JP5618258B2 - 電子写真感光体、それを用いた画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ - Google Patents
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Description
この感光体は、優れた耐傷性、耐摩耗性を有しており、環境安定性にも優れている為、ドラムヒーターを使用せずに安定した画像出力が可能である。
また、特許文献5には、上記架橋膜を保護層とする感光体の紫外線照射による電気特性低下を防止するために、前記架橋膜中に紫外線吸収剤を含有させ、感光体製造中の感光材料の劣化を防止することが提案されている。
その原因として、ラジカル反応により架橋密度の高い保護層を形成させるためには、光分解性のラジカル重合開始剤を含有させて光(特に紫外線)照射する方法や更にエネルギーの高い電子線や放射線を照射して直接アクリル基を励起して重合開始させる必要があるが、いずれにしても保護層中の電荷輸送性化合物が同時に励起されることでその一部が分解し、その分解物が感光体として重要な機能である電荷輸送機能を低下させていることが考えられる。
また、色素の分解反応を抑制する添加剤として1重項酸素クエンチャー(例えばニッケルジチオラート錯体等)も知られているが、この様な材料を保護層中に添加すると感光体の光導電性が全く無くなるという弊害があり使用することができない。
この様に少なくともラジカル重合性電荷輸送性化合物を紫外線や電子線で硬化させ3次元架橋膜とした保護層を有する感光体の保護層に起因する問題を改良し、商業印刷分野で求められる高画質(印刷経時での画像濃度の安定性や画像面内の濃度安定性)に対応することができていなかった。
すなわち、上記課題は、本発明の(1)〜(9)により解決される。
(2)前記ナフトキノン化合物が下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする(1)に記載の電子写真感光体。
(3)前記ナフトキノン化合物の含有量が、ラジカル重合性ホール輸送性化合物の0.5〜10重量%であることを特徴とする(1)又は(2)に記載の電子写真感光体。
(4)前記ラジカル重合性ホール輸送性化合物のラジカル重合性反応基が、アクリロイルオキシ基であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
(5)前記ホール輸送性保護層が、ラジカル重合性ホール輸送性化合物と共にホール輸送性を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーを連鎖重合させて得られる3次元架橋膜からなることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
(6)前記ホール輸送性保護層が少なくとも下記一般式(3)で表される1官能のラジカル重合性ホール輸送性化合物と共にホール輸送性を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーを連鎖重合させて得られる3次元架橋膜からなり、該ホール輸送性保護層中に前記一般式(2)で表されるナフトキノン化合物を含有させたことを特徴とする(5)に記載の電子写真感光体。
(7)前記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の電子写真感光体を用いて、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行なうことを特徴とする画像形成方法。
(8)前記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の電子写真感光体を有することを特徴とする画像形成装置。
(9)前記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段および除電手段よりなる群から選ばれた少なくとも一つの手段を有するものであって、画像形成装置本体に着脱可能としたことを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
この保護層のホール輸送性の改良により印刷経時での電位変動や印刷物面内の電位変動をより小さくすることで印刷経時での画像濃度変動や印刷物の面内濃度ムラの少ない高画質な画像出力が可能になる。
従って、商業印刷分野で強く求められている高画質で高寿命でコストパフォーマンスに優れた画像出力を可能にする電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジを提供できる。
ここから判るように、本発明で用いられるナフトキノン化合物は電子輸送材として感光体に用いられることも知られているが、本発明での役割は電子輸送性を付与することではなく、ホール輸送を担うラジカル重合性ホール輸送性化合物の硬化反応時及び経時での分解を抑制するものである。
従って、添加量はそれらを加味して決定される。
このような電子写真感光体を用いることで画像濃度均一性に優れた高画質な画像出力が可能になる。
図1は、本発明の電子写真感光体を表わす断面図であり、導電性支持体(31)上に、電荷発生機能を有する電荷発生層(35)と、ホール輸送層(37)とさらにホール輸送性保護層(39)が積層された順層積層構造の感光体である。この4層は必須構成であり、さらに、導電性支持体(31)と電荷発生層(35)の間に1層又は複数層の下引き層が挿入されていても良い。また、電荷発生層(35)とホール輸送層(37)とホール輸送性保護層(39)を合わせた層構成部分を感光層(33)と称する。
導電性支持体(31)としては、従来公知のものが使用される。
アルミニウム、ニッケル等の体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもので有れば良く、アルミドラム、アルミ蒸着フィルム、ニッケルベルト等が好ましく使用される。
商業印刷分野での高画質の為には、感光体の寸法精度が厳しく求められるために、引き抜き工法などで製造されたアルミドラムを切削、研磨加工して表面の平滑性や寸法精度を上げたものが好ましい。また、ニッケルベルトとしては、特公昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルトを用いることができる。
