JP5619028B2 - 真空蒸着装置及びそのメンテナンス方法 - Google Patents

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Description

本発明は、蒸発材料の蒸着膜を形成するための真空蒸着装置及びそのメンテナンス方法に関する。
真空蒸着装置は、真空に維持された蒸着室と、蒸着室の内部に配置された蒸発源とを備え、蒸発源で生成された蒸発材料の蒸気を蒸着室に設置された被成膜基材に蒸着させて薄膜を形成する。蒸発材料は、形成すべき蒸着膜の種類に応じて適宜選択され、例えば、金属、金属酸化物、有機物などが蒸発材料として用いられている。
一方、真空蒸着装置は、蒸着室のクリーニングや蒸着室内部の部品の交換等を含むメンテナンスを実施する必要がある。このメンテナンスの際、蒸発源が大気に曝されることで、蒸発源の急冷による損傷や酸化が問題となる。そこで、下記特許文献1には、蒸着室に仕切りバルブを介して蒸発源収納室を設置し、蒸着室のメンテナンス時に蒸発源を蒸発源収納室に収納することで、蒸発源が大気に曝されることを防止する真空蒸着装置が記載されている。蒸発源は、蒸着室と蒸発源収納室とに設置された搬送ローラによって、これら両室間を移動可能とされている。
特公平2−15628号公報(第2頁左欄第30行〜第3頁左欄第2行、第1図及び第2図)
近年、生産性を高める目的で、真空蒸着装置のメンテナンス時間の短縮が望まれている。特に、蒸発源が大気に曝されると、蒸発材料の吸湿量に応じて放出ガス量が増加するため、蒸着室を所定の真空度に短時間で排気することが非常に困難となっている。したがって、蒸着室を大気に開放するときは、上記特許文献1に記載された構成のように、蒸発源は大気から分離可能に構成されることが望ましい。
しかしながら、上記特許文献1の構成では、蒸発源収納室が蒸着室に隣接して設置されているため、装置全体が大型化し、設置スペースを小さくすることが困難である。また、蒸発源の移動のために搬送ローラを設置する必要があり、更には、蒸発源の大きさに応じて仕切りバルブも大型化するため、装置の複雑化、大型化が避けられない。加えて、蒸発源をローラで搬送するために、蒸発源を構成する筐体の冷却が困難であり、蒸発材料の脱ガス温度が制限される。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、装置構成の複雑化、大型化を抑制しつつ、蒸発源を大気から分離することができる真空蒸着装置を提供することにある。
また、本発明の目的は、メンテナンス時間の短縮を図ることができる真空蒸着装置のメンテナンス方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る真空蒸着装置は、真空排気可能な蒸着室と、蒸発源ユニットとを具備する。
上記蒸発源ユニットは、蒸発源と、容器と、シール機構とを有し、上記蒸着室に配置される。上記蒸発源は、蒸発材料の蒸気を発生させる。上記容器は、上記蒸発源を収容する収容室を形成し、上記収容室から上記蒸着室へ上記蒸発材料の蒸気を供給する開口を有する。上記シール機構は、上記容器に設置され上記開口を気密に閉止することが可能に構成されている。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る真空蒸着装置のメンテナンス方法は、蒸着室に配置された、蒸発材料を含む蒸発源を密閉容器に収容することを含む。上記密閉容器の内部は、真空に排気される。上記密閉容器の内部を加熱することで、上記蒸発材料は脱ガスされる。上記蒸発材料の脱ガス処理の間、上記蒸着室はクリーニングされる。
本発明の一実施形態に係る真空蒸着装置を示す概略図である。 上記真空蒸着装置における蒸着室を基板の搬送方向と直交する方向から見たときの側断面図である。 上記蒸着室を基板の搬送方向から見たときの側断面図である。 上記真空蒸着装置における蒸発源ユニット及びこれを支持する搬出機構の概略構成を示す側断面図である。 上記真空蒸着装置における蒸発源と電子銃との関係を示す要部の模式的な平面図である。 上記蒸発源ユニットの平面図であり、(A)は開口部の開放状態を示し、(B)は開口部の閉塞状態を示している。 MgO膜からの放出ガス量を昇温脱離ガス分析法(TDS:Thermal Desorption Spectroscopy)によって測定した一実験結果である。 蒸着室の排気特性を示す一実験結果である。 比較例に係る蒸着装置について測定した、蒸発材料の脱ガス特性を示す一実験結果である。 本発明の一実施形態に係る蒸着装置について測定した、蒸発材料の脱ガス特性を示す一実験結果である。 比較例に係る蒸着装置におけるメンテナンス時間の一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る蒸着装置におけるメンテナンス時間の一例を示す図である。
