JP5609684B2 - Ad変換装置および信号処理システム - Google Patents
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Description
図1において、XはAD変換器1の入力電圧を示し、この入力電圧Xはアナログ信号である。一方、YはAD変換器1の出力電圧を示し、出力電圧Yはデジタル信号となる。
この高調波成分の内偶数次の成分に関しては、AD変換器を全差動構成とすることで十分な減衰量が取れるが奇数次の成分はそのまま出力に現れる。
式(1)からわかるとおり、入力信号が大きくなるにつれて歪み成分はより大きな増加率で増えていく。
そのため、従来は歪み特性を改善するためには、入力信号を小さく制限することが行われている。換言すれば、AD変換器は、ダイナミックレンジが歪みで制限されている。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施形態
2.第2の実施形態
3.第3の実施形態
4.第4の実施形態
図2は、本第1の実施形態に係る歪み補償機能を含むAD変換装置の構成を示す図である。
利得付与回路13は第2のAD変換器12の入力部に配置されてもよい。
また、第1の乗算器14は第1の演算器に相当し、第2の乗算器15が第2の演算器に相当し、減算器16が第3の演算器に相当する。
また、図2において、XはAD変換装置10の入力電圧を示し、この入力電圧Xはアナログ信号である。一方、YはAD変換装置10の出力電圧を示し、出力電圧Yはデジタル信号となる。
第2のAD変換器12の入力部に利得α(α<1)を掛け合わせる利得付与回路13が配置されている。この回路13はアナログ回路として実現する。
本実施形態においては、第1のAD変換器11には入力信号Xがそのまま入力され、第2のAD変換器12には入力信号Xに利得αが掛け合わされた信号が入力される。
第2のAD変換器12の出力は、第2の乗算器15において1/αが掛け合わされ、信号y2として、減算器16に供給される。
減算器16は、第2の乗算器15の出力信号y2と第1の乗算器14の出力信号y1の差分をとり、その結果をAD変換装置10の出力電圧Yとしている。
式(2)と式(3)より、図2のAD変換装置10の出力Yは、次の式(4)のようになり、3次歪みの成分がキャンセルアウトされる。
これに対して、本実施形態では完全に3次成分が除去できる。
また、実際のAD変換器(ADC)では雑音が生じることになり、図2に示す雑音が生じた場合出力Yに現れる雑音eoutは、次の式(5)のようになる。
α=0.55付近でSNRは最大となる。
一方で、αが1/(2のべき乗)で表されるときアナログの係数が容易に実現できるほか、デジタルでの係数も単純なビットシフトで実現できる。
このため、実現の容易さを考慮するとα=0.5が最も好ましい係数となり、このときのSNRの劣化は8dB程度となる。
図3は、本第2の実施形態に係る歪み補償機能を含むAD変換装置の構成を示す図である。
第2のAD変換器12Aの入力信号に対する利得の掛け合わせは、後述するように、パイプライン型AD変換器の入力の値を異ならせることで実現されている。
本第2の実施形態において、歪み除去のための係数αは0.5としている。
したがって、第1の乗算器14Aでは、第1のAD変換器11Aの出力に1/4が掛け合されることになり、第2の乗算器15Aでは、第2のAD変換器12Aの出力に2が掛け合されることになる。
入力段回路20は、差動入力電圧Vin,−Vinの入力端子T11,T12、正側入力電圧用の参照電圧Vrefの入力端子T13、参照電圧−Vrefの入力端子T14を有する。
入力段回路20は、負側入力電圧の参照電圧Vrefの入力端子T15、参照電圧−Vrefの入力端子T16を有する。
入力段回路20は、スイッチSW11〜SW24、およびノードND11〜ND20を有する。
容量Cfb11はノードND15とノードND13との間に接続され、容量Cfb12はノードND16とノードND14との間に接続されている。
