JP5606946B2 - パージゾーンのない超低露点温度の乾燥空気を供給するデシカント空調機 - Google Patents
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Description
このため、従来の超低露点の乾燥空気SAを供給する空調機には、図3に示されるように、外気OAをフィルターaを介してファンbにより取込み、冷却器cで外気OAを冷却し、回転式のデシカントロータdを用いた高温再生型乾式除湿器が使用されている。
この高温再生型乾式除湿装置は、シリカゲル、ゼオライトなどの吸着材で構成したロータを備え、このロータの端面に位置する空気の通過域、すなわち例えばロータの端面に配置するチャンバ等の仕切りによる空気の通過区域を除湿ゾーン(処理ゾーン)eと再生ゾーンfとに仕切り、ロータを回転させながら除湿ゾーンeに処理空気を通過させて乾燥空気を作り出すと共に、再生ゾーンfに140℃程度の高温の再生空気を通過させることによって、前記吸着材中の水分を再生空気中に蒸発させて、連続的に除湿処理を行うように構成され、より低露点を得る場合には、多段式、すなわち複数の乾式除湿装置を直列系統接続して運転する方法が知られている(例えば、特許文献1)。
(1)再生空気温度が、100℃少なくとも80℃以上の高温であり、熱源に蒸気または電気ヒータを用いる必要があること。
(2)蒸気源を使用することが多いが、蒸気の生産時にCO2を大量に生じる場合があり、CO2の削減に寄与できないこと。
(3)再生器に他の機器からの80℃以下の温水の排熱が利用できないこと。
(4)除湿器の除湿性能を上げるため、パージが必要になること。
(5)再生側より処理側への熱移動が大きいため、処理側では温度が上がり、熱源の冷却負荷が増加する。
再生ラインとして前段に第3再生器を配置した第3デシカントロータの再生ゾーンと、前段に第2再生器を配置した第2デシカントロータの処理ゾーンと、前段に第1再生器を配置した第1デシカントロータの処理ゾーンとを直列に連通し、排気のための第2ファンを配置し、前記室内側に供給する前記給気の一部を第3デシカントロータの再生ゾーンに供給し、順次第2デシカントロータの再生ゾーン、第1デシカントロータの再生ゾーンを通過させるとともに、
前記第2冷却器の下流に蒸発器を配置し、第1凝縮器は第1再生器の上流、第2凝縮器は第2再生器の上流、第3凝縮器は第3再生器の上流にそれぞれ配置して、これら凝縮器の出力を前記蒸発器に入力し、該蒸発器と第1乃至第3の凝縮器との間に圧縮器を介在させ、該蒸発器の出力を該圧縮器に入力し、該圧縮器の出力を前記凝縮器の入力とした循環するヒートポンプ回路を形成し、
各デシカントロータの再生器は80℃以下で加熱するとようにしたことを特徴とするパージゾーンのない超低露点温度の乾燥空気を供給するデシカント空調機である。
(1)パージゾーンが不要であること。
(2)デシカントロータに低温再生乾式除湿器を用いることができること。
(3)ヒートポンプ回路の蒸発器と凝縮器とを組み込んだことにより、これがデシカント空調機の一部熱源負荷を受け持つので、中央熱源の負荷が軽減される。
(4)再生空気が80℃以下となることから、事務所用空調機のパネル等の部材も使用可能となること。
(5)再生器には80℃以下の温水でもよいので、他の施設の排熱を容易に再生器に利用することが可能であり、蒸気源が不必要になること。
図2のヒートポンプ回路のブロック図に示すように、組み込まれるヒートポンプ回路は、圧縮器95と蒸発器94と3つの凝縮器91,92,93から構成される。圧縮器95から出力されるガス化した冷媒は、先ず並列の第1凝縮器91と第2凝縮器92に分岐されて各凝縮器91,92で再生空気を加熱し、更に、合流して第3の凝縮器93に供給して再生空気を加熱すると同時に冷媒も液化する。その後、液化された冷媒は蒸発器94に供給されて処理空気を冷却すると同時に冷媒はガス化して、圧縮器95に戻り循環系を形成する。
図1に示すように、ヒートポンプ回路の蒸発器94は第2冷却器32の直後の下流に配置し、第1凝縮器91は第1再生器41の直前の上流、第2凝縮器92は第2再生器42の直前の上流、第3凝縮器93は第3再生器43の直前の上流に配置した。
これらのうち、本実施例の超低露点温度の乾燥空気を供給するデシカント空調機においては、外気変動や室内負荷変動が生じると、冷却器31及び冷却器33の入口空気温度は大きく変動するが、冷却器32の入口空気温度の変動は非常に少ない。すなわち、冷却器32は年間を通してほぼ一定の負荷を処理している。
したがって、冷却器32の負荷の一部をヒートポンプ回路の蒸発器94で処理すれば、蒸発器の負荷変動を少なくすることができ、ヒートポンプ回路の安定した運転が可能となると同時に、その排熱をデシカント排気ラインの再生に利用すれば、中央熱源の負荷軽減に大きく貢献する。
