JP5612154B2 - 有機溶媒の除去方法 - Google Patents

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Description

本発明は、構造体に含まれる残留有機溶媒の除去方法、および有機フッ素化合物の残留量を低減させたゼラチンまたはコラーゲンからなる構造物に関する。
近年進歩の目覚しい再生医療等の先端医療において、合成および生体高分子の利用が検討されている。これらの高分子材料は主に各種溶媒に溶解し、成形・加工を行っている。これらの材料を医療用途で使用する際には、有害な溶媒を除去する必要がある。通常、これら材料からの有機溶媒の除去には真空乾燥や加熱、およびそれらの組み合わせが利用されている。
1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFIP)やトリフルオロエタノール(TFE)に代表される有機フッ素化合物はコラーゲンやゼラチンといったタンパク質を溶解する。特表2002−531182号公報では該タンパク質をHFIPに溶解し、成形することにより組織構築用マトリックスを作成している。
一方、近年、簡単にサブミクロンスケールのファイバーを作製できる技術として、エレクトロスピニング法が注目されている。該手法は高分子溶液に電圧をかけた状態で溶液を射出し、ファイバーを形成させるものである。ファイバーの太さは印加電圧、溶液濃度、スプレーの飛散距離に依存する。基板上に連続的にファイバーを作製することによって、立体的な網目をもつ3次元構造の薄膜が得られる。また、この手法では膜を布のように厚くすることが可能で、サブミクロンの網目をもつ不織布を作製することができる。この不織布は宇宙服や防護服への応用が研究されている。該手法は医療分野で用いる構造物の構築にも用いられている(特表2004−532802号公報、特開2004−321484号公報)。特に、該エレクトロスピニング法を用いてコラーゲンやゼラチンを繊維状構造物として作成するのには、主にHFIPが溶媒として利用されている。HFIPやTFEは刺激性等の毒性を有していることから、特に医療用途で用いる際には構造物の作成後に除去することが必要となる。
該有機フッ素化合物を用いて作成した構造物は、自然乾燥や真空乾燥を施しているが、真空乾燥によりHFIPの除去が可能と記載されており(特表2002−531182号公報)、残留溶媒の定量および該溶媒の積極的な除去については検討していない。該手法により得られた材料からHFIPの除去が不十分であった場合、医療用材料により残存するHFIPによる毒性が現れる可能性がある。また、HFIPより作製した構造体の水洗操作については、特表2002−531182号公報、特開2002−27283号公報等に記載されているが、構造物中に含まれるHFIPに関してではなく、塩類やタンパクの除去を目的としている。
特表2002−531182号公報 特表2004−532802号公報 特開2004−321484号公報 特開2002−27283号公報
本発明は、従来技術において問題であった、生体高分子の構造物内部の残留有機溶媒の効率的な除去方法を提供することを課題とした。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、通常の溶媒除去手段である真空や高熱といった手法に代わり、気体中に他の溶媒の雰囲気を用いることにより、残留溶媒を効率的に除去できることを見出した。さらに本発明者らは、生体高分子の構造物を水で洗浄することにより、生体高分子中の構造物中の残留有機溶媒を除去できることを見出した。さらに本発明者らは、通常の溶媒除去手段である真空や高熱といった手法に代わり、構造物中に親水性化合物を混合することにより、残留溶媒を効率的に除去できることを見出した。即ち、該手法により、有毒な有機溶媒を除去する手法を効率的に提供することが可能になった。
本発明の第一の態様によれば、生体高分子の構造物中に含まれる有機溶媒を該構造物から除去する方法であって、該有機溶媒とは別の溶媒の雰囲気下に該構造物を置くことによって該有機溶媒を除去することを特徴とする、有機溶媒の除去方法が提供される。
好ましくは、生体高分子はタンパク質である。
好ましくは、タンパク質はコラーゲン、ゼラチン、アルブミン、ラミニン、カゼイン、フィブロイン、フィブリン、フィブロネクチン、ビトロネクチンとからなる群より選ばれる少なくとも一種である。
好ましくは、生体高分子は架橋されている。
