JP5609424B2 - セラミック多層基板およびその製造方法 - Google Patents

セラミック多層基板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、セラミック多層基板およびその製造方法に関し、詳しくは、表面実装部品が搭載される外部電極を備えたセラミック多層基板およびその製造方法に関する。
近年、配線導体を3次元的に配置したセラミック多層基板が種々の用途に広く用いられている。
このようなセラミック多層基板は、通常、その上に電子部品(表面実装部品)が搭載される外部電極を備えている。
そして、リフローはんだ付けなどの方法で搭載される表面実装部品の実装信頼性を向上させるために、外部電極にめっきを施してはんだ濡れ性などの特性を向上させることが行われている。
このようなセラミック多層基板の一つに、表面にめっき膜が形成された外部電極に表面実装部品を搭載するようにしたセラミック多層基板が提案されている。(特許文献1、段落0039,0043など参照)。
しかしながら、上記特許文献1のセラミック多層基板の場合、製造工程で、外部電極にめっきを施す際のめっき液や、洗浄工程で用いられる洗浄水などに由来する水分が内部に残留する。
そのため、表面実装部品を外部電極上に搭載する際のはんだを用いた実装工程においてセラミック多層基板が加熱されると、内部の水分が蒸発、気化し、外部電極を通過して、溶融しているはんだに入り込み、はんだボイドが発生するという問題点がある。
そして、はんだボイドが発生すると、はんだ体積の膨張によって隣接する外部電極との間でショート不良が発生するという問題点がある。
なお、水分が蒸発したガス(水蒸気)が外部電極を通過してはんだに入り込むのは、導電性ペーストを焼き付けて形成される焼結金属からなる外部電極は、ガスが浸入しやすく、浸入したガスが、めっき膜を通過して、その表面に存在するはんだにまで達することによる。なお、めっき膜はガスを通しにくいが、厚みが薄いため、他の領域から排出されにくい状況下では、めっき膜を通過して、その上に存在する溶融したはんだにまで達することになる。
国際公開WO2006/027888
本発明は、上記課題を解決するものであり、セラミック多層基板の外部電極上に表面実装部品を実装する際に、外部電極を通過したガスに起因するはんだボイドの発生、それによるショート不良の発生を抑制、防止することが可能なセラミック多層基板およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のセラミック多層基板は、
積層された複数のセラミック層を有する基板と、
前記基板の主面に形成され、その上に表面実装部品が搭載される、焼結金属からなる外部電極と、
前記外部電極の表面の一部の領域を被覆するように配設された、表面にめっき金属層が付着しない無機絶縁材料からなる多孔質層と、
前記外部電極の表面の、前記多孔質層が配設されていない領域に形成されためっき金属層と
を具備することを特徴としている。
前記外部電極が、セラミック粒子を含む焼結金属からなるポーラスな外部電極であることが好ましい。
また、前記外部電極が、主面を露出させるような態様で前記基板に埋設され、かつ、露出した前記主面の所定の領域を被覆するように前記めっき金属層が形成されていることが好ましい。
また、本発明のセラミック多層基板の製造方法は、
積層された複数のセラミック層を有する基板と、前記基板の主面に形成され、その上に表面実装部品が搭載される、焼結金属からなる外部電極と、前記外部電極の表面の一部の領域を被覆するように配設された、表面にめっき金属層が付着しない無機絶縁材料からなる多孔質層と、前記外部電極の表面の、前記多孔質層が配設されていない領域に形成されためっき金属層とを具備するセラミック多層基板の製造方法であって、
前記基板の表面に、焼結金属からなる前記外部電極が配設され、かつ、前記外部電極の表面の一部の領域を被覆するように、めっき金属層が付着しない無機絶縁材料からなる多孔質層が配設された構造体を形成する工程と、
前記外部電極にめっきを施して、前記外部電極の前記多孔質層により被覆されていない領域にめっき金属層を形成する工程と
を具備することを特徴としている。