電荷発生層(35)は、従来の有機電子写真感光体に用いられてきた電荷発生層がそのまま使用できる。すなわち、電荷発生機能を有する電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を併用することもできる。好ましい電荷発生物質としては、例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料やアゾ顔料であり、金属フタロシアニンとしては、チタニルフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン等が使用される。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
ホール輸送層には、ホール輸送物質をバインダー樹脂中に分散した従来公知の電荷輸送層がそのまま使用できる。
ホール輸送物質としては、従来公知の材料がそのまま使用できる。
例えば、オキサゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等が挙げられる。これらは、単独または混合して使用することができる。
本発明の特徴は、ホール輸送性保護層が少なくともラジカル重合性ホール輸送性化合物が高エネルギー線によりラジカル連鎖重合して形成された3次元架橋膜であり、該架橋膜中にナフトキノン化合物が含有されていることである。
更に、特定の一般式(1)で表されるナフトキノン化合物が置換基R1、R2の選択により、結晶化やLUMOレベル及びLUMO/HOMOのバンドキャップを制御でき、特に有効である。
特定の一般式(1)のナフトキノン化合物は、特開平9−151157号公報記載の一般的な合成方法により高収率で得られる。
前述のようにこれらナフトキノン化合物は、ホール輸送性を示さないため、保護層中に過剰に添加するとホール輸送性化合物を希釈することになりホール輸送特性を低下させて感度劣化等を引き起こす。また、過剰添加はラジカル重合による架橋密度も低下させることになるため、保護層の機械的強度を弱め、耐摩耗性が悪くなる。従って、効果の有る範囲でできるだけ少量添加することが望ましい。添加量を変えた実験により保護層中のラジカル重合性ホール輸送性化合物に対し0.5〜10重量%の範囲で添加するのが電荷トラップの発生を抑制する効果が明確に見られ、保護層への副作用が少ない点でより好ましい。
本発明のホール輸送性保護層は、主にラジカル重合性ホール輸送性化合物を重合させて3次元架橋させたものであるが、3次元架橋させるためには以下の条件がある。
(1)ラジカル重合性ホール輸送性化合物のラジカル重合性官能基数が1個の場合は、ラジカル重合性官能基を一分子中に2個以上有する多官能ラジカル重合性モノマーと混合して重合する。
(2)ラジカル重合性ホール輸送性化合物のラジカル重合性官能基数が2個以上の場合は、ラジカル重合性ホール輸送性化合物を単独で重合させることができ、又、ラジカル重合性官能基を一分子中に1個以上有するラジカル重合性モノマーと混合して重合することもできる。
また、上記(1)においては、ラジカル重合性ホール輸送性化合物のラジカル重合性官能基数が1個の場合は、ラジカル重合性官能基を一分子中に3個以上有する多官能ラジカル重合性モノマーと混合して重合するのがさらに好ましい。これは、保護層のホール輸送性を高めるためにはラジカル重合性ホール輸送性化合物の組成比を高める必要があり、その様な組成比で機械的強度に優れる架橋密度の高い膜にするには混合される多官能ラジカル重合性モノマーの官能基数が多い方が有利となるからである。
すなわち、1官能のラジカル重合性ホール輸送性化合物とホール輸送性を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーと光重合開始剤と前記ナフトキノン化合物を適当な溶媒に溶解させ、ホール輸送層上に塗布した後、紫外線を照射して架橋反応させることにより最適なホール輸送性保護層を形成できる。
かかる塗工液はラジカル重合性モノマーが液体である場合、これに他の成分を溶解して塗布することも可能であるが、必要に応じて上述のように溶媒により希釈して塗布される。このとき用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール系、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、テトラヒドロフラン、ジオキサン、プロピルエーテルなどのエーテル系、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどのセロソルブ系などが挙げられる。これらの溶媒は単独または2種以上を混合して用いてもよい。溶媒による希釈率は組成物の溶解性、塗工法、目的とする膜厚により変わり、任意である。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行なうことができる。この溶媒と塗工法の組み合わせの中でも、下層のホール輸送層の成分をできるだけホール輸送性保護層に混入さない点、両層界面の接着性を確保する点、これら両者を満足するためには溶媒としてテトラヒドロフランを用いスプレーコート法での塗工が最も好ましい。
o、pは0〜5の整数、q、r、sは0〜4の整数を表し、o、p、q、r、sが2以上の場合は異なっていてもよい。mは0または1の整数を表す。
Xは単結合、またはアルキレン基、アルキレンオキシ基の2価基を表す。このアルキレン2価基としては、メチレン基、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、1,2−プロピレン基、2,2−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,5−ペンチレン基などの炭素数1〜6個の直鎖状又は分岐状アルキレン基が挙げられる。
また、このアルキレンオキシ2価基としは、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、開環したカプロラクトン基などを表し、これらアルキレンオキシ2価基が2〜4回繰り返された2価の連結基も有効である。