好ましくは、該有機溶媒とは別の溶媒は、該有機溶媒と相溶性がある溶媒である。
好ましくは、有機溶媒と相溶性のある溶媒は水、アルコール、またはケトンである。
好ましくは、有機溶媒とは別の溶媒の蒸気圧の飽和蒸気圧に対する割合の合計は55%以上である。
好ましくは、有機溶媒とは別の溶媒は水であり、湿度が55%以上である雰囲気下で有機溶媒を除去する。
好ましくは、有機溶媒を除去する温度は25℃から200℃である。
好ましくは、除去する有機溶媒は有機フッ素化合物である。
好ましくは、有機フッ素化合物はトリフルオロエタノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、ヘキサフルオロアセトン、トリフルオロ酢酸、又はペンタフルオロプロピオン酸である。
本発明の別の側面によれば、有機フッ素化合物を用いて作製したゼラチンまたはコラーゲンからなる構造物であって、構造物中に残留する有機フッ素化合物の量が0.1%以下である、ゼラチンまたはコラーゲンからなる組成物が提供される。
好ましくは、構造物の厚さは1 nm以上である。
好ましくは、有機フッ素化合物はトリフルオロエタノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、ヘキサフルオロアセトン、トリフルオロ酢酸、又はペンタフルオロプロピオン酸である。
本発明の第二の態様によれば、生体高分子の構造物中に含まれる有機溶媒を該構造物から除去する方法であって、該構造物を水を主成分とする溶液で洗浄することによって該有機溶媒を除去することを特徴とする、有機溶媒の除去方法が提供される。
好ましくは、生体高分子はタンパク質、多糖およびそれらの誘導体である。
好ましくは、生体高分子はタンパク質およびその誘導体である。
好ましくは、生体高分子はタンパク質である。
好ましくは、タンパク質はコラーゲン、ゼラチン、アルブミン、ラミニン、カゼイン、フィブロイン、フィブリン、フィブロネクチン、ビトロネクチンとからなる群より選ばれる少なくとも一種を含む。
好ましくは、タンパク質は、ヒト、牛、豚、又は魚に由来するタンパク質であるは、又は遺伝子組み換えタンパク質である。
好ましくは、多糖はキチン、キトサン、ヒアルロン酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸である。
好ましくは、生体高分子は架橋されている。
好ましくは、生体高分子の架橋は熱、光、縮合剤、又は酵素を用いて行われている。
好ましくは、除去する有機溶媒は有機フッ素化合物である。
好ましくは、有機フッ素化合物は1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロアセトン、トリフルオロ酢酸、又はペンタフルオロプロピオン酸である。
本発明の第三の態様によれば、生体高分子の構造物中に含まれる有機溶媒を該構造物から除去する方法であって、該構造物中に親水性化合物を含めることを特徴とする、有機溶媒の除去方法が提供される。
好ましくは、生体高分子はタンパク質である。
好ましくは、タンパク質はコラーゲン、ゼラチン、アルブミン、ラミニン、カゼイン、フィブロイン、フィブリン、フィブロネクチン、ビトロネクチンとからなる群より選ばれる少なくとも一種である。
好ましくは、生体高分子は架橋されている。
好ましくは、該親水性化合物の水への溶解度は1 mg/mL以上である。
好ましくは、該親水性化合物の沸点は100℃以上である。
好ましくは、該親水性化合物は糖類、塩類、アルコール類、カルボン酸類、エーテル類、アミン類、アミド類である。
好ましくは、該親水性化合物はグリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、塩化ナトリウム、乳糖、ポリリン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸ナトリウムである。
好ましくは、該除去する有機溶媒は有機フッ素化合物である。
好ましくは、該有機フッ素化合物はトリフルオロエタノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、ヘキサフルオロアセトン、トリフルオロ酢酸、又はペンタフルオロプロピオン酸である。
好ましくは、該有機フッ素化合物はトリフルオロエタノール、又は1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ-2-プロパノールである。
