JP5615214B2 - 軽油組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、軽油中の炭化水素の組成を適切に制御することにより、酸化安定性を確保した軽油組成物に関する。
ディーゼルエンジンに利用される軽油燃料は、近年の重油燃料需要の減退に伴い、従来からの直留系の中間留分だけではなく、水素化分解装置や流動接触分解装置などから得られる分解系の軽油基材の増加、天然ガス、アスファルト分、石炭等を原料とし、これを化学合成させることで得られる合成系の軽油基材の増加、CO2排出量削減の観点からバイオマス由来基材の増加など、多様化することが想定される。
しかしながら、従来からの直留系の中間留分以外の軽油基材、特に分解系の軽油基材は、直留系の重質分を高温高圧環境下で処理して得られるため、生成油中に不安定な物質が生成しやすく、安定性が悪化する場合が多い。
一方、ディーゼルエンジンは排出ガス規制強化により、コモンレールによる燃料噴射の高圧化が一段と進むことで軽油への熱負荷が増大し、従来以上に軽油の酸化安定性向上が求められている。これらにより、軽油の酸化安定性を向上させるために、例えば酸化防止用添加剤を添加することが考えられ、硫黄分を10質量ppm以下に低減した軽油に酸化防止剤を添加することが提案されている(特許文献1参照)。また、酸化防止剤が添加された灯油を軽油に添加する方法も考えられる。しかし、酸化防止用添加剤を添加する方法は、製造時の軽油組成変化により添加剤の添加効果がばらつく為、そのばらつきを加味して一般に過剰に添加されることで製造コストを引き上げることとなる。また添加剤を過剰に添加すると、温度低下により添加剤が析出し易くなる。また、添加剤の添加量が少ないと、比較的低温環境にあるゴム部材への影響が小さくても、高温環境にあるエンジンの清浄性や高圧環境の金属材質を腐食させる等の悪影響を及ぼす。また、軽油の芳香族成分やナフテン成分の含有量を特定範囲にすることで酸化防止用添加剤を添加しないで酸化安定性を維持することが提案されている(特許文献2参照)。この軽油組成物を調製する方法は有効であるが、特許文献2記載の発明では酸化安定性の悪い物質としてフルオレン類とナフテノベンゼン類に着目し、これらの含有量と酸化安定性が良好な物質であるナフタレン類含有量とのバランスをとっている。しかしながら、分解系の軽油基材を高温高圧環境下で処理すると、生成油中に酸化安定性が悪いナフテノベンゼン類が生成しやすく、特許文献2記載の発明では、ナフテノベンゼン類が高濃度で存在する場合の軽油組成物の調製方法は言及していない。
特開2004−225000号公報 特開2006−137922号公報
「Peroxide Formation in Low Sulfur Automotive Diesel Fuels」,SAE920826
本発明は、上記課題を解決するもので、酸化安定性に顕著に影響を及ぼす物質を特定範囲にすることで、酸化防止用添加剤を過剰に添加することなしに酸化安定性を良好に保持する、硫黄分が10質量ppm以下の軽油組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、鋭意研究を進めた結果、1環及び2環ナフテノベンゼン類が高濃度で存在する場合、ビフェニル類含有量と2環シクロパラフィン類含有量を、特定比率範囲内に制限することにより、顕著な酸化安定性向上があることを見出した。また、この酸化安定性向上効果により、酸化安定性が良い軽油基材を多く混合せずに、また酸化防止剤を過剰に添加することなく酸化安定性が改善出来ることを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明は、15℃における密度が0.840〜0.870g/cm、組成物全量を基準として、全硫黄分が10質量ppm以下、1環ナフテノベンゼン類含有量(イオン強度%)が11.0〜14.0、2環ナフテノベンゼン類含有量(イオン強度%)が7.0以下、ビフェニル類含有量(イオン強度%)が1.0〜4.0、2環シクロパラフィン類含有量(イオン強度%)が7.0〜15.0、ジブチルヒドロキシトルエン含有量が10〜60mg/Lであり、かつ試験装置としてPetroOXY装置を用い、試験燃料を入れた金属容器に圧力700kPaで酸素を封入し、加温開始時から、試験温度140℃に到達する容器内圧力の最高圧力点より10%圧力が降下する点までの経過時間で測定される誘導期間が60〜150分である軽油組成物である。