本発明の一実施形態に係る真空蒸着装置は、真空排気可能な蒸着室と、蒸発源ユニットとを具備する。
上記蒸発源ユニットは、蒸発源と、容器と、シール機構とを有し、上記蒸着室に配置される。上記蒸発源は、蒸発材料の蒸気を発生させる。上記容器は、上記蒸発源を収容する収容室を形成し、上記収容室から上記蒸着室へ上記蒸発材料の蒸気を供給する開口を有する。上記シール機構は、上記容器に設置され上記開口を気密に閉止することが可能に構成されている。
上記真空蒸着装置において、蒸発源ユニットは、蒸発源を収容室に収容しており、シール機構によって蒸発源が蒸着室と連通しない状態に保持可能である。したがって、蒸着室の大気開放時、蒸発源を大気から分離することが可能であるため、蒸発源が大気に曝されることによる蒸発材料の吸湿を阻止することができる。これにより、蒸発材料の放出ガス量に起因する蒸着室の排気時間の長時間化を回避し、装置の立ち上げに要する時間を大幅に削減することができる。
また、蒸発源ユニットは、蒸着室の内部に配置されているため、蒸着室に隣接して蒸発源の収容室を構成する場合と比較して、装置の設置スペースの低減を図ることができる。また、蒸着室の内部において蒸発源を搬送する機構や、蒸発源を通過させるための仕切りバルブが不要となるため、装置構成の大型化、複雑化を回避することができる。
蒸発源としては、蒸発材料を収容でき、蒸発材料の蒸気を発生させることができる構成であれば特に限定されない。蒸発源としては、例えば、るつぼ、ボート、コイルバケット、ハース等が挙げられる。
上記シール機構は、弁体と、駆動源とを有してもよい。上記弁体は、上記開口を開閉する。上記駆動源は、上記開口を開放する第1の位置と上記開口を閉止する第2の位置との間にわたって上記弁体を移動させる。
これにより、上記開口の開閉動作を蒸発源ユニットにより自立的に行うことが可能となる。
上記蒸発源ユニットは、上記収容室を真空排気可能な排気ラインをさらに有してもよい。
これにより、例えば蒸着室のメンテナンスの間、蒸発源及び蒸発材料を真空中に保持することが可能となる。
上記蒸発源ユニットは、上記蒸発源に収容された蒸発材料を加熱可能な加熱機構をさらに有してもよい。
これにより、例えば蒸着室のメンテナンスの間、蒸発材料の予備加熱処理を実施することが可能となる。
上記蒸発源ユニットは、上記収容室を所定のガス雰囲気とするためのガス導入ラインをさらに有してもよい。
これにより、例えば蒸着室のメンテナンスの間、蒸発源及び蒸発材料を窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気中に保持することが可能となる。
上記真空蒸着装置は、上記蒸発源ユニットを上記蒸着室の外部へ搬出可能な搬出機構をさらに具備してもよい。
例えば蒸着室のメンテナンスの間、蒸発源ユニットを蒸着室の外部へ搬出することで、蒸着室のメンテナンス効率を高めることが可能となる。
本発明の一実施形態に係る真空蒸着装置のメンテナンス方法は、蒸着室に配置された、蒸発材料を含む蒸発源を密閉容器に収容することを含む。上記密閉容器の内部は、真空に排気される。上記密閉容器の内部を加熱することで、上記蒸発材料は脱ガスされる。上記蒸発材料の脱ガス処理の間、上記蒸着室はクリーニングされる。
上記真空蒸着装置のメンテナンス方法によれば、蒸着室のクリーニング処理の間、蒸発材料の脱ガス処理を並行して実施することができるため、蒸着装置のメンテナンス時間の短縮を図ることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
[全体構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る真空蒸着装置を示す概略図である。本実施形態の真空蒸着装置1は、インライン式の真空蒸着装置として構成されている。
真空蒸着装置1は、仕込み室11と、加熱室12と、蒸着室13と、冷却室14と、取出し室15とを備える。これらの各室11〜15は、第1〜第4のゲートバルブG1〜G4を介して接続されている。真空蒸着装置1は、後述するように、仕込み室11から加熱室12、蒸着室13、冷却室14及び取出し室15の順で基板を搬送し、取出し室15から成膜処理した基板を外部へ取り出すことが可能に構成されている。装置内における基板の搬送には、典型的には、基板を保持するキャリアと、当該キャリアを搬送する機構を含む搬送機構が用いられる。なお、上記搬送機構として、基板のみを各室間で搬送する機構が採用されてもよい。