本発明の方法によれば、作製工程中に使用した構造物中の残留溶媒を効率的に除去することができる。本発明の方法では、構造物を溶媒中に浸漬させて不純物を除く方法と異なり、構造物の溶媒への溶出や膨潤による変形を最小限にとどめること、および封入された化合物を流出することなく、封入化合物の良溶媒である残留溶媒を除去することができる。
近年、先進医療領域において作製される人工臓器や人工組織体で用いられる構造物は、体内に埋め込んで使用されるため、他の用途で使用される材料に比べて高純度が求められる。つまり、工程内で用いる溶媒等の不純物は完全に除去または安全な量にまで減少させて用いる必要がある。
本発明の第一の態様は、生体高分子の構造物中に含まれる有機溶媒を該構造物から除去する方法において、該有機溶媒とは別の溶媒の雰囲気下に該構造物を置くことによって該有機溶媒を除去することを特徴とする。
気体中に用いる溶媒の選択の基準は数多くあり、沸点、残留溶媒を含む構造物との親和性、安全性、構造物に含まれる化合物(薬剤や色素)等が挙げられる。気体中に用いられる溶媒と残留溶媒の沸点についての規定は特にないが、より好ましくは残留溶媒の沸点より高いことである。また別の基準において、生体内で用いられる構造物を作成する場合、該気体中に用いる溶媒としては、好ましくは水、アルコールまたはケトンであり、より好ましくは水またはアルコールである。さらに好ましくは水またはエタノール、またはイソプロパノールである。より好ましくは水またはエタノールである。最も好ましくは水である。また、気体中に用いられる溶媒としては、1種類の溶媒でもよいし、または2種類以上の溶媒の混合気体として用いることもできる。また、気体中に用いる溶媒の選択の別の基準として、好ましくは該構造物を溶解または膨潤可能であることである。
気体中の該温度における溶媒の飽和蒸気圧に対する割合の合計は特に規定はないが、好ましくは55%以上である。より好ましくは70%以上である。最も好ましくは80%以上である。例えば、気体中の溶媒が水の場合、該溶媒の蒸気圧の飽和蒸気圧に対する割合は湿度である。即ち、有機溶媒とは別の溶媒が水である場合は、湿度は好ましくは55%以上、より好ましくは70%以上、最も好ましくは80%以上である。また、飽和水蒸気量は温度により大きく変化するため、該溶媒を除去する温度における必要な湿度は変化する可能性がある。また、気体の温度は特に規定はないが、好ましくは25℃以上200℃以下である。より好ましくは30℃以上100℃以下である。最も好ましくは35℃以上80℃以下である。系の温度は残留する溶媒および混合物の種類により大きく変わるが、好ましくは残留する溶媒の沸点の少し下の温度であることである。
本発明の方法の第二の態様は、構造物を水を主成分とする溶液で洗浄することによって有機溶媒を除去することを特徴とする。洗浄に用いられる水を主成分とする溶液としては、純水であってもよいし、各種添加剤を含む水溶液であってもよい。水溶液として添加可能である化合物としては、各種無機塩、pH調整剤、水と相溶性のある溶媒が挙げられる。より好ましくは、脱イオン水または各種無機塩を含む水溶液である。最も好ましくは脱イオン水または緩衝溶液である。洗浄操作については特に規定はないが、例えば大量の水または水溶液に浸漬すること、または水または水溶液を吹き付けることが挙げられる。洗浄する水または水溶液の温度は水が溶液状態で存在する限りは利用可能である。好ましくは0℃から60℃である。より好ましくは0℃から40℃である。最も好ましくは0℃から30℃である。
本発明を実施可能である限りは、溶液のpHに対しては特に規定はないが、生体高分子を用いているため、中性付近のpHが好ましい。好ましくは、pH = 5-10である。より好ましくはpH = 6-9である。別の形態として、残留有機溶媒の酸性度により洗浄溶媒の最適pHが異なる。例えば、酸性度が高い溶媒(pKa<15.7)の場合は弱アルカリ(7<pH<9)程度が好ましい。また、塩基性度が高い溶媒の場合(pKa>15.7)は弱酸性(5<pH<7)が好ましい。
