JP5612400B2 - タイヤ加硫用ブラダの交換時期判定方法及び交換時期判定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、タイヤを加硫するブラダの良否判定に関し、特に、ブラダの交換時期を判定するためのタイヤ加硫用ブラダの交換時期判定方法及び交換時期判定装置に関する。
従来、タイヤは、タイヤ外周面を金型により包囲し、タイヤ内周面にブラダを配置し、ブラダを膨出させることでタイヤを金型に対して押圧して加硫される。
この加硫用のブラダは、可撓性を有する素材からなり、ブラダが膨出したときにタイヤ内周面に沿ってトーラス状となるように形成される。また、ブラダ表面にはタイヤ内周面とブラダとの間に介在する空気を排出するための複数の排気溝が形成されている。そして、タイヤ内周面に配置されたブラダ内部に所定の温度に加熱された流体を供給してブラダを膨出させることで、タイヤ内周面とブラダ表面との間の空気を排気溝から排出しつつタイヤ内周面とブラダ表面とを密着させ、さらにブラダを膨出させることでタイヤが金型に対して押圧された状態で加硫される。タイヤの加硫が完了すると、ブラダに供給された流体を排出してタイヤ内周面からブラダが取り除かれる。
上記のようにブラダは、膨出、収縮を繰り返すことでタイヤを加硫しているため、膨出・収縮による繰り返し疲労が蓄積し、徐々に劣化する。そして、ブラダの劣化が進行し、タイヤ成型時にブラダを膨出させる流体が漏洩したり、パンクしたりした場合に、ブラダの使用限界であることが初めて認識され、新たなブラダと交換される。
特許文献に示すように、ブラダの使用限界(寿命)を知る方法としては、ブラダを膨出させる媒体の漏洩を検出する検出手段をタイヤの加硫成型装置に設け、ブラダに発生したピンホール等を検出する方法が知られている。しかし、ピンホール等の発生により使用限界(寿命)を迎えたブラダは、ピンホール等の発生以前に相当程度の劣化が進行していることが予想され、ある一定の時期からピンホールの発生直前までに成型されたタイヤは、相当程度の劣化が進行したブラダによって加硫されたこととなるため、生産現場においてはピンホール等の発生が生じた場合には、ある一定の時期からブラダの交換直前までに加硫されたタイヤを遡って検査し、成型不良の有無を検査する必要があった。
また、過去に遡る検査の結果、タイヤが不良と判定された場合には、一定期間の間に生産されたタイヤを無駄に加硫したこととなり、タイヤの生産資源に無駄を生じさせることとなる。
特開2001−255229号公報 特開2002−210742号公報
そこで本発明は、上記課題を解決するため、タイヤの成型不良を引き起こすブラダの状態を適切に把握することにより、ブラダの交換時期を確実に判定し、ブラダ交換後に行われる成型不良の有無の検査工程及び生産資源の無駄を生じさせることのないタイヤ加硫用ブラダの交換時期判定方法及び交換時期判定装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための方法として、タイヤ内周面の撮像画像から、タイヤの成型時に加硫用ブラダによってタイヤ内周面に型付けされた凸部を除く領域の凹凸状態の散布度を算出し、散布度と予め規定した閾値とを比較し、散布度が閾値よりも大きいときに加硫用ブラダの交換時期であると判定するようにした。
本方法によれば、加硫用ブラダの表面の凹凸状態が成型するタイヤの内周面に転写されるため、タイヤ内周面の撮像画像からタイヤ内周面の凸部を除く表面の凹凸状態の散布度を算出し、当該散布度と閾値とを比較して加硫用ブラダの表面の凹凸状態を判定し、散布度が閾値よりも大きいときに加硫用ブラダの交換時期であると判定するので、タイヤを加硫するブラダの交換を促し、加硫不良のタイヤの発生を防止できる。
また、他の方法として、散布度を、タイヤ内周面の撮像画像におけるビード部に対応する範囲を円周方向に沿って帯状に切り出した円周方向領域から算出するようにした。
