塗膜性能において満足することはできなかった。
特表2001−523571号公報 特開2006−7202号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、低温短時間での硬化性、耐擦り傷性、耐候性、耐酸性及び仕上り性に優れる塗装物品を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、被塗物上に、着色塗料を塗装して着色塗膜を形成し、次いで特定のクリヤ塗料を塗装してクリヤ塗膜を形成する方法によって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
1.被塗物に、着色塗料(B)を塗装して着色塗膜を形成する工程、着色塗膜上に、クリヤ塗料(A)を塗装してクリヤ塗膜を形成する工程、並びに活性エネルギー線を照射する工程を含む方法であって、クリヤ塗料(A)が、重量平均分子量250〜1500未満、水トレランス5以上で分子中に平均2個以上のアクリロイル基を有する化合物(a1)、重量平均分子量1,500以上でかつ水トレランスが0.5〜4.5である分子中に平均2個以上アクリロイル基を有する化合物(a2)、光重合開始剤(a3)を含み、
かつ化合物(a1)と化合物(a2)の水トレランスの差が1.0〜10.0であることを特徴とする複層塗膜形成方法。
2.化合物(a1)が、ウレタン結合を有する化合物である1項に記載の複層塗膜形成方法、
3.化合物(a2)が、重量平均分子量1,500〜30,000のウレタンアクリレート、又はアクリルアクリレートである1項又は2項に記載の複層塗膜形成方法、
4.光重合開始剤(a3)が、20℃で液状であることを特徴とする1〜3項のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法、
5.活性エネルギー線の光源が、パルスキセノンランプである1〜4項のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法、
6.クリヤ塗料(A)が、水酸基含有樹脂(a4)を含有する1〜5項のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法、
7.クリヤ塗料(A)が、ポリイソシアネート化合物(a5)を含有する1〜6項のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法、
8.クリヤ塗料(A)が、カプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとポリイソシアネート化合物とを反応してなり、300〜3,800の範囲のイソシアネート当量を有するラジカル重合性不飽和基含有化合物(a6)を含有する1〜7項のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法、
9.クリヤ塗料(A)が、コロイダルシリカ(a7)を含有する1〜8項のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法、
10.クリヤ塗料(A)が、シルセスキオキサン化合物(a8)を含有する1〜9項のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法、
11.着色塗料(B)が、光重合開始剤(a3)を含有することを特徴とする1〜10項のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法、
12.1〜11項のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法による塗装物品、に関する。
本発明によれば、耐擦り傷性、耐候性、耐酸性及び仕上り性に優れる塗装物品を提供できる。さらに、塗膜硬化にかかる加熱温度の低温化、塗装設備等の縮小化、焼き付け時間短縮化に伴うCO削減等の環境対応が可能である。
本発明の複層塗膜形成方法は、クリヤ塗料の塗膜層から下層の着色塗膜に、化合物(a1)が染み込み、活性エネルギー線照射によって複層塗膜を同時に硬化できる。
特に、化合物(a1)と化合物(a2)の水トレランスの差が1.0〜10.0であることによって、クリヤ塗料(A)中の化合物(a1)の下層塗膜への染み込みと、下層塗膜への化合物(a2)の移行を抑制することができる。
クリヤ塗料(A)中の化合物(a1)の下層塗膜への染み込みと、下層塗膜への化合物(a2)の移行を抑制することによって、下層塗膜では硬化が促進され、かつ上層塗膜では、耐候性、耐酸性に寄与する成分が保持される為に、
耐擦り傷性、耐候性、耐酸性及び仕上り性に優れた複層塗膜が得られる。
さらに、クリヤ塗料(A)中に、コロイダルシリカ(a7)及び/又はシルセスキオキサン化合物(a8)を配合することによって、耐擦り傷性や耐酸性に優れる塗膜を得ることができる。
本発明は、被塗物上に、着色塗料を塗装して着色塗膜を形成し、次いで特定のクリヤ塗料(A)を塗装してクリヤ塗膜を形成する複層塗膜形成方法及び塗装物品に関する。以下、詳細に説明する。
クリヤ塗料(A):
クリヤ塗料(A)は、重量平均分子量250〜1,500、水トレランス5以上で分子中に平均2個以上のアクリロイル基を有する化合物(a1)(以下、「化合物(a1)」と略することがある)、重量平均分子量1,500以上でかつ水トレランスが0.5〜4.5である分子中に平均2個以上のアクリロイル基を有する化合物(a2)(以下、「化合物(a2)」と略することがある)、及び光重合開始剤(a3)を含み、かつ化合物(a1)と化合物(a2)の水トレランスの差が1.0〜10.0である。
水トレランス5以上で分子中に平均2個以上のアクリロイル基を有する化合物(a1):
水トレランス5以上で分子中に平均2個以上のアクリロイル基を有する化合物(a1)としては特に限定されず、例えば、(1)ポリオールとアクリル酸とを反応させて得られるアクリル系モノマー、(2)分子内に末端イソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に水酸基及びアクリロイル基を有する化合物を付加して得られるウレタンアクリレート、(3)分子内に少なくとも2個のエポキシ基又はグリシジル基を有する化合物とアクリル酸とを反応させて得られるエポキシアクリレート、等を挙げることができる。
上記(1)のアクリル系モノマーにおいて、ポリオールとしては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール及びトリペンタエリスリトール等、及びアルキレンオキシド(炭素数2〜3)付加ポリオール(グリセリンのエチレンオキシド3〜12モル付加体、グリセリンのプロピレンオキシド3〜12モル付加体、トリメチロールプロパンのエチレンオキシド3〜12モル付加体、トリメチロールプロパンのプロピレンオキシド3〜12モル付加体、ジトリメチロールプロパンのエチレンオキシド4〜16モル付加体、ジメチロールプロパンのプロピレンオキシド4〜16モル付加体、ペンタエリスリトールのエチレンオキシド4〜16モル付加体、ペンタエリスリトールのプロピレンオキシド4〜16モル付加体、ジペンタエリスリトールのエチレンオキシド6〜24モル付加体、ジペンタエリスリトールのプロピレンオキシド4〜24モル付加体、トリペンタエリスリトールのエチレンオキシド8〜32モル付加体、トリペンタエリスリトールのプロピレンオキシド8〜32モル付加体、イソシアヌール酸のエチレンオキシド3〜12モル付加体及びイソシアヌール酸のプロピレンオキシド3〜12モル付加体)等が用いられる。
また、上記(1)のアクリル系モノマーの具体例としては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、グリセリンジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸変性ネオペンチルグリコールジアクリレート等[以上、2官能のアクリル系モノマー];トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリアクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン等[以上、3官能以上のアクリル系モノマー]が挙げられる。
上記(2)のウレタンアクリレートにおいて、上記分子内に末端イソシアネート基を有する化合物としては、例えば、ポリイソシアネート、又は、上記(1)の化合物におけるポリオールとして例示されているものに、ポリイソシアネートを反応させて得られるもの等を挙げることができる。
上記(2)におけるポリイソシアネートとしては、例えば、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物である。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート系化合物及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物又はイソシアヌレート環付加物;イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート系化合物及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物及びイソシアヌレート環付加物;キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトフェニル)スルホン、イソプロピリデンビス(4−フェニルイソシアネート)等の芳香族ジイソシアネート化合物及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物又はイソシアヌレート環付加物;トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等の1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート系化合物及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物又はイソシアヌレート環付加物;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、ポリアルキレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等のポリオールの水酸基にイソシアネート基が過剰量となる比率でポリイソシアネート化合物を反応させてなるウレタン化付加物及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物又はイソシアヌレート環付加物等を挙げることができる。
上記(2)の水酸基及びアクリロイル基を有する化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールジアクリレート、及び、これらにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン等を付加して得られるアルキレンオキサイド変性又はラクトン変性の化合物等を挙げることができ、また、これらの化合物にポリイソシアネートを付加した化合物を用いることもできる。
上記(3)の分子内に少なくとも2個のエポキシ基又はグリシジル基を有する化合物としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテルジアクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジアクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリアクリレートが挙げられる。
上記の分子内に平均2個以上のアクリロイル基を有する化合物(a1)は、1種又は2種以上を併用して用いることができる。化合物(a1)として、例えば、分子内に末端イソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に水酸基及びアクリロイル基を有する化合物を付加して得られるウレタンアクリレートを使用でき、耐擦傷性、耐酸性に優れる塗膜を得ることができる。また、化合物(a1)は、上記のウレタンアクリレートに限定されるものでない。
