JP2011125071A - 発電デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】発電部にかかる応力集中を緩和し、発電効率の向上を図りつつより小型の発電デバイスを提供することである。
【解決手段】マイクロマシニング技術を用いて形成され、フレーム部1と、フレーム部1の内側に設けられた振動子2と、フレーム部1と振動子2との間をつなぎ振動子2が変位することで撓む撓み部3と、撓み部3の上に下層から下部電極4と圧電層5と上部電極6とが順に積層され振動子2の揺動に応じて交流電圧を発生する発電部7と、を備えた発電デバイスであって、撓み部3の平面視における外形形状はフレーム部1側が幅広となる略台形であり、フレーム部1は外周縁8および内周縁9が撓み部3の外形に沿って略三角形であるものとした。
【選択図】図1
【解決手段】マイクロマシニング技術を用いて形成され、フレーム部1と、フレーム部1の内側に設けられた振動子2と、フレーム部1と振動子2との間をつなぎ振動子2が変位することで撓む撓み部3と、撓み部3の上に下層から下部電極4と圧電層5と上部電極6とが順に積層され振動子2の揺動に応じて交流電圧を発生する発電部7と、を備えた発電デバイスであって、撓み部3の平面視における外形形状はフレーム部1側が幅広となる略台形であり、フレーム部1は外周縁8および内周縁9が撓み部3の外形に沿って略三角形であるものとした。
【選択図】図1
Description
本願発明は、MEMS(micro electro mechanical systems、微小電子機器)技術を用い、振動エネルギを電気エネルギに変換する発電デバイスに関するものである。
従来から、車や人の動きなど任意の振動に起因した振動エネルギを電気エネルギに変換するMEMSデバイスの一種である発電デバイスがある。このような発電デバイスに関しては種々の研究がなされている(非特許文献1参照)。
ここにおいて、上記非特許文献1に示された発電デバイスは、図4に示すように、素子形成用基板を用いて形成されてフレーム部31およびフレーム部31の内側に配置され可撓性の撓み部32を介して揺動自在に支持された振動子33を有する主体基板34と、第一のカバー形成用基板を用いて形成され主体基板34の一表面側においてフレーム部31が固着された第一のカバー基板35と、第二のカバー形成用基板を用いて形成され主体基板34の他表面側においてフレーム部31が固着された第二のカバー基板36と、を備えている。また、主体基板34の撓み部32に、振動子33の振動に応じて交流電圧を発生する発電部37が形成されている。なお、発電部37は、下部電極38、圧電層39、上部電極40の積層構造を有している。
R. van Schai jk, et al, 「Piezoelectric ALN energy harvesters for wireless autonomoustransducer solution」, IEEE SENSORS 2008 Conference, 2008, p. 45‐48
上記の発電デバイスの概略平面図は図5になる。この発電デバイスにおける撓み部32の平面視における外形形状が長方形で作られているので、応力が撓み部32のフレーム部31側端部に集中する。そのため、低い振動加速度でデバイスを破壊してしまうという課題が生じる。また、発電部37にかかる応力が不均一になると、発電部37面内での発電電圧分布が生じ、平均電圧としての出力が低くなる。これより、発電部37にかかる応力を有効に活用できないという課題、すなわち、発電部37面内で発電に寄与しない部分があるという課題が生じる。
本願発明は、上記背景技術に鑑みて発明されたもので、その課題は、発電効率の向上を図りつつ発電部にかかる応力集中を緩和できる発電デバイスを提供することである。
上記課題を解決するために、本願請求項1記載の発明では、マイクロマシニング技術を用いて形成され、フレーム部と、前記フレーム部の内側に設けられた振動子と、前記フレーム部と前記振動子との間をつなぎ前記振動子が変位することで撓む撓み部と、前記撓み部の上に下層から下部電極と圧電層と上部電極とが順に積層され前記振動子の揺動に応じて交流電圧を発生する発電部と、を備えた発電デバイスであって、前記撓み部の平面視における外形形状は前記フレーム部側が幅広となる略台形であり、前記フレーム部は外周縁および内周縁が前記撓み部の外形に沿って略三角形であることを特徴としている。
また、本願請求項2記載の発明では、前記外周縁および前記内周縁の幅は略均一であることを特徴としている。