仕込み室11は、第1の真空バルブ21を介して第1の真空ポンプ31と接続されている。第1の真空ポンプ31は、例えば、メカニカルブースタポンプとドライポンプとを組み合わせて構成される。仕込み室11に搬送された基板は、仕込み室11が真空ポンプ31によって所定の真空度(例えば1〜10Pa台)にまで排気された後、第1のゲートバルブG1を介して加熱室12へ搬送される。
加熱室12は、第2の真空バルブ22を介して第2の真空ポンプ32と接続されており、所定の真空度(例えば10−3Pa台)に維持されている。第2の真空ポンプ32は、例えば、コールドトラップとターボ分子ポンプとを組み合わせて構成される。加熱室12は、基板を予備加熱(例えば脱ガス処理)する機能を有する。その後、基板は、第2のゲートバルブG2を介して蒸着室13へ搬送される。
蒸着室13は、第3の真空バルブ23を介して第3の真空ポンプ33と接続されており、所定の真空度(例えば10−4〜10−1Pa)に維持されている。第3の真空ポンプ33は、例えば、コールドトラップとターボ分子ポンプとを組み合わせて構成される。また必要に応じ、O等のプロセスガスが導入される。蒸着室13に搬送された基板は、成膜処理がなされる。基板は、蒸着室13において、真空蒸着法によって成膜される。成膜処理が施された基板は、第3のゲートバルブG3を介して、冷却室14へ搬送される。
冷却室14は、第4の真空バルブ24を介して第4の真空ポンプ34と接続されており、蒸着室13と同等の真空度に維持されている。第4の真空ポンプ34は、例えば、ターボ分子ポンプで構成される。冷却室14は、蒸着室13において成膜された基板を所定温度に冷却する機能を有する。冷却室14に搬送された基板は、続いて、第4のゲートバルブG4を介して取出し室15へ搬送される。
取出し室15は、第5の真空バルブ25を介して第5の真空ポンプ35と接続されており、独立して真空排気可能に構成されている。第5の真空ポンプ35は、例えば、メカニカルブースタポンプとドライポンプとを組み合わせて構成される。取出し室15は、冷却室14から基板が搬送される際は所定の真空度に維持されており、基板が搬送された後はゲートバルブG4が閉塞された状態で大気圧に調整される。これにより、成膜済みの基板が取出し室15から装置の外部へ取り出される。
真空蒸着装置1の構成は上記の例に限られず、要求されるタクトタイム、真空処理の種類等に応じて適宜変更することが可能である。例えば、タクトタイムが早い場合は、蒸着室13の前段及び後段に更にバッファ室を増設してもよい。また、脱ガス量によっては加熱室を複数設置してもよい。
[蒸着室]
次に、蒸着室13の構成について説明する。図2は基板の搬送方向と直交する方向から見たときの蒸着室13の側断面図であり、図3は基板の搬送方向から見たときの蒸着室13の側断面図である。
真空蒸着装置1は、蒸着室13を形成する真空チャンバ41を備える。真空チャンバ41の上面は天板40によって閉塞されており、内部が気密に保持されている。真空チャンバ41は、真空バルブ23を介して、コールドトラップ33a及びターボ分子ポンプ33bからなるポンプユニット(第3の真空ポンプ)33と接続されている。これにより、蒸着室13は、所定の真空度(例えば10−4Pa台〜10−1Pa台)に真空排気されることが可能である。この時、必要に応じ、真空バルブ23の開度が変えられてもよいし、O等のプロセスガスが導入されてもよい。また、真空チャンバ41は、第2及び第3のゲートバルブG2、G3を介して加熱室12及び冷却室14にそれぞれ接続されている。
蒸着室13は、基板10が搬送される搬送エリア42と、蒸発材料の蒸気を発生させる蒸発エリア43とを含む。搬送エリア42は、キャリア20によって支持された基板10を水平方向(X軸方向)に搬送するための領域であり、第2のゲートバルブG2と第3のゲートバルブG3との間にわたって形成されている。基板10は、キャリア20によってX軸方向に長さ方向、Y軸方向に幅方向、そして、Z軸方向に厚み方向をそれぞれ向けて支持される。
搬送エリア42には、基板10の各面(図2において上面及び下面)を所定温度に加熱するヒータ44a、44b、44c、44d及び44eがそれぞれ設置されている。また、搬送エリア42には、キャリア20をX軸方向に搬送する搬送機構、成膜領域にアルゴン、窒素、酸素、水等のプロセスガスを導入するためのガス導入口46等が設置されている。