なお化合物(a1)は、重量平均分子量が250〜1,500未満、好ましくは300〜1,300である。さらに水トレランス5以上、好ましくは5.0〜10.0、平均官能基数は2.0〜10.0、好ましくは2.1〜9.0である。
上記範囲であることは、塗膜形成時に、下層塗膜への化合物(a1)の染み込みと、得られる複層塗膜の耐水性の点で意義がある。また、化合物(a1)は実質的に、イソシアネート基を有さない化合物である。
本明細書において重量平均分子量は、溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、ゲルパーミエーションクロマトグラフ装置として、「HLC−8120GPC」(商品名、東ソー社製)を使用し、カラムとして「TSKgel G4000HXL」を1本、「TSKgel G3000HXL」を2本、及び「TSKgel G2000HXL」を1本(商品名、いずれも東ソー社製)の計4本を使用し、検出器として、示差屈折率計を使用し、移動相:テトラヒドロフラン、測定温度:40℃、流速:1mL/minの条件下で行ったものである。
本明細書において水トレランスは、下記測定によって得られるものである。各化合物の固形分0.5gをアセトン10mLに溶解し、23℃において攪拌しながら脱イオン水を滴下し、JIS−K0101(工業用水試験方法)に準じた濁度がホルマジン濁度標準で100度になった時の脱イオン水滴下量(mL)とした。
本明細書において平均官能基数は、ラジカル重合性不飽和基にドデシルメルカプタンを付加し、残余のドデシルメルカプタンをヨウ素溶液で逆滴定することにより不飽和基濃度を求め、下記式(1)に従って平均官能基数求めた。
平均官能基数=不飽和基濃度(mol/kg)×重量平均分子量(g/mol)÷1000 ・・・式(1)
重量平均分子量1,500以上で分子中に平均2個以上のアクリロイル基を有する化合物(a2):
重量平均分子量1,500以上で分子中に平均2個以上のアクリロイル基を有する化合物(a2)は、重量平均分子量1,500以上、好ましくは1,700〜30,000、さらに好ましくは1,700〜25,000である。上記条件に加えて、水トレランスが0.5〜4.5であることが、化合物(a2)をクリヤ塗膜中に残存させる面からも好適である。また、化合物(a2)は実質的に、イソシアネート基を有さない化合物である。
重量平均分子量1,500以上でかつ水トレランスが0.5〜4.5である分子中に平均2個以上のアクリロイル基を有する化合物(a2)は、具体的には、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリルアクリレート等が挙げられる。ウレタンアクリレート及び/又はアクリルアクリレートを用いることが、耐擦傷性、耐候性の面から好ましい。
ウレタンアクリレートは、例えば、(1)分子内に末端イソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、水酸基及びアクリロイル基を有する化合物を付加して得る、
(2)ポリイソシアネート化合物とポリオールとを反応させて得られるポリウレタンポリオールにイソシアネート基含有(メタ)アクリレートモノマーを反応させる、などの方法により製造されるものが挙げられる。
ウレタンアクリレートの製造に使用されるポリイソシアネート化合物としては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート、4,4´−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネ−ト)などの脂環族ジイソシアネート類、これらのジイソシアネートのビュレットタイプ付加物やイソシアヌレート環タイプ付加物などが挙げられる。
ウレタンアクリレートの製造に使用される水酸基及びアクリロイル基を有する化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールジアクリレート、及び、これらにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン等を付加して得られるアルキレンオキサイド変性又はラクトン変性の化合物等を挙げることができ、また、これらの化合物にポリイソシアネートを付加した化合物を用いることもできる。
ウレタンアクリレートの製造に使用されるポリオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリカプロラクトンジオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールなどが挙げられる。
上記イソシアネート基含有(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えばイソシアネートエチルアクリレート、イソシアネートプロピルアクリレート、さらにヒドロキシエチルアクリレート等の活性水素含有重合性モノマーにヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシアネート化合物を付加してなる不飽和化合物などが挙げられる。
上記、アクリルアクリレートは、アクリロイル基を含有するアクリル樹脂である。具体的には、グリシジルメタクリレートを共重合したアクリル樹脂にアクリル酸を付加した化合物、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートを共重合したアクリル樹脂に2−ヒドロキシエチルアクリレートや4−ヒドロキシブチルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートなどを付加した化合物、水酸基含有モノマーを共重合したアクリル樹脂に2−アクリロイルオキシエチルイソシアネートを付加した樹脂、等が挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
さらに、本発明においては、化合物(a1)と化合物(a2)の水トレランスの差は1.0〜10.0、好ましくは1.0〜7.0である。化合物(a2)の水トレランスが化合物(a1)の水トレランスより低く、その差が1.0以上であることで、下層塗膜への化合物(a2)の移行を抑制しつつ、化合物(a1)を選択的に染み込ます点で意義がある。
光重合開始剤(a3):
クリヤ塗料(A)に使用する光重合開始剤(a3)は、活性エネルギー線を吸収してラジカルを発生する開始剤であれば特に限定されることなく使用できる。1種又は2種以上を併用することもできる。
前記光重合開始剤としては、例えばベンジル、ジアセチル等のα−ジケトン類;ベンゾイン等のアシロイン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のアシロインエーテル類;チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、チオキサントン−4−スルホン酸等のチオキサントン類;ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;ミヒラーケトン類;アセトフェノン、2−(4−トルエンスルホニルオキシ)−2−フェニルアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、α,α’−ジメトキシアセトキシベンゾフェノン、2,2’−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、2−メチル〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、α−イソヒドロキシイソブチルフェノン、α,α’−ジクロル−4−フェノキシアセトフェノン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン等のアセトフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(アシル)フォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類;アントラキノン、1,4−ナフトキノン等のキノン類;フェナシルクロライド、トリハロメチルフェニルスルホン、トリス(トリハロメチル)−s−トリアジン等のハロゲン化合物;ジ−t−ブチルパーオキサイド等の過酸化物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上の混合物として使用できる。
光重合開始剤(a3)の市販品としては、例えば、イルガキュア(IRGACURE)−184、イルガキュア−261、イルガキュア−819、イルガキュア−500、イルガキュア−651、イルガキュア−907、イルガキュア−CGI−1700、ダロキュア(Darocur)−1173、ダロキュア−1116、ダロキュア−127、ダロキュア−TPO、ダロキュア−2959、ダロキュア−1664、ダロキュア−4043(以上、チバ スペシャルティ ケミカルズ社製、商品名)、カヤキュア(KAYACURE)−MBP、カヤキュア−DETX−S、カヤキュア−DMBI、カヤキュア−EPA、カヤキュア−OA(日本化薬社製、商品名)、ビキュア(VICURE)−10、ビキュアー55〔ストウファー社(STAUFFER Co., LTD.)製、商品名〕、トリゴナル(TRIGONAL)P1〔アクゾ社(AKZO Co., LTD.)製、商品名〕、サンドレイ(SANDORAY)1000〔サンドズ社(SANDOZ Co., LTD.)製、商品名〕、ディープ(DEAP)〔アプジョン社(APJOHN Co., LTD.)製、商品名〕、カンタキュア(QUANTACURE)−PDO、カンタキュア−ITX、カンタキュア−EPD〔ウォードブレキンソプ社(WARD BLEKINSOP Co., LTD.)製、商品名〕等を挙げることができる。
上記の光重合開始剤(a3)が20℃で液状であることが、複層塗膜を形成した時に、下層の着色塗料の塗膜に染込むという点で好適である。また、光重合開始剤(a3)は、20℃で固体である光重合開始剤と20℃で液状である光重合開始剤の混合物(例えば、イルガキュア−500)として液状であってもよい。
水酸基含有樹脂(a4):
クリヤ塗料(A)には、必要に応じて1分子中に少なくとも1個の水酸基を有する水酸基含有樹脂(a4)を含有することができる。水酸基含有樹脂(a4)は、例えば、水酸基を有する、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂等の樹脂が挙げられる。これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、水酸基含有樹脂(a4)は、得られる複層塗膜の耐候性の点から水酸基含有アクリル樹脂であることが好ましい。
水酸基含有アクリル樹脂は、通常、水酸基含有重合性不飽和モノマー及び該水酸基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマーを、それ自体既知の方法、例えば、有機溶媒中での溶液重合法、水中でのエマルション重合法などの方法により共重合せしめることによって製造することができる。
水酸基含有重合性不飽和モノマーは、1分子中に水酸基及び重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上有する化合物であって、具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物;該(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド;アリルアルコール、さらに、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