また、本願請求項3記載の発明では前記撓み部の斜辺と前記撓み部の斜辺に対向する前記フレーム部の内周縁とが平行になっていることを特徴としている。
また、本願請求項4記載の発明では、前記発電部の平面視における外形形状は、前記撓み部の外形と略合致する略台形であることを特徴としている。
また、本願請求項5記載の発明では前記撓み部の厚みが一定であることを特徴としている。
本願請求項1記載の発明の発電デバイスにおいては、前記撓み部の平面視における外形形状は前記フレーム部側が幅広となる略台形である。これより、前記撓み部にかかる応力集中が減少し、低加速度でのデバイスの破壊を防止できる。また、前記発電部面内での発電電圧分布が均一化することで、前記発電部に印加された応力を有効に出力電圧に活用できる。さらに、前記フレーム部は外周縁および内周縁が前記撓み部の外形に沿って略三角形である。これより、前記撓み部にあわせてフレーム部を作るので、発電デバイス全体を小型化することができる。
また、本願請求項2記載の発明の発電デバイスにおいては、前記外周縁および前記内周縁の幅は略均一である。これより、前記フレーム部は前記フレーム部自身の無駄な面積を減らし、発電デバイス全体を小型化することができる。
また、本願請求項3記載の発明では前記撓み部の斜辺と前記撓み部の斜辺に対向する前記フレーム部の内周縁とが平行になっている。これより、前記フレーム部の斜辺および前記撓み部の斜辺の間の隙間を小さくすることができるので、発電デバイス全体をさらに小型化することができる。
また、本願請求項4記載の発明では、前記発電部の平面視における外形形状は、前記撓み部の外形と略合致する略台形である。これより、前記発電部をより大きくすることができるので、振動エネルギをより大きな電気エネルギに変換することができる。
また、本願請求項5記載の発明では前記撓み部の厚みが一定である。これより、前記撓み部にかかる応力をより均一にすることができる。
図1乃至3は、本実施形態である発電デバイスを示している。この発電デバイスは、マイクロマシニング技術を用いて形成されていて、フレーム部1と、フレーム部1の内側に設けられた振動子2と、フレーム部1と振動子2との間をつなぎ振動子2が変位することで撓む撓み部3と、撓み部3の上に下層から下部電極4と圧電層5と上部電極6とが順に積層され振動子2の揺動に応じて交流電圧を発生する発電部7と、を備えている。そして、撓み部3の平面視における外形形状はフレーム部1側が幅広となる略台形である。フレーム部1は外周縁8および内周縁9が撓み部3の外形に沿って略三角形であり、外周縁8および内周縁9の幅は略均一である。また、撓み部3の斜辺と撓み部3の斜辺に対向するフレーム部1の内周縁9とが平行になっている。さらに、発電部7の平面視における外形形状は、撓み部3の外形と略合致する略台形であり、撓み部3は厚みが一定である。また、この発電デバイスはSOI基板を用いて形成されていて、SOI基板は支持層10と絶縁層11と活性層12とを用いて形成されている。フレーム部1および振動子2は、支持層10と絶縁層11と活性層12とを備え、撓み部3は、絶縁層11および活性層12を備えている。発電部7は撓み部3の活性層12側上に備えている。また、発電デバイスは、フレーム部1と振動子2と撓み部3とを備える主体基板13と、主体基板13の一表面側に備えた発電部7と、第一のカバー形成用基板を用いて形成され主体基板13の上記一表面側においてフレーム部1が固着された第一のカバー基板14と、第二のカバー形成用基板を用いて形成され主体基板13の他表面側においてフレーム部1が固着された第二のカバー基板15と、を用いて構成されている。
以下、この実施形態の発電デバイスを具体的詳細に説明する。フレーム部1の内側に有する撓み部3の平面視における外形形状は、フレーム部1側が幅広となる略台形である。また、フレーム部1の外周縁8および内周縁9の平面視における外形形状は、撓み部3の外形に沿って略三角形である。また、撓み部3の一表面上に形成された発電部7の平面視における外形形状は、フレーム部1側が幅広となる略台形である。振動子2の平面視における外形形状は、フレーム部1の内周縁9に沿った略三角形である。
撓み部3の上記一表面側に形成された発電部7は、撓み部3の上記一表面側から順に下部電極4、圧電層5、上部電極6が積層されている。発電部7においては、下部電極4の平面サイズが最も大きく、二番目に圧電層5の平面サイズが大きく、上部電極6の平面サイズが最も小さくなるように設計してある。本実施形態では、平面視において、下部電極4の外周線の内側に圧電層5が位置し、圧電層5の外周線の内側に上部電極6が位置している。