例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性(以後EO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性(以後PO変性)トリアクリレート、トリメチロールプロパンカプロラクトン変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンアルキレン変性トリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、グリセロールエピクロロヒドリン変性(以後ECH変性)トリアクリレート、グリセロールEO変性トリアクリレート、グリセロールPO変性トリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル化ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、リン酸EO変性トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは、単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。
電子線照射は、光重合開始剤を添加する必要が無く、ラジカル重合性ホール輸送性化合物単独あるいはラジカル重合性モノマーとの混合物を適当な溶媒に溶解させ、ホール輸送層上に塗布した後に、照射することで3次元架橋膜を形成できる。これらの架橋条件については上記特開2004−212959号公報にも記載されており、公知技術をそのまま使用することができる。例えば、電子線の加速電圧は250kV以下、照射線量は1Mrad〜20Mradの範囲が好ましく、照射時の酸素濃度を10000ppm以下とするのが好ましい。
本発明の感光体においては、導電性支持体(31)と感光層(33)との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。これらの下引き層は、前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Al2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は1〜15μmが適当である。
本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、ホール輸送層、ホール輸送性保護層、電荷発生層、下引き層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。添加する酸化防止剤は、従来公知の材料を使用することができ、下記のものが挙げられる。
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]クリコ−ルエステル、トコフェロール類など。
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
(ハイドロキノン類)
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
(有機燐化合物類)
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
本発明における酸化防止剤の添加量は、添加する層の総重量に対して0.01〜10重量%である。
次に図面に基づいて本発明の画像形成方法ならびに画像形成装置を詳しく説明する。
図2は、本発明の電子写真プロセス、及び画像形成装置を説明するための概略図であり、下記のような例も本発明の範疇に属するものである。
感光体(10)は図2中の矢印の方向に回転し、感光体(10)の周りには、帯電部材(11)、画像露光部材(12)、現像部材(13)、転写部材(16)、クリーニング部材(17)、除電部材(18)等が配置される。クリーニング部材(17)や除電部材(18)が省略されることもある。
所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
したがって、露光による除電ではなく、帯電工程やクリーニング工程において逆バイアスを印加することによっても除電することが可能な場合もあり、感光体の高耐久化の面から有効な場合がある。
このクリーニング部材は、クリーニングブレードあるいはクリーニングブラシ等公知のものが用いられる。また、両者が併用されることもある。
図3において、感光体(10C(シアン)),(10M(マゼンタ)),(10Y(イエロー)),(10K(ブラック))は、ドラム状の感光体(10)であり、これらの感光体(10C,10M,10Y,10K)は、図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電部材(11C,11M,11Y,11K)、現像部材(13C,13M,13Y,13K)、クリーニング部材(17C,17M,17Y,17K)が配置されている。
そして、このような感光体(10C,10M,10Y,10K)を中心とした4つの画像形成要素(20C、20M、20Y、20K)が、転写材搬送手段である転写搬送ベルト(25)に沿って並置されている。
次に現像部材(13C,13M,13Y,13K)により潜像を現像してトナー像が形成される。現像部材(13C,13M,13Y,13K)は、それぞれC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)のトナーで現像を行なう現像部材で、4つの感光体(10C,10M,10Y,10K)上で作られた各色のトナー像は転写ベルト(19)上で重ねられる。
中間転写体には、ドラム状やベルト状など種々の材質あるいは形状のものがあるが、本発明においては従来公知である中間転写体のいずれも使用することが可能であり、感光体の高耐久化あるいは高画質化に対し有効かつ有用である。
以上の説明から明らかなように、本発明の電子写真感光体は電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも広く用いることができるものである。