また、水酸基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業社製)、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロドデシル(メタ)アクリレ−ト等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート等のイソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー;アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのビニル芳香族化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランなどのアルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等のフッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー;マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー;N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等の含窒素重合性不飽和モノマー;アリル(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト等の重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム塩、スルホエチルメタクリレート及びそのナトリウム塩やアンモニウム塩等のスルホン酸基を有する重合性不飽和モノマー;2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート等のリン酸基を有する重合性不飽和モノマー;2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収性官能基を有する重合性不飽和モノマー;4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の紫外線安定性重合性不飽和モノマー;アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等のカルボニル基を有する重合性不飽和モノマー化合物等が挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
水酸基含有樹脂(a4)は、低温での熱硬化性の点、及び得られる塗膜の耐水性の点から、30〜300mgKOH/g、特に40〜250mgKOH/g、さらに特に50〜200mgKOH/gの水酸基価を有することが好ましい。
水酸基含有樹脂(a4)は、後述するポリイソシアネート化合物(a5)、ラジカル重合性不飽和基含有化合物(a6)との反応性を高める点から、カルボキシル基などの酸基を有していることが好ましい。水酸基含有樹脂(a4)の酸価は、1〜25mgKOH/g、特に1〜20mgKOH/gの範囲内が好ましい。水酸基含有樹脂(a4)は、一般に3,000〜100,000、特に4,000〜50,000、さらに特に5,000〜30,000の範囲内の重量平均分子量を有することが好ましい。
ポリイソシアネート化合物(a5)
クリヤ塗料(A)は、ポリイソシアネート化合物(a5)を含有することができる。ポリイソシアネート化合物(a5)は、分子中にイソシアネート基を有する化合物であって、前記化合物(a1)や化合物(a2)の説明において例示したポリイソシアネート化合物が挙げられる。なかでも、塗膜の耐候性の点から脂肪族ポリイソシアネート類のイソシアヌレート環付加物が好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート環付加物が特に好ましい。
ラジカル重合性不飽和基含有化合物(a6)
ラジカル重合性不飽和基含有化合物(a6)は、カプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a61)とポリイソシアネート化合物(a62)とを反応してなり、イソシアネート当量が300〜3,800の範囲にある化合物である。
この化合物(a6)は、活性エネルギー線の照射による硬化性に優れ、かつ低温(具体的には、常温〜100℃)での硬化性に優れる。このことにより塗装工程における加熱温度の低温化及び加熱時間の短縮化が可能になる。また、この化合物(a6)を含む塗料組成物から得られる塗膜は、耐擦り傷性及び耐候性に優れる。さらに、水トレランスが0.5〜4.0であることが、化合物(a6)をクリヤ塗膜中に残存させる面からも好適である。
カプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a61)
カプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a61)は、以下の一般式で表わされる化合物を示す。
Figure 0005622277
(式中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数2〜6のアルキレン基を示し、mは3〜8の整数を示し、nは1〜5の整数を示す)
かかるカプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a61)としては、例えば、以下の一般式(I)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005622277
(式(I)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数2〜6のアルキレン基を示し、nは1〜5である)。
カプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、具体的には、「プラクセルFA−1」、「プラクセルFA−2」、「プラクセルFA−2D」、「プラクセルFA−3」、「プラクセルFA−4」、「プラクセルFA−5」、「プラクセルFM−1」、「プラクセルFM−2」、「プラクセルFM−2D」、「プラクセルFM−3」、「プラクセルFM−4」、「プラクセルFM−5」(いずれもダイセル化学社製、商品名)等を挙げることができる。なかでも、硬化性の点から、一般式(I)において、Rが水素原子であり、Rがエチレン基であるカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレートが好ましい。
ポリイソシアネート化合物(a62)
一方、ポリイソシアネート化合物(a62)は、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であって、前記化合物(a1)や化合物(a2)の説明において例示したポリイソシアネート化合物が挙げられる。
なかでも、塗膜の耐候性の点から、脂肪族ポリイソシアネート系化合物のイソシアヌレート環付加物が好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート環付加物が特に好ましい。
前記カプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a61)とポリイソシアネート化合物(a62)との反応は、ヒドロキシ基含有化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させる際の公知の方法によって行うことができる。
前記カプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(a61)及びポリイソシアネート化合物(a62)の配合割合は、得られるラジカル重合性不飽和基含有化合物(a6)のイソシアネート当量が上記範囲内となれば特に限定されない。
上記反応は、通常有機溶液中で行うことができる。有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤等が挙げられる。これらは1種又は2種以上の混合物として使用できる。反応温度は、常温〜100℃であるのが好ましく、反応時間は1〜10時間であるのが好ましい。
上記反応においては、必要に応じてジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジエチルヘキソエート、ジブチルスズサルファイト等の触媒を使用してもよい。触媒の添加量は、反応原料の総量100質量部に対して0.01〜1質量部であるのが好ましく、0.1〜0.5質量部であるのがより好ましい。また、ハイドロキノンモノメチルエーテル等の重合禁止剤を使用してもよい。重合禁止剤の添加量は、反応原料の総量100質量部に対して0.01〜1質量部であるのが好ましい。
ラジカル重合性不飽和基含有化合物(a6)は、イソシアネート基を有するため、カプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとポリイソシアネート化合物との反応における両者の混合比は、通常、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基がカプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのヒドロキシル基に対して当量比で過剰(イソシアネート基/ヒドロキシキル基>1.0)となる混合比である。そして、混合比を調節することでラジカル重合性不飽和基含有化合物(a6)のイソシアネート当量を調節することができる。
上記ラジカル重合性不飽和基含有化合物(a6)は300〜3,800の範囲のイソシアネート当量を有する。ラジカル重合性不飽和基含有化合物(a6)が上記範囲のイソシアネート基を有することにより、本発明の塗料組成物は低温での硬化性に優れる。ラジカル重合性不飽和基含有化合物(a6)のイソシアネート当量は、塗膜の耐擦り傷性の点から500〜2,500の範囲が好ましい。
ここで本明細書においてイソシアネート当量は、ジブチルアミンを用いた逆滴定により求められるイソシアネート当量である。逆滴定は、試料に過剰のジブチルアミンを加えて反応させ、滴定指示薬としてブロモフェノールブルーを用い残余のジブチルアミンを塩酸水溶液で滴定することにより行う。
さらにラジカル重合性不飽和基含有化合物(a6)は、不飽和基当量が300〜2,000であることが好ましい。より好ましくは500〜1,000である。不飽和基当量がこれら範囲であると、より耐擦り傷性及び耐候性に優れる塗膜を得ることができる。
ここで本明細書において不飽和基当量は、ラジカル重合性不飽和基にドデシルメルカプタンを付加し、残余のドデシルメルカプタンをヨウ素溶液で逆滴定することにより求められる。
コロイダルシリカ(a7)
必要に応じて配合されるコロイダルシリカ(a7)は、を含有するものである。コロイダルシリカ(a7)によって、得られる塗膜に耐擦り傷性を付与することができ、また耐擦り傷性や耐衝撃性向上にも寄与する。上記コロイダルシリカ(a7)の平均粒子径は、20〜350nm、より好ましくは40〜300nmである。
上記コロイダルシリカ(a7)は、溶剤中に分散安定化されたものが好適に使用できる。このようなコロイダルシリカ(a7)の市販品としては、スノーテックスMPA-ST、スノーテックスIPA−ST、スノーテックスIPA−ST−UP、スノーテックスIPA−ST−ZL、スノーテックスEG−ST、スノーテックスNPC−ST−30、スノーテックスDMAC−ST、スノーテックスMEK−ST、スノーテックスMEK−ST−UP、スノーテックスMEK−ST−L、スノーテックスMIBK−ST、スノーテックスXBA−ST、スノーテックスPMA−ST、スノーテックスPGM−ST(以上、日産化学工業社製)、NANOBYK−3650、NANOBYK−3651、NANOBYK−3652(以上、ビックケミー・ジャパン社製)、等を挙げることができる。
また、クリヤ塗料(A)中での安定性と活性エネルギー線照射による架橋性を付与するためにコロイダルシリカ表面に変性を行うことが好ましい。このような変性方法としては、上記コロイダルシリカに3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネートなどを反応させる方法が挙げられる。上記コロイダルシリカは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シルセスキオキサン化合物(a8)
必要に応じて配合されるシルセスキオキサン化合物(a8)は、ケイ素原子に直接に結合した有機基を有するシルセスキオキサン化合物であれば特に制限なく好適に使用することができる。有機基を有することでクリヤ塗料中での安定性が良好となる。