撓み部3の上記一表面側には、下部電極4および上部電極6それぞれに金属配線からなる接続配線16a、16cが形成されている。また、撓み部3の上記一表面側には、接続配線16a、16cを介して電気的に接続された下部電極用パッド17aと上部電極用パッド17cが形成されている。
本実施形態では、主体基板13はSOI基板を用いて形成されており、下から支持層10と絶縁層11と活性層12となっている。なお、SOI基板は表面に酸化膜を加工していてもよい。そして、フレーム部1と振動子2とは、支持層10と絶縁層11と活性層12とを備えている。撓み部3は、絶縁層11と活性層12とを備えている。
また、この発電デバイスは、撓み部3の上記一表面に発電部7を備えている。発電部7は撓み部3の上記一表面側に形成された下部電極4と、下部電極4における撓み部3側とは反対に形成された圧電層5と、圧電層5における下部電極4側とは反対に形成された上部電極6とを有する。さらに、圧電層5と下部電極4および上部電極6それぞれとが接する領域のうちフレーム部1側は、フレーム部1および撓み部3の境界に全てが重なっている状態となっている。また、前記領域の振動子2側は、振動子2および撓み部3の境界に全てが重なっている状態となっている。なお、発電部7がフレーム部1および撓み部3の境界に揃っているほうが、発電部7に振動しても発電に寄与しない部分が存在せず、発電量の向上を図れるため好ましい。主体基板13の上記一表面側には、上部電極6に電気的に接続される接続配線16cと下部電極4との短絡防止用の絶縁部18が、下部電極4および圧電層5それぞれにおけるフレーム部1側の端部を覆う形で形成されている。
なお、絶縁部18はシリコン酸化膜により構成してあるが、シリコン酸化膜に限らず、シリコン窒化膜により構成してもよい。また主体基板13と下部電極4との間にMgO層からなるシード層19が形成されている。また、主体基板13の他表面側にはシリコン酸化膜20が形成されている。
また、第一のカバー基板14は第一のシリコン基板を用いて形成している。第一のカバー基板14における主体基板13側の一表面に、振動子2および撓み部3からなる可動部の変位空間を主体基板13との間に形成するための第1凹所21が形成されている。
第一のカバー基板14は、第一のカバー基板14の他表面側に、発電部7で発生した交流電圧を外部へ供給するための出力用電極22,22を形成している。各出力用電極22,22は、第一のカバー基板14の一表面側に形成された連絡用電極23,23と、第一のカバー基板14の厚み方向に貫設された貫通孔配線24,24を介して電気的に接続されている。ここで、第一のカバー基板14は、各連絡用電極23,23が主体基板13の下部電極用パッド17a,上部電極用パッド17cと接合されて電気的に接続されている。なお、各出力用電極22,22および各連絡用電極23,23をTi膜とAu膜との積層膜により構成してあるが、これらの材料や層構造は特に限定するものではない。また、各貫通孔配線24,24の材料としてはCuを採用しているが、これに限らず、例えばNi、Alなどを採用してもよい。
本実施形態では、第一のカバー基板14として第一のシリコン基板を用いているので、第一のカバー基板14は、二つの出力用電極22,22同士の短絡を防止するためのシリコン酸化膜からなる絶縁膜25が、第一のカバー基板の上記一表面側および上記他表面側と貫通孔配線24,24が内側に形成された貫通孔26の内周面とに跨って形成されている。なお、第一のカバー基板14としてガラス基板のような絶縁性基板を用いる場合は、このような絶縁膜25は設ける必要はない。
また、第二のカバー基板15は第二のシリコン基板を用いて形成されており、第二のカバー基板15における主体基板13側の一表面に、振動子2および撓み部3からなる可動部の変位空間を主体基板13との間に形成するために第2凹所27が形成されている。なお、第二のカバー基板15は、ガラス基板のような絶縁性基板を用いてもよい。
また、上述の主体基板13の上記一表面側には、第一のカバー基板14と接合するための第一の接合用金属層28が形成されており、第一のカバー基板14には、第一の接合用金属層28に接合される第二の接合用金属層(図示せず)が形成されている。ここで、第一の接合用金属層28の材料としては、下部電極用パッド17a、上部電極用パッド17cと同じ材料を採用しており、第一の接合用金属層28は、主体基板13の一表面上で下部電極用パッド17a、上部電極用パッド17cと同じ厚さに形成されている。