本方法によれば、撮像画像を円周方向に沿って切り出した領域から散布度を算出するので、タイヤ内周面を成型する加硫用ブラダの特定の部位の劣化を判定することができる。また、ビード裏面側、すなわちタイヤ内周面側のビード部に対応する範囲を加硫するブラダは、加硫用ブラダで最も屈曲が激しい位置であるため、加硫用ブラダの劣化が最初に現れるので、ビード裏面側の領域を含む領域の散布度を算出し、当該領域に基づいて加硫用ブラダの交換時期を判定することにより、タイヤの加硫時に成型不良を生じさせることを早期に抑制することができる。
また、他の方法として、円周方向領域を円周方向に均等に分割して各領域の散布度を算出し、各領域の散布度と円周方向領域の散布度との差分を算出し、差分と予め規定した閾値とを比較するようにした。
本方法によれば、切り出した領域を均等に分割して分割後の各領域の散布度を算出することにより、切り出した領域の中での円周方向の散布度の分布が分かるので、各領域の散布度と切り出した領域の散布度との差分を算出することで、加硫用ブラダの交換時期の判定精度を向上させることができる。
前記課題を解決するための構成として、タイヤ内周面の状態を測定することによりタイヤ加硫用ブラダの状態を判定するタイヤ加硫用ブラダの交換時期判定装置であって、タイヤ内周面の撮像画像から、加硫用ブラダによって型付けされた凸部を検出する検出手段と、撮像画像から凸部を除去したのちに当該撮像画像の凹凸状態の散布度を算出する散布度算出手段と、散布度算出手段による算出結果に基づき加硫用ブラダの交換時期を判定する交換判定手段とを備え、交換判定手段は、凸部が除去された撮像画像の凹凸状態の散布度と予め規定された閾値とを比較して加硫用ブラダの交換時期を判定する構成とした。
本構成によれば、加硫用ブラダが劣化すると、加硫用ブラダの表面が剥離したり、表面粗さが粗くなる。この加硫用ブラダの表面状態は、成型するタイヤの内周面に転写されるため、タイヤ内周面の撮像画像からタイヤ内周面の凸部を除く表面の凹凸状態の散布度を算出し、当該散布度と閾値とを比較することによって加硫用ブラダの表面状態、つまり、加硫用ブラダの交換時期を判定することができるので、タイヤを加硫するブラダの交換を促し、加硫不良のタイヤの発生を防止できる。
タイヤの加硫装置及びブラダの外観図,ブラダの形状状態変化を示す図。 タイヤの内面検査装置の概略構成図。 タイヤ内周面の撮像画像及び合成画像を示す図。 交換判定画像から凸部を除去するときの概念図。 ブラダの交換サイクルと標準偏差σとの関係を調べたグラフ。 本発明に係る交換時期判定装置の画像処理のフローチャート。 他の形態に係る交換時期判定装置のブロック図。 他の形態に係る交換時期判定装置の画像処理のフローチャート。
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組合せのすべてが発明の解決手段に必須であるとは限らず、選択的に採用される構成を含むものである。
図1(a)は、タイヤTを加硫するときの加硫装置2の概略構成図、図1(b)は、タイヤTを金型に押圧するブラダ7の断面図及び表面の拡大図、図1(c)は、タイヤTの成型におけるブラダ7の形状状態の変化を示す図である。
図1(a)に示すように、タイヤTは、タイヤサイド部を成型する金型61,62とタイヤクラウン部を成型する金型63とにより包囲され、タイヤ内周面Ts側に配置されるブラダ7を膨出させることにより金型61〜63に対して押圧された状態で加硫される。
図1(b)に示すように、ブラダ7は、例えば、柔軟性に優れたブチルゴム等のゴム素材や、ゴム素材が繊維素材によって補強された可撓性を有する素材により構成され、膨出したときにタイヤ内周面Tsに沿ってトーラス状となるように形成される。また、ブラダ表面7aにはタイヤ内周面Tsとブラダ表面7aとの間に介在する空気を排気するための複数の排気溝8が周期的に形成される。