したがって、この知見に基づけば、ヒートポンプ回路の凝縮器91,92,93を直列多段に配列することができ、図2において、第3凝縮器93を第2凝縮器92や第1凝縮器91の下流に配置してもよく、第1凝縮器91、第2凝縮器92、第3凝縮器93と各再生器との組み合わせは実施例に限定する必要はなく、要は再生器の負荷が軽減されるように配置すればよい。また、蒸発器94も複数にしてもよく、第2デシカントロータ22以外の第1或いは第3デシカントロータ21,23に配置してもよい。
言い換えれば、少なくとも各冷却器のいずれかの下流にヒートポンプ回路の蒸発器と、少なくとも各再生器のいずれかの上流にヒートポンプ回路の凝縮器を配置して、デシカント空調機での中央熱源の負荷の一部をヒートポンプ回路の蒸発器と凝縮器で受け持って、中央熱源の負荷を軽減している。
外気OAは第1ファン51により吸い込まれるが、ダンパ61により吸入量を規制されフィルター71により第1冷却器(冷却コイル)31で冷やされ、第1デシカントロータ21の処理ゾーン211を通過してある程度除湿される。本実施例での第1ファン51で吸い込まれる外気OA風量は1000CMH(m3/h)程度で、第1冷却器(冷却コイル)31直後の到達露点は9.24℃DP程度であった。
この除湿された中間空気は、室内Rからの還気RAと混合され、第1ファン51により次の第2デシカントロータ22の前段の第2冷却器32で冷やされ、第2デシカントロータ22の処理ゾーン221を通過して更に除湿される。
本実施例では、前記還気RA量は、1000CMH(m3/h)程度で到達露点は−40℃DP程度であるので、第1ファン51は合計2000CMH(m3/h)で到達露点は−20.21℃DP程度となっている。
本実施例では給気全体の約50%に当たる1000CMH(m3/h)程度の給気を返還通路82及び風量を制御するダンパ63を介して再生ラインに戻している。この戻し率は、多ければそれだけ乾燥度合いが高いが、室内の給気SAの量が少なくなるので、実際には戻し量は30%から70%が限度である。
また、室内側には給気全体の50%に当たる給気が供給されるが、その−50℃DP程度の乾燥空気の給気SAは室内Rを満たした後、大部分は1000CMH(m3/h)程度で到達露点は−40℃DP程度の還気RAとなって、ダンパ62によって風量制御されて、第1デシカントロータ21の処理ゾーン211の下流の直後で、第2冷却器32及び第2デシカントロータ22の上流に配置した第1ファン51の合流点Aに戻され循環される。この循環処理により−50℃DP程度の乾燥空気を維持している。なお、この場合に、還気RAの一部(僅かな量)は漏れがあり、9CMH(m3/h)程度であるが外部に放出(EA:一部)される。
なお、第1ファン51の配置位置は、必ずしも、第1デシカントロータ21と第2冷却器32の間で合流点A直後でなくても、合流点Aの下流であって、第1冷却器31の下流から、後述する給気通路81と返還通路82との分岐点Bの上流との間であればよい。
また、室内還気と処理ラインとの合流点Aも、第1デシカントロータ21の処理ゾーン211の下流の直後でなくとも、前記第1ファン51の上流であれば、第1冷却器31の下流から第3デシカントロータ23の処理ゾーン231の上流の間に配置させればよく、到達露点は−50℃DP程度になるように室内還気を合流させて循環させればよい。
第3デシカントロータ23の到達露点は−50℃DP程度までであり、その除湿空気の一部(全体の50%に当たる1000CMH(m3/h))は室内(R)へ給気され、また、その除湿空気の一部(全体の50%に当たる1000CMH(m3/h))は再生ラインに戻される。その戻された除湿空気は、まず、第3デシカントロータ23の凝縮器(加熱器)93及び再生ゾーン232の前段の第3再生器43で加熱され、その後再生ゾーン232を通過して、第3デシカントロータ23の再生ゾーン232で湿気を飛ばし、次段の第2デシカントロータ22の再生ゾーン222に送風される。
この第1デシカントロータ21では、その再生ゾーン212に凝縮器(加熱器)91及び第1再生器41が配置され、この第1再生器41の下流側での空気の到達露点は−20.23℃DP程度(1000CMH(m3/h)程度)であり、さらに、第1デシカントロータ21の再生ゾーン212で湿気を飛ばし、第2ファン53によって、1000CMH(m3/h)程度が戸外に排気EAされる。
なお、本実施例では第2ファン53を再生ライン下流の最後の戸外放出点Cに配置したが、排気EAを戸外に排出できるのであれば、分岐点Bから実施例の再生ラインの最後の戸外放出点Cとの間のどこに配置してもよい。