本発明の第三の態様においては、生体高分子の構造物を乾燥することによって、該構造物中に含まれる有機溶媒を該構造物から除去することができる。乾燥する際の飽和蒸気圧に対する気体中の溶媒の割合は特に規定はないが、該割合を高めることで溶媒の除去効率が向上する。好ましくは、該割合が55%以上である。より好ましくは70%以上である。最も好ましくは80%以上である。例えば、気体中の溶媒が水の場合、該溶媒の蒸気圧の飽和蒸気圧に対する割合は湿度である。即ち、有機溶媒とは別の溶媒が水である場合は、湿度は好ましくは55%以上、より好ましくは70%以上、最も好ましくは80%以上である。また、飽和水蒸気量は温度により大きく変化するため、該溶媒を除去する温度における必要な湿度は変化する可能性がある。また、気体の温度は特に規定はないが、好ましくは25℃以上200℃以下である。より好ましくは30℃以上100℃以下である。最も好ましくは35℃以上80℃以下である。系の温度は残留する溶媒および混合物の種類により大きく変わるが、好ましくは残留する溶媒の沸点の少し下の温度であることである。また、乾燥する際の圧力は特に規定はなく、常圧、加圧、真空のいずれでも構わない。さらに、送風してもよい。
本発明の方法の第三の態様においては、構造物中に親水性化合物を含めることを特徴とする。本発明で用いることができる親水性化合物の水への溶解度は1 mg/mL以上が好ましく、1 mg/mL以上200 mg/mL以下がさらに好ましい。親水性化合物の沸点が100℃以上が好ましく、100℃以上 1500℃以下がさらに好ましい。親水性化合物の吸湿性の度合い(単位重量あたりの飽和吸水量)が1 mg/gであれば好ましく、10 mg/g以上1000 g/g以下がさらに好ましい。
親水性化合物としては、本発明が実施可能である限りは特に限定はなく、低分子、合成高分子、生体高分子のいずれを用いてもよい。好ましくは、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、塩化ナトリウム、乳糖、ポリリン酸ナトリウム、又はL−アスコルビン酸ナトリウムである。また、別の形態として、親水性化合物が吸湿性を有していてもよい。さらに別の形態として、親水性化合物は水に溶解しなくても構わない。例えば、水不溶性の化合物(例えば金属や疎水性高分子)表面を親水性または吸湿性表面に処理した水不溶性粒子を構造物中に封入しても構わない。
生体高分子の構造物中における親水性化合物の含有量は本発明の効果が得られる限り特に限定されないが、一般的には0.001重量%以上10重量%以下であり、好ましくは0.1重量%以上10重量%以下であり、さらに好ましくは0.5重量%以上5重量%以下である。
生体由来の高分子である生体高分子としては特に規定はないが、好ましくはタンパク質、糖、多糖、又はそれらの誘導体、塩類である。タンパク質の場合は、球状、繊維状等のタンパク質のいずれでもよい。生体高分子は、好ましくは、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、ラミニン、カゼイン、フィブロイン、フィブリン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、およびそれらの誘導体、ヒアルロン酸、およびヒアルロン酸エステルである。さらに好ましくは、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、フィブロインである。最も好ましくはコラーゲンまたはゼラチンである。タンパク質の由来は特に限定せず、ヒト、牛、豚、魚、および遺伝子組み換え体のいずれを用いても良い。また、遺伝子組み換えゼラチンとしては、例えばEU1014176A2、US6992172に記載のものを用いることができるがこれらに限定されるものではない。
生体高分子の形態は特に限定されないが、未架橋体、物理的又は化学的架橋体、化学修飾体およびそれらの混合体のいずれでも構わない。また、構造物内の生体高分子は生体高分子単独である必要はなく、構造物中に該生体高分子が一部含まれていれば良い。
構造物が生体高分子の架橋体である場合、架橋は熱、光、化学架橋剤(縮合剤)、酵素を用いて行うことができる。生体高分子の架橋度を制御することで、生体内分解性、強度、構造等の各種性質を作り分けることが可能となる。架橋方法は特に限定することはない。架橋方法としては例えば物理架橋、化学架橋、熱架橋、酵素架橋等が挙げられる。好ましくは化学または酵素架橋である。化学架橋剤としては一般的に広く利用されているグルタルアルデヒドやホルムアルデヒド等のアルデヒド、カルボジイミド、シアナミド等が挙げられる。より好ましくは酵素架橋である。