そして、図1(c)の(イ),(ロ)に示すように、タイヤ内周面Tsに配置されたブラダ7に所定の温度に加熱された流体を供給することでブラダ7を膨出させ、タイヤ内周面Tsとブラダ表面7aとの間の空気を排気溝8から排出しつつタイヤ内周面Tsとブラダ表面7aとを密着させてタイヤTを金型61〜63に押圧することでタイヤTが加硫される。タイヤTの加硫が完了すると、図1(c)の(ハ)に示すように、ブラダ7は、内部に供給された流体を排出することによりタイヤ内周面Tsから取り除かれる。なお、ブラダ7の形状及び構成は、上記に限らず他の形態であっても良い。
そして、加硫装置2により加硫成型されたタイヤTは、後段の外観検査に送られる。
図2は、タイヤ内周面Tsの加硫成型不良を検査するタイヤ内面検査装置1の一例を示す全体概略図である。以下、タイヤ内面検査装置1の詳細について説明する。
同図に示すようにタイヤ内面検査装置1は、概略、タイヤ内周面Tsを撮像する撮像装置10と、交換時期判定装置33を含む制御処理装置30とを備える。制御処理装置30は、演算手段としてのCPU,記憶手段としてのROM,RAM及び通信手段としてのインターフェイス等を含むいわゆるコンピュータであって、ROM内に格納されたプログラムに基づいて動作する。
撮像装置10は、被検体であるタイヤTを載置するための回転テーブル5と、光切断法に基づきタイヤ内周面Tsを部位毎に撮像するカメラセット11〜13とにより構成される。
回転テーブル5は、図外の回転台の台座部に内蔵されるモータ4の駆動により回転し、横向きに載置されるタイヤTを円周方向に回転させる。モータ4は、後述の制御処理装置30と接続され、制御処理装置30の撮像制御手段31の出力する信号に基づき回転する。
カメラセット11〜13は、投光器11Aとカメラ11Bと、投光器12Aとカメラ12Bと、投光器13Aとカメラ13Bとにより構成され、タイヤ内径部に配置される。カメラセット11〜13は、互いにタイヤ円周方向に所定の角度位置ずれして配置される。投光器11A〜13Aは、例えば、赤色レーザー光からなる帯状のスリット光を照射し、スリット光の延長方向がタイヤ幅方向Wとなるように配置される。
具体的には、カメラセット11の投光器11Aは、タイヤサイドT1からタイヤクラウンT2の一部を含む範囲までタイヤ径方向R及びタイヤ幅方向Wにスリット光を照射し、カメラセット12の投光器12AはタイヤクラウンT2の幅方向にスリット光を照射し、カメラセット13の投光器13Aは、タイヤサイドT3からタイヤクラウンT2の一部を含む範囲までタイヤ径方向R及びタイヤ幅方向Wにスリット光を照射する。つまり、カメラセット11がタイヤ内周面Tsのうち回転テーブル5側の一方のタイヤサイドT1を撮像し、カメラセット12がタイヤクラウンT2を撮像し、カメラセット13が他方のタイヤサイドT3を撮像する(図2参照)。
なお、カメラセット11〜13の位置ずれ角度は、適宜設定すれば良く、タイヤTの内径部に位置してタイヤ内周面Tsを撮像可能に配置すれば良い。
また、カメラセット11〜13は、制御処理装置30と接続され、投光器11A〜13Aによるスリット光の照射、カメラ11B〜13Bによる撮像は、撮像制御手段31によって制御される。
カメラ11B〜13Bによりタイヤ円周方向に沿って撮像されるタイヤ内周面Tsの断面画像は、制御処理装置30に逐次出力され、例えば、タイヤ内周面Tsの1周分を10000分割して出力する。
カメラ11B〜13Bの撮像する各断面画像には、各撮像位置における高さ情報と輝度情報とが含まれる。
制御処理装置30は、撮像制御手段31と、撮像画像前処理手段32と、交換時期判定装置33と、外観検査手段34とを備える。
撮像制御手段31は、カメラセット11〜13及びモータ4に対して撮像開始信号及び撮像終了信号を出力してタイヤ内周面Tsの撮像を制御する。
図3(a)〜(d)は、それぞれカメラセット11〜13によって撮像された撮像画像P1〜P3と、撮像画像P1〜P3を合成した合成画像Pを示す。
撮像画像前処理手段32は、カメラセット11〜13によって撮像されるタイヤ内周面Tsのそれぞれの部位をそれぞれ同じ長さの帯状の画像となるように前処理を行う。