また、本発明は、全芳香族分が25〜35容量%、脂肪酸メチルエステル含有量が0.1容量%以下である前記記載の軽油組成物である。
また、本発明は、誘導期間が30分以上90分未満である軽油基材にジブチルヒドロキシトルエンを95質量%以上含む酸化防止剤を添加して前記記載の軽油組成物を製造することを特徴とする軽油組成物の製造方法である。
本発明の軽油組成物は、軽油性状を特定範囲にすることで、酸化安定性の高い軽油基材を多く混合することによる製造の制約やそれに伴う製造コスト、さらには酸化防止剤の過剰の添加コストを防止するという格別の効果を奏する。また、全硫黄分が10質量ppm以下であるので、燃焼によって生ずる亜硫酸ガス等に基づく悪臭や環境負荷が低減されるとともに、貯蔵時やディーゼルエンジンで高圧噴射されることで受ける熱負荷による酸化重合物を低減する効果を奏し、さらにこの結果、これらの改善に用いていた添加剤を過剰に添加する必要がなくなる。
本発明による軽油組成物は、15℃における密度が燃費低減の点から0.840g/cm以上、好ましくは0.850g/cm以上、更に好ましくは0.855g/cm以上、特に好ましくは0.860g/cm以上である。また、煤や窒素酸化物の排出ガス低減の点から0.870g/cm以下、好ましくは0.865g/cm以下、更に好ましくは0.863g/cm以下である。全硫黄分は燃費低減の点から10質量ppm以下、好ましくは5質量ppm以下である。また、酸化安定性改善効果を高める為に1環ナフテノベンゼン類含有量(イオン強度%)が11.0以上、好ましくは11.5以上、更に好ましくは11.7以上、特に好ましくは12.0以上である。また、1環ナフテノベンゼン類含有量(イオン強度%)が多すぎると酸化安定性改善効果が小さくなり、また酸化防止剤の添加効果が小さくなるために、1環ナフテノベンゼン類含有量(イオン強度%)が14.0以下、好ましくは13.5以下、更に好ましくは13.0以下、特に好ましくは12.9以下である。2環ナフテノベンゼン類含有量(イオン強度%)が多すぎると酸化安定性改善効果が小さくなるため、7.0以下、好ましくは6.8以下、更に好ましくは6.5以下、特に好ましくは6.3以下である。また、ビフェニル類含有量(イオン強度%)が少ないと酸化安定性改善効果が小さくなるために、1.0以上、好ましくは1.5以上、更に好ましくは2.0以上、特に好ましくは2.5以上である。また、ビフェニル類含有量(イオン強度%)が多いと着火性の悪化により低温時のエンジン始動性が悪化したり、燃焼時に煤が発生し易くなるため、4.0以下、好ましくは3.8以下、更に好ましくは3.7以下、特に好ましくは3.6以下である。2環シクロパラフィン類含有量(イオン強度%)が少ないと酸化安定性改善効果が小さくなるために、7.0以上、好ましくは7.5以上、更に好ましくは8.0以上、特に好ましくは8.5以上である。また、2環シクロパラフィン類含有量(イオン強度%)が多いと着火性の悪化により低温時のエンジン始動性が悪化するため、15.0以下、好ましくは14.5以下、更に好ましくは14.0以下、特に好ましくは13.5以下である。
本発明による軽油組成物は、ジブチルヒドロキシトルエンを含有する。ジブチルヒドロキシトルエンの含有量は、好ましくは10mg/L以上、特に好ましくは20mg/L以上である。また、ジブチルヒドロキシトルエンの含有量は60mg/L以下であり、好ましくは55mg/L以下、更に好ましくは50mg/L以下、特に好ましくは40mg/L以下である。ジブチルヒドロキシトルエンは酸化防止剤として使用されている化合物であるが、本発明の軽油組成物に10mg/L以上配合することで貯蔵安定性を良好にするだけでなく、エンジンの燃料噴射ノズルの詰まりによる出力低下を抑えることができる。一方、ジブチルヒドロキシトルエンの含有量が60mg/Lを超えると、軽油から分離してデポジットの原因物質になり易くなるため好ましくない。