一方、蒸発エリア43は、Z軸方向に関して搬送エリア42の一部と対向するように形成されている。蒸発エリア43には、後述する蒸発源ユニット50が設置されている。蒸発源ユニット50は、基板10の下面側と対向する位置に配置されている。したがって、搬送エリア42は、蒸発エリア43と対向する領域に成膜領域を有し、基板10は、成膜領域を通過する過程で蒸発源ユニット50により成膜処理が施される。搬送エリア42と蒸発エリア43との間には、真空チャンバ41の内壁への蒸発材料の堆積を防止する防着板45が設置されている。防着板45は、搬送エリア42に入射する蒸発粒子(蒸気)の入射角を制限し、所定範囲の成膜領域を画定する開口部45aを有している。
蒸発エリア43には、蒸発源ユニット50に収容された蒸発材料に電子ビームEBを照射する電子銃60、蒸発エリア43にアルゴン、窒素、酸素、水等のプロセスガスを導入するためのガス導入口47等が設置されている。また、蒸発エリア43には、蒸発源ユニット50を支持する基台71が設置されている。本実施形態では、蒸発エリア43に、2台の蒸発源ユニット50が設置されており、その各々が異なる基台71によって支持されている。各々の基台71は、蒸発源ユニット50を蒸着室13の外部へ搬出可能な搬出機構70の一部として構成される。
[蒸発源ユニット]
次に、蒸発源ユニット50の詳細について説明する。
図4は、蒸発源ユニット50及びこれを支持する搬出機構の概略構成を示す側断面図である。蒸発源ユニット50は、蒸発源51と、容器52と、シール機構53a、53bとを有する。
蒸発源51には円盤状のハースが用いられ、リング状の凹部にバルク状あるいは粉末状の蒸発材料100が収容されている。蒸発材料100としては種々の金属あるいは金属酸化物等が用いられ、本実施形態では、MgO、SrO−CaO、MgO−CaOのような金属酸化物が用いられる。この種の材料は、例えば、プラズマディスプレイパネル(PDP)の前面基板の保護膜に採用されている。これらの材料は吸湿性が高く、大気に曝すと真空中で水を主成分とするガスを大量に放出する。本実施形態では、この種の吸湿性の高い材料を蒸発材料に用いた場合でも、装置の立ち上げに要する時間を短くすることを可能とする。
蒸発源51は、その中心部に回転軸511と、その回転軸511を回転させる駆動モータ512とを有する。蒸発源51上の蒸発材料100は、回転軸511のまわりに回転しながら電子ビームの照射を受けて、均等に加熱、蒸発される。
容器52は、蒸発源51を収容する収容室521を形成する。収容室521は、蒸発源51を収容できる大きさであれば特に制限されないが、内容積が小さいほど蒸発源ユニット50の小型化に貢献することができる。容器52は、直方形状を有し、その上面部には、蒸発源51を外部に露出させる開口522a、522bが形成されている。電子銃60から照射される電子ビームEBは、容器52の開口522a、522bを介して蒸発材料100へ到達する。また、電子ビームEBの照射を受けて発生した蒸発材料100の蒸気は、開口522a、522bを介して上記成膜領域へ供給される。
図5は、蒸発源51と電子銃60との関係を示す要部の模式的な平面図である。蒸発源ユニット50は、基板10の幅方向(Y軸方向)に沿って配置され、それらの開口522a、522bは、Y軸方向に沿って整列するように配置されている。電子銃60は、各開口522a、522bに対応して4台設置されており、各開口522a、522bを介して容器52の外部に臨む蒸発材料100に電子ビームEBを照射する。図中P1〜P4は、電子ビームEBの照射を受ける蒸発材料100の蒸発ポイント、あるいは電子ビームの照射ポイントを示している。図示せずとも、蒸発エリア43には、電子銃60から出射した電子ビームEBを蒸発源51に向けて偏向させる偏向コイルが設置されている。上述したように蒸発源51は、駆動モータ512によって回転されるため、蒸発源51上の蒸発材料100はその周方向全域にわたって電子ビームEBの照射を受ける。
図5の構成例においては、電子銃60を4台設置する例を説明したが、2台の電子銃を用いて、蒸発ポイントP1〜P4に電子ビームを分岐して照射してもよい。また、基板10の幅寸法(W)によっては、蒸発源51(蒸発源ユニット50)を3台以上設置してもよい。この場合、蒸発材料の蒸発ポイントを6点以上設定してもよいし、電子ビームをライン状に整形してライン状の蒸発ポイントを形成してもよい。
シール機構53a、53bは、開口522a、522bに対応して容器52にそれぞれ配置されている。シール機構53a及びシール機構53bはそれぞれ同一の構成を有しており、それぞれ開口522a、522bを気密に閉止可能に構成されている。
