JP5609244B2 - 振動発電デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、MEMS(micro electro mechanical systems、微小電子機器)技術を用い、振動エネルギを電気エネルギに変換する振動発電デバイスに関するものである。
従来から、車や人の動きなど任意の振動に起因した振動エネルギを電気エネルギに変換するMEMSデバイスの一種である発電デバイスがある。このような発電デバイスに関しては種々の研究がなされている(特許文献1参照)。
上記特許文献1に示された発電デバイスは、図6に示すように、基板1と、基板1に設けられた錘部2と、基板1と錘部2との間をつなぎ錘部2が変位することで撓む燐青銅板3と、燐青銅板3の両面に圧電セラミック板4と電極5を積層され錘部2の揺動に応じて交流電圧を発生する圧電発電部6と、を備えた圧電発電装置が示されている。
特開平7−107752号公報
しかしながら、アプリケーションに応用するにあたり、圧電発電装置は、アプリケーションの環境振動の周波数に合わせて、共振周波数が調節できていないという課題があった。
本発明は、上記背景技術に鑑みて発明されたもので、その課題は、アプリケーション固有の共振周波数に合わせて、発電デバイスの共振周波数を簡単に調節できる振動発電デバイスを提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の振動発電デバイスは、フレーム部と、前記フレーム部の内側に設けられた錘部と、前記フレーム部と前記錘部との間をつなぎ前記錘部が振動することで撓む撓み部と、前記撓み部の一方の表面に下層から下部電極と圧電層と上部電極とが順に積層され前記錘部の揺動に応じて交流電圧を発生する発電部と、を備えた振動発電デバイスであって、前記フレーム部と前記錘部との間には、共振周波数調節手段を備え、前記共振周波数調節手段は、前記撓み部とは別に備えた前記フレーム部と前記錘部とをつなぐ支持梁部で構成され、前記支持梁部の初期形状を変えることで共振周波数を調節することを特徴とする。
また、この振動発電デバイスにおいて、前記共振周波数調節手段は、前記フレーム部と前記撓み部と前記錘部が並ぶ方向と、前記撓み部と前記錘部との厚み方向と、を含む面内において、前記支持梁部を対称的に有することが好ましい。
また、この振動発電デバイスにおいて、前記支持梁部は、前記フレーム部と前記錘部との間で複数回折り返したバネ状構造を有することが好ましい。
また、この振動発電デバイスにおいて、前記バネ状構造は、折り返している部分にRを有することが好ましい。
また、この振動発電デバイスにおいて、前記共振周波数調節手段は、前記支持梁部の辺の長さを変えることで共振周波数を所定の値に調節することが好ましい。
また、この振動発電デバイスにおいて、前記共振周波数調節手段は、前記支持梁部の辺の幅を変えることで共振周波数を所定の値に調節することが好ましい。
本発明の振動発電デバイスにおいて、前記振動発電デバイスは、前記フレーム部と前記錘部との間には、共振周波数調節手段を備えている。これより、共振周波数を所定の値に調節した振動発電デバイスを形成することができる。
本発明の一実施形態を示す振動発電デバイスの概略分解斜視図である。 本発明の一実施形態を示す振動発電デバイスにおける基板の概略平面図である。 本発明の一実施形態を示す振動発電デバイスにおける支持梁部の変形例の概略平面図である。 本発明の一実施形態を示す振動発電デバイスにおける基板の概略分解断面図である。 本発明の一実施形態を示す振動発電デバイスにおける基板の製造方法を説明するための、図1におけるA−A´断面の主要工程断面図である。 従来例を示す振動発電デバイスの概略断面図である。