容量C21は、演算増幅器OTA21の第1入力側ノードND17と第1出力側ノードND19との間に接続されている。容量C22は演算増幅器OTA21の第2入力側ノードND18と第2出力側ノードND20との間に接続されている。
スイッチSW13はノードND11と基準電位との間に接続され、信号Φの反転信号/Φ(/は反転を示す)によりオン、オフされる。
スイッチSW14はノードND12と基準電位との間に接続され、信号Φの反転信号/Φによりオン、オフされる。
スイッチSW15はノードND13と基準電位との間に接続され、信号Φによりオン、オフされる。
スイッチSW16はノードND14と基準電位との間に接続され、信号Φによりオン、オフされる。
スイッチSW18は共通電位VcmとノードND15との間に接続され、信号Φによりオン、オフされる。
スイッチSW19は入力端子T14とノードND15との間に接続され、信号Φの反転信号/Φによりオン、オフされる。
スイッチSW21は共通電位VcmとノードND16との間に接続され、信号Φによりオン、オフされる。
スイッチSW22は入力端子T16とノードND16との間に接続され、信号Φの反転信号/Φによりオン、オフされる。
スイッチSW24は入力端子T14とノードND18との間に接続され、信号Φの反転信号/Φによりオン、オフされる。
容量N*C11は、スイッチSW15がオン状態のときに入力電圧Vinをサンプリングし、オフ状態のときにサンプリングした電圧VinをノードND13側に発生し、その電圧信号を出力する。
容量N*C12は、スイッチSW16がオン状態のときに入力電圧−Vinをサンプリングし、オフ状態のときにサンプリングした電圧−VinをノードND13側に発生し、その電圧信号を出力する。
容量Cfb11,Cfb12も同様の機能を有し、サンプリングした参照電圧Vref、あるいは、−Vref、あるいは共通電圧Vcmをサンプリングし、ノードND15、ND16側に発生させる。
この場合、第2のAD変換器12Aの入力信号はアナログ的に0.5倍する必要があるが、これは、図4中の入力である容量N*C11,N*C12を第1のAD変換器11Aと第2のAD変換器12Aで別々の値とすれば容易に実現できる。
つまり、第1のAD変換器11AにおいてはN=2とし、第2のAD変換器12AにおいてはN=1とする。
また、それぞれのAD変換器11A,12Aの出力にかけ合わせる係数はα=0.5としたので、第1のAD変換器11Aの出力側の第1の乗算器14Aで掛け合される値α2=0.25(1/4)とる。
一方、第2のAD変換器12Aの出力側の第2の乗算器15Aで掛け合される値α−1=2となる。
そしてこの乗算はどちらのAD変換器でも出力されたデジタルコードをビットシフトすることで実現できる。
図5は、本第3の実施形態に係る歪み補償機能を含むAD変換装置の構成を示す図である。
本第3の実施形態において、歪み除去のための係数αは0.25としている。
したがって、第1の乗算器14Bでは、第1のAD変換器11Bの出力に1/16が掛け合されることになり、第2の乗算器15Bでは、第2のAD変換器12Bの出力に4が掛け合されることになる。
図6において、Vinpは正側アナログ入力信号を、Vinmは負側アナログ信号を、Voutはデジタル出力信号をそれぞれ表している。
また、Vrefp,Vrefmは第1のデジタルアナログ(DA)変換器DAC31および第2のDA変換器DAC32の基準電圧を、Vckはクロック信号をそれぞれ表している。
また、ΔΣ変調器30は、入力抵抗N*R31,N*R32、デジタル信号の出力端子TVoutを有する。
ΔΣ変調器30は、第1のDA変換器DAC31の第1の出力端子TVDAC1に対して接続された抵抗R37、並びに、第2の出力端子TVDAC2に対して接続された抵抗R38を有する。
ΔΣ変調器30は、第2のDA変換器DAC32の第1の出力端子TVDAC3に対し接続された抵抗R35/M、並びに、第2の出力端子TVDAC4に対して接続された抵抗R36/Mを有する。