ここで、図1に、実施例での室内(R)が無負荷の状態で各ライン上の風量及び露点温度の実験値を示して説明するが、勿論、室内(R)に負荷がある場合の数値とは多少異なる。
本発明の上記の課題を達成するため構成上の特徴の1つは、少なくとも、大量の給気を室内で処理した後、大量の還気(室内の供給量の30〜70%)を循環させることであり、第2デシカントロータの上流に返還する空気量は1000CMH(m3/h)で、実に50%程度を循環させている。
また、循環処理して給気した一部を直接再生ラインに戻しているが、この戻し率は、多ければそれだけ乾燥度合いが上がるが、室内の給気SAの量が少なくなるので、実際には戻し量は70%から30%が限度であり、本実施例での戻し率は50%である。
なお、本発明を実現するためには、少なくとも、次工程への処理空気以上の大量の還気を返還する必要があり、即ち、少なくとも30%以上の返還量が必要であるが、余り多くすると室内への供給量が減るので70%が上限である。
これにより、デシカントロータの再生ゾーンの再生器として再生空気温度80℃以下の所謂低温再生乾式除湿器を用いたので、通常のデシカント空調機の部品を使用でき、また、再生に他の施設の排熱を利用した温水が使用可能となる。
以上のような構成であるので、従来のパージゾーンを設けた高温再生型乾式除湿器と同等の超低露点(−50℃DP)が実現可能となり、再生空気が80℃以下で良いのでパージゾーンが必要でなくなることから、従来の超低露点温度の乾燥空気を供給するデシカント空調機と比べて、次のような利点がある。
(1)パージゾーンが不要であること。
(2)デシカントロータの再生器に低温再生乾式除湿器を用いることができること。
(3)ヒートポンプ回路の蒸発器と凝縮器とを組み込んだので、デシカント空調機の一部熱源負荷を受け持つことが出来、冷却器と再生器への中央熱源の負荷が軽減される。
(4)再生空気が80℃以下となることから、従来のデシカントロータ空調機のパネル等の部材も使用可能となること。
(5)再生器には80℃以下の温水でもいいので、他の施設の排熱を容易に再生器に利用が可能であり、蒸気源が不必要になること。
なお、本発明の特徴を損なうものでなければ、上記の各実施例に限定されるものでないことは勿論である。
21…第1デシカントロータ、211…処理ゾーン、212…再生ゾーン、
22…第2デシカントロータ、221…処理ゾーン、222…再生ゾーン、
23…第3デシカントロータ、231…処理ゾーン、232…再生ゾーン、
31…第1冷却器、32…第2冷却器、33…第3冷却器、
41…第1再生器、42…第2再生器、43…第3再生器、
51・・第1ファン(送風機)、53・・第2ファン(送風機)、
61,62,63,…ダンパ、
71…フィルター、81…給気通路、82…返還通路
91…第1凝縮器(加熱器)、92…第2凝縮器(加熱器)、
93…第3凝縮器(加熱器)、94…蒸発器(冷却器)、
95…圧縮器
A…合流点、B…分岐点、C…戸外放出点、
Claims (1)
- 処理ラインとして前段に第1冷却器を配置した第1デシカントロータの処理ゾーンと、前段に第2冷却器を配置した第2デシカントロータの処理ゾーンと、前段に第3冷却器を配置した第3デシカントロータの処理ゾーンとを直列に連通し、第1ファンを第1デシカントロータの処理ゾーン下流から室内側への供給と排気ラインとの分岐点の間に配置し、第1冷却器側から外気を吸い込み順次第2デシカントロータ及び第3デシカントロータの処理ゾーンで処理して超低露点の給気を室内側に供給し、室内からの還気を前記第1ファンの上流であって第2冷却器又は第3冷却器の上流に合流させて循環させるとともに、
再生ラインとして前段に第3再生器を配置した第3デシカントロータの再生ゾーンと、前段に第2再生器を配置した第2デシカントロータの処理ゾーンと、前段に第1再生器を配置した第1デシカントロータの処理ゾーンとを直列に連通し、排気のための第2ファンを配置し、前記室内側に供給する前記給気の一部を第3デシカントロータの再生ゾーンに供給し、順次第2デシカントロータの再生ゾーン、第1デシカントロータの再生ゾーンを通過させるとともに、
前記第2冷却器の下流に蒸発器を配置し、第1凝縮器は第1再生器の上流、第2凝縮器は第2再生器の上流、第3凝縮器は第3再生器の上流にそれぞれ配置して、これら凝縮器の出力を前記蒸発器に入力し、該蒸発器と第1乃至第3の凝縮器との間に圧縮器を介在させ、該蒸発器の出力を該圧縮器に入力し、該圧縮器の出力を前記凝縮器の入力とした循環するヒートポンプ回路を形成し、
各デシカントロータの再生器は80℃以下で加熱するとようにしたことを特徴とするパージゾーンのない超低露点温度の乾燥空気を供給するデシカント空調機。
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