具体的には、タイヤ内周面Tsは、各カメラ11B〜13Bの位置を基準としたカメラ座標によって撮像されるため、カメラ11B〜13Bによって撮像された画像を共通の1つの座標上で表されるように座標変換される。そして、図3(a)〜(c)に示すような、帯状の撮像画像P1〜P3に変換される。撮像画像P1〜P3には、各撮像画像P1〜P3を構成する画素毎にタイヤ内周面Tsの凹凸の高さ情報と色調(輝度)情報とが含まれる。
なお、撮像画像P1は、タイヤ内周面Tsのうち載置面側のタイヤ内側面(タイヤサイドT1)を撮像したものであり、撮像画像P2は、タイヤ内周面Tsのうちタイヤクラウン部(タイヤクラウンT2)を撮像したものであり、撮像画像P3は、タイヤ内周面Tsのうち載置面とは逆側のタイヤ内側面(タイヤサイドT3)を撮像したものである。
図3(d)に示すように、撮像画像P1〜P3は、1つの合成画像Pに合成される。図3(a)〜(d)における9は、タイヤ成型時にブラダ表面7aの排気溝8によってタイヤ内周面Tsに凸状に転写されたリッジと呼ばれる凸部である。凸部9は、タイヤ内周面Tsにおいてブラダ表面7aと同様に周期的に型付けされる。
交換時期判定装置33は、リッジ検出手段51と、画像切り出し手段52と、散布度算出手段53と、交換判定手段54と、交換通知手段55とを備える(図2参照)。
リッジ検出手段51は、合成画像Pからブラダ7によって周期的に型付けされたリッジと呼ばれる凸部9を検出し、合成画像Pにおける凸部9の位置を記憶する。具体的には、合成画像Pの高さ情報に基づき所定の閾値β以上の領域を凸部9として検出し、合成画像Pにおける画素位置を記憶する(図4(b)参照)。
画像切り出し手段52は、合成画像Pの円周方向に沿って所定幅で、画像を帯状の円周方向領域に切り出す処理手段であって、例えば、図1(a)の切り出し領域Cに対応する位置を図3(d)に示すような合成画像Pから切り出す。
具体的には、図1(a)に示すように、ビード部に配設されるビードコアTB及びビードフィラーTFのタイヤクラウンT2側の範囲を含む領域を合成画像Pから円周方向に沿って交換判定画像Qとして切り出す。つまり、交換判定画像Qは、ビード部の裏面側に相当するタイヤ内周面側のビード部に対応する範囲を含むように合成画像Pから切り出される。
交換判定画像Qは、1対のビード部の裏面側それぞれから切り出すこともできるが、交換判定画像Qは対称と考えることができるので、撮像画像P1から切り出される交換判定画像Qを用いる。
図4(a)は、画像切り出し手段52によって切り出された交換判定画像Qを示し、(b)は、交換判定画像Qの高さ情報に基づき凸部9を除外する方法を示す図である。
散布度算出手段53は、交換判定画像Qに含まれる凸部9を除外し、タイヤ内周面Tsの凹凸の散布度を算出する。具体的には、散布度は、図4(a),(b)に示すように交換判定画像Qの有する高さ情報に基づき算出される。散布度とは、凹凸の散らばりの度合いであり、具体的な指標値の例としては、分散σや標準偏差σが挙げられる。本例では、散布度は、標準偏差σとして説明する。標準偏差σの算出は、リッジ検出手段51により検出された凸部9を除外して算出される。
交換判定手段54は、散布度算出手段53によって算出された標準偏差σと予め設定された閾値αとを比較し、標準偏差σが閾値αよりも大きいときにはブラダ7は交換時期(成型不良を引き起こす状態)であるとして判定し、標準偏差σが閾値αよりも小さいときにはブラダ7は交換時期ではないとして判定する。交換時期の判定基準となる閾値αは、経験的に設定すれば良い。
図5は、ブラダの交換サイクルと標準偏差σとの関係を示したグラフで、横軸に稼働日、縦軸にタイヤ内周面Tsから切り出した領域の凹凸の標準偏差σを示す。同図において菱形は、各稼働日における切り出した領域の標準偏差σをプロットしたものである。切り出した領域の凹凸の標準偏差σは、日時が経過する毎に次第に大きくなり、交換から5日後に新しいブラダに交換されている。このときの標準偏差σは、いずれの交換時でも標準偏差σが0.015を超えた日にブラダが交換されていることから、ブラダの交換時期を判定するときの閾値に0.015を設定する。なお、標準偏差σに対する閾値αは、ブラダの耐久性、使用環境等によって適宜設定されるものである。
