JP5605403B2 - 擬似太陽光照射装置 - Google Patents
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Description
この種の擬似太陽光照射装置においては、キセノンランプ等の光源を箱体の中に設置し、多層蒸着膜が形成されたスペクトル調整用の透過型の光学フィルタを箱体の放射面に設け、光源の光を該光学フィルタに通すことで放射面から擬似太陽光を放射する照射ボックスが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、被照射面での擬似太陽光のスペクトル分布のずれを抑制する擬似太陽光照射装置を提供することを目的とする。
図1は、本実施の形態における擬似太陽光照射装置の構成を模式的に示す縦断面図である。なお、図1中Wは幅方向を、Hは高さ方向を示している。
擬似太陽光照射装置1は、複数の角柱状のフレーム2を格子状に組んだ枠体4を有し、この枠体4は、本実施の形態では、長さが略2300mm、幅が略1300mm、高さが略1180mmの寸法に構成されている。枠体4の四方の各側面は、遮光板(不図示)で覆われている。
被照射体10は、枠体4の上に取り付けられた試料支持枠12に載置されることで、擬似太陽光照射ボックス6から所定の距離Lだけ離間した位置に被照射面10Aが配置されている。この被照射面10Aは、擬似太陽光照射ボックス6の上面6Bから放射される直接光と、反射面8で反射された反射光によって照射される。すなわち、反射光の配光を制御することで、被照射面10Aでの直接光の照度むらを補償し、被照射面10Aでの照度の均一性を図ることができる。
擬似太陽光照射ボックス6の中には、2本の直管型のランプ(光源)22、23が擬似太陽光照射ボックス6に沿って同軸に配置されている。これらのランプ22、23には、自然太陽光に近い光を発するキセノンランプ等が用いられている。ランプ22、23のそれぞれの両端部には、端子台40が配設されている。
保持具31は、反射板30の傾斜角度を調節するための角度調整機構を有し、これにより、反射板30のそれぞれを、互いに独立して光の反射角度を調整することができるようになっている。このとき、図1に示すように、枠体4の幅方向における両側面に近い幾つかの保持具31の高さが順次高くなされており、両側面側の反射板30の反射光が内側の反射板30に遮蔽されるのを防止している。
擬似太陽光照射ボックス6は、擬似太陽光照射ボックス6の長手方向の両側面20A、20Bを構成する長板状の一対のサイドフレーム24、24と、上面6Bを構成する複数(本実施の形態では、一対)のフィルタ26、26と、下面6Aを構成する複数(本実施の形態では、一対)のフィルタ27、27と、これらサイドフレーム24及びフィルタ26、27を組み留める金具28とを有している。
サイドフレーム24は、光遮光性材により形成され、或いは、光の透過を防止する遮光材が塗布されている。
IRカットフィルタ保持具26B、27Bは、アクリル等の透明な材質で形成されている。IRカットフィルタ26A、27Aは、赤外波長成分をカットする多層蒸着膜が蒸着形成されたスペクトル調整用の透過型の光学フィルタであり、ランプ22、23の発する光から赤外波長成分を除去することで擬似太陽光を生成する。
吸収部材21は、擬似太陽光照射ボックス6の長手方向に延在し、平面が水平に配置された板材であり、その表面が光を吸収する性質を有するように、例えば、アルミニウムなどの金属材料の上に黒アルマイト処理するか、又は、さらにその上に例えばガラスクロスにフッ素樹脂ディスパージョンをコーディングした黒色の遮光シートを被せる等の光吸収処理を施したものを用いて形成されている。また、吸収部材21は、裏面反射光A、Bを十分に吸収し、また、上面6B及び下面6AのIRカットフィルタ26A、27Aで生じ他方のIRカットフィルタ26A、27Aに向う裏面反射光A、Bを十分に遮蔽可能にするために、その先端21Aをランプ22、23に当接しない程度の近傍にまで延出させて配置されている。
上記被照射面10Aは、擬似太陽光照射ボックス6(ランプ22、23)を中心として左右の2つの領域に等分割され、図5に示すように、擬似太陽光照射ボックス6の上面6Bに設けた左半分のIRカットフィルタ26Aが被照射面10A上の左半分の領域X1に擬似太陽光を照射するように設けられるとともに、右半分のIRカットフィルタ26Aが被照射面10A上の右半分の領域に擬似太陽光を照射するように設けられている。
また、反射面8も同様に、擬似太陽光照射ボックス6(ランプ22、23)を中心として左右の2つの領域に等分割され、擬似太陽光照射ボックス6の下面6Aに設けた左半分のIRカットフィルタ27Aが反射面8上の左半分の領域に擬似太陽光を照射し、右半分のIRカットフィルタ27Aが反射面8上の右半分の領域に擬似太陽光を照射するように設けられている。
同様に、下面2Bにおいては、ランプ22、23の中心から反射面8までの距離と、反射面8の左右の半分の領域の横幅とに基づいて、ランプ22、23からみた左右の領域への照射角度φが規定される。