ΔΣ変調器30は、第2の積分器INT32の出力部に、第1の加算器ADD31および、抵抗R33,R34を有する。
第2の加算器ADD32は、抵抗N*R31と抵抗R36/Mの接続点により第3端子TADD3が形成され、抵抗N*R32と抵抗R35/Mの接続点により第4端子TADD4が形成されている。
演算増幅器OTA31は、負側入力端子(反転入力端子−)が第1の加算器ADD31の第1端子TADD1に接続され、正側入力端子(非反転入力端子+)が第1の加算器ADD31の第2端子TADD2に接続されている。
演算増幅器OTA31の正側出力端子が量子化器Quan31の正側入力端子に接続され、負側出力端子が量子化器Quan31の負側入力端子に接続されている。
そして、演算増幅器OTA31の正側出力端子と負側入力端子間に容量C33が接続されている。
演算増幅器OTA31の負側出力端子と正側入力端子間に容量C34が接続されている。
演算増幅器OTA32は、負側入力端子(反転入力端子−)が第2の加算器ADD32Aの第3端子TADD3に接続され、正側入力端子(非反転入力端子+)が第2の加算器ADD32の第4端子TADD4に接続されている。
演算増幅器OTA32の正側出力端子が抵抗R33に接続され、負側出力端子が抵抗R34に接続されている。
そして、演算増幅器OTA32の正側出力端子と負側入力端子間に容量M*C31が接続されている。
演算増幅器OTA32の負側出力端子と正側入力端子間に容量M*C32が接続されている。
スイッチSW31の端子aは第1の出力端子TVDAC1に接続され、端子bはスイッチSW32の端子aに接続されている。
スイッチSW32の端子bは第1の基準電圧入力端子TVrefpに接続され、端子cは第2の基準電圧入力端子TVrefmに接続されている。
スイッチSW33の端子aは第2の出力端子TVDAC2に接続され、端子bはスイッチSW34の端子aに接続されている。
スイッチSW34の端子bは第1の基準電圧入力端子TVrefpに接続され、端子cは第2の基準電圧入力端子TVrefmに接続されている。
スイッチSW35の端子aは第3の出力端子TVDAC3に接続され、端子bはスイッチSW36の端子aに接続されている。
スイッチSW36の端子bは第1の基準電圧入力端子TVrefpに接続され、端子cは第2の基準電圧入力端子TVrefmに接続されている。
スイッチSW37の端子aは第4の出力端子TVDAC4に接続され、端子bはスイッチSW38の端子aに接続されている。
スイッチSW38の端子bは第1の基準電圧入力端子TVrefpに接続され、端子cは第2の基準電圧入力端子TVrefmに接続されている。
第1のDA変換器DAC31および第2のDA変換器DAC32の出力電圧はΔΣ変調器30の出力デジタル信号Voutのレベルによって決定される。
出力デジタル信号Voutがハイレベル(High)のときは、負側基準電圧Vrefmが選択され、ΔΣ変調器30の出力を下げる向きに動作する。
一方、出力デジタル信号Voutがローレベル(Low)のときは、正側基準電圧Vrefpが選択され、ΔΣ変調器30の出力を上昇させるように動作する。
ΔΣADCはΔΣ変調器とデジタル回路であるデシメーションフィルタ(Decimation Filter)を合わせたものと定義され、歪み等の非理想性はΔΣ変調器のブロックで発生する。
図6のΔΣ変調器30は抵抗と容量を用いた積分器INT31,INT32を2つ用いた2次のループフィルタと1ビットの量子化器としての比較器とスイッチによって基準電圧を切り替えて帰還をかける1ビットDA変換器で構成されている。
第2のΔΣAD変換器12Bにおいてα=0.25の係数を持たせる必要がある。
これは入力段の抵抗N*R31(とN*R32)または積分容量M*C31(とM*C32)とDAC32の負荷抵抗R36/M(とR35/M)をΔΣ型第1のAD変換器11BとΔΣ型第2のAD変換器12Bで違う値を用いればよい。
具体的には、ΔΣ型第1のAD変換器11BにおいてN=1、M=1とすると、ΔΣ型第2のAD変換器12BにおいてはN=4とするか、もしくはM=4とすれば容易に実現できる。