<微小表面硬度計による弾性変位率の測定>
本発明の弾性変位率τeは、ダイヤモンド圧子を用いた微小表面硬度計の負荷−除荷試験により測定される。図5に示すように、圧子がサンプルに接触した点(a)から一定負荷速度で圧子を押し込み(負荷過程)、設定荷重に達したときの最大変位(b)で一定時間静止し、更に一定除荷速度で圧子を引き上げ(除荷過程)、最終的に圧子に荷重がかからなくなった点を塑性変位(c)とする。このとき、得られる押し込み深さと荷重の曲線が図6のように記録され、最大変位(b)と塑性変位(c)弾性変位率τeは以下の式で算出される。
φ60mmの表面研磨したアルミニウムシリンダー上に、下記に示すように順次下引き層、電荷発生層、ホール輸送層を形成した。次いで、このホール輸送層上に下記のようにしてホール輸送性保護層用塗工液をスプレー塗工、自然乾燥した後、紫外線照射、乾燥して本発明の電子写真感光体を作製した。
《下引き層》
下記組成の全ての材料を混合し、アルミナボールで48時間ボールミル分散した。この分散液を500メッシュのステンレスメッシュで濾過し、塗工液を作製した。この塗工液を浸漬塗工し、130℃で20分乾燥することにより、3.5μmの下引き層を設けた。
〔下引き層用塗工液〕
アルキッド樹脂 33.6部
(ベッコライトM−6401―50―S、固形分50%、大日本インキ化学工業製)
メラミン樹脂 18.7部
(スーパーベッカミンG−821−60、固形分60%、大日本インキ化学工業製)
酸化チタン 84部
(CR−EL:石原産業社製、平均粒径:0.25μm)
メチルエチルケトン 100部
上記組成で、無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、1/1である。
アルキッド樹脂とメラミン樹脂の比は、6/4重量比である。
(チタニルフタロシアニン結晶の合成)
合成は、特開2004−83859号公報に準じた。即ち、1、3−ジイミノイソインドリン292部とスルホラン1800部を混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド204部を滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行った。反応終了後、放冷した後、析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、次にメタノールで数回洗浄し、更に80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶を濾過し、次いで、洗浄液が中性になるまでイオン交換水(pH:7.0、比伝導度:1.0μS/cm)により水洗いを繰り返し(洗浄後のイオン交換水のpH値は6.8、比伝導度は2.6μS/cmであった)、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキ(水ペースト)を得た。
得られたこのウェットケーキ(水ペースト)40部をテトラヒドロフラン200部に投入し、室温下でホモミキサー(ケニス、MARKIIfモデル)により強烈に撹拌(2000rpm)し、ペーストの濃紺色の色が淡い青色に変化したら(撹拌開始後20分)、撹拌を停止し、直ちに減圧濾過を行った。濾過装置上で得られた結晶をテトラヒドロフランで洗浄し、顔料のウェットケーキを得た。これを減圧下(5mmHg)、70℃で2日間乾燥して、チタニルフタロシアニン結晶8.5部を得た。前記ウェットケーキの固形分濃度は、15質量%であった。結晶変換溶媒は、前記ウェットケーキに対する質量比で33倍の量を用いた。なお、合成例1の原材料には、ハロゲン含有化合物を使用していない。得られたチタニルフタロシアニン粉末を、下記の条件によりX線回折スペクトル測定したところ、CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θが27.2±0.2°に最大ピークと最低角7.3±0.2°にピークを有し、更に9.4±0.2°、9.6±0.2°、24.0±0.2°に主要なピークを有し、かつ7.3°のピークと9.4°のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有さないチタニルフタロシアニン粉末を得られた。その結果を図7に示す。
X線管球:Cu
電圧:50kV
電流:30mA
走査速度:2°/分
走査範囲:3°〜40°
時定数:2秒
上記のように合成したチタニルフタロシアニン結晶を用い、下記組成の分散液を下に示す条件のビーズミリングにより作製した。
・上記合成チタニルフタロシアニン結晶 ・・・48部
・ポリビニルブチラール(積水化学株式会社製、BX−1)・・・32部
・2−ブタノン ・・・720部
市販のビーズミル分散機(VMA−GETZMANN GMBH製、DISPERMAT SL、ローターの直径は50mm、分散室容量は125ml)に直径0.5mmのジルコニアボールを用いた。
先ずポリビニルブチラールを溶解した2−ブタノン溶液を循環タンクに投入し、循環を行い、樹脂液が循環系に満たされ、循環タンクに戻ってくるのを確認した。
次いで、顔料を循環タンクに全て投入し、循環タンクで撹拌を行った後、ローター回転数3000r.p.m.にて300分間循環分散を行った。
分散終了後、ビーズミル分散機よりミルベースを払い出し、更に2060部の2−ブタノンを投入し、希釈と同時に分散機に残ったミルベースをすべて払い出し、分散液を作製した。
この分散液を電荷発生層用塗工液に用い、前記下引き層上に浸漬塗工を行い、90℃で20分乾燥することにより、0.2μmの電荷発生層を設けた。
下記ポリカーボネート樹脂、ホール輸送物質、シリコーンオイル、酸化防止剤をテトラヒドロフランに溶解し、ホール輸送層塗工液を調整した。この塗工液を用い、前記電荷発生層を上に浸漬塗工を行い、135℃で20分乾燥することにより、22μmのホール輸送層を設けた。
[ホール輸送層用塗工液]
・ビスフェノールZ ポリカーボネート樹脂 10部
(パンライトTS−2050、帝人化成製)
・下記構造のホール輸送物質(HTM−1) 10部
(HTM−1構造式)
(KF50−100CS、信越化学工業製)
・酸化防止剤 BHT 0.2部
・テトラヒドロフラン 100部