なお、図6及び図7は、横軸に波長の長さを、縦軸に波長550nmにおける光量を1とした場合の相対光量を示している。また、図6及び図7に示すM1〜M5は、図5に示すように、被照射面10A上の左半分の領域X1を幅方向に5等分した各位置を指し、同図には、これら位置M1〜M5ごとにスペクトル分布を示している。
そして、このような結果により、被照射面10Aの各位置M1〜M5に対して、赤外成分の光が比較的少ないスペクトル分布の擬似太陽光が照射されていることが示される。
この構成においては、ランプ122から被照射面10A又は反射面8の中央に向う光Pに対して縁部に向う光Q(裏面反射光を含む)ほど光学フィルタ126、127への斜入射の度合いが大きくなる。したがって、この構成の擬似太陽光照射ボックス106においては、縁部に向う光Qほど赤外波長領域の光量が透過され易くなり、被照射面10A及び反射面8では、縁部側での擬似太陽光のスペクトル分布が所望のスペクトル分布から大きくずれてしまう、という問題がある。特に、被照射面10Aが広くなるほど、被照射面10A又は反射面8の中央に向う光Pの方向と縁部に向う光Qの方向との成す角度が大きくなるため(光学フィルタ126、127への斜入射の度合いが大きくなるため)、この問題は顕著になる。
これと同様に、右半分のIRカットフィルタ26Aも、垂直入射した光が被照射面10A上の右半分の略中央を照射するように設けられている。
これにより、被照射面10Aにおいて、縁部である位置M1、M5に照射される擬似太陽光のスペクトル分布のずれが抑制され、被照射面10A全体に対し、略同じスペクトル分布の擬似太陽光を照射することができる。
すなわち、各IRカットフィルタ27Aの照射角度φに対して、照射角度(φ/2)の光線がIRカットフィルタ27Aに垂直入射するように、これらのIRカットフィルタ27Aが配置角度β(=φa)だけ傾けた姿勢で配置される。そして、本実施形態では、反射面8上の半分の領域を照射する照射角度φが66.8度となるよう構成されており、照射角度33.4度(=φ/2)の光線がIRカットフィルタ26Aに垂直入射するように設計している。
これにより、反射面8においても、縁部に照射される擬似太陽光のスペクトル分布のずれが抑制される。
なお、図8及び図9は、横軸に波長の長さを、縦軸に波長550nmにおける光量を1とした場合の光量の割合を示している。
これにより、IRカットフィルタ26Aへの入射角度の違いにより生じる透過分光特性のずれの影響が抑制され、被照射面10A全体を所望のスペクトル分布の光で照射されていることが示される。
この結果、擬似太陽光照射ボックス6の上面6Bからの直射光による照度むらに応じて、反射面8の配光を制御することで、被照射面10A全体を略同じスペクトル分布の光で、なおかつ、照度むらを抑えて照射することができる。
6 擬似太陽光照射ボックス
6A 下面
6B 上面
8 反射面
10 被照射体
10A 被照射面
21 吸収部材
22、23 ランプ(光源)
26、27 フィルタ
26A、27A IRカットフィルタ(光学フィルタ)
26B、27B IRカットフィルタ保持具
30 反射板
A、B 裏面反射光
M3 位置(略中央)
Claims (2)
- 光源を収容し、前記光源の光をスペクトル調整して擬似太陽光を得る光学フィルタを放射面に設けた擬似太陽光照射ボックスを有し、前記擬似太陽光照射ボックスの放射面に対向させて被照射体の平坦な被照射面を配置した擬似太陽光照射装置において、
前記光学フィルタは、多層蒸着膜が形成されたフィルタであり、
前記被照射面を複数の領域に分け、
前記擬似太陽光照射ボックスの放射面には、前記領域ごとに対応させて前記光学フィルタをそれぞれ設け、
前記領域ごとに対応させて設けた前記光学フィルタのそれぞれを、前記被照射面全体を1つの領域とし当該1つの領域に対して1枚の平坦な光学フィルタを使用したときよりも、前記領域の縁部分に向う光と前記光学フィルタへの垂直入射の光の透過光とが成す角度を小さくするように、前記光源から前記光学フィルタに垂直入射した光の透過光が照射対象とする領域の略中央の前記被照射面を照射する姿勢で配置し、
前記光学フィルタのそれぞれを、透明な材質で形成された保持具に載置して保持したことを特徴とする擬似太陽光照射装置。 - 請求項1に記載の擬似太陽光照射装置において、
前記擬似太陽光照射ボックスの上面及び下面の各々に前記放射面を形成し、各放射面に前記光学フィルタを設け、
前記擬似太陽光照射ボックスの上面の放射面に対向させて前記被照射体の被照射面を配置し、前記下面の放射面に対向させて反射面を配置し、前記被照射体の被照射面に、前記上面の放射面から放射される直接光、及び前記反射面で反射された反射光を照射する構成とし、
前記擬似太陽光照射ボックスの上面の放射面には、複数の前記光学フィルタを、それぞれが前記被照射面上の領域に前記擬似太陽光を照射するように設け、
前記下面の放射面には、複数の前記光学フィルタを、それぞれが前記反射面上の領域に前記擬似太陽光を照射するように設け、
前記上面及び下面の光学フィルタのそれぞれを、前記光源から前記光学フィルタに垂直入射した光の透過光が照射対象とする領域の略中央を照射するように設けたことを特徴とする擬似太陽光照射装置。
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