図1ないし4は、本発明の一実施形態である振動発電デバイスを示している。この振動発電デバイスは、フレーム部11と、フレーム部11の内側に設けられた錘部12と、フレーム部11と錘部12との間をつなぎ錘部12が変位することで撓む撓み部13と、撓み部13の一方の表面に下層から下部電極15と圧電層16と上部電極17とが順に積層され錘部12の揺動に応じて交流電圧を発生する発電部18と、を備えている。また、フレーム部11と錘部12との間には、共振周波数調節手段を備える。そして、この共振周波数調節手段は、撓み部13とは別に備えたフレーム部11と錘部12とをつなぐ支持梁部20で構成され、支持梁部20の形状を変えることで共振周波数を調節する。また、共振周波数調節手段は、フレーム部11と撓み部13と錘部12が並ぶ方向と、前記撓み部と前記錘部との厚み方向と、を含む面内において、支持梁部20を対称的に有している。また、支持梁部20は、フレーム部11と錘部12との間で複数回折り返したバネ状構造を有する。また、バネ状構造は、折り返している部分にRを有している。そして、共振周波数調節手段は、支持梁部20の辺の長さを変えることで共振周波数を所定の値に調節する。さらに、共振周波数調節手段は、支持梁部20の辺の幅(図2におけるL)を変えることで共振周波数を所定の値に調節する。
この振動発電デバイスの基板25は、SOI基板を用いていて、SOI基板は、下から順に支持層26と、絶縁層27と、活性層28と、を有している。ここで、フレーム部11および錘部12は、支持層26と絶縁層27と活性層28とを主体として、撓み部13および支持梁部20は、絶縁層27と活性層28とを主体として構成している。
また、振動発電デバイスは、図1に示すように、基板25の活性層28側の表面に発電部18を備えていて、活性層28側の表面を一表面とすると、前記一表面にフレーム部11と固着した第一のカバー基板29を有する。そして、振動発電デバイスは、基板25の支持層26側の表面を他表面とすると、前記他表面にフレーム部11と固着した第二のカバー基板30を有する。これら第一のカバー基板29および第二のカバー基板30は、シリコンやガラス等を用いて形成している。このように、振動発電デバイスは、基板25と、第一のカバー基板29と、第二のカバー基板30と、を用いて構成されている。
以下、本実施形態における振動発電デバイスについて具体的詳細に説明する。
図2に示すように、フレーム部11の平面視における外形形状は、矩形形状である。また、フレーム部11の内側に有する錘部12および撓み部13の平面視における外形形状も、フレーム部11の外形形状と同様に矩形形状である。また、撓み部13の上記一表面側に形成された発電部18の平面視における外形形状は、撓み部13の外形形状に沿って、矩形形状である。また、支持梁部20の平面視における外形形状は、フレーム部11と錘部12とをつなぎ、折り返し構造を含み、錘部12の揺動を制御できれば、特に形状の限定はない。また、支持梁部20は、所定の共振周波数の値に応じて、支持梁部20の長さまたは幅Lの初期形状を決定している。なお、ここで言う初期形状とは、振動発電デバイスに加速度等の外部からの力が加わっていない状態における形状を指す。また、支持梁部20は、初期形状において、錘部12の大きい振動動作側寄りである錘部12の先端寄りに接続していることが好ましいが、求める共振周波数の値に応じて発電部18寄りに形成していても構わない。
そして、この振動発電デバイスは、撓み部13の上記一表面に発電部18を備えている。発電部18は、撓み部13の上記一表面側から順に下部電極15、圧電層16、上部電極17が積層されている。また、撓み部13の上記一表面側には、下部電極15および上部電極17それぞれにつながって、金属配線からなる接続配線31a、31cが形成されている。また、撓み部13の上記一表面側には、接続配線31a、31cを介して電気的に接続された下部電極用パッド32aと、上部電極用パッド32cと、が形成されている。
発電部18においては、下部電極15の平面サイズが最も大きく、二番目に圧電層16の平面サイズが大きく、上部電極17の平面サイズが最も小さくなるように設計してある。本実施形態では、平面視において、下部電極15の外周線の内側に圧電層16が位置し、圧電層16の外周線の内側に上部電極17が位置している。
また、本実施形態の共振周波数調節手段において、支持梁部20は、初期形状において、錘部12の前記先端寄りに二つの支持梁部20を対称的に備える。また、図3の(a)に示すように、この支持梁部20は、複数回折り返すことでバネ状構造を有し、所定の共振周波数の値によって、その折り返している部分の回数を増減させて形成している。また、そのバネ状構造は、支持梁部20の辺の長さ、または、支持梁部20の辺の幅を変えて形成することで、求める共振周波数の値に設定する。また、図3の(b)に示すように、その折り返し構造は、錘部12の振動時に応力が集中する折り返し部分の内縁にRを有するように形成する。なお、折り返し部分の外縁も、内縁と同様にRを有するように形成してもよい。