また、誘導期間が短いとエンジンの燃料噴射ノズルが詰まり易く、出力が低下したり、燃料タンク等の金属材質を腐食させる悪影響を及ぼすため、誘導期間は60分以上であり、好ましくは68分以上、更に好ましくは70分以上、特に好ましくは80分以上である。また、誘導期間が長いと、酸化安定性が良好な多くの軽油基材を使用し、また酸化防止剤の添加量が多くなることで製造コストが上がるため、150分以下であり、好ましくは130分以下、更に好ましくは115分以下、特に好ましくは110分以下である。
本発明の軽油組成物の全芳香族分は、25容量%以上が好ましく、より好ましくは26容量%以上、更に好ましくは27容量%以上、特に好ましくは28容量%以上である。全芳香族分が25容量%より少ないと酸化安定性が悪化し易くなり、出力が低下するためこのましくない。一方、全芳香族分が多いと着火性が悪化し、燃焼時に煤が発生し易くなる為、35容量%以下が好ましく、より好ましくは34容量%以下、更に好ましくは33容量%以下、特に好ましくは32容量%以下である。
なお、本発明の軽油組成物は脂肪酸メチルエステル(FAME)を含有しないことが好ましい。脂肪酸メチルエステルを含有すると安定性が悪化し易くなり、エンジンの燃料噴射ノズルが詰まり易く、出力が低下したり、燃料タンク等の金属材質を腐食させる悪影響を及ぼすため、脂肪酸メチルエステルの含有量は0.1容量%以下であることが好ましい。
本発明の軽油組成物は、誘導期間が30分以上90分未満である軽油基材にジブチルヒドロキシトルエンを95質量%以上含む酸化防止剤を添加して製造することができる。
軽油基材の誘導期間は30分以上であり、好ましくは33分以上、更に好ましくは50分以上、特に好ましくは60分以上である。軽油基材の誘導期間が30分より短いと、酸化安定性が良好な基材混合による安定性改善効果や酸化防止剤添加効果が小さくなるためこのましくない。一方、軽油基材の誘導期間は90分未満であり、好ましくは88分以下である。軽油基材の誘導期間が90分より長いと酸化安定性改善効果が小さくなるため好ましくない。
酸化防止剤中のジブチルヒドロキシトルエンの含有割合は95質量%以上であり、好ましくは97質量%以上であり、100質量%が最も好ましい。なお、酸化防止剤中にジブチルヒドロキシトルエン以外の他の酸化防止剤が含まれる場合は、当該他の酸化防止剤はフェノール系、アミン系等の酸化防止剤であることが好ましい。
ここで、1環ナフテノベンゼン類含有量(イオン強度%)、2環ナフテノベンゼン類含有量(イオン強度%)、1環シクロパラフィン類含有量(イオン強度%)、2環シクロパラフィン類含有量(イオン強度%)、3環シクロパラフィン類含有量、ビフェニル類含有量及びナフタレン類含有量(イオン強度%)の求め方について説明する。まず燃料油組成物をジエチルエーテルとペンタンを用いたシリカゲルクロマト分別によって燃料組成物を芳香族分と飽和分に分離する。この時の芳香族分の重量が後記するAromaの値であり、飽和分の重量が後記するSaturateの値である。次に、シリカゲルクロマト分別物の芳香族分及び飽和分について、ガスクロマトグラフとFIイオン化法による質量分析を組み合わせたGC−TOFMS法を行った。分析条件を以下に示す。
(GC条件)
装置:Agilent社製 6890N
カラム:Agilent社製 DB−1MS(30m×0.25mmf×0.25μm)
オーブン温度:50℃(5min)−(5℃/min)280℃
注入量:0.5μL
注入法:スプリット(スプリット比=1:10)
注入部温度:320℃
GCインターフェース温度:300℃
キャリアガス:He 1.2mL/min(一定)
(MS条件)
装置:日本電子社製JMS−T100GC
対向電極電圧:−10kV