酵素による架橋を行う場合、酵素としては、タンパク質の架橋作用を有するものであれば特に限定されないが、好ましくはトランスグルタミナーゼおよびラッカーゼ、最も好ましくはトランスグルタミナーゼを用いて架橋を行うことができる。トランスグルタミナーゼで酵素架橋するタンパク質の具体例としては、リジン残基およびグルタミン残基を有するタンパク質であれば特に制限されない。トランスグルタミナーゼは、哺乳類由来のものであっても、微生物由来のものであってもよく、具体的には、味の素(株)製アクティバシリーズ、試薬として発売されている哺乳類由来のトランスグルタミナーゼ、例えば、オリエンタル酵母工業(株)製、Upstate USA Inc.製、Biodesign International製などのモルモット肝臓由来トランスグルタミナーゼ、ヤギ由来トランスグルタミナーゼ、ウサギ由来トランスグルタミナーゼなど、ヒト由来の血液凝固因子(Factor XIIIa、Haematologic Technologies, Inc.社)などが挙げられる。
残留有機溶媒についての規定は特にないが、好ましくは水相溶性の溶媒である。好ましくは有機フッ素化合物である。より好ましくは炭素数1から8の有機フッ素化合物である。より好ましくは炭素数1から6の有機フッ素化合物である。より好ましくは炭素数1から3の有機フッ素化合物である。さらに好ましくは、有機フッ素化合物はアルコール、ケトン、またはカルボン酸である。特に好ましくは、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロアセトン、トリフルオロ酢酸、またはペンタフルオロプロピオン酸である。最も好ましくは1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールまたはトリフルオロエタノールである。また、残留有機溶媒は1種である必要はなく、2種以上の有機溶媒であっても良い。
また、有機フッ素化合物としてはフッ素を含有する有機化合物である限りであれば、特に限定されないが、例えば、フッ素含有アルコール類、フッ素含有アミド類、フッ素含有エステル類、フッ素含有カルボン酸類、フッ素含有エーテル類、フッ素含有二トリル類、フッ素含有塩化物類、フッ素含有臭化物類が挙げられる。さらに、有機フッ素化合物は脂肪族、芳香族、飽和、不飽和のいずれであっても構わない。
次に、本発明における生体高分子の構造物の製造方法について説明する。生体高分子の構造物の製造方法は、有機溶媒を用いる方法である限り特に限定されない。例えば、生体高分子の構造物は、生体高分子を、有機フッ素化合物などの有機溶媒に溶解した混合物を塗布及び乾燥することによって製造することができる。例えば、薬剤と生体高分子とを有機フッ素化合物などの有機溶媒に溶解した混合物を基板上に塗布し、乾燥することによってフィルムを形成することができる。
有機フッ素化合物を用いてタンパク質の構造物を作製した場合、医療用途での使用の際には有機フッ素化合物の残留が問題となる。該構造物中の有機フッ素化合物の残留量は好ましくは1%以下である。より好ましくは0.1%以下である。最も好ましくは0.01%以下である。
構造物の形態は特に限定されないが、例えばゲル、スポンジ、フィルム、不織布、ファイバー(チューブ)、粒子などが挙げられる。形状はいずれの形状でも適用可能であるが、例えば角錐、円錐、角柱、円柱、球、紡錘状の構造物および任意の型により作成した構造物が挙げられる。好ましくは、角柱、円柱、紡錘状の構造物および任意の型により作成した構造物である。より好ましくは、角錐、円錐、角柱、円柱である。最も好ましくは角柱、円柱である。該構造物の大きさは特に限定されないが、ゲル、スポンジ、不織布であれば好ましくは500 cm四方以下である。好ましくは100 cm以下である。特に好ましくは50 cm以下である。最も好ましくは10 cm以下である。ファイバー(チューブ)であれば、ファイバーまたはチューブの直径(または一辺)は1 nm以上10 cm以下である。好ましくは1 nm以上1 cm以下である。より好ましくは1 nm以上100 μmである。特に好ましくは1 nm以上1μm以下である。最も好ましくは1 nm以上10 nm以下である。また、長さは特に限定されるものではないが、好ましくは10 μm以上100 m以下である。より好ましくは100 μm以上10 m以下である。さらに好ましくは1 mm以上1 m以下である。最も好ましくは1 cm以上30 cm以下である。粒子であれば、好ましくは直径1 nmから1 mm、より好ましくは10 nmから200 μm、さらに好ましくは50 nmから100 μm、特に好ましくは100 nmから10μmである。
構造物の厚さについては特に限定されないが、好ましくは1 nm以上である。より好ましくは、10 nm以上である。より好ましくは100 nm以上である。より好ましくは1 μm以上である。さらに好ましくは10 μm以上である。最も好ましくは100 μm以上である。