前記外部電極を形成する工程において、セラミック粒子を含む焼結金属からなるポーラスな外部電極を形成することが好ましい。
本発明のセラミック多層基板は、外部電極の表面の一部の領域を被覆するように、表面にめっき金属層が付着しない多孔質層を配設する一方、無機絶縁材料からなる多孔質層が配設されていない領域にめっき金属層を配設するようにしているので、内部からの水蒸気などのガスを、多孔質層を通過させて効率よく外部に排出することが可能になり、はんだボイドの発生を抑制、防止して、ショート不良の発生を効率よく防止することがすることができる。
なお、外部電極の表面の一部の領域を、無機絶縁材料からなる多孔質層により被覆するようにした場合、セラミック多層基板をめっき浴に浸漬して外部電極の表面にめっきを施す場合に、レジストなどを用いなくても、多孔質層の表面にはめっき金属層が形成されることがないため、製造工程におけるめっき工程を簡略化することができる点でも有意義である。
また、外部電極として、セラミック粒子を含む焼結金属からなるポーラスな外部電極を形成することにより、外部電極の上記めっき金属層で覆われていない部分から、より確実にガスを排出させることが可能になり、本発明をさらに実効あらしめることができる。
また、外部電極を、主面を露出させるような態様で基板に埋設し、露出した主面の所定の領域にはめっき金属層を形成せず、その他の領域を覆うようにめっき金属層を形成することにより、例えば、外部電極をセラミック基板の主面と面一にして、主面の平坦性の高いセラミック多層基板を構成するようにした場合にも、めっき膜上に付与されるはんだの内部に水蒸気などのガスが入り込むことによるはんだボイドの発生を抑制、防止して、ショート不良の発生を効率よく防止することがすることができる。
また、本発明のセラミック多層基板の製造方法は、
基板の表面に、焼結金属からなる外部電極が配設され、かつ、外部電極の表面の一部の領域を被覆するように、めっき金属層が付着しない無機絶縁材料からなる多孔質層が配設された構造体を形成した後、外部電極にめっきを施して、外部電極の多孔質層により被覆されていない領域にめっき金属層を形成するようにしているので、多孔質層から、水蒸気などのガスを効率よく排出させることが可能で、はんだの内部に水蒸気などのガスが入り込むことによるはんだボイドの発生を抑制して、それによるショート不良の発生を防止することが可能な信頼性の高いセラミック多層基板を効率よく製造することができる。
また、外部電極を形成する工程において、セラミック粒子を含む焼結金属からなるポーラスな外部電極を形成することにより、外部電極のめっき金属層に覆われていない領域、あるいは多孔質層に覆われめっき金属層に覆われていない領域から、より確実にガスを排出させることが可能になり、本発明をさらに実効あらしめることができる。
本発明が関連する発明の実施例(実施例1)にかかるセラミック多層基板の構成を示す図である。 実施例1にかかるセラミック多層基板の要部構成を示す図である。 (a),(b)は、図1および2に示す実施例1にかかるセラミック多層基板の製造方法を説明する図である。 実施例1にかかるセラミック多層基板において、外部電極のめっき金属層が形成されていない領域からガスが排出されている状態を示す図である。 外部電極の表面全体にめっき金属層が形成された従来のセラミック多層基板の構成を模式的に示す図である。 (a),(b)は本発明が関連する他の発明の実施例(実施例2)にかかるセラミック多層基板の製造方法を説明する図である。 本発明の実施例(実施例3)にかかるセラミック多層基板の要部構成を示す図である。 図7に示す本発明の実施例(実施例3)にかかるセラミック多層基板の製造方法を説明する図である。
以下に本発明および本発明が関連する発明の実施例を示して、本発明の特徴とするところをさらに詳しく説明する。
図1は本発明が関連する発明の一実施例(実施例1)にかかるセラミック多層基板の構成を示す断面図、図2はその要部を拡大して模式的に示す図である。
図1に示すように、この実施例1のセラミック多層基板Aは、基材層である複数のセラミック層1を積層してなる基板2と、層間に配設された内部導体3と、表面に形成された外部電極4と、層間接続用のビアホール導体5とを備えている。なお、異なる層に配置されている内部導体3と外部電極4は、ビアホール導体5を介して互いに電気的に接続されている。