ぞれぞれのΔΣ型AD変換器11B,12Bの出力にかけ合わせる係数α2=0.0625とα−1=4も、前述した第2の実施形態と同様にビットシフトのみで容易に実現できる。
すなわち、AD変換器において発生する3次歪み成分を同一のAD変換器を2つ用意しそれぞれの入出力に適切な係数を掛けて差分をとることで除去し、ダイナミックレンジが歪みで制限されるAD変換器の特性を大幅に改善することができる。
この手法は低電源電圧化でのAD変換器の設計において特に有効となる。
図7は、本第4の実施形態に係る信号処理システムの構成例を示すブロック図である。
信号処理システム100において、AD変換器120として、第1から第3の実施形態に係るAD変換装置10〜10Bのいずれかが適用可能である。
ここで、上記のようなシステムを実現する、すなわちアナログ信号処理回路110で行っていた信号処理をデジタル信号処理回路130で行うためには、できるだけ元の信号の情報を損なわずにAD変換することが必要になる。このため、高いSN比を持つAD変換器が必要となる。
このような条件に適合するAD変換器120の例として、パイプライン型AD変換器として機能する第2の実施形態に係るAD変換装置10Aが適用可能である。
Claims (6)
- 入力アナログ信号をデジタル信号に変換する第1のアナログデジタル(AD)変換器と、
入力アナログ信号を係数αでα倍したアナログ信号をデジタル信号に変換する第2のAD変換器と、
上記第1のAD変換器の出力信号に上記係数αを2乗した値α2を掛け合わせる第1の演算器と、
上記第2のAD変換器の出力信号に上記係数αを−1乗した値α−1を掛け合わせる第2の演算器と、
上記第1の演算器の演算結果と上記第2の演算器の演算結果との差分をとり、入力信号のAD変換結果として出力する第3の演算器と
を有するAD変換装置。 - 上記第1のAD変換器および第2のAD変換器は、
入力段に入力信号をサンプリングするための入力容量を含むパイプライン型AD変換器により形成され、
上記第1のAD変換器の入力容量と上記第2のAD変換器の入力容量の値が異なる
請求項1記載のAD変換装置。 - 上記第2のAD変換器の入力容量値が上記第1のAD変換器の入力容量値より小さい
請求項2記載のAD変換装置。 - 上記第1のAD変換器および第2のAD変換器は、ΔΣ変調器により形成され、
上記ΔΣ変調器は、
少なくとも一つの積分器と、
積分容量を含み、上記積分器の出力信号を量子化してデジタル信号を出力する量子化器と、
上記量子化器によるデジタル信号をアナログ信号に変換し、負荷抵抗を介して上記積分器の入力側に帰還させる少なくとも一つのデジタルアナログ(DA)変換器と、
入力信号が入力される入力抵抗と、を含み、
上記第1のAD変換器の入力抵抗、積分容量、負荷抵抗と上記第2のAD変換器の入力抵抗、積分容量、負荷抵抗の値が異なる
請求項1記載のAD変換装置。 - 上記第2のAD変換器の入力抵抗、積分容量の値が上記第1のAD変換器の入力抵抗、積分容量の値より大きく、
上記第2のAD変換器の負荷抵抗の値が上記第1のAD変換器の負荷抵抗の値より小さい
請求項4記載のAD変換装置。 - アナログ信号処理系からのアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログデジタル(AD)変換装置を有し、
上記AD変換装置は、
入力アナログ信号をデジタル信号に変換する第1のアナログデジタル(AD)変換器と、
入力アナログ信号を係数αでα倍したアナログ信号をデジタル信号に変換する第2のAD変換器と、
上記第1のAD変換器の出力信号に上記係数αを2乗した値α2を掛け合わせる第1の演算器と、
上記第2のAD変換器の出力信号に上記係数αを−1乗した値α−1を掛け合わせる第2の演算器と、
上記第1の演算器の演算結果と上記第2の演算器の演算結果との差分をとり、入力信号のAD変換結果として出力する第3の演算器と、を含む
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