シール機構53a、53bは、開口522a、522bを開閉する弁体531と、弁体531を駆動する駆動源532とを有する。弁体531は、開口522a、522bの周縁に弾性的に接触する環状のシール部材533を有する。駆動源532は、容器52の上面に設置される。駆動源532は、弁体531に連結される駆動軸534を有し、開口522a、522bを開放する第1の位置と開口522a、522bを閉止する第2の位置との間にわたって弁体531をそれぞれ移動させる。また、駆動源532は、弁体531を開口522a、522bに対して昇降させる昇降源としての機能を有する。これにより、シール部材533を開口522a、522bの周縁部に適正に押圧することが可能となっている。駆動源532は、モータ、シリンダ装置あるいはそれらの組み合わせなどによって構成することができる。これにより、シール機構53a、53bを蒸発源ユニット50によって自立的に動作させることができる。
図6は、蒸発源ユニット50の平面図であり、(A)は開口522a、522bの開放状態を示し、(B)は開口522a、522bの閉塞状態を示している。本実施形態のシール機構53a、53bは、電子ビームEBの照射による損傷から開口522a、522bのシール面を保護する保護板535をさらに有する。保護板535は、リング状に形成されており、シール部材533と接触する開口522a、522bの周縁領域を被覆する。これにより、弁体531による開口522a、522bの適正なシール機能を確保することができる。
弁体531及び保護板535は、駆動源532の駆動軸534に連結された連結具536にそれぞれ支持されている。連結具536は、弁体531を支持する第1のアームと保護板535を支持する第2のアームとを有し、駆動軸534を中心として弁体531及び保護板535を同一円周上に旋回させることが可能である。駆動源532は、弁体531が開口522a、522bを開放する上記第1の位置にあるとき、保護板535が開口522a、522bの周縁に位置するように駆動軸534の回転量を制御する。
本実施形態の蒸発源ユニット50は、さらに、排気ライン54と、ヒータ55(加熱機構)と、ガス導入ライン56とをそれぞれ有する。
排気ライン54は、収容室521を真空排気するためのもので、図示せずとも真空バルブ等を介して真空ポンプに接続されている。ヒータ55は、蒸発源51に収容された蒸発材料100を予備加熱するためのもので、容器52の上面内壁に設置されている。ヒータ55は、抵抗加熱線のほか、赤外線ランプ等によって構成することができる。ガス導入ライン56は、収容室521を所定のガス雰囲気とするためのもので、図示せずとも開閉弁や流量調整バルブ等を介してガス導入源に接続されている。所定のガス雰囲気としては、例えば、クリーンドライエア(CDA)、窒素、アルゴン等の不活性ガスが用いられる。
[搬出機構]
次に、搬出機構70について説明する。搬出機構70は、蒸着室13のメンテナンス時に、蒸着室13から蒸発源ユニット50を外部へ搬出するためのものである。
搬出機構70は、図3に示すように、蒸発源ユニット50を支持する基台71と、移動台車72と、基台71を移動台車72に結合するフランジ73とを有する。蒸発源51の回転軸511は、磁性流体シール等の真空シール部材57を介して容器52及び基台71に対して回転自在に支持されている。これにより、基台71の内部を大気圧に保持することが可能となり、したがって、駆動モータ512等を基台71の内部に設置することが可能となる。フランジ73は、真空チャンバ41の側壁の一部を構成し、蒸発源ユニット50を蒸発エリア43から外部へ搬出した際、真空チャンバ41の側壁が開放される。本実施形態では、2台の蒸発源ユニット50をそれぞれ別々の搬出機構70で装置外部へ搬出する。これに限らず、一台の搬出機構で2台の蒸発源ユニット50を搬出してもよい。
[真空蒸着装置の動作例]
本実施形態の真空蒸着装置1は以上のように構成される。次に、蒸発源ユニット50の動作を含む蒸着室13における基板の成膜処理について説明する。
蒸着室13は、真空ポンプ33(33a、33b)によって真空排気される。そして、ガス導入口46、47を介して蒸着室13内の搬送エリア42及び蒸発エリア43にO等のプロセスガスが導入されることで、蒸着室13の内部が所定の圧力(例えば10−4Pa台〜10−1Pa台)に維持される。加熱室12で加熱処理された基板10は、キャリア20に支持された状態で、ヒータ44a〜44eによる加熱処理を受けながら、搬送エリア42を矢印Aで示す方向に搬送される。