ここで、本明細書において「シルセスキオキサン化合物」は、Si−OH基(ヒドロキシシリル基)の全てが加水分解縮合した構造のシルセスキオキサン化合物のみを意味するのではなく、Si−OH基が残存したラダー構造、不完全籠型構造、ランダム縮合体のシルセスキオキサン化合物をも含むことができる。
前記シルセスキオキサン化合物(a8)は、Si−OH基の全てが加水分解縮合した構造のシルセスキオキサン化合物の割合が、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、特に好ましくは100質量%であることが液安定性及び耐候性の点から好ましい。
さらに、前記ケイ素原子に直接に結合した有機基の少なくとも1つがウレタン結合及び1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機基であるシルセスキオキサン化合物がより好適に使用できる。
前記シルセスキオキサン化合物(a8)として、例えば、前記ウレタン結合及び1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機基が、下記一般式(A)で表される有機基であるシスセスキオキサン化合物を挙げることができる。
Figure 0005622277
Figure 0005622277
Figure 0005622277
Figure 0005622277
ここで、シルセスキオキサン化合物(a8)としては、上記一般式(A)で表される有機基のうち、一種類を有していても、複数種類の有機基を有していてもよい。
いいかえると、シルセスキオキサン化合物(a8)としては、例えば、前記ウレタン結合及び1つの(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機基が、下記一般式(I)〜(III)で表される有機基からなる群より選択される少なくとも一種であるシルセスキオキサン化合物を挙げることができる。
Figure 0005622277
Figure 0005622277
Figure 0005622277
前記Rとしては、炭素数1〜10の2価の炭化水素基であれば特に限定されるものではない。具体的には例えば、メチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,4−ブチレン基、ヘキシレン基等のアルキレン基;シクロヘキシレン基等のシクロアルキレン基;フェニレン基、キシリレン基、ビフェニレン基等のアリーレン基等が挙げられる。なかでも、炭素数1〜6の2価の炭化水素基、特にエチレン基、1,2−プロピレン基、1,4−ブチレン基であることが、耐熱性、耐擦傷性及び極性の高い重合性不飽和化合物との相溶性がより優れる点から好ましい。
前記Rとしては、炭素数1〜10の2価の炭化水素基であれば特に限定されるものではない。具体的には例えば、メチレン基、エチレン基、1,2−プロピレン基、1,3−プロピレン基、1,2−ブチレン基、1,4−ブチレン基、ヘキシレン基等のアルキレン基;シクロヘキシレン基等のシクロアルキレン基;フェニレン基、キシリレン基、ビフェニレン基等のアリーレン基等が挙げられる。なかでも、炭素数1〜6の2価の炭化水素基、特にエチレン基、1,3−プロピレン基であることが、耐熱性、耐擦傷性及び極性の高い重合性不飽和化合物との相溶性がより優れる点から好ましい。
前記nとしては、0〜9の整数であれば特に限定されるものではない。nとしては、好ましくは0〜5の整数、さらに好ましくは0〜3の整数、特に好ましくは0又は1である。
前記Rとしては、置換又は非置換の炭素数1〜6の1価の炭化水素基であれば特に限定されるものではない。具体的には例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基等の直鎖状又は分岐状のアルキル基といった非環状脂肪族1価炭化水素基又は環状脂肪族1価炭化水素基;トリフルオロメチル基、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基等の含フッ素アルキル基等が挙げられる。特に、極性の高い重合性不飽和化合物との相溶性がより優れる点からメチル基が好ましい。
前記Rとしては、置換又は非置換の炭素数1〜6の1価の炭化水素基であれば特に限定されるものではない。具体的には例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロヘキシル基等の直鎖状又は分岐状のアルキル基といった非環状脂肪族1価炭化水素基又は環状脂肪族1価炭化水素基;トリフルオロメチル基、3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基等の含フッ素アルキル基等が挙げられる。特に、極性の高い重合性不飽和化合物との相溶性がより優れる点からメチル基が好ましい。
前記一般式(I)で表される有機基としては、耐熱性、耐擦傷性、極性の高い重合性不飽和化合物との相溶性及び活性エネルギー線硬化性がより優れる点から、Rが水素原子であり、Rがエチレン基又は1,4−ブチレン基であり、Rがエチレン基又は1,3−プロピレン基であり、かつnが0である有機基が好ましい。
前記一般式(II)で表される有機基としては、耐熱性、耐擦傷性、極性の高い重合性不飽和化合物との相溶性及び活性エネルギー線硬化性がより優れる点から、Rがメチル基であり、Rがエチレン基又は1,3−プロピレン基であり、Rが水素原子であり、かつRがエチレン基である有機基が好ましい。
前記一般式(III)で表される有機基としては、耐熱性、耐擦傷性、極性の高い重合性不飽和化合物との相溶性及び活性エネルギー線硬化性がより優れる点から、Rがメチル基であり、Rがエチレン基又は1,3−プロピレン基であり、Rが水素原子であり、かつRがエチレン基である有機基が好ましい。
前記シルセスキオキサン化合物(a8)は、単一の組成の化合物であってもよく、又は組成の異なる化合物の混合物であってもよい。前記シルセスキオキサン化合物(a8)の重量平均分子量は、特に限定されるものではない。好ましくは重量平均分子量が1,000〜100,000、より好ましくは重量平均分子量が1,000〜10,000である。これら範囲は、シルセスキオキサン化合物(a8)を配合して得られた塗膜の耐擦傷性向上の点で意義がある。
クリヤ塗料(A)には必要に応じて、硬化触媒、増粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、防錆剤、可塑剤、有機溶剤、表面調整剤、沈降防止剤等の通常の塗料用添加剤をそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて含有することができる。
クリヤ塗料(A)は、有機溶剤型塗料組成物及び水性塗料組成物のいずれであってもよいが、貯蔵安定性等の観点から、有機溶剤型塗料組成物であることが好適である。なお、本明細書において、水性塗料組成物は溶媒の主成分が水である塗料であり、有機溶剤型塗料組成物は溶媒として実質的に水を含有しない塗料である。
有機溶剤型塗料の場合に使用される有機溶剤は特に限定されない。具体的には、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、エチルイソアミルケトン、ジイソブチルケトン、メチルへキシルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、プロピオン酸メチル等のエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のグリコールエーテル系溶剤;芳香族炭化水素系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤等が挙げられる。
クリヤ塗料(A)において、各成分の含有量は下記のとおりとすることが、
本発明による課題達成のために好適である。
アクリロイル基を有する化合物(a1)の含有量は、クリヤ塗料(A)の固形分100質量部に対して4〜95質量部であり、好ましくは10〜90質量部である。これら範囲は、活性エネルギー線に対する反応性の点で意義がある。
化合物(a2)の含有量は、クリヤ塗料(A)の固形分100質量部に対して4〜95質量部であり、好ましくは10〜90質量部である。これら範囲は、耐擦り傷性、耐候性及び耐酸性の点で意義がある。
光重合開始剤(a3)の含有量は、クリヤ塗料(A)の固形分100質量部に対して、1〜8質量部であり、好ましくは1.5〜6質量部である。これら範囲は、活性エネルギー線に対する反応性の点で意義がある。
なお、必要に応じて配合される水酸基含有樹脂(a4)の含有量は、クリヤ塗料(A)の固形分100質量部に対して、40質量部未満、好ましくは10〜30質量部である。これら範囲は、低温硬化性の点で意義がある。
なお、必要に応じて配合されるポリイソシアネート化合物(a5)の含有量は、クリヤ塗料(A)の固形分100質量部に対して、30質量部未満であり、好ましくは10〜25質量部である。これら範囲は、低温硬化性の点で意義がある。
なお、必要に応じて配合されるラジカル重合性不飽和基含有化合物(a6)
の含有量は、クリヤ塗料(A)の固形分100質量部に対して、70質量部未満であり、好ましくは10〜55質量部である。これら範囲は、耐擦り傷性や耐候性の点からも好ましい。
なお、必要に応じて配合されるコロイダルシリカ(a7)の含有量は、クリヤ塗料(A)の固形分100質量部に対して、30質量部以下であり、好ましくは1〜25質量部である。これらの範囲は、耐擦り傷性、耐衝撃性向上の点で意義がある。
なお、必要に応じて配合されるシルセスキオキサン化合物(a8)の含有量は、クリヤ塗料(A)の固形分100質量部に対して、30質量部以下であり、好ましくは1〜25質量部である。これらの範囲は、層間付着性で意義がある。
クリヤ塗料(A)は、さらに必要に応じて、硬化触媒、増粘剤、消泡剤、防錆剤、可塑剤、有機溶剤、表面調整剤、沈降防止剤等の通常の塗料用添加剤をそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて含有することができる。
クリヤ塗料(A)は、有機溶剤型塗料組成物及び水性塗料組成物のいずれであってもよいが、貯蔵安定性等の観点から、有機溶剤型塗料組成物であることが好適である。なお、本明細書において、水性塗料組成物は溶媒の主成分が水である塗料であり、有機溶剤型塗料組成物は溶媒として実質的に水を含有しない塗料である。
有機溶剤型塗料の場合に使用される有機溶剤は特に限定されない。具体的には、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、エチルイソアミルケトン、ジイソブチルケトン、メチルへキシルケトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、プロピオン酸メチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のグリコールエーテル類;芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類等が挙げられる。
次いで、着色塗料(B)について述べる。
着色塗料(B):
着色塗料(B)は、有機溶剤型塗料組成物及び水性塗料組成物のいずれであってもよい。なお、本明細書において、水性塗料組成物は溶媒の主成分が水である塗料であり、有機溶剤型塗料組成物は溶媒として実質的に水を含有しない塗料である。
着色塗料(B)としては、基体樹脂と塗料の着色のために通常用いられる着色顔料及び/又はメタリック顔料、必要に応じて架橋剤を含む塗料を好適に使用できる。
基体樹脂としては、例えば、架橋反応しうる官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂などの樹脂を、好適に使用できる。架橋反応しうる官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、カルボニル基等を挙げることができる。
また水性塗料の場合には、上記基体樹脂は、架橋剤と架橋反応しうる官能基に加えて、樹脂を水溶性化又は水分散化するのに十分な量の親水性基を有する。親水性基としては、例えば、カルボキシル基、水酸基、メチロール基、アミノ基、スルホン酸基、ポリオキシエチレン結合などを挙げることができる。これらの親水性基の種類に依存して、例えば、塩基性物質又は酸で中和することにより、基体樹脂を水溶化又は水分散化することができる。また、基体樹脂の重合による製造に際して、モノマー成分を界面活性剤や水溶性高分子物質の存在下に乳化重合することによっても基体樹脂の水分散化を行うことができる。基体樹脂としては、中でも、水酸基及びカルボキシル基を有するアクリル樹脂又はポリエステル樹脂が好適である。