主体基板13と第一のカバー基板14と第二のカバー基板15とは、常温接合法により接合してあるが、常温接合法に限らず、例えば、陽極接合法や、エポキシ樹脂などを用いた樹脂接合法などにより接合してもよい。なお、本実施形態の発電デバイスは、MEMSデバイスの製造技術などを利用して形成されている。
以上説明した本実施形態の発電デバイスでは、発電部7が下部電極4と圧電層5と上部電極6とで構成されているから、撓み部3の振動によって圧電層5が応力を受け、下部電極4と上部電極6とに電荷の偏りが発生し、発電部7において交流電圧が発生する。
本実施形態における発電デバイスは、圧電層5の圧電材料として、鉛系圧電材料の一種であるPZTを採用し、主体基板13として、SOI基板を用いているが、鉛系圧電材料は、PZTに限らず、例えばPZT−PMN(:Pb(Mn,Nb)O3)やその他の不純物を添加したPZTを採用してもよい。ここで、本実施形態の発電デバイスでは、圧電層5の比誘電率をε、発電指数をPとすると、P∝e31 2/εの関係が成り立ち、発電指数Pが大きいほど発電効率が大きくなる。ここで、発電デバイスに用いられる代表的な圧電材料であるPZTおよびAlNそれぞれの圧電定数e31、比誘電率εの一般的な値からみて、発電指数Pに二乗で比例する圧電定数e31が大きいPZTを採用した方が発電指数Pを大きくできる。ただし、圧電層5の圧電材料は、鉛系圧電材料に限らず、他の圧電材料を採用してもよい。なお、主体基板13として用いるSOI基板は、上記一表面(活性層10の表面)が(100)面のものを用いる。
以下、本実施形態の発電デバイスの製造方法について図3を参照しながら説明するが、同図(a)〜(g)は、図1のA−A´断面に対応する部位を示している。
まず、上述SOI基板を用いて形成される主体基板11の上記一表面にMgO層からなるシード層19と上記他表面側にシリコン酸化膜20とを熱酸化法などによって形成する絶縁膜形成工程を行うことによって図3(a)に示す構造を得る。
その後、主体基板13の上記一表面の全面に下部電極4、接続配線16a及び下部電極用パッド17aの基礎となるAu層からなる金属層29をスパッタ法やCVD法などにより形成する金属層形成工程を行う。続いて、主体基板13上記一表面側の全面に圧電材料(例えば、PZTなど)からなる圧電層5の基礎となる圧電膜30(例えば、PZT膜など)をスパッタ法やCVD法やゾルゲル法などにより形成する圧電膜形成工程を行うことによって図3(b)に示す構造を得る。なお、金属層29は、Au層に限らず、例えばAl層やAl−Si層でもよいし、Au層と当該Au層とシード層19との間に介在する密着性改善用のTi層とで構成してもよい。ここで密着層の材料はTiに限らず、Cr、Nb、Zr、TiN、TaNなどでもよい。
上述の圧電膜形成工程の後、圧電膜30をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してパターニングし、圧電膜30の一部からなる圧電層5を形成する圧電膜パターニング工程を行うことによって、図3(c)に示す構造を得る。その後、上述の金属層29をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してパターニングし、それぞれ金属層29の一部からなる下部電極4、接続配線16a、下部電極用パッド17aを形成する金属層パターニング工程を行うことによって、図3(d)に示す構造を得る。なお、本実施形態の金属層パターニング工程では金属層29をパターニングすることによって、下部電極4と併せて接続配線16aおよび下部電極用パッド17aを形成しているが、これに限らず、金属層パターニング工程で金属層29をパターニングすることで下部電極4のみを形成するようにし、その後、接続配線16aおよび下部電極用パッド17aを形成する配線形成工程を別途に設けてもよい。また、接続配線16aを形成する接続配線形成工程と下部電極用パッド17aを形成する下部電極用パッド形成工程とを別々に設けてもよい。また、金属層29のエッチングにあたっては、例えば、RIE法やイオンミリング法などを採用すればよい。
上述の金属層パターニング工程により下部電極4、接続配線16a、および下部電極用パッド17aを形成した後、主体基板13の上記一表面側に絶縁部18を形成する絶縁部形成工程を行うことによって、図3(e)に示す構造を得る。絶縁部形成工程では、主体基板13の上記一表面側の全面に絶縁層をCVD法などにより成膜してから、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を利用してパターニングしているが、リフトオフ法を利用して絶縁部18を形成するようにしてもよい。