そして、表面実装部品6がその上にはんだ8を介して実装される外部電極4は、基板2に埋設され、その上面が基板2の上面とほぼ面一になるように形成されている。
また、この実施例1のセラミック多層基板Aにおいて、外部電極4は、セラミック粒子を含む焼結金属から形成されたポーラスな電極とされている。
なお、この実施例1では、ポーラスな外部電極4を形成することができるように、セラミック粒子(この実施例ではAl23(アルミナ)粒子)を含む焼結金属(Cu焼結金属)から外部電極を形成している。
また、この実施例1のセラミック多層基板Aにおいては、図2に示すように、外部電極4の表面にめっき金属層11が配設されている。なお、めっき金属層11は、特に図示しないが、下地層であるNiめっき層と、その上に形成されたAuめっき層とを備えた2層構造を有している。
このめっき金属層11は、外部電極4の表面の一部(図2では両端部4a,4b)を除いた中央部4cに形成されており、外部電極4の両端部4a,4bは露出している。
この実施例1のセラミック多層基板Aにおいて、外部電極4はセラミック粒子を含む焼結金属から形成されたポーラスな電極とされており、かつ、外部電極4の両端部4a,4bは、めっき金属層11に覆われておらず、外部に向かって露出し、基板2の内部から、水蒸気などのガスを効率よく通過させて外部に放出させることができるように構成されている。
次に、上記セラミック多層基板Aの製造方法について説明する。
(1)未焼成の積層体の作製
セラミック多層基板Aを製造するにあたっては、まず、セラミック層1となる複数の基板用セラミックグリーンシートを用意する。
次に、所定の基板用セラミックグリーンシートに、ビアホール導体5を配設するための貫通孔を形成する。そして、この貫通孔に導電性ペーストを充填することにより、ビアホール導体5を形成する。
また、所定の基板用セラミックグリーンシート上に、導電性ペーストを所定のパターンで印刷することにより、内部導体や外部電極となるべき導体膜を形成する。
なお、この実施例1では、外部電極となる導体膜については、十分にポーラスな外部電極を形成することができるように、Cu粉末とAl23粉末を主成分とする導電性ペーストを塗布することにより導体膜を形成する。
一方、内部導体となる導体膜は、Al23粉末を含まないCuペーストを用いて導体膜を形成する。ただし、内部導体を形成するための導電性ペーストの種類に特別の制約はない。
次に、上述のように、ビアホール導体および/または導体膜が形成された基材用セラミックグリーンシート、およびビアホール導体や導体膜が形成されていない基材用セラミックグリーンシートを所定の順に積層して、圧着することにより、焼成後に図1に示すようなセラミック多層基板Aとなる積層体を作製する。なお、上記の積層体を圧着するにあたっては、例えば、静水圧プレスの方法が用いられる。
(2)積層体の焼成
次に、上述のようにして作製した圧着後の積層体を脱脂した後、基板用セラミックグリーンシートを構成するセラミック材料粉末が焼結する温度で焼成する。
これにより、Al23粒子を含むCu焼結金属からなるポーラスな外部電極を備えた積層体(焼結体)が得られる。
なお、積層体を焼成するにあたっては、積層体の主面に平行な方向への収縮を抑制、防止するために、積層体の少なくとも一方主面に、積層体の焼成温度では実質的に焼結しない材料からなる収縮抑制層(拘束層)を配設して焼成するようにしてもよい。
(3)外部電極へのめっき金属層の形成
それから、焼成後の積層体の、ポーラスな外部電極に、NiめっきおよびAuめっきを施して、外部電極の表面に下地層であるNiめっき層と、その上に形成されたAuめっき層の2層構造(図示せず)を有するめっき金属層11を形成する。
このとき、図3(a)に示すように、外部電極4の両端部4a,4b上に、レジスト剤12を塗布して、外部電極4の中央部4cが露出し、両端部4a,4bがレジスト剤12により被覆された状態で、無電解めっきの方法により、まずNiめっき行った後、Auめっきを行い、図3(b)に示すように、外部電極4の中央部4c上に、Niめっき層とその上に形成されたAuめっき層の2層構造(図示せず)を有するめっき金属層11を形成する。
それから、レジスト剤12を除去することにより、図2に示すように、外部電極4の両端部4a,4bを露出させる。