水酸基及びカルボキシル基を有するアクリル樹脂は、通常、水酸基価が50〜600mgKOH/g程度の範囲、酸価が10〜100mgKOH/g程度の範囲、数平均分子量が1,000〜100,000程度の範囲であることが好ましい。また、水酸基及びカルボキシル基を有するポリエステル樹脂は、通常、水酸基価が20〜800mgKOH/g程度の範囲、酸価が4〜200mgKOH/g程度の範囲、重量平均分子量が500〜500,000程度の範囲であることが好ましい。
基体樹脂としては、被塗物がポリプロピレン樹脂等のプラスチック材料である場合には、塗膜の付着性の観点から、塩素化ポリオレフィン及び/又はポリオレフィンを併用することもできる。
塩素化ポリオレフィンは、ポリオレフィンの塩素化物であって、塩素化するポリオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、メチルブテン、イソプレン等から選ばれる少なくとも1種のオレフィン類のラジカル単独重合体又は共重合体、及び該オレフィン類と酢酸ビニル、ブタジエン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどとのラジカル共重合体が挙げられる。
塩素化ポリオレフィン及び/又はポリオレフィンは、一般に、30,000〜200,000、特に50,000〜150,000の範囲内の重量平均分子量を有することができ、また、塩素化率は50質量%以下、好ましくは10〜45質量%、より好ましくは10〜35質量%の範囲内である。
塩素化ポリオレフィンとしては、特に、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩素化エチレン−プロピレン共重合体、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体などが好適である。また、塩素化ポリオレフィンに重合性モノマーをグラフト重合させたものも使用することができる。
上記グラフト重合させる重合性モノマーとして、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートとモノカルボン酸との付加物、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
また、塩素化ポリオレフィン及び/又はポリオレフィンに水分散性を付与する場合には、重合性不飽和ジカルボン酸又はその無水物のような親水性モノマーの少なくとも1種を既知の方法によりグラフト重合させることもできる。重合性不飽和ジカルボン酸又はその無水物は、1分子中に1個の重合性不飽和結合と2個以上のカルボキシル基、又はその無水基を有する化合物であり、例えば、マレイン酸及びその無水物、イタコン酸及びその無水物、シトラコン酸及びその無水物などが挙げられる。これらの親水性モノマーの使用量は、塩素化ポリオレフィンとの合計量に基づいて90〜10質量%、特に80〜30質量%の範囲内が好適である。
架橋剤としては、ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、カルボジイミド樹脂、ポリヒドラジド化合物、グリシジル基含有化合物などを使用することができる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、水添4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート、これらのジイソシアネート化合物の各種誘導体等の1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物を使用することができる。
メラミン樹脂としては、特に、トリアジン核1個あたり平均3個以上のメチロール基を有するメチロール化メラミン樹脂;メチロール化メラミン樹脂に炭素数1〜10のモノアルコールを反応させて得られる部分又はフルエーテル化メラミン樹脂などが使用できる。これらのメラミン樹脂はイミノ基が併存しているものも使用できる。これらは疎水性及び親水性のいずれでも差し支えない。
カルボジイミド樹脂としては、上記ポリカルボジイミド化合物としては、得られる塗膜の平滑性などの観点から、水溶性又は水分散性のポリカルボジイミド化合物を使用することが好ましい。該水溶性又は水分散性のポリカルボジイミド化合物は、水性媒体中に安定に溶解又は分散し得るポリカルボジイミド化合物であれば、特に制限なく使用することができる。上記水溶性ポリカルボジイミド化合物としては、具体的には、例えば、「カルボジライトSV−02」、「カルボジライトV−02」、「カルボジライトV−02−L2」「カルボジライトV−04」(いずれも日清紡社製、商品名)等を使用することができる。また、上記水分散性ポリカルボジイミド化合物としては、例えば、「カルボジライトE−01」、「カルボジライトE−02」(いずれも日清紡社製、商品名)等を使用することができる。なおこれらのポリカルボジイミド化合物は、基体樹脂の水酸基と反応する。
ポリヒドラジド化合物としては、1分子当たり少なくとも2個以上のヒドラジド基を有するものである。ポリヒドラジド化合物の具体例としては、例えば、蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、こはく酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジドなどの炭素数2〜18の飽和脂肪族カルボン酸のジヒドラジド;マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジドなどのモノオレフィン性不飽和ジカルボン酸のジヒドラジド;フタル酸、テレフタル酸又はイソフタル酸のジヒドラジド;ピロメリット酸のジヒドラジド、トリヒドラジド又はテトラヒドラジド;ニトリロトリ酢酸トリヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド;エチレンジアミンテトラ酢酸テトラヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド;カルボン酸低級アルキルエステル基を有する低重合体をヒドラジン又はヒドラジン水化物(ヒドラジンヒドラード)と反応させてなるポリヒドラジド等を挙げることができ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
また、グリシジル基含有化合物としては、1分子中にグリシジル基を1個以上、好ましくは2個以上有する化合物である。グリシジル基含有化合物は、グリシジル基以外に、カチオン重合性の基又は環(例えば、脂環式エポキシ基、ビニル基、ビシクロオルソエステル基、スピロオルソカーボネート基などのカチオン重合性の基;オキセタン環などのカチオン重合性の環)を有さないものである。
グリシジル基含有化合物の具体例としては、例えば、ジグリシジルエーテル、2−グリシジルフェニルグリシジルエーテル、2,6−ジグリシジルフェニルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル化合物;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂などのグリシジルエーテル基又はグリシジルエステル基を有するエポキシ樹脂;グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有重合性不飽和モノマーと、必要に応じて、その他の重合性不飽和モノマーとの(共)重合体等を挙げることができる。
上記の基体樹脂と架橋剤の配合割合は、両成分の固形分合計100質量部に対して、基体樹脂が60〜95質量部、好ましくは70〜90質量部、架橋剤が5〜40質量部、好ましくは10〜30質量部の割合で使用することができる。
着色顔料としては、アルミニウムペースト、パール粉、グラファイト、MIO等の光輝顔料、チタン白、フタロシアニンブルー、カーボンブラック等が挙げられ、必要に応じて、体質顔料を配合してもよい。着色顔料の配合量は特に限定されないが、例えば、着色塗料(B)の樹脂不揮発分100質量部に対して、1〜150質量部の範囲が好ましく、より好ましくは1〜100質量部の範囲である。
また、着色塗料(B)には、架橋反応を促進させるための硬化触媒として、例えば、オクチル酸錫、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、ジオクチル錫ジ(2−エチルヘキサノート)、ジオクチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、モノブチル錫トリオクテート、2−エチルヘキサン酸鉛、オクチル酸亜鉛などの有機金属化合物を適宜配合することができる。
これらの硬化触媒の配合量は、通常、基体樹脂と架橋剤の合計100質量部あたり0.005〜5質量部、好ましくは0.01〜3質量部の範囲内とすることができる。
着色塗料(B)には、さらに必要に応じて、紫外線吸収剤、光安定剤、酸加防止剤、表面調整剤、顔料分散剤、硬化触媒、体質顔料、沈降防止剤、消泡剤、増粘剤、防錆剤、などを適宜配合してもよい。
着色塗料(B)は、以上に述べた各成分をそれ自体既知の方法で、溶媒に溶解ないし分散させ塗料化することにより調製することができる。上記溶媒としては、有機溶剤や水が使用でき、このうち有機溶剤として、炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、アルコール系溶剤、ケトン系溶剤などの通常の塗料用溶剤が使用できる。また、着色塗料(B)は、フォードカップNo.4(20℃)で10〜40秒間程度の範囲の粘度が得られるように、固形分濃度を20〜60質量%程度の範囲内となるように調整して塗装することが好ましい。
着色塗料(B)には、クリヤ塗料(A)に用いた光重合開始剤(a3)を配合することができる。光重合開始剤(a3)を含有することによって、クリア塗料(A)から染み込んだ化合物(a1)を活性エネルギー線の照射によって硬化することができる。
[複層塗膜形成方法]
本発明の複層塗膜形成方法は、被塗物に、着色塗料(B)を塗装して着色塗膜を形成する工程、着色塗膜上にクリヤ塗料(A)を塗装してクリヤ塗膜を形成する工程、並びに活性エネルギー線を照射して着色塗膜とクリヤ塗膜を同時に硬化させる工程を含む方法である。次に、好ましい実施形態について述べる。
被塗物は特に限定されない。例えば、鉄、アルミニウム、真鍮、銅、ステンレス鋼、ブリキ、亜鉛メッキ鋼、合金化亜鉛(Zn−Al、Zn−Ni、Zn−Fe等)メッキ鋼等の金属材料;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂や各種のFRP等のプラスチック材料;ガラス、セメント、コンクリート等の無機材料;木材;繊維材料(紙、布等)等を挙げることができ、なかでも金属材料及びプラスチック材料が好適である。
また、塗膜形成方法が適用される被塗物の用途としては、特に制限されず、例えば、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体の外板部;自動車部品;携帯電話、オーディオ機器等の家庭電気製品の外板部等を挙げることができ、なかでも自動車車体の外板部及び自動車部品が好ましい。
被塗物は、上記金属材料やそれから成形された車体等の金属表面に、例えば、リン酸塩処理、クロメート処理、ジルコニウム処理、複合酸化物処理等の表面処理が施されたものであってもよい。また、被塗物は、上記金属材料や車体等に各種電着塗膜や、水性又は有機溶剤型の中塗塗膜の未硬化又は硬化塗膜であってもよく、さらに必要に応じて予備加熱(プレヒート)を施したものであってもよい。
また、被塗物は、上記プラスチック材料に、水性又は有機溶剤型プライマー塗膜の未硬化又は硬化塗膜であってもよく、さらに必要に応じて未硬化塗膜に
予備加熱(プレヒート)を施したものであってもよい。
ここで熱乾燥炉の焼付け回数やエネルギー消費量を抑える省工程や省エネルギーの面から、上記プライマー塗料は有機溶剤型プライマーを用いて予備加熱(プレヒート)を施さず、かつプライマー塗膜上に塗装される着色塗料は、水性塗料を用いることが望ましい。