ホール輸送性保護層用塗工液は、下記組成の多官能ラジカル重合性モノマー、ラジカル重合性ホール輸送性化合物、ナフトキノン化合物、光重合開始剤をテトラヒドロフランに溶解し、調合した。前記下引き層、電荷発生層、ホール輸送層を順次形成したアルミシリンダー上に、このホール輸送性保護層用塗工液をスプレー塗工し、20分自然乾燥した後、下記条件で光硬化した。
光硬化条件は、アルミシリンダーを回転し内側から30℃の温水で冷却しながら、メタルハライドランプ:160W/cm、照射距離:120mm、照射強度:500mW/cm2、照射時間:180秒光照射した。光照射を行っている間、窒素ガスで置換し雰囲気の酸素濃度を1%以下に保った。光照射終了後、更に塗工溶媒を除去するために130℃で30分乾燥を加え、4μmのホール輸送性保護層を設けた。
・多官能ラジカル重合性モノマー 10部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA 、日本化薬製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99
・ラジカル重合性ホール輸送性化合物 10部
前記具体例 AD−3の化合物
・光重合開始剤 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
・ナフトキノン化合物 0.5部
前記具体例 NQ−12の化合物
(特開平9−151157号公報の合成例2に準じて合成)
・テトラヒドロフラン 100部
実施例1において、ホール輸送層用塗工液のホール輸送物質を下記構造のホール輸送物質(HTM−2)10部に変え、ホール輸送性保護層用塗工液のラジカル重合性ホール輸送性化合物を前記具体例AD−2の化合物10部に、及びナフトキノン化合物を前記具体例NQ−1(和光純薬工業製)の化合物0.1部に変えたこと以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
(HTM−2構造式)
実施例2において、ホール輸送性保護層用塗工液のラジカル重合性ホール輸送性化合物を前記具体例AD−12の化合物10部に変え、ナフトキノン化合物を前記具体例NQ−4の化合物0.1部(和光純薬工業製)に変えた以外は実施例2と同様にして電子写真感光体を作製した。
実施例1において、ホール輸送性保護層用塗工液の処方を以下のように変えたこと以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔ホール輸送性保護層用塗工液〕
・多官能ラジカル重合性モノマー(1) 5部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99
・多官能ラジカル重合性モノマー(2) 5部
カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(KAYARAD DPCA−120、日本化薬製)
分子量:1947、官能基数:6官能、分子量/官能基数=325
・ラジカル重合性ホール輸送性化合物 10部
前記具体例 AD−26の化合物
・光重合開始剤 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
・ナフトキノン化合物 0.5部
前記具体例 NQ−7の化合物(和光純薬工業製)
・テトラヒドロフラン 100部
・1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 0.2部
(KF50−100CS、信越化学工業製)
実施例1において、ホール輸送性保護層用塗工液を以下の様に変えたこと以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔ホール輸送性保護層用塗工液〕
・多官能ラジカル重合性モノマー 10部
ペンタエリスリトールテトラアクリレート
(SR−295,化薬サートマー製)
分子量:352、官能基数:4官能、分子量/官能基数=88
・ラジカル重合性ホール輸送性化合物 10部
前記具体例 AD−18の化合物
・光重合開始剤 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
・ナフトキノン化合物 0.1部
前記具体例 NQ−3の化合物(和光純薬工業製)
・テトラヒドロフラン 100部
・1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 0.2部
(KF50−100CS、信越化学工業製)
実施例1において、ホール輸送性保護層用塗工液を以下のように変えたこと以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔ホール輸送性保護層用塗工液〕
・多官能ラジカル重合性モノマー(1) 5部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99
・多官能ラジカル重合性モノマー(2) 5部
カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(KAYARAD DPCA−60、日本化薬製)
分子量:1263、官能基数:6官能、分子量/官能基数=211
・ラジカル重合性ホール輸送性化合物 10部
前記具体例 AD−17の化合物
・光重合開始剤 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
・ナフトキノン化合物 0.5部
前記具体例 NQ−9の化合物
(特開平9−151157号公報の合成例6に準じて合成)
・テトラヒドロフラン 100部
・1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 0.2部
(KF50−100CS、信越化学工業製)
実施例1において、ホール輸送性保護層用塗工液を以下のように変えたこと以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔ホール輸送性保護層用塗工液〕
・多官能ラジカル重合性モノマー 8部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99