これにより、図2に示すように、外部電極4の両端部4a,4bは露出し、中央部4c上にはめっき金属層11が形成された構造を有するセラミック多層基板Aが得られる。
(4)表面実装部品の実装
このセラミック多層基板Aに表面実装部品6をリフローはんだ付けの方法で搭載する。
この実施例1のセラミック多層基板Aは、図2に示すように、外部電極4の中央部4cにめっき金属層11を設ける一方、外部電極4の一部(両端部4a,4b)を露出させるようにしているので、図4に示すように、表面実装部品6をはんだ8を用いて実装した場合に、外部電極4のめっき金属層に覆われていない両端部4a,4bから、めっき工程などにおいて基板2に浸入した水分が蒸発して発生する水蒸気などのガスが効率よく排出される。その結果、めっき金属層11上に付与されるはんだ8の内部に水蒸気などのガスが入り込むことによるはんだボイドの発生を抑制して、ショート不良の発生を確実に防止することが可能になる。
なお、この実施例1のセラミック多層基板Aにおいては、外部電極4として、セラミック粒子(Al23粒子)を含む焼結金属からなるポーラスな電極を形成するようにしているので、外部電極4の上記めっき金属層11で覆われていない両端部4a,4bから、より確実にガスを排出させることができる。
<ショート発生率>
また、図2に示すように、外部電極4の中央部4cにめっき金属層11を設ける一方、外部電極4の一部(両端部4a,4b)を露出させた構造を有するこの実施例1のセラミック多層基板Aと、図5に示すように、外部電極4の表面全体がめっき金属層11により被覆された構造を有する従来のセラミック多層基板について、はんだを用いて表面実装部品を実装して、ショート不良の発生状態を比較した。
その結果、図5の従来のセラミック多層基板の場合、はんだボイドが発生して、試験に供した76個の試料のうち、44個の試料についてショート不良の発生が認められた。
これに対し、実施例1のセラミック多層基板Aの場合、図4に示すように、外部電極4のめっき金属層に覆われていない両端部4a,4bから、めっき工程などにおいて基板2内に浸入した水分が蒸発して発生する水蒸気などのガスが効率よく排出されるため、試験に供した76個の試料のいずれにもショート不良の発生は認められなかった。
また、この実施例1のセラミック多層基板Aでは、外部電極4を、基板2に埋設し、外部電極4の上面を基板2の主面と略面一にするとともに、露出した主面の両端部4a,4bにはめっき金属層を形成せず、中央部4cにめっき金属層11を形成するようにしているので、主面の平坦性に優れた、信頼性の高いセラミック多層基板を得ることができる。
なお、外部電極4のめっき金属層により被覆されていない部分の面積は、通常、外部電極の表面積の25〜50%とすることが望ましい。これは、めっき金属層11の配設された領域の割合が小さくなり過ぎると、表面実装部品6の接合強度が低下し、実装信頼性が低下することによる。
この実施例2では、以下に説明する方法で、上記実施例1のセラミック多層基板A(図1、図2)と同様の構造を有するセラミック多層基板を作製した。
(1)まず、上記実施例1における(2)の積層体の焼成の工程までは、同様の方法により焼成済みの基板2を作製した。
(2)それから、この実施例2では、外部電極4の主面にレジスト剤を塗布することなくめっきを行い、図6(a)に示すように、外部電極4の主面の全体にめっき金属層11を形成した。なお、めっき金属層11は、上記実施例1のセラミック多層基板の場合と同様、特に図示しないが、下地層であるNiめっき層と、その上に形成されたAuめっき層とを備えた2層構造を有している。
(3)次に、図6(b)に示すように、外部電極4の中央部4cにマスク13を施した後、ブラスト処理を行って、外部電極4の両端部4a,4b上のめっき金属層11を除去した。
これにより、図2に示すように、外部電極4の外部電極4の両端部4a,4bは露出し、中央部4c上にはめっき金属層11が形成された構造を有するセラミック多層基板が得られる。
このようにして製造される実施例2のセラミック多層基板も、上記実施例1のセラミック多層基板Aと同様に、外部電極のめっき金属層に覆われていない露出した両端部から水蒸気などのガスが効率よく排出されることから、表面実装部品の実装時に、水蒸気などのガスがはんだの内部に入り込むことによるはんだボイドの発生を抑制して、ショート不良の発生を確実に防止することができる。