着色塗料(B)は、それ自体既知の方法、例えば、エアースプレー、エアレススプレー、静電塗装などにより塗装することができ、塗装膜厚は、通常、乾燥塗膜で10〜100μm、好ましくは10〜35μmとなる範囲内とすることができる。
塗装後の塗膜は、通常、塗装された被塗物を乾燥炉内で60〜120℃、好
ましくは70〜110℃の温度で1〜60分間直接的又は間接的に予備加熱(プレヒート)するか、或いは被塗物の塗装面を常温又は25〜70℃未満の温度雰囲気下でセッティングを行うことができる。
クリヤ塗料(A)を塗装する方法は、特に限定されるものではない。例えば、エアスプレー、エアレススプレー、回転霧化塗装機、浸漬塗装、刷毛等により塗装することができる。塗装の際、静電印加を行ってもよい。塗装膜厚は、硬化膜厚で通常10〜100μm、好ましくは10〜50μm範囲内とすることができる。
塗装後には、塗装直後の塗膜の揮発分を減少させる又は揮発分を除去するために、予備加熱(プレヒート)、エアブローを行うことができる。プレヒートは、通常、塗装された被塗物を乾燥炉内で、50〜110℃、好ましくは60〜90℃の温度で1〜30分間直接的又は間接的に加熱することにより行うことができる。また、エアブローは、通常、被塗物の塗装面に常温又は25℃〜80℃の温度に加熱された空気を吹き付けることにより行うことができる。
クリヤ塗料(A)を硬化させる際には、活性エネルギー線を照射、必要に応じて加熱を行う。
加熱を行う場合、活性エネルギー線照射、加熱の順序は特に限定されず、加熱の後に活性エネルギー線照射を行ってもよく、活性エネルギー線照射の後に加熱を行ってもよく、加熱と活性エネルギー線照射とを同時に行ってもよい。
また、上記の加熱と活性エネルギー線照射とを同時に行う際には、活性エネルギー線の照射源からの熱(例えばランプが発する熱)を熱源としてもよい。さらに、加熱の後に活性エネルギー線照射を行う際には、被塗物が熱を帯びた状態(余熱を持った状態)で活性エネルギー線照射を行ってもよい。
上記活性エネルギー線としては、例えば紫外線、可視光線、レーザー光(近赤外線、可視光レーザー、紫外線レーザー等)が挙げられる。その照射量は、通常100〜5,000mJ/cm、好ましくは300〜3,000mJ/cmの範囲内が好ましい。また、活性エネルギー線の照射源としては、従来から使用されているもの、例えば超高圧、高圧、中圧、低圧の水銀灯、FusionUV社製無電極ランプ、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等の各光源により得られる光源や紫外カットフィルターによりカットした可視領域の光線や可視領域に発振線を持つ各種レーザー等が使用できる。また、パルス発光型のパルスキセノンランプも使用できる。パルス発光で発生した反応開始成分は短時間で消失することが多く、光照射後ある時間内に次の発光を行うことにより反応開始成分を系内に安定して供給できる。これらの発光光源の中でも、短時間発光に優れたパルス発光型のキセノンランプが好ましい。パルス発光型のキセノンランプを使用することで、強いエネルギー線を短時間に照射できることから、酸素による表面硬化阻害を抑制することができ、その結果、塗膜の耐擦り傷性が向上する。
また、前記のランプ発光特性としては、広範囲の波長分布を示すが200〜800nmの発光波長分布のなかで最大発光強度を示す波長をピーク波長と定義し、このピーク波長が250〜600nm、特に好ましくは300〜500nmであれば良好に硬化が進行する。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、「部」及び「%」は、別記しない限り「質量部」及び「質量%」を示す。
[クリヤ塗料(A)]
化合物(a1)の製造
製造例1 化合物No.1溶液の製造例
温度計、サーモスタット、撹拌機、還流冷却器及び空気吹込装置を備え付けた反応容器に、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート210部、2−ヒドロキシエチルアクリレート232部、ジブチルチンジラウレート0.2部、酢酸ブチル111部及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.7部を仕込み、反応容器内に空気を吹き込みながら、80℃に昇温してその温度に5時間保ち、加えたトリメチルヘキサメチレンジイソシアネートが実質的に全て反応したのを確認して、不揮発分80%の化合物No.1溶液を得た。
化合物No.1の水トレランス11.3、重量平均分子量450、平均官能基数2.1であった。
製造例2 化合物No.2溶液の製造例
温度計、サーモスタット、撹拌機、還流冷却器及び空気吹込装置を備え付けた反応容器に、イソホロンジイソシアネート222部、ペンタエリスリトールトリアクリレート704部、ジブチルチンジラウレート0.2部、酢酸ブチル232部及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.7部を仕込み、反応容器内に空気を吹き込みながら、80℃に昇温してその温度に5時間保ち、加えたイソホロンジイソシアネートが実質的に全て反応したのを確認して、不揮発分80%の化合物No.2溶液を得た。
化合物No.2の水トレランス6.5、重量平均分子量1,000、平均官能基数6.0であった。
製造例3 化合物No.3溶液の製造例
温度計、サーモスタット、撹拌機、還流冷却器及び空気吹込装置を備え付けた反応容器に、ヘキサメチレンジイソシアネート168部、ペンタエリスリトールトリアクリレート704部、ジブチルチンジラウレート0.2部、酢酸ブチル218部及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.7部を仕込み、反応容器内に空気を吹き込みながら、80℃に昇温してその温度に5時間保ち、加えたヘキサメチレンジイソシアネートが実質的に全て反応したのを確認して、不揮発分80%の化合物No.3溶液を得た。
化合物No.3の水トレランス5.7、重量平均分子量800、平均官能基数6.0であった。
化合物(a2)の製造例
製造例4 化合物No.4溶液の製造例
温度計、サーモスタット、撹拌機、還流冷却器及び空気吹込装置を備え付けた反応容器に、ヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート型5量体841部、ペンタエリスリトールトリアクリレート704部、ジブチルチンジラウレート0.2部、酢酸ブチル386部及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.7部を仕込み、反応容器内に空気を吹き込みながら、80℃に昇温してその温度に5時間保ち、イソシアネート基が実質的に全て反応したのを確認して、不揮発分80%の化合物No.4溶液を得た。
化合物No.4の水トレランス3.1、重量平均分子量2500、平均官能基数5.8であった。
製造例5 化合物No.5溶液の製造例
攪拌機、温度計、還流冷却器、及び滴下装置を備えた反応容器に、キシレン95部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら100℃で攪拌し、この中にイソボルニルメタクリレート15部、n−ブチルメタクリレート15部、グリシジルメタクリレート70部、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4部の混合物を3時間かけて均一速度で滴下し、さらに同温度で2時間熟成した。その後、さらにキシレン5部及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5部の混合物を1時間かけて反応容器に滴下し、滴下終了後1時間熟成させ、グリシジル基含有アクリル樹脂溶液を得た。
さらに、該グリシジル基含有アクリル樹脂溶液に、アクリル酸29.6部、t−ブチルアンモニウムブロマイド0.5部を酢酸ブチル10.9部に溶解した溶液を加えて8時間反応させ、不揮発分55%の化合物No.5溶液を得た。
化合物No.5の水トレランス1.8、重量平均分子量20,000、平均官能基数63.4であった。
製造例6 化合物No.6溶液の製造例
攪拌機、温度計、還流冷却器、及び滴下装置を備えた反応容器に、キシレン95部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら100℃で攪拌し、この中にイソボルニルアクリレート15部、n−ブチルメタクリレート15部、グリシジルメタクリレート70部、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル5部の混合物を3時間かけて均一速度で滴下し、さらに同温度で2時間熟成した。
その後、さらにキシレン5部及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5部の混合物を1時間かけて反応容器に滴下し、滴下終了後1時間熟成させ、グリシジル基含有アクリル樹脂溶液を得た。
さらに、該グリシジル基含有アクリル樹脂溶液に、アクリル酸29.6部、t−ブチルアンモニウムブロマイド0.5部を酢酸ブチル10.9部に溶解した溶液を加えて8時間反応させ、不揮発分55%の化合物No.6溶液を得た。
化合物No.6の水トレランス3.0、重量平均分子量15,000、平均官能基数47.6であった。
製造例7 化合物No.7溶液の製造例
攪拌機、温度計、還流冷却器、及び滴下装置を備えた反応容器に、キシレン95部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら100℃で攪拌し、この中に、n−ブチルメタクリレート30部、グリシジルメタクリレート70部、及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル6部の混合物を3時間かけて均一速度で滴下し、さらに同温度で2時間熟成した。その後、さらにキシレン5部及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5部の混合物を1時間かけて反応容器に滴下し、滴下終了後1時間熟成させ、グリシジル基含有アクリル樹脂溶液を得た。
さらに、該グリシジル基含有アクリル樹脂溶液に、アクリル酸29.6部、t−ブチルアンモニウムブロマイド0.5部を酢酸ブチル10.9部に溶解した溶液を加えて8時間反応させ、不揮発分55%の化合物No.7溶液を得た。
化合物No.7の水トレランス4.4、重量平均分子量7,000、平均官能基数22.2であった。
水酸基含有樹脂(a4)の製造
製造例8 水酸基含有アクリル樹脂No.1溶液の製造
攪拌機、温度計、還流冷却器、及び滴下装置を備えた反応容器に、キシレン80部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら100℃で攪拌し、この中にスチレン10部、メチルメタクリレート40部、i−ブチルメタクリレート8部、n−ブチルアクリレート20部、2−ヒドロキシエチルアクリレート20部、アクリル酸2部及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4部の混合物を3時間かけて均一速度で滴下し、さらに同温度で2時間熟成した。その後、さらにキシレン10部及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5部の混合物を1時間かけて反応容器に滴下し、滴下終了後1時間熟成させ、固形分55%の水酸基含有アクリル樹脂No.1溶液を得た。
得られた水酸基含有アクリル樹脂No.1の酸価は、15.6mgKOH/g、水酸基価は96.6mgKOH/g、重量平均分子量は20,000であった。
製造例9 水酸基含有アクリル樹脂No.2溶液の製造