蒸発源ユニット50に関して、シール機構53a、53bの弁体531は、図6(A)に示すように容器52の開口522a、522bを開放し、保護板535は、開口522a、522bの周縁を被覆している。蒸発源51は、駆動モータ512の駆動により回転軸511のまわりに所定の回転数で回転される。この状態で、電子銃60から電子ビームEBが照射され、図5に示す蒸発ポイントP1〜P4へ電子ビームEBが照射される。これにより、蒸発材料100は溶解あるいは昇華し、生成された蒸発材料100の蒸気が開口522a、522bを介して蒸着室13へ供給される。また、保護板535により、開口522a、522bの周縁への電子ビームの照射による損傷及び蒸発材料の付着を防止でき、弁体531との適切なシール性を確保することができる。防着板45の開口部45aを通過した蒸気は、搬送エリア42を通過する基板10の下面に順次堆積し、基板10の下面に蒸着膜を形成する。
以上の処理を継続的に行うことにより、蒸着室13に搬入された基板10が順次成膜される。成膜された基板10は、ゲートバルブG3を介して冷却室14へ搬送され、所定の冷却処理を受けた後、取出し室15から大気へ取り出される。本実施形態では、基板10を搬送しながら蒸着処理を施す通過成膜法を例に挙げて説明したが、基板10を静止させた状態で蒸着処理を施す固定成膜法が採用されてもよい。
さて、上述した処理が長時間繰り返されることで、防着板45等に蒸着物質が堆積する。蒸着室13を構成する部品に堆積した物質は、剥離することでダストを発生させ、成膜不良の原因となることがある。また、電子銃60のフィラメントのような電子の放射源は、経時的に消耗する。このため、蒸着室13のクリーニングや消耗部品の交換等を含むメンテナンス作業を定期的に実施する必要がある。
本実施形態によれば、蒸発源ユニット50は、蒸発源51を収容室521に収容しており、シール機構53a、53bによって蒸発源51が蒸着室と連通しない状態に保持可能である。すなわち、シール機構53a、53bの弁体531によって容器52の開口522a、522bを閉塞することで、収容室521を密閉状態に保持することが可能である。したがって、蒸着室13の大気開放時、蒸発源51を大気から分離することが可能であるため、蒸発源51が大気に曝されることによる蒸発材料の吸湿を阻止することができる。これにより、蒸発材料100の放出ガス量に起因する蒸着室13の排気時間の長時間化を回避し、装置の立ち上げに要する時間を大幅に削減することができる。
また、本実施形態によれば、蒸発源ユニット50は、蒸着室13の内部に配置されているため、蒸着室に隣接して蒸発源の収容室を構成する場合と比較して、装置の設置スペースの低減を図ることができる。また、蒸着室の内部において蒸発源を搬送する機構や、蒸発源を通過させるための仕切りバルブが不要となるため、装置構成の大型化、複雑化を回避することができる。
一方、蒸着室13のメンテナンスの際に、蒸発源51に対する蒸発材料100の補充を行う場合がある。この場合、蒸発源51に充填した蒸発材料100の脱ガス処理を必要とするため、蒸着室13のメンテナンスの際に蒸発材料100の脱ガス処理が実施される。以下、蒸発材料の補充を含む蒸着室のメンテナンス手順の一例を説明する。
[蒸着装置のメンテナンス例]
蒸着装置のメンテナンスは、例えば以下の工程が実施される。
(工程1)蒸着室のベント
蒸着室13を大気圧にする工程である。具体的には、真空チャンバ41に取り付けられたベント弁を開放し、蒸着室13へ外気を導入する。
(工程2)チャンバの開放
真空チャンバ41から天板40を取り外す工程と、搬出機構70によって蒸発源51を蒸着室13の外部へ搬出する工程である。
(工程3)防着板の取り外し
開放された真空チャンバ41から防着板45を含む各種機構部品を取り外す工程である。
(工程4)蒸着室内部の清掃
真空チャンバ41の内壁や各種構造物の表面に付着した蒸着物質を、薬液を用いてクリーニングする工程である。
(工程5)防着板の取り付け
清掃した防着板あるいは新品の防着板を蒸着室13の内部へ設置する工程である。
(工程6)成膜材料(蒸発材料)の投入
蒸発源51へ蒸発材料100を収容する工程である。
(工程7)チャンバの組み立て
真空チャンバ41に対して天板40及び、蒸発源51を含む搬出機構70を据え付ける工程である。これにより、蒸着室13が密閉される。
(工程8)蒸着室の真空排気
真空バルブ23を介してコールドトラップ33a及びターボ分子ポンプ33bによって蒸着室13を真空排気する工程である。
(工程9)成膜材料(蒸発材料)の脱ガス