なお、この実施例2のセラミック多層基板についても、表面実装部品を実装してショート不良の発生状態を調べたが、試験に供した76個の試料のいずれにもショート不良の発生は認められなかった。
図7は本発明の実施例(実施例3)にかかるセラミック多層基板A1の要部を示す断面図である。
この実施例3のセラミック多層基板A1においては、外部電極4の表面の所定の領域(この実施例3では両端部4a,4b)を覆うように、表面にめっき金属層が付着しない無機絶縁材料(この実施例3ではAl23(アルミナ))からなる多孔質層14a,14bが配設されており、無機絶縁材料からなる多孔質層14a,14bが配設されていない領域(中央部4c)には、Niめっき層と、その上に形成されたAuめっき層の2層構造(図示せず)を有するめっき金属層11が配設されている。
この実施例3のセラミック多層基板A1は、例えば、以下に説明する方法により製造することができる。
(1)まず、実施例1の(1),(2)の工程に準じる方法により、所定の基材用セラミックグリーンシートを積層、圧着し、焼成する工程を経て、図8に示すように、外部電極4の表面の所定の領域(両端部4a,4b)を覆うように、表面にめっき金属層が付着しない無機絶縁材料からなる多孔質層14a,14bが配設された、焼成済みの積層体(基板)2を形成する。
なお、多孔質層14a,14bは、例えば、最上層となる基材用セラミックグリーンシートに、外部電極用の導体層を形成するとともに、その両端部に、Al23粉末を無機絶縁材料とするアルミナペーストを塗布し、この基材用セラミックグリーンシートを他のセラミックグリーンシートとともに積層、圧着した後、得られた未焼成の積層体を焼成することにより形成することができる。
ただし、多孔質層14a,14bの形成方法それ自体に特別の制約はなく、他の方法によっても形成することができる。例えば、焼成済みの積層体の外部電極の両端部にアルミナペーストを塗布した後、これを焼成する方法によっても形成することができる。
(2)次に、外部電極4の両端部4a,4bを覆うように、表面にめっき金属層が付着しない無機絶縁材料からなる多孔質層14a,14bが配設された、焼成済みの積層体2(図8)にめっきを行い、多孔質層14a,14bが配設されていない中央部4cに、Niめっき層とAuめっき層の2層構造を有するめっき金属層11(図7)を形成する。
これにより、図7に示すように、外部電極4の両端部4a,4b上に形成された多孔質層14a,14bが露出し、中央部4c上にはめっき金属層11が形成された構造を有するセラミック多層基板A1が得られる。
このセラミック多層基板A1も、上記実施例1のセラミック多層基板Aと同様に、めっき金属層11に覆われていない露出した多孔質層14a,14bを通って、水蒸気などのガスが効率よく排出されることから、表面実装部品の実装時に使用されるはんだの内部に水蒸気などのガスが入り込むことによるはんだボイドの発生を抑制して、ショート不良の発生を確実に防止することができる。
なお、この実施例3のセラミック多層基板A1についても、表面実装部品を実装して、ショート不良の発生状態を調べたが、76個の試料のいずれにも、ショート不良の発生は認められなかった。
なお、多孔質層14a,14bが外部電極4の表面を被覆する割合は、通常、外部電極の表面積の25〜50%とすることが望ましい。これは、めっき金属層11の多孔質層14a,14bにより被覆された領域の割合が大きくなり過ぎると、表面実装部品6の接合強度が低下し、実装信頼性が低下することによる。
なお、上記の各実施例では、ポーラスな外部電極を形成するために、セラミック粒子として、アルミナ粒子を含む焼結金属(Cu焼結金属)からなる外部電極を形成するようにしているが、セラミック粒子として、アルミナ粒子の代わりに、 ジルコニア(ZrO2)などを含有させることにより、ポーラスな外部電極を形成することも可能である。
また、上記実施例では、めっき金属層が、下地層であるNiめっき層と、その上に形成されたAuめっき層の2層構造を有するめっき金属層である場合を例にとって説明したが、めっき金属層の層構造、めっき金属層を構成する金属の種類や組み合わせなどはこれに限られるものではない。