上述の絶縁部形成工程の後、上部電極6を例えばEB蒸着法やスパッタ法やCVD法などの薄膜形成技術、フォトリソグラフィ技術、エッチング技術を利用して形成する上部電極形成工程と同時に、接続配線16cおよび上部電極用パッド17cをEB蒸着法やスパッタ法やCVD法などの薄膜形成技術、フォトリソグラフィ技術、エッチング技術を利用して形成する配線形成工程を行うことによって、図3(f)に示す構造を得る。言い換えれば、本実施形態では、上部電極形成工程において、上部電極6と併せて接続配線16cおよび上部電極用パッド17cを形成しているが、これに限らず、上部電極形成工程と配線形成工程とを別々に行うようにしてもよい。また、配線形成工程についても、接続配線16cを形成する接続配線形成工程と上部電極用パッド17cを形成する上部電極用パッド形成工程とを別々に設けてもよい。なお、上部電極6のエッチングは、RIE法などのドライエッチングが好ましいが、ウェットエッチングでもよく、例えば、Au膜をヨウ化カリウム水溶液、Ti膜を過酸化水素水によりウェットエッチングすればよい。
上述のようにして上部電極6、接続配線16c、上部電極用パッド17cを形成した後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術などを利用してフレーム部1および振動子2および撓み部3を形成する基板加工工程を行うことで撓み部3を形成し、図3(g)に示す構造を得る。ここにおいて、基板加工工程では、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術などを利用して主体基板13の上記一表面側から絶縁層11に達するまで、主体基板13のうちフレーム部1および振動子2および撓み部3以外の部位をエッチングすることで表面溝を形成する表面溝形成工程を行う。続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術などを利用して主体基板13を上記他表面側から絶縁層11に達するまで、フレーム部1および振動子2以外の部位をエッチングすることで、裏面溝を形成する裏面溝形成工程を行う。続いて、絶縁層11の不要部分をエッチング除去し、表面溝と裏面溝とを連通させ、フレーム部1および振動子2と併せて撓み部3を形成するエッチング工程とを行うことによって、図3(g)に示す構造の発電デバイスを得る。ところで、本実施形態では、基板加工工程の表面溝形成工程および裏面溝形成工程において、垂直深堀が可能な誘導結合プラズマ(ICP)型のエッチング装置を用いて主体基板13をエッチングしているので、撓み部3の裏面と三角形枠状のフレーム部1の内側面とのなす角度を略90度とすることができる。なお、基板加工工程の表面溝形成工程および裏面溝形成工程は、ICP型のドライエッチング装置を用いたドライエッチングに限らず、異方性の高いエッチングが可能であればよく、他のドライエッチング装置を用いてもよい。また、主体基板13の上記一表面が(110)面の場合には、TMAH水溶液やKOH水溶液などのアルカリ系溶液を用いたウェットエッチング(結晶異方性エッチング)でもよい。
なお、本実施形態の発電デバイスは、基板加工工程が終了するまでをウェハレベルで行ってから、ダイシング工程を行うことで個々の発電デバイスに分割するようにしている。
本実施形態では、第一のカバー基板14と第二のカバー基板15とを備えているので、上述の撓み部3を形成するエッチング工程の後、各カバー基板14、15を接合するカバー接合工程を行う。この場合、カバー接合工程が終了するまでウェハレベルで行ってから、ダイシング工程を行うことで個々の発電デバイスに分割すればよい。ここにおいて、各カバー基板14、15は、フォトリソグラフィ工程、エッチング工程、薄膜形成工程、めっき工程などの周知の工程を適宜適用して形成すればよい。
ところで、発電部7では、下部電極4上に圧電層5を形成しているが、下部電極4と圧電層5との間に、圧電層5の成膜時の下地となるバッファ層を介在させることで、圧電層6の結晶性を更に向上させてもよい。バッファ層の材料としては、導電性酸化物材料の一種であるSrRuO3、(Pb,Ra)TiO3、PbTiO3などを採用すればよい。
したがって、本実施形態の発電デバイスにおいては、撓み部3の平面視における外形形状はフレーム部1側が幅広となる略台形であるので、撓み部3にかかる応力集中が減少し、低加速度でのデバイスの破壊を防止できる。また、発電部7面内での発電電圧分布が均一化することで、発電部7に印加された応力を有効に出力電圧に活用できる。さらに、フレーム部1は外周縁8および内周縁9が撓み部3の外形に沿って略三角形である。これは、撓み部3にあわせてフレーム部を作るので、発電デバイス全体を小型化することができる。