攪拌機、温度計、還流冷却器、及び滴下装置を備えた反応容器に、キシレン80部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら100℃で攪拌し、この中にスチレン10部、メチルメタクリレート40部、i−ブチルメタクリレート8部、n−ブチルアクリレート10部、2−ヒドロキシエチルアクリレート30部、アクリル酸2部及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4部の混合物を3時間かけて均一速度で滴下し、さらに同温度で2時間熟成した。その後、さらにキシレン10部及び2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5部の混合物を1時間かけて反応容器に滴下し、滴下終了後1時間熟成させ、不揮発分55%の水酸基含有アクリル樹脂No.2溶液を得た。得られた水酸基含有アクリル樹脂No.2の酸価は15.6mgKOH/g、水酸基価は144.9mgKOH/g、重量平均分子量は20,000であった。
ラジカル重合性不飽和基含有化合物(a6)の製造
製造例10 ラジカル重合性不飽和基含有化合物(a6)溶液の製造
攪拌機、温度計、還流冷却器、及び滴下装置を備えた反応容器に、メトキシプロピルアセテート25.3部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート環付加物(NCO含量21%)50.0部、ジブチルスズジラウレート0.02部、及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.2部の混合物を仕込んだ。該混合物を攪拌しながら、50℃まで加熱した。続いて、混合物の温度が60℃を超えないようにしながら、プラクセルFA−2D(商品名、ダイセル化学社製、カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート)51.1部を8時間かけて滴下し、混合物を60℃で更に1時間撹拌し、不揮発分80%のラジカル重合性不飽和基含有化合物(a6)溶液を得た。得られたラジカル重合性不飽和基含有化合物のイソシアネート当量は681、不飽和基当量は681、重量平均分子量は1,021であった。
コロイダルシリカ(a7)の製造例
製造例11 変性コロイダルシリカNo.1溶液の製造
サーモスタット、撹拌機、還流冷却器及び空気吹込装置を備え付けた反応容器にスノーテックスPMT−ST(日産化学工業社製、商品名、コロイダルシリカ、30%)333.3部(固形分100部)、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン5部を仕込み、反応容器内に乾燥空気を吹き込みながら80℃に昇温した。その温度に3時間保ち、仕込んだ3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランが実質的に全てPMT−STと反応したのを確認した後、冷却して、固形分31%の変性コロイダルシリカNo.1溶液を得た。
シルセスキオキサン化合物(a8)の製造例
製造例12 生成物(a8−1)
還流冷却器、温度計、空気導入管、攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン685部、2−ヒドロキシエチルアクリレート315部、p−メトキシフェノール1部を仕込み、乾燥空気を吹き込みながら100℃で12時間反応させ、生成物(P1)を得た。
次に、還流冷却器、温度計、攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、生成物(P1)728部、テトラヒドロフラン2800部を入れて常温で攪拌した。テトララブチルアンモニウムフルオリド三水和物4部を脱イオン水54部に溶解してフラスコに投入し、20℃にて24時間反応させた。1−メトキシ−2−プロパノール500部を入れて、減圧蒸留にて揮発分を除去した後、更に1−メトキシ−2−プロパノール500部を入れて減圧蒸留し、溶媒を交換した。生成物を1000部に調整し、固形分50%の生成物(a8−1)溶液1000部を得た。
生成物(a8−1)について29Si−NMR分析を行った結果、Siに結合した3つの酸素原子が全て他のSiと結合したT3構造に由来する−70ppm付近のピークのみが確認され、T0,T1、T2構造に由来するピークは観測されなかった。
また、生成物(a8−1)についてH−NMR分析を行った結果、Siに結合したメチレン基に由来する0.6ppmのピークが確認された。また、アクリロイルオキシ基の炭素−炭素不飽和結合に由来する5.9ppm、6.1ppm、6.4ppmのピークが確認された。これらのピーク強度比より計算したSiに結合したメチレン基に対するアクリロイルオキシ基の炭素−炭素不飽和結合のモル比率は、1.01であった。
また、生成物(a8−1)についてFT−IR分析を行った結果、ウレタン結合に帰属する1540cm−1付近のピークが確認された。
また、生成物(a8−1)についてゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)分析を行った結果、重量平均分子量は2,500であった。
生成物(a8−1)についての前記29Si−NMR、H−NMR、FT−IR、GPCの結果から、生成物(a8−1)が、ケイ素原子に直接に結合した有機基の全てが下記式(1)で表される有機基
Figure 0005622277
式(1)
を有するシルセスキオキサン化合物であって、該シルセスキオキサン化合物がSi−OH基のほとんど全てが加水分解縮合した構造である重量平均分子量2,500のシルセスキオキサン化合物であることが確認された。
製造例13 生成物(a8−2)
還流冷却器、温度計、空気導入管、攪拌機を取り付けたセパラブルフラスコに、Glycidyl POSS cage mixture(商品名、Hybrid Plastics社製)100部及び酢酸ブチル140部を仕込み、60℃で攪拌しながら溶解させた。ここに酢酸40部、p−メトキシフェノール0.5部、及びテトラブチルアンモニウムブロミド10部を仕込み、乾燥空気を吹き込みながら120℃で12時間反応させた。80℃まで冷却し、2−イソシアネートエチルアクリレート85部を加えて80℃で10時間反応させた後、減圧蒸留にて揮発分を除去し、1−メトキシ−2−プロパノールを500g加えてさらに減圧蒸留し、固形分50%の生成物(a8−2)溶液を得た。
原材料として用いたGlycidyl POSS cage mixtureは、3−グリシドキシプロピル基含有籠型ポリシルセスキオキサンであり、重量平均分子量は1,800、エポキシ当量は168g/eqであった。
生成物(a8−2)について29Si−NMR分析を行った結果、Siに結合した3つの酸素原子が全て他のSiと結合したT3構造に由来する−70ppm付近のピークのみが確認され、ヒドロキシシリル基の存在を示すT1やT2構造に由来するピークは確認されなかった。
また、生成物(a8−2)についてH−NMR分析を行った結果、Siに結合したメチレン基に由来する0.6ppmのピークが確認された。また、アクリロイルオキシ基の炭素−炭素不飽和結合に由来する5.9ppm、6.1ppm、6.4ppmのピークが確認された。これらのピーク強度比より計算したSiに結合したメチレン基に対するアクリロイルオキシ基の炭素−炭素不飽和結合のモル比率は、1.00であった。また、エポキシ基に帰属するピークは確認されなかった。滴定によって求めたエポキシ当量は10,000g/eq以上であった。
また、生成物(a8−2)についてFT−IR分析を行った結果、原材料であるGlycidyl POSS cage mixtureにおいて確認されなかったウレタン結合に帰属する1540cm−1付近の幅広いピークが確認された。
また、生成物(a8−2)についてGPC分析を行った結果、重量平均分子量は4,000であった。
生成物(a8−2)についての前記29Si−NMR、H−NMR、FT−IR、GPCの結果から、生成物(a8−2)が、ケイ素原子に直接に結合した有機基の全てが下記式(2)で表される有機基
Figure 0005622277
式(2)
を有するシルセスキオキサン化合物であって、該シルセスキオキサン化合物の55%以上がSi−OH基の全てが加水分解縮合した構造である重量平均分子量4,000のシルセスキオキサン化合物であることが確認された。
クリヤ塗料(A)の製造
製造例14 クリヤ塗料No.1の製造
製造例1で得られた化合物No.1を25部(固形分20部)、製造例4で得られた化合物No.4を100部(固形分80部)、ダロキュア1173(注5)3.0部、酢酸ブチル129.5部を均一に混合し、固形分40%のクリヤ塗料No.1を得た。
なおクリヤ塗料No.1の化合物No.1と化合物No.4の水トレランスの差は、8.2であった。
製造例15〜51 クリヤ塗料No.2〜No.38の製造
各成分の配合を表1〜表3に示す配合とする以外は製造例14と同様にして、クリヤ塗料No.2〜No.38を得た。
Figure 0005622277
(注1)PETA:ペンタエリスリトールトリアクリレート、平均官能基数3、水トレランス15.8
(注2)TMPTA:トリメトロールプロパントリアクリレート、平均官能基数3、水トレランス7.2
(注3)UN−901T:根上工業社製、商品名、ウレタンアクリレート、平均官能基数9、水トレランス1.5
Figure 0005622277
Figure 0005622277
(注4)ダロキュアTPO:チバ スペシャルティ ケミカルズ社製、商品名、光重合開始剤
(注5)ダロキュア1173:チバ スペシャルティ ケミカルズ社製、商品名、光重合開始剤
(注6)イルガキュア500:チバ スペシャルティ ケミカルズ社製、商品名、光重合開始剤
(注7)スノーテックスMPA−ST:日産化学社製、商品名、コロイダルシリカ、固形分40%。
比較製造例1〜7 クリヤ塗料No.39〜No.45の製造
各成分の配合を表4に示す配合とする以外は製造例11と同様にして、クリヤ塗料No.39〜No.45を得た。
Figure 0005622277
着色塗料(B)の製造
製造例52 着色塗料No.1
レタンPGハイブリッドエコサンメタリック塗料(関西ペイント社製、商品名、ラッカー型塗料)の50部に対して、レタンPGエコシンナー30(関西ペイント社製、混合シンナー)を50部加えて攪拌し、着色塗料No.1溶液を得た。
製造例53 着色塗料No.2
レタンPGハイブリッドエコサンメタリック(関西ペイント社製、商品名、ラッカー型塗料)の50部に対して、レタンPGエコシンナー30(関西ペイント社製、混合シンナー)を50部、ダロキュアTPO(注4)を1部加えて攪拌し、着色塗料No.2溶液を得た。
製造例54 水酸基含有アクリル樹脂エマルションの製造
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器に脱イオン水130部及びアクアロンKH−10(注8)0.52部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温した。次いで下記のモノマー乳化物(1)のうちの全量の1%量及び6%過硫酸アンモニウム水溶液5.3部とを反応容器内に導入し80℃で15分間保持した。その後、残りのモノマー乳化物(1)を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行った。その後、下記のモノマー乳化物(2)を1時間かけて滴下し、1時間熟成した後、5%ジメチルエタノールアミン水溶液40部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却し、100メッシュのナイロンクロスで濾過しながら排出し、平均粒子径100nm[サブミクロン粒度分布測定装置「COULTER N4型」(ベックマン・コールター社製)を用いて、脱イオン水で希釈し20℃で測定した。]、不揮発分30%、酸価33mgKOH/g、水酸基価25mgKOH/gの水酸基含有アクリル樹脂エマルションを得た。
(注8)アクアロンKH−10:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩エステルアンモニウム塩:第一工業製薬社製、有効成分97%。
モノマー乳化物(1):脱イオン水42部、アクアロンKH−10(注7参照)0.72部、メチレンビスアクリルアミド2.1部、スチレン2.8部、メチルメタクリレート16.1部、エチルアクリレート28部及びn−ブチルアクリレート21部を混合攪拌して、モノマー乳化物(1)を得た。
モノマー乳化物(2):脱イオン水18部、アクアロンKH−10(注7参照)0.31部、過硫酸アンモニウム0.03部、メタクリル酸5.1部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5.1部、スチレン3部、メチルメタクリレート6部、エチルアクリレート1.8部及びn−ブチルアクリレート9部を混合攪拌して、モノマー乳化物(2)を得た。