イオン化法:FI(電界イオン化)
イオン源温度:室温
質量数測定範囲:m/z 35〜500
GC−TOFMS分析の結果得られるマススペクトルの中で、それぞれ炭素数ごとの1環ナフテノベンゼン類〜6環ナフテノベンゼン類の質量数をもつイオン強度とアルキルベンゼン類の質量数をもつイオン強度およびビフェニル類、2環以上の芳香族類の質量数をもつイオン強度の合計が芳香族分のトータルイオン強度である。なお、3環ナフテノベンゼン類はナフタレン類、4環ナフテノベンゼン類はビフェニル類としてみなす。また5環ナフテノベンゼン類〜6環ナフテノベンゼン類は2環以上の芳香族類と質量数が重複するものがあるため、それぞれ足したイオン強度である。ここで得られた炭素数ごとのタイプ別イオン強度をトータルイオン強度の百分率から割合を求め、さらにこの割合の合計がAromaの値になるよう補正を実施し、炭素数ごとのタイプ別イオン強度%を求める。
この方法により、1環ナフテノベンゼン類含有量(イオン強度%)、2環ナフテノベンゼン類含有量(イオン強度%)、ナフタレン類含有量(イオン強度%)及びビフェニル類含有量(イオン強度%)を求めることができる。
また、GC−TOFMS分析の結果得られるマススペクトルの中で、それぞれ炭素数ごとのノルマルパラフィン類、イソパラフィン類及び1環シクロパラフィン類〜6環シクロパラフィン類の質量数をもつイオン強度の合計が飽和分のトータルイオン強度である。
ここで得られた炭素数ごとのタイプ別イオン強度をトータルイオン強度の百分率から割合を求め、さらにこの割合の合計がSaturateの値になるよう補正を実施し、炭素数ごとのタイプ別イオン強度%を求める。
この方法により、ノルマルパラフィン類(イオン強度%)、イソパラフィン類(イオン強度%)及び1環シクロパラフィン類〜6環シクロパラフィン類(イオン強度%)を求めることができる。
ここで、本発明でいう誘導期間の測定方法について説明する。試験燃料を入れた金属容器を密閉し、そこへ所定の圧力まで酸素を封入する。その後密閉容器を所定の温度まで加温し、容器内圧力が最高圧力点から10%圧力が降下する点まで所定の温度を保ち、加温開始から10%圧力降下点までの時間を測定し、その時間を誘導期間とする。
この誘導期間が長いほど、高温環境でのエンジンの清浄性を維持し、高圧環境にある金属部材の腐食を抑えることができる。
(測定条件)
装置:PetroOXY装置(Petrotest社製)
酸素封入圧力:700kPa(ゲージ圧)
試験温度:140℃
試験燃料量:5mL
本発明の軽油組成物の基材としては、石油系軽油基材及び石油系灯油基材を使用することができる。石油系軽油基材としては、具体的には例えば、原油の常圧蒸留装置から得られる直留軽油;常圧蒸留装置から得られる直留重質油や残査油を減圧蒸留装置にかけて得られる減圧軽油;直留軽油又は減圧軽油を水素化精製して得られる水素化精製軽油;直留軽油又は減圧軽油を通常の水素化精製より苛酷な条件で一段階又は多段階で水素化脱硫して得られる水素化脱硫軽油;流動接触分解装置から得られる接触分解軽油を単独、又は直留軽油と混合後に水素化脱硫して得られる水素化脱硫軽油;前記の種々の軽油基材を水素化分解して得られる水素化分解軽油などが挙げられる。
また、石油系灯油基材としては、具体的には例えば、原油の常圧蒸留装置から得られる直留灯油;常圧蒸留装置から得られる直留重質油や残査油を減圧蒸留装置にかけて得られる減圧灯油;直留灯油又は減圧灯油を水素化精製して得られる水素化精製灯油;直留灯油又は減圧灯油を通常の水素化精製より苛酷な条件で一段階又は多段階で水素化脱硫して得られる水素化脱硫灯油;上記の種々の灯油基材を水素化分解して得られる水素化分解灯油などが挙げられる。