・ラジカル重合性ホール輸送性化合物 12部
前記具体例 AD−37の化合物
・光重合開始剤 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
・ナフトキノン化合物 0.1部
前記具体例 NQ−9の化合物
(特開平9−151157号公報の合成例6に準じて合成)
・テトラヒドロフラン 100部
実施例1と同様にして、φ60mmのアルミシリンダー上に下引き層3.5μmを形成し、この下引き層上に下記電荷発生層用塗工液を浸漬塗布、130℃で20分乾燥し電荷発生層を形成した。なお、電荷発生層の膜厚は、655nmにおける電荷発生層の透過率が20%になるように調整した。電荷発生層の透過率は、下記組成の電荷発生層塗工液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムを巻き付けたアルミシリンダーに感光体作製と同じ条件で塗工を行い、電荷発生層を塗工していないポリエチレンテレフタレートフィルムを比較対照とし、市販の分光光度計(島津:UV−3100)にて、655nmの透過率を評価した。この電荷発生層上に、実施例1と同様にしてホール輸送層25μmを形成した。次いで、このホール輸送層上に下記のようにしてホール輸送性保護層用塗工液をスプレー塗工、乾燥した後、電子線照射によりホール輸送性保護層5μmを設け、本発明の電子写真感光体を作製した。
下記組成の処方にて、ボールミル分散機に直径10mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解した溶媒および下記構造のビスアゾ顔料を投入し、回転数85r.p.m.にて7日間分散を行い、電荷発生層用塗工液を作製した。
・下記構造のビスアゾ顔料(CGM−1) 5部
・シクロヘキサノン 250部
・2−ブタノン 100部
ホール輸送性保護層用塗工液は、下記組成の多官能ラジカル重合性モノマー、ラジカル重合性ホール輸送性化合物、ナフトキノン化合物をテトラヒドロフランに溶解し、調合した。前記下引き層、電荷発生層、ホール輸送層を順次形成したアルミシリンダー上に、このホール輸送性保護層用塗工液をスプレー塗工し、50℃で10分乾燥した後、下記条件で電子線硬化した。
電子線硬化条件は、アルミシリンダーを回転し内側から30℃の温水で冷却しながら、加速電圧150KV、照射線量5Mradの条件で電子線照射し、ホール輸送性保護層を形成した。電子線照射を行っている間、窒素ガスで置換し雰囲気の酸素濃度を1%以下に保った。
〔ホール輸送性保護層用塗工液〕
・多官能ラジカル重合性モノマー 10部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99
・ラジカル重合性ホール輸送性化合物 10部
前記具体例 AD−2の化合物
・ナフトキノン化合物 0.5部
前記具体例 NQ−12の化合物
(特開平9−151157号公報の合成例2に準じて合成)
・テトラヒドロフラン 100部
実施例8において、ホール輸送性保護層用塗工液を以下のように変えたこと以外は実施例8と同様にして電子写真感光体を作製した。
〔ホール輸送性保護層用塗工液〕
・多官能ラジカル重合性モノマー 使用しない
・ラジカル重合性ホール輸送性化合物 20部
前記具体例 AD−35の化合物
・ナフトキノン化合物 0.5部
前記具体例 NQ−9の化合物
(特開平9−151157号公報の合成例6に準じて合成)
・テトラヒドロフラン 100部
実施例1において、ホール輸送性保護層用塗工液を以下のように変えた以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。この時ナフトキノン化合物(前記具体例NQ−12の化合物)の添加量はラジカル重合性ホール輸送性化合物(前記具体例 AD−17の化合物)に対し0.3重量%に当たる。
〔ホール輸送性保護層用塗工液〕
・多官能ラジカル重合性モノマー 10部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99
・ラジカル重合性ホール輸送性化合物 10部
前記具体例 AD−17の化合物
・光重合開始剤 1部
1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン
(イルガキュア184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製)
・ナフトキノン化合物 0.03部
前記具体例 NQ−12の化合物
(特開平9−151157号公報の合成例2に準じて合成)
・テトラヒドロフラン 100部
・1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 0.2部
(KF50−100CS、信越化学工業製)
実施例10において、ホール輸送性保護層用塗工液のナフトキノン化合物の添加量を0.05部とした以外は実施例10と同様にして電子写真感光体を作製した。この時ナフトキノン化合物(前記具体例NQ−12の化合物)の添加量はラジカル重合性ホール輸送性化合物(前記具体例 AD−17の化合物)に対し0.5重量%に当たる。
[実施例12]
実施例10において、ホール輸送性保護層用塗工液のナフトキノン化合物の添加量を0.1部とした以外は実施例10と同様にして電子写真感光体を作製した。この時ナフトキノン化合物(前記具体例NQ−12の化合物)の添加量はラジカル重合性ホール輸送性化合物(前記具体例 AD−17の化合物)に対し1重量%に当たる。
実施例10において、ホール輸送性保護層用塗工液のナフトキノン化合物の添加量を0.5部とした以外は実施例10と同様にして電子写真感光体を作製した。この時ナフトキノン化合物(前記具体例NQ−12の化合物)の添加量はラジカル重合性ホール輸送性化合物(前記具体例 AD−17の化合物)に対し5重量%に当たる。
[実施例14]
実施例10において、ホール輸送性保護層用塗工液のナフトキノン化合物の添加量を1部とした以外は実施例10と同様にして電子写真感光体を作製した。この時ナフトキノン化合物(前記具体例NQ−12の化合物)の添加量はラジカル重合性ホール輸送性化合物(前記具体例 AD−17の化合物)に対し10重量%に当たる。