交換通知手段55は、交換判定手段54で、ブラダ7が交換時期であると判定されたタイヤTのシリアルナンバーを記憶するバーコードの情報を加硫装置2に併設されたモニタ等に出力し、ブラダ7の交換を促す。
外観検査手段34は、例えば、合成画像Pを構成する画素の輝度の変化又はその大きさに基づき汚れを検出する汚れ検出手段や、光切断法に基づいて取得された合成画像Pの有する高さ情報に基づいてキズを検査するキズ検出手段等によりタイヤ内周面Tsの汚れやキズの有無を検査する。
以下、タイヤ内面検査装置1によるタイヤ内周面Tsの検査方法について説明する。
まず、検査員により被検体であるタイヤTが、回転テーブル5に横向きに載置される。このとき、タイヤTは、中心が回転テーブル5の回転中心と一致するように載置される。
次に、検査員は、タイヤTの内径部にカメラセット11〜13を配置し、図外の入力手段から制御処理装置30に検査開始の信号を入力する。
制御処理装置30の撮像制御手段31は、カメラセット11〜13に撮像開始信号を出力し、モータ4に回転テーブル5の回転開始信号を出力する。カメラセット11〜13によるタイヤ内周面Tsの撮像は、10000回の撮像によってタイヤ1周分となるようにモータ4の回転速度とカメラセット11〜13の撮像回数とが同期するように制御される。カメラセット11〜13により出力されるタイヤ内周面Tsの画像は、逐次、制御処理装置30に出力される。
タイヤ1周分の撮像が終了すると、撮像画像前処理手段32では、カメラセット11〜13により撮像されるタイヤ内周面Tsの部位毎の画像を帯状の撮像画像P1〜P3に変換したのちに合成して1つの合成画像Pとなるように前処理を行い、合成画像Pを交換時期判定装置33に出力する。
図6は、交換時期判定装置33による画像処理のフローチャートを示す。
まず、合成画像Pに含まれる高さ情報に基づき、合成画像Pから凸部9を検出する(S101)。
次に、合成画像Pからブラダ7の交換時期の判定を行う交換判定画像Qをビード部のタイヤ内周面Ts側から所定の範囲で切り出す(S102)。
ビード部のタイヤ内周面Ts側に対応するブラダ7は、ブラダ7の膨張・収縮において最も曲げ伸ばしの変化が大きい部分であるため、ブラダ7のうちで劣化の進行が最も早く現れる領域である。よって、ビード部のタイヤ内周面Ts側の表面の状態を調べることにより、早期にブラダ7の交換時期を検出することができるので、ブラダ7によるタイヤ成型時の成型不良の発生を防ぐことができる。
次に、切り出した領域の凹凸の標準偏差σを求める(S103)。凹凸とは、光切断法に基づいて取得されたタイヤ内周面Tsの例えば、表面粗さである。例えば、ブラダ7が劣化すると、ブラダ表面7aにザラツキが発生し、さらに劣化が進むとブラダ表面7aにひび割れが生じ、ひび割れた部分が剥離したりする。よって、切り出した領域の凸部9を除くタイヤ内周面Tsの表面粗さの標準偏差σを算出することで、ブラダ7の劣化度合いを知ることができる。
次に、算出された標準偏差σが閾値αよりも小さいときには、ブラダ7は交換時期ではないとして判定し、標準偏差σが閾値αよりも大きいときには、ブラダ7は交換時期であるとして判定する(S104)。
そして、切り出した領域の標準偏差σが、閾値よりも大きいときには、検査工程よりも上流の工程の加硫工程に閾値αを過ぎたタイヤTのバーコードを通知し、ブラダ7の交換を促す(S105)。
よって、加硫工程に通知された時点よりも前、かつ、標準偏差σを超えるタイヤTが加硫されたときよりも後に成型されたタイヤTに成型不良が生じることがないので、タイヤTの加硫成型効率が向上するとともに、成型不良のタイヤTの発生を抑制することができ、無駄な加硫成型を行わなくなるため生産資源にかかる費用を少なくすることができる。