該組成物には必要に応じて添加剤を加えても良い。添加剤の例としては、薬剤、色素剤、柔軟剤、経皮吸収促進剤、保湿剤、界面活性剤、防腐剤、香料、pH調整剤が挙げられる。
薬剤の具体例としては、例えば抗癌剤(例えば、パクリタキセル、トポテシン、タキソテール、5-フルオロウラシル)、免疫抑制剤(例えば、ラパマイシン、タクロリムス、シクロスポリン)、抗炎症剤、抗血栓剤、抗精神剤、抗うつ剤、抗酸化剤、抗アレルギー剤、増殖因子、ホルモン、サプリメント成分、化粧品成分が挙げられる。
用途は特に限定することはないが、経皮吸収剤、局所治療剤、埋め込み剤、経口治療剤、化粧品、サプリメント、食品、および色素材である。好ましくは経皮吸収剤、局所治療剤、経口治療剤、化粧品である。さらに好ましくは経皮吸収剤、局所治療剤、埋め込み剤、経口治療剤である。最も好ましくは経皮吸収剤、局所治療剤である。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。本実施例では、溶媒のうち医療用の材料への提供に最も好ましい水を用いて有機溶媒を除去した例について記載する。
実施例1:ゼラチンフィルムからの1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)の除去
酸処理ゼラチン(20%、PSPゼラチン、ニッピ社製)およびパクリタキセル(1 mg/mL)を含むHFIP溶液をポリプロピレン製の基板上に塗布した(塗布厚:1 mm)。該フィルムを各種溶媒除去条件に静置、または自然乾燥、または真空乾燥し、パクリタキセル封入ゼラチンフィルムを得た。該ゼラチンフィルムをメタノールに一晩浸漬し、残留のHFIPを抽出した。該HFIP量をGCMS(GCMS-QP2010、島津社製、カラム:DB-624, 60m, φ= 0.25 mm)により定量した。
別に、同様に1%グリセリンを混合したパクリタキセル封入ゼラチンフィルムを作成し、60℃、95%にて乾燥を行い、同様にHFIPの残留量を定量した。
パクリタキセル封入ゼラチンフィルムを自然乾燥すると、残留HFIP量は25.7%であった。該フィルムを50℃で真空乾燥すると、自然乾燥に比べて残留HFIP量は減少し、18%となった。一方、気中に水を加える、すなわち湿度を80%として溶媒を除去すると、残留HFIP量が大幅に減少し、72時間で0.2%まで減少し、168時間で0.002%まで減少した。さらに、50℃で湿度95%、または60℃で80%とすると、72時間で0.001%以下となった。系中の湿度を高めることで、同時間の乾燥で、真空乾燥したサンプル内のHFIP量の1/1万程度にまで残留HFIP量を減少させることができた。HFIPを除去する際に、気体中に水蒸気を多量に加えることで、HFIP量を効率よく減少することができたと言える。
また、該操作により、アルブミンフィルム(10%溶液から作製)からHFIPを同様に除去することができた。
Figure 0005612154
実施例2:フィルム内部のパクリタキセルの安定性
実施例1により作製したパクリタキセル封入ゼラチンフィルムをアクチナーゼ処理し、ラチンを分解し、酢酸エチルで抽出することで、パクリタキセルを定量的に回収できた。該回収したパクリタキセルをHPLC(東ソーTSK-gel ODS-80Ts, 溶離液:THF/水=9/1)にて分析すると、パクリタキセルは分解せずにゼラチンフィルム内に封入されていることが分かった。また、パクリタキセルの良溶媒であるHFIPの除去の際に、パクリタキセルのゼラチンフィルムからの流出を防ぐことができた。さらに、HFIPより作成したゼラチンフィルムは乾燥の際にフィルムの端が反る問題があったが、本発明を用いることで、フィルムの反りを改善することができた。
実施例3:ゼラチンフィルムからの1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)の除去
酸処理ゼラチン(10%または20%、PSPゼラチン、ニッピ社製)およびパクリタキセル(1 mg/mL)を含むHFIP溶液をポリプロピレン製の基板上に塗布した(サイズ:20 cm x 20 cm、塗布厚:1 mm)。該フィルムを4℃または20℃で脱イオン水に1時間浸漬した。該架橋、水洗操作後、自然乾燥を1日行い、パクリタキセル封入ゼラチンフィルムを得た。