また、この実施形態の発電デバイスにおいては、外周縁8および内周縁9の幅は略均一である。これより、フレーム部1はフレーム部自身の無駄な面積を減らし、発電デバイス全体を小型化することができる。
また、この実施形態の発電デバイスにおいては、撓み部3の斜辺と撓み部3の斜辺に対向するフレーム部1の内周縁9とが平行になっている。これより、フレーム部1の斜辺および撓み部3の斜辺の間の隙間を小さくすることができるので、発電デバイス全体をさらに小型化することができる。
また、この実施形態の発電デバイスにおいては、発電部7の平面視における外形形状は、撓み部3の外形と略合致する略台形である。これより、発電部7をより大きくすることができるので、振動エネルギをより大きな電気エネルギに変換することができる。
また、この実施形態の発電デバイスにおいては、撓み部3の厚みが一定である。これより、撓み部3にかかる応力をより均一にすることができる。
なお、フレーム部の外周縁8および内周縁9は頂点が丸くなった三角形等も略三角形とする。
また、本実施形態では外周縁8および内周縁9の幅は均一であるが、不均一な幅であってもよい。
また、振動子2の平面視における外形形状は、三角形に限られず、安定して揺動自在であれば、四角形等他の形状であってもよい。
また、発電部7の外形形状は台形形状に限られず、撓み部3面内に収まれば、どのような外形形状であってもよい。
また、主体基板13は本実施形態ではSOI基板を用いているが、SOI基板に限らず、例えばシリコン基板を用いてもよい。
1 フレーム部
2 振動子
3 撓み部
4 下部電極
5 圧電層
6 上部電極
7 発電部
8 外周縁
9 内周縁
10 支持層
11 絶縁層
12 活性層
13 主体基板
14 第一のカバー基板
15 第二のカバー基板
2 振動子
3 撓み部
4 下部電極
5 圧電層
6 上部電極
7 発電部
8 外周縁
9 内周縁
10 支持層
11 絶縁層
12 活性層
13 主体基板
14 第一のカバー基板
15 第二のカバー基板
Claims (5)
- マイクロマシニング技術を用いて形成され、フレーム部と、前記フレーム部の内側に設けられた振動子と、前記フレーム部と前記振動子との間をつなぎ前記振動子が変位することで撓む撓み部と、前記撓み部の上に下層から下部電極と圧電層と上部電極とが順に積層され前記振動子の揺動に応じて交流電圧を発生する発電部と、を備えた発電デバイスであって、
前記撓み部の平面視における外形形状は前記フレーム部側が幅広となる略台形であり、
前記フレーム部は外周縁および内周縁が前記撓み部の外形に沿って略三角形であることを特徴とする発電デバイス。 - 前記外周縁および前記内周縁の幅は略均一であることを特徴とする請求項1に記載の発電デバイス。
- 前記撓み部の斜辺と前記撓み部の斜辺に対向する前記フレーム部の内周縁とが平行になっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の発電デバイス。
- 前記発電部の平面視における外形形状は、前記撓み部の外形と略合致する略台形であることを特徴とする請求項1乃至3に記載の発電デバイス。
- 前記撓み部は厚みが一定であることを特徴とした請求項1乃至4に記載の発電デバイス。
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JP (1) | JP2011125071A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10312427B2 (en) | 2013-12-06 | 2019-06-04 | Murata Manufacturing Co., Ltd. | Piezoelectric device |
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2009
- 2009-12-08 JP JP2009278181A patent/JP2011125071A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US10312427B2 (en) | 2013-12-06 | 2019-06-04 | Murata Manufacturing Co., Ltd. | Piezoelectric device |
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