また、ブラダ7が交換時期ではないと判定されたときには、合成画像Pを外観検査手段34に出力して、タイヤ内周面Tsの汚れやキズの有無が検査される。
以下、他の実施形態について説明する。
本実施形態においては、タイヤ内周面の凹凸の標準偏差σを求めるために、ビード部裏近傍のタイヤ内周面Tsを円周方向に帯状の交換判定画像Qとして切り出し、交換判定画像Qをさらに周方向に複数の分割画像R1〜R6に分割し、各分割画像R1〜R6における標準偏差σと交換判定画像Qの標準偏差σとを比較することによりブラダ7の劣化度合いをより正確に検出することを可能にする。
図7は、本実施形態に係る交換時期判定装置33のブロック図を示す。
図7に示すように、交換時期判定装置33は、上述の実施形態の構成に加えて、交換判定画像Qを円周方向に複数に分割する画像分割手段56と、分割画像R1〜R6の凸部9を除く凹凸の標準偏差σと、交換判定画像Qの標準偏差σとの差分を算出する標準偏差差分算出手段57とを備える構成である。
以下、本実施形態に係る交換時期判定装置33について説明するが上述の実施形態と同一の構成部分については説明を省略する。
分割画像R1〜R6は、交換判定画像Qを円周方向に均等に分割して取得される。画像分割手段56による分割数は、適宜設定すれば良く、例えば、6等分に分割する。なお、分割数は、多い程、凹凸の標準偏差σを算出したときの精度が良くなるが検査に要する時間が長くなるので、適宜調整する必要がある。
上述の実施形態では、散布度算出手段53は、交換判定画像Qに含まれる凸部9を除去して交換判定画像Qの有する高さ情報に基づきタイヤ内周面Tsの凹凸の標準偏差σのみを算出したが、本実施形態では、画像分割手段56により複数に分割された各分割画像R1〜R6それぞれの凹凸の標準偏差σも算出する。即ち、分割画像R1〜R6の凹凸の標準偏差σを算出することにより、交換判定画像Qにおける円周方向の標準偏差σの違いを検出することができるので、交換判定画像Qのような大きな領域によって凹凸の標準偏差σが平均化されることなく、ブラダ7の劣化を精度良く検出できる。
標準偏差差分算出手段57では、交換判定画像Qの標準偏差σと各分割画像R1〜R6の標準偏差σとの差分を算出し、交換判定画像Qの標準偏差σに対する各分割画像R1〜R6の標準偏差σとの差分のうち、差分の大きい分割画像をブラダ7の交換時期を示す最も近い領域として記憶する。
図8は、本実施形態に係る交換時期判定装置33のフローチャートを示す。まず、合成画像Pに含まれる高さ情報に基づき合成画像Pから凸部9を検出する(S101)。次に、検査画像Pからブラダ7の交換時期の判定を行う交換判定画像Qを切り出す(S102)。次に、凸部9を除く交換判定画像Qの凹凸の標準偏差σを求める(S103)。次に、交換判定画像Qの標準偏差σが閾値αよりも小さいときには、ブラダ7は交換時期ではないとして仮に判定し、標準偏差σが閾値αよりも大きいときには、ブラダ7は交換時期であるとして判定する(S104)。次に、ブラダ7は、交換時期ではないとして仮判定されると、交換判定画像Qを図3(e)に示すように、円周方向に複数の分割画像R1〜R6に均等に分割する(S105)。次に、各分割画像R1〜R6の凹凸の標準偏差σを算出する(S106)。次に、交換判定画像Qの標準偏差σと分割画像R1〜R6の標準偏差σとの差分を算出し、差分が閾値αよりも大きいときには、ブラダ7は、交換時期であると判定し、閾値αよりも小さいときには、交換時期ではないとして判定する(S107)。
次に、ブラダ7が交換時期であると判定されたときには、検査工程よりも上流の工程の加硫装置2に併設されたモニタ等に検査対象となったタイヤTのバーコードを通知し、ブラダ7の交換を促す(S108)。よって、加硫装置2に通知された時点よりも前で、凹凸の標準偏差σを超えるタイヤTが加硫されたときよりも後に加硫されたタイヤTに加硫不良が生じることがないので、タイヤTの加硫効率が向上するとともに、加硫不良の発生を抑制することができ、生産資源にかかる費用を少なくすることができる。