製造例54 水酸基含有ポリエステル樹脂溶液(PE1)の製造
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器及び水分離器を備えた反応容器に、トリメチロールプロパン109部、1,6−ヘキサンジオール141部、ヘキサヒドロ無水フタル酸126部及びアジピン酸120部を仕込み、160℃〜230℃の間を3時間かけて昇温させた後、230℃で4時間縮合反応させた。次いで、得られた縮合反応生成物にカルボキシル基を付加するために、さらに無水トリメリット酸38.3部を加え、170℃で30分間反応させた後、2−エチル−1−ヘキサノールで希釈し、酸価が46mgKOH/g、水酸基価が150mgKOH/g、固形分70%、重量平均分子量が6,400である水酸基含有ポリエステル樹脂溶液(PE1)を得た。
製造例55 光輝性顔料濃厚液(P1)の製造
攪拌混合容器内において、アルミニウム顔料ペースト「GX−180A」(旭化成メタルズ社製、金属含有量74%)19部、2−エチル−1−ヘキサノール35部、リン酸基含有樹脂溶液(注9)8部及び2−(ジメチルアミノ)エタノール0.2部を均一に混合して、光輝性顔料濃厚液(P1)を得た。
(注9)リン酸基含有樹脂溶液:温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器にメトキシプロパノール27.5部及びイソブタノール27.5部の混合溶剤を入れ、110℃に加熱し、スチレン25部、n−ブチルメタクリレート27.5部、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業社製、分岐高級アルキルアクリレート)20部、4−ヒドロキシブチルアクリレート7.5部、リン酸基含有重合性モノマー(注10)15部、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート12.5部、イソブタノール10部及びt−ブチルパーオキシオクタノエート4部からなる混合物121.5部を4時間かけて上記混合溶剤に加え、さらにt−ブチルパーオキシオクタノエート0.5部及びイソプロパノール20部からなる混合物を1時間滴下した。その後、1時間攪拌熟成して不揮発分50%のリン酸基含有樹脂溶液を得た。本樹脂のリン酸基による酸価は83mgKOH/g、4−ヒドロキシブチルアクリレートに由来する水酸基価は29mgKOH/g、重量平均分子量は10,000であった。
(注10)リン酸基含有重合性モノマー:温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器にモノブチルリン酸57.5部及びイソブタノール41部を入れ、90℃に昇温後、グリシジルメタクリレート42.5部を2時間かけて滴下した後、さらに1時間攪拌熟成した。その後、イソプロパノ−ル59部を加えて、不揮発分50%のリン酸基含有重合性モノマー溶液を得た。得られたモノマーのリン酸基による酸価は285mgKOH/gであった。
製造例56 着色塗料No.3の製造
製造例54で得られた水酸基含有アクリル樹脂エマルション150部、製造例55で得られた水酸基含有ポリエステル樹脂溶液(PE1)64部、製造例56で得られた光輝性顔料濃厚液(P1)62部及び「サイメル202」(商品名、日本サイテックインダストリーズ社製、メラミン樹脂、不揮発分80%)12.5部を均一に混合し、更に、脱イオン水及び2−(ジメチルアミノ)エタノールを加えてpH8.0、固形分23%の着色塗料No.3を得た。
[試験板の作成方法]
被塗物Aの作成
ポリプロピレンNX−280AK(三菱油化株式会社製、板厚3.2mm)をトリクロルエタン蒸気脱脂1分間行った後に80℃で10分乾燥させた。次いで、プライマーとして「ソフレックスNo.1000」(関西ペイント株式会社製、ポリオレフィン含有導電有機溶剤型プライマー塗料)を乾燥膜厚15μm塗装し、常温で3分間セッティングを行って「被塗物A」とした。
被塗物Bの作成
脱脂及びりん酸亜鉛処理した冷延鋼板(JISG3020、400×300×0.8mm)に、カチオン電着塗料「エレクロンGT−10」(商品名:関西ペイント株式会社製、エポキシ樹脂ポリアミン系カチオン樹脂に硬化剤としてブロックポリイソシアネート化合物を使用したもの)を硬化塗膜に基づいて膜厚20μmになるように電着塗装し、170℃で20分間加熱して架橋硬化させて電着塗膜を得た。
得られた電着塗面に、中塗塗料「TP−65−2(白塗色)」(関西ペイント株式会社製、ポリエステル樹脂・メラミン樹脂系、有機溶剤型)をエアスプレーにて硬化塗膜に基づいて膜厚30μmになるように塗装し、140℃で30分間加熱して架橋硬化させて、中塗塗膜を形成した塗板を「被塗物B」とした。
実施例1
上記「被塗物A」に、製造例59で着色塗料No.1を回転霧化型塗装機を用いて乾燥膜厚が15μmとなるように塗装し、80℃で3分間プレヒートを行った。
次いで、製造例14で得たクリヤ塗料No.1を乾燥膜厚が30μmとなるようエアスプレー塗装した。続いて、80℃で3分間プレヒートした後、Dバルブ(注17)を用い1,500mJ/cmの照射量で活性エネルギー線を照射した。続いて90℃で10分間加熱乾燥させて試験板を得た。
(注17)Dバルブ:フュージョン社製、商品名、メタルハライドランプ、UV照射ランプ。
実施例2〜48
クリヤ塗料の種類を表5〜表7に示すものに変更した以外は実施例1と同様にして試験板を得た。
Figure 0005622277
Figure 0005622277
Figure 0005622277
実施例49〜74
着色塗料及びクリヤ塗料の種類、光照射の光源を表8及び表9に示すものに変更した以外は実施例1と同様にして試験板を得た。
Figure 0005622277
Figure 0005622277
(注18)Hバルブ:フュージョン社製、商品名、高圧水銀ランプ、UV照射ランプ
(注19)パルス:マテリアルサイエンス社製、商品名、キセノンパルス紫外線照射装置。
比較例1〜7
クリヤ塗料を表10に示すものに変更した以外は実施例1と同様にして試験板を得た。
Figure 0005622277
試験方法
(注11)付着性:
試験板の塗膜面にJIS K 5600−5−6(1990)に準じて塗膜に2mm×2mmのゴバン目100個を作り、その面に粘着テープを貼着し、急激に剥がした後に、塗面に残ったゴバン目塗膜の数を評価した。
◎:残存個数/全体個数=100個/100個で縁欠けなし
○:残存個数/全体個数=100個/100個で縁欠けあり
△:残存個数/全体個数=99個〜90個/100個
×:残存個数/全体個数=89個以下/100個。
(注12)仕上り性:
各試験板について光沢測定により仕上り性を評価した。
JIS K5600−4−7(1999)の鏡面光沢度(60度)に準じて各塗面の光沢度を測定した。測定した光沢度を下記基準により評価した。
◎:鏡面光沢度が90以上
○:鏡面光沢度が70以上90未満
△:鏡面光沢度が50以上70未満
×:鏡面光沢度が50未満。
(注13)耐擦り傷性1:
各試験板について、ASTM D1044に準じて、テーバー磨耗試験(磨耗輪CF−10P、荷重500g、100回転)を行った。試験前後の塗膜について、JIS K5600−4−7(1999)の鏡面光沢度(60度)に準じて各塗面の光沢度を測定した。試験前の光沢度に対する試験後の光沢度を光沢保持率(%)として求め、下記基準により評価した。
◎:光沢保持率90%以上
○:光沢保持率80%以上90%未満
△:光沢保持率60%以上80%未満
×:光沢保持率60%未満。
(注14)耐擦り傷性2:
各試験板上に、スチールウール#0000を乗せ、学振型摩擦堅牢度試験器を用いて、1kgf/cmの荷重をかけて10往復させた。
試験前後の塗膜について、JIS K5600−4−7(1999)の鏡面光沢度(60度)に準じて各塗面の光沢度を測定した。試験前の光沢度に対する試験後の光沢度を光沢保持率(%)として求め、下記基準により評価した。
◎は、光沢保持率90%以上
○は、光沢保持率80%以上90%未満
△は、光沢保持率60%以上80%未満
×は、光沢保持率60%未満。
(注15)耐候性:
各試験板について、JIS K 5600−7−8(1999)に準拠して、サンシャインウェザオメーターを用いて2000時間の耐候性試験を行った。試験後の試験板について、付着性を評価した。
各塗面にJIS K 5600−5−6(1990)に準じて塗膜に2mm×2mmのゴバン目100個を作り、その面に粘着テープを貼着し、急激に剥がした後に、塗面に残ったゴバン目塗膜の数を評価した:
◎は、残存個数/全体個数=100個/100個で縁欠けなし
○は、残存個数/全体個数=100個/100個で縁欠けあり
△は、残存個数/全体個数=99個〜90個/100個
×は、残存個数/全体個数=89個以下/100個。
(注16)耐酸性:
各塗膜表面に1%硫酸水溶液を0.5mL滴下して、温度20℃、相対湿度65%の雰囲気下に24時間放置した後に、塗膜表面をガーゼで拭取り、外観を目視評価した。
◎は、塗膜表面の異常が認められないもの
○は、塗膜表面にわずかに跡がみられるが、水洗すると消えるもの
△は、塗膜表面に変色又は白化が少し認められるもの
×は、塗膜表面の変色又は白化が著しいもの。

Claims (12)

  1. 被塗物に、着色塗料(B)を塗装して着色塗膜を形成する工程、着色塗膜上に、クリヤ塗料(A)を塗装してクリヤ塗膜を形成する工程、並びに活性エネルギー線を照射する工程を含む方法であって、クリヤ塗料(A)が、重量平均分子量250〜1500未満、水トレランス5以上で分子中に平均2個以上のアクリロイル基を有する化合物(a1)、重量平均分子量1,500以上でかつ水トレランスが0.5〜4.5である分子中に平均2個以上アクリロイル基を有する化合物(a2)、光重合開始剤(a3)を含み、
    かつ化合物(a1)と化合物(a2)の水トレランスの差が1.0〜10.0であることを特徴とする複層塗膜形成方法。
  2. 化合物(a1)が、ウレタン結合を有する化合物である請求項1に記載の複層塗膜形成方法。
  3. 化合物(a2)が、重量平均分子量1,500〜30,000のウレタンアクリレート、又はアクリルアクリレートである請求項1又は2に記載の複層塗膜形成方法。
  4. 光重合開始剤(a3)が、20℃で液状であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
  5. 活性エネルギー線の光源が、パルスキセノンランプである請求項1〜のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
  6. クリヤ塗料(A)が、水酸基含有樹脂(a4)を含有する請求項1〜のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
  7. クリヤ塗料(A)が、ポリイソシアネート化合物(a5)を含有する請求項1〜のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
  8. クリヤ塗料(A)が、カプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとポリイソシアネート化合物とを反応してなり、300〜3,800の範囲のイソシアネート当量を有するラジカル重合性不飽和基含有化合物(a6)を含有する請求項1〜のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
  9. クリヤ塗料(A)が、コロイダルシリカ(a7)を含有する請求項1〜のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
  10. クリヤ塗料(A)が、シルセスキオキサン化合物(a8)を含有する請求項1〜のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
  11. 着色塗料(B)が、光重合開始剤(a3)を含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法による塗装物品。
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