実施例10において、ホール輸送性保護層用塗工液のナフトキノン化合物の添加量を1.5部とした以外は実施例10と同様にして電子写真感光体を作製した。この時ナフトキノン化合物(前記具体例NQ−12の化合物)の添加量はラジカル重合性ホール輸送性化合物(前記具体例 AD−17の化合物)に対し15重量%に当たる。
[実施例16]
実施例11において、φ30mmのアルミシリンダーを用いた以外は実施例11と同様にして電子写真感光体を作製した。この時ナフトキノン化合物(前記具体例NQ−12の化合物)の添加量はラジカル重合性ホール輸送性化合物(前記具体例 AD−17の化合物)に対し0.5重量%に当たる。
実施例13において、φ30mmのアルミシリンダーを用いた以外は実施例13と同様にして電子写真感光体を作製した。この時ナフトキノン化合物(前記具体例NQ−12の化合物)の添加量はラジカル重合性ホール輸送性化合物(前記具体例 AD−17の化合物)に対し5重量%に当たる。
[実施例18]
実施例14において、φ30mmのアルミシリンダーを用いた以外は実施例14と同様にして電子写真感光体を作製した。この時ナフトキノン化合物(前記具体例NQ−12の化合物)の添加量はラジカル重合性ホール輸送性化合物(前記具体例 AD−17の化合物)に対し10重量%に当たる。
実施例1〜10において、ホール輸送性保護層用塗工液のナフトキノン化合物を用いないこと以外は実施例1〜10と同様にして電子写真感光体を作製した。
[比較例11]
実施例1において、ホール輸送性保護層用塗工液のナフトキノン化合物の変わりに下記構造の紫外線吸収剤(UV−1)0.5部を添加したこと以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
(UV−1の構造)
実施例1において、ホール輸送性保護層用塗工液のナフトキノン化合物の変わりに下記構造の紫外線吸収剤(UV−2)0.5部を添加したこと以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
(UV−2の構造)
実施例1において、ホール輸送性保護層用塗工液のナフトキノン化合物の変わりに下記構造の電子移動剤(ETM−1)0.5部を添加したこと以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
(ETM−1の構造)
実施例1において、ホール輸送性保護層用塗工液のナフトキノン化合物の変わりに下記構造の電子移動剤(ETM−2)0.5部を添加したこと以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
(ETM−2の構造)
実施例1において、ホール輸送性保護層用塗工液のナフトキノン化合物の変わりに下記構造の1重項酸素クエンチャー(Q−1)0.5部を添加したこと以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
(Q−1の構造)
実施例10において、φ30mmのアルミシリンダーを用い、ホール輸送性保護層用塗工液のナフトキノン化合物を用いないこと以外は実施例10と同様にして電子写真感光体を作製した。
[比較例17]
実施例1において、φ30mmのアルミシリンダーを用い、ホール輸送層の厚みを26μmにし、ホール輸送性保護層を設けない以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。
保護層中に生じた電荷トラップは、ホールの移動を遅くしたり停止させたりするために感光体の感度低下や残留電位の上昇を引き起こす。同一電位に負帯電させた感光体に光照射すると電荷発生層で生じたホールがホール輸送層及びホール輸送性保護層を移動して感光体表面に到達し、表面電位は消失していく。
表面電位が消失していくにつれて感光層にかかる電界が小さくなるため次第にホール移動性は遅くなり、もはや表面電位が下がらなくなる。この時の電位を飽和電位と定義する。今、ホール輸送性保護層中に電荷トラップが生じているとその分表面電位が下がらなくなるため、飽和電位は高くなる。そこで、飽和電位を調べることで電荷トラップの生成が抑制されているかどうか評価した。
この結果から添加されたナフトキノン化合物が電荷トラップの生成を抑制していることが判る。
本発明で用いられるナフトキノン化合物は、ホール輸送性及びラジカル反応性を有していない。従って、含有量が多くなるとホール輸送性低下や機械的強度低下を引き起こすと予想され、含有量が少ないと電荷トラップ生成の抑制効果が小さくなると予想される。従って、含有量に適当な範囲があると考え、これを確かめるために添加量を変えた電子写真感光体の前記飽和電位と機械的強度の指標となる弾性変位率τeを測定した。
実施例10〜15及び比較例10で得られた電子写真感光体を用い、上記と同様にして求めた飽和電位と、前記微小表面硬度計による弾性変位率の測定方法により求めた弾性変位率τeを表4に示す。
無添加の比較例と比較すると添加量が0.5重量%未満ではほとんど飽和電位が変わらなくなり電荷トラップ抑制効果は見られなくなる。一方、添加量が10重量%以上ではもはや飽和電位は下がらなくなっており過剰であることがわかる。
弾性変位率は添加量が増えるに従い低下傾向を見せる。ラジカル反応性を有しない添加物の存在は、架橋密度の低下につながっていることを示す。しかしながら添加量が10%までは40%以上の弾性変位率を有しており保護層を有しない感光体に比べて十分な機械的強度を有していることが判る。しかしながら、添加量が10%を超えると弾性変位率は大きく低下し、保護層として十分な強度とは言えなくなる。
これらより保護層としての機械的強度を有しながら電荷トラップの少ないホール輸送性に優れた感光体を提供するにはナフトキノン化合物の添加量がラジカル重合性ホール輸送性化合物に対して0.5重量%〜10重量%の範囲で添加されるのが適切であることが判る。
ナフトキノン化合物を添加することで保護層の電荷トラップ生成を低減できることがわかったが、実際の画像出力時にどの様に効果が有るかどうか評価した。