また、図4に示すように、発電部18は、撓み部13の上記一表面側に形成された下部電極15と、下部電極15における撓み部13側とは反対に形成された圧電層16と、圧電層16における下部電極15側とは反対に形成された上部電極17とを有する。さらに、少なくともフレーム部11と撓み部13との境界から錘部12と撓み部13との境界にまで、発電部18は形成されている。なお、発電部18がフレーム部11と撓み部13との境界に揃っているほうが、発電部18に振動しても発電に寄与しない部分が存在せず、発電量の向上を図れるため好ましい。基板25の上記一表面側には、上部電極17に電気的に接続される接続配線31cと下部電極15との短絡防止用の絶縁部35が、下部電極15および圧電層16それぞれにおけるフレーム部11側の端部を覆う形で形成されている。
なお、絶縁部35は、シリコン酸化膜により構成しているが、シリコン酸化膜に限らず、シリコン窒化膜により構成してもよい。また、基板25と下部電極15との間にMgO層からなるシード層(図示せず)が形成されている。また、シリコン基板25の上記一表面側および上記他表面側には、シリコン酸化膜36、37が形成されている。
また、第一のカバー基板29は、基板25側の一表面側に、錘部12および撓み部13からなる可動部の変位空間を形成し、その変位空間を第一凹所38としている。
第一のカバー基板29は、第一のカバー基板29の他表面側に、発電部18で発生した交流電圧を外部へ供給するための出力用電極40,40を形成している。各出力用電極40,40は、第一のカバー基板29の一表面側に形成された連絡用電極41,41と、第一のカバー基板29の厚み方向に貫設された貫通孔配線42,42を介して電気的に接続されている。ここで、第一のカバー基板29は、各連絡用電極41,41が基板25の下部電極用パッド32a,上部電極用パッド32cと接合され、電気的に接続されている。なお、各出力用電極40,40および各連絡用電極41,41をTi膜とAu膜との積層膜により構成しているが、これらの材料や層構造は特に限定するものではない。また、各貫通孔配線42,42の材料としてはCuを採用しているが、これに限らず、例えばNi、Alなどを採用してもよい。
本実施形態では、第一のカバー基板29としてシリコンを用いた基板を使用する場合、第一のカバー基板29は、二つの出力用電極40,40同士の短絡を防止するためのシリコン酸化膜からなる絶縁膜43が、第一のカバー基板29の上記一表面側および上記他表面側と貫通孔配線42,42が内側に形成された貫通孔44,44の内周面とに跨って形成されている。なお、第一のカバー基板29としてガラスを用いた基板のような絶縁性基板を用いる場合は、このような絶縁膜43は設ける必要はない。
また、第二のカバー基板30は、基板25側の一表面側に、錘部12および撓み部13からなる可動部の変位空間を形成し、その変位空間を第二凹所39としている。なお、第二のカバー基板30は、ガラス基板のような絶縁性基板を用いてもよい。
また、上述の基板25の上記一表面側には、第一のカバー基板29と接合するための第一の接合用金属層46が形成されており、第一のカバー基板29には、第一の接合用金属層46に接合される第二の接合用金属層(図示せず)が形成されている。ここで、第一の接合用金属層46の材料としては、下部電極用パッド32a、上部電極用パッド32cと同じ材料を採用しており、第一の接合用金属層46は、基板25の一表面上で下部電極用パッド32a、上部電極用パッド32cと同じ厚さに形成されている。
基板25と第一のカバー基板29と第二のカバー基板30とは、常温接合法により接合してあるが、常温接合法に限らず、例えば、陽極接合法や、エポキシ樹脂などを用いた樹脂接合法などにより接合してもよい。なお、本実施形態の振動発電デバイスは、MEMSデバイスの製造技術などを利用して形成されている。
以上、説明した本実施形態の振動発電デバイスでは、発電部18が下部電極15と、圧電層16と、上部電極17と、で構成されているから、撓み部13の振動によって圧電層16が応力を受け、下部電極15と上部電極17とに電荷の偏りが発生し、発電部18において交流電圧が発生する。また、このとき、支持梁部20は、錘部12が振動しすぎることを制御する働きをする。