別に、該酸処理ゼラチン(10.4%)、パクリタキセル(1.0 mg/mL)を含むHFIP溶液に25%グルタルアルデヒド水溶液(HFIP/水=24)を4℃で攪拌し(最終濃度:ゼラチン10%、パクリタキセル:1 mg/mL、グルタルアルデヒド:1%)、ポリプロピレン製の基板上に塗布し(サイズ:20 cm x 20 cm、塗布厚:1 mm)、室温で15時間静置した。得られたフィルムを4℃または20℃で脱イオン水に1時間浸漬した。水洗操作後、自然乾燥を1日行い、パクリタキセル封入架橋ゼラチンフィルムを得た。
該ゼラチンフィルムをメタノールに一晩浸漬し、残留のHFIPを抽出した。該HFIP量をGCMS(GCMS-QP2010、島津社製、カラム:DB-624, 60m,φ= 0.25 mm)により定量した。結果を表2に示す。
パクリタキセル封入ゼラチンフィルムを自然乾燥すると、残留HFIP量は17-19 %(ゼラチン10%)および25.7%(ゼラチン20%)であった。該フィルム(ゼラチン10%)を50℃で真空乾燥(1 mmHg)すると、自然乾燥に比べて残留HFIP量は減少し、19.2%となった。すなわち、ゼラチンフィルムを自然乾燥しても、フィルム中にHFIPが多量に存在すること、真空乾燥ではゼラチンフィルムからのHFIPの除去には効果が低いと言える。
一方、自然乾燥後のフィルムを架橋処理、続く水洗操作によりフィルム中のHFIP量は大幅に減少し、0.003%(ゼラチン10%)および0.012%(ゼラチン20%)となった。また、水洗操作を20℃で行っても同様にHFIP量が減少した(表2)。HFIPのゼラチンフィルムからの除去は通常の真空乾燥では不十分であり、水洗操作はゼラチン構造物からのHFIPの除去には効果的であると言える。
Figure 0005612154
実施例4:ゼラチンフィルムからの1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(HFIP)の除去
酸処理ゼラチン(20%、PSPゼラチン、ニッピ社製)、パクリタキセル(1 mg/mL)、および所定量のグリセロールあるいはアクティバTG−S(味の素社製、組成:トランスグルタミナーゼ:1%、ポリリン酸ナトリウム:5%、ピロリン酸ナトリウム:5%、L−アスコルビン酸ナトリウム::0.5%、乳糖:88.5%)を含むHFIP溶液をポリプロピレン製の基板上に塗布し、フィルム作製した(塗布厚:1 mm)。該フィルムを各種溶媒除去条件に静置後、3日間自然乾燥し、パクリタキセル封入ゼラチンフィルムを得た。該ゼラチンフィルムをメタノールに一晩浸漬し、残留のHFIPを抽出した。該HFIP量をGCMS(GCMS-QP2010、島津社製、カラム:DB-624, 60m, φ= 0.25 mm)により定量した。
グリセロールを含まないパクリタキセル封入ゼラチンフィルムを自然乾燥すると、残留HFIP量は約25%で、パクリタキセルを含まないフィルムと同程度であった。パクリタキセルの混合では、HFIPの除去効率に変化はなかった。該フィルムを50℃で真空乾燥すると、自然乾燥に比べて残留HFIP量は減少し、約18%となった。一方、フィルム中にグリセロールを添加すると、グリセロール濃度に応じて、残留HFIP量が大幅に減少し、グリセロール5.0%では残留HFIP量が5.3%となった(湿度5%)。湿度を70%に増加すると、HFIPの除去がより効果的となり、グリセロール濃度5%では0.03%まで減少した。グリセロール1.0%のフィルムについて、湿度を95%まで増加すると、残留HFIP量はさらに減少し、0.001%以下となった。HFIPより作製したゼラチンフィルムにグリセロールを添加することで、HFIPの除去効率が向上し、通常の真空乾燥よりも効率的となったと言える。また、湿度を増加させることで、その効果が増加すると言える。
一方、乳糖を主成分とした各種塩の混合物を含んだゼラチンフィルムを乾燥(温度:50℃、湿度:80%)させると、HFIP残量は添加物を含まないフィルム(残存HFIP:0.23%)に比べて大幅に減少した(残存HFIP:<0.001%)。添加物として、乳糖を主成分とする各種塩類の混合物を用いることで、HFIPの残量を大幅に減少できたと言える。
さらに、該操作により、アルブミンフィルム(10%溶液から作製)からHFIPを同様に除去することができた。
Figure 0005612154
実施例5:フィルム内部のパクリタキセルの安定性