本実施形態に示すようにタイヤ内周面Tsから交換判定画像Qを切り出し、さらに交換判定画像Qを分割画像R1〜R6に分割して分割画像R1〜R6毎の標準偏差σを算出して交換判定画像Qと比較することにより、交換判定画像Qのみで標準偏差σを算出したときに、交換判定画像Qのうち標準偏差σが部分的に閾値を超えた部分までもが平均化され、不良が検出されなくなることを防ぐことができる。
以上、複数の実施形態で説明したように、タイヤTの内面検査装置1にブラダ7の交換時期判定装置33を組み込むことにより、タイヤ内周面Tsの検査と同時にブラダ7の交換時期を検出することができる。また、タイヤ内周面Tsを検査する前に、ブラダ7の交換時期を判定することにより検査するタイヤTの成型の良否を判定することもできる。
よって、ブラダ7の交換時期が近づいたこと(寿命)に起因するタイヤTの加硫不良を抑制できるので、加硫後のタイヤTの検査に要する手間を省くことができるとともに、タイヤTの加硫効率を向上させることができる。
なお、タイヤ内周面Tsの凹凸の標準偏差σを求めるために、ビード部裏近傍のタイヤ内周面Tsを円周方向に帯状の交換判定画像Qとして切り出したが、ビード部裏近傍に限らず、タイヤ内周面Tsの他の領域を円周方向に帯状に切り出して交換判定画像に用いても良い。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
1 タイヤ内面検査装置、2 加硫装置、4 モータ、5 回転テーブル、
7 ブラダ、7a ブラダ表面、8 排気溝、9 凸部、10 撮像装置、
11〜13 カメラセット、11A〜13A 投光器、11B〜13B カメラ、
30 制御処理装置、31 撮像制御手段、32 撮像画像前処理手段、
33 交換時期判定装置、34 外観検査手段、51 リッジ検出手段、
52 画像切り出し手段、53 散布度算出手段、54 交換判定手段、
55 交換通知手段、56 画像分割手段、57 標準偏差差分算出手段、
61〜63 金型、P1〜P3 撮像画像、P 合成画像、Q 交換判定画像、
R1〜R6 分割画像、T タイヤ、Ts タイヤ内周面。

Claims (4)

  1. タイヤ内周面の撮像画像から、タイヤの成型時に加硫用ブラダによってタイヤ内周面に型付けされた凸部を除く領域の凹凸状態の散布度を算出し、
    前記散布度と予め規定した閾値とを比較し、散布度が閾値よりも大きいときに加硫用ブラダの交換時期であると判定するタイヤ加硫用ブラダの交換時期判定方法。
  2. 前記散布度を、前記タイヤ内周面の撮像画像におけるビード部に対応する範囲を円周方向に沿って帯状に切り出した円周方向領域から算出する請求項1に記載のタイヤ加硫用ブラダの交換時期判定方法。
  3. 記円周方向領域を円周方向に均等に分割して各領域の散布度を算出し、各領域の散布度と円周方向領域の散布度との差分を算出し、前記差分と予め規定した閾値とを比較する請求項2に記載のタイヤ加硫用ブラダの交換時期判定方法。
  4. タイヤ内周面の状態を測定することによりタイヤの加硫用ブラダの状態を判定するタイヤ加硫用ブラダの交換時期判定装置であって、
    前記タイヤ内周面の撮像画像から、加硫用ブラダによって型付けされた凸部を検出する検出手段と、
    前記撮像画像から前記凸部を除去したのちに当該撮像画像の凹凸状態の散布度を算出する散布度算出手段と、
    前記散布度算出手段による算出結果に基づき加硫用ブラダの交換時期を判定する交換判定手段とを備え、
    前記交換判定手段は、前記凸部が除去された前記撮像画像の凹凸状態の散布度と予め規定された閾値とを比較して加硫用ブラダの交換時期を判定するタイヤ加硫用ブラダの交換時期判定装置。
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