主として、蒸発材料100に吸収または吸着された水分を基板の成膜前に除去する工程である。図7は、MgO膜からの放出ガス量を昇温脱離ガス分析法(TDS:Thermal Desorption Spectroscopy)によって測定した一実験結果を示す。実験に用いたサンプルは、シリコンウェーハ上に成膜された厚み約800nmのMgO膜であり、当該サンプルを大気に曝した後にシリコンウェーハ(基板)を加熱して測定した。放出ガスの主なものは、M/e(電荷質量比)=18である水分(HO)であった。当該放出ガスは、装置のメンテナンス後の立ち上げ時間を増加させ、稼働率を低下させる原因となっている。
(工程10)基板の投入及び生産
基板10を蒸着室13に搬入した成膜処理を実施する工程である。
本実施形態では、蒸発源ユニット50を備えているので、工程3〜工程5の作業と並行して、工程6及び工程9の作業を行うことができる。以下、蒸着室13のメンテナンス時における蒸発源ユニット50の動作例について説明する。
蒸着室13のメンテナンス工程において、蒸発源ユニット50は、搬出機構70によって蒸着室13の外部に搬出された後、蒸発源51上に蒸発材料100が充填される(工程6)。その後、シール機構53a、53bは、図4及び図6(B)に示すように、弁体531を容器52の開口522a、522bを閉塞する第2の位置に移動させて、収容室521を密閉する。次いで、収容室521は、排気ライン54を介して所定の真空度に排気される。その後、ガス導入ライン56を介して収容室521内にクリーンドライエア、窒素、またはアルゴン等の不活性ガスが導入される。この状態で、ヒータ55を作動させることで、蒸発材料100の脱ガス処理が実施される(工程9)。なお、蒸発材料100の脱ガス処理は、真空雰囲気で行われてもよい。ヒータ55による加熱温度は、例えば600℃である。蒸発材料100の脱ガス処理は、蒸発源51を回転させながら行うのが効率的である。蒸発材料100の脱ガス処理は、ヒータ55による加熱処理と電子ビームの照射処理とを組み合わせることができる。電子ビームの照射による脱ガス処理は、蒸着室13の真空排気(工程8)の後に実施される(工程9)。
以上のように、本実施形態によれば、蒸着室13からの防着板45の取り外し作業や蒸着室13のクリーニング作業等と並行して、蒸発源ユニット50において蒸発材料の脱ガス処理を先行させることができる。これにより、蒸着室13の排気工程に要する時間の短縮を図ることが可能となる。
例えば、PDPの保護膜成膜用のインライン式成膜装置は、蒸着室のメンテナンス後、約2×10−2Paまで真空排気し、電子ビームを蒸発材料に照射して脱ガスを行う。図8は、上記工程8における蒸着室13の排気特性を示す一実験結果である。図において、「実施形態」は、容器52による蒸発源51の収容構造(蒸発源ユニット50)を有する本実施形態に係る蒸着装置を意味し、「比較例」は、蒸発源の収容構造を有さない従来の蒸着装置を意味する(以下、同様)。図8の例では、2×10−2Paまでの排気時間を比較した。比較例に係る蒸着装置では、大気圧から目標圧力まで約57分の排気時間が必要であったが、実施形態に係る蒸着装置では、約12分で目標温度に達成できた。本実施形態によれば、メンテナンス中、蒸発材料の脱ガスを蒸発源ユニット50によって十分に行えるため、比較例に比べて大幅に排気時間を短縮することが可能となる。
次に、図9及び図10は、蒸発材料としてのMgOの脱ガス特性を電子ビームの電流値とRGA(残留ガス分析計)のM/e=18(主にHO)のイオン電流値により測定した一実験結果を示す。図9は比較例に係る蒸着装置の実験結果であり、図10は実施形態に係る蒸着装置の実験結果である。使用した電子銃の加速電圧は20kVである。図9及び図10に示した電子ビーム電流をアンペアに換算し、加速電圧を乗じることで、蒸発材料に投入する電子ビームパワーを把握することができる。蒸着室13を約2×10−2Paまで真空排気した後、蒸発材料に電子ビームを照射し、蒸発材料の脱ガスを行う。このとき、蒸発材料からの放出ガスによって蒸着室内の圧力が電子ビームを発散させる圧力にならないように電子ビームパワーを調整しながら、脱ガスを行う。
比較例に係る蒸着装置においては、電子ビームの電流値を30mAから100mA、200mAに増加させていくと蒸発材料からの放出ガスが多くなり、それぞれの電子ビームパワーで約100分間保持する必要があった。このため、放出ガスが安定するまでに要する時間は約420分〜500分であった。これに対して、実施形態に係る蒸着装置においては、メンテナンス中に蒸発材料の脱ガス処理が十分になされているため、電子ビームのパワーをアップさせていっても大幅な放出ガスの増加はなく、約40分で放出ガスは安定する。したがって、本実施形態によれば、蒸発材料の脱ガス処理時間を大幅に短縮することが可能となる。