本発明に用いる軽油基材は石油系軽油基材及び石油系灯油基材を用いることが出来るが、概ね酸化安定性が良好な軽油基材は、石油系灯油基材、直留軽油のみを水素化脱硫して得られる水素化脱硫軽油基材、あるいはまた高温・高圧で水素化分解して得られる水素化分解灯油基材や水素化分解軽油基材であるため、製造コスト高やジェット燃料用途から、混合比率は低いのが好ましい。また、軽油混合基材である、接触分解軽油を多く混合して水素化脱硫した水素化脱硫軽油は酸化安定性改善効果を得るために、接触分解軽油の混合比率は好ましくは10容量%以上、更に好ましくは15容量%以上、特に好ましくは20容量%以上である。30容量%以上である。接触分解軽油の混合比率が多すぎると酸化安定性が悪化するため、好ましくは70容量%以下、更に好ましくは60容量%以下、特に好ましくは50容量%以下である。
本発明の軽油組成物は、必要に応じて低温流動性向上剤を含有することができる。低温流動性向上剤の種類は特に限定されるものではないが、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体に代表されるエチレン−不飽和エステル共重合体、アルケニルこはく酸アミド、ポリエチレングリコールのジベヘン酸エステルなどの線状の化合物、フタル酸、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ酢酸などの酸又はその酸無水物などとヒドロカルビル置換アミンの反応生成物からなる極性窒素化合物、アルキルフマレートまたはアルキルイタコネート−不飽和エステル共重合体などからなるくし形ポリマーなどの低温流動性向上剤の1種または2種以上が使用できる。この中でも汎用性の点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体系添加剤を好ましく使用することができる。低温流動性向上剤を添加する場合の添加量は、50〜500mg/Lであることが好ましく、50〜300mg/Lであることが特に好ましい。なお、低温流動性向上剤と称して市販されている商品は、低温流動性に寄与する有効成分が適当な溶剤で希釈されていることがあるため、こうした市販品を本発明の燃料油組成物に添加する場合にあたっては、上記の添加量は、有効成分としての添加量を意味している。
本発明の軽油組成物は、噴射ポンプ内の潤滑性確保の点から潤滑性向上剤を含有することができる。潤滑性向上剤の種類は特に限定されるものではないが、エステル系、カルボン酸系、アルコール系、フェノール系、アミン系等の潤滑性向上剤の1種または2種以上を使用することができる。この中でも、汎用性の点から、エステル系、カルボン酸系の潤滑性向上剤の使用が好ましい。さらに添加濃度に対する添加効果が飽和に達しにくく、HFRRのWS1.4値をより小さくできる点からはエステル系潤滑性向上剤が好ましく、添加濃度に対する添加効果の初期応答性が高く、潤滑性向上剤の添加量を少なくできる可能性があるという点からはカルボン酸系潤滑性向上剤が好ましい。
エステル系の潤滑性向上剤としては、例えば、グリセリンのカルボン酸エステル等が挙げられる。カルボン酸エステルを構成するカルボン酸は1種であっても2種以上であってもよく、その具体例としては、リノール酸、オレイン酸、サリチル酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ヘキサデセン酸等が挙げられる。また、カルボン酸系の潤滑性向上剤としては、例えば、リノール酸、オレイン酸、サリチル酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ヘキサデセン酸等が挙げられ、これらの1種または2種以上が任意に使用可能である。なお、低温流動性向上剤が潤滑性改善効果を併せ持つ場合には、低温流動性向上剤と潤滑性向上剤を組み合わせて、潤滑性の改善を図ることができる。
潤滑性向上剤を添加する場合の添加量は、25〜500mg/Lであることが好ましく、25〜300mg/Lであることがより好ましく、25〜200mg/Lであることがさらに好ましい。これによりHFRRのWS1.4値が好ましくは500μm以下、より好ましくは460μm以下、さらに好ましくは420μm以下、最も好ましくは400μm以下となるように添加するのがよい。潤滑性向上剤と称して市販されている商品は、それぞれ潤滑性に寄与する有効成分が適当な溶剤で希釈された状態で入手されるのが通例である。こうした市販品を本発明の燃料油組成物に添加する場合にあたっては、上記の添加量は、有効成分としての添加量を意味している。