実施例4により作製したパクリタキセル封入ゼラチンフィルムをアクチナーゼ処理し、ラチンを分解し、酢酸エチルで抽出することで、パクリタキセルを定量的に回収できた。該回収したパクリタキセルをHPLC(東ソーTSK-gel ODS-80Ts, 溶離液:THF/水=9/1)にて分析すると、パクリタキセルはほとんど分解せずにゼラチンフィルム内に封入されていることが分かった。また、パクリタキセルの良溶媒であるHFIPの除去の際に、パクリタキセルのゼラチンフィルムからの流出を防ぐことができた。さらに、HFIPより作成したゼラチンフィルムは乾燥の際にフィルムの端が反る問題があったが、本発明を用いることで、フィルムの反りを改善することができた。
実施例6:パクリタキセル封入ゼラチンスポンジからのHFIPの除去
ゼラチン(PSKゼラチン、ニッピ社製)およびグルタルアルデヒド(GA)(最終濃度:ゼラチン:10%、GA:0.1%、全量:20 mL)を含むPBS溶液を型(5 x 10 cm x 4 mm)に流し込み、4℃にて17時間静置することで、GA架橋ゼラチンゲルを作製した(厚さ:4 mm)。該ゲルを37℃とした50mMグリシン溶液(100 mL)に浸漬し、1時間静置した。さらに37℃とした脱イオン水(100 mL)に浸漬し、1時間静置した(脱イオン水に浸漬は2回)。得られたゲルをφ=12 mmにくり抜いた後、凍結乾燥し、ゼラチンスポンジを得た。該スポンジに、パクリタキセルを含むHFIP溶液(パクリタキセル濃度:1.5%、0.7%、容量:50μLまたは100μL)を室温で添加し、該ゼラチンスポンジを膨潤させ、パクリタキセルをゼラチンスポンジに染み込ませた。得られたパクリタキセル封入ゼラチンスポンジを所定の条件(温度:50℃、湿度;95%)に3日間静置した後、1日間自然乾燥し、パクリタキセル封入ゼラチンスポンジを得た。該スポンジを0.4%アクチナーゼ水溶液(1.5 mL)に浸漬し、40℃で1晩作用させ、ゼラチンを溶解させた。ここで得られた水溶液をGC(GC-2010、島津社製、カラム:RTx-Stabilwax 30 m、φ=0.32)に注入し、溶液中のHFIP量を定量することでゼラチン中のHFIP量を定量した。該スポンジ中のHFIP量はいずれも0.001%以下(自然乾燥4日では9.3%)であった。本結果より、スポンジ状のゼラチンからもHFIPが除去できるといえる。
本発明の方法によれば、作製工程中に使用した構造物中の残留溶媒を効率的に除去することができる。

Claims (11)

  1. 生体高分子の構造物中に含まれる有機溶媒を該構造物から除去する方法であって、該構造物中に、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、又はポリエチレングリコールである親水性化合物を含めることを特徴とする、有機溶媒の除去方法。
  2. 生体高分子の構造物中における親水性化合物の含有量が5重量%以上である、請求項1に記載の有機溶媒の除去方法。
  3. 生体高分子の構造物中における親水性化合物の含有量が5重量%以上10重量%以下である、請求項1又は2に記載の有機溶媒の除去方法。
  4. 生体高分子がタンパク質である、請求項1から3の何れか1項に記載の有機溶媒の除去方法。
  5. タンパク質がコラーゲン、ゼラチン、アルブミン、ラミニン、カゼイン、フィブロイン、フィブリン、フィブロネクチン、ビトロネクチンとからなる群より選ばれる少なくとも一種である、請求項4に記載の有機溶媒の除去方法。
  6. 生体高分子が架橋されている、請求項1から5の何れか1項に記載の有機溶媒の除去方法。
  7. 該親水性化合物がグリセロールである、請求項1から6の何れか1項に記載の有機溶媒の除去方法。
  8. 該除去する有機溶媒が有機フッ素化合物である、請求項1からの何れか1項に記載の有機溶媒の除去方法。
  9. 該有機フッ素化合物がトリフルオロエタノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、ヘキサフルオロアセトン、トリフルオロ酢酸、又はペンタフルオロプロピオン酸である、請求項に記載の有機溶媒の除去方法。
  10. 該有機フッ素化合物がトリフルオロエタノール、又は1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ-2-プロパノールである、請求項に記載の有機溶媒の除去方法。
  11. 35℃以上80℃以下の温度の系で有機溶媒を除去する、請求項1から10の何れか1項に記載の有機溶媒の除去方法。
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