図11及び図12は、比較例及び実施形態に係る蒸着装置における、蒸着室のベントから基板投入までの全工程1〜10を含むメンテナンス時間の一例を比較して示す測定結果である。上述したように、本実施形態によれば、蒸着室13の排気時間及び蒸発材料100の脱ガス処理時間の大幅な短縮を図ることができるため、メンテナンス時間は比較例の約13.5時間から約6.5時間に短縮できた。これにより、蒸着装置の定期メンテナンスに係る時間(スケジュールド・ダウンタイム)を約1/2とすることができ、稼働率の向上及び生産性の向上を図ることができる。
また、保護膜として使用する金属酸化物(例えば、MgO、SrO−CaO、MgO−CaO)は、大気中の水分や炭酸ガスと反応して、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、炭酸水酸化マグネシウム(4MgCO・Mg(OH))、水酸化ストロンチウム(Sr(OH))、炭酸ストロンチウム(SrCO)、水酸化カルシウム(Ca(OH))、炭酸カルシウム(CaCO)等が生成される。これらの物質に電子ビームを照射すると分解し、特にカーボン(C)が保護膜中に取り込まれると、保護膜の電気特性が劣化する可能性がある。本実施形態によれば、これらの物質の生成を防止し、膜特性の安定化を図ることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、勿論、本発明はこれに限定されることはなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
例えば以上の実施形態では、蒸発源として、リングハースを用いた例を説明したが、これに限られず、るつぼ、ボート、バケットなどの他の蒸発源を用いることも可能である。また、蒸発材料の加熱源に電子銃を用いたが、これに代えて、抵抗加熱源、ランプ加熱源などを用いてもよい。
また、以上の実施形態では、蒸着室13の内部に2台の蒸発源ユニット50を配置したが、蒸発源ユニットの設置台数はこの例に限定されない。また、一台の蒸発源ユニットに複数台の蒸発源が設置されてもよい。
さらに、以上の実施形態では、インライン式の真空蒸着装置を例に挙げて説明したが、クラスター型の枚葉式真空処理装置などにも本発明は適用可能である。
1…真空蒸着装置
10…基板
13…蒸着室
41…真空チャンバ
42…搬送エリア
43…蒸発エリア
45…防着板
50…蒸発源ユニット
51…蒸発源
52…容器
521…収容室
522a、522b…開口
53a、53b…シール機構
531…弁体
532…駆動源
535…保護板
536…連結具
54…排気ライン
55…ヒータ
56…ガス導入ライン
60…電子銃
70…搬出機構
100…蒸発材料

Claims (6)

  1. 真空排気可能な蒸着室と、
    蒸発材料の蒸気を発生させる蒸発源と、前記蒸発源を収容する収容室を形成し前記収容室から前記蒸着室へ前記蒸発材料の蒸気を供給する開口を有する容器と、前記容器に設置され前記開口を気密に閉止することが可能なシール機構と、前記収容室内で前記蒸発源を回転させる回転機構と、前記容器に設置され、前記蒸発源に収容された前記蒸発材料を脱ガスするための加熱機構とを有する、前記蒸着室に配置された蒸発源ユニットと
    を具備する真空蒸着装置。
  2. 請求項1に記載の真空蒸着装置であって、
    前記シール機構は、
    前記開口を開閉する弁体と、
    前記開口を開放する第1の位置と前記開口を閉止する第2の位置との間にわたって前記弁体を移動させる駆動源とを有する
    真空蒸着装置。
  3. 請求項2に記載の真空蒸着装置であって、
    前記蒸発源ユニットは、前記収容室を真空排気可能な排気ラインをさらに有する
    真空蒸着装置。
  4. 請求項3に記載の真空蒸着装置であって、
    前記蒸発源ユニットは、前記収容室を所定のガス雰囲気とするためのガス導入ラインをさらに有する
    真空蒸着装置。
  5. 請求項1に記載の真空蒸着装置であって、
    前記蒸発源ユニットを前記蒸着室の外部へ搬出可能な搬出機構をさらに具備する
    真空蒸着装置。
  6. 蒸着室に配置された、蒸発材料を含む蒸発源を密閉容器に収容し、
    前記密閉容器の内部を真空に排気し、
    前記密閉容器の内部を加熱するとともに前記蒸発源を回転させながら前記蒸発材料を脱ガスし、
    前記蒸発材料の脱ガス処理の間、前記蒸着室をクリーニングする
    真空蒸着装置のメンテナンス方法。
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