実施例1〜9、実施例13及び比較例1〜10で作製した電子写真感光体をリコー製デジタルフルカラー複合機imagio MP C7500 SPのプロセスカートリッジに着装し、本体に取り付けて600×600dpiの解像度でリコーマイリサイクルペーパーGPのA4用紙を用い、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック各中間調帯模様のテストパターンを毎分60枚の印刷速度で連続500枚の画像出力。1〜5枚目及び496〜500枚目のブラック画像を並べ、画像濃度の面内ムラをそれぞれ目視でランク評価した。また、1枚目と500枚目の中間調帯模様部(1by1ドットのブラック画像部)の画像濃度をマクベス濃度計により測定し、印刷開始時と終了時の画像濃度変化を見た。
画像濃度は、5箇所測定しその平均を求めた。
(面内ムラ ランクレベル)
ランク5:ムラが見られない
ランク4:ほとんどムラが見られない
ランク3:一部の画像で僅かなムラが見られる
ランク2:画像全てに僅かなムラが見られる
ランク1:画像全てにムラが明瞭に見られる
その結果を表5に記す。
この傾向が先の飽和電位値の大小ではなく、添加剤の有無に従って見えることから、保護層中の電荷トラップの存在量が画像出力時の経時での濃度変化や面内濃度ムラに寄与していることを示している。
従って、ナフトキノン化合物を添加することで電荷トラップの生成を抑制できる本発明の電子写真感光体は、より高画質で安定性の求められる商業印刷分野の画像出力方法、画像出力装置、それに用いられる画像出力装置用プロセスカートリッジの提供に有効なものであることが判る。
本発明のナフトキノン化合物の重要な機能は、ラジカル重合性ホール輸送性化合物が紫外線や電子線などに代表される高エネルギー線を照射した時の分解を抑制させることである。同様の機能を有するとして知られている紫外線吸収剤を添加した場合との相違を評価する。
また、ナフトキノン化合物は電子輸送材料としてよく知られている材料である。同様の機能を有するとして知られている電子輸送材を添加した場合との相違も評価する。
また、色素材料の光褪色防止に効果がある1重項酸素クエンチャーを添加した場合との相違も評価する。
比較例11〜15で得られた感光体について前記と同様にして飽和電位を求めた。その結果を表6に示す。
これらの事から本発明で使用されるナフトキノン化合物の効果は特有なものであることが判る。
実施例16〜18、比較例16、17の感光体を電子写真装置用プロセスカートリッジに装着し、リコー製imagio Neo 271にて5万枚の複写を実施した。まず、初期暗部電位を−850Vに設定し、複写原図は画像面積6%の10ポイント文字A4チャートを用い、初期と5万枚複写後の画像出力を評価した。画像評価は文字の濃さやにじみ、地肌部の汚れについて、目視で複写原図と比較した。また、初期と5万枚複写後終了時の全層膜厚を1cm間隔で測定し、その差から摩耗量を算出した。膜厚測定には渦電流式膜厚計FISCHERSCOPE MMS(Fischer製)用いた。その結果を表7に示す。
11、11Y、11M、11C、11K 帯電部材
12、12Y、12M、12C、13K 画像露光部材
13、13Y、13M、13C、13K 現像部材
14 搬送ローラ
15 転写紙
16、16Y、16M、16C、16K 転写部材
17、17Y、17M、17C、17K クリーニング部材
18 除電部材
20Y、20M、20C、20K 画像形成要素
21 給紙コロ
22 レジストローラ
23 転写部材(二次転写部材)
24 定着部材
31 導電性支持体
33 感光層
35 電荷発生層
37 ホール輸送層
39 ホール輸送性保護層
101 感光ドラム
102 帯電装置
103 露光
104 現像装置
105 転写体
106 転写装置
107 クリーニングブレード
Claims (9)
- 導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、ホール輸送層、ホール輸送性保護層を順に積層し、該ホール輸送性保護層が少なくともラジカル重合性ホール輸送性化合物を紫外線又は電子線を照射することで連鎖重合させて得られる3次元架橋膜からなる電子写真感光体において、該ホール輸送性保護層中にナフトキノン化合物を含有させたことを特徴とする電子写真感光体。
- 前記ナフトキノン化合物の含有量が、ラジカル重合性ホール輸送性化合物の0.5〜10重量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 前記ラジカル重合性ホール輸送性化合物のラジカル重合性反応基が、アクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記ホール輸送性保護層が、ラジカル重合性ホール輸送性化合物と共にホール輸送性を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーを連鎖重合させて得られる3次元架橋膜からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子写真感光体。
- 前記ホール輸送性保護層が少なくとも下記一般式(3)で表される1官能のラジカル重合性ホール輸送性化合物と共にホール輸送性を有しない3官能以上のラジカル重合性モノマーを連鎖重合させて得られる3次元架橋膜からなり、該ホール輸送性保護層中に前記一般式(2)で表されるナフトキノン化合物を含有させたことを特徴とする請求項5に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子写真感光体を用いて、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行なうことを特徴とする画像形成方法。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子写真感光体を有することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段および除電手段よりなる群から選ばれた少なくとも一つの手段を有するものであって、画像形成装置本体に着脱可能としたことを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
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