本発明の軽油組成物のセタン指数は、特に限定されるものではないが、エンジン着火性の観点から45.0以上であることが好ましく、47.0以上であることが更に好ましく、特に好ましくは47.5以上である。
また、本発明の軽油組成物のセタン指数が45.0未満の場合、セタン価向上剤を添加することにより、セタン価を45.0以上とするのが好ましい。また、セタン指数が45.0以上の場合でも、セタン価向上剤を添加することにより、エンジン着火性をさらに向上させ、低温でのエンジン始動性の向上、始動時の白煙の低減を図ることができる。ここでいうセタン価、セタン指数とは、JIS K 2280「石油製品−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法」により測定、算出される値を意味する。
本発明の軽油組成物の蒸留性状は、特に制限されるものではないが、下記の性状を満たしていることが望ましい。
10容量%留出温度:200〜290℃
50容量%留出温度:240〜300℃
90容量%留出温度:270〜340℃
本発明の軽油組成物の蒸留性状について更に詳述する。
本発明の軽油組成物の蒸留性状に関し、10容量%留出温度(以下、T10と略す。)は、好ましくは200℃以上、より好ましくは210℃以上、更に好ましくは215℃以上、特に好ましくは220℃以上であり、また、好ましくは290℃以下、更に好ましくは270℃以下、特に好ましくは260℃以下である。T10が200℃未満であると、一部の軽質留分が気化し、ディーゼル自動車のエンジン内において噴霧範囲が広範囲となることに伴って排出ガス中の未燃の炭化水素量が増大し、その結果、高温時の始動性及びアイドリング時のエンジンの回転の安定性が低下する傾向にある。他方、T10が290℃を超えると、ディーゼル自動車における低温時の始動性及び運転性が低下する傾向にある。
本発明の軽油組成物の50容量%留出温度(以下、T50と略す。)は、好ましくは240℃以上、更に好ましくは250℃以上、特に好ましくは275℃以上であり、また、好ましくは300℃以下、より好ましくは290℃以下、更に好ましくは288℃以下である。T50が240℃未満であると、ディーゼル自動車における燃料消費率、エンジン出力、高温時の始動性、アイドリング時のエンジンの回転の安定性が低下する傾向にある。他方、T50が300℃を超えると、ディーゼル自動車においてエンジンから排出される粒子状物質(Particulate Matter、以下、PMという)が増加する傾向にある。
また、本発明の軽油組成物の90容量%留出温度(以下、T90と略す。)は、好ましくは270℃以上、更に好ましくは290℃以上、特に好ましくは300℃以上であり、また、好ましくは340℃以下、より好ましくは337℃以下、更に好ましくは335℃以下である。T90が270℃未満であると、ディーゼル自動車における燃料消費率、高温時の始動性、アイドリング時のエンジンの回転の安定性が低下する傾向にある。また、軽油組成物が低温流動性向上剤を含有する場合には、低温流動性向上剤による目詰まり点等の改善効果が低下する傾向にある。他方、T90が340℃を超えると、ディーゼル自動車においてエンジンから排出されるPMが増加する傾向にある。
なお、ここでいうT10、T50及びT90とは、それぞれJIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法−常圧法」に準拠して測定される値を意味する。
本発明の軽油組成物について実施例により具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例のように実施すれば実現できるが、本実施例に限定されるものではない。
なお、本発明に用いる物性測定方法及び評価方法は、次に示した方法で測定されるものである。