ここで、振動発電デバイスの圧電層16に用いられる圧電材料の比誘電率をε、発電指数をPとすると、P∝e312/εの関係が成り立ち、発電指数Pが大きいほど発電効率が大きくなる。振動発電デバイスに用いられる代表的な圧電材料であるPZTおよびAlNそれぞれの圧電定数e31、比誘電率εの一般的な値からみて、発電指数Pに二乗できく圧電定数e31が大きいPZTを採用した方が発電指数Pを大きくできる。本実施形態における振動発電デバイスは、圧電層16の圧電材料として、鉛系圧電材料の一種であるPZTを採用しているが、鉛系圧電材料は、PZTに限らず、例えばPZT−PMN(:Pb(Mn,Nb)O3)やその他の不純物を添加したPZTを採用してもよい。ただし、圧電層16の圧電材料は、鉛系圧電材料に限らず、他の圧電材料を採用してもよい。
以下、本実施形態の振動発電デバイスの製造方法について、図5を参照しながら説明するが、図5(a)ないし(g)は、図1のA−A´断面に対応する部位を示している。
まず、シリコンを用いて形成されるシリコン基板25の上記一表面側と上記他表面側にシリコン酸化膜36、37を熱酸化法などにより形成する絶縁膜形成工程を行うことによって、図5(a)に示す構造を得る。
その後、基板25の上記一表面の全面に下部電極15、接続配線31a及び下部電極用パッド32aの基礎となるPt層からなる金属層50をスパッタ法やCVD法などにより形成する金属層形成工程を行う。続いて、基板25の上記一表面の全面に圧電材料(例えば、PZTなど)からなる圧電層16の基礎となる圧電膜51(例えば、PZT膜など)をスパッタ法やCVD法やゾルゲル法などにより形成する圧電膜形成工程を行うことによって図5(b)に示す構造を得る。なお、金属層50は、Pt層に限らず、例えばAl層やAl−Si層でもよいし、Pt層とそのPt層とシード層との間に介在する密着性改善用のTi層とで構成してもよい。ここで密着層の材料はTiに限らず、Cr、Nb、Zr、TiN、TaNなどでもよい。
上述の圧電膜形成工程の後、圧電膜51をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してパターニングし、圧電膜51の一部からなる圧電層16を形成する圧電膜パターニング工程を行うことによって、図5(c)に示す構造を得る。
その後、上述の金属層50をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してパターニングし、それぞれ金属層50の一部からなる下部電極15、接続配線31a、下部電極用パッド32aを形成する金属層パターニング工程を行うことによって、図5(d)に示す構造を得る。なお、本実施形態の金属層パターニング工程では金属層50をパターニングすることによって、下部電極15と併せて接続配線31aおよび下部電極用パッド32aを形成しているが、これに限らず、金属層パターニング工程で金属層50をパターニングすることで下部電極15のみを形成するようにし、その後、接続配線31aおよび下部電極用パッド32aを形成する配線形成工程を別途に設けてもよい。また、接続配線31aを形成する接続配線形成工程と下部電極用パッド32aを形成する下部電極用パッド形成工程とを別々に設けてもよい。また、金属層50のエッチングにあたっては、例えば、RIE法やイオンミリング法などを採用すればよい。
上述の金属層パターニング工程により下部電極15、接続配線31a、および下部電極用パッド32aを形成した後、基板25の上記一表面側に絶縁部35を形成する絶縁部形成工程を行うことによって、図5(e)に示す構造を得る。絶縁部形成工程では、基板25の上記一表面側の全面に絶縁層をCVD法などにより成膜してから、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してパターニングしているが、リフトオフ法を利用して絶縁部35を形成するようにしてもよい。