なお、めっき金属層を構成する金属としては、上記のNi、Au以外にも、すず、はんだ、Ag、Cuなど種々のものが例示される。
また、上記実施例1,2では、外部電極の所定の領域を露出させる方法として、レジスト剤を塗布してめっき処理を行う方法、所定の領域にマスクを施した状態でブラスト処理を行う方法を用いた場合について説明したが、外部電極の所定の領域を露出させる方法に特別の制約はなく、例えば、エッチング、ミリングなどの方法を適用することも可能である。
また、上記実施例3では、外部電極の一部を被覆するように配設される多孔質層として、アルミナからなる多孔質層を形成するようにしたが、多孔質層を構成する材料としては、アルミナに限らず、種々の材料を用いることが可能であり、例えば、ジルコニア(ZrO2)などが好ましい例として挙げられる。
また、上記実施例では、外部電極が基板に埋設された状態のセラミック多層基板を例にとって説明したが、外部電極が基板の表面に形成され、外部電極の厚み分だけ基板の表面から突出した構成とすることも可能であり、その場合にも、外部電極に、めっき金属層により被覆されていない、水蒸気などのガスを効率よく排出させることが可能な領域を設けることにより、上記の各実施例の場合と同様の作用効果を得ることができる。
本発明は、さらにその他の点においても、上記実施例に限定されるものではなく、セラミック多層基板を構成するセラミック層の層数、外部電極や内部導体などの配設態様、セラミック層や内部導体などを構成する材料、セラミック多層基板の製造工程における具体的な条件などに関し、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
A,A1 セラミック多層基板
1 セラミック層
2 基板
3 内部導体
4 外部電極
4a,4b 外部電極の両端部
4c 外部電極の中央部
5 ビアホール導体
6 表面実装部品
8 はんだ
11 めっき金属層
12 レジスト剤
13 マスク
14a,14b 多孔質層

Claims (5)

  1. 積層された複数のセラミック層を有する基板と、
    前記基板の主面に形成され、その上に表面実装部品が搭載される、焼結金属からなる外部電極と、
    前記外部電極の表面の一部の領域を被覆するように配設された、表面にめっき金属層が付着しない無機絶縁材料からなる多孔質層と、
    前記外部電極の表面の、前記多孔質層が配設されていない領域に形成されためっき金属層と
    を具備することを特徴とするセラミック多層基板。
  2. 前記外部電極が、セラミック粒子を含む焼結金属からなるポーラスな電極であることを特徴とする請求項記載のセラミック多層基板。
  3. 前記外部電極が、主面を露出させるような態様で前記基板に埋設され、かつ、露出した前記主面の所定の領域を被覆するように前記めっき金属層が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のセラミック多層基板。
  4. 積層された複数のセラミック層を有する基板と、前記基板の主面に形成され、その上に表面実装部品が搭載される、焼結金属からなる外部電極と、前記外部電極の表面の一部の領域を被覆するように配設された、表面にめっき金属層が付着しない無機絶縁材料からなる多孔質層と、前記外部電極の表面の、前記多孔質層が配設されていない領域に形成されためっき金属層とを具備するセラミック多層基板の製造方法であって、
    前記基板の表面に、焼結金属からなる前記外部電極が配設され、かつ、前記外部電極の表面の一部の領域を被覆するように、めっき金属層が付着しない無機絶縁材料からなる多孔質層が配設された構造体を形成する工程と、
    前記外部電極にめっきを施して、前記外部電極の前記多孔質層により被覆されていない領域にめっき金属層を形成する工程と
    を具備することを特徴とするセラミック多層基板の製造方法。
  5. 前記外部電極を形成する工程において、セラミック粒子を含む焼結金属からなるポーラスな外部電極を形成することを特徴とする請求項記載のセラミック多層基板の製造方法。
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