1)密度:JIS K 2249「原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量・容量換算表」に規定された方法。
2)蒸留性状:JIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法」に規定された方法。
3)硫黄分:JIS K 2541−6「原油及び石油製品−硫黄分試験方法(紫外蛍光法)」に規定された方法。
4)芳香族分:JPI−5S−49−97「石油製品―炭化水素タイプ試験方法―高速液体クロマトグラフ法」に規定された方法
[加速試験後の誘導期間]
試料90mLを、ステンレス製の120mL容器に入れ、容器内の圧力を計測する圧力計が付いたステンレスの蓋で密閉した後、95℃に設定した恒温槽で200時間放置する。
この間、容器上部の圧力計が10%以上低下したら、一旦常温に戻して上部の蓋を開放し、空気を補給した後再度密閉し、恒温槽内に入れる。恒温槽内放置の積算時間が200時間 経過後に恒温槽から取り出し、温度が常温まで低下したら、試料の誘導期間を測定する。200時間経過後に測定した誘導期間が試験開始前の誘導期間に対して30%以内の低下の場合を○、30%を超えて50%以下の低下の場合を△、50%を超えて低下の場合を×とする。この誘導期間の低下が小さいほど、エンジンの清浄性や金属部材の影響が小さくなる。
(実施例1〜6及び比較例1〜4)
直留系の中間留分を水素化脱硫して得られた軽油基材A、直留系の灯油留分を水素化脱硫して得られた灯油基材B、熱分解装置から得られる分解系の中間留分を水素化脱硫装置で混合処理して得られた軽油基材C、減圧蒸留して得られた重質留分を水素化分解し水素化脱硫装置で混合処理して得られた軽油基材D、流動接触分解装置などから得られる分解系の中間留分と直留系中間留分を水素化脱硫装置で混合処理して得られた軽油基材Eを用いて軽油組成物を調製した。これらの軽油基材の性状を表1に示す。また、調製した軽油組成物(実施例1〜6及び比較例1〜4)の組成及び性状を表2及び表3に示す。
Figure 0005615214
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表2及び表3から、比較例1、比較例2、比較例3及び比較例4の誘導期間が短いこと、また比較例4から酸化防止剤のジブチルヒドロキシトルエンを多く添加しても誘導期間が短く、加速試験後の誘導期間変化が大きいことがわかる。これらに比較して、実施例1〜実施例6の誘導期間は長く、また加速試験後の誘導期間変化が小さく、酸化安定性が良好であることがわかる。
本発明により、軽油中の炭化水素の組成を適切に制御することにより、酸化安定性を確保した軽油組成物を得ることができ、産業上きわめて有用である。

Claims (3)

  1. 15℃における密度が0.840〜0.870g/cm、組成物全量を基準として、全硫黄分が10質量ppm以下、1環ナフテノベンゼン類含有量(イオン強度%)が11.0〜14.0、2環ナフテノベンゼン類含有量(イオン強度%)が7.0以下、ビフェニル類含有量(イオン強度%)が1.0〜4.0、2環シクロパラフィン類含有量(イオン強度%)が7.0〜15.0、ジブチルヒドロキシトルエン含有量が10〜60mg/Lであり、かつ試験装置としてPetroOXY装置を用い、試験燃料を入れた金属容器に圧力700kPaで酸素を封入し、加温開始時から、試験温度140℃に到達する容器内圧力の最高圧力点より10%圧力が降下する点までの経過時間で測定される誘導期間が60〜150分である軽油組成物。
  2. 全芳香族分が25〜35容量%、脂肪酸メチルエステル含有量が0.1容量%以下である請求項1記載の軽油組成物。
  3. 誘導期間が30分以上90分未満である軽油基材にジブチルヒドロキシトルエンを95質量%以上含む酸化防止剤を添加して請求項1または請求項2記載の軽油組成物を製造することを特徴とする軽油組成物の製造方法。
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