上述の絶縁部形成工程の後、上部電極17を例えばEB蒸着法やスパッタ法やCVD法などの薄膜形成技術、フォトリソグラフィ技術、エッチング技術を利用して形成する上部電極形成工程と同時に、接続配線31cおよび上部電極用パッド32cをEB蒸着法やスパッタ法やCVD法などの薄膜形成技術、フォトリソグラフィ技術、エッチング技術を利用して形成する配線形成工程を行うことによって、図5(f)に示す構造を得る。言い換えれば、本実施形態では、上部電極形成工程において、上部電極17と併せて接続配線31cおよび上部電極用パッド32cを形成しているが、これに限らず、上部電極形成工程と配線形成工程とを別々に行うようにしてもよい。また、配線形成工程についても、接続配線31cを形成する接続配線形成工程と上部電極用パッド32cを形成する上部電極用パッド形成工程とを別々に設けてもよい。なお、上部電極17のエッチングは、RIE法などのドライエッチングが好ましいが、ウェットエッチングでもよく、例えば、Au膜をヨウ化カリウム水溶液、Ti膜を過酸化水素水によりウェットエッチングすればよい。なお、上部電極17は、PtやAlやAl−Si等を用いて構成されている。
上述のようにして上部電極17、接続配線31c、上部電極用パッド32cを形成した後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術などを利用してフレーム部11と、錘部12と、撓み部13と、支持梁部20と、を形成する基板加工工程を行うことで、図5(g)に示す構造を得る。ここにおいて、基板加工工程では、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術などを利用して、基板25の上記一表面側から絶縁層27に達するまで、基板25のうちフレーム部11と、錘部12と、撓み部13と、支持梁部20と、以外の部位をエッチングすることで表面溝を形成する表面溝形成工程を行う。続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術などを利用して基板25を上記他表面側から絶縁層27に達するまで、フレーム部11および錘部12以外の部位をエッチングすることで、裏面溝を形成する裏面溝形成工程を行う。続いて、絶縁層27をエッチングすることで、表面溝と裏面溝とを連通させ、また、フレーム部11と、錘部12と、撓み部13と、支持梁部20と、を形成する。このエッチング工程を行うことによって、図5(g)に示す構造の発電デバイスを得る。
ところで、本実施形態では、基板加工工程の表面溝形成工程および裏面溝形成工程において、垂直深堀が可能な誘導結合プラズマ(ICP)型のエッチング装置を用いて基板25をエッチングしているので、撓み部13の裏面とフレーム部11の内側面とのなす角度を略90度とすることができる。なお、基板加工工程の表面溝形成工程および裏面溝形成工程は、ICP型のドライエッチング装置を用いたドライエッチングに限らず、異方性の高いエッチングが可能であればよく、他のドライエッチング装置を用いてもよい。また、基板25の上記一表面が(110)面の場合には、TMAH水溶液やKOH水溶液などのアルカリ系溶液を用いたウェットエッチング(結晶異方性エッチング)でもよい。
なお、本実施形態の発電デバイスは、基板加工工程が終了するまでをウェハレベルで行ってから、ダイシング工程を行うことで個々の振動発電デバイスに分割するようにしている。
本実施形態では、第一のカバー基板29と、第二のカバー基板30と、を備えているので、上述の撓み部13を形成するエッチング工程の後、各カバー基板29、30を接合するカバー接合工程を行う。この場合、カバー接合工程が終了するまでウェハレベルで行ってから、ダイシング工程を行うことで個々の発電デバイスに分割すればよい。ここにおいて、各カバー基板29、30は、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程、薄膜形成工程、めっき工程などの周知の工程を適宜適用して形成すればよい。
ところで、発電部18では、下部電極15上に圧電層16を形成しているが、下部電極15と圧電層16との間に、圧電層16の成膜時の下地となるバッファ層(図示せず)を介在させることで、圧電層16の結晶性を更に向上させてもよい。バッファ層の材料としては、導電性酸化物材料の一種であるSrRuO3、(Pb,Ra)TiO3、PbTiO3などを採用すればよい。
したがって、本実施形態の振動発電デバイスにおいては、フレーム部11と錘部12との間には、共振周波数調節手段を備える。これより、振動発電デバイスは、初期形状において、共振周波数を所定の値に調節して形成することができる。
また、本実施形態の振動発電デバイスにおいて、共振周波数調節手段は、撓み部13とは別に備えたフレーム部11と錘部12とをつなぐ支持梁部20で構成され、支持梁部20の形状を変えることで共振周波数を調節する。これより、振動発電デバイスは、初期形状において、共振周波数を所定の値に調節して形成することができる。さらに、過大な加速度が振動発電デバイスに加わったとき、錘部12の変位が急拡大して、振動発電デバイスが破損するのを抑制することができる。
そして、本実施形態の振動発電デバイスにおいて、共振周波数調節手段は、フレーム部11と撓み部13と錘部12が並ぶ方向と、前記撓み部と前記錘部との厚み方向と、を含む面内において、支持梁部20を対称的に形成している。これは、初期形状において、支持梁部20を対称的な支持状態にすることで、振動発電デバイスの振動特性に影響を及ぼしにくく、振動状態の安定性を向上させる。
また、本実施形態の振動発電デバイスにおいて、支持梁部20は、フレーム部11と錘部12との間で複数回折り返したバネ状構造を有する。これは、振動発電デバイスにかかる加速度によって振動する錘部12の振幅を制限し、振動発電デバイスの破損を抑制することができる。また、折り返し部分の回数によって、初期形状において、共振周波数を所定の値に調節して振動発電デバイスを形成することができる。
さらに、本実施形態の振動発電デバイスにおいて、バネ状構造は、折り返している部分にRを有する。これより、支持梁部20は、応力集中を緩和し、耐加速度性を向上させる。
さらに、本実施形態の振動発電デバイスにおいて、共振周波数調節手段は、支持梁部20の辺の長さを変えることで共振周波数を所定の値に調節して振動発電デバイスを形成する。これより、支持梁部20の長さの初期形状を変えて形成するだけで、共振周波数を簡単に変えることができる振動発電デバイスを作製することができる。
また、本実施形態の振動発電デバイスにおいて、共振周波数調節手段は、支持梁部20の辺の幅を変えることで共振周波数を所定の値に調節して、振動発電デバイスを形成する。これより、支持梁部20の幅の初期形状を変えて形成するだけで、共振周波数を簡単に変えることができる振動発電デバイスを作製することができる。
そして、この振動発電デバイスは、支持梁部20を備えることで、ウェットエッチングやレジスト除去時のディップの工程等で、脆弱な撓み部13に荷重がかかって破損することを抑制し、撓み部13の破損を抑制する。また、薄く加工した撓み部13が、発電部18の圧電層16の残留応力や錘部12の重力の影響のみで歪むことを抑制する。
11 フレーム部
12 錘部
13 撓み部
15 下部電極
16 圧電層
17 上部電極
18 発電部
20 支持梁部
25 基板
29 第一のカバー基板
30 第二のカバー基板
31a、31c 接続配線
32a 下部電極用パッド
32c 上部電極揺パッド
40 出力用電極
46 第一の接合用金属

Claims (6)

  1. フレーム部と、前記フレーム部の内側に設けられた錘部と、前記フレーム部と前記錘部との間をつなぎ前記錘部が振動することで撓む撓み部と、前記撓み部の一方の表面に下層から下部電極と圧電層と上部電極とが順に積層され前記錘部の揺動に応じて交流電圧を発生する発電部と、を備えた振動発電デバイスであって、
    前記フレーム部と前記錘部との間には、共振周波数調節手段を備え
    前記共振周波数調節手段は、前記撓み部とは別に備えた前記フレーム部と前記錘部とをつなぐ支持梁部で構成され、前記支持梁部の初期形状を変えることで共振周波数を調節することを特徴とする振動発電デバイス。
  2. 前記共振周波数調節手段は、前記フレーム部と前記撓み部と前記錘部が並ぶ方向と、前記撓み部と前記錘部との厚み方向と、を含む面内において、前記支持梁部を対称的に有することを特徴とする請求項に記載の振動発電デバイス。
  3. 前記支持梁部は、前記フレーム部と前記錘部との間で複数回折り返したバネ状構造であることを特徴とする請求項またはに記載の振動発電デバイス。
  4. 前記バネ状構造は、折り返している部分にRを有することを特徴とする請求項に記載の振動発電デバイス。
  5. 前記共振周波数調節手段は、前記支持梁部の辺の長さを変えることで共振周波数を所定の値に調節することを特徴とする請求項乃至のいずれか一項に記載の振動発電デバイス。
  6. 前記共振周波数調節手段は、前記支持梁部の辺の幅を変えることで共振周波数を所定の値に調節することを特徴とする請求項乃至のいずれか一項に記載の